弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成14年(ネ)第6311号 不正競争行為差止等請求控訴事件
平成16年7月26日口頭弁論終結
(原審・東京地方裁判所平成13年(ワ)第15594号,平成14年11月14
日判決)
     判    決
 控訴人(原告) 任天堂株式会社
   (以下「控訴人任天堂」という。)
 控訴人(原告) 株式会社インテリジェントシステムズ
   (以下「控訴人イズ」という。)
 控訴人ら訴訟代理人弁護士 青柳昤子,林いづみ
 被控訴人(被告) 株式会社エンターブレイン
   (以下「被控訴人エンターブレイン」という。)
 被控訴人(被告) 有限会社ティルナノーグ
   (以下「被控訴人ティルナノーグ」という。)
 被控訴人(被告) A
   (以下「被控訴人A」という。)
 被控訴人ら訴訟代理人弁護士 宇都宮秀樹,小野寺良文,早川学,末吉亙
     主    文
 1 控訴人イズの控訴をいずれも棄却する。
 2 控訴人任天堂の控訴に基づき,原判決を次のとおり変更する。
 (1) 被控訴人らは,控訴人任天堂に対し,連帯して7646万7720円及びこ
れに対する平成13年8月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払
え。
 (2) 控訴人任天堂のその余の請求(当審の追加請求を含む。)をいずれも棄却す
る。
 3 訴訟費用は,第1,2審を通じ,(1)控訴人イズと被控訴人らとの間において
は,控訴人イズに生じた費用の全部及び被控訴人らに生じた各費用の2分の1を控
訴人イズの負担とし,(2)控訴人任天堂と被控訴人らとの間においては,控訴人任天
堂に生じた費用の3分の1と被控訴人らに生じた上記費用のうち控訴人イズに負担
させた部分を除くその余の部分(2分の1)の3分の1とは,被控訴人らの負担と
し,控訴人任天堂及び被控訴人らに生じたその余の費用をいずれも控訴人任天堂の
負担とする。
4 この判決は,第2項(1)に限り,仮に執行することができる。
     事実及び理由
第1 控訴人らの求めた裁判
 1 原判決を取り消す。
 2(1) 被控訴人エンターブレイン及び被控訴人ティルナノーグは,プレイステー
ション版ゲームソフト「ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記」(発売元 被控訴
人株式会社エンターブレイン)を製造,販売,頒布してはならない。
 (2) 被控訴人らは,控訴人任天堂に対し,連帯して1億2915万円及びこれに
対する平成13年8月8日(訴状送達の翌日)から支払済みまで年5分の割合によ
る金員を支払え。
 (3) 被控訴人らは,控訴人イズに対し,連帯して1億2915万円及びこれに対
する平成13年8月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 (4) 仮に,控訴人イズが不正競争防止法上の請求主体と認められない場合には,
被控訴人らは,控訴人任天堂に対し,連帯して2億5830万円(上記(2)の1億2
915万円を含む。)及びこれに対する平成13年8月8日から支払済みまで年5
分の割合による金員を支払え。
 3 訴訟費用は,第1,2審を通じ,被控訴人らの負担とする。
 4 仮執行の宣言。
 
第2 事案の概要
 1 事案の概要
 本件は,控訴人らが,被控訴人らに対し,①被控訴人らが製造,販売等するゲー
ムソフトは,控訴人らが著作権を有するゲームソフトを翻案したものであるか,又
は,②被控訴人らによる被控訴人らの上記ゲームソフトの製造,販売等の行為は,
控訴人らの周知・著名なゲームシリーズの商品等表示を使用するなどして,他人の
商品等と混同を生じさせる不正競争行為である,と主張し,①著作権法に基づき,
又は,②不正競争防止法に基づき,損害賠償の支払いを求めるとともに,被控訴人
エンターブレイン及び被控訴人ティルナノーグに対し,被控訴人らの上記ゲームソ
フトの製造,販売,頒布の差止めを求めた事案である。
 2 原判決は,①被控訴人らの上記ゲームソフトは控訴人らが著作権を有するゲ
ームソフトの翻案には該当せず,また,②被控訴人らの上記行為は不正競争行為に
当たらないとして,控訴人らの請求をいずれも棄却した。そこで,控訴人らは,原
判決を不服として,本件控訴を提起した。
 3 控訴人らは,当審において,著作権法に基づく請求を主位的請求とし,不正
競争防止法に基づく請求を予備的請求とするとともに,控訴人イズが不正競争防止
法上の請求主体と認められない場合につき,上記第1の2(4)のとおり,損害賠償請
求を追加(増額)した。
 控訴人らの主張は,後記第4のとおりであるが,原審における主張と相違する主
要な点は,以下のとおりである。
 (1) 著作権法に基づく請求について
 (ア) 控訴人らは,当審では,原審において主張していた「外伝」(ゲームの略称
については後出のとおり。他のゲームにつき同じ。)の全体マップ部分の著作物の
翻案,「聖戦の系譜」及び「紋章の謎」のゲームソフトにおける登場人物等の影像
の著作物の翻案の主張を行わないこととした。したがって,「トラキア」のゲーム
ソフトの翻案のみが当審では問題となる。
 (イ) 「トラキア」の著作物の翻案の内容について,控訴人らは,当審において,
①被控訴人ゲームの全体が「トラキア」全体の翻案となる,又は,②被控訴人ゲー
ムの「戦闘マップをプレイする場面」が「トラキア」全体の翻案となる,又は,③
被控訴人ゲームの「戦闘マップをプレイする場面」が「トラキア」の「戦闘マップ
をプレイする場面」の翻案となる,との選択的主張を行った。
 (ウ) 控訴人らは,当審において,「トラキア」と被控訴人ゲームのゲームソフト
に共通する表現形式として,別紙1記載のとおり主張した。
 (2) 不正競争防止法に基づく請求について
 控訴人らは,当審において,控訴人ゲーム及び被控訴人ゲームの影像表示を,別
紙3のとおり主張した。
 4 前提となる事実(争いのない事実)
 (1) 当事者
 控訴人任天堂は,家庭用ビデオゲーム機及びゲームソフトなどの開発,製造,販
売等並びにキャラクター商品化業務等を業とする会社であり,控訴人イズは,コン
ピューターソフトウエアの設計,販売等を業とする会社である。
 被控訴人Aは,昭和63年3月31日から平成11年8月15日まで被控訴人イ
ズの従業員(退職時における役職は開発部部長)であった者である。
 被控訴人ティルナノーグは,被控訴人Aが,控訴人イズに在職中の平成11年7
月27日に設立したもので,コンピュータソフトウェアの設計,販売等を業とする
会社であり,設立以来現在に至るまで,被控訴人Aが代表者を務めている。
 被控訴人エンターブレインは,株式会社アスキーの子会社で,書籍・雑誌の出
版,販売,コンピューター関連のソフトウェアの製造販売等を業とする会社であ
る。
 (2) 控訴人らによるゲームソフトの制作,製造,販売
 控訴人イズは,以下のアないしオの各ゲームソフト(商品名ファイアーエムブレ
ム・シリーズのゲームソフト。以下,アを「暗黒竜と光の剣」,イを「外伝」,ウ
を「紋章の謎」,エを「聖戦の系譜」,オを「トラキア」といい,アないしオを総
称するときは,「控訴人ゲーム」又は「ファイアーエムブレム・シリーズ」とい
う。)をファミコン又はスーパーファミコン用に制作し,控訴人任天堂は,控訴人
イズの使用許諾に基づいて,控訴人ゲームを製造,販売した。
ア ファミリーコンピュータ用ゲームソフト
  タイトル:「ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣」
  発売年月日:平成2年4月20日
イ ファミリーコンピュータ用ゲームソフト
  タイトル:「ファイアーエムブレム 外伝」
  発売年月日:平成4年3月14日
ウ スーパーファミコン用ゲームソフト
  タイトル:「ファイアーエムブレム 紋章の謎」
  発売年月日:平成6年1月21日
エ スーパーファミコン用ゲームソフト
  タイトル:「ファイアーエムブレム 聖戦の系譜」
  発売年月日:平成8年5月14日
オ スーパーファミコン用ゲームソフト
  タイトル:「ファイアーエムブレム トラキア776」
  発売年月日:平成11年9月1日
 (3) 被控訴人らの行為
 被控訴人Aは,被控訴人ティルナノーグ代表者として,プレイステーション用ゲ
ームソフト商品(商品名「ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記」,発売元は被控
訴人エンターブレイン。以下「被控訴人ゲーム」という。)の制作行為に主体的に
関与し,その関与の下に,被控訴人ティルナノーグと被控訴人エンターブレイン
は,被控訴人ゲームを共同して制作した。
 被控訴人ゲームの旧名称は,「エムブレムサーガ」であり,被控訴人らは,ゲー
ム雑誌等の雑誌,インターネット公式サイト,テレビコマーシャル,販売促進用ビ
デオ,ポスターの掲示,テレフォンカードキャンペーン,雑誌付録体験版ソフト,
体験版ソフトの特典付き予約キャンペーンなどにおいて,この表示を使用した。
 平成13年4月2日ころ,被控訴人らは,被控訴人ゲームの名称を「エムブレム
サーガ」から「ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記」に変更し,同年5月24日
以降,被控訴人エンターブレイン及び被控訴人ティルナノーグは,発売元を被控訴
人エンターブレインとして被控訴人ゲームを販売している。
 被控訴人ゲームの旧名称である「エムブレムサーガ」との表示は,名称変更後も
プレイステーションドットコムのホームページで使用されるなど第三者によって使
用が続けられている。
 (4) 著作権の持分譲渡
 控訴人イズは,平成13年4月17日,控訴人任天堂に対し,トラキアにかかる
著作権の持分2分の1を譲渡する旨合意した。
 (5) 被控訴人ゲームの販売実績等
 被控訴人ゲームは,平成13年5月24日の発売開始以来,同年7月8日現在
で,34万5430本が販売されており,その希望小売価格は1本当たり6800
円であるから,販売総額は,23億4892万4000円である。
第3 本件の争点
 1著作権法に基づく請求(主位的請求)
 (1) トラキアの著作権の控訴人イズへの帰属
 (2) 被控訴人ゲームは,トラキアの翻案に該当するか
 (3) トラキアへの依拠の有無
 (4) 被控訴人らの故意又は過失の有無
 (5) 損害額
 2 不正競争防止法に基づく請求(予備的請求)
 (1) 控訴人イズは,不正競争防止法2条1項1号,2号にいう「他人」に該当す
るか
 (2) 控訴人ゲームの商品等表示(「ファイアーエムブレム」との表示,「エムブ
レム」との表示,影像とその変化の態様)は,商品等表示性を有し,周知又は著名

 (3) 控訴人ゲームの上記各商品等表示と被控訴人ゲームの「エムブレムサーガ」
との表示はそれぞれ類似しているか。
 (4) 被控訴人らの行為は混同を生じさせる行為に当たるか
(5) 差止請求の要件の充足性
 (6) 被控訴人らの故意又は過失の有無
 (7) 被控訴人らの行為と損害の因果関係及び損害額
第4 争点についての当事者の主張
第4-1著作権法に基づく請求(主位的請求)について
(控訴人らの主張)
 1 著作権の帰属
 法人たる控訴人イズは,自らの発意に基づき,その業務に従事する者をしてゲー
ムソフトの著作物であるトラキアを職務上作成させ,自己の著作の名義の下に公表
した。したがって,控訴人イズは,著作権法15条1項の「職務上作成する著作物
の著作者」との要件を充足している。
 被控訴人らは,トラキアは控訴人イズの名義で公表することが予定されていなか
ったと主張するが,トラキアは控訴人イズの発意に基づき,被控訴人Aを含む控訴
人イズの従業員が職務上作成したものであり,将来控訴人イズの名義の下に公表す
ることについて控訴人イズと被控訴人Aを含む従業員との間で了解が存在していた
ものであるから,「公表」の要件を充足する。
 2 被控訴人ゲームはトラキアの翻案に該当するかどうか 
 (1) 侵害著作物及び被侵害著作物(選択的主張)
 被控訴人ゲームは,①その全体がトラキア全体を翻案し(選択的主張1),又
は,②その一部である「戦闘マップをプレイする場面」(範囲については後記(3)
(ウ)記載のとおり)がトラキア全体を翻案し(選択的主張2),又は,③その一部で
ある「戦闘マップをプレイする場面」がトラキアの一部である「戦闘マップをプレ
イする場面」を翻案した(選択的主張3)ものである。
 (2) 翻案の意義及び判断基準
 (ア) 翻案とは「既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一
性を維持しつつ,具体的表現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情
を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的
な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為」(最一小判平成1
3年6月28日民集55巻4号837頁,以下「江差追分事件上告審判決」とい
う。)をいう。このように,翻案は,原著作物を利用して創作性を加え,別個の著
作物である二次的著作物を創作する行為であるから,二次的著作物と原著作物との
間に著作物としての同一性は失われているが,原著作物と二次的著作物の特徴の同
一性が維持されている場合に成立する。原著作物の特徴の同一性が失われるに至っ
たかどうかは,原著作物を知る者が,二次的著作物に接した場合に,原著作物の
「表現上の本質的な特徴」を感得できるどうかにより判断される。
 (イ) 翻案に該当するかどうかは,まず,原著作物と二次的著作物とを対比し,共
通する表現形式と異なる表現形式を把握し,次に,共通する表現形式と異なる表現
形式について,それぞれの創作性の存在及び程度を検討し,最後に,両者の相関関
係を比較衡量して,全体的・総合的観察を行うことにより判断されるべきである。
そして,全体的・総合的観察を行うに当たっては,①異なる表現形式に創作性があ
っても,共通する表現形式が創作性の高い部分に存在すれば,原著作物の創作的な
表現形式の特徴の同一性が肯定されるという点(創作性の質),②二次的著作物に
よって利用された表現形式の量が多いほど,原著作物の創作的な表現形式の特徴の
同一性が肯定されるという点(創作性の量),③原著作物の創作的な表現形式やそ
の特徴が,外面的・具体的な表現形式から,より内面的・抽象的な表現形式として
把握される部分に認められるに従って,そこから外面に向けて表現する選択の幅を
すべて包含し得ることになるから,表現形式の特徴の同一性の範囲が広く認められ
やすいとの点を考慮すべきである。
 (3) トラキアの概要
 翻案の判断は,著作物の性質や内容に基づいて行うことが必要であるところ,ト
ラキアの概要は,以下のとおりである。
 (ア) 基本ストーリー
 トラキアは,戦略性の高い戦闘システムと壮大なシナリオを満喫できるシミュレ
ーション・ロールプレイング・ゲーム(以下「SRPG」という。)である。西洋
中世をモチーフとして,ペガサスユニット,ドラゴンユニット,魔道士ユニットな
ども登場するファンタジーな世界を背景とし,架空の大陸における架空の小王国,
小公国,小領主国間の戦乱を舞台とする。主人公は,亡国の少年王子である。プレ
イヤーは,西洋中世風の架空の要塞,山岳地帯,領主館内,峡谷,森林地帯,民家
の点在する村,城内,祭壇等を背景とし,章立てで次々と表示されるマップ上で,
主人公や自軍ユニットを移動させ,戦闘等を行って仲間を増やし,成長させ,敵側
を制圧する。死亡したユニットは原則として生き返らず,主人公の死亡によってゲ
ームオーバーとなる。
 (イ) 登場ユニット
 トラキアには,敵国に祖国を追われ王国再興のために立ち上がる亡国の王子であ
る主人公と,主人公を助けて共に敵を制圧する自軍ユニットと,相手方となる敵軍
ユニットが登場する。トラキアでユニットとして登場する人物は全95人である
が,これを分類すると,主人公ユニット,ペガサスユニット,ドラゴンユニット,
馬ユニット,踊れるユニット,杖ユニット,魔道士ユニット,斧ユニット,弓ユニ
ット,剣ユニット,アーマーユニット,盗賊ユニットの合計12種に分類される。
 (ウ) 全体構成
 トラキアにおいては,タイトル画面の後,ゲームの舞台となる架空の大陸全体の
マップ(以下「全体マップ」という。)が画面表示される。この全体マップは,セ
ピア色の古地図として表現されており,個々の戦闘マップの所在場所とこれらをつ
なぐ道等を表現している。全体マップの画面上には,自軍ユニットの移動に関連す
るストーリーが文字で順次表示され,移動すべきポイントの説明が終わると,画面
は戦闘の行われるマップ(以下「戦闘マップ」という。)へと移行する。
 戦闘マップは,西洋中世風の要塞,領主館内,山岳地帯,峡谷,民家の点在する
村,城内,祭壇等を背景とする複数のマップであり,それぞれが章立てられてタイ
トルがつけられている。戦闘マップ画面への移行後,プレイヤーは,そのマップの
地形等を出撃前スクロールで確認したり,出撃前の自軍ユニットの編成,ユニット
の所持するアイテムの編集をしたりする(以下,この場面を「戦闘前の出撃準備場
面」という。)。その上で,メニューコマンドで「進撃」を選択すると,戦闘が開
始される前に,戦闘前の会話場面が画面表示される。
 戦闘前の会話場面が終了すると,自軍ユニットと敵軍ユニットが戦闘を行う場面
となり,プレイヤーがカーソルを操作して自軍ユニットを行動させる局面(以下
「自軍ターン」という。)と,コンピューターが自動的に敵軍ユニットを行動させ
る局面(以下「敵軍ターン」という。)がマップクリアまで交互に繰り返される
(以下,この場面を「戦闘マップをプレイする場面」という。)。自軍ターンにお
いてプレイヤーが自軍ユニットに行わせることができる行動は,①待機,②攻撃,
③その他の行動(後記の共通表現(9)ないし(42))であり,プレイヤーが「攻撃」を
選択すると,自軍と敵軍のユニットが1対1で戦う場面が,設定により自動的に,
アニメーション切替戦闘場面又はオンマップバトル場面の形式で表示される。この
自軍ターンと敵軍ターンの繰返しは,プレイヤーが各戦闘マップに設けられたクリ
ア条件を達成するまで続けられ,クリア条件を達成すると,当該戦闘マップをクリ
アしたことになる。
 1つの戦闘マップをクリアすると,各戦闘マップ用に用意された会話の場面が自
動的に影像表示され,次の戦闘マップに直接移行するか,一度全体マップに戻った
後に次の戦闘マップに移行する。こうして,プレイヤーは,戦闘マップを順次クリ
アして,最終の戦闘マップをクリアすると,ゲームクリアとなってエンディング場
面に至る。
 (4) 被控訴人ゲームの概要
 他方,被控訴人ゲームの概要は,基本ストーリー及び全体構成において,トラキ
アと同一である。また,登場ユニットについても,その登場人数は異なるものの,
トラキアと同一の12種類に分類することができ,亡国の王子である主人公と,主
人公を助ける自軍ユニットと,相手方となる敵軍ユニットが登場する点も同一であ
る(以下,被控訴人ゲームについても,「全体マップ」「戦闘マップ」「戦闘前の
出撃準備場面」「戦闘マップをプレイする場面」「自軍ターン」「敵軍ターン」等
の用語を用いるが,その意味及び範囲は,特に断らない限り,上記(3)と同じであ
る。)。
 (5) トラキア及び被控訴人ゲームの著作物としての種類及び性質
 トラキア及び被控訴人ゲームは,①映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効
果を生じさせる方法で表現されており(表現方法の要件),②物に固定されており
(存在形式の要件),③著作物であるから(内容の要件),著作権法2条3項の
「映画の著作物」であり,その「戦闘マップをプレイする場面」も「映画の著作
物」に該当する(最一小判平成14年4月25日民集56巻4号808頁,以下
「中古ゲームソフト事件上告審判決」という。)。
 被控訴人らは,トラキア及び被控訴人ゲームが「映画の著作物」に該当すること
は争わないものの,通常の映画と異なり,ゲームソフトには表現上の制約があると
主張するが,プレイステーション用ゲームソフトである被控訴人ゲームは,容量も
豊富であり,ハード機の性能あるいは記録媒体の性能による制約は考えられない。
また,控訴人らは,ゲームソフトのインタラクティブ性によりゲームソフトの個々
の影像の持つ意味は小さいと主張するが,プレイヤーはあらかじめゲームソフトの
制作者によって創作,演出された基本的な場面展開のパターンの範囲内で限られた
操作や選択を行うにすぎないのであるから,インタラクティブ性が翻案判断に影響
を及ぼすことはない。SRPGのゲームソフトは,機能の実現を目的とするもので
はなく,無数の表現の選択肢の中から視聴覚的表現を創作していくものであるか
ら,その表現の選択肢の豊富さにおいて古典的な著作物である小説等と何ら変わり
がないのである。
 (6) トラキアにおける表現上の本質的な特徴
 著作物の表現上の本質的な特徴がどこに示されるかは,各著作物の内容や性質に
より異なるため,著作物の性質に即した判断が必要であるところ,映画の著作物で
あるトラキアにおいて,表現上の本質的な特徴が現れているのは,「戦闘マップを
プレイする場面」の全体構成とその各場面の視聴覚的表現である。
 そもそも,ゲームソフトは,プレイヤーの操作に応じて視聴覚的に表現される影
像により楽しむものである。ゲームシステムは,プレイヤーを遊ばせるためのゲー
ム全体の仕組みであり,ゲームソフトに特有のインタラクティブなコントローラ操
作によって影像を進行させ,切替え,又は変化を与えるものであるから,ゲームソ
フトにおいてはインタラクティブなゲームシステムの創作が最も重要である。すな
わち,ゲームソフトの根幹はゲームシステムにあるといってよい。
 トラキアにおいて,プレイヤーがインタラクティブなコントローラ操作により戦
闘をプレイして楽しむ唯一の場面は,「戦闘マップをプレイする場面」である。こ
の場面は,繰り返して映写され,場面の展開,場面の切替え,視点の切替え,照明
演出等にも工夫が凝らされ,複雑かつ統一された進行内容の連続影像表現からなっ
ている。したがって,「戦闘マップをプレイする場面」は,著作者の創作,個性が
結集している場面であり,それゆえに,この場面における連続影像表現は最も特徴
的かつ個性的なものとなっている。
 被控訴人らは,ストーリーがトラキアの本質的な場面であると主張するが,ゲー
ムシステムの創作上の重要性に比すると,被控訴人らのいうストーリーの重要性は
低い。特に,会話のセリフは,ゲームシステムが制作され,キャラクターが制作さ
れてからゲームシステムやキャラクターの特徴に応じて創作されるものであり,ゲ
ームシステムを変えることなく多種多様なセリフに差し替えることも可能である。
このように,ストーリーの重要性は低いため,トラキア及び被控訴人ゲームのプレ
イヤーは,全体マップ上の文字画面,戦闘前会話の画面の会話場面等をキャンセル
機能によりとばしてプレイすることができるが,本質的な部分である「戦闘マップ
をプレイする場面」にはキャンセル機能は付されていないので,とばすことはでき
ない。
 以上のとおり,「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成とその各場面の視聴
覚的表現こそが,トラキアの著作物としての本質的な特徴部分となるものであり,
この点は,被控訴人ゲームについても同様である。
 (7) トラキアと被控訴人ゲームの共通する表現形式
 トラキア及び被控訴人ゲームは,「人物や背景等が動画として視聴覚的に表現さ
れ,その影像に音声,効果音や背景音楽を連動させて視聴覚的効果を生じさせ,視
点や場面の切替え,照明演出等が行われ」(前記中古ゲームソフト事件上告審判
決)て視聴覚的に表現されるゲームソフトの著作物であるから,トラキアと被控訴
人ゲームに共通する表現形式も当然のことながら動画として視聴覚的に表現された
ものであり,いずれの表現も一つのまとまりをもった連続影像による視聴覚的表現
の総体である。このことを前提として,両ゲームに共通する表現形式を言語をもっ
て説明すると,別紙1「控訴人らの主張する共通表現」記載のとおりである(以
下,別紙1記載の(1)ないし(42)を総称するときは「本件共通表現」といい,個別に
指すときは「共通表現(1)」のようにいう。)。
 (8) 本件共通表現の創作性
 原著作物と二次的著作物との間に共通する表現が存在したとしても,それが「思
想,感情若しくはアイデア,事実若しくは事件等表現それ自体でない部分又は表現
上の創作性がない部分」である場合は,翻案権侵害には当たらないが(前記江差追
分事件上告審判決参照),以下のとおり,本件共通表現の創作性は肯定される。
 (ア) 創作性の定義については,著作権法上に規定がないが,著作権法における創
作性が認められるためには,審美的な価値,独創性,新規性,進歩性等を有する高
度な創作性は必要ないと解すべきである。そして,「文化の発展に寄与する」とい
う著作権法の目的や,過度の独占による弊害回避という観点を考慮すれば,あらゆ
る種類の著作物にあてはまる基準として,表現する上で他の選択肢がないかあるい
は極めて選択肢が限られる場合には創作性は認められないものの,同じ思想,事実
等を表現する上で他の選択肢が残されている場合には創作性は認められる,と解す
べきである(中山信弘「創作性についての基本的考え方」著作権研究28号2頁
等)。
 (イ) 創作性の判断においては,共通する表現形式を一つのまとまりとして評価す
べきであり,まとまりとして創作性を有する部分を創作性のない部分に細分化し
て,その表現がアイデアであるとか,創作性がないとすべきではない。本件共通表
現は,影像の動的変化と音を一つのまとまりとして連続影像で表現したものである
から,動的に変化する影像やこれに加えられた視点や場面の切替えなどの視聴覚的
表現方法を総合して,創作性が評価されなければならない。とりわけ,共通表現(6)
ないし(42)は,基本的には「戦闘マップをプレイする場面」上におけるユニットの
1回の行動の表現として創作されており,ユニットに当該行動を行わせると,必ず
同一の配置と順序構成によって内容表現がなされる。したがって,カーソルを合わ
せてユニットを選択すれば,あとは創作がなされた配置と順序構成によって,一連
の連続影像が場面展開や場面切替えなどを伴って表現され,その行動を終了しては
じめて,再びカーソル操作の場面に戻る。このように,本件共通表現は,まとまり
のある連続影像表現として,その創作性が評価されるべきである。
 (ウ) 前記のとおり,トラキアは映画の著作物であり,その視聴覚的表現は,視点
や場面の切替えや照明演出に工夫することにより影像の動的変化や音として表現さ
れる。このように影像が動的に変化をしていく各種場面における具体的な表現形式
には無数の選択肢があり,またこれらの場面の表現をどのように連続影像としてつ
なぎ合わせていくかなどについても多様な創作が可能であるから,全体的な表現と
しての選択の幅は極めて広くなるといってよい。本件共通表現は,かかる影像の動
的変化と音による表現にほかならないのであるから,創作性を有するというべきで
ある。そのように解しても,後発者による表現の選択の幅は多様に残されているの
であるから,後発者はトラキアの本件共通表現と同一の表現を選択する必然性はな
く,後発者によるSRPGの正当な創作を何ら妨げるものではない。
 (9) トラキアと被控訴人ゲームの相違する表現形式の存否と評価
 トラキアと被控訴人ゲームの相違する表現に関し,被控訴人らは,被控訴人ゲー
ムにおいて新たな制作行為を行ったのであるから,この点を翻案の判断において考
慮すべきであると主張する。しかしながら,そもそも,翻案権とは,原著作物を利
用して創作性を加え,別個の著作物を創作する権利であるから,単に新たな表現が
付加されたからといって翻案該当性が否定されるわけではない。新たな表現が付加
されても,原著作物の表現の特徴との同一性が維持されている限り,翻案は成立す
る。以上を前提として,被控訴人らの主張する両ゲームの相違部分について反論す
る。
 (ア) 被控訴人らは,トラキアと被控訴人ゲームとではストーリーが全く異なると
主張する。
 しかしながら,トラキアと被控訴人ゲームが,対戦場所(背景となる地形等),
対戦相手(敵軍ユニット),前置き(キャンセル可能な会話場面のセリフ文字)と
いう外面的表現形式において相違しているとしても,プレイヤーの操作によって繰
り広げられるゲームソフトとしての本質的な遊戯内容の視聴覚的表現は全く同一で
あるから,内面的・抽象的な表現形式としては同一であるということができ,異な
る表現形式とは把握されない。
 また,被控訴人らはセリフ文字の違いも主張するが,セリフ文字を異にしても,
