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平成27年(ワ)第369号損害賠償請求事件(甲事件)
平成28年(ワ)第80号損害賠償請求事件(乙事件)
主文
1被告a町土地改良区は,原告に対し,1115万6487円及びこれに対す
る平成27年3月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2原告の被告a町土地改良区に対するその余の請求並びに被告香川県,被告三
豊市及び被告b水利組合に対する請求をいずれも棄却する。
3訴訟費用は,甲・乙両事件を通じて,原告と被告a町土地改良区との間にお
いては,原告に生じた費用の100分の35を被告a町土地改良区の負担とし,
その余は原告の負担とし,原告とその余の被告らとの間においては,全部原告
の負担とする。
4この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1請求
被告らは,原告に対し,連帯して3065万2839円及びこれに対する平
成27年3月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
1本件は,香川県三豊市a町c番d所在のため池通称「b」(以下「本件ため池」
という。)に転落して死亡した幼児の父親である原告が,本件ため池は,その周
辺へのフェンスの設置が十分ではなく,通常有すべき安全性を欠いていたと主
張して,被告らに対し,国家賠償法2条1項に基づく損害賠償を求めると共に,
選択的に,被告香川県(以下「被告県」という。)及び被告三豊市(以下「被告
市」という。)に対し同法3条1項に基づき,被告市,被告b水利組合(以下「被
告水利組合」という。)及び被告a町土地改良区(以下「被告土地改良区」とい
う。)に対し民法717条1項に基づき,それぞれ損害賠償を求める事案である。
2前提事実(後掲証拠によるもの以外は,争いがないか,弁論の全趣旨により
容易に認められる。以下,証拠番号は特に記載がない場合は枝番を含む。甲号
証の番号は甲事件のものを指す。)
⑴本件ため池は,その近隣の水田等に灌漑用水を供給する目的で,1612
年頃に築造されたものであり,現在では,約35戸の農家が所有する水田に
灌漑用水を供給している(甲2,丙1)。
⑵被告市は,本件ため池の底地を所有している(甲3)。
⑶本件ため池の改修工事等
ア本件ため池では,取水施設の老朽化による漏水等が生じ,その改修補強
が必要となっていたことから,平成21年5月から平成24年3月までの
間,被告県が事業主体となって,その堤体の安全性等を図るため,「県営中
山間地域総合農地防災事業」(平成22年度からは「県営農村災害対策整備
事業」と改称。以下「本件事業」という。)が執り行われ,その結果として,
本件ため池に,フェンス,門扉,堤体工,取水施設工,洪水吐工等(以下
「本件事業施設」という。)が設置された(甲2,13)。また,本件た
め池の東側にある底樋管工付近に階段(以下「本件階段」という。)が設
置された。
イ平成24年3月22日に本件事業が終了するとともに,本件事業主体で
ある被告県から,被告土地改良区に対して,本件事業施設の一切が譲与さ
れた(甲13,乙1の3)。
ウ本件事業の工事費用については,うち約55パーセントを国が,約29
パーセントを被告県が,約14パーセントを被告市がそれぞれ負担した(甲
2)。
⑷被告土地改良区は,昭和48年11月13日,三豊郡a町e土地改良区,
同f土地改良区,同g土地改良区,同h土地改良区及び同i土地改良区が合
併して設立された公共団体であり(乙1の1,2),香川県三豊市a町内に
ある農業用用排水施設,農業用道路その他農用地の保全又は利用上必要な施
設の新設,管理,廃止又は変更等の土地改良事業を行うものとされていた(土
地改良法15条,2条)。
⑸被告水利組合は,本件ため池から灌漑用水の供給を受ける水田等の所有者
によって構成される団体であって,本件ため池の堤とうの草刈り,底樋等の
調整,本件ため池の水抜き等を行うなどしていた。
⑹原告は,平成13年12月6日頃から,香川県三豊市a町j番地k所在の
自宅に居住していた(甲4)。
原告の自宅は,道路を挟んで本件ため池の北側と接する位置関係にある
(甲5)。
⑺平成22年4月3日,原告の二女であるA(当時3歳)が,本件ため池内
に転落して死亡する事故が発生した(甲1)。
⑻原告は,平成27年3月24日当時,上記自宅で,妻であるB,長女C,
長男D及び三女Eとともに同居していた(甲1,4)。
同日,長男D(当時5歳。以下「被害児」という。)が,本件ため池内に転
落して死亡する事故(以下「本件事故」という。)が発生した(甲1,23)。
3争点
⑴本案前の申立て
被告水利組合が,法人でない社団(民事訴訟法29条)に当たるか
⑵国家賠償法2条1項に基づく損害賠償責任について
