弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告人等代理人岡沢完治の上告理由第一点について。
 所論は違憲をいうけれども、原判決は、上告人Aほか原判示の一五二名が居住し
てここに住所を有する大阪府a住宅中判示六〇戸の存する地域(係争地域)が大東
市に属せず、従つて、これらの者は同市の住民ではないとの事実を認定した、そし
て同市に合併前のb町においては右地域が同町に属するものとしこれらの者を同町
住民として判示基本選挙人名簿に登録しまた従来住民登録、戸籍、徴税等の行政事
務を行つて来た事実は認められるがこれら行政事務の実際より本件係争地域が同町
同市の区域に属すると推認することはできない旨判示し、もつて、同町同市がこれ
ら登録その他の行政事務を行うについて右係争地域を同町同市に属するものと認め
右一五三名をその住民と認めたのは事実の認定を誤まつたものであるとの趣旨を明
らかにしたものであること、判文上明白である。してみれば、所論は、原判決が認
定しなかつた事実を認定したものであるとし原判示にそわない主張をなしこれを前
提として違憲、違法をいうもので前提を欠き採用することができない。
 同第二点について。
 所論は、右一五三名は大東市において住民登録法により登録されており、同市民
であることが確証されているから、本件係争地域についての境界確定訴訟の判決に
より境界が確定されるまでは大東市民であると主張する。しかし、住民登録は住民
の居住関係を公証する効力を持つけれども反証により登録と異る事実を認めること
が許されないものではなく、原判決は、証拠によつて右地域は大東市の区域に属し
ないとの事実を認定し、右一五三名は同市の市民でないとしたのであるから、原判
決には違法の点はない。論旨末段は判断遺脱をいうが、所論の点は原判決の当否に
影響を及ぼさない。論旨は理由がない。
 同第三点について。
 第一は判決理由のくいちがいをいうが、大東市選挙管理委員会は選挙管理の立場
から判示選挙につき判示一五三名が住民として選挙権を有するか否かを判断する前
提として、これらの者の住居の存する本件係争地域がb町大東市の区域に属するか
否かを判断する必要あるときは、その境界について境界確定訴訟における確定判決
のない以上、同町市もしくはその長が各種行政処分をなすに当りこの係争地域を同
町市の一部と認定したことには必ずしも拘束されるものではないから、原判決の所
論の説示は相当である。原判決によれば、第一点で説示したように、右一五三名を
b町大東市の住民として権利義務を認めた住民登録、選挙人名簿登録、徴税その他
の行政事務は事実を誤認して違法に行われたということになるのであり、従つて同
市選挙管理委員会が右一五三名に投票させなかつたのは違法とはいえない。原判示
は何ら理由のくいちがいはない。
 第二は当選無効の請求を排斥したことの違法をいうが、本件係争地域が大東市に
属しないことが認定された以上右一五三名がその住民でなく本件選挙につき投票さ
せられなかつたことは当然であつて当選の効力にも影響しないこというまでもない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介

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