プレイヤーの操作によって繰り広げられるゲームソフトとしての本質的な遊戯内容
の視聴覚的表現は全く同一であるから,内面的・抽象的な表現形式としては同一で
あるということができ,異なる表現形式とは把握されない。しかも,セリフ文字
は,キャンセル機能によってキャンセルすれば,画面上に表示自体がなされない
上,被控訴人ゲームの「戦闘マップをプレイする場面」におけるセリフは全体の2
1.5%を占めるにすぎず,残りのセリフは選択的主張2及び3に関しては,相違
点にもならない。
 (イ) 被控訴人らは,武器や兵種の名称のつけ方,マップの名前のつけ方,登場人
物の具体的な髪型,ウィンドウの細かい装飾,移動及び攻撃範囲の色合いなどが相
違すると主張する。しかし,これらの点についての相違はごくわずかであり,創作
的な価値はないものであるから,創作性を比較衡量する上で考慮するに足る表現形
式ということはできない。
 (ウ) 被控訴人らは,被控訴人ゲームは,マップ数や遭遇戦を設けている点におい
てトラキアと相違すると主張する。しかしながら,両ゲームソフトの視聴覚的表現
の翻案が審理対象であるから,視聴覚著作物の創作性を比較衡量するための異なる
表現形式として把握されるのは,創作的な視聴覚著作物でなければならない。しか
しながら,被控訴人らが主張する上記相違点は視聴覚著作物としての表現形式の相
違ではないから,異なる表現形式としては把握されない。また,被控訴人らはコマ
ンドも相違すると主張するが,被控訴人らの指摘するのは,コマンドの名称やコマ
ンドの内容に関するアイデアの相違にすぎず,ゲームソフトにおける創作的な視聴
覚的表現の相違ではない。したがって,この点も,視聴覚的表現の創作性の比較衡
量をなすべき異なる表現形式ということはできない。
 (エ) 被控訴人らは,トップビューの戦闘マップの背景や,サイドビューの切替戦
闘の背景が相違すると主張する。しかしながら,トラキアの「戦闘マップをプレイ
する場面」の戦闘マップは,西洋中世風の民家の点在する村,海岸の村,山岳地
帯,森林地帯,地下の祭壇等を背景とするものであり,サイドビューの切替戦闘の
背景は遠景の風景であるところ,本件共通表現は,かかる複数の背景の外面的表現
形式をすべて包含する,内面的・抽象的な表現形式としてその創作性が認められる
ものである。したがって,被控訴人ゲームが戦闘マップの背景等の外面的表現形式
を変更したとしても,本件共通表現の同一性の範囲内である。また,SRPGのゲ
ームソフトは静的な背景画ではなく,背景画をバックにしてその前で繰り広げられ
る場面や視点等の切替えを伴う動的な影像変化にその本質がある視聴覚著作物であ
るから,静的なバックの風景画の書替えにより創作性が加えられたとはいえない。
 (オ) 被控訴人らは,両ゲームは全体マップにおいて相違すると主張する。しかし
ながら,被控訴人らは,被控訴人ゲームの全体マップにおいて自軍の移動先を選択
したり,両軍の編成をすることができると指摘するのみで,創作性ある視聴覚的表
現の存在を主張立証しないのであるから,ゲームソフトとしての視聴覚的表現に創
作性を加えたとは評価できない。仮に,創作性を有する異なる表現形式と認められ
たとしても,全体マップは「戦闘マップをプレイする場面」への単なる橋渡しであ
って,両ゲームの本質的な部分ではないから,翻案の成否に影響を及ぼし得るもの
ではない。また,被控訴人ゲームの「戦闘マップをプレイする場面」を侵害物件と
する選択的主張2及び3に関しては,「全体マップ」における表現の相違は考慮す
る必要はない。
 (カ) その他,被控訴人らの主張する相違点は,そもそも事実に反し,あるいは創
作性のない部分にかかる些末なものであり,創作性があるとしてもその程度は低
く,翻案の成否の判断に影響を及ぼし得るものではない。
 (10) 全体的・総合的観察
 トラキアと被控訴人ゲームに共通する表現形式と異なる表現形式とを比較衡量
し,全体的・総合的に評価をすれば,以下のとおりである。
 (ア) 本件共通表現の創作性の質
 本件共通表現は,トラキアの本質的部分である「戦闘マップをプレイする場面」
に係る表現であり,被控訴人ゲーム以外のいかなる公知ゲームにも見られないトラ
キア独自の視聴覚的表現であるから,創作性が極めて高い特徴的な部分である。
 (a) トラキアに登場する全12種の登場ユニット(共通表現(1))は,その重要
な構成要素であり,他の公知ゲームに見ることができない創作性の高い特徴的な表
現形式である。中でも,ペガサスユニット,ドラゴンユニットは,極めて特徴的な
登場ユニットであり,これらのユニットが行動する場面は,すべてにおいて創作性
の高い視聴覚的表現となっている。また,トラキアの主人公ユニット,踊れるユニ
ットなどについても,特徴的で創作性が高い。被控訴人ゲームは,これらのユニッ
トの特徴的な視聴覚的表現をすべて共通にして使用している。したがって,「戦闘
マップをプレイする場面」における登場ユニットの同一性は,トラキアとしての創
作的な表現形式の特徴の同一性を強く感得させる。
 (b) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成とその各場面の表現(共通表
現(4))及び「戦闘マップをプレイする場面」の各場面展開によって表現される本質
的ストーリー(共通表現(5))は,他の公知ゲームには見られないトラキア独自の創
作性の高い特徴的な影像表現である。
 すなわち,トラキアの最も本質的で重要な部分は「戦闘マップをプレイする場
面」であるところ,そのインタラクティブなゲームシステムを影像の動的変化とし
て創作し,場面の展開,場面の切替え,視点の切替え,照明演出等の手法を加えて
影像として表現しているのが,「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成とその
各場面の表現(共通表現(4))である。したがって,共通表現(4)は,公知ゲームに
は見られないトラキア独自の創作性の高い特徴的な影像表現である。また,「戦闘
マップをプレイする場面」の各場面展開によって表現される本質的ストーリー(共
通表現(5))も,プレイヤーに強い感情移入をさせる極めて本質的な特徴部分であ
る。被控訴人ゲームは,共通表現(4)及び(5)の視聴覚的表現を同一とすることによ
り,トラキアの特徴ある創作的表現をすべて同一にしているのであるから,トラキ
アの創作的な表現形式の特徴の同一性を強く感得させるものといえる。
 (c) 「戦闘マップをプレイする場面」における各場面の表現(共通表現(6)ない
し(42))も,他の公知ゲームには見られない創作性の高いものである。
 トラキアの自軍の待機及び攻撃,敵軍ターンという共通表現(6)ないし(8)は,
「戦闘マップをプレイする場面」に頻回にわたり使用され,その全体構成に沿って
ゲームプレイを進行させていく根幹的表現であって,特徴的で創作性が高い。ま
た,トラキアでは,「戦闘マップをプレイする場面」において,登場ユニットが共
通表現(9)ないし(42)記載の多彩な行動等を繰り広げるが,これも他の公知ゲームに
は全く見られないトラキア独自の創作性の高い特徴的な部分である。被控訴人ゲー
ムは,共通表現(6)ないし(42)をそっくりそのまま使用しているのであるから,トラ
キアの本質的な表現形式の特徴の同一性を強く感得させるものといえる。
 (d) トラキアの全体の構成(共通表現(2))及びトラキア独自の基本ストーリー
(共通表現(3))も他の公知ゲームには見られない創作性の高い表現であり,被控訴
人ゲームがこれらの表現をそっくりそのまま使用していることは,トラキアの創作
的な表現形式の特徴の同一性を強く感得させるものといえる。
 (e)以上のとおり,本件共通表現は,いずれも他の公知ゲームには見られないト
ラキア独自の創作性の高いものである。これに対し,被控訴人らは,本件共通表現
はアイデアにすぎない,あるいはありふれているなどと主張するが,これは,本件
共通表現のすべてが記憶媒体に固定されているゲーム影像であり,ゲーム影像の動
的変化と音によって具体的に表現されていることを正解せず,本件共通表現を説明
した言語を拾い出してつなぎ合わせることによって創作性を否定しようとするもの
であり,審理対象のすりかえにすぎない。
 (イ) 被控訴人ゲームが使用した創作性の量
 被控訴人ゲームは,トラキアと共通する表現形式を大量に使用しており,利用さ
れたトラキアの創作性の量は膨大である。
 被控訴人ゲームによる共通表現(4)の使用は,両ゲームソフトの本質部分である
「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成とその各場面の表現そのものの使用で
ある。したがって,被控訴人ゲームが「戦闘マップをプレイする場面」全体をそっ
くりそのまま使用した結果,共通表現(1)ないし(42)という大量の表現が被控訴人ゲ
ームに使用されているのである。また,被控訴人ゲームが使用する共通表現(6)ない
し(8)は,「戦闘マップをプレイする場面」で,頻回にわたり大量に使用される表現
である。このように,被控訴人ゲームは,本件共通表現を大量に使用したものであ
り,被控訴人ゲームに接した者はトラキアの創作的な表現形式の特徴の同一性を強
く感得するといえる。
 (ウ) 相違部分の存在と評価
 トラキアと被控訴人ゲームにおける異なる表現形式は,前記のとおり,存在せ
ず,仮に存在してもゲームソフトの視聴覚的表現形式としての創作的価値は低い。
 (エ) 全体的・総合的評価
 以上のとおり,両ゲームソフトの本質的特徴部分である「戦闘マップをプレイす
る場面」における共通表現(1)ないし(42)は,ゲームソフト全体における視聴覚的表
現としての創作的な価値が極めて高い。また,被控訴人ゲームは,共通表現(1)ない
し(42)を大量に使用することにより,トラキアの創作性を大量に使用している。他
方,被控訴人ゲームには異なる表現形式と把握できるだけの創作的な視聴覚的表現
は存在せず,存在しても被控訴人ゲーム全体における視聴覚的表現としての創作的
価値は極めて低い。
したがって,両ゲームソフトを全体的・総合的に評価すれば,両ゲームソフトの
本質的特徴部分である「戦闘マップをプレイする場面」における,創作性が質的に
も量的にも圧倒的かつ本質的に高い共通表現(1)ないし(42)の存在によって,被控訴
人ゲームにはトラキアの創作的な表現上の本質的な特徴の同一性が肯定される。
 (オ) 表現を類似させる必然性  
 さらに,正当な知的財産権保護の見地に照らし,被控訴人ゲームの表現をトラキ
アに酷似させる必然性があったのかという点を考慮しても,翻案該当性は肯定され
る。前記のとおり,被控訴人らによる被控訴人ゲームの制作に当たっては,表現の
選択肢が無数に存在したにもかかわらず,被控訴人ゲームとトラキアとは,ゲーム
ソフトとしての全体の構成,基本ストーリー,全12種の登場ユニット,「戦闘マ
ップをプレイする場面」の全体構成及びその各場面の表現(その配置及び順序構成
を含む。)がそっくりそのまま同一であり,酷似しているといってよい。両ゲーム
の表現をこれほど類似させる必然性は何ら存在しなかったのであって,このような
被控訴人らの明白な模倣行為を翻案権侵害と認定したとしても,後発者によるSR
PGのゲーム制作を一切阻害しないのである。
 なお,被控訴人らは,トラキアと被控訴人ゲームは,いずれも被控訴人Aによっ
て創作されたものであるから,その作風が共通することは当然であるなどと主張す
るが,被控訴人Aは,影像表現については控訴人イズのファイアーエムブレム・シ
リーズの制作スタッフに丸投げしていたのであるから,そもそもファイアーエムブ
レム・シリーズの影像表現には被控訴人Aの作風が現れる余地がない。被控訴人ゲ
ームがトラキアに酷似するのは,トラキアの本質的な特徴部分である「戦闘マップ
をプレイする場面」の全体構成とその各場面の影像表現(共通表現(4))を,被控訴
人らがそっくりそのまますべて模倣しているからであり,被控訴人Aの作風とは関
係がない。
 (11) 翻案該当性(結論)
 以上のとおり,被控訴人ゲームをプレイした者は,トラキアの表現上の本質的な
特徴を感得するというべきであり,被控訴人ゲームはトラキアを翻案したものであ
る。
 3 トラキアへの依拠の有無
 被控訴人ゲームは,被控訴人Aが控訴人イズに在職していた平成11年から企画
制作が開始され,被控訴人Aが企画監督を行い,被控訴人ティルナノーグ及び被控
訴人エンターブレイン(被控訴人ゲーム制作の当初は分社化前の株式会社アスキ
ー)によって共同制作された。被控訴人Aは,被控訴人ゲームの制作の直前に発売
されたトラキアの開発の長たる立場にいたものであり,トラキアの内容を熟知して
いた。したがって,被控訴人A及び同人が代表取締役となっている被控訴人ティル
ナノーグは依拠の要件を充足する。
 また,被控訴人エンターブレインは,トラキアのゲーム内容を紹介した雑誌「週
刊ファミ通」及び「ファミ通+64」などの発行者であり,トラキアの攻略本の発
行者であり,かつ被控訴人エンターブレインの代表者であるB(以下「B」とい
う。)は「週刊ファミ通」「ファミ通+64」及びトラキア攻略本の発行人兼編集
人である。したがって,Bはトラキアの内容を熟知していたものであり,被控訴人
エンターブレインも依拠の要件を充足する。
 被控訴人らは,被控訴人Aの依拠は,いわゆる「無意識の依拠」であって,依拠
の要件を充足しないと主張するが,「無意識の依拠」とは,「かつて見聞し,創作
者の意識の中に沈殿していた既存の著作物が,創作活動の過程で無意識のうちに湧
出した結果,既存の著作物と実質的に同一の表現の作品が作成された場合,もはや
既存の著作物を知って作成されたとはいえない」(西田美昭「複製権の侵害の基本
的考え方」裁判実務大系27・知的財産関係訴訟法130頁)という問題である。
被控訴人Aは,トラキアの制作と同時並行的に被控訴人ゲームを制作したのである
から,トラキアを知って被控訴人ゲームを作成したことは明らかであり,「無意識
の依拠」というよりむしろ意図的な依拠である。
 4 被控訴人らの故意又は過失
上記のとおり,被控訴人ティルナノーグの代表者でもある被控訴人A及び被控訴
人エンターブレインの代表者であるBは,トラキアの内容を熟知した上で,これに
依拠して被控訴人ゲームを翻案したものであるから,被控訴人らには,翻案につい
て故意又は過失がある。
 5 損害
(1)使用料相当額損害 2億3489万円
 被控訴人ゲームは,平成13年5月24日に発売が開始されて以来,同年7月8
日時点で34万5430本が販売されており,同ゲームの希望小売価格は1本当た
り6800円である。被控訴人らの著作権法違反及び不正競争防止法違反行為に対
して控訴人らが受け取るべき使用料相当額は,売上高の10%を下回らないので,
使用料相当額の合計は,被控訴人ゲームの販売本数である34万5430本に販売
単価の6800円を乗じた売上高(23億4892万4000円)に,使用料率で
ある10%を乗じた2億3489万円(1万円未満切捨て。各控訴人につきその2
分の1の1億1744万5000円)となる。
 (2)弁護士費用相当損害 2341万円
 控訴人らは,被控訴人らの行為によって本訴の提起を余儀なくされた。本訴の性
質,内容等に照らせば,本訴の提起,追行のために控訴人らが要した弁護士費用の
うち相当因果関係のある損害額は,2341万円(各控訴人につきその2分の1の
1170万5000円)を下回らない。
 6 まとめ
 よって,被控訴人らの行為は,控訴人らが著作権を有するトラキアの翻案に該当
するので,控訴人任天堂及び控訴人イズは,被控訴人エンターブレイン及び被控訴
人ティルナノーグに対し,被控訴人ゲームの製造,販売,頒布の差止めを求めると
ともに,被控訴人らに対して,著作権侵害による損害賠償として,控訴人らのそれ
ぞれに対し上記損害1億2915万円(1億1744万5000円と1170万5
000円の合計)及びこれに対する平成13年8月8日(訴状送達の翌日)から支
払済みまで年5分の割合による遅延損害金を連帯して支払うことを求める。
(被控訴人らの主張)
 1 著作権の帰属
 トラキアは,控訴人イズの業務に従事していた被控訴人Aが作成した著作物であ
るが,控訴人イズが自己の著作の名義の下に公表したものではない。したがって,
控訴人イズはトラキアの著作権者ではない。
 控訴人イズは,ゲームの開発会社であって,ゲームの販売会社ではなく,控訴人
任天堂の工場内に本社のある,いわば控訴人任天堂の専属的な下請会社にすぎな
い。このような控訴人イズの開発会社(非販売会社)としての性格及び控訴人任天
堂との明確な力関係の下では,関係当事者は,開発当初から,トラキアを控訴人任
天堂名義で公表する旨合意していたと認めるのが自然であり,控訴人イズの名義で
公表することが合意されていたことを裏付ける証拠は全く存在しない。実際上,フ
ァイアーエムブレム・シリーズ第1作から第4作までは控訴人任天堂の名義下に公
表されたのである。ある著作物が,会社(控訴人イズ)でも従業員(被控訴人A)
でもない第三者(控訴人任天堂)の名義で公表することが予定されていた場合,そ
の著作権は従業員に帰属し,会社に帰属しないのであるから,トラキアの著作権は
控訴人イズには帰属しない。
 2 被控訴人ゲームはトラキアの翻案に該当するかどうか
 (1) 翻案の意義及び判断基準
 翻案の意義は,江差追分事件上告審判決の判示するとおりであるところ,翻案該
当性の判断手法としては,最初に,同一性を有する部分と同一性を有しない部分を
識別した上で,同一性を有する部分について,思想,感情若しくはアイデア,事実
もしくは事件等表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において同
一性を有するにすぎないか否かを検討し,最後に,全体的,総合的な観察を含め
て,表現上の本質的な特徴を直接感得できるか否かを判断すべきである。
 (2) トラキアの著作物としての種類及び性質
 翻案の意義を上記のとおり解すると,具体的に何をもって表現上の本質的な特徴
ととらえるかが重要となり,この点については,著作物の種類や特性に応じて,事
案ごとに,著作物としての創作性や表現の特徴を判断することになる。控訴人ら
は,トラキア及び被控訴人ゲームが映画の著作物に該当することを争うものではな
いが,SRPGには,以下のとおり,通常の映画や小説等の著作物には見られない
際立った特徴があり,翻案該当性の判断においてはこれらの特徴を考慮すべきであ
る。
 (ア) ゲームソフトの構成要素
 SRPGとは,シミュレーション・ゲーム(以下「SLG」という。)とロール
プレイング・ゲーム(以下「RPG」という。)とを融合させたジャンルのゲーム
ソフトである。このうち,SLGとは,戦争,経営,恋愛,育成等の分野におい
て,現実に存在するものや空想上の対象物をゲームのルールに従って操作して,事
件等をゲーム上で再現するタイプのゲームソフトであり,RPGとは,ストーリー
性があり,キャラクターを成長させながらプレイヤーが物語に参加してゲームの結
末を目指すタイプのゲームソフトである。SRPGは,他のゲームソフトと同様,
①ストーリー(前提となる世界観や舞台設定を含むシナリオ),②ゲームシステ
ム,③ゲームの場面(各場面の影像表現を含む。),④キャラクター,⑤音楽,を
主たる要素とする複合的な著作物である。SRPGのゲームソフトの翻案該当性の
判断においては,SRPGのゲームソフトを構成する個々の構成要素それぞれにつ
いて,その著作権法上の保護の必要性や重要性を考慮しつつ,比較を行うことが必
要かつ適切であるが,後記のとおり,各構成要素の中でもストーリーこそがSRP
Gの翻案該当性において最も重視されるべき要素である。
 (イ) インタラクティブ性
 ゲームソフトは,言語の著作物や映画著作物と異なり,プレイヤーが影像を見て
プレイをし,それによりゲームの展開が変化するというインタラクティブ性を有す
る。このため,ゲームソフトの影像表現は,プレイヤーのプレイ(操作)内容によ
り,ある程度変化する。SRPGにおいて,プレイヤーが,個々の操作を行う回数
は数えられない程多く,このプレイヤーの操作に応じて影像表現も数限りなく変化
するので,SRPGのゲームソフト全体をプレイする時間からすれば,個々の影像
表現が画面上に表示される時間は極めて短い。また,あるプレイをすれば出現する
個々の影像表現であっても,別のプレイをすれば,この影像に接することができな
いという事態は,いくらでも生じ得る。このように,SRPGにおいては,個々の
影像の持つ意味は小さく,個々の影像がSRPGのゲームソフト全体の表現上の本
質的な特徴とはいえない。
 (ウ) 他の公知ゲームへの依拠
 一般に,ゲームソフトの制作に当たっては,ボードゲーム時代から存在したゲー
ムのルールやコマンドについてのアイデア,既存の同種あるいは類似のゲームソフ
トにおけるゲームシステムや影像の表現手法等のアイデアが参考にされることが多
い。とりわけ,SRPGは,SLG(ボードゲームとしてのSLGとコンピュータ
ーゲームとしてのSLG)とRPG(ボードゲームとしてのRPGとコンピュータ
ーゲームとしてのRPG)が融合して成立したゲームであって,その起源となって
いるゲームの種類が多いから,制作に当たって参考とされ得るゲームの範囲も広
い。SRPGのゲームソフトの翻案該当性の判断においては,このようなSRPG
のゲームソフトの成立ちやこれに起因するSRPGのゲームソフトの一般的な制作
手法を考慮すべきである。具体的には,侵害著作物とされるSRPGと被侵害物件
とされるSRPGにおいて共通する部分が表現といえるものであったとしても,そ
れが他のボードゲームやSRPGを含む他のゲームソフトで採用されてきたゲーム
システムや表現手法等のアイデアに基づく表現である場合には,そのアイデアの創
作性が低く,保護されるべき範囲は狭くなる。
 (エ) 表現上の制約
 (a)SRPGのゲームソフトは,前記のとおり,プレイヤーにプレイさせること
を目的として制作されるから,その影像表現にはユーザーインターフェースとして
の機能が必要となる。とりわけ戦闘マップと全体マップのゲームソフトの影像表現
は,プレイヤーの便宜(具体的には,①プレイヤーによる操作の容易性の確保,②
一覧表示等によるプレイヤーの見た目のわかりやすさの確保,③プレイヤーの使い
慣れた操作方法の踏襲等)を,最優先に考えることが通常である。したがって,S
RPGの画面は,必然的にある特定の表現手法や具体的な表現を採用せざるを得
ず,あるいは,わずかな選択肢の中から表現手法や具体的な表現を選択せざるを得
ない場合が多い。
 (b)ゲームソフトには,機械性能や制作コスト上の制約も存在する。すなわち,
ゲームソフトは,ハード機と,カートリッジやCDーROMなどの記録媒体の記憶
容量,色数,ドット数等の機械性能に制限がある。また,ハード機や記録媒体の機
械性能の向上によって,機械性能上の制約がなくなり,あるいは小さくなった場合
でも,制作コストを抑えるために制作費用や制作期間のさほどかからない単純,簡
易な表現手法を採用せざるを得ないことも多い。
 (c) このような,ユーザーインターフェース機能の必要性や,機械性能上の制約
等により,SRPGのゲームソフトの表現は,必然的に繰返しの表現手法や流用の
制作手法が多用されざるを得ない。実際のところ,多くのSRPGでは,全体マッ
プと戦闘マップの繰返し,自軍ターンと敵軍ターンの繰返し,ユニットを動かす際
の同じ操作の繰返し,敵を倒してはさらに強い敵を倒すことの繰返し,音楽の繰返
し,切替戦闘アニメーション場面のクラスチェンジ場面への流用,店舗システムの
闘技場システムへの流用等,全編にわたって,繰返しや流用の手法が多用されてい
る。したがって,共通して登場する表現があるとしても,その出現回数の多さや出
現頻度の高さは,SRPGの表現上の本質的な特徴を把握する上で重視すべき事項
とはいえない。
 (オ) ゲームバランス
 それぞれのゲームソフトには,各ゲームソフトに固有のものとして,ゲーム性あ
るいはゲームバランスと呼ばれるものが最終的に備わることとなる。ゲームバラン
スはゲームソフトに固有の概念であり,ゲームバランスの良いゲームソフトが,面
白いゲームソフトであり,ゲームバランスの悪いゲームソフトが,面白くないゲー
ムソフトである。ゲームデザイナーは,各ゲームソフトにふさわしいゲーム性と絶
妙のゲームバランスの実現を目指して,ゲーム制作の最終段階においてバランス調
整に精魂を込めるのであって,このバランス調整の作業こそ,ゲームデザイナーの
個性が最も発揮される重要な作業の一つである。したがって,SRPGのゲームソ
フトの翻案該当性の判断においては,ゲームバランスについても十分に考慮する必
要がある。
 (3) トラキアにおける表現上の本質的な特徴
 トラキアにおける前記(2)(ア)①ないし⑤の各構成要素の持つ意味及び重要性につ
いて検討すると,以下のとおりである。
 (ア) ストーリー
 SRPGを構成する各要素の中で最も重要なのは,以下の理由から,ストーリー
であるというべきである。
 第1に,そもそも,SRPGのゲームソフトを映画の著作物と理解する以上,通
常の映画の著作物と同様に,ストーリーが最も重視されるべき要素となることは自
明である。とりわけ,SRPGはSLGとRPGを融合させたジャンルのゲームソ
フトであることは前記のとおりであるところ,RPGは,まさにプレイヤーがスト
ーリーを楽しむタイプのゲームであり,ストーリーが中核的な要素となるゲームで
ある。とすれば,SRPGにおいてストーリーが重要な要素となることは当然であ
る。
 第2に,ゲームのストーリーは,SRPGの各場面における個々の影像表現と異
なり,画面上に表示されるセリフやナレーションという形式で,ゲーム全体にわた
り明確に表現され続ける。このことは,トラキアのストーリーが表現されているナ
レーションとセリフは,合計14万3700文字(単行本約1冊分)にも達するこ
とからも明らかである。
 第3に,ゲームの登場人物,音楽,場面設定等は,ストーリーに合わせて採用さ
れ,各戦闘マップごとに設定されているクリア条件も,ストーリーと関連して設定
される。すなわち,ゲームのストーリーは,ゲームソフトの他の構成要素を内容面
において規律し,ゲーム全体の特徴を基礎付けているのである。
 第4に,ゲームのストーリーは,SRPGのゲームソフトの各場面における影像
表現と異なり,ハード機の機能上の制約や制作コスト面での制約を受けることな
く,ゲームデザイナーが自由にその思想や感情を表現できる幅が広く,ゲームデザ
イナーの個性を直截に反映することが可能である。
 第5に,以上の当然の帰結として,SRPGのプレイヤーは,実際にゲームのス
トーリーを重視し,これを楽しんでいる。かかる現実を承知しているからこそ,S
RPGの販売に際してストーリーに重点を置いた宣伝広告活動が実施され,ゲーム
ソフトの取扱説明書等においてもプレイヤーに対してストーリーを十分に説明して
いるのである。
 以上によれば,ゲームソフトの構成要素のうち,ストーリーこそが最も重要であ
り,ストーリーが相違するのであれば,映画の著作物としてのSRPGの翻案該当
性は否定されるべきである。
 これに対して,控訴人らは,トラキア及び被控訴人ゲームのセリフやナレーショ
ン部分はキャンセル可能なので,ストーリーは本質的な特徴とはなり得ないと主張
する。しかしながら,セリフ部分やナレーション部分をキャンセルできる機能は,
同一ゲームを複数回プレイするプレイヤーの便宜のために設定された機能にすぎ
ず,SRPGのゲームを初めてプレイする通常のプレイヤーが,セリフ部分とナレ
ーション部分をすべてキャンセルしながらプレイするとは考えがたい。SRPGの
ゲームソフトの翻案該当性を判断するに際しては,通常のプレイヤーが通常のプレ
イをした場合を前提として検討する必要があり,セリフ部分とナレーション部分を
キャンセルしたことを前提として検討することは,およそ無意味かつ不当である。
 (イ) ゲームシステム
 ゲームシステムについては,一義的に確定した定義が存するわけではないが,S
RPGについていえば,概ね,基本システム,ユニット,パラメータ,アイテム,
コマンド,戦闘マップなどが,その具体的な内容をなすものである。ゲームシステ
ムがゲームソフトの構成要素であることは,SRPGに限らず,あらゆるジャンル
のゲームソフトの取扱説明書や攻略本等においてゲームシステムに関する記載がさ
れていることからして明らかである。ゲームシステムは,ゲームソフトを構成する
要素ではあるが,その大半がゲームのルールというべきものであり,ゲームソフト
制作に際してのアイデアにすぎない。もとより,あるゲームシステムに基づき画面
上に具体的に表現されたゲーム影像,音声,音楽等は,著作権法上の保護の対象と
なるが,この場合も,単なるルールにすぎないかどうかを慎重に検討すべきであ
り,具体的な表現方法について選択肢がほとんどないような場合には創作性が否定
されるべきである。
 ただし,SRPGのゲームソフトの翻案該当性を判断するに際して,異なるゲー