ア本件ため池は公の営造物に当たるか
イ本件ため池の設置又は管理に瑕疵があるか
⑶国家賠償法3条1項に基づく損害賠償責任について
被告県及び被告市が,本件ため池の設置又は管理の費用を負担する者に当
たるか
⑷民法717条1項に基づく損害賠償責任について
被告市,被告水利組合及び被告土地改良区が,本件ため池の占有者又は所
有者に当たるか
⑸原告の損害額及び過失相殺
第3争点に関する当事者の主張
1争点⑴(被告水利組合の当事者能力)
(原告の主張)
⑴被告水利組合は,本件ため池の保守・管理を目的とし,複数の構成員が出
資をして成立した民法上の組合であり,かつ総代と呼ばれる代表者がいる。
⑵民法上の組合ではないとしても,被告水利組合は,代表者たる総代名義の
預金口座を有し,財産的独立性が確保されているほか,本件ため池の水を管
理・利用している上,本件ため池を淡水魚の漁場として飼育業者に貸与し,
収益を上げるなどして本件ため池において事業を行っていることからすれば,
被告水利組合は法人でない社団に当たるといえる。
(被告水利組合の主張)
被告水利組合には,定款その他組織の基本を定める明文の規定はなく,代
表者の選定は,本件ため池周辺の3つの自治会の会長らが協議して選定して
おり,多数決の原則もとられておらず,代表権の範囲や代表の方法も確定し
たものではないこと,被告水利組合は本件ため池の水の管理及び利用をして
いるほかには,特に事業を行っているわけではないことなどの事情からすれ
ば,被告水利組合は,法人でない社団には当たらない。
2争点⑵ア(公の営造物の該当性)について
(原告の主張)
本件ため池は,香川県三豊市a町居住の農家が所有する水田に灌漑用水を
供給する農業用灌漑施設であって,公の目的に供されている上,次の⑴ない
し⑷のとおり,公共団体である被告らによって設置又は管理されているとい
えることから,公の営造物に当たる。
⑴被告県は,本件事業によって,本件事業施設を本件ため池に設置している
ことから,本件ため池の一部を設置したといえる。
また,被告県は,「ため池の保全に関する条例」を制定し,県内のため池
について,昭和40年代から現在に至るまで,ため池による災害を防止する
観点から,その改修に関与し,人的物的支援を継続して行ってきたのである
から,本件ため池を含む県内の改修工事をしたため池について,維持・修繕
に携わっていることは明白であり,その意味で,本件事故当時,本件ため池
を管理していたということができる。
⑵被告市は,本件ため池の底地を所有している上,本件事業の費用を一部負
担し,職員を本件事業に従事させるなどして被告県と共同して本件事業を行
っているといえるから,被告県とともに本件ため池の一部を設置し,又は,
本件事故当時,本件ため池を管理していたものといえる。
⑶被告水利組合は,本件ため池の堤とうの草刈り,底樋等の調整,本件ため
池の水抜き等を行い,本件ため池の事実上の維持管理をしている上,本件た
め池の施設等について要望を行い,その改修にも関わっていたこと,本件事
業の費用の一部を負担していることからすれば,本件事故当時,本件ため池
を管理していたといえる。
また,被告水利組合は,財政的基盤を有する被告土地改良区と一体となっ
て,上記の管理作業を行っていることから公共団体に準じる存在としてその
管理責任を問うことができる。
⑷被告土地改良区は,平成24年3月22日,被告県から本件事業施設一切
の譲与を受けた上,本件ため池の施設管理に関し,農業用施設賠償責任保険
に加入していることなどからすれば,本件事故当時,本件ため池を管理して
いたといえる。
(被告県の主張)
⑴本件ため池は,30戸程度の農家が耕作する農地の灌漑を目的とするもの
であり,国民又は住民の自由利用を想定しているものではないから,公の目
的に供されているとはいえない。
⑵本件事業により,本件ため池に本件事業施設が設置されたことは認めるが,
それによって,被告県が本件ため池の一部を設置したことにはならない。
本件事業は,平成24年3月22日をもって終了し,本件事業施設の一切
が被告土地改良区に譲与されたのであるから,本件事故当時,被告県が本件
ため池を管理していたものでもない。
(被告市の主張)
⑴本件ため池は,特定の農家に灌漑用水を供給する目的のものであるから,
公の目的に供されているとはいえない。
⑵本件事業の主体はあくまでも被告県であり,被告市が,本件事業の費用を
負担し,職員を本件事業に従事させるなどしたからといって,被告市が本件
事業を被告県と共同で実施したとはいえないし,被告市が本件事業を通じて
本件ため池の一部を設置したということにもならない。また,本件事故当時,
本件事業施設の一切は,被告土地改良区が所有し管理していること,本件た
め池の水は,被告水利組合が管理利用していることからすれば,被告市が,
本件事故当時,本件ため池を管理していたとはいえない。
(被告水利組合及び被告土地改良区の主張)
