弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
     控訴費用は控訴人等の負担とする。
         事    実
 控訴代理人は、「原判決を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第
一、二審を通じて被控訴人の負担とする」との判決を求め被控訴代理人は主文第一
項同旨の判決を求めた。
 当事者双方の主張の要旨は、下記の外は原判決の事実摘示と同一であるから、こ
こに引用する。
 被控訴代理人は控訴人等四名に対する請求は、被控訴人のその主張の家屋の所有
権に基くものである。控訴人の後記の主張は否認すると述べた。
 控訴代理人は控訴人等四名は夫々その占有している本件家屋部分を訴件Aより賃
借していたのを、昭和二十五年七月に被控訴人より承認を得たのであるから、それ
以後の占有は不法でない。仮に右主張が理由ないとしても、被控訴人とAとの間の
本件家屋に関する賃貸借契約が存続しており、被控訴人は本件家屋をAに使用収益
させる義務があるのであるから、被控訴人は控訴人等四名に対しては、単にAに対
し明渡すべきことは求められるが、本訴のように、控訴人に対し直接明渡しを求め
る権利はないと述べた。
 被控訴代理人は、甲第一、二号証を提出し、原審証人B回Cの各証言及び当審に
おいての被控訴人本人訊問の結果を援用した。控訴代理人は、原審においての被告
(控訴審には係属していない)A、当審においての控訴人D、Eの各本人尋問の結
果を援用した。なお甲第一号証の成立を認め同第二号証の原本の存在を認めその成
立は知らないと述べた。
         理    由
 被控訴人が東京都杉並区ab丁目c番地所在の家屋番号同町d番木造瓦トタン葺
二階建一棟建坪二十一坪二階八坪五合の所有者で控訴人Fが右家屋の階下八畳の室
を控訴人Eが右家屋の階下四畳半の室を、控訴人Dが右家屋の二階右側六畳の室
を、控訴人Gが右家屋の二階左側六畳の室をそれぞれ占有していることは、いずれ
も当事者間に争がない。
 控訴人等の右家屋の占有について権原ありとの抗弁について判断する。被控訴人
が昭和十七年六月二十二日に上記家屋をAに対し、賃料一ケ月金四十八円、毎月月
末払、期間の定めない約で賃貸したことは当事者間に争がない。被控訴人は、右賃
貸借契約は昭和二十四年五月中旬に同年九年末日迄に明渡す旨の合意が成立して消
滅したと主張するけれども、この点に関する原審証人BCの各証言と、当審におい
ての被控訴人本人訊問の結果は原審においての被告(控訴審には係属していない)
Aの訊問の結果に照し合はせてたやすく信用し難く、その外には右の事実を認める
ことのできる証拠もないから、右の主張は採用することができない。控訴人四名は
Aよりそれぞれ上記の各室を借受け、それについて被控訴人の承諾を得たと主張す
るけれども控訴人等の提出援用する証拠によつても、右転貸借について被控訴人の
承諾を得たとのことはとうてい認めることはできない。さうであるから控訴人等の
この点に関する抗弁は結局理由がないといわなければならない。控訴人等は被控訴
人等に対し直接明渡を求める権限はなく、Aに対し明渡を<要旨>求め得るに止まる
と主張している。被控訴人とAとの間の上記家屋の賃貸借契約が存続しているこ
は、上段認定のとおりであるから、被控訴人はAに対しては控訴人等の占
有している各部屋をも使用収益させる義務のあることはもちろんだが、それだから
といつて、被控訴人と不法占有者である控訴人等との関係においての右家屋部分の
明渡請求権の行使が、控訴人等の主張のように制限されなければならないと解する
必要はない。被控訴人がいつたん右家屋部分の明渡を受けたとしてもその後その家
屋部分をAに引渡す場合、或はAがその家屋部分の引渡を受けなくても、それを甘
受している場合その他を考えれぼ、被控訴人とAとの間の賃貸借契約の存続するこ
と上、被控訴人の控訴人等に対する右明渡請求権の行使とは、直接には全く関係が
ないと考えても別に不都合がないと考える。故にこの点に関する控訴人等の主張も
採用することができない。そうだとすれば、控訴人等四名はそれぞれ被控訴人に対
しその占有している上記の家屋部分を明渡す義務があるものといわなければならな
い。故に控訴人等四名に対しその明渡を求めでいる被控訴人の本訴請求は全部正当
で、これを認容した原判決は結局相当で、本件控訴は理由がないから、民事訴訟法
第三八四条により本件控訴を棄却し、控訴審においての訴訟費用の負担について同
法第九五条、第八九条、第九三条第一項を適用して主文のように判決する。
 (裁判長判事 柳川昌勝 判事 村松俊夫 判事 高野重秋)

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