ムシステムが採用されていることをもって,翻案該当性を否定する一つの事情とし
て取り扱うことは許されるというべきである。ゲームシステムは,著作権法の保護
対象である表現そのものではないが,SRPGのゲームソフトの構成要素であるこ
とは間違いなく,SRPGのゲームソフトのプレイヤーがSRPGをプレイすれ
ば,そのプレイを通じて,ゲームシステムの内容を認識することになる。ゲームシ
ステムやゲームバランスなどの相違による影響も含め,プレイ終了後にプレイヤー
が2つのSRPGのゲームソフトに抱いた印象がそれぞれ異なれば,一方のSRP
Gのゲームソフトが他方のゲームソフトの翻案に当たることはあり得ない。
 (ウ) ゲームの場面(各場面における影像表現を含む。)
 ゲームの場面と各場面における影像表現(デザイン)もSRPGのゲームソフト
を構成する要素の1つである。SRPGにおける場面の種類としては,例えば,①
オープニングの場面(タイトル表示の画面を含む。),②全体マップの場面,③戦
闘マップの場面,④切替戦闘アニメーションの場面,⑤会話,イベントなどの場面
(クラスチェンジの場面を含む。,⑥エンディングの場面等が存在する。
 SRPGのゲームソフトにおいて,これらの場面の中から,どのような種類の場
面を採用し(例えば,全体マップの場面を採用するのか否か),どのような順序で
各場面を展開させるかは,ストーリーやゲームシステムと密接不可分に関連する事
項であり,ゲーム制作上のアイデアというべきものである。
 これに対して,SRPGのゲームソフトの各場面の画面上において,動画又は静
止画をもって表示される具体的な影像表現(デザイン)は,著作権法上の保護の対
象となる表現である。しかしながら,SRPGの各場面における影像表現は,通常
の映画の著作物と比較すると,ゲームソフトに内在する多くの制約のために,作成
者の思想や感情が創作的に表現される範囲が限定される。とりわけ,トラキアは,
デザインに定評のある他のゲームソフト(例えば,スクエア社の「ファイナルファ
ンタジー」)と異なり,デザインにはさほど重点が置かれておらず,プレイヤーの
間においても,そのデザインに対する評価は低い。したがって,トラキアの表現上
の本質的な特徴が,デザインに現れることはないというべきである。
 (エ) キャラクター
 キャラクターもSRPGのゲームソフトの構成要素の1つである。SRPGは,
キャラクターに感情移入をしつつ,そのキャラクターを成長させることが,プレイ
する楽しみの源泉であるから,登場するキャラクターが異なることは,SRPGの
ゲームソフトの翻案該当性の判断において重視されるべき事項である。ただし,翻
案該当性の判断に当たっては,第1に,キャラクターの容姿,容貌,髪型,服装,
装飾品等の外形的部分のみならず,その人物設定の相違も考慮すべきであり,第2
に,キャラクターの外形的部分の背後にある表現手法やアイデアの創作性,キャラ
クター自体の創作性の高低についても考慮する必要がある。キャラクターの外形的
部分の背後にある表現手法やアイデア,キャラクター自体の創作性が低い場合に
は,キャラクターの外形的部分に係る表現の保護範囲も狭くなる。
 (オ) 音楽
 ゲームにおける音楽は,プレイヤーがプレイをしている最中,同じ旋律が繰り返
し奏でられることが多いため,通常の映画音楽と比較しても,プレイヤーの耳に残
りやすく,各ゲームソフト固有の印象を与える重要な要素となっている。しかも,
ゲームにおける音楽は,画面表示によって伝えられる各種の情報や状況を聴覚に訴
える方法で補充する効果も有しているから,ゲームバランスに影響を与える一要素
でもある。
 (4) 「戦闘マップをプレイする場面」がトラキアの本質的部分であるとの控訴人
らの主張に対して
 控訴人らは,「戦闘マップをプレイする場面」の視聴覚表現がトラキア及び被控
訴人ゲームの本質をなす部分であると主張する。
 (ア) しかしながら,「戦闘マップをプレイする場面」においても,上記各要素は
すべて存在するのであるから,同場面が他の場面と比較して特に特徴的であるとは
いえない。ストーリーについても,「戦闘マップをプレイする場面」においてセリ
フなどによって表現され,戦闘マップをクリアすることがストーリーを進めること
になるのであるから,ストーリーと「戦闘マップをプレイする場面」は密接不可分
な関係にあるといってよい。また,SRPGのゲームソフト一般においては,「戦
闘マップをプレイする場面」以外の場面でもプレイすることが可能であり,被控訴
人ゲームにおいても,全体マップにおけるプレイが重要な役割を担っているのであ
るから,この点においても「戦闘マップをプレイする場面」が特徴的であるとはい
えない。
 以上のとおり,「戦闘マップをプレイする場面」がトラキアのゲームソフトの本
質的な部分ということはできない。
(イ) また,控訴人らは被控訴人ゲームの「戦闘マップをプレイする場面」のみを
侵害物件とする旨の選択的主張を行い,その場合には全体マップをプレイする場面
を考慮することが許されないと主張するが,翻案該当性の判断は被控訴人ゲームに
接した者がトラキア全体あるいはトラキアの「戦闘マップをプレイする場面」の表
現上の本質的な特徴を直接感得できるか否かによって判断されるのであるから,被
控訴人ゲームの戦闘マップ以外の場面の存在及びその内容が考慮されることは当然
であり,控訴人らの主張は失当である。
 (5) トラキアと被控訴人ゲームとの共通する表現
 (ア) 控訴人らは,12種類のユニットが登場する点において,トラキアと被控訴人
ゲームは共通する旨主張する。しかしながら,トラキアの攻略本,雑誌記事等に
は,トラキアに登場するユニットが12種類に分類されるとの記載はなく,この分類
は,控訴人らが独自に編み出したものである。任天堂公式ガイドブックにおけるユ
ニットの分類は,控訴人らの主張とは全く異なっており,その職業(兵種)という
唯一の基準にきちんと着目して,①騎士系,②戦士系,③魔道師系,④シーフ系,
⑤踊り子系と分類されている。したがって,12種類のユニットなるものは,そもそ
もトラキアと被控訴人ゲームに共通するものではなく,まして,トラキアの表現上
の本質的な特徴を構成しているものではない。
(イ) 控訴人らは,「本質的ストーリー」「基本ストーリー」なる用語を使用して
いるが,「ストーリー」とは,一般的には,「物語。小説・脚本等の筋。」(岩波
国語辞典第5版)を意味する言葉であり,控訴人らの「本質的ストーリー」「基本
ストーリー」との用語は,「ストーリー」という言葉の通常の意味とは異なる,独
自の定義である。
 (6) 本件共通表現の創作性
(ア)控訴人らは,創造性の有無を判断するに当たり,まとまりのある表現を細分
化して判断すべきではないと主張する。被控訴人らとしても,例えば,言語の著作
物について,単語レベルまで細分化して翻案該当性を判断すべきではないというこ
とに異論はない。なぜなら,言語の著作物である小説に通常の接し方で接する場合
は,通常は,最低でも1つの文章あるいは1つの段落程度のまとまりを一気に読み
通すことが通常の読み方であるからである。
 しかしながら,SRPGの場合,画面上に表示される影像表現は,プレイヤーの
一つ一つのプレイによって変化するから,本件共通表現に記載されたとおりの順序
で画面上に表示されることはまれである。しかも,プレイヤーが一度選択したプレ
イをキャンセルする場合もあるから,その影像表現は,常に順序よく変化していく
とは限らず,しばしば逆転する。したがって,本件共通表現が連続的な表現の最小
単位というのは誤りであり,ゲームソフトの影像表現を分析的に検討する場合にお
ける有意な最小単位は,プレイヤーの1回のプレイに応じて変化する一つ一つの影
像表現であると理解するのが相当である。
 (イ) 本件共通表現に関する創作性の有無及び程度についての詳細は別紙2「トラ
キアと被控訴人ゲームの構成要素ごとの相違部分及び共通部分に関する被控訴人ら
の主張」記載のとおりであるが,「戦闘マップをプレイする場面」の表現について
は,SRPG,RPG,SLGなどの同種ゲームに通常見受けられるありふれた表
現が多く採用されている結果,通常の映画の著作物と比較すれば,アイデアと考え
られる範囲が広く,創作者の個性が創作的に表現される範囲は著作物の表層に現れ
た部分に限定される。したがって,本件共通表現は,いずれもアイデアなど表現そ
れ自体ではないか,表現上の創作性を有しないものであり,仮に,創作性の要件を
緩やかに解釈して創作性を認めるとしても,その創作性の低さに照らせば,著作物
としての保護範囲は狭いというべきである。
(7) トラキアと被控訴人ゲームの相違する表現形式の存否と評価
 著作物の「本質的な特徴」の感得性の存否を判断するに際しては,侵害されたと
主張されている著作物には存在せず,侵害したと主張されている著作物のみに存在
する付加的要素の有無や,両者の質的,量的な相違に着目する必要がある。
 トラキアと被控訴人ゲームの相違部分の詳細は,別紙2記載のとおりであるが,
例えば,被控訴人ゲームでは,トラキアと共通するエピソードは一切存在しないこ
とはもとより,テーマとストーリーが新たに創作され,①リュナンとホームズの2
人の主人公がそれぞれの部隊を率いる2部隊制となり,②それに伴ってプレイヤー
が大がかりな編成(ユニットやアイテムの入替えなど)をすることが可能になって
いる。また,被控訴人ゲームの「戦闘マップをプレイする場面」に関しても,戦闘
マップ,戦闘背景画面,イベント背景画面,キャラクター,ゲーム音楽をすべて新
たに制作し,被控訴人ゲームの「戦闘マップをプレイする場面」全体の分量も極め
て多くなっている。この結果,被控訴人ゲームの「戦闘マップをプレイする場面」
にはトラキアの「戦闘マップをプレイする場面」には全く存在しない多種多様な表
現が大幅に付加されている。
 したがって,トラキアと被控訴人ゲームの「戦闘マップをプレイする場面」を,
全体的・総合的に観察すれば,被控訴人ゲームの「戦闘マップをプレイする場面」
に接した者が,トラキアの「戦闘マップをプレイする場面」の表現上の本質的特徴
を直接感得することは不可能である。
 (8) 全体的・総合的観察
 (ア)控訴人らは,ゲームソフト全体とゲームソフト全体,あるいは「戦闘マップ
をプレイする場面」と「戦闘マップをプレイする場面」との類否判断をするに際し
て,個別的観察を行うことなく,全体的観察のみを行うべきである旨主張するが,
SRPGのゲームソフト全体あるいは「戦闘マップをプレイする場面」は,複合的
著作物であるから,①ストーリー,②ゲームシステム,③ゲームの場面,④キャラ
クター,⑤音楽という主たる構成要素に着目し,各構成要素同士を比較することが
必要不可欠である。このような構成要素毎の比較をすることなく,直ちに全体的観
察のみを行うことなどおよそ不可能であり,全体的観察のみではゲームソフト全体
の類否判断としては不十分である。
 そこで,ゲームソフトの各構成要素ごとに,トラキアと被控訴人ゲームの共通す
る部分及び相違する部分を取り上げ,その創作性の有無,程度を比較すると,別紙
2記載のとおりである。
 前記のとおり,被控訴人ゲームとトラキアのゲームソフトを構成する各構成要素
のうち,ストーリーこそがトラキアの最も特徴的な要素というべきであるから,S
RPGのゲームソフトの翻案該当性の判断に際し,両ゲームソフトのストーリーが
全く異なっていることは最大限重視されなければならない。また,その他の構成要
素についても,別紙2記載のとおり,トラキアと被控訴人ゲームには,具体的表現
における大きな相違点が多数存在する。
 他方,トラキアと被控訴人ゲームに共通する部分は,その大半が,ゲームシステ
ム,ルール,表現手法等の表現それ自体ではないアイデアにすぎず,アイデアとし
てもありふれている。また,両ゲームに共通する表現といえる部分についても,他
のゲームソフトにおいても採用されているありふれた表現ばかりであって,到底,
トラキアを特徴付けるような表現ではない。
 さらに,トラキアと被控訴人ゲームのゲームバランスに着目すれば,両ゲームに
は,それぞれ固有かつ独自のゲームバランスが形成されており,各種ゲーム雑誌に
おける被控訴人ゲームに対するプレイヤーの評価や感想を見ても,被控訴人ゲーム
のプレイヤーが,被控訴人ゲーム固有のゲームバランスを感得していることが窺わ
れる。被控訴人Aは,トラキアと被控訴人ゲームの各ゲームソフトの制作に際し,
多大なエネルギーを投入して,長時間にわたりバランス調整を自ら行ったのであっ
て,その結果完成した各ゲームソフトが,それぞれ固有のゲームバランスを備えて
いるのは当然である。したがって,被控訴人ゲームをプレイしたプレイヤーが,被
控訴人ゲームとは異なる独自のゲームバランスを備えたトラキアの表現上の本質的
な特徴を直接感得することもあり得ない。
 (イ) なお,控訴人らは,トラキアと被控訴人ゲームに共通する部分について
「質」と「量」の両面から評価をすることによって,翻案該当性を判断すべきであ
ると主張するところ,被控訴人らとしても,創作性の「質」及び「量」の両面を考
慮することについては異論がない。しかし,本件共通表現は,他のSRPGなどの
ゲームソフトにしばしば見受けられる表現手法や表現であって,何らトラキアに特
徴的なものではなく,創作性が高いものではない。また,控訴人らは,被控訴人ゲ
ームにおいて本件共通表現が大量に使用されていると主張するが,SRPGやSL
Gのゲームソフトにおいては,プレイヤーの操作上の便宜や制作コストの観点か
ら,同じゲームシステムに基づく類似した場面が頻繁に繰返し登場することは当然
であり,大戦略型のSLGシステムを採用したことに起因する本件共通表現が登場
する回数の多さをもって,翻案該当性を肯定するのは誤りである。
 (ウ)また,控訴人らは,翻案該当性の判断として「表現をそこまで類似させる必
然性があるのか」との点も考慮すべきであると主張する。しかしながら,本件にお
いては,トラキアと被控訴人ゲームのゲームデザイナーが同一人物である以上,ゲ
ームソフトの表現にある程度似通った印象を与える部分が生じることは当然という
べきである。むしろ,翻案該当性が問題になっている著作物の制作者が同一人物で
ある場合には,作風,世界観その他の共通性が存在することは必然であり,このよ
うな事情は翻案該当性を緩和する方向に考慮すべきである。ゲームシステムのオリ
ジナルな発案者でもない控訴人らが,著作権法に基づき,その独占を求めること
は,わが国のコンピューターゲーム文化の発展を阻害し,その未来を閉ざすに至る
ものである。
 (9) 翻案該当性(結論)
 以上のとおり,被控訴人ゲームをプレイした者が,トラキアの表現上の本質的な
特徴を直接感得することはあり得ず,被控訴人ゲームはトラキアの翻案に当たらな
い。
 3 トラキアへの依拠の有無
 著作物の創作行為は,創作者の思想又は感情を,その個々の著作物の創作時にお
いて具象化して創作的な表現形式として結実させるものであり,また,各著作物
は,創作者の精神的活動による創作者人格の発露としてそれ自体が創作者固有の個
性を備えるに至るものであるから,同一創作者による複数の著作物の創作行為は,
それぞれが相互に独立した新たな著作物を創造するものである。すなわち,ある著
作物と別の著作物の制作者が同一である場合には,制作者は,制作時ごとに,独自
に個々の制作行為を行うのであって,自己のものとはいえ既存の著作物に依拠して
制作するわけではない。制作者が同一である場合には,同一制作者の著作物の創作
行為について,当該制作者の創作した従前の著作物に対する依拠が観念できるとし
ても,その場合の依拠は,無意識の依拠にすぎない。したがって,本件のように制
作者が同一人物である場合には,当該人物の創作行為は,当該人物が従前創作した
著作物に対する依拠が否定され,著作権侵害を構成しない。
 4 被控訴人の故意又は過失
 被控訴人らの故意又は過失についての控訴人らの主張は争う。
 5 損害
損害額に関し,被控訴人らは,使用料相当額が売上高の10%を下回らないと主
張するが,これは何ら証拠に基づかない不当な請求というほかない。
 6 まとめ
 以上によれば,被控訴人らの行為はトラキアの著作物の翻案には該当しないので
あるから,控訴人らの差止請求及び損害賠償請求はいずれも理由がない。
第4-2不正競争防止法に基づく請求(予備的請求)について
(控訴人ら)
 1 商品等表示
 本件において,控訴人らが控訴人ゲームの商品等表示として主張するのは,①控
訴人ゲームのゲームタイトルである「ファイアーエムブレム」との表示,②控訴人
ゲームの略称ないし愛称である「エムブレム」との表示,③別紙3「控訴人らの主
張する商品等表示としての影像及びその変化の態様」中の「本件影像商品表示目
録」に記載された影像表示及びその変化の態様である(以下,これらの商品等表示
を総称するときは「控訴人商品等表示」という。)。(なお,以下,別紙3中の上
記目録を「控訴人ゲーム影像表示目録」,同目録に記載された影像表示及びその変
化の態様を総称して「控訴人ゲーム影像表示」といい,同目録1ないし3に記載さ
れた影像表示を個別に指す場合には,それぞれ「控訴人ゲーム戦闘場面影像表示」
「控訴人ゲーム主人公影像表示」「控訴人ペガサスナイト影像表示」という。)
 本件において,控訴人らが,被控訴人ゲームの商品等表示として主張するのは,
①「エムブレムサーガ」との表示,②上記別紙3中の「イ号物件影像表示目録」に
記載された影像である。(以下,被控訴人ゲームについても控訴人ゲームにならっ
て略称する。)。
 2 控訴人イズの「他人」該当性
 控訴人イズは,不正競争防止法2条1項1号,2号にいう「他人」に該当するか
ら,不正競争防止法に基づく請求主体として認められるべきである。
 (1) 不正競争防止法2条1項1号,2号が,商品主体又は営業主体の混同を生じ
させる行為を不正競争行為と規定した趣旨は,他人の商品又は営業との誤認混同を
生ぜしめる行為を防止することにある。したがって,このような行為によって営業
上の利益を侵害され,又は侵害されるおそれがある者が,この不正競争行為から保
護されるべき「他人」,すなわち商品主体又は営業主体であると解すべきである。
 これに対し,被控訴人らは,不正競争防止法2条1項1号,2号の請求主体を当
該製品の製造,販売等の業務に主体的に関与する事業主体に限られると主張する
が,同各号にいう「他人」には,製造販売業者に限らず,使用許諾を受けて主体的
に関与する者も含まれる(最三小判昭和59年5月29日民集38巻7号920頁
(以下「アメリカンプロフットボール事件上告審判決」という。)参照)。控訴人
イズのように,商品の製造販売実施権を第三者に独占的に付与した者にとって,当
該商品の製造販売を自ら行わないことは,契約上,むしろ当然というべきであるか
ら,被控訴人らの主張する基準は不正競争防止法上の請求主体の範囲を不当に限定
するものである。
 (2) 控訴人イズが,被控訴人らの不正競争行為によって営業上の利益を侵害さ
れ,又は侵害されるおそれがある者に該当することは,以下の事実から明らかであ
る。
 (ア) 控訴人イズは,ファイアーエムブレム・シリーズのゲームソフトの開発を,
昭和63年10月ころから開始し,それ以来,現在に至るまで継続している。
 (イ) 控訴人イズは,控訴人ゲームの製造販売権を控訴人任天堂に独占的に使用許
諾し,もって,控訴人ゲームの売上げの中から控訴人ゲームの開発に要する控訴人
イズの経費及び利益を製造販売許諾の対価(ロイヤルティ)として取得している。
 (ウ) 控訴人イズは,「ファイアーエムブレム」(商標登録第3174176号)
及びその略称の「エムブレム」(商標登録第4510013号)について単独で商
標登録を取得し維持管理している。
 (エ) 控訴人イズは,控訴人ゲームに対する需要者の信頼を維持するべく,ゲーム
ソフトの品質を保証している。
 (オ) 控訴人イズは,控訴人ゲームに関する商品化事業の窓口業務を控訴人任天堂
に委託し,控訴人ゲームの商品化許諾契約により得た許諾料を控訴人任天堂と分配
して取得している。また,控訴人イズは,控訴人ゲームの商品化権の使用許諾契約
を通じ,あるいは商品化業務の遂行により,その品質管理・監修を行っている。
 (カ) 控訴人イズは,業として,控訴人ゲームの制作及び使用許諾を通じた製造,
販売,商品化事業の展開を10年以上もの長期にわたって継続し,控訴人ゲーム表
示の出所表示機能,品質保証機能,顧客吸引力を保護発展させるという共通の目的
の下に,控訴人任天堂と共に緊密な営業活動を行ってきた。
 (3) 被控訴人らは,不正競争防止法に基づく請求主体となるためには,需要者・
取引者から見て,当該商品の製造者若しくは販売元又は当該営業の主宰者として認
識されることが必要であるなどと主張する。しかしながら,不正競争防止法2条1
項1号,2号にいう「他人性」の認定で問題となるのは,冒用者の冒用の認識であ
って,需要者の認識ではない。本件においては,被控訴人らの冒用の認識は十分に
認められる。 
 さらに,「他人性」を特定のための要件と理解した場合でも,特定性の問題はあ
くまで需要者からみて,ある特定の商品や営業をその他の者の商品や営業から識別
するものとして当該商品等表示が知られているかどうかの問題である。したがっ
て,特定性を充足するためには,それ以上に識別された商品や営業の主体の名称ま
でもが周知である必要はない。本件についていえば,控訴人ゲームの商品等表示が
控訴人ゲームをその他のゲームソフト商品から識別するものとして知られていれば
それだけで特定性を充足するものであり,それ以上に,控訴人ゲームの主体として
控訴人任天堂と控訴人イズが含まれていることまで知られている必要はない。
 (4) 以上のとおり,控訴人イズも不正競争防止法に基づく請求主体と解すべきで
あるが,仮に,控訴人イズが請求主体と認められない場合には,控訴人任天堂は,
上記第1の2(4)のとおり,追加(増額)請求を行う。
 3 周知又は著名な商品等表示
 3-1 「ファイアーエムブレム」との表示の周知性又は著名性
 控訴人ゲームのゲームタイトルである「ファイアーエムブレム」との表示は,需
要者の間で周知又は著名である。
 (1) 「ファイアーエムブレム」表示のうち,火を意味する「ファイア」又
は「FIRE」も,紋章を意味する「エムブレム」又は「EMBLEM」も,商品としてのゲ
ームソフトとは何ら関連性のない文字表示であるから,これらを組み合わせてカタ
カナ表記した「ファイアーエムブレム」との表示は,控訴人ゲームについて自他商
品識別力を有する。
 (2) 控訴人ゲームの周知性又は著名性の判断の基礎となる需要者の範囲は,SR
PGの需要者と解すべきである。この点,被控訴人らは,本件における需要者の範
囲は,家庭用テレビゲーム機向けゲームソフトのユーザー全体か,あるいはSL
G,RPG,SRPGの3つのジャンルのゲームソフトを合計した層ととらえるべ
きであると主張する。しかしながら,不正競争防止法における「需要者」の意義
は,類似表示使用者の商品又は営業の需要者のことであると解されるところ,被控
訴人らは,被控訴人ゲームをSRPG分野に属するゲームソフトと表示し,広告宣
伝及び販売をしたものであるから,本件における需要者はSRPGのユーザーにほ
かならない。
 (3) 「ファイアーエムブレム」表示がSRPGの需要者の間で周知又は著名であ
ることは,以下の(ア)ないし(エ)から明らかである。
 (ア) ファイアーエムブレム・シリーズについては,ゲーム雑誌による宣伝広告,
ゲーム内容の紹介記事の掲載,テレビコマーシャルによる宣伝広告活動が多数なさ
れた。これらの宣伝広告等を掲載したゲーム雑誌の発行部数は,それぞれ1回当た
り数十万部にのぼる。また,テレビコマーシャルについては,その放映地域は全国
にわたっており,東京地区,大阪地区だけでも,30秒コマーシャルの延べ放映本
数は,1070本に及ぶ。控訴人ゲームに関するこうした雑誌,テレビにおける宣
伝広告活動のため,控訴人任天堂は,平成8年5月末現在で,総額14億1339
万円を支出した。
 (イ) ファイアーエムブレム・シリーズの販売本数をみると,暗黒竜と光の剣が3
2万9087本,外伝が32万4699本,紋章の謎が77万6338本,聖戦の
系譜が49万8216本,トラキアが10万6108本,合計203万4448本
という売れ行きを示している。ファイアーエムブレム・シリーズは,SRPG分野
に属し,その需要者は,RPGのユーザーの10分の1である。こうした点に鑑み
ると,控訴人ゲームの販売本数は周知性又は著名性を獲得するのに十分な数の販売
本数というべきである。
 (ウ) ファイアーエムブレム・シリーズは,ゲーム雑誌において,売上げランキン
グ又は読者人気ランキングなどで上位にランクされた。例えば,暗黒竜と光の剣
は,「ファミコン必勝本」平成2年5月18日号において発売前の読者の期待ラン
キングが第2位となっており,また,外伝は,「ファミリーコンピュータ
Magazine」平成4年4月17日号,「ファミコン通信」平成4年4月10日号及び
「マル勝スーパーファミコン」平成4年4月24日号において,売上げランキング
が第1位となっている。紋章の謎,聖戦の系譜,トラキアについても,同様に,ゲ
ーム雑誌における売上げランキングが第1位にランクされている。さらに,ファイ
アーエムブレム・シリーズ第1作である暗黒竜と光の剣は,ファミコン発売開始の
20年後の平成15年の時点においても,すべてのファミコンソフトの中で,元祖
SRPGとして又はSLGとして第1位と評価されている。
 (エ) ファイアーエムブレム・シリーズについては,攻略本,コミック,小説,ゲ
ームブック,4コマ漫画,イラスト集,楽譜,CD,LD,オリジナルビデオ,ト
レーディングカードなど多種類にわたる商品化事業が行われている。
 (4) 以上のとおり,「ファイアーエムブレム」との表示は,需要者の間で周知又
は著名である。
 3-2「エムブレム」との表示の周知性又は著名性
 「ファイアーエムブレム」の愛称ないし略称である「エムブレム」との表示は,
需要者の間で周知又は著名な商品等表示である。
 (1) 「エムブレム」表示は,需要者間で自然発生的に周知となった愛称ないし略
称である。このように,需要者の間で,愛称,略称等として広く認識されるに至っ
た表示についても商品等表示性は認められ,商品等表示主体・営業表示主体自らが
当該愛称ないし略称を使用していない場合であっても,周知性は肯定されている
(最一小判平成5年12月16日判時1480号146頁(アメックス事件))。
 (2) 「エムブレム」は,周知又は著名なファイアーエムブレム・シリーズにおい
て,ゲームタイトルの一部としてのみならず,シリーズを象徴するモチーフとし
て,第1作から第5作まで10年余りにわたって継続的に使用されている。これに
より,「エムブレム」表示はファイアーエムブレム・シリーズを象徴し,他との識
別力を有する称呼,観念,外観を獲得した。
 また,英語の「EMBLEM」のカタカナ表記は「エンブレム」であり,「エムブレ
ム」との表記は,旧仮名遣い表記を用いる点で現代においては特徴的な表示であ
る。さらに,現在に至るまで,「ン」ではなく「ム」を用いる「エムブレム」をゲ
ームタイトルに含むゲームソフトは,被控訴人ゲーム以外には控訴人ゲームしか存
在しない。このような事実からも,「エムブレム」が自他商品識別力を有すること
は明らかである。 
 (3) 「エムブレム」との表示は,以下のとおり,ファイアーエムブレム・シリー
ズを示すものとしてSRPGの需要者の間で頻繁かつ広汎に使用され,周知又は著
名となっている。 
 (ア) ファイアーエムブレム・シリーズは,多数のゲーム雑誌,攻略本等において
「エムブレム」と略称して掲載又は紹介され,また,数え切れないほどのインター
ネットサイトで「エムブレム」と略称されて取り上げられている。
 (イ) 控訴人ゲームのファンは,「エムブレマー」と呼ばれ,控訴人イズのホーム
ページにあったファイアーエムブレム・シリーズのファン用のページの名称
は「EMBLER'SROOM(エムブラーズルーム)」であった。
 (ウ) 控訴人ゲームを指すものとしての「エムブレム」のカタカナの使用例におい
ては必ず「ム」を用いる「エムブレム」の表記がなされており,需要者が,単なる
「エンブレム」と区別して「エムブレム」を控訴人ゲームを意味する特殊な名称と
して記載していたことを示している。 
 (4) 被控訴人らは,ファイアーエムブレム・シリーズのゲームソフトには,「エ
ムブレム」だけではなく,「FE」という略称も存在したから,「エムブレム」表
示は商品等表示性,周知・著名性ともに得ていないと主張する。しかしながら,S
RPGの需要者にとっては,略称「エムブレム」又は略称「FE」のいずれに接し
ても,正式名称「ファイアーエムブレム」を想起し得るものであるから,「エムブ
レム」の他に「FE]という略称が併存したとしても,「エムブレム」の周知性又
は著名性を否定する理由にはならない。
 また,被控訴人らは,「エムブレム」表示が単独で使用される回数を問題にす