⑴本件ため池は,30戸程度の農家が耕作する農地の灌漑を目的とするもの
であり,国民又は住民の自由利用を想定しているものではないから,公の目
的に供されているとはいえない。
⑵被告水利組合及び被告土地改良区は,いずれも本件ため池を農地の灌漑用
に管理利用しているだけであって,国家賠償法2条1項にいう公の営造物の
管理主体に当たるということはできない。
3争点⑵イ(設置管理の瑕疵)について
(原告の主張)
⑴本件ため池では,平成22年4月3日に原告の二女が転落して死亡する事
故が起こっていたことから,幼児等が本件ため池に立ち入れば転落死亡事故
が生じうることは,十分に認識することができる状況にあったところ,本件
事業の結果,本件ため池は,幼児等であっても東側の底樋管工付近の階段又
は南側の洪水吐工の入口付近から容易に立ち入ることができる構造となり,
本件事故に至るまでその構造が放置されたままであった。
⑵本件ため池の東側にある市道が,原告の子どものほか周辺住民の子どもら
の通学路として利用されているといった場所的環境に鑑みれば,子どもらが
本件ため池に近づく可能性が大いにあったのであるから,幼児を含む子ども
らが本件ため池に立ち入って転落する事故が再び発生しないよう,十分な安
全対策を講じる必要があった。その安全対策としては,本件ため池を囲うよ
うにフェンスを設置することが考えられ,そのためには,フェンスを現状の
ものからあと200メートルほど伸ばせばよく,予算としても230万円ほ
どで足りるのであるから,実現させることは容易であった。
⑶以上の事実関係からすれば,幼児等による転落死亡事故を防止するために,
本件ため池の周囲を囲うようにフェンスを設置すべきであったのに,そのよ
うな安全対策が講じられていないから,本件ため池は,通常有すべき安全性
を欠いていたというほかなく,その設置又は管理に瑕疵があった。
(被告らの主張)
⑴被告県及び被告市は,本件事業において,平成22年4月3日の転落死亡
事故を踏まえ,幼児等の進入経路を十分考慮し,原告にも説明しその同意を
得た上で,フェンス等の設置工事をしており,本件ため池は,本件事故当時,
幼児等でも容易に立ち入ることが可能な構造であったとはいえない。
⑵香川県には農業用ため池が多数存在しているところ,ほとんどガードフェ
ンスが設置されていないため池も多数存在しているのであって,本件ため池
が,集落を除けばほとんどが田畑である純農村地域に所在していることにも
照らせば,他の農業用ため池と比較して,特段安全性を欠く構造であったと
いうことはできないのであるから,その設置又は管理に瑕疵があったとはい
えない。
4争点⑶(費用負担者の該当性)について
(原告の主張)
本件事業につき,被告県は約30パーセントの費用を,被告市は約14パ
ーセントの費用をそれぞれ負担していることからすれば,被告県及び被告市
は,本件ため池の設置又は管理を行っていないとしても,その設置又は管理
の費用を負担しているものと評価することができるから,国家賠償法3条1
項にいう「公の営造物の設置若しくは管理の費用を負担する者」に当たる。
(被告県の主張)
⑴国家賠償法3条1項にいう「公の営造物の設置若しくは管理の費用を負担
する者」とは,本件事故当時における本件ため池の設置又は管理の費用を負
担している者を指すところ,被告県は,平成24年3月22日に本件事業を
終了させ,本件事業施設の一切を被告土地改良区へ譲与しているのであって,
本件事故当時,本件ため池の管理等について,何らの費用負担もしていない
のであるから,「公の営造物の設置若しくは管理の費用を負担する者」には
当たらない。
⑵本件事業は,堤防決壊等の自然災害等から発生する被害を防止するために
行われたものであり,本件のような人的要因に基づいて発生する被害を防止
するためになされたものではないから,本件事業の費用を負担したからとい
って,本件事故との関係で,国家賠償法3条1項にいう「公の営造物の設置
若しくは管理の費用を負担する者」に当たるということにはならない。
(被告市の主張)
被告市が,本件事業につき約14パーセントの費用負担をしているからと
いって,本件事故との関係で,国家賠償法3条1項にいう「公の営造物の設
置若しくは管理の費用を負担する者」に当たるということにはならない。
5争点⑷(本件ため池の占有者及び所有者)について
(原告の主張)
⑴被告水利組合は,本件ため池の堤とうの草刈り,底樋等の調整,水抜き等
を行い,本件ため池の事実上の維持管理をしており,また,本件ため池を淡
水魚の漁場として業者に貸与し,本件ため池を利用していることからすれば,
被告水利組合が本件ため池を占有しているといえる。
⑵被告土地改良区は,被告県から本件事業施設一切の譲与を受け,また,本
件ため池につき農業用施設賠償責任保険に加入していることからすれば,本
件ため池を所有・占有しているといえる。
⑶被告市は,本件ため池の底地の所有者であることなどからすれば,本件た
