弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人森健、同石川康之の上告理由第一について。
 所論の点に関する原審の事実認定は、原判決の挙示する証拠によつて是認するに
足り、原判決に所論経験則違背の違法はない。そして、原判決の確定したところに
よれば、本件株主総会につき発せられた招集通知は、当初の会日については通知発
送の日から会日までの間に六日を、また変更後の会日については通知発送の日から
会日までの間に七日をそれぞれ存したにすぎず、いずれも招集通知を発した時から
会日までの間に商法二三二条一項所定の二週間の期間が存しなかつたのみならず、
当初の会日の招集通知を発した時から変更後の会日までの期間も一二日を存するに
すぎなかつたというにあるほか、本件株主総会の招集手続および決議の方法に関し
ては、それぞれ原判示のような瑕疵が認められるというのであつて、本件各議案に
関する決議につきいずれも原判示の取消原因があるとした原審の判断はすべて正当
である。
 所論は、本件招集手続および決議の方法の瑕疵は決議の結果に影響を及ぼさなか
つたものであり、また、取消の原因があつたとしても、本件各決議を取り消すのは
不適当であるのに、原判決が取消の当否についてなんらの判断を示すことなく、被
上告人の請求を認容したのは、理由不備であり、また株主総会決議取消の訴におけ
る裁判所の裁量権について法令の解釈を誤つたものであるという。
 しかし、記録を精査しても、上告人が原審において、被上告人に対する招集通知
期間に瑕疵があるのにかかわらず、なお決議の結果に影響を及ぼさない特段の事情
を主張、立証した形跡は認められない(訴外Dが被上告人の代理人として出席した
ものと認めえない旨の原審の事実認定が是認できることは、上告理由第二に対して
説示するとおりである。)
 もつとも、裁判所が諸般の事情を斟酌して株主総会の決議取消を不適当とすると
きは、取消の訴を棄却することを要することは所論のとおりであるが、本件におい
ては、各決議に共通する瑕疵として株主総会の招集手続自体に招集通知期間の著し
い不足の瑕疵が存在するのみならず、決算報告の承認を除く他の決議については、
招集の通知に会議の目的たる事項の記載すらなかつたのであつて、これらの瑕疵は、
株主総会に出席する株主に対し議決権を行使するにつき十分な準備の機会を与えよ
うとする法の趣旨にかんがみれば、軽微な瑕疵とはいえず、このような瑕疵がある
以上、株主総会の決議取消を不適当とする事情がある場合にあたるものとは到底認
めることはできない。そして、原判決が本件決議取消の訴をすべて認容したのは、
諸般の事情を斟酌して右取消を不適当とする事情が存在しないと判断したためであ
ることは、その判文に照らして明らかであり、その理由をいちいち判示することは
必要でないから、原判決にはなんら所論の違法はない。論旨は採用できない。
 同第二について。
 所論の点に関する原審の事実認定は、原判決の挙示する証拠によつて是認するに
足りる。そして、株主が代理人をもつて議決権を行使する場合には、代理人におい
て委任状その他代理権を証する書面を会社に提出すべきことは商法二三九条の明定
するところであり、代理人は、右書面を提出しないかぎり議決権を代理行使するこ
とは許されないものと解するのが相当であるから、これと同旨に出た原審の判断は
正当である。論旨は、ひつきよう、原審の裁量に属する証拠の取捨判断、事実の認
定を非難するか、または独自の見解に立つて原判決の違法をいうものにすぎず、採
用できない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    松   田   二   郎
            裁判官    岩   田       誠
            裁判官    大   隅   健 一 郎

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