る。しかしながら,「エムブレム」のように需要者の間で自然発生的に使用される
に至った愛称ないし略称の周知性は,需要者による使用例において判断するべきで
ある。被控訴人らが正式名称と併記されていると主張する例はもっぱらゲーム雑誌
の表紙の記載であるが,雑誌の表紙における「エムブレム」の単独使用の回数の多
寡にかかわらず,インターネットなどにおいて需要者は「エムブレム」を単独で広
く多用している事実が認められるのであるから,単独使用の多寡は周知性又は著名
性の判断に影響を与えるものではない。
 (5) したがって,「エムブレム」との表示も,周知又は著名な控訴人ゲームの商
品表示である。
3-3控訴人ゲーム影像表示の周知性又は著名性
 控訴人ゲーム影像表示目録記載のゲーム影像及びその変化の態様は,需要者の間
で周知又は著名な商品等表示である。
 (1) 「他人の商品等表示」にかかる不正競争防止法2条1項1号かっこ書きは条
文の文言上も限定列挙ではないから,商品ないし営業を示すものとして需要者の間
に広く認識されているものは同号にいう「商品等表示」に該当する。したがって,
ゲームの各種影像とゲームの進行に応じたその変化の態様も,自他商品識別機能を
備えるに至った場合には,商品等表示性が認められ不正競争防止法による保護の対
象となる(東京地判昭和57年9月27日無体集14巻3号593頁(「スペース
インベーダーゲーム事件判決」という。),京都地決昭和57年7月5日(甲21
9,ドンキーコング事件仮処分決定)参照)。被控訴人らは,上記スペースインベ
ーダー事件判決に言及して,ゲーム影像及びその変化の態様は,本来的には商品等
表示ではないから,これが商品等表示となり得るのは極めて例外的な場合のみであ
ると主張する。しかしながら,上記のとおり,商品等表示の種類には限定はないの
であるから,ゲーム影像表示について被控訴人らが主張するような厳格な立証が必
要であると解すべき根拠はない。
 (2) 大多数の需要者は,ゲームソフト購入前に,ゲーム雑誌,テレビコマーシャ
ル,チラシ,販売店の店頭の販売促進ビデオ,ポスター,ゲームショーでの展示,
体験版,ゲームソフトパッケージなどで,ゲームソフトの特徴的なゲーム影像を見
た上で,購入の意思決定を行う。特に,シリーズ作品の場合,需要者は上記のよう
な宣伝媒体のゲーム影像を見て,従前のシリーズ作品と特徴が変わらないことや新
たに追加された点を確認して購入の意思決定をなす。このように,宣伝媒体に表示
されたゲーム影像及びその変化の態様は需要者に対する商品等表示そのものである
ということができる。
(3) このように商品等表示性を有する控訴人ゲーム影像表示は,トラキア発売時
である平成11年9月時点において,又は,遅くとも被控訴人ゲームの発売のため
の広告宣伝当時には,SRPGの需要者の間で,周知又は著名であった。
 (ア) ファイアーエムブレム・シリーズの第1作である暗黒竜と光の剣は元祖SR
PGとしてその独創性が高く評価され,ファミコン発売開始の20年後の平成15
年時点においても,ファミコンソフトの中でSLGの第1位と評価されている。ま
た,控訴人ゲームの販売数量はシリーズ第5作までで全体で約200万本を超える
ものであり,控訴人ゲームは,名実ともにSRPGの元祖,筆頭たるべき周知性又
は著名性を有する。
 (イ) 控訴人ゲームは,平成2年に第1作を発売して以来,控訴人ゲーム影像表示
目録記載の西洋中世の世界観のもと,各ゲームソフトの全編にわたって同主人公影
像表示で表示された少年王子を中心とする個性あるユニットが,控訴人ゲーム戦闘
場面影像表示で表示された戦闘場面を繰り返すことにより,マップをクリアしてゲ
ームクリアを目指すという基本的な形態を保持し,同ペガサスナイト影像表示はそ
の特徴的なゲーム影像であった。そして,このような控訴人ゲーム影像表示は,平
成2年以来,今日まで,チラシ広告,テレビコマーシャル,ゲーム雑誌等の広告宣
伝活動や商品パッケージ自体に広く用いられてきた。
 (ウ) 控訴人ゲーム影像表示は,原判決及び被控訴人らが引用した公知ゲームのい
ずれとも明らかに異なる独自の独創性を有するものであり,控訴人ゲーム戦闘場面
影像表示,同主人公影像表示,同ペガサスナイト影像表示を併せて使用するゲーム
ソフトは,被控訴人ゲーム以外には存在しない。
 (4) 被控訴人らは,控訴人ゲームに関するゲーム雑誌の記事には,控訴人らが控
訴人ゲーム影像表示目録において特定した影像表示とは異なるゲーム影像の方が多
く掲載されていると主張する。しかしながら,ゲーム雑誌においては,需要者に新
作ゲームの情報提供を行うことにより宣伝広告をするものであるから,前号の雑誌
においてすでに掲載した同じゲーム影像や同じ情報を次号において繰り返し再度掲
載することはまずない。控訴人ゲーム影像表示目録で特定したゲーム影像の掲載回
数が控訴人ゲームに関する記事の掲載回数より少ないのは,このようなゲーム雑誌
による情報提供の特性に基づくものであるから,控訴人ゲーム影像表示の周知性に
影響を与えるものではない。 
 (5) 以上のとおり,控訴人ゲーム影像表示目録記載のゲーム影像及びその変化の
態様は,需要者の間で周知又は著名な商品等表示である。
 4 控訴人ゲームと被控訴人ゲームの商品等表示の類似性
 4-1控訴人ゲームの「ファイアーエムブレム」表示及び「エムブレム」表示と
被控訴人ゲームの「エムブレムサーガ」表示との類似性
 控訴人ゲームの「ファイアーエムブレム」表示と被控訴人ゲームの「エムブレム
サーガ」表示,控訴人ゲームの「エムブレム」表示と被控訴人ゲームの「エムブレ
ムサーガ」表示は,いずれも類似している。
 (1) 「ファイアーエムブレム」表示のうち,自他商品識別力の中心となる要部は
「エムブレム」である。すなわち,「エムブレム」は,ファイアーエムブレム・シ
リーズを指すものとしてSRPG分野の需要者間に広く呼び慣わされてきた略称で
あり,「ファイアーエムブレム」を「ファイアー」と略称することはない。また,
「エムブレム」は,「エンブレム」ではなく「エムブレム」という旧仮名遣い表記
による,現代においては造語的印象をもつ特徴的表記であり,「エムブレム」の語
を含むゲームタイトルは,ファイアーエムブレム・シリーズ以外には被控訴人ゲー
ムしか存在しないのに対し,「ファイアー」をタイトルに含むゲームは,「ファイ
アーボール」「スーパーファイアープロレスリング」など多数存在する。したがっ
て,「エムブレム」との部分が他のゲームソフトとの識別力を有する要部であるこ
とは明らかである。この点,被控訴人らは,「エムブレム」は一般に周知の外来語
であるから要部とはなりがたいと主張するが,かかる被控訴人らの論理は,国語辞
典に掲載された用語は一般に周知であるから要部になり得ないと主張しているにす
ぎず,失当である。
 他方,被控訴人ゲームの「エムブレムサーガ」との表示のうち,「サーガ」は,
通常,「伝説」や「物語」を意味するものとして,ゲームや小説の末尾部分に付さ
れるものであって,ゲームの名称の一部としてはありふれており,「サーガ」のつ
くゲームは「リグロードサーガ」「ファーランドサーガ」「ラスタンサーガⅡ」な
ど多数存在する。また,「サーガ」は,「エムブレム」と異なり,造語的な印象を
与えない。これに対し,「エムブレム」をゲームタイトルに含むゲームは,被控訴
人ゲーム以外では,ファイアーエムブレム・シリーズしか存在せず,「エムブレ
ム」が造語的印象をもつ特徴的表記であることは上記のとおりである。したがっ
て,「エムブレムサーガ」表示においても,「エムブレム」の部分が自他商品識別
力を有する要部である。この点,被控訴人らは「サーガ」は英語に堪能な者でなけ
れば何の観念も生じないなどと主張しているが,「サーガ」は広辞苑等の最も普及
している国語辞典において掲載されており,需要者も「サーガ」を「物語」を意味
する一般用語と理解しているのであって,被控訴人らの主張は失当である。
 そうすると,「ファイアーエムブレム」又は「エムブレム」表示と「エムブレム
サーガ」表示の要部は,いずれも「エムブレム」ということになり,その外観,称
呼,観念において同一である。
 (2) また,商品等表示及び営業表示の類似性については,現実の使用状況を斟酌
して,商品の出所又は営業主体につき混同を惹起するおそれがあるか否かによって
判断される(最二小判昭和58年10年7日民集37巻8号1082頁(以下「ウ
ーマンパワー事件判決」という。))。本件では,「エムブレム」表示は,ファイ
アーエムブレム・シリーズのタイトルに使用されているのみならず,その意味する
ところの紋章はファイアーエムブレム・シリーズを象徴する重要なモチーフとして
第1作から第5作に至るまで継続的に使用されてきた。このような状況の下,被控
訴人は,「エムブレム」を含むタイトルを付し,しかも,控訴人ゲーム同様,紋章
を重要なモチーフとして使用するSRPGである被控訴人ゲームを制作し,その販
売のための広告宣伝を開始したものである。かかる取引の実情に照らすと,被控訴
人ゲームに接した需要者は,被控訴人ゲームを「ファイアーエムブレム」と同一又
は関連する出所からのシリーズ作品と誤認・混同するおそれがある。
 (3) 以上のとおりであるから,「ファイアーエムブレム」表示と「エムブレムサ
ーガ」表示,「エムブレム」表示と「エムブレムサーガ」表示は,いずれも類似し
ているということができる。
 4-2控訴人ゲーム影像表示と被控訴人ゲーム影像表示との類似性
控訴人ゲーム影像表示と被控訴人ゲーム影像表示は,類似している。
 (1) 控訴人ゲーム影像表示と被控訴人ゲーム影像表示は,控訴人ゲーム影像表示
目録及び被控訴人ゲーム影像表示目録に文章で詳細に記載した特徴点のすべてにわ
たって一致している。すなわち,控訴人ゲーム影像表示及び被控訴人ゲーム影像表
示の戦闘場面影像表示,主人公影像表示,ペガサスナイト影像表示は,単に「トッ
プビューから1対1のサイドビューに切りかわる」「髪の色が青い」「ペガサスに
乗ることのできる三姉妹が登場する」という,大まかなレベルの点だけが共通する
のではなく,それ以外にも,同各目録本文に文章で詳細に列挙した具体的な特徴点
のすべてにわたって一致している。これは,同各目録に添付された「別紙3①対
比」ないし「別紙3③対比」から一見して明らかである。
 (2) 需要者は,購入前にゲーム影像を見て内容を知ってから購入するものであ
り,販売者は,発売前に,あらかじめ,取引者又は需要者の注意を引きつけるゲー
ム影像を,雑誌広告やテレビコマーシャル,販売促進ビデオなどで表示することに
より,購買意欲を喚起する。したがって,控訴人ゲーム影像表示と被控訴人ゲーム
影像表示との共通する特徴点は,取引者又は需要者の注意を引きつける要部に他な
らない。
 (3) 類似性判断は,その商品・役務にかかわる,ある特定の商品等表示だけで判
断すべきではなく,当該商品にかかわるすべての商品等表示を全体として観察して
判断するべきものである。本件における前記のとおりの取引の実情に照らすと,遅
くとも,被控訴人ゲーム発売のための広告宣伝を開始した当時,「エムブレムサー
ガ」との名称に接したSRPG需要者は,ファイアーエムブレム・シリーズを想起
し得る状態にあったということができる。そうしたところ,被控訴人らは,控訴人
ゲームの周知性にただ乗りすべく,被控訴人ゲームの宣伝広告において,被控訴人
ゲーム影像表示を控訴人ゲーム影像表示と同様の態様で使用し,需要者に対しても
このような態様で使用していることを積極的に宣伝広告してきたものである。した
がって,需要者としては,控訴人ゲーム影像表示と被控訴人ゲーム影像表示を全体
として類似していると受け取るおそれが極めて高かったということができる。
 5 混同を生じさせる行為
 被控訴人らの行為は不正競争防止法2条1項1号にいう「混同を生じさせる行
為」に該当する。
 (1) 上記のとおり,被控訴人らは,需要者の間で周知な控訴人ゲームの商品等表
示に酷似する商品等表示を被控訴人ゲームにおいて使用している。このように酷似
している商品等表示を使用すれば,特段の事情がない限り,少なくともSRPGの
需要者は,被控訴人ゲームの出所が控訴人らであるかのように,あるいは被控訴人
ゲームを制作・販売する者が控訴人らから正当な許諾を受けているなどの特別な法
律関係があるかのように誤認・混同するおそれがあることは当然である。したがっ
て,本件において,混同のおそれが否定されるためには,混同の懸念を払拭するに
足りる市場の状況や,混同を具体的に抑止する打消し行為等が必要である。しかる
に,被控訴人らは一切,かかる打消し行為等を行っていない。したがって,被控訴
人らの行為が「混同を生じさせる行為」に該当することは明らかである。
 (2) 加えて,本件においては被控訴人らによる積極的な混同惹起行為が認められ
る。
 すなわち,被控訴人らは,控訴人ゲームの商品等表示に類似する商品等表示を被
控訴人ゲームにおいて使用し,ファイアーエムブレム・シリーズとの関連性を強調
する宣伝広告をゲーム雑誌,ポスター,ホームページ,テレビコマーシャル,体験
版等の各種宣伝媒体において共同して実行した。例えば,「週刊ファミ通」平成1
2年1月21日号(甲20,被控訴人エンターブレインの前身である株式会社アス
キーが発行したもので,同雑誌の当時の編集長は被控訴人エンターブレインの代表
者であるBである。)の被控訴人ゲームの紹介宣伝記事においては,被控訴人ゲー
ムとファイアーエムブレム・シリーズの制作者が同一であることが強調されるとと
もに,被控訴人A自らが,被控訴人ゲームはファイアーエムブレム・シリーズ5作
品と世界観を共通にし,同シリーズに続く4つ目の大陸を舞台とするゲームである
ことや,同シリーズに登場した人気キャラクターが被控訴人ゲームでも登場するこ
となどをアピールしている。
 また,被控訴人らは,平成13年3月8日の被控訴人ゲーム発売予約開始の前
に,ファイアーエムブレム・シリーズ第1作から第3作までに登場した人気キャラ
クターであるペガサス三姉妹が被控訴人ゲームに登場することを告知し,その他に
も被控訴人ゲームの宣伝広告において,ファイアーエムブレム・シリーズの人気キ
ャラクターと酷似するキャラクターを繰り返し用いて需要者の購買意欲を喚起して
いる。
 このような被控訴人らの積極的な混同惹起行為により,需要者における混同のお
それは一層強まったものである。
 (3) さらに,本件では,被控訴人らの積極的な混同惹起行為の結果,需要者の間
で混同が現実に生じている。例えば,インターネットのホームページ上の記載,ゲ
ーム雑誌上への投稿,雑誌記事等に見られるように,一般需要者の間には,被控訴
人ゲームがファイアーエムブレム・シリーズに連なるゲームソフトであるとの混同
が生じ,一般需要者以上に知識を有するはずの販売店や被控訴人ゲームの評論記事
においても同様の混同が見られる。
 (4) これに対し,被控訴人らは,需要者は,被控訴人ゲームを「新作」「オリジ
ナル作品」「事実上の続編」などであると認識していたのであるから,ファイアー
エムブレム・シリーズの続編とは認識していなかったと主張する。しかしながら,
仮にそのような認識があったとしても,需要者における混同発生事実を否定する根
拠とはならない。
 また,被控訴人らは,被控訴人Aの移籍によって需要者の間に事実上の混乱が生
じたとしても,それは有名な服飾デザイナーが移籍する場合と同様であって「混
同」と評価すべきではないと主張する。しかしながら,被控訴人Aは需要者の一部
に知られていたにすぎず,むしろ被控訴人ゲームの知名度を上げるために,被控訴
人らは,ファイアーエムブレム・シリーズと被控訴人Aの関係を関連付ける宣伝広
告活動を行ったものであり,服飾における有名デザイナーの移籍とは事案を全く異
にする。
 むしろ,被控訴人Aは,控訴人イズを退職する際,控訴人イズが開発した未完成
作である「トゥルーエムブレム」の開発データを持ち出して被控訴人ゲームで使用
するとともに,トラキアの開発資料も持ち出したものであり,被控訴人Aが不正競
争の意図を有していたことは明らかである。
 (5) 以上のとおり,被控訴人らの行為は不正競争防止法2条1項1号にいう「混
同を生じさせる行為」に該当する。被控訴人らは,前記のとおり,平成13年4月
2日ころ,被控訴人ゲームの発売直前にそのタイトルのみを「ティアリングサーガ
 ユトナ英雄戦記」と変更したが,その後も現在に至るまで被控訴人ゲームの販売
を継続し,被控訴人らの不正競争行為によって需要者間に生じた混同のおそれを具
体的に抑止する打消し行為は何ら行っていないのであるから,需要者による混同の
おそれは現在も引き続き存在する。
 6 被控訴人らの故意又は過失
 被控訴人らは,控訴人ゲームの商品等表示と類似する商品等表示を使用して被控
訴人ゲームを制作,販売したものであり,このような不正競争行為について,故意
又は過失が認められる。
 すなわち,被控訴人エンターブレイン及び被控訴人ティルナノーグは,被控訴人
ゲームを制作,販売した。被控訴人Aは,被控訴人ティルナノーグの代表者として
これを遂行するとともに,個人としても被控訴人ゲームの制作に主体的に関与し
た。被控訴人Aは,周知の控訴人ゲームの商品等表示に類似する被控訴人ゲーム商
品等表示を使用することにより,需要者の間に控訴人ゲームとの混同が生じるおそ
れがあることを熟知していた。
 また,被控訴人エンターブレイン(分社化前は株式会社アスキー)は,控訴人ゲ
ームのゲーム内容を紹介した雑誌(「週刊ファミ通」及び「ファミ通+64」)や
トラキアの攻略本の発行者であり,控訴人らから「トラキアデラックスパック」の
商品化使用許諾を受けていた。被控訴人エンターブレインの代表者であるBは上記
雑誌及び書籍の発行人兼編集人であり,控訴人ゲームのファンとして知られている
のであるから,Bもまた,控訴人ゲームの商品等表示に類似する被控訴人ゲームの
商品等表示を使用することにより,需要者の間に控訴人ゲームとの混同が生じるお
それがあることを熟知していたというべきである。
 さらに,被控訴人らは,控訴人ゲームの商品等表示に類似する被控訴人ゲームの
商品等表示を用いて盛んに広告宣伝活動を行い,控訴人らから不正競争防止法違反
の警告を受けても予約販売の受注を継続し,予約受注締切後に初めて一般消費者に
被控訴人ゲームのタイトルの変更を告知するなどの行為に及んだ。このような被控
訴人らの不正競争行為は悪質というほかなく,被控訴人らには故意又は過失がある
というべきである。
 7 損害
 上記第4-1の5記載のとおり。
 8 まとめ
 以上のとおり,被控訴人らの行為は,不正競争防止法2条1項1号,2号所定の
各要件を充足するので,控訴人らは,被控訴人エンターブレイン及び被控訴人ティ
ルナノーグに対し,同法3条に基づいて被控訴人ゲームの製造,販売,頒布の差止
めを求めるとともに,不正競争行為による損害賠償として,被控訴人らが控訴人ら
のそれぞれに対し上記損害1億2915万円(1億1744万5000円と117
0万5000円の合計)及びこれに対する平成13年8月8日(訴状送達の翌日)
から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を連帯して支払うことを求め,仮
に,控訴人イズが不正競争防止法上の請求主体と認められない場合には,被控訴人
らが控訴人任天堂に対し2億5830万円(上記の1億2915万円を含む。)及
びこれに対する平成13年8月8日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害
金を連帯して支払うことを求める。
(被控訴人ら)
 1 商品等表示
 控訴人らが本件における商品等表示として前記のとおり主張していることは争わ
ない。
 2 控訴人イズの「他人」該当性 
 控訴人イズは,不正競争防止法2条1項1号,2号にいう「他人」には該当しな
いから,同法に基づく請求主体ということはできない。
 (1) 不正競争防止法2条1項1号,2号の規定は,商品等表示についていえば,
他人の商品との混同を生じさせる行為等を防止することによって,商品等表示に化
体された商品主体の信用の冒用,毀損を防止し,もって,公正な競業秩序の維持,
形成を図ろうとするものである。したがって,これらの規定によって保護されるべ
き者は,商品に関する信用の保持者たる主体,すなわち当該商品の製造,販売等の
業務に主体的に関与する事業主体に限られると解すべきである。これを具体的にい
えば,原則として,当該表示を付した商品について,その品質等を管理し,販売価
格や販売数量を自ら決定する者が,これに該当するものと解すべきである。
 (2) 本件では,控訴人イズは,控訴人任天堂に対し,控訴人ゲームの著作権及び
商標権に関する使用許諾をしたほかは,全く何もしていない。すなわち,控訴人ゲ
ームを製造,販売するとともに,その販売価格及び製造・販売数量の決定をしてい
るのは,控訴人任天堂であって,控訴人イズではない。また,在庫リスク(売れ残
りリスク)及び債権回収リスク(貸倒れリスク)の負担をしているのも控訴人任天
堂であり,控訴人イズはこれらのリスクを一切負っていないばかりか,控訴人任天
堂からロイヤリティとして最低保証を得ている。さらに,控訴人ゲームが仕様に合
致しているか否かを判断し決定する者も,控訴人任天堂であり,控訴人ゲームに関
する商品化事業についても,主体的に関与してきた事業主体は,控訴人任天堂であ
って,控訴人イズではない。控訴人イズは,商品化事業に関して実際の作業を行っ
たことを示す証拠として,わずか数点の証拠(甲389ないし392)しか提出で
きていないが,これでは不正競争防止法上の請求主体であると認めるには足りな
い。
 (3) 控訴人イズが不正競争防止法2条1項1号,2号の「他人」に当たらないこ
とは,控訴人ゲームの需要者・取引者の認識からも基礎付けることができる。すな
わち,同規定の趣旨は,商品等表示についてその顧客吸引力を利用するただ乗りを
防止するとともに,その出所表示機能及び品質表示機能が稀釈化により害されるこ
とを防止するところにある。したがって,これらの規定によって保護されるべき者
は,商品等表示に化体された信用・名声を自らの信用・名声とする者,すなわち,
商品等表示により,需要者・取引者から見て,当該商品の製造者若しくは販売元又
は当該営業の主宰者として認識される者,あるいは,当該商品等表示に関して形成
されているグループに属すると認識される者に限られると解すべきである。
 本件では,控訴人イズの名称は,控訴人ゲームの流通段階において,需要者・取
引者の目にほとんど触れていない。すなわち,ファイアーエムブレム・シリーズ第
1作から第4作については,商品のパッケージ,雑誌等における宣伝広告,雑誌等
の記事いずれにも,控訴人任天堂の名称のみが記載され,控訴人イズの名称は記載
されていない。また,ファイアーエムブレム・シリーズ第5作のトラキアについて
も,雑誌記事やパッケージなどにおいて,控訴人イズの名称は著作権表示として控
訴人任天堂と並んで小さく記載されているにすぎず,逆に控訴人任天堂の名称は,
著作権表示とは別に,単独で,大書されている。さらに,控訴人ゲームの商品化事
業についても,控訴人イズの名称が何らかの形で表示されている証拠は,控訴人イ
ズと控訴人任天堂との間の契約書関係の証拠を除けば,わずか数点(甲389ない
し392)にすぎない。
 これらの事実によれば,控訴人ゲームのゲームソフトの需要者・取引者は,控訴
人ゲームの商品等表示を控訴人任天堂の表示であると認識し,控訴人イズの商品等
表示とは認識していなかったことは明らかで,同商品等表示に関して,控訴人イズ
も関係する何らかのグループが形成されていると認識していたとも考えられない。
 (4) 以上のとおり,控訴人イズは,不正競争防止法に基づく請求の主体たる「他
人」には該当しない。
3 周知又は著名な商品等表示
 3-1「ファイアーエムブレム」との表示の周知性又は著名性
 「ファイアーエムブレム」との表示は,需要者の間で周知又は著名とはいえな
い。
 (1) 本件における「需要者」とは,家庭用ゲーム機向けゲームソフトのユーザー
全体と解すべきである。控訴人らは,SRPGというジャンルのゲームソフトのユ
ーザー層に限定すべきであると主張するが,ゲームソフトのジャンル区分そのもの
が,相対的かつ主観的な,曖昧なものにすぎない。また,ゲームソフトの卸売業者
も小売業者も,すべてのジャンルのゲームソフトを取り扱っており,SRPGのジ
ャンルのゲームソフトだけを取り扱い,SRPG以外のジャンルのゲームソフトを
取り扱わないなどという卸売業者も小売業者は一切存在しない。さらに,家庭用ゲ
ーム機向けゲームソフトのユーザーも,複数のジャンルのゲームソフトを購入して
おり,SRPGのゲームソフトだけを購入し,SRPG以外のジャンルのゲームソ
フトを一切購入しないというユーザーも存在しない。したがって,控訴人ゲームの
需要者をSRPGのユーザー層に限定するのは相当でない。
 仮に,ゲームソフトのジャンルごとに需要者を区分して考えたとしても,控訴人
ゲームの内容は,SLG的要素とRPG的要素を含むものであり,ゲーム雑誌やゲ
ーム関連の文献等においても,控訴人ゲームは,RPG,SLG,SRPGの少な
くとも3つのジャンルに分類されたことがある。また,控訴人任天堂も,ファイア
ーエムブレム第5作であるトラキアの取扱説明書の冒頭で,ファイアーエムブレム
がSLGであることを認めている。さらに,SLG,RPG,SRPGの3つのジ
ャンルのゲームソフトのユーザーの合計数は,家庭用ゲーム機のユーザー全体の中
で大きな比率を占める。こうした事情を考慮すれば,少なくとも,控訴人ゲームの
需要者は,SLG,RPG,SRPGの3つのジャンルのゲームソフトを合計した
層と解すべきである。したがって,需要者をゲームソフトのジャンルによって区分
したとしても,控訴人ゲームの需要者は幅広く,その人数も極めて多いということ
になる。
 (2) 控訴人ゲームの需要者の範囲を以上のとおり理解した上で,「ファイアーエ
ムブレム」表示が需要者に周知又は著名かどうかを検討すると,以下の理由からそ
の周知性又は著名性は否定すべきである。
 (ア) ゲームソフトの商品等表示の周知性又は著名性の判断において,最も重視さ
れるべき事実は,販売本数(すなわち,現実の需要者をどれだけ確保したのかとい
う事実)というべきである。そもそも,ゲームソフト業界は,ヒット作が毎年のよ
うに多数出現するという極めて競争の激しい業界であるから,ゲームソフトのタイ
トル名が,商品等表示として周知性又は著名性を獲得するに至ることは相当困難な
状況にあるが,ファイアーエムブレム・シリーズのゲームソフトの販売本数は,他
のゲームソフトの販売本数と比べて多いとはいえない。
 すなわち,ゲームソフトのシリーズ全体の合計販売本数が1000万本を超える
ゲームソフトだけでも複数存在する。例えば,「2001CESAゲーム白書」(乙
3)に登場するものだけ見ても,平成12年12月31日(控訴人任天堂に限って
平成13年3月31日)時点において,既に,「スーパーマリオ」シリーズ(約3
400万本),「ポケットモンスター」シリーズ(約2200万本),「ドラゴン
クエスト」シリーズ(約2500万本),「ファイナルファンタジー」シリーズ
(第3作から第9作で約1700万本)などが,シリーズ全体で1000万本の発
行本数を実現している。また,1つのタイトルの販売本数が100万本以上のゲーム
ソフトだけでも,平成12年12月31日時点(控訴人任天堂については平成13
年3月31日時点)で,既に123タイトルも存在した。
 しかるに,ファイアーエムブレム・シリーズのゲームソフトの販売本数は,シリ
ーズ5作の合計販売本数でも203万本,1タイトルの販売本数では,最大でも約
77万本(第3作の紋章の謎),最低では約10万本(第5作のトラキア)の販売
本数にとどまっている。しかも,ファイアーエムブレム・シリーズのゲームソフト
の中では最も販売本数の多い第3作の紋章の謎は平成6年に販売されたものである
から,その販売開始から現在に至るまで,既に10年もの長期間が経過している。
 (イ) ファイアーエムブレム・シリーズのゲームソフトに関する商品化事業は,控
訴人ら提出に係る全証拠を見ても,ファイアーエムブレム・シリーズの需要者を対
象にしたものにとどまっており,しかも,その事業展開の規模は極めて小さい。ゲ
ームソフトの攻略本については,ゲームソフトのユーザーのみが購入することが明
らかであるから,商品化事業の名にすら値せず,攻略本以外の小説,コミック,楽
譜等の販売数量は,ほとんどのものがせいぜい数万部にとどまっている。
 (ウ) 控訴人らは,控訴人任天堂が,暗黒竜と光の剣,外伝,紋章の謎,聖戦の系
譜について総額14億1339万円に及ぶ宣伝広告費を支出したと主張するが,宣
伝広告に関する事実の持つ意味は,販売本数の持つ意味と比べれば,はるかに小さ
い。ゲームソフト業界では,平成9年の1年間だけでも年間約352億円という巨
額の宣伝広告費が投入されているのであるから,宣伝広告の分量も,ゲームソフト