め池についても所有しているものといえる。
(被告市,被告水利組合及び被告土地改良区の主張)
本件ため池の地盤の所有権は被告市に属するが,土地の工作物としての本
件ため池の堤とう,取水施設,洪水吐,水路,擁壁,ブロック積み等の所有
権は被告土地改良区に属し,かつ,当該土地工作物を占有しているのも被告
土地改良区である。被告水利組合は本件ため池の水の利用及び管理をしてい
るだけであり,本件ため池を占有しているものではない。
6争点⑸(原告の損害額及び過失相殺)について
(原告の主張)
⑴本件事故により被害児又は原告が被った損害額は,下記のとおりである。
ア被害児の損害
(ア)逸失利益2524万8517円
平成25年賃金センサス男子労働者全年齢平均賃金額,生活控除率5
0パーセントを前提として,被害児の死亡時の年齢(5歳)に適用され
る就労可能年数のライプニッツ係数によれば,被害児の逸失利益は,次
の計算式のとおりとなる。
5,241,000円×(1-0.5)×9.635=25,248,517円
(イ)慰謝料2300万円
(ウ)小計4824万8517円(うち2分の1に当たる2412万42
58円を原告が相続した。)
イ原告固有の損害
(ア)葬儀費用74万1960円
(イ)慰謝料300万円
ウ弁護士費用278万6621円(上記アの原告相続分及びイの合計額
の1割)
エ合計3065万2839円
⑵原告は,平成22年4月3日に二女が本件ため池に転落して死亡したこと
を受け,妻との間で子どもらを本件ため池に近づけないよう話をし,子ども
らに対して,本件ため池に立ち入ってはならないと厳しく指導しており,本
件事故当日,被害児から目を離したのは短時間であることなどの事情からす
ると,本件事故が発生したことにつき,原告側に落ち度があるとはいえず,
過失と評価される事実は何ら認められない。
(被告らの主張)
⑴原告主張の損害額は争う。
⑵原告及びその妻は,二女が本件ため池に転落して死亡した後も,子どもら
に対して,家の外に出るときには行き先を告げるよう厳しく指導したりする
ことはなく,再び転落事故が起きないように,子どもらの行動を把握しよう
と努めていたとはいえない。
⑶一般に,5歳程度の子どもについては,どのような行動をとるのか予測が
困難なところがあり,その事理弁識能力の低さから,危険性の高い行為をと
ることもあるから,一人きりで遊ばせることなく,親などの大人が見守るこ
とが必要である。しかし,本件事故直前,被害児は一人で家の外で遊んでお
り,原告及びその妻は被害児を見守っていなかった。また,原告は,被害児
に家の中に入るように妻に伝えさせるも,被害児がその指導に従っていない
ことを認識しながら,それ以上の指導を自ら行うこともしなかった。
⑷以上のとおり,本件事故当時における原告及びその妻による被害児に対す
る指導監督は極めて不十分なものであり,本件事故における原告側の過失は
重大であるから,大幅な過失相殺がされるべきである。
第4当裁判所の判断
1争点⑴(被告水利組合の当事者能力)について
⑴民事訴訟法29条1項にいう法人でない社団といい得るためには,団体と
しての組織を備え,多数決の原則が行われ,構成員の変更にもかかわらず団
体そのものが存続し,代表の方法,総会の運営,財産の管理その他団体とし
ての主要な点が確定しているものでなければならないと解されるところ,一
般に,水利組合とは,農業用ため池等の灌漑施設から用水の供給を受ける水
田等の所有者によって構成される団体であり,各構成員から徴収した資金を
基にして当該灌漑施設の維持管理等を執り行っており,構成員の全会一致又
は多数決の原則によりその組織運営がなされるなどしていることからすれ
ば,上記の要件を充足し,法人でない社団に当たると認められるものである。
⑵そして,証拠(甲21,22)によれば,被告水利組合においても,代表
者たる総代の選定を行うなどして組織の運営が行われていることや,総代名
義の預金口座によってその財産の管理が行われていることなどの事実が認
められるところ,被告水利組合が,他の水利組合一般とは異なる性格のもの
であることをうかがわせる証拠はない。
⑶したがって,被告水利組合は,他の水利組合一般と同様に,前記⑴の要件
を充足するものと推認されるから,民事訴訟法29条1項にいう法人でない
社団に当たると認められる。
2争点⑵ア(公の営造物の該当性)について
⑴前提事実⑴のとおり,本件ため池は,1612年頃に築造されてから現在
に至るまで,その近隣の水田等に灌漑用水を供給してきたものであり,現在
でも,約35戸の農家が所有する水田に灌漑用水を供給しているのであるか
ら,ため池本体はもとより,本件事業施設もこれに必要な設備として,公の
目的に供されているものといえる。そして,被告土地改良区は,香川県三豊
市a町内にある農業用用排水施設等の保全又は利用上必要な施設の新設,管
