弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中上告人敗訴部分を破棄する。
     前項の部分につき被上告人の控訴を棄却する。
     原審及び当審における訴訟費用は被上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人佐治良三、同復代理人建守徹の上告理由第一点について
 地方税法一九条の一二の規定によれば、地方団体の徴収金に関する滞納処分等の
取消しの訴えは、当該処分についての異議申立又は審査請求に対する決定又は裁決
を経た後でなければ提起することができないものとされているところ、本件におい
て、被上告人が本件配当処分につき自らは審査請求をすることなく直接本件訴えを
提起したことは、記録上明らかであるが、原審は、本件配当処分については、訴外
株式会社Dセンター(以下「訴外会社」という。)において被上告人が本件訴訟で
主張するのと同様の理由により審査請求を行い、これに対する裁決がされているか
ら、これにより被上告人の本件訴えの提起につき審査請求の手続が経由されたと同
視するのが相当であるとして、本件訴えを適法としたものである。
 しかしながら、地方税法一九条の一二の規定は、処分に対する救済の方法として、
処分に不服のある者は、訴えによる救済を求めるに先立つてまず行政上の不服申立
の手続を経由すべきことを要求しているのであり、このように訴えを提起するにつ
いて不服申立手続の前置が定められている場合においては、原則として、訴えを提
起する者(以下「訴訟提起者」という。)自身が右不服申立の手続を経ていること
が予定されているものと解するのが相当である。したがつて、訴訟提起者自身がそ
の手続を経由していない以上、たまたま他の者が当該処分について訴訟提起者の主
張と同一の理由に基づいて審査請求を経ていたとしても、両者が当該処分に対し一
体的な利害関係を有し、実質的にみれば、その者のした審査請求は同時に訴訟提起
者のための審査請求でもあるといえるような特段の事情が存しない限り、訴訟提起
者の訴えについて当然に審査請求の手続が経由されたと同視して、これを適法な訴
えと解することはできないというべきである(最高裁昭和二五年(オ)第三六六号
同二九年二月一一日第一小法廷判決・裁判集民事一二号五五三頁の事案は、右特段
の事情が存する場合であり、同判決の趣旨とするところも、結局右と同旨に帰する
ものと解することができる。)。
 これを本件についてみるに、原審の確定するところによれば、訴外会社と被上告
人とは債権者と連帯保証人の関係にあるものであり、必ずしも本件配当処分に対し
一体的な利害関係を有しているということができず、右特段の事情があるといえな
いことは明らかであるから、本件において、訴外会社が被上告人の主張と同様の理
由により審査請求を経ていることをもつて、被上告人の本件訴えの提起につき審査
請求の手続が経由されたと同視することはできないといわざるをえない。そうする
と、これと異なり本件訴えにつき審査請求の手続が経由されたと同視するのが相当
であるとした原審の判断は、地方税法一九条の一二の規定の解釈適用を誤つたもの
というべきであり、右の違法は判決の結論に影響を及ぼすことが明らかであるから、
この点を指摘する論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、以上によ
れば、本件訴えは不服申立の手続を経ないで提起された不適法なものというべきで
あり、本件訴えを却下した第一審判決は結論において正当であつて、被上告人の控
訴は棄却されるべきものである。
 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇八条、三九六条、三八四条、九六条、
八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    伊   藤   正   己
            裁判官    安   岡   滿   彦
            裁判官    長   島       敦
            裁判官    坂   上   壽   夫

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