業界におけるものとしては大量とはいいがたく,そのほとんどの宣伝広告が,ゲー
ムソフトが販売される都度,一時的かつ断続的に行われているにすぎない。テレビ
コマーシャルについても,控訴人ゲームについて行われたテレビコマーシャルのG
RP(GrossRatingPoint;延べ視聴率)の値は,他のゲームのGRPと比べて決
して高い値ではない。したがって,上記の程度の宣伝広告では周知性又は著名性を
獲得したというには不十分である。
 (エ) 控訴人らは,控訴人ゲームの各ゲームソフトが,売上げランキング又は人気
ランキングなどで上位を獲得したと主張する。しかし,雑誌等においてファイアー
エムブレム・シリーズのゲームソフトに対して高く評価された事実が存したとして
も,当該事実は,ファイアーエムブレム・シリーズのゲームソフトの「質」に関す
るものであって,周知性又は著名性という「量」の問題とは無関係である。
 以上の次第であるから,控訴人ら提出に係る全証拠をもってしても,ファイアー
エムブレム表示が,商品等表示として周知又は著名であるとは認めがたいというべ
きである。
 3-2「エムブレム」との表示の周知性又は著名性
 「エムブレム」という表示は,そもそも商品等表示性すら獲得しておらず,まし
てや,周知性又は著名性を有していたとはいえない。
 (1) 一般に,販売元によって名付けられた正式の商品名に比べると,それ以外の
名称が商品等表示性を獲得するに至ることは,例外的な珍しい事態である。本件に
おいては,ファイアーエムブレム・シリーズのゲームソフトのタイトルは,第1作
から第5作まで一貫して「ファイアーエムブレム」であり,「エムブレム」ではな
い。このとおり,「エムブレム」は,ゲームソフトという商品の正式名称ではない
から,「エムブレム」との表示が商品等表示性を獲得するに至るのは例外的な事態
である。
 (2) ある商品について,正式名称以外に使われる略称が複数ある場合,当然のこ
とながら,略称が1つの場合に比べて,それぞれの略称が商品等表示性及び周知・
著名性を獲得することが難しくなることも,経験則上明らかである。ファイアーエ
ムブレム・シリーズのゲームソフトは,英文表記の「FireEmblem」の頭文字をとっ
て,「FE」と略称されることも多い。したがって,エムブレムとの表示は,「F
E」という略称が別途存在することからしても,商品等表示としての周知性又は著
名性を獲得することが難しい。
 (3) 仮に,ある商品について,正式名称とは別に,商品等表示として周知性又は
著名性を獲得するに至っている略称があるのであれば,その略称は,正式名称とは
別に,単独で使用されるはずである。ところが,控訴人ら提出に係る全証拠を見て
みても,「エムブレム」表示は,正式名称である「ファイアーエムブレム」表示と
併用されているものが大半であり,「エムブレム」表示が,「ファイアーエムブレ
ム」表示とは別に,単独で使用されている例は,ほとんど見当たらない。ゲーム雑
誌の記事の中で,「エムブレム」表示が使用されている場合のほとんどすべては当
該記事の中の別の場所で「ファイアーエムブレム」という正式名称が使用されてい
る。また,ゲーム雑誌の表紙の中で,「エムブレム」表示が単独で使用された例
は,1件も見当たらず,「エムブレム」表示が「ファイアーエムブレム」表示と併
用された例も,わずか数件だけである。これに対し,「ドラクエ」「FF」など,
周知性又は著名性を獲得しているゲームソフトの略称は,ゲーム雑誌の表紙に単独
でも多用されている。
 「エムブレム」表示が単独で使用されている証拠は,その大半が,インターネッ
ト上のファイアーエムブレム・シリーズに関するサイトでの書込みである。インタ
ーネットサイト上の書込みは,ファイアーエムブレム・シリーズのゲームソフトの
購入者が,そのゲームソフトの内容についてやりとりするために行われるものであ
って,需要者のごく一部の者が見るにすぎないサイトである。このような需要者よ
りも遙かに範囲の限定された購入者が見るにすぎないサイトにおいて「エムブレ
ム」表示が単独で使用されている例が存するからといって,「エムブレム」表示が
商品等表示として需要者の間で周知性又は著名性であったということはできない。
 (4) 「エムブレム」表示は,英語の「emblem」のカタカナ表記であるところ,こ
れを,「エムブレム」とするか,「エンブレム」とするかは,単なる表記の問題で
あり,この種のカタカナ表記ではいずれも採用される可能性があり,「エムブレ
ム」は,顕著性を有するほどに特徴的なカタカナ表記とはいえない。
 3-3控訴人ゲーム影像表示の周知性又は著名性
 控訴人ゲーム影像表示目録記載の影像表示とその変化の態様である控訴人ゲーム
影像表示は,控訴人ゲームの「商品等表示」とはいえず,仮にそういえるとしても
周知又は著名ではない。
 (1) そもそも,本来的なゲームソフトの商品等表示はゲームのタイトルであり,
ゲームソフトをプレイしたときに画面に表示される影像とその変化の態様は,本来
的なゲームソフトの商品等表示ではない。したがって,ゲーム影像が,ゲームソフ
トの商品等表示性を獲得するのは,ゲーム影像が,他に例を見ない独創的な特徴を
有する構成であり,しかも,そのような特徴を備えた表示画面の構成が特定のゲー
ムソフトに特有のものとして,需要者の間に広く認識されるに至った場合に限られ
るというべきである。
 (2) 裁判例を見ても,スペースインベーダーゲーム事件判決は,ゲーム影像が特
殊性と新規性を有していること,当該ゲームそのものが大流行したことなどの事実
関係を認定した上で,ゲーム影像の商品等表示性を肯定しているにすぎない。ビデ
オゲーム自体が目新しかったスペースインベーダーゲームの時代であればともか
く,ゲームソフトが飽和状態にある現在にあっては,よほどの独創的な特徴を有し
ていない限り,ゲーム影像が商品等表示性を備えることはないというべきである。
 (3) 控訴人ゲーム影像表示は,他に例を見ない独創的な特徴を有するものとはい
いがたく,同種ゲームソフトとしてはありふれたゲーム影像である。また,控訴人
ゲームの影像に対する市場の評価は低く,そのような控訴人ゲーム影像表示が,家
庭用ゲーム機向けゲームソフトのユーザーの間で広く認識されているとは考えられ
ない。
 (4) 控訴人ら提出に係る全証拠を見ても,控訴人ゲーム影像表示目録で特定され
たゲーム影像が掲載されている雑誌記事は少なく,これと異なる影像写真が掲載さ
れている雑誌記事の方が圧倒的に多い。控訴人ゲーム影像表示に類似する影像が掲
載されている記事においてすら,画面表示の写真の大きさは,雑誌等に掲載するに
際して実際の画面よりも大幅に縮小されている上,控訴人らが主張する影像と全く
異なる影像の写真の方が,点数としては,むしろ多く掲載されている。しかも,ゲ
ーム雑誌の記事の中では,ゲームの内容が,ゲームのジャンルやストーリー,ゲー
ムシステムなどにわたって広範に紹介されており,ゲーム影像だけが掲載されてい
る記事など存在しない。ゲーム影像が掲載されている場合も,その大半は,ゲーム
影像そのものを紹介する目的ではなく,ゲームシステムやキャラクター,ストーリ
ーなどを紹介することを目的として,その補助的手段として,ゲーム影像が掲載さ
れているにすぎない。したがって,ゲーム雑誌の記事に掲載されている控訴人ゲー
ム影像表示が読者に対し与える訴求力は非常に小さい。
 4 控訴人ゲームと被控訴人ゲームの商品等表示の類似性
 4-1控訴人ゲームの「ファイアーエムブレム」又は「エムブレム」表示と被控
訴人ゲームの「エムブレムサーガ」表示との類似性
 控訴人ゲームの「ファイアーエムブレム」表示と被控訴人ゲームの「エムブレム
サーガ」表示,控訴人ゲームの「エムブレム」表示と被控訴人ゲームの「エムブレ
ムサーガ」表示は,いずれも類似していない。
 「要部」とは,商品等表示のうち「特に注目すべき印象的な部分」「取引者・需
要者に対して働きかける力の強い部分」等といわれる部分であるから,一般に周知
の外来語は要部となりがたい。「ファイアーエムブレム」表示のうち,火や炎を意
味する「ファイアー」も,紋章を意味する「エムブレム」も,わが国の英語の普及
度に照らせば,一般に周知の外来語にすぎないから,それぞれ単独では要部となり
がたく,「ファイアーエムブレム」表示は,その全体が要部になるというべきであ
る。控訴人らは,「エムブレム」が造語的印象を持つ特徴的な表記であるという
が,「エムブレム」が「Emblem」のカタカナ表記であって,「エンブレム」と同義
であることは明らかである。また,ファイアーエムブレム・シリーズの一部の熱心
なファンであっても,「エンブレム」と表記する例も少なくない。
 他方,「エムブレムサーガ」表示についていえば,物語を意味する「サーガ」
は,わが国の英語の普及度に照らして一般に周知の外来語とは到底いえず,他方,
紋章を意味する「エムブレム」は,一般に周知の外来語である。また,家庭用ゲー
ム機向けゲームソフトの需要者の間では,「サ・ガ」「サーガ」「Saga」の語は,
スクエア社の周知著名な特定のシリーズのゲームソフトを意味する語として広く知
られていた。すなわち,「ロマンシング サ・ガ3」は130万本,「ロマンシン
グ サ・ガ2」は117万本,「魔界塔士Sa・Ga」は109万本のミリオンセラーで
あり,「サ・ガ」「サーガ」「Saga」が商品名に使用されたゲームソフトは他にも
存在するが,スクエア社のシリーズ以外のものの発行本数は極めて少ないから,こ
れらのゲームソフトによって,スクエア社のシリーズ名称の有する顕著性が失われ
るものではない。したがって,「エムブレムサーガ」表示は,「エムブレムサー
ガ」の全体あるいは「サーガ」が要部になるというべきである。
 このように,「ファイアーエムブレム」表示と「エムブレムサーガ」表示は,外
観と称呼のいずれにおいても,要部を異にしている。しかも,「ファイアーエムブ
レム」表示と「エムブレムサーガ」表示は,前者が「炎の紋章」を,後者が「紋章
の物語」をそれぞれ意味するから,観念においても,全く異なっている(後者は,
英語力の堪能でない者には,何の観念も生じない。)。
 また,「エムブレム」表示と「エムブレムサーガ」表示の類否についても,「エ
ムブレム」表示が商品等表示性と周知・著名性を備えるに至ったか否かにかかわら
ず,「エムブレムサーガ」表示の要部は「サーガ」又は「エムブレムサーガ」であ
ることや,上記のとおり,「サーガ」が特定のゲームソフトシリーズに属するゲー
ムソフトを意味するものとして,家庭用ゲーム機向けゲームソフトの需要者の間で
広く知られていたことなどに照らすと,「エムブレム」表示と「エムブレムサー
ガ」表示も類似していないというべきである。
 したがって,「ファイアーエムブレム」表示と「エムブレムサーガ」表示,「エ
ムブレム」表示と「エムブレムサーガ」表示は,いずれも,需要者がその外観,称
呼又は観念に基づく印象,記憶,連想などからして,全体的に類似のものと受け取
るおそれあるとは認められず,商品等表示として何ら類似するものではない。
 4-2控訴人ゲーム影像表示と被控訴人ゲーム影像表示との類似性
 控訴人ゲーム影像表示が商品等表示性と周知性又は著名性の要件を充足している
かどうかにかかわらず,控訴人ゲーム影像表示は被控訴人ゲーム影像表示と類似し
ていない。
 控訴人らの主張する控訴人ゲーム影像表示と被控訴人ゲーム影像表示との類似性
を判断するに当たっては,これらの商品と同種の商品に通常見受けられる画面表示
に当たる部分を除外して判断することが必要である。控訴人ゲーム影像表示目録の
記載内容は,その大半が,ファイアーエムブレム・シリーズのゲームソフトと同種
に属するSRPG,SLG,RPGに通常見受けられる画面表示の説明にすぎな
い。控訴人らは,控訴人及び被控訴人ゲーム影像表示目録に記載された内容が,フ
ァイアーエムブレム・シリーズのゲーム影像の特徴ある点であると主張するが,こ
れらの部分は創作性の高さや独創性の高さが発揮された部分ではなく,要部でな
い。被控訴人ゲーム影像表示も,ゲームデザイナーである被控訴人Aがデザインを
殊更に重視するタイプではないため,独創的なものではない。したがって,これら
の部分において控訴人ゲーム影像表示と被控訴人ゲーム影像表示に共通点があった
としても,需要者において,両ゲーム影像を類似と受けとめることはあり得ず,こ
れらのありふれた部分を除外した細部においては,控訴人ゲーム影像表示と被控訴
人ゲーム影像表示は類似していない。
 5 混同を生じさせる行為
 被控訴人らの行為は不正競争防止法2条1項1号にいう「混同を生じさせる行
為」に該当しない。
 (1) ファイアーエムブレム・シリーズのゲームソフトは,ハード機メーカーでも
ある控訴人任天堂の発売するゲームソフトである。他方,被控訴人ゲームは,ソニ
ーコンピュータエンタテインメントのハード機(プレイステーション)向けのゲー
ムソフトであり,このことは広く宣伝告知されていた。このような取引の実情に照
らせば,「エムブレムサーガ」表示の付されたゲームソフトが,「ファイアーエム
ブレム」表示の付されたゲームソフトと,何らかの意味でも関連があると混同する
需要者・取引者は存在しないというべきである。
 (2) 被控訴人ゲームの宣伝広告活動においても,ファイアーエムブレム・シリー
ズと関連付ける意図をもった宣伝広告活動は一切行われなかった。確かに,被控訴
人ゲームと控訴人ゲームのゲームデザイナーがいずれも被控訴人Aで共通していた
ことから,被控訴人ゲームが対外的に公表された初期の段階においては,両ゲーム
ソフトを関連付けようとする傾向が出版社側にあったことは否定できない。しかし
ながら,控訴人ゲームと被控訴人ゲームを関連付けようとする傾向を排除しようと
する被控訴人エンターブレインの適切な努力の結果,出版社側の理解も進み,両ゲ
ームを関連付けるような記事は見当たらなくなった。
 (3) 控訴人らは,ゲーム雑誌の記事(例えば,前記「週刊ファミ通」平成12年
1月21日号,甲20)を問題にするが,これらの記事は,宣伝広告と異なり,出
版社及び編集者,記者の意向が反映されるため,被控訴人ゲームの販売関連を担当
していた被控訴人エンターブレインにおいて,その内容を完全にコントロールでき
るものではなく,もとより,被控訴人Aがインタビューを受けたとしても,その発
言が忠実に再現されるものでもない。上記「週刊ファミ通」の記事には,被控訴人
ゲームが「新作」「オリジナル作品」であると明記されている上,被控訴人Aがフ
ァイアーエムブレム・シリーズのゲームデザイナーであるとの記載も客観的な事実
にすぎず,被控訴人ゲームがファイアーエムブレム・シリーズの続編であるなどの
虚偽の記載がされているわけでもないのであるから,問題視されるような内容は含
まれていない。被控訴人エンターブレインは,その販売活動に際し,何ら混同惹起
行為など行っていないのである。
 (4) 控訴人らは,インターネットのホームページやゲーム雑誌等における記載に
ついてそれらが混同を生じた例であると指摘するが,ゲーム雑誌に投稿し,あるい
はインターネットサイトへの書込みを行うような需要者は,家庭用ゲーム機向けゲ
ームソフトの需要者全体においては,極めて限定された特殊な層の需要者である。
誤認混同のおそれの有無は,家庭用ゲーム機向けゲームソフトの平均的な需要者を
基準として判定するべきであり,ファイアーエムブレム・シリーズのゲームソフト
に過大な思い入れを有するファンや,粗忽な需要者を基準とするべきではない。こ
のような観点からするとき,控訴人らの提出する全証拠は,平均的な需要者以外の
者が作成したものが大半であって,その証拠価値はないに等しい。 
 (5) ゲーム影像(デザイン)は,ゲームデザイナーの個性が色濃く反映される性
質のものである。そして,控訴人ゲームも,被控訴人ゲームも,共に被控訴人Aが
ゲームデザイナーとして制作したゲームソフトであるため,控訴人ゲーム影像と被
控訴人ゲーム影像には,被控訴人Aの好みに起因する部分において共通する雰囲気
が感じられるところがある。このため,被控訴人Aが控訴人イズから独立して被控
訴人ゲームを開発制作するに際し,家庭用ゲーム機向けゲームソフトのユーザーの
一部の者の間において,控訴人ゲームと被控訴人ゲームの関係が話題になるなどし
て,多少の混乱が生じたことは否定できない。しかしながら,このような多少の混
乱をもって,不正競争防止法2条1項1号にいう「混同」と評価するべきではな
い。このような事態は,ゲームデザイナーや服飾デザイナーなど,クリエイター個
人の個性や感性に多くを依存する業界においては起こり得ることであり,このよう
な多少の混乱を「混同」と評価すると,デザイナーの移籍独立が不正競争防止法に
よって過大な制約を受けることになりかねない。
 (6) 控訴人イズがファイアーエムブレム第4作である聖戦の系譜の制作完了後に
開発しようとした「トゥルーエムブレム」の開発データを被控訴人Aが流用したと
の事実はない。控訴人らの主張の中で,そのデータ流用の事実を推認させる可能性
のある唯一の具体的な根拠は,「トゥルーエムブレム」の全体マップ案で地名とし
て使用されていた6つの単語が,被控訴人ゲームでも使用されていたという事実で
あるが,これらの用語は,いずれも,スペイン語の一般名詞にすぎない。また,被
控訴人らが証拠として提出したトラキアのセリフ集(乙100の1)は,控訴人ら
が証拠として提出したDVD(甲383)に収録されているナレーション及びセリ
フに加えて,あるインターネット上のホームページ中に掲載されていたトラキアの
ナレーション及びセリフを書き取って作成したものにすぎず,被控訴人Aがトラキ
ア開発中のデータも持ち出したとの事実は存在しない。
 (7) 控訴人らの主張するとおり,需要者に現実の混同が生じたのであれば,控訴
人ら又は被控訴人らに対し,混同した需要者からのクレームを受けてしかるべきで
あるが,被控訴人らはそのようなクレームを一切受けていない。また,被控訴人ゲ
ームの販売状況に着目しても,被控訴人ゲームはそのタイトル名の変更にかかわら
ず,順調にその販売実績を伸ばし続けたのであり,本件においてゲームソフトのタ
イトルは,その販売に何ら影響を与えなかった。
6 被控訴人らの故意又は過失
 控訴人らは,被控訴人らには故意又は過失があったと主張するが,争う。被控訴
人Aは,控訴人イズ在職中にトラキアの制作に全力を尽くして,これを完成し,控
訴人イズを退職する際も誠実に行動したのであって,不正競争の意図は全く有して
いなかった。
 7 損害
 上記第4-1(被控訴人らの主張)5記載のとおり。
 8 まとめ
 以上によれば,被控訴人らは不正競争防止法2条1項1号,2号に該当する不正
競争行為を何ら行っていないのであるから,控訴人らの差止請求及び損害賠償請求
はいずれも理由がない。
第5 当裁判所の判断
(以下において掲記する証拠は,特に必要な場合には枝番又は頁数を記載するが,
そうでない限り,その記載を省略する。)
第5-1著作権法に基づく請求について(主位的請求)
 1 著作権の帰属
 著作権法15条1項は,法人その他使用者の発意に基づきその法人等の業務に従
事する者が職務上作成する著作物で,その法人等が自己の著作の名義の下に公表す
るものの著作者は,その作成の時における契約,勤務規則その他に別段の定めがな
い限り,その法人等とする旨を規定する。本件においては,トラキアが控訴人イズ
の発意に基づき作成されたこと,被控訴人Aを含む控訴人イズの従業員がトラキア
を職務上作成したことは,当事者間に争いがない。
 被控訴人らは,トラキアは,控訴人イズが自己の著作名義の下に公表したもので
はないと主張する。しかしながら,著作権法15条1項は「公表したもの」ではな
く,「公表するもの」と規定しているのであるから,当該著作物の作成時におい
て,法人等の名義で公表することを予定しているものであれば,職務著作としてそ
の法人等が著作者となるものと解するのが相当である。
 しかるところ,トラキアは,控訴人イズの発意に基づいてその従業員が職務上作
成した著作物であり,その著作権の帰属に関して控訴人イズと従業員又は第三者と
の間に合意が存在したとは証拠上認められず,さらにトラキアの商品パッケージな
どには控訴人イズの名前が,控訴人任天堂の名前とともに,「・」表示されている
ことが認められる(甲321ないし323)。したがって,トラキアは控訴人イズ
の著作名義の下に公表することが予定されていたものというべきであり,その著作
者は控訴人イズであると認めるのが相当である。
 2 被控訴人ゲームはトラキアの翻案に該当するかどうか 
 控訴人らは,①被控訴人ゲームの全体がトラキア全体の翻案に当たり(選択的主
張1),又は,②被控訴人ゲームの「戦闘マップをプレイする場面」がトラキア全
体の翻案に当たり(選択的主張2),又は,③被控訴人ゲームの「戦闘マップをプ
レイする場面」がトラキアの「戦闘マップをプレイする場面」の翻案に当たる(選
択的主張3),と主張する。
 以下,まず,選択的主張1につき,判断する。
 (1) 翻案の意義及び判断基準
 翻案とは,既存の著作物に依拠しながら,その表現上の本質的な特徴の同一性を
維持しつつ,具体的表現に増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に
表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直
接感得することのできる場合において,その新たな著作物を創作する行為をいうも
のであるが,新たな著作物が,思想,感情若しくはアイデア,事実若しくは事件な
ど表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において,既存の著作物
と同一性を有するにすぎないときは,翻案には当たらないものというべきである
(江差追分事件上告審判決参照)。
 (2) ゲームソフトとしてのトラキアの内容
 トラキアにおける表現上の本質的な特徴の現れた部分がどこかを判断するに当た
り,ゲームソフトとしてのトラキアの内容について検討する。証拠(甲35,30
9,313,373,383,385,388,419,421,423,42
4,425,426,427,497,498,乙4の2,66の1,85,87
の1,99,100の1,102の4,163)及び弁論の全趣旨によれば,トラ
キアの内容は,以下のとおりであると認めることができる(以下,「ストーリー」
という用語は,原則としてゲームソフトの文章表示やセリフによって語られる物語
若しくはシナリオをいうが,これを基礎にして影像展開などによる表現を加えたも
のから把握される物語をいうこともある。また,「ユニット」は「キャラクター」
と同義で登場人物をいう。)。
 (ア)概要 トラキアは,西洋中世をモチーフとし,戦略性の高い戦闘システムと
壮大なシナリオを満喫できるSRPGである。トラキアの基本的なストーリーは,
敵国に祖国を追われた少年王子である主人公が,王国間との戦乱が絶えない架空の
大陸において,祖国奪還のために立ち上がり,仲間とともに,ペガサス,ドラゴ
ン,魔道士なども登場する空想上の世界を背景として,敵軍との間に戦闘を繰り広
げていく,というものである。プレイヤーは,山岳,海岸,峡谷,森林,民家の点
在する村,城内,都市等を背景とし,章立てで次々と表示される戦闘マップにおい
て,主人公や自軍ユニットを移動させ,仲間を増やしたり,自軍ユニットを成長さ
せながら,次々と現れる敵軍と戦闘等を行い,戦闘マップを1枚1枚クリアしてい
く。ゲームは,最後の戦闘マップをクリアするか,主人公の死亡によって終了す
る。
 (イ) 全体の構成
 トラキアの全体構成は,大別して,冒頭の場面(タイトル表示を含む全体マップ
の場面の開始までをいう。),全体マップの場面(全体マップが表示されている場
面をいう。),戦闘マップの場面(全体マップの場面の終了から戦闘マップクリア
後の会話場面の終了までをいう。),エンディングの場面(最終章の戦闘マップク
リア後の会話場面終了後をいう。)からなる。
 冒頭の場面は,ゲームをプレイする前提となるストーリーの表示や,ゲームのタ
イトルの表示等を含む。その後,全体マップに移行し,最初の全体マップの場面に
おいては,主人公が祖国を追われてからのストーリーが文字で表示され,その逃避
行の様子が全体マップ上の地点の移動で示されるとともに,主人公の現在地が表示
される。この全体マップの場面が終わると,タイトルが付され,章立てで構成され
る個別の戦闘マップの場面に切り替わり,第1章が開始される。戦闘マップの場面
は,プレイヤーが部隊の編成や戦闘マップの確認をする場面(この場面が「戦闘前
の出撃準備場面」である。),戦闘前のユニット間の会話の場面,自軍ユニットと
敵軍ユニットが交互に行動してマップクリアに至るまで戦闘等を繰り広げる場面
(この場面が「戦闘マップをプレイする場面」である。)を経て,マップクリア後
にはユニット間の会話場面が表現される。こうして一つの戦闘マップの場面が終了
すると,画面は再び全体マップの場面に切り替わり,表示された大陸の上を自軍が
前章の位置から次章の位置に移動した様子が表現されるとともに,次章を開始する
に当たってのストーリーが文字で表示される。プレイヤーは,こうして全体マップ
と各戦闘マップとを交互に繰り返し,最終章の戦闘マップをクリアすると,その後
の会話の場面を経て,エンディングの場面を迎えることになる。
 (ウ) ストーリー
 ゲームをプレイする前提となるストーリーは,上記のとおり,冒頭の場面及び最
初の全体マップ場面において,文字で表示される。これを要約すると,敵国に滅ぼ
された小国レンスターの王子リーフは、騎士フィンらとともに,北トラキアの支配
権を手に入れたグランベル帝国などの追手をかわしながら,トラキア地方東部のフ
ィアナという小さな村の女城主エーヴェルの庇護のもとで成長していた,というも
のである。
その後のストーリーの展開は,順次戦闘マップをプレイする中で,全体マップの
場面での文字表示や各戦闘マップにおける登場ユニットの会話等を通じて,表現さ
れる。主人公リーフは,「第1章 フィアナの戦士」において,15歳にして祖国
奪還のために立ち上がる意思を表明し,その後,主人公とその仲間は,主人公が捕
虜になったり,上記エーヴェルが石化されたり,信頼する軍師が戦死するなどの出
来事を乗り越えて,レンスター城の奪還を果たし,最終章では,敵軍の居城におい
て敵将を倒して,北トラキアを敵軍から解放することになる。
 (エ) ユニット
 トラキアには,主人公と,主人公を助けて共に敵を制圧する自軍ユニットと,相
手方となる敵軍ユニットが登場する。トラキアでユニットとして登場する人物は9
0名を超え,とりわけ自軍ユニットは,それぞれ名前,容姿,服装が異なり,使用
する武器や戦闘能力も異なる上,ユニット相互間には主従関係,親族関係など様々
な人間関係が設定されている。プレイヤーは,会話場面やステータス画面等におけ
る上半身の静止影像から各ユニットの名前,容姿,服装等を認識し,会話の内容等
からその性格や人間関係等を感じ取ることができる。
 トラキアの各ユニットは,細かいクラスに分けられ,クラスによって所与の戦闘
能力が設定されている。各ユニットが使う武器には,斧,弓,剣,槍,杖,魔力等
があるが,ユニットの中には,ペガサス,ドラゴン,馬に乗ったり,重い鎧をつけ
て高い防御力を持つ者(アーマーユニット)も存在し,さらには「踊る」「盗む」
等の特殊な技を持ったり,杖を使って味方のHP(体力)を回復させることのでき
るユニットなどもいる。また,トラキアの各ユニットは武器以外のアイテムを使用
することもできる。このようなアイテムには,「宝箱の鍵」「跳ね橋の鍵」「傷
薬」「毒消し」「たいまつ」などがある。
 各ユニットは戦闘を行うことなどにより経験値を獲得できるが,経験値が100
を超えるごとにレベルアップして,戦闘能力値が上昇する。また,ほとんどのユニ
ットは一定の条件のもとで、上級クラスにクラスチェンジをすることができ,これ
によってさらに戦闘能力が高まることになる。こうして,プレイヤーは気に入った
ユニットを成長させて楽しむことができる。ユニット間の親疎の関係は,特定のユ
ニットが一定距離内にいると命中率や回避率が上がるという支援効果として数値化
され,地形の属性によって回避率が一定程度上がることもある。
 (オ) 戦闘マップにおける戦闘及びその他のイベント
 戦闘マップにおいて,自軍・敵軍ユニットの会話場面等が終わると,画面には自
軍の攻撃の順番(自軍ターン)であることを示す表示がなされ,プレイヤーが自軍
ユニットを移動させて行動する場面となる。プレイヤーは,トップビューで表現さ
れる戦闘マップの地形,自軍・敵軍の配置,各ユニットの戦闘能力,各ユニットの
移動又は攻撃可能範囲等を把握し,作戦を立てて,戦闘マップ上にあらかじめ配置
されている自軍ユニットを移動可能な範囲内に移動させる。移動可能範囲内であれ
ば,どのユニットをどこに移動するかは基本的にプレイヤーの自由であり,ペガサ
ス,ドラゴン,馬等に乗れるユニットの場合には,これらの乗り物を利用して移動