理,廃止又は変更等の土地改良事業を行う者であるから(前提事実⑷),本
件ため池本体の管理者であり,平成24年3月22日,被告県から本件事業
施設一切の譲与を受けたことにより,以後本件事業施設の管理者にもなった
ものと認められる。
したがって,本件ため池及び本件事業施設は,公共団体である被告土地改
良区により管理され,公の目的に供されている物的施設といえるから,公の
営造物に当たる。
⑵原告は,被告県,被告市及び被告水利組合も,本件ため池の設置又は管理
の主体であると主張するので,この点につき検討する。
ア原告は,被告県が事業主体として,被告市は費用の一部を負担し職員を
派遣するなどして,本件事業を共同して行い,本件ため池に本件事業施設
を設置したから,被告県及び被告市が,その設置者に当たると主張する。
国家賠償法2条1項にいう「設置」とは,公の営造物の設計・建造をい
い,同項の「管理」とは,建造後の維持・修繕・保管をいうところ,本件
事業は,取水施設の底樋管及び中樋管等が老朽化し漏水を生じていたこと
から,本件ため池に堤体工,取水施設工,洪水吐工等を設置するなどして,
本件ため池を補修することを目的として行われたものであって,本件事業
の期間内においては,被告県が,本件事業の主体として,本件事業施設の
設置・管理者に当たると解され,また,本件ため池本体についても事実上
管理していたと評価する余地がある。しかし,被告県が,平成24年3月
22日に本件事業を終え,本件事業施設の一切を,本件ため池本体の管理
者である被告土地改良区に譲与した(前提事実⑶)以後には,本件ため池
本体及び本件事業施設の管理に被告県が関与していると認めるに足りる証
拠はないから,本件事故当時,被告県がその設置・管理者であったという
ことはできない。
この点,原告は,被告県が「ため池の保全に関する条例」を制定し,県
内のため池について,災害防止の観点から,昭和40年代から現在に至る
まで,その改修に関与し人的物的支援を継続して行ってきたという経緯に
照らして,被告県は,本件ため池についても事実上管理しているものと主
張する。しかし,これらの事情から,被告県が,県内にある多数のため池
について個別具体的な管理行為を行っているとみることはできない。
イ被告市が,本件事業が終了した後に,本件ため池本体及び本件事業施設
の管理に関与していることを認めるに足りる証拠はないから,被告市が,
本件事故当時,その設置・管理者であったということはできない。
ウ被告水利組合は,公の営造物の管理主体たる国又は公共団体のいずれに
も該当しない上,本件ため池から灌漑用水の供給を受けるために必要な範
囲内で本件ため池の堤とうの草刈り,底樋等の調整,水抜き等の活動を行
っているにすぎず,本件ため池の設備等を自ら補修するといったことまで
は行っていないことからすれば,本件ため池内の灌漑用水の維持管理行為
をしているにとどまり,営造物としての本件ため池本体及び本件事業施設
を管理していると評価することはできない。
⑶以上によれば,本件ため池本体及び本件事業施設は公の営造物に当たるが,
本件事故当時の設置・管理者は被告土地改良区であって,その余の被告らを
その設置又は管理の主体と認めることはできない。
3争点⑵イ(設置管理の瑕疵)について
⑴国家賠償法2条1項にいう公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったとみ
られるかどうかは,当該営造物の構造,用法,場所的環境及びその利用状況
等諸般の事情を総合考慮して,当該営造物が通常予想され得る危険の発生を
防止するに足りると認められる程度の安全性を有しているか否かを具体的個
別的に判断すべきものである。そこで,以下,本件ため池に係る前記諸般の
事情について検討する。
⑵後掲証拠及び弁論の全趣旨に照らせば,以下の事実が認められる。
ア本件ため池の構造は,堤高約7.4メートル,堤長約234.4メート
ル,天端幅約3.0メートルであり(甲2),本件事故当時,ため池内に
貯水されていた灌漑用水は水深約5メートル以上であった(甲8)。また,
本件ため池の東側にある底樋管工付近では,水面側の斜面の勾配が29度
であった(乙2の2)。
イ本件事業の期間中であった平成22年4月3日に原告の二女が本件ため
池内に転落して死亡した後,原告は,被告県及び被告市の担当者に対し,
本件ため池の北側(原告の自宅に面する側)に柵を作ることを要望した(原
告本人)。これを受けて,被告県は,「ため池の安全対策について」との文
書を作成し,それに基づいて,下記の安全対策をとった(甲9)。
(ア)本件ため池東側にある底樋管工付近の本件階段及び同南側にある洪水
吐工の入口付近にそれぞれ施錠可能な門扉を設置し,その鍵を被告水利
組合が管理する。
(イ)本件ため池北側に,被告市が設置したガードフェンスに接続して新た
なガードフェンスを設置する(これにより,本件ため池の北側は全てガ