することもできる。当該ユニットを移動させると,プレイヤーは,そのユニットを
その場で待機させるか,攻撃可能範囲内の敵兵を攻撃するか,その他の行動をする
かを選択することになる。
 移動した自軍ユニットを使って敵兵を攻撃する場合には,自軍と敵軍のユニット
が1対1で戦うシーンが,設定により自動的に,アニメーション切替戦闘場面又は
オンマップバトル場面の形式で表示される。オンマップバトルは,画面が切り替わ
ることなく戦闘マップ上で戦闘シーンが表現されるものであり,アニメーション切
換戦闘場面は,サイドビューの画面に切り替わった上で画面全体に戦闘場面が表示
されるものである。戦闘場面は,あらかじめ設定されたプログラムに基づいて影像
表示されるため,プレイヤーは操作できない。相手の攻撃によってダメージを受け
たユニットはHPが減少し,HPがゼロになった場合に死亡するが,戦闘によって
必ず一方が死亡するわけではない。死亡したユニットは生き返らず,主人公の死亡
などゲーム終了条件が満たされるとゲームオーバーとなる。
 戦闘マップにおいて,戦闘以外の行動(イベント)も起こすことができる。例え
ば,特定の敵軍ユニットに自軍ユニットが「話す」ことにより敵軍ユニットを寝返
らせて味方としたり,敵軍を「捕える」ことや「解放」することもできる。また,
踊る技を持ったユニットが「踊る」と自軍ユニット一人を再移動させることがで
き,杖を使えるユニットが特定の杖を「使う」と自軍ユニットのHPを回復するこ
となどができる。さらに,「跳ね橋の鍵」を使って跳ね橋を下ろし,「たいまつ」
を使って周囲を明るくするなどして,アイテムを使用する場面もある。アイテム
は,民家を「訪ねる」ことや「宝箱」を開けることによって得ることもでき,盗む
技を持った自軍ユニットが敵から「ぬすむ」こともある。戦闘マップによっては,
アイテムの購入資金を一対一の決闘により稼ぐことのできる「闘技場」,アイテム
を販売している「道具屋」や「秘密の店」,武器を購入できる「武器屋」等が配置
されている。
 こうして,プレイヤーが自軍ユニットの行動を終了すると,今度は敵軍が攻撃す
る順番(敵軍ターン)となる。敵軍の攻撃は,すべてあらかじめ設定されたプログ
ラムによって自動的に行われる。戦闘場面等の表現は,自軍ターンのときと変わら
ないが,敵軍が自軍に攻撃を仕掛けてこないこともある。敵軍ターンが終了する
と,その旨が表示され,自軍ターンとなる。
 こうして,戦闘マップをクリアするための勝利条件を満たしてマップクリアする
か,途中でゲームオーバーになるまで,自軍ターンと敵軍ターンが交互に繰り返さ
れる。
(カ) 背景画面
 戦闘マップは,各章ごとに異なっており,その舞台も山岳,森林,海岸,都市,
村,城内など様々であり,マップ上には,民家,城壁,教会,門,闘技場,道具
屋,武器屋等の建物が置かれていることもある。また,アニメーション切替戦闘場
面の背景には,切替前の戦闘マップとは異なる地形や風景が背景画面として表示さ
れる。
 (キ) 音楽
 トラキアでは,その全編を通じて,背景音楽が流れており,敵軍ターンになった
り,アニメーション切替戦闘場面に切り替わった際には,音楽が変わる。
 (3) トラキアにおける表現上の本質的な特徴の現れた部分
 ゲームソフトとしてのトラキアの表現上の本質的な特徴の現れた部分について,
控訴人らは,戦闘マップの場面の一部である「戦闘マップをプレイする場面」の全
体構成とその各場面の視聴覚的表現であると主張する。これに対し,被控訴人ら
は,トラキアは,ストーリー,ゲームシステム,各場面の影像表示,ユニット,音
楽を主たる要素とする複合的な著作物であり,中でも最も重要な要素はストーリー
であると主張する。そこで,以下,判断する。
 (ア) 上記(2)で認定のとおりのゲームソフトとしてのトラキアの内容によれば,
トラキアは,著作権法2条3項に規定する「映画の効果に類似する視覚的又は視聴
覚的効果を生じさせる方法で表現され・・・ている著作物」であるということができる
(この点は当事者間に争いがない。)。また,上記認定によれば,トラキアの全体
構成のうち,量的にも大部分を占め,影像が視聴覚的効果を与えつつ変化し,プレ
イヤーが多大な時間を費やしてプレイして楽しむ部分は,章立てで展開する戦闘マ
ップの場面であり,中でも自軍ターンと敵軍ターンが交互に展開する「戦闘マップ
をプレイする場面」は,まさに,プレイヤーが自軍ユニットを操作し,敵軍と戦闘
をして,ゲームの勝敗を決する場面であるから,トラキアのゲームソフトの中核を
なす部分であると認めることができる。
 (イ) 次に,この「戦闘マップをプレイする場面」がどのような要素から構成され
ているかを検討する。上記(2)で認定したトラキアのゲーム内容によれば,トラキア
の「戦闘マップをプレイする場面」においては,①背景画面一面に様々な地形や建
物を描いた戦闘マップが表示され,②そこに,自軍及び敵軍の様々なユニットが登
場し,③このようなユニットが,ゲームシステムに基づいて,多彩な行動を繰り広
げることによって,視覚的な効果をもたらす一連の影像が連続的に変化し,④全体
としてのストーリーを踏まえ,当該戦闘マップで戦闘が行われることにより,スト
ーリが展開し,⑤場面を通して奏でられている背景音楽が聴覚的な効果をもたらし
ているということができる。したがって,「戦闘マップをプレイする場面」は,以
上の5つの要素が同期的に複合して形成されていると認めるのが相当である。な
お,被控訴人らは,ゲームバランスもゲームの重要な要素であると主張するが,ゲ
ームバランスはその概念があいまいであり(その具体的な意義・内容については的
確な主張立証がない。),テレビゲームの客観的な考察分析上の概念として採用す
るに堪えるものではない。
 (ウ) そこで,以下,各要素の重要性につき検討する。
 (a) ゲームシステムに基づき連続的に変化する一連の影像
 ゲームソフトであるトラキアは,「映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効
果を生じさせる方法で表現され・・・ている著作物」であり,またトラキアのプレイヤ
ーは,自軍ユニットを操作して行動させ,敵と戦闘を行わせることにより,ゲーム
を楽しむものであるから,「戦闘マップをプレイする場面」においてゲームシステ
ムに基づき視覚的に表現される一連の影像及びその全体構成が,トラキアの表現の
本質をなす重要な構成要素であることは当然であり,この点は被控訴人らも争って
いない。
 (b) ストーリー
 当事者間に争いがあるのは,ストーリーが「戦闘マップをプレイする場面」を構
成する要素として最も重要であるかどうかである。以下の理由により,ストーリー
は,「戦闘マップをプレイする場面」を構成する重要な要素の一つであると認める
ことができる。
 まず,トラキアがSRPGの分野に属することは当事者間に争いがない。証拠
(乙63,81,93,113,131,134,137)によれば,SRPGは
RPG(架空世界の物語をプレイヤーが主人公などになって疑似体験するゲーム)
とSLG(戦争,恋愛等を題材に実際の状況を設定し,その場の判断で展開させて
いくゲーム)の要素を併せ持つものであると認められるところ,トラキアにRPG
としての要素が含まれると理解されているのは,プレイヤーが,トラキアをプレイ
することにより,主人公やその仲間と心理的に同化し,自らも物語に参加して,敵
軍と戦いながら祖国の奪還を目指す気持ちになることができるからであると考えら
れる。したがって,トラキアは,プレイヤーによってその受け取り方にある程度の
違いがあることは想像されるものの,ストーリーを重視するタイプのゲームソフト
であるということができる。
 その上で,トラキアにおけるストーリーを具体的にみると,前記(2)で認定のとお
り,トラキアは,祖国を追われた少年王子である主人公が,王国間との戦乱が絶え
ない架空の大陸において,祖国奪還のために立ち上がるとの想定のもと,ゲームが
展開するものであり,プレイヤーは,様々な出来事の起こる戦闘マップをクリアし
つつ自らストーリーを展開し,最後の戦闘マップをクリアすることにより,主人公
らの悲願を達成することができる構成となっている。このように,トラキアのスト
ーリーは,戦闘マップでプレイすることにより展開していくのであるから,ストー
リーと「戦闘マップをプレイする場面」における影像変化とは密接不可分の関係に
あり,いずれも重要であるということができる。
 さらに,ストーリーは「戦闘マップをプレイする場面」を通じて展開するばかり
ではなく,戦闘マップの勝利条件やプレイヤーの戦略も規定し,戦闘マップ自体の
デザインもストーリーに合わせて作成されているということができる。例えば,ト
ラキアの「第3章 ケルベスの門」は,敵軍の子供狩りにより砦内に捕らえられた
子供を救い出して民家に返すともに,砦の敵軍を制圧するというストーリー展開と
なっているが(甲383,乙85),かかる状況設定となっているために,プレイ
ヤーは,戦闘マップの全体を見ながら,動けない子供の救出方法を考え,敵軍の制
圧を目指すことになる(こうした作戦は会話場面を通じてプレイヤーに示唆され
る。)。このように,ストーリーの内容は「戦闘マップをプレイする場面」におけ
る勝利条件や戦略とも密接に関係し,戦闘マップも設定された状況に沿ってデザイ
ンされているということができる。
 これに対し,控訴人らは,トラキアのセリフ場面はキャンセル機能によりとばす
ことができるから,ストーリーは重要ではないと主張する。しかしながら,キャン
セル機能は何回も同じマップをプレイしてその内容を暗記するに至ったプレイヤー
のために設けられているものであり,上記のとおり,プレイヤーにとって,ストー
リーは,ゲームの中の世界を疑似体験する上でも,また戦闘マップをクリアするた
めにも重要であることを考えれば,プレイヤーが当初の段階からセリフをキャンセ
ルしてゲームをプレイするとは考えにくい。したがって,キャンセル機能があるこ
とは,ストーリーが重要な要素であることを否定する根拠とはならない。控訴人ら
は,ゲームシステムの制作段階の終盤においてもセリフを差し替えることは容易で
あるなどとも主張するが,仮にそのとおりであったとしても,そのことはトラキア
におけるストーリーの重要性を左右するものではない。
 以上によれば,ストーリーは「戦闘マップをプレイする場面」を構成する本質的
な要素と認めることができる。
 (c) ユニット
 前記認定のとおり,トラキアでは90人以上のユニットが登場するが,中でも自
軍ユニットは,それぞれ異なる名前,容姿,服装をし,戦闘能力や使う武器も異な
るので,それぞれが個性的な存在であるということができる。そして,プレイヤー
は,戦闘マップ上の戦闘において,好きなユニットを頻繁に使用して戦闘させるこ
とが可能なので,自軍ユニットの中で育てるユニットを決め,その成長を楽しむこ
とができる。このように,プレイヤーが登場するユニットに強い思い入れを抱くこ
とも少なくないことに照らすと,トラキアの登場ユニットは,その影像表示が小さ
く,静止画が多いことから,ゲームシステムに基づき視覚的に表現される一連の影
像及びその全体構成やストーリーほどの重要性はないとしても,「戦闘マップをプ
レイする場面」における主要な要素の一つであるということができる。
 (d) 戦闘マップ
 戦闘マップの場面の背景として画面一面に表示される地形や建物のデザインは,
画面の全体的な印象をプレイヤーに与える点で軽視できないが,それ自体が変化す
る影像ではなく,戦闘場面の背景をなすにすぎないことも考慮すると,ゲームシス
テムに基づき視覚的に表現される一連の影像及びその全体構成やストーリーに比較
すると,その重要性はかなり低いものといわざるを得ない。
 (e)音楽,効果音
 背景音楽,効果音は,ゲームを通じて流されるものであり,戦闘の臨場感を高め
てゲームに聴覚的な効果をもたらすものではあるが,これまたあくまで背景的なも
のであり,特に音楽性に優れた特徴的なリズム・旋律等であったり,従来なかった
ような特殊な効果音であったりすれば格別,トラキアのように単調な音楽や効果音
の繰返しである場合には,プレイヤーに与える印象は,他の諸要素に比較すると,
かなり後退したものであると考えられる。
 (エ)以上のとおり,「戦闘マップをプレイする場面」はトラキアの中核をなす部
分であり,その構成要素として重要なのは,ゲームシステムに基づいて変化する影
像及びその全体構成とストーリーであるということができる。
 (4) 本件共通表現の検討に当たっての前提となる基本的な考え方
 トラキアの本質的な特徴が現れる部分についての上記認定を踏まえ,控訴人らが
主張する本件共通表現について検討することとするが,その前提となる基本的な考
え方は以下のとおりである。
 (ア) 創作性の判断
 前述したように,本件共通表現が,思想,感情若しくはアイデア,事実若しくは
事件など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において共通する
にすぎない場合には,翻案は成立しないと解すべきである。
 著作権法上の著作物の要件である「創作性」については,著作権法に定義規定が
ないが,独創性を備えることまで必要であると解すると,著作権による保護の範囲
を不当に限定することになりかねないことや,創作性の有無を画する客観的な判定
基準を求めることは難しいことなどを考慮すると,表現者の個性が何らかの形で発
揮されていれば,創作性自体は認めることができるものと解すべきである。
 ただし,創作性の程度には自ずと幅があるのは当然であるから,当該著作物の著
作権を新たな著作物が侵害したといえるかどうかを判断するに当たっては,当該著
作物の保護の限度を画する要素として,その創作性の程度を考慮することは当然必
要になるものと解される。すなわち,創作性の高い著作物については,その保護の
範囲は拡大し,著作者の個性は現れているものの極めてわずかな創作性しかない著
作物については,保護の範囲は極めて狭小なものに限定されると解するのが相当で
ある。
 (イ) 本件共通表現の判断対象
控訴人らは,本件共通表現は,影像の動的変化と音を一つのまとまりとして連続
影像で表現したものであるから,創作性の判断においては,一つのまとまりとして
判断すべきであり,創作性を有する部分を創作性のない部分まで細分化して,その
著作物性を否定すべきではないと主張する。
 確かに,一つのまとまりのある著作物を細分化し,その各部分がアイデアないし
ありふれた表現にすぎないとして,全体としての創作性を否定することは誤りであ
る。しかしながら,一つのまとまりのある著作物の創作性を判断するに当たり,そ
の構成部分まで分解し,それぞれの構成部分を逐一考察して,創作性の有無程度を
検討することは正当な分析方法である。控訴人らの主張は,まとまりのある一連の
影像を構成する各影像の組合せに創作性を認める余地があるという意味では相当で
あるが,一つのまとまりのある著作物の個々の構成部分を考察すべきでないとの趣
旨であれば失当というほかない(なお,控訴人らは,例えば小説や文章を単語のレ
ベルまで細分化することの不当性をいうが,文章を構成するいくつかの単語が新規
性と表現性に富んだ新造語であるため,全体の作品が創作性と表現性に富むことも
あり,また,個々の単語に創作性がないとしても,例えば単語と単語という最小の
組合せに特異性があれば(例えば「幸せのかたち」「小さい秋」などが初めて使わ
れたとき等),創作性や表現性を十分に充足することになろう。「国境の長いトン
ネルを抜けると雪国であった」という小説中の一節も,使う単語を厳選して,無数
の表現の中からできるかぎり簡明な表現を選択し,その余を読者の類似体験や豊か
な感性に託すことにより,高い創作性や表現性を備えるに至ったものであると理解
でき,個々の構成部分を考慮することが不要ないし不当とは到底いえないのであ
る。)。
 (ウ) 展開する影像の組合せと配列の著作物性
 控訴人らが主張する本件共通表現は,いずれも一つのまとまりをもった連続影像
による視聴覚的表現の総体であるが,後に検討するように,各共通表現は,いずれ
も,一連のまとまった表現として把握される複数の影像が,プレイヤーの操作・選
択により,又はあらかじめ設定されたプログラムに基づいて,連続的に展開するこ
とにより形成されているということができる。例えば,共通表現(6)は,後記(5-6)
のとおり,自軍ユニットの待機ポーズの影像,プレイヤーの操作によりカーソルが
移動する影像,カーソルを自軍ユニットに合わせると吹出しが表示される影像,移
動コマンドの選択により自軍ユニットがその場動きをする影像,移動・攻撃可能範
囲の影像,当該ユニットが移動先に移動する影像,当該ユニットが移動を終えて待
機ポーズに切り替わる影像が,連続的に展開することにより形成されている。このよ
うに,一つの大きなまとまりとしての表現が,その構成部分として把握することが
できる複数の影像の展開により形成されている場合には,これを構成する各影像自
体の創作性及び表現性のみならず,その組合せ・配列により表現される影像の変化
も,著作権法による保護の対象となり得るものであることは,上述のとおり,当然
である。したがって,この点についても検討することが必要かつ相当である。
 (エ) ルールの表現性
 通常の映画の著作物と異なり,トラキアはゲームソフトであるから,当然のこと
ながら,ルールが決められ,プレイヤーはルールに基づいてプレイする。例えば,
トラキアでは死亡したユニットは生き返らないというルールがあり,それに基づい
て,一度死亡したユニットはその後画面上に表示されないが,このようなゲームの
ルールはアイデアそのものであり,著作物ということはできず,ルールが具体的に
表現したものがある場合に,はじめてその創作性等が問題となると解すべきであ
る。
 (オ) ユーザーインターフェース
 ゲームソフトは,通常の映画と異なり,プレイヤーが参加して楽しむというイン
タラクティブ性を有しているため,プレイヤーが必要とする情報を表示し,又はプ
レイヤーの選択肢を表示するための画面(以下ではかかる意味で「ユーザーインタ
ーフェース」という言葉を用いる。)を表示する必要がある。このようなプレイヤ
ーの便宜のための画面は,プレイヤーの操作の容易性や一覧性等の機能的な面を重
視せざるを得ないため,作成者がその思想・感情を創作的に表現する範囲は自ずと
限定的なものとならざるを得ず,特に特徴的あるいは独自性があると認められない
限り,創作性は認められないというべきである。トラキアについていえば,ステー
タス表示,ユニットの一覧表示,縮小画面,会話を表示するための吹出し表示,名
前等の情報を提供するための吹出し表示,コマンド選択のためのメニュー画面,武
器メニューに関する画面,戦闘パラメータ表示,HPの数値の変化の表示,経験値
の獲得の表示,クラスチェンジに伴う戦闘パラメータの変化の場面,アイテム交換
の際のアイテムの表示画面等は,いずれもプレイヤーの判断に必要な情報を表示
し,又はプレイヤーの選択肢を表示するものであるから,ユーザーインターフェー
スとしての性格を有しているというべきである。
 (カ) 作風の同一性
 本件では,トラキアの実際の制作に被控訴人Aがどの程度関与したかについては
当事者間に争いがあるが,証拠(乙70の1,72の5,123の1,被控訴人A
本人)によれば,被控訴人Aはトラキアについても実質的な責任者として関与し,
トラキアも被控訴人ゲームも,被控訴人Aの個性が色濃く反映した作品であると認
めることができる。被控訴人らは,トラキアと被控訴人ゲームの類似性は作風の同
一性にすぎず,制作者が同一人物であることは翻案該当性を否定する方向で斟酌す
べきであると主張するところ,確かに,著作権法上の保護は,このような作品の作
風や傾向といった抽象的な部分にまでは及ばないと解されるので,1人のゲームク
リエイターが関与した2つの作品を比較して翻案該当性を判断する際には,その作
風の類似性を翻案該当性の基礎としないように留意する必要がある。
 しかしながら,ゲームクリエイターがゲームソフトを制作するに当たっては,自
らが以前に制作して現在は他の者に著作権が帰属する作品の翻案を行うべきでない
ことは当然であり,かつ,それは可能であると考えられる。したがって,原著作物
と二次的著作物の実質的な著作者が同一であることは,翻案の判断基準に基本的な
変更を迫るものではないと解される。
 (キ) 相違点の考慮
翻案権とは,原著作物を利用して創作性を加え,別個の著作物を創作する権利で
あるから,二次的な著作物に新たな表現が付加されたからといって,直ちに翻案該
当性が否定されるわけではない。しかしながら,新たな表現が付加されることによ
り,二次的な著作物が原著作物との同一性を失い,これに接する者が著作物全体か
ら受ける印象を異にすると認められるときは,二次的な著作物から原著作物の創作
的特徴を直接感得することはできないから,その二次的著作物はもはや原著作物の
複製ないし翻案ということはできないと解すべきである。
 (5) 本件共通表現についての検討 
 上記のとおりの基本的な考え方に基づき,以下では,控訴人らの主張する個々の
本件共通表現に即して,トラキアと被控訴人ゲーム(以下,「両ゲーム」とはトラ
キアと被控訴人ゲームをいう。)との共通表現の認定,その表現性,創作性の存否
及び程度,相違点について検討する(なお,本項において,証拠番号の後の括弧内
に表記した数字は,頁数又は枝番号である。)
 (5-1) 登場ユニット
(ア) ユニットの分類の共通性
 控訴人らは,両ゲームのすべての登場ユニットは12の同一の種類に分類できる
点で共通すると主張する。証拠(甲35,39,288,309,313,35
9,360,373,383ないし388,419ないし427,495ないし4
98,乙37,66,85,99,100,126,163)及び弁論の全趣旨に
よれば,両ゲームには,①敵国に祖国を追われ王国再興のために立ち上がる亡国の
王子である主人公と,主人公を助けて敵と戦う自軍ユニットと,相手方となる敵軍
ユニットが登場すること,②ペガサス,ドラゴン,馬に騎乗するユニット,踊るこ
とにより自軍ユニットを再行動させることができるユニット,全身を頑強な鎧で固
めている特異な形状のユニット,敵からアイテムを盗むことのできるユニット,魔
法を武器とするユニット,杖,斧,剣,弓等を使うユニットが登場すること,にお
いて共通すると認めることができる。
 しかしながら,証拠を総合しても,両ゲームに登場するユニットを控訴人らの主
張する12種類によってすべて合理的に分類することができるとは認めることがで
きない。控訴人らの分類方法は,統一的でかつ合理的な基準(例えば,使用する武
器による分類)によるものではなく,一人のユニットが複数の武器を使うことも可
能な上,両ゲームの攻略本や取扱説明書にも控訴人らの主張を裏付けるに足る記載
は存在しない。
 また,控訴人らの指摘する特徴を有するユニット(①主人公,②ペガサスに乗る
ユニット,③ドラゴンに乗るユニット,④馬に乗るユニット,⑤踊れるユニット,
⑥アーマーユニット,⑦盗賊ユニット,⑧魔道士ユニット,⑨杖を使うユニット,
⑩斧を使うユニット,⑪剣を使うユニット,⑫弓を使うユニット)をゲームに登場
させること自体はアイデアにすぎず,証拠(甲377(2),乙12(2),乙1
9(2),乙31(37),乙39(5),乙94(87,89,90,92ない
し97),乙95(14,21,26,29,41,46,59,61,68,7
0,72,76,85,89,115,127,182)及び弁論の全趣旨によれ
ば,これらのユニットは他のゲームでも登場している一般的なものであるとの事実
を認めることができる。なお,控訴人らは,特許権のように厳密に被控訴人ゲーム
の制作時点を基準にして当該他のゲームが公知であったかどうかを問題とすべきで
あると主張するが,テレビゲームの著作物としての特性などを考えると,被控訴人
ゲームの創作性の有無や程度を判断する上で,被控訴人ゲームの制作後相当期間内
のゲームも考慮に入れることは,特段の事情がない限り,許されるというべきであ
る。
 (イ) 登場ユニットに共通する容姿,服装,動き等
 両ゲームの登場ユニットの戦闘マップにおける容姿,服装,動き等に関し,証拠
(甲35,39,288,309,313,359,360,373,383ない
し388,419ないし427,495ないし498,乙37,66,85,9
9,100,126,163)及び弁論の全趣旨によれば,両ゲームの登場ユニッ
トは,①いずれも戦闘マップにおいてトップビューの視点で表現され,西洋中世風
の衣装をつけ,全身は移動範囲及び攻撃範囲のほぼ一桝目大であって人間に近い頭
身比の人物として表現されていること,②登場ユニットが,戦闘マップ上で待機す
る姿態は,基本的には斜め前向きで武器等を絶えず動かしていること,③戦闘マッ
プ上で行動を終了した場合には,基本的に斜め前向きで武器等を絶えず動かしてい
る待機の容姿・姿態が透けてみえる暗系色の待機ポーズに変わること,において共
通していると認めることができる。
 しかしながら,戦闘マップにおける登場ユニットは,碁盤目状に小さく区切られ
た戦闘マップの一桝に小さく表示されているのであって,詳細な描写ができないた
めその容貌や服装から個体識別をすることはかなり困難であり,精々,敵味方の区
別,主人公かどうか,一定の兵種,男女の別などが識別できる程度である(それゆ
え吹出しで名前等が表示される。)。このような制約のもとにおいては,当該ユニ
ットが格別な特徴を備えない限り,ありふれた表現にならざるを得ないところ,両
ゲームの上記共通点(西洋中世風の衣装をつけていること,全身は一桝目大である
こと,人間に近い頭身比の人物として表現されていること)は,いずれもごく一般
的なものというほかなく,創作性のある表現と認めることはできない。
 また,戦闘マップをトップビューの視点から表現することは,アイデアにすぎな
い上,ゲームソフトでは,通常の映画と異なり,ハード面での制約等から,取り入
れることのできる視点には限りがあるというべきである。さらに,ユニットの移動
前及び移動後の待機ポーズについても,当該ユニットがこれから移動することが可
能かどうかをプレイヤーにわかりやすく表示するという機能的な目的が主であっ
て,プレイヤーの大多数がその影像及び動きを一見して待機ポーズの状態にあると
感得するものでなければならない以上,本来的にありふれたものであって,その表
現自体に創作性がないのは当然である。
 (ウ) 各登場ユニット人物設定,容姿,動き等の表現 
 各登場ユニットの人物設定,容姿,動き等に関し,証拠(甲35,39,28
8,309,313,359,360,373,383ないし388,419ない
し427,495ないし498,乙37,66,85,99,100,126,1
63)によれば,両ゲームは,共通表現(1)①ないし⑫記載の点において共通すると
認めることができる。
 これを前提に,各ユニットについて,検討する。
 (a) 主人公ユニット
 上記認定のとおり,トラキアの主人公であるリーフと被控訴人ゲームの主人公で
あるリュナンは,①亡国の少年王子で,祖国のため立ち上がること,②兵種が主人
公専用のもので,イベントにより変化すること,③襟を立てた肩当てのある衣装を
つけ,裏地が赤となっている丈の長いマントを翻すこと,④武器として主人公専用
の長い剣を持つこと,⑤移動はタッタッタッとの効果音とともに駆け足で行うこ
と,において共通している。
 しかしながら,敵国に祖国を追われた主人公が祖国のために立ち上がるという筋
立ては,歴史物語等において繰返し展開されてきた普通に見られたものであり,武
器としての長剣や衣装についても,その中に登場するありふれた表現である。ま
た,移動の態様や効果音も,他の徒歩のユニットと同様,主人公として特徴のある
ものではなく,兵種を主人公専用のものとしたり,イベントにより変化させること
はごく普通に想到されるアイデアにすぎない。
 また,控訴人らは,両ゲームの主人公の死にセリフの場面,敵軍拠点の制圧の場
面,マップクリア後のクラスチェンジする場面の表現が共通することや,登場する
場面が同一であることなども指摘するが,これらは主人公の容姿,服装,性格その
他の人物像を特徴付けるものではないので,後の該当箇所において検討する。
 以上のとおり,両ゲームの主人公は,その服装,人物設定,武器,動作等におい
て共通する点もあるが,その共通する部分は,アイデアにすぎないか,ありふれて
いて創作性の認められない表現にすぎない。
 他方,証拠(甲383,384,乙100,126)によれば,両ゲームの主人
公は,トラキアでは王子であるリーフ一人であるのに対し,被控訴人ゲームでは公
子であるリュナンと海賊の長であるホームズの二人であると認めることができる。
控訴人らは,被控訴人ゲームの主人公はリュナン一人であると主張するが,被控訴
人ゲームにおいて,リュナンとホームズはそれぞれ別の部隊を率いて戦闘マップ上
で戦闘し,ホームズ隊が戦う戦闘マップにおいてはホームズの死亡がゲームオーバ
ーの条件となっていることによれば,ホームズも被控訴人ゲームの主人公であると
いうべきである。ホームズがリーフと大きく異なることは明らかであり,トラキア
にはホームズに匹敵するユニットは存在しないことも,当事者間には積極的な争い
はない。主人公としてのホームズの存在ゆえに,被控訴人ゲームはストーリーが複
線化し,トラキアにはない特徴が与えられているということができる。 
 (b) ペガサスユニット
 上記認定のとおり,両ゲームのペガサスに乗るユニットは,①女性騎士ユニット
であること,②白い胸当て及び白い肩当てのある衣装をつけ,武器としてはペガサ
ス騎乗時には槍を,ペガサスから降りた状態では剣を持っていること,③ペガサス
の翼を広げてバサバサと風を切る移動の効果音とともに空中を飛翔し,地上の地形
を無視して移動することができるが,弓による攻撃に弱いこと,④攻撃するときは
空中から地面に降下して相手を攻撃し,相手の攻撃を避けるときは後ろに軽く飛翔
して避け,再攻撃するときは垂直に飛翔してから再び相手に向かって降下して攻撃
するという飛翔戦闘シーンを展開すること,において共通している。
 しかしながら,そもそも,ペガサスは架空の冒険物語等にしばしば登場する天翔
ける馬(「天馬」と邦訳される。)であって,これに乗るユニットを登場させるこ
と自体は誰しも想到し得るアイデアにすぎないし,他のゲームにも登場している
(乙19(2),31(37),39(4),94(88))。また,飛翔した状
態から攻撃するユニットに対し弓の攻撃が有効であることは,常識そのものであ
り,飛翔して移動するペガサスが地上の地形を無視して移動できることも,また至
極当然である。
 次に,ペガサスに乗ったユニットの具体的な表現を見ても,両ゲームのペガサス
は,背中に大きな翼を有する白馬というオーソドックスな姿態であり,何ら特徴が
あるものではなく,創作性はないに等しい。ペガサスユニットの移動態様(翼を広
げてバサバサという効果音とともに空中を飛翔して移動する。)や,戦闘態様(空
中から地面に降下して相手を攻撃し,相手の攻撃を避けるときは後ろに軽く飛翔し
て避け,再攻撃する時は垂直に飛翔してから再び相手に向かって降下して攻撃す
る。)に関する表現も,その飛翔の仕方や効果音,攻撃のための降下の仕方,退避
の仕方等は,いずれも翼を持った飛翔能力のあるユニットとしては一般的なものと
いわざるを得ず,創作性がないとはいえないが,その創作性の程度は低いといわざ
るを得ない。
 ペガサスに騎乗する女性騎士については,控訴人らは具体的なユニット名を挙げ
てその共通点を主張しておらず,上記認定のような共通点(女性騎士であること。
白い胸当て及び白い肩当てのある衣装をつけていること。ペガサス騎乗時には槍
を,ペガサスから降りた状態では剣を持っていること。)だけでは,両ゲームのペ
ガサスに騎乗する騎士が,創作性のある表現において共通又は類似しているという
ことはできない。
 以上のとおり,両ゲームのペガサスユニットには共通点はあるが,その共通する
部分は,アイデアにすぎないか,表現であっても控訴人らが主張するような創作性
の高いものとは到底いえず,むしろ創作性の程度は低いというべきである。
 (c) ドラゴンユニット
 上記認定のとおり,両ゲームのドラゴンに乗るユニットは,①騎士ユニットであ
り,武器としては主に槍を持つこと,②ドラゴンの翼を広げてバサバサと風を切る
移動の効果音とともに空中を飛翔し,地上の地形を無視して移動すること,③弓に
よる攻撃に弱いが,ドラゴンに守られているため高い防御力を持つこと,④騎士を
乗せて大きな翼を曲げるようにして飛翔し,頂点の高さに達した位置から斜め下方
の地上に降下して相手を攻撃し,再攻撃する時は垂直に飛翔してから再び相手に向
かって降下して攻撃するという戦闘シーンを展開すること,において共通してい
る。
しかしながら,そもそもドラゴンも西洋の伝説・神話等によく登場する動物であ
って,ドラゴンに乗るユニットを登場させること自体は簡単に想到し得るアイデア
にすぎないし,他のゲームにも登場している(乙19(2),39(5),94
(89)95(115))。また,飛翔するドラゴンユニットに対し弓の攻撃が有
効であることや,ドラゴンが高い防御力を有することは,翼と鋭い爪を有するドラ
ゴンの特性からすれば,普通に想到し得るものであり,飛翔して移動するドラゴン
が地上の地形を無視して移動できることも,同様である。
 次に,ドラゴンに乗ったユニットの具体的な表現をみると,両ゲームのドラゴン
は,単純で,かつ,普通の姿態であり,取り立てて特徴があるものでは決してな
い。ドラゴンユニットの移動態様(翼を広げてバサバサと風を切る効果音と共に空
中を飛翔して移動する。)や,戦闘態様(騎士を乗せて大きな翼を曲げるようにし
て飛翔し,頂点の高さに達した位置から斜め下方の地上に降下して相手を攻撃し,
再攻撃する時は垂直に飛翔してから再び相手に向かって降下して攻撃する。)も,
創作性がないとはいえないが,翼を持った飛翔能力のあるユニットの移動及び攻撃
態様としては自然に想到し得る普通の表現であって(ペガサスユニットもほぼ同様
の移動及び攻撃態様である。),控訴人らが主張するように独創的で創作性の高い
表現であるとは,到底いうことができない。
 ドラゴンに騎乗する騎士については,控訴人らは具体的な人物名を挙げてその共
通点を主張するものではなく,武器が共通であることを指摘するのみであって,両
ゲームの騎士が共通又は類似していることを積極的に裏付ける具体的な主張立証は
なく,むしろ,証拠(甲383,384,乙85,126)によれば,両ゲームと
も,ドラゴンに乗ることができるユニットは複数おり,その容姿,服装,性格等に
おいて共通性又は類似性はないものと認められる。
 以上のとおり,両ゲームのドラゴンユニットには一部共通点はあるが,その共通
する部分は,アイデアにすぎないか,表現であっても控訴人らが主張するような創
作性の高いものとは到底いえず,むしろ創作性の程度は低いというべきである。
 (d) 馬ユニット
 上記認定のとおり,両ゲームの馬に乗るユニットは,①兵種に応じて槍,剣等の
各種の武器を持つこと,②馬に乗っている状態では,高い移動力を持ち,馬を走ら
せて地を蹴る移動の効果音とともに移動すること,において共通している。
 しかしながら,馬に乗る騎士は,他のゲームにも登場するありふれたユニットに
すぎず(乙94(90),95(21,29)),馬に乗る騎士が兵種に応じて
槍,剣等の各種の武器を持つこともごく当然である。両ゲームに登場する馬ユニッ
トの移動の表現は,創作性の全くない表現とはいえないが,格別,特徴的であると
は認められない。
 また,両ゲームにおける馬に乗る騎士については,控訴人らは特に言及していな
いが,両ゲームとも多数のユニットが馬に乗ることができ,馬ユニット相互の間に
共通点又は類似点を認めることはできない。したがって,両ゲームの馬ユニットに
は共通する点もないではないが,その共通する部分は,アイデアか,創作性の乏し
い表現にすぎないというべきである。
 (e) 踊れるユニット
 上記認定事実及び後記(5-9)における認定事実によれば,両ゲームの踊れるユニッ
トは,①いずれも女性で,茶色の長い髪をポニーテールに結ったプロポーション良
い姿をしており,上下に分かれた衣服から腹部の一部が露出しているとともに,両
腕があらわになり,スカートのスリットは脚の付け根にまで及んでいること,②長
いひも状のリボンを両手に持って回転して踊り,最後には,左腕を真っ直ぐに高く
上げ,左足は真っ直ぐに伸ばして重心を置き,脚の付け根まで露わにした右脚を出
し,真っ直ぐに横に伸ばした腕には長いひも状のリボンを持ち,これを地面に垂ら
す決めポーズで静止すること,③踊ることによって,自軍ユニットを再行動させる
ことができること,において共通している。
 そもそも,踊ることにより自軍ユニットに一定の利益をもたらすユニットを登場
させること自体はアイデアにすぎず,他のゲームにおいても登場する(乙94(9
1),95(26,41,59,127,182))。したがって,踊れるユニッ
トを登場させて,その踊る様子を一般的な形で影像表現しただけでは,創作性があ
るということはできない。
 そこで,両ゲームにおける踊れるユニットに関する具体的な表現を検討するに,
証拠(甲383,384,乙85,126)によれば,トラキアの踊れるユニット
とは具体的にはラーラであり,被控訴人ゲームの踊れるユニットはプラムであると
認められるところ,確かに,両者が踊る場面の表現は,上記のとおり,容姿,服
装,踊り方,最後のポーズ,踊る効果等において一部共通しているが,踊る場面以
外の両者の容姿,服装,性格は,顕著な相違を呈している上,踊る場面について
も,服装の変化(プラムは変身するかのように服が変わる。),服の色(プラムは
場面により服の色が違う。),ポニーテールに結った髪の長さ(プラムの方がかな
り長い。),動作(プラムは飛び跳ねるようにして踊り,ラーラは一度しゃがむよ
うな姿勢になる。),リボンの持ち方(プラムは両手で持っている。)などの特徴
的ないくつかの点において明らかに相違していると認めることができる。そうする
と,全体としては,踊れるユニットに関する表現の相違点は,共通点又は類似点を
大きく凌いでいるというべきであり,結局,両ゲームはアイデアを共通にするにす
ぎず,具体的な表現において類似しているということはできない。
 (f)杖ユニット
 上記認定のとおり,両ゲームの杖を使うユニットは,①戦場であるにもかかわら
ず非常に軽装で,長いローブを身につけて杖を持ち,タッタッタッとの移動の効果
音とともに戦闘マップ上を移動すること,②杖を用いて自軍ユニットを別の場所に
ワープさせたり,自軍ユニットのHPを回復させたりすることができること,③ト
ラキアのサラと被控訴人ゲームのネイファとは,兵種(シスター),容姿の一部,
において共通しているということができる。
 しかしながら,このような杖を使うユニットをゲームに登場させること自体は他
のゲームでも取り入れられており(乙94(92),95(61,85)),自軍
ユニットを杖でワープさせたり,そのHPを回復させることもアイデアにすぎな
い。また,このようなユニットは,特殊な力を持つ杖が武器であるから,軽装で徒
歩であるのはごく自然なことで,その移動の態様も他の徒歩のユニットの移動と変
わるところがない。
 証拠(乙85,126)によれば,杖は,両ゲームともに多種類あり,その効果
もHP回復やワープに限らず多種多様である上,杖を使うユニットも少なくなく,
杖を使う場面の具体的な表現も様々である。控訴人らは,トラキアのサラと被控訴
人ゲームのネイファを取り上げ,兵種,顔立ち,髪型,髪色,額飾りなどが酷似す
ると主張するが,証拠(乙69(1),85,100,126)によれば,サラ
は,石化を解除する特殊な杖を使い,魔道士としての能力も併せ持つ戦闘能力の高
いユニットであるのに対し,ネイファは,竜に変身できる巫女で,戦闘する場面が
ないのであるから,両者はその印象を明らかに異にするというべきである。さら
に,杖を使って自軍ユニットをワープさせる場面と,杖を使って自軍ユニットのH
Pを回復させる場面の具体的表現は,両ゲームにおいて異なることは後記のとおり
である。
 以上によれば,両ゲームの杖ユニットには共通する点もあるが,その共通する部
分は,アイデアにすぎないか,創作性の乏しい表現にすぎず,他方,杖を使う場面
や杖ユニットの具体的な表現においては両ゲームは相違しているということができ
る。
 (g) 魔道士ユニット
 上記認定によれば,両ゲームに登場する魔道士は,①戦場であるにもかかわらず
非常に軽装で,長いマントを身につけて,戦闘マップ上をタッタッタッとの移動の
効果音とともに移動すること,②武器である魔道書を用いて,魔法攻撃を行うこと
ができること,③被控訴人ゲームの魔道士ユニットであるマルジュは,トラキアの
魔道士ユニットであるアスベルと人物設定(風魔法を得意とする少年で,自身専用
の風魔法を持ち,登場時の兵種は魔道書で攻撃魔法を専用に使う下位の兵種であ
る。),容姿(少女のような風貌で,ショートヘアから耳を出している。),にお
いて共通するということができる。
 しかしながら,魔法を使う登場人物は冒険物語等ではよく見られ,このような魔
法を使うユニットを登場させること自体は他のゲームでも採用されているありふれ
たアイデアにすぎない(乙94(93),95(14,55,63,86))。こ
のような魔道士ユニットはその性質からいって(魔法以外の武器等を使用する必要
があまりない。)軽装であるのは自然なことであり,移動方法も徒歩か特殊な移動
用具又は動物に乗るぐらいしか考えられないのであるから,そのうち徒歩等が選択
されたとしてもその選択自体に独自性はない。また,魔法使いが長いマントを身に
つけているのも典型的な姿の一つであり,戦闘マップ上の移動の態様も他の徒歩の
ユニットと変わるところがない。
 さらに,証拠(乙85,126)によれば,魔法は,トラキアで約20種類,被
控訴人ゲームで約30種類もあり,その魔力も多種多様である上,魔力を使うユニ
ットの数は少なくなく,魔力を使用する場面の具体的な表現も様々である。控訴人
らは,トラキアのアスベルと被控訴人ゲームのマルジュが酷似すると主張するとこ
ろ,確かに,両者は,魔法の種類(風魔法を得意とし,専用の風魔法を持つ。)や
容姿(少女のような風貌で,耳を出している。)などの点で共通するところがある
が,証拠(甲383,384,乙69(1),85,126)によれば,その表情
(アスベルは目元・口元が柔らかく優しい印象であるのに対し,マルジュは目元・
口元がきつく勝気な印象),髪の色(アスベルは緑なのに対しマルジュは金色)が
異なる上,風魔法による攻撃の場面についても,アスベルが,片手を上げ,画面が
青く光るとともに魔法の風を相手に投げつけるのに対し,マルジュは,画面が暗く
なるとともに,両手を上げて体の回りに竜巻のような風を起こし,魔法の風を両手
で押し出すようにして相手に浴びせるのであって,その具体的な表現において明ら
かな差異を呈している。したがって,アスベルとマルジュは,共通しているとか,
特に類似している等ということはできない。
 以上によれば,両ゲームの魔道士ユニットには共通する点もあるが,その共通す
る部分は,アイデアにすぎないか,創作性の乏しい表現にすぎず,他方,魔法を使
う場面や魔道士ユニットの具体的な表現においては両ゲームは相違しているという
ことができる。
 (h) 斧ユニット
 上記認定によれば,両ゲームの斧ユニットは,①比較的軽装で,武器として斧を
持ち,強力な破壊力を特徴とするユニットであること,②乗り物に乗れないので,
タッタッタッとの移動の効果音とともに移動すること,において共通するというこ
とができる。
 しかしながら,斧を武器とするユニットはありふれたものであり,他のゲームに
も登場しているところ(乙94(94),95(72,85,89)),上記共通
点(服装,攻撃力,移動の態様)にも格別特徴ある点を見出すことはできない。控
訴人らは,具体的に共通又は類似するユニットを挙げていないが,例えば,トラキ
アにおける斧を使用するユニットであるダグダや,被控訴人ゲームにおいて斧を使
用するガロに類似するユニットは見出しがたい。
 以上によれば,両ゲームの斧ユニットには共通する点もあるが,その共通する部
分は,アイデアか,ありふれていて創作性の認められない表現にすぎず,控訴人ら
が主張するような独自性・創作性があるということはできない。
 (i)弓ユニット
 上記認定によれば,両ゲームの弓ユニットは,①比較的軽装で,武器として弓を
使うこと,②戦闘マップにおいて,弓を用いて2桝目以上離れた敵を攻撃すること
ができること,③タッタッタッとの移動の効果音とともに移動すること,④弓によ
る攻撃は,飛翔するユニットであるペガサスユニット及びドラゴンユニットに対し
て強力な攻撃力を発揮すること,において共通している。
 しかしながら,弓を武器とするユニットはありふれたものであり,他のゲームに
も登場しているところ(乙94(95),95(61)),弓を用いた場合に距離
の離れた敵を攻撃することができるようにするのは当たり前のことであり,飛翔し
て攻撃してくるユニットに弓が強いこともごく当然なことであって,その他の共通
点(服装,移動の態様)もありふれたものである。証拠(甲383,384,乙8
5,126)によれば,両ゲームにおける弓を使うユニットは少なくなく,具体的
なユニット一人一人は容姿,服装,性格等も異なるのであって,両ゲームの弓ユニ
ットに共通点又は類似点を見出すのは困難である。
 以上によれば,両ゲームの弓ユニットに共通する点はわずかであり,しかも,そ
の共通する表現には,独自性も創作性も認められない。
 (j)剣ユニット
 上記認定のとおり,両ゲームの剣ユニットは,剣を操る技に優れた剣士であり,
軽装で,武器として剣を持ち,タッタッタッとの移動の効果音とともに移動するユ
ニットであることにおいて共通し,またトラキアの特徴的な剣ユニットであるシヴ
ァと,被控訴人ゲームの代表的な剣ユニットであるヴェガは,その容姿(鋭い目つ
きで,黒髪の前髪をばさりと垂らし,鎧を付けずに着流し的な服装),人物設定
(当初は敵として登場し,自軍の女性ユニットとの会話が行われると寝返って自軍
ユニットになる。),スキル(攻撃直前に音と共に全身から光が放たれ,剣で敵に
与えたダメージ分自らのHPが回復する。)が共通であるということができる。
 まず,剣を使うユニットに共通する表現からみるに,剣を使うユニット自体はゲ
ームでも登場しているごくありふれたものであり(乙94(96)),両ゲームに
おける剣ユニットに共通する表現(服装,移動態様)にも特徴があるとはいえな
い。したがって,これらの共通する表現に創作性を認めることはできない。
 次に,被控訴人らは,トラキアのシヴァと被控訴人ゲームのヴェガが酷似すると
主張する。確かに,両者は,その容姿,使用する剣の特殊な効果,味方になる経過
において一部共通する点があるが,証拠(甲383,384,乙85,126)に
よれば,髪型,顔の輪郭,服装等については異なっており,類似しているとまでは
認められない。
 そもそも,重要なユニットも含め,両ゲームに剣を使うユニットは数多く,それ
ぞれが名前,服装,性格を異にしているといってよく(例えば,剣を使うユニット
であるトラキアのエーヴェルに類似するユニットは,被控訴人ゲームにはいな
い。),仮にシヴァとヴェガが類似しているところがあったとしても,全体として
は,両ゲームの剣ユニットが特に類似しているというわけではない。
 (k) アーマーユニット
 上記認定のとおり,両ゲームのアーマーユニットは,①全身を頑強な鎧で固めて
いるという極めて独自の特異な形状のユニットであること,②全身を頑強な鎧で固
めているという重量から,機動力には乏しいものの,高い防御力を誇るユニットで
あること,において共通しているということができる。
 全身を頑強な鎧で固めているアーマーユニットをユニットとして登場させること
自体はアイデアにすぎず,アーマーユニットは他のゲームでも登場しているユニッ
トである(乙95(61,68,115))。アーマーユニットが機動力には乏し
いが防御力が高いことは,頑強な鎧で全身を覆っている以上,当然であり,両ゲー
ムにおけるアーマーユニットに関する共通表現が,控訴人らが主張するような独自
性・創作性があるものということはできない。
 (l) 盗賊ユニット
 上記認定のとおり,両ゲームの盗賊ユニットは,①比較的軽装で,武器として剣
を持ち,タッタッタッとの移動の効果音とともに素早く動く動きを特徴とするこ
と,②宝箱や扉を開けることができたり,跳ね橋を降ろしたりすることを特徴とす
るユニットであること,において共通している。
 しかしながら,敵からアイテムを盗み出す盗賊ユニットを登場させること自体は
よく使われるアイデアにすぎず,他のゲームにも同様なものが登場している(乙9
4(97),95(14,76))。また,両ゲームの盗賊ユニットに関する共通
点(服装,武器,移動の態様)はごくありふれたものであり,盗賊ユニットが鍵を
使って宝箱の扉を開けたり,跳ね橋を降ろす設定もアイデアにすぎず,その影像表
現も普通にイメージし得るようなものであって,両ゲームの具体的な盗賊ユニット
にも共通又は類似する点を認めることはできない。したがって,盗賊ユニットに関
する共通表現が,控訴人らが主張するような独自性・創作性があるものとは認めら
れない。
 (m) まとめ
 以上のとおり,控訴人らが主張するところのユニットに関する共通部分は,いず
れもその共通する部分がアイデアにすぎないか,有意な創作性を有するとは認めら
れないものであり,両ゲームのユニットが全体として同一性,類似性があるとは認
めがたい。むしろ,両ゲームに登場する具体的なユニットは,それぞれが異なる名
前,容姿,服装,性格,武器,戦闘能力等を有する存在であり,異なるユニットと
して認識することが相当なものである。
 (5-2) ゲームの全体構成とその各場面の表現
 証拠(甲35,39,288,309,313,359,360,373,38
3ないし388,419ないし427,495ないし498,乙37,66,8
5,99,100,126,163)によれば,ゲームの全体構成とその各場面に
関し,両ゲームは,共通表現(2)記載の共通部分を有するということができる。
 上記認定のとおり,両ゲームの全体構成は,基本的には全体マップ部分と個別の
戦闘マップを繰り返し,最終の戦闘マップにおける「戦闘マップをプレイする場
面」をクリアしたときにゲームクリアとなる,という点において共通する。これを
各場面について敷衍すると,両ゲームは,①全体マップ部分は,架空の大陸を表現
したセピア色の古地図であり,個々の戦闘マップの所在場所とこれらをつなぐ道等
が表示されている,②戦闘マップは,トップビューの視点で描かれた西洋中世風の
要塞,領主館内,山岳地帯,峡谷,民家の点在する村,城内,祭壇等を背景として
おり,マップタイトル(章タイトル)が付されている,③「戦闘前の出撃準備場
面」は,地形等を出撃前スクロールなどで確認したり,自軍ユニットの編成やアイ
テムの編集をしたりする場面である,④その後,戦闘前会話場面を経て「戦闘マッ
プをプレイする場面」になり,自軍ユニットを行動させる自軍ターンと,コンピュ
ーターが自動的に敵軍ユニットを行動させる敵軍ターンが繰り返される,⑤当該マ
ップのクリア条件を達成したときにマップクリアとなり,会話の場面が自動的に影
像表示される,⑥次いで全体マップに戻る場合には,全体マップが表示され,全体
マップに戻らず戦闘マップに移行する場合には戦闘マップのマップタイトルが表示
される,⑦最終マップをクリアしたときにゲームクリアとなる,という点において
共通しているいうことができる。
 まず,ゲームの全体構成に関し,全体マップ部分と個別の戦闘マップを交互に往
復し,最後の戦闘マップをクリアしたときにゲームクリアとなるという全体構造を
とること自体は,他のゲームでも採用されている最も典型的な構成の一つであると
いわざるを得ない(甲377(1),乙9,10,38(5ないし7)及び弁論の
全趣旨)。また,戦闘マップの場面について,控訴人らは,これを「戦闘前の出撃
準備場面」「戦闘前会話場面」「戦闘マップをプレイする場面」「マップクリア後
の会話の場面」に分けるが,かかる場面構成は,マップクリアに向けて戦闘を行う
ゲームとしては,時系列に沿った自然な場面構成であり,格別な独自性を有すると
いうことはできない。
 全体マップに関し,両ゲームはセピア色の古地図として描いている点で共通して
いるが,ゲームの舞台となる架空の大陸の全体地図を表示すること自体はアイデア
にすぎず,他のゲームでも採用されている(乙9(8),10(10),11(1
1),94(6))。全体マップは,プレイヤーに対して戦闘マップの所在と経路
を表示するための表示画面としての性質も持っており,セピア色の古地図として表
現された両ゲームの全体マップは,古地図を表示する色彩としてセピア色を選択し
たことに何ら独自性又は創作性を有するとはいえず,そのほか全体マップに特徴的
な表現を看取することは困難である。
 また,戦闘マップに関し,両ゲームは,トップビューの視点から描かれた西洋中
世風の要塞,領主館内,山岳地帯,峡谷,民家の点在する村,城内,祭壇等を背景
としている点で共通しているが,このような視点を採用することも,またよく使わ
れるアイデアにすぎず,他のゲーム(乙10(10),12(14),94
(7))でも採用されているものである。次に,個々の戦闘マップのデザインは,
ゲーム機のハード面からの制約が存在するために使用できる色彩等の制約があると
考えられるが,被控訴人ゲームにはかなり創作的な表現が多く用いられており,両
ゲームの各戦闘マップの具体的表現は異なっているということができる(控訴人ら
も各戦闘マップの具体的なデザインの類似性は主張していない。)。したがって,
両ゲームは戦闘マップについては創作性のある表現において相違しているというこ
とができる。
 (5-3) 基本ストーリー
 証拠(甲35,39,288,309,313,359,360,373,38
3ないし388,419ないし427,495ないし498,乙37,66,8
5,87(1,2),99,100,126,163)によれば,両ゲームのゲー
ム概要は,共通表現(3)記載の内容において共通しているということができる。すな
わち,両ゲームは,「亡国の少年王子が,ペガサスユニット,ドラゴンユニット,
魔道士ユニット等も登場するファンタジーな世界を背景とし,架空の大陸における
架空の小王国,小公国,小領主国間の戦乱を舞台として,戦闘等を行って仲間を増
やし,成長させ,敵側を制圧する。」という概要において共通している。
 しかしながら,上記概要は,抽象的な粗筋の域を超えるものではなく,具体的な
ストーリーについてみれば,トラキアのストーリーは前記認定のとおりであり,被
控訴人ゲームのストーリーは,「主人公リュナンはかつてリーベリア大陸に存在し
た4王国の一つであるリーヴェ王国のラゼリア公国の公子であるが,敵であるカナ
ン王国と邪神ガーゼル教団が連合してできたゾーア帝国に祖国を奪われ,親友であ
り海賊の長であるもう一人の主人公ホームズとともに,祖国奪還の兵をあげる。リ
ュナンとホームズは,それぞれの部隊を率いて行動し,リュナン隊は,祖国奪還を
目指して帝国軍と戦い,ラゼリア公国を奪還し,リーヴェ王国を制圧した後,カナ
ン王国との和平を実現する。ホームズ隊は,魔物,海賊,蛮族,魔竜等と戦いなが
ら,リュナンを側面援助する。リュナン隊とホームズ隊は,何度か合流し,部隊編
成等を行い,最後には,ガーゼル教国の神殿最深部の祭壇で再会し,復活した邪神
ガーゼルを打倒する。」というものである。
 このように,両ゲームは,ストーリーを抽象化した粗筋としては共通するが,こ
の粗筋は著作物として保護するには抽象的すぎるというべきであり,著作物として
の創作性を有する具体的なストーリーにおいては両ゲームは異なることは明らかで
ある。また,証拠(甲383,384,乙85,100,126)によれば,両ゲ
ームは,各章ごとのストーリー展開という点においても,類似していないことが認
められる。
 ストーリーは,著作者が創作性を発揮し得る幅が大きいものであり,両ゲームの
ストーリーの創作性も高いと認められるところ,両ゲームはかかる創作性の高いス
トーリーにおいて相違しているということができる。
 (5-4) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成とその各場面の表現
 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成及び各場面に関し,証拠(甲35,
39,288,309,313,359,360,373,383ないし388,
419ないし427,495ないし498,乙37,66,85,99,100,
126,163)及び弁論の全趣旨によれば,両ゲームは共通表現(4)記載の共通部
分を有すると認められる。
 上記認定によれば,「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成に関し,両ゲー
ムは,①基本的には,プレイヤーがカーソルを操作して自軍ユニットを行動させる
自軍ターンと,コンピューターが自動的に敵軍ユニットを行動させる敵軍ターンと
を繰り返すことから構成される,②自軍ターンは,コンピューターにより戦闘マッ
プ上に自軍ユニットと敵軍ユニットが自動的に配置され,自軍ターンであることを
示す英文文字が画面上に表示されることにより開始する,③自軍ターンの基本構成
は,自軍ユニットを,プレイヤーがカーソルを操作してユニット1人につきそれぞ
れ1回だけ行動させることからなっており,その行動としては,待機,攻撃,その
他の行動の三種類がある,④自軍ターンにおける自軍ユニットの行動を終えたとプ
レイヤーが判断して,メインメニューから「終了」コマンドを選択すると,自軍タ
ーンは終了する,⑤敵軍ターンは,敵軍ターンであることを示す英文文字が表示さ