ードフェンスで覆われることとなった〔乙2の1〕。)。
(ウ)(ア)及び(イ)の門扉及びガードフェンスに本件ため池に立ち入ってはなら
ない旨の標識を取り付けて,周辺住民に対して注意喚起を行う。
(エ)その他本件事業の期間中は,本件ため池周辺の適宜の場所にバリケー
ドを設置して,本件ため池内への立ち入りを防止する。
ウ(ア)本件階段の手前には,幅約60センチメートル,高さ約30センチメ
ートルの側溝がある。本件階段の一段の高さは約30センチメートルで
ある(甲7,11)。
(イ)本件階段の4段目付近には門扉が設置されており,そこから上に向か
って本件階段の南側にガードフェンスが設置されている一方,その北側
にはガードフェンスが設置されていなかった(甲7,11)。
(ウ)前記門扉の北側には,人が横切って通過したような痕跡が認められる
(甲11)。
エ(ア)平成27年3月24日午後8時38分頃,被害児が本件ため池内にう
つ伏せで浮遊している状態で発見され,その後,病院に搬送されて蘇生
処置を受けるも,死亡が確認された(甲23の1,3)。
(イ)被害児が発見された地点は,本件階段を上った地点から南に約36メ
ートル,西に約10メートルの水中であり,その付近の斜面には複数の滑
り込んだ跡が認められた(甲23の5)。
⑶設置管理の瑕疵について
ア本件ため池は,本件階段付近の水面側の斜面の勾配が29度で,本件事
故当時の水深が5メートル以上あり,幼児等が斜面にまで立ち入り,足を
滑らせるなどした場合には,本件ため池内に転落し,死亡する危険があっ
たと認められるものの,堤とう部分が道路に使われるなど幼児等の危険察
知・回避能力の十分でない者が日常的に接近しているといった事情はうか
がわれないことからすると,これだけで通常備えるべき安全性を欠いてい
たとまではいえない。しかし,前提事実⑺のとおり,平成22年4月3日,
原告の二女(当時3歳)が本件ため池内に転落して死亡する事故が発生し
たことから,現に幼児が本件ため池内に転落して死亡するという危険が顕
在化し,再び転落死亡事故が発生しないよう,幼児等の危険察知・回避能
力が十分でない者が立ち入る可能性をも想定して,それらの者が本件ため
池内に立ち入ることを防止するための十分な安全対策を講ずる必要性が生
じていたというべきである。
本件ため池の東側は,もともとは幼児等が容易には立ち入ることができ
ない構造であったが,本件事業により東側にある底樋管工付近に本件階段
が設置されたこと(前提事実⑶ア)によって,堤とうの上まで上ることが
容易な構造となったものである。本件階段の手前には側溝があるものの,
その幅は約60センチメートルにすぎず,溝の高さは約30センチメート
ルで,同階段の一段ごとの高さと同じであることに照らせば(前記⑵の認
定事実ウ),被害児と同じ5歳児程度の運動能力があれば,同側溝内に降
り,同階段を上ることによって,階段を上ることは容易であったといえる。
そうすると,本件ため池は,本件事業により本件階段が設置されたこと
によって,幼児等であっても容易に立ち入ることが可能な構造になったも
のであるから,本件ため池及び本件事業施設の管理者としては,幼児等が
本件階段から本件ため池に立ち入ることを防止するための十分な安全対策
を講じる必要があったというべきである。
イそこで,本件階段からの立ち入りに対する安全対策の是非について検討
する。
前記⑵の認定事実イ,ウのとおり,本件階段の4段目付近には施錠可能
な門扉が設置されており,その鍵は被告水利組合が管理していたこと,同
門扉から上に向かって同階段の南側にガードフェンスが設置されていたこ
となどからすれば,本件事故当時,幼児等が本件階段から本件ため池内に
立ち入ることを防止するために,一定の安全対策が講じられていたことが
認められる。
しかし,他方で,前記門扉の北側には,本件階段に沿ってガードフェン
スは設置されていない。また,そこには,人が横切って通過したような痕
跡が認められるところ,同痕跡は,その場所等に鑑みると,本件ため池の
灌漑用水等を管理している被告水利組合の組合員が,本件ため池内に立ち
入るに当たり,前記門扉を解錠することなく,その北側を横切って本件階
段を上がる際に形成されたものと推認される。そうすると,前記門扉の存
在があろうとも,その北側を横切ることによって本件階段を上って本件た
め池内に立ち入ることができるのであって,被害児と同じ5歳児程度の運
動能力があれば,そのような経路を通って本件ため池内に立ち入ることは
十分に可能であったと認められる。この点は,本件ため池の北側に設置さ
れた階段付近では,本件ため池を囲うようにガードフェンスが設置され,
同階段手前の門扉を解錠しない限り,幼児等が同階段を上ることが困難な
構造となっていることと比較しても,本件階段付近の安全対策は不十分で
あるといわざるを得ない。
前記門扉には,本件ため池内に立ち入ることを禁止する旨の標識が取り
付けられているが,幼児等の事理弁識能力を前提とすると,それが安全対
策として十分なものであるとはいえず,本件階段から本件ため池内に立ち
入ることを物理的に制限するような設備を整える必要があったというべき
である。
ウよって,本件ため池及び本件事業施設は,本件事故当時,幼児等が本件
階段付近から立ち入った上で,本件ため池内に転落し,死亡してしまうか
もしれないという危険が予想されながら,その危険の発生を防止するに足
りる程度の安全性を有していなかったと認められるから,その設置又は管
理に瑕疵があったと認められる。
被告らは,香川県には農業用ため池が多数存在しており,ほとんどガー
ドフェンスが設置されていないため池も多数存在している状況にあるこ
となどを踏まえれば,本件ため池が,他の農業用ため池と比較して,特段
安全性を欠く構造であったということはできないと主張するが,これまで
検討したような本件ため池の特殊性に照らせば,他の農業用ため池との比
較のみで,本件ため池及び本件事業施設の設置又は管理に瑕疵がなかった
ということはできない。
⑷そして,認定事実エのとおり,被害児は,本件階段を上った地点から南方
約36メートル,西方約10メートルの水中から発見されており,その発見
時の位置関係や,斜面に残された擦過痕の存在等からすると,被害児は,本
件階段を上って本件ため池内に立ち入った後,斜面で足を滑らせて水中に転
落したものと認められるから,本件ため池及び本件事業施設の設置又は管理
の瑕疵と本件事故との間には因果関係があると認められる。
⑸以上によれば,本件事故当時,本件ため池及び本件事業施設の設置又は管
理に瑕疵があり,その瑕疵によって本件事故が発生したと認められるから,
国家賠償法2条1項に基づき,その管理主体である被告土地改良区は,本件
事故に係る損害を賠償する責任を負う。
4争点⑶(費用負担者の該当性)について
⑴原告は,被告県及び被告市が,本件事業の費用を一部負担していることか
ら,被告県及び被告市が国家賠償法3条1項にいう「公の営造物の設置若し
くは管理の費用を負担する者」に当たるなどと主張する。
しかし,被告県及び被告市が,本件事業終了後,本件ため池及び本件事業
施設の管理について費用を負担していると認めるに足りる証拠はないので
あるから,被告県及び被告市が,本件事故との関係で「公の営造物の設置若
しくは管理の費用を負担する者」に当たると認めることはできない。
⑵したがって,被告県及び被告市が,国家賠償法3条1項に基づき,本件事
故に係る損害を賠償する責任を負うとは認められない。
5争点⑷(本件ため池の占有者及び所有者)について
⑴前記2のとおり,被告土地改良区は,本件事故当時,本件ため池及び本件
事業施設を管理していたのであるから,民法717条1項との関係でも,土
地の工作物たる本件ため池及び本件事業施設の占有者に当たると認められ
る。
⑵ア他方で,被告市については,本件事業終了後,本件ため池及び本件事業
施設の管理等に関与していると認めるに足りる証拠はないから,被告市が,
本件事故当時,これらを占有していたとは認められない。
イさらに,被告水利組合についても,本件ため池から灌漑用水の供給を受
けるために必要な範囲内で,本件ため池の堤とうの草刈り,底樋等の調整,
水抜き等の水利の維持管理行為を行っているにすぎず,本件ため池及び本
件事業施設等を自ら補修するといったことまでは行っていないことからす
れば,本件ため池内の灌漑用水を管理しているにとどまり,本件ため池及
び本件事業施設を占有しているということはできない。
⑶設置管理の瑕疵についての前記説示に照らせば,被告土地改良区は,国家
賠償法2条1項に基づく損害賠償責任とともに,民法717条1項に基づく
損害賠償責任を負うと認められる。
しかし,被告市及び被告水利組合は,本件ため池及び本件事業施設の占有
者として,民法717条1項の責任を負うものとはいえない。また,占有者
が上記のとおり責任を負うことから,被告市につき,本件ため池の底地の所
有者としての責任を生じるかどうかを論ずる必要はない。
6争点⑸(原告の損害額及び過失相殺)について
⑴被害児の損害額
ア逸失利益2524万8517円
基礎収入額は,平成25年賃金センサス男子労働者全年齢平均賃金額5
24万1000円とし,生活控除率50パーセントとして,被害児の死亡
時の年齢(5歳)に相当する就労可能年数のライプニッツ係数(9.63
5)によれば,被害児の逸失利益は,次の計算式のとおりとなる。
5,241,000円×(1-0.5)×9.635=25,248,517円
イ慰謝料1800万円
本件事故の態様,被害児の年齢等の諸般の事情を考慮すると,被害児の
慰謝料は,1800万円とするのが相当である。
ウ被害児の相続人は,原告及びその妻の二人であるから(甲1),原告は,
ア及びイの合計4324万8517円の2分の1に当たる2162万42
58円を相続した。
⑵原告固有の損害
ア葬儀費用74万1960円