れて開始し,敵軍ユニットが,プログラムに従って自動的に動き,移動して待機し
たり,自軍ユニットに対して攻撃を仕掛けてくる,⑥敵軍ターンはプログラムによ
って自動的に終了し,自軍ターンが開始する,⑦自軍ターンと敵軍ターンは,各戦
闘マップに設けられたクリア条件をクリアするまで繰り返され,クリア条件をクリ
アすることにより,当該戦闘マップがマップクリアとなる,という点で共通してい
る。
このように,「戦闘マップをプレイする場面」を,プレイヤーが自軍ユニットを
操作して行動させる自軍ターンと,コンピューターが自動的に敵軍ユニットを動か
す敵軍ターンから構成し,両ターンが戦闘マップをクリアするまで交互に繰り返さ
れること自体は,戦闘場面を中心とするゲームにおいてはごくありふれた構成にす
ぎず,自軍ターン又は敵軍ターンの表示自体も特に特徴的なものとはいえない。
 また,自軍ターンにおいて,プレイヤーがカーソルを操作して自軍ユニット1人
につきそれぞれ1回だけ行動させることができることは,よくあるゲームのルール
にすぎず,その行動の種類が大別して,待機,攻撃,その他の行動の三種類である
ことも,戦闘場面を中心とするゲームとしては,一般的であるということができ
る。
 なお,両ゲームは,戦闘マップ上の地形の属性に応じて地形効果が設定されてあ
り,「戦闘マップをプレイする場面」において,カーソルがある場所の地形効果
が,小さな長方形状の枠として,カーソルが位置する場所とは左右反対の画面上方
隅に表示され,その枠内には「平地」等の地形の属性と地形効果の数値が表示され
ている点で共通する。しかしながら,戦闘マップ上の地形の属性に応じて地形効果
を設定すること自体は容易に想到し得るアイデアにすぎず,かかる効果を設定して
いる他のゲーム(乙39(10),94(10),96)も存在する。また,画面
上での地形効果の表示は,プレイヤーに対する情報提供であり,ユーザーインター
フェースとしての性質を有するもので,アイデア及びその表現方法とも,特に特徴
的なものとはいえないので,創作性があるとはいえない。
 以上によれば,「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成とその各場面の表現
に関し,両ゲームには共通する点もあるが,その全体構成はありふれたものであ
り,上記で検討した各場面の表現にも格別な創作性を認めることはできない。な
お,「戦闘マップをプレイする場面」における待機,攻撃,その他の行動に関する
共通部分については,(5ー6)以下で検討する。
(5-5) 控訴人らの主張する「本質的ストーリー」
 控訴人らは,両ゲームは「本質的ストーリー」において共通すると主張する。控
訴人らは,「本質的ストーリー」とは,プレイヤーが「戦闘マップをプレイする場
面」をプレイした際に,ディスプレイ上に現れるプレイの遊戯内容を通じて感得さ
れるものであり,プレイヤーに非常に強い感情移入を起こさせるものであると主張
する。しかしながら,控訴人らが主張する「本質的ストーリー」は抽象的かつあい
まいなものであり,甲442や494(いずれも控訴人イズの開発部担当者作成の
陳述書)を精査しても,具体的な影像表現,ユニット,ストーリーなどとは別に
「本質的ストーリー」の意義内容を具体的かつ一義的に把握することはできない。
もとより,ゲームソフトは一定の需要者集団を想定して,難易度が設定されている
が,ゲーム全体の難易度のバランス自体を,著作権法上保護されるべき表現と認め
るのは困難であり,当該ゲームソフトをプレイした結果,プレイヤーが当該ゲーム
ソフトに強く感情移入するかどうかは,プレイヤー側の当該ゲームへの嗜好や熟練
度にもよるのであり,当該ゲームに没頭する場合も,その理由はプレイヤーにより
様々であると考えられる。したがって,プレイヤーに感得され,強い感情移入を起
こさせるものとして「本質的ストーリー」なるものを,裁判規範を充填する明確か
つ具体的なものとして把握することは困難であり,このように漠然とした「本質的
ストーリー」なるものに表現性を認めることは躊躇せざるを得ない。
 (5-6) 自軍ターンにおいて待機する場面の表現
 前記判示のとおり,両ゲームの「戦闘マップをプレイする場面」における行動
は,待機,攻撃,その他の行動からなるところ,自軍ユニットを移動させ,移動先
で待機させることは,「戦闘マップをプレイする場面」の基本的な行動の一つであ
ると認められる。証拠(甲35,39,288,309,313,359,36
0,373,383ないし388,419ないし427,495ないし498,乙
37,66,85,99,100,126,163)及び弁論の全趣旨によれば,
この場面に関し,両ゲームは,共通表現(6)記載の共通部分を有すると認められる。
これによれば,待機の場面は,基本的に,①待機していた自軍ユニットの中から移
動させるユニットを選択する,②選択されたユニットはその場動きを開始する,③
移動可能範囲内から移動先を選択する,④当該ユニットが移動する様子が表現され
る,⑤移動完了後,表示された移動後のメニューから「待機」コマンドを選択する
と,当該ユニットは移動先で待機ポーズに切り替わる,という各影像表現の組合
せ・配列により構成されているものということができる。
 (ァ)上記で認定した共通部分の中には,プレイヤーが自軍ユニットを移動・待機
させるために必要な情報及び選択肢の表示にすぎないと認められるものが含まれて
いる。例えば,カーソル,吹出し表示,移動及び攻撃可能範囲の表示,移動後のメ
ニュー表示は,いずれも,プレイヤーの便宜のためのユーザーインターフェースと
しての性質を有する表示であって,効果音も含め,その具体的な表現方法が特に特
徴的とも認められないのであって,これらの表現が創作性が有するということはで
きない。また,これらの表現は,プレイヤーの選択に付随するものであるから,そ
の表示のタイミングは,多少前後することはあっても,自ずと定まったものになら
ざるを得ないのであって(例えば,移動後のメニュー表示が移動完了の直後になる
のは当然である。),この点においても,独自性のあるようなものを見出すことは
できない。
 (ィ) さらに,コンピューターがプログラムに基づいて自動的に表現する,ユニッ
トが移動する様子の表現については,前記判示のとおりであり,ペガサス,ドラゴ
ン,馬に乗ったユニットや徒歩のユニットの移動表現(移動の際のユニットの向き
や効果音も含む。)は,創作性が全くないとはいえないが,その創作性の程度は低
いというべきである。また,移動前の待機ポーズ,選択されたユニットのその場動
きの表現,移動後の待機ポーズ,をそれぞれ異なる色合いや動作等で表現すること
も,どちらかといえば,プレイヤーにその自軍ユニットが移動可能かどうかをわか
りやすく知らせることに眼目があり,その表現上の選択肢には限界がある上,個々
の待機ポーズや動きについて格別な特徴があるともいえない。
 (ゥ)また,上記のような①ないし⑤の影像表現の組合せ・配列については,プレ
イヤーの選択により各自軍ユニットを移動して待機させる場面を表現しようとすれ
ば,自ずと最も落ち着きやすいありふれた組合せ・配列の一つであって,創作性は
ないものというべきである。
 (エ) 以上によれば,両ゲームの待機の場面を構成する各影像表現の組合せ・配列
には上記認定のような共通点があるが,これは,ごくありふれた場面展開を構成す
る表現の組合せ・配列に,プレイヤーへの情報及び選択肢表示のための影像を組み
合わせたものにすぎず,全体としての組合せ・配列についても,創作性があると認
めることはできない。また,移動の場面等の具体的表現について創作性がないか,
あっても決して高いものといえないことは,既に判断したとおりである。したがっ
て,両ゲームの待機の場面に関する共通部分については,創作性がない表現あるい
は創作性の程度が低い表現にすぎず,控訴人らが主張するような独自で創作性が高
い表現であるということはできない。
(5-7) 自軍ターンにおいて攻撃する場面の表現
 前記判示のとおり,両ゲームの「戦闘マップをプレイする場面」における行動
は,待機,攻撃,その他の行動からなり,自軍ユニットを移動し攻撃させること
は,「戦闘マップをプレイする場面」における基本的な行動の一つであると認めら
れるところであり,証拠(甲35,39,288,309,313,359,36
0,373,383ないし388,419ないし427,495ないし498,乙
37,66,85,99,100,126,163)及び弁論の全趣旨によれば,
両ゲームは,共通表現(7)記載の共通部分を有すると認められる(なお,待機の場面
と重複する表現の創作性等については,(5-6)で判示したとおりであり,自軍ユニッ
ト及び主人公の死亡の場面の表現については,(5-12),(5-13)でそれぞれ検討す
る。)。
 (ァ)上記認定によれば,両ゲームに共通する攻撃の場面は,①移動後のメインメ
ニューから「攻撃」を選択し,戦闘を行う敵軍ユニットを決定する,②自軍ユニッ
トの武器を選択する,③自軍ユニットと敵軍ユニットの戦闘場面が影像表現され
る,④ダメージを受けた方のHPが減少し,HPが0になれば死亡する,⑤戦闘し
た自軍ユニットの経験値が付与され,場合によってはクラスチェンジができる,⑥
行動終了後の待機のポーズに切り替わる,という組合せ・配列を反映した影像表現
により構成されるものということができる。
(ィ) 上記で認定した共通部分の中には,敵軍ユニットを攻撃するために必要な情
報及び選択肢の表示と認められるものが含まれている。例えば,武器選択メニュー
表示,戦闘前パラメータ表示,自軍ユニットの名前,武器の名称,攻撃能力等の表
示,HP及びその数値の変化の表示,戦闘後の経験値の変化の表示,レベルアップ
に伴う戦闘能力パラメータの数値の変化の表示は,いずれもプレイヤーに情報を与
え,またプレイヤーが選択するためのユーザーインターフェースとしての性質を有
する。こうした表示画面を設けること自体はアイデアであり,その具体的な表現方
法あるいは表示の内容(各種パラメータの項目の内容も含む。)に特徴があるとも
いえないのであるから,これらの表示に創作性があるとは到底認められない。な
お,これらの表示は,上記(ァ)記載の各表現に付随してなされるものであるから,そ
の表示のタイミングは,多少前後することはあっても,自ずと定まったものになら
ざるを得ないのであって(例えば,武器選択メニューの表示が武器選択の直前に行
われるのは当然である。),上記(ァ)を構成する各影像表現との組合せ・配列も,独
自性のある特徴的なものと認めることはできない。
 (ゥ) 次に,自軍及び敵軍ユニットの攻撃回数が基本的に1回ずつであり,攻撃速
度差が所定値以上の差がある場合に限り,攻撃速度の値の大きい方が再度攻撃でき
ること,一回の攻撃では確率によりダメージを与えたり与えられなかったりするこ
と,一回の攻撃によるダメージ値は「攻撃力ー守備力」で一定値となっているこ
と,攻撃を受けたユニットがダメージを受けるとそのHPが減少すること,HPが
0になると死亡すること,戦闘後に経験値を付与すること,経験値が100を超え
たらレベルアップすること,戦闘を終えると行動が終了になることは,いずれもゲ
ームのルールないしアイデアにすぎず,それ自体に創作性は認められない。
 (ェ) また,戦闘場面に関し,オンマップバトルに加え,戦闘場面の迫真性を増
すため,サイドビューのアニメーション切替戦闘への切替えを可能にすることは,
他のゲームでも採用されている一般的な手法であり(甲377(1ないし4),乙
96,105,106(8,17,31)),アイデアにすぎない。また,攻撃す
る場合に武器等の軌跡が白く表現されること,攻撃を受けたユニットがダメージを
受けた場合にそのままのポーズで白く光ること,HPがゼロになった敵軍ユニット
はその場で徐々に半透明になって消滅すること,攻撃が当たらなかった場合に避け
る動きをすることは,いずれも他のゲームにも例のあるありふれた表現にすぎず
(乙94(38,39),95(73,110,122,138,139,18
5,189),96),効果音も特に特徴的なものではない。したがって,これら
の表現は,創作性があるとしてもその程度は低いというほかない。
 (ォ)攻撃の場面においてプレイヤーの関心を最も引きつけるのは自軍ユニットと
敵軍ユニットとの間の戦闘場面であり,この場面はコンピューターのプログラムに
基づいて自動的に表示されるため,プレイヤーが操作することができず,画面はア
ニメーション映画のように展開する。戦闘場面に登場する自軍・敵軍ユニットの組
合せの数,使用される武器の数,戦闘する際の具体的な動きなどを考慮すれば,戦
闘場面では創作性を有する表現が可能であると考えられるところ,証拠(甲38
3,384)によれば,両ゲームの戦闘場面は,登場するユニット及びその組合
せ,使用される武器の種類及びその使用態様,戦闘の際の自軍・敵軍ユニットの動
きの表現,背景画面のデザイン,画面の明るさや色の変化等の具体的な表現におい
て相違しているということができる。
 (カ)また,上記(ァ)①ないし⑥のような各影像表現の組合せ・配列は,プレイヤー
が自軍ユニットにより敵軍ユニットを攻撃する場面を表現しようとすれば,ごく一
般的に採用されるありふれたものであって,経験値を付与することやクラスチェン
ジすることも他のゲームで採用されているアイデアにすぎない。したがって,上記
の組合せ・配列に創作性を認めることはできない。
 (キ)以上によれば,両ゲームの攻撃の場面に関する共通部分については,アイデ
ア,ルール,創作性がない表現,創作性の程度が低い表現にすぎず,各影像表現の
組合せ・配列についても,両ゲームに共通する点は見られるものの,全体として,
創作性があると認めることはできない。
 (5-8) 敵軍ターンの場面の表現
 両ゲームの敵軍ターンの場面について,証拠(甲35,39,288,309,
313,359,360,373,383ないし388,419ないし427,4
95ないし498,乙37,66,85,99,100,126,163)によれ
ば,両ゲームは,共通表現(8)記載の共通部分を有すると認めることができる。
 敵軍ターンの場面における敵軍ユニットの移動,待機,攻撃の表現は,コンピュ
ーターのプログラムによって自動的に敵軍ユニットが行動するため,プレイヤーの
ためのユーザーインターフェース画面が表示されないなどの違いはあるが,基本的
には自軍ターンの場合と同様である。なお,両ゲームともに,敵軍ターンの場面に
切り替わった直後に,暗系色の待機ポーズをとっていた各自軍ユニットが元の色に
戻り,敵軍ターンが終了すると暗系色のポーズをとっていた各敵軍ユニットが元の
色に戻るが,これはプレイヤーに対するターン交替の表示としての機能を果たすも
のであり,このような表現に創作性があるとは認められない。敵軍ターンの場面の
その他の共通部分に関しては,上記(5-6)及び(5-7)で判示したとおり,その創作性
等を認めることができない。
 (5-9) 踊る場面の表現
 前記判示のとおり,両ゲームの「戦闘マップをプレイする場面」における行動
は,待機,攻撃,その他の行動からなるところ,本項以下の各項は,その他の行動
に係る共通部分である。本項以下の各項記載の場面が,待機,攻撃,敵軍ターンの
場面と重複する共通部分を含む場合,その部分についての判断は,上記(5-6)ない
し(5-8)のとおりである。
 これを前提に,踊る場面について検討する。
 「戦闘マップをプレイする場面」において,自軍の踊れるユニットが踊ると,自
軍ユニットを再行動させることができる。この踊る場面の表現に関して,証拠(甲
35,39,288,309,313,359,360,373,383ないし3
88,419ないし427,495ないし498,乙37,66,85,99,1
00,126,163)によれば,両ゲームは,共通表現(9)記載の共通部分を有す
ると認めることができる。
上記認定によれば,両ゲームに共通する踊る場面の展開は,待機及び攻撃の場面
と比較して,①移動先が再移動させる自軍ユニットの隣であること,②選択するコ
マンドが「踊る」であること,③一対一の戦闘場面の代わりに踊る様子が表示され
ること,④踊れるユニットが踊り終わると移動できるようになった自軍ユニットが
通常の色彩に戻ること,において異なるが,これは踊ることにより自軍ユニットが
再移動できるという効果が設定されていることに伴う当然の組合せ・配列の変化に
すぎず,前記(5-6),(5-7)で判示したのと同様の理由から,その影像表現の組合
せ・配列に創作性を認めることはできない。
 踊る場面の具体的な表現の創作性については,上記(5-1)で判示したとおりであ
り,両ゲームの踊れるユニットの踊る場面の表現は,その相違点が共通点を凌駕
し,全体として類似しているとは認められない。
 したがって,踊る場面に関する共通部分について,控訴人らの主張するような独
自性・創作性は認められない。
 (5-10) ユニット間のアイテム交換の場面の表現
 ユニット間のアイテム交換の場面に関し,証拠(甲35,39,288,30
9,313,359,360,373,383ないし388,419ないし42
7,495ないし498,乙37,66,85,99,100,126,163)
によれば,両ゲームは,共通表現(10)記載の共通部分を有すると認めることができ
る。
 上記認定によれば,両ゲームに共通するユニット間のアイテム交換の場面は,プ
レイヤーが,自軍ユニットを,アイテム交換の相手先となる自軍ユニットの隣に移
動し,移動後のメニューの中からアイテム交換を意味するコマンドを選択すると,
アイテム交換用の画面が表示され,その画面上でアイテム交換を行った後,ボタン
操作により移動後のメニューに戻る,との一連の流れで展開するものと認めること
ができる。
 自軍ユニット間におけるアイテム交換の場面は,他のゲームにも採用されている
ありふれたアイデアにすぎないところ(甲377(4),乙13(11),14
(11),94(62),95(167)),上記のような場面展開も,アイテム
を交換する場面としては,ごく自然でありふれたものであり,同場面を展開する各
影像表現の組合せ・配列には,創作性は認められない。
 次に,アイテム交換を行う場面の具体的な表現について検討する。上記認定のと
おり,両ゲームに共通するアイテム交換を行う場面の表現は,①アイテム交換画面
は,画面を縦に二分して,左にアイテム交換を求める自軍ユニットを,右に交換相
手となる自軍ユニットを影像表現したものであり,画面左側には,上段に,横長の
長方形状の枠が表示され,その枠内に,アイテム交換を求めるユニットの斜め前向
きの顔影像が表示されるとともに,その横に,名前,兵種,HP値等が表示され,
下段には,縦長の長方形状の枠が表示され,その枠内に,当該自軍ユニットの現在
所持している所持アイテムに関する情報が影像表示され,画面右側には,アイテム
交換の相手となるユニットについて,同様の表示がなされている,②画面上に表示
された指カーソルを操作して相手の所持アイテムの中から交換したいアイテムを選
択してボタンを押すと,その指カーソルは動きを止め,新たな指カーソルがアイテ
ム交換を実行したユニットの所持アイテム欄の空欄となっている個所を指すので,
そこでボタンを押す,③すると,交換相手の所持アイテム欄に表示されていたアイ
テムが,交換を求めるユニットの所持アイテム欄に移動し,空欄になった当該相手
方の所持アイテム欄には,その下方にあるアイテム名が繰り上がってきて,次のア
イテムを交換することができる状態となる,④アイテム交換を終了する場合にはボ
タン操作により,当該ユニットの移動後のメインメニューの場面に戻ることができ
る,というものであると認めることができる。
 上記のうち,アイテム交換を行う各当事者の顔,名前,アイテムなどを左右対照
に表示した画面は,プレイヤーが必要とする情報を一覧し,交換するアイテムを容
易に選択できるようにするための表示であり,ユーザーインターフェースとしての
性格を持つものであって,その表示方法及び内容に特徴があるものでもないので,
創作性を有するとは認められない。また,カーソル操作により画面上でのアイテム
の移動を可能にすることも,プレイヤーの選択を容易にするための機能的な観点か
らのアイデアであり,その具体的な表示に創作性が認められるものでもない。アイ
テム交換が行われる画面における表現は,全体としても,創作性を有するとは認め
られない。
 以上のとおり,アイテム交換の場面に関する共通部分は,アイデアにすぎない
か,創作性の認められない表現にすぎないというべきである。
(5-11) ステータス画面の場面の表現
 ステータス画面の場面に関し,証拠(甲35,39,288,309,313,
359,360,373,383ないし388,419ないし427,495ない
し498,乙37,66,85,99,100,126,163)によれば,両ゲ
ームは,共通表現(11)記載の共通部分を有すると認めることができる。
 ステータス画面は,トップビューの戦闘マップ上において,カーソルをユニット
に合わせて操作ボタンを押すことにより,画面全体に表示されるものであり,プレ
イヤーに,自軍ユニットや敵軍ユニットの能力,状態,アイテムなどの情報を提供
する機能を有するものである。したがって,ステータス画面は,ユーザーインター
フェースとしての性質を有するものであり,その具体的な表示形式や含まれる情報
の内容に特に特徴があるものでもないので,創作性があると認めることができな
い。
 (5-12) 死亡判断と死にセリフの場面の表現
 ユニットの死亡判断と死にセリフの場面に関し,証拠(甲35,39,288,
309,313,359,360,373,383ないし388,419ないし4
27,495ないし498,乙37,66,85,99,100,126,16
3)によれば,両ゲームは,共通表現(12)記載の共通部分を有すると認めることが
できる。
 上記認定によれば,両ゲームに共通する死亡判断と死にセリフの場面は,戦闘に
より自軍ユニットのHPが0になり,そのユニットが死亡したものと判断される
と,自動的に開始されるものであり,具体的には,画面上に死にセリフが表示され
てから,そのユニットの全身影像が消えていき,完全に消滅すると,当初のオンマ
ップの場面に切り替わる,というものであると認めることができる。
 このように,自軍ユニットが死亡する際に,そのユニットのセリフを表示するこ
とは,他のゲームでも採用されているアイデアであり(乙39(35),94(6
5)),ユニットのHPが0になるとそのユニットは死亡すること,死亡したユニ
ットは二度と生き返らないことは,いずれもゲームのルールにすぎない。また,死
亡した自軍ユニットの全身影像が半透明となって徐々に消え,最後には消滅の効果
音とともに消滅するという表現も,ありふれているというほかない。さらに,死に
セリフの表示方法は,会話等を表示する際の普通の手法にすぎず,創作性は認めら
れない。
 以上のとおり,両ゲームの死亡判断と死にセリフの場面に関する共通部分は,ア
イデア又は創作性のない表現にすぎないというべきである。
 (5-13) 主人公の死亡によるゲームオーバーの場面の表現
 主人公の死亡によるゲームオーバーの場面に関し,証拠(甲35,39,28
8,309,313,359,360,373,383ないし388,419ない
し427,495ないし498,乙37,66,85,99,100,126,1
63)によれば,両ゲームは,共通表現(13)記載の共通部分を有すると認めること
ができる。
 上記認定によれば,主人公の死亡によるゲームオーバーの場面が,上記(5-12)の
場面と異なる主な点は,主人公の死にセリフが表示され,その全身影像が消滅した
後に,画面がトップビューによる戦闘マップの場面に切り替わり,その下方一杯に
長方形状の吹出しが表示され,その吹出しの上方かつ画面の右側に,主人公に最も
親しい自軍ユニットの顔が主人公の顔のあった左側を向いて表示され,その吹出し
内に主人公の死を無念に思う当該自軍ユニットの言葉が文字表示される,という点
にあると認めることができる。
このように,主人公の死亡の場合に,主人公自身の死にセリフに続いて,その死
を無念に思う自軍ユニットの言葉を表示することは,アイデアにすぎない。セリフ
の表示方法に創作性が認められないことは,前記のとおりであり,その他の表現
(主人公の死にセリフの表示とその全身影像の消滅する表現)の創作性について
は,上記(5-12)で判示したとおりである。
 以上によれば,主人公の死亡によるゲームオーバーの場面に関する共通部分は,
アイデアないし創作性のない表現にすぎないというべきである。
 (5-14) クラスチェンジの場面の表現
 クラスチェンジの場面に関し,証拠(甲35,39,288,309,313,
359,360,373,383ないし388,419ないし427,495ない
し498,乙37,66,85,99,100,126,163)によれば,両ゲ
ームは,共通表現(14)記載の共通部分を有すると認めることができる。
 上記認定によれば,両ゲームは,クラスチェンジの場面に関し,①クラスチェン
ジを可能にするアイテムを所持した自軍ユニットが,移動を完了すると,移動後の
メニューが表示されるので,その中から,アイテムを意味するコマンド,続いて
「使う」とのコマンドを選択する,②すると,戦闘画面の設定がオンマップであっ
てもトップビューのマップ画面から自動的にサイドビューのクラスチェンジの場面
に切り替わり,クラスチェンジの様子が影像表現される,③クラスチェンジが完了
すると,長方形状の枠が表示され,枠内の左端に当該自軍ユニットの右斜め前向き
の上半身の影像を,その横には当該ユニットのクラスチェンジ後の戦闘能力パラメ
ータが影像表示され,パラメータがアップする場合には,パラメータの数値の上昇
が,数値の変化や上昇マークとともに表現される,④クラスチェンジの場面が終了
すると,当該ユニットの自軍ターンでの行動は終了となり,トップビューのマップ
場面に再び切り替わり,当該ユニットは待機ポーズとなる,という点で共通すると
認められる。
 上記のうち,自軍ユニットが一定の条件のもとでクラスチェンジすること自体
は,他のゲームでも取り入れられているありふれたアイデアにすぎず(乙39(2
8),94(67),95(101,150),96),クラスチェンジの場面を
構成する各影像表現の組合せ・配列も,アイテムを使ってクラスチェンジする場面
としては,容易に考えられる自然なものであって,創作性があると認めることがで
きない。また,クラスチェンジ後の戦闘パラメーターの表示はユーザーインターフ
ェースとしての性質を持つ表示であり,その表示方法や内容において特徴的である
とも認められないので,創作性があるとはいえない。
 次に,両ゲームのクラスチェンジの具体的表現は,上記認定のとおり,まず,画
面中央に,クラスチェンジするユニットが,現在の兵種での服装(及び乗り物)
で,左向きの影像で表現され,黒背景の画面下段の右半分には,当該ユニットの名
前等が青色系の枠内に影像表示され,続いて,当該ユニットは強い光に照らされる
ように明るくなり,その光が徐々に弱くなると,クラスチェンジしたユニットが,
クラスチェンジ後の兵種での服装(及び乗り物)で,右向きの影像として表現され
る,という点で共通すると認められる。しかしながら,証拠(甲383,384)
によれば,トラキアでは,クラスチェンジする前のユニットを強い光が白い円柱状
に包んで,その中の当該ユニットが黒い影のように映り,光が消えると,中からク
ラスチェンジした後のユニットが現れるという表現方法をとっているのに対し,被
控訴人ゲームでは,クラスチェンジする前のユニットがぼやけるようにして一度消
え,その後徐々にクラスチェンジ後の姿が現れるという表現方法をとっていると認
められ,その具体的な表現方法は両ゲームで異なるといわざるを得ない。
 以上のとおり,そもそも自軍ユニットが一定の条件の下,クラスチェンジするこ
と自体はアイデアにすぎず,同場面を構成する各影像表現の組合せ・配列も特徴的
とはいえず創作性は認められない一方,両ゲームの具体的なクラスチェンジの表現
は異なるというべきである。
 (5-15) マップクリア後に主人公がクラスチェンジする場面の表現
 マップクリア後に主人公がクラスチェンジする場面に関し,証拠(甲35,3
9,288,309,313,359,360,373,383ないし388,4
19ないし427,495ないし498,乙37,66,85,99,100,1
26,163)によれば,両ゲームは,共通表現(15)記載の共通部分を有すると認
めることができる。
 上記認定によれば,両ゲームに共通するマップクリア後に主人公がクラスチェン
ジする場面は,クラスチェンジする主体が主人公であり,その時期がマップクリア
後であることを除き,上記(5-14)の場面と変わらないものと認められる。マップク
リア後に主人公が一定の場合にクラスチェンジすること自体は,他のゲームにも取