証拠(甲12)によれば,原告は,被害児の葬儀費用として,74万1
960円を支出したものと認められる。
イ固有の慰謝料300万円
本件事故の態様,被害児の年齢等の諸般の事情を考慮すると,原告固有
の慰謝料は,300万円とするのが相当である。
⑶上記⑴,⑵の合計は,2536万6218円となる。
⑷過失相殺
ア証拠(甲27,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認
められる。
(ア)原告は,平成27年3月24日午後5時頃,仕事から帰宅した際,被
害児が自宅付近の道路で遊んでいたため,声を掛けて一緒に自宅に入っ
た。
(イ)原告は,同日午後5時30分頃,自宅の外から被害児の声がしたため,
原告の妻に対し,被害児を自宅内に入らせるよう言った。原告の妻は,
被害児に対し,自宅内に入るよう言ったが,被害児は,その指示に従わ
ず,自宅内に戻ってこなかった。しかし,原告もその妻も,被害児を自
宅内に連れ戻すといった行動をとることはなかった。
(ウ)原告の妻が,同日午後6時頃,被害児を探しに自宅の外へ出たが,被
害児は自宅の周りにいなかった。原告は,警察にも連絡して,家族とと
もに被害児を捜していたところ,同日午後8時30分頃,被害児が,本
件ため池内に転落しているところを発見された。
イ原告の自宅は,本件ため池の北側と道路を挟んだ向かいに位置しており,
現に平成22年4月に原告の二女が本件ため池内に転落して死亡している
ことからすれば,原告及びその妻は,子どもが本件ため池に立ち入り転落
してしまう危険性について十分に認識していたと認められ,親として,子
どもらが本件ため池に立ち入らないように注意して監護しなければならな
かったといえる。しかし,原告及びその妻は,本件事故当日,被害児が一
人で自宅の外で遊んでいることに対して,自宅内に入るよう言っただけで,
その指示に従わなかった被害児を自宅内に連れ戻すなどの行動をとること
なく,被害児が一人で自宅の外にいる状況を放置したのであるから,被害
児が本件ため池内に立ち入らないように監護することを怠ったものという
ほかなく,本件事故については,被害者側にも過失があったと認められる。
ウこの点,原告は,原告及びその妻は普段から子どもらに対して本件ため
池に立ち入ってはならないと厳しく指導しており,本件事故当日も被害児
から目を離したのは短時間であるから,被害者側の過失はないと主張する。
しかし,当時5歳で危険察知・回避能力が十分でない被害児に対して,い
くら口頭で注意しても,同人が本件ため池に立ち入ることの危険性につい
て十分に理解することは困難であったと考えられるから,口頭で注意する
だけではなく,被害児の行動を把握し,本件ため池に立ち入ろうとした場
合にはそれを制止するといった指導監督を行うべきであったといえるから,
原告主張の点をもってして,被害者側の過失がなかったとはいえない。
エそして,被告県及び被告市が,平成22年4月に原告の二女が本件ため
池内に転落した事故を受けて,不十分ではあるもののフェンスを設置する
などの一定の安全対策をとっていること,フェンスの設置範囲等について
は原告からの要望も踏まえていたこと(前記3⑵イ),原告側の監護義務
違反の程度等の諸般の事情に照らせば,本件事故に係る過失割合は,被害
者側6割,被告土地改良区4割とするのが相当である。
オしたがって,過失相殺後の残額は,1014万6487円となる。
⑸弁護士費用
原告が本件訴えの提起追行を原告訴訟代理人弁護士に委任したことは当裁
判所に明らかである。前記⑷の過失相殺後の残額,本件訴訟の経緯等に照ら
すと,本件事故と相当因果関係のある弁護士費用は,101万円とするのが
相当である。
⑹よって,被告土地改良区に賠償させるべき損害額の合計額は,1115万
6487円となる。
第5結論
以上によれば,原告の被告土地改良区に対する国家賠償法2条1項に基づく
請求は,1115万6487円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限
度で理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却し(選択的併合関係
にある民法717条1項に基づく請求によっても,上記棄却部分につき認容額
が増加する関係にはないから,これも棄却し),原告のその余の被告らに対す
る請求はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。
なお,仮執行免脱宣言の申立てについては,相当でないからこれを付さない
こととする。
高松地方裁判所民事部
裁判長裁判官森實将人
裁判官溝渕章展
裁判官國宗省吾は転補のため署名押印することができない。
裁判長裁判官森實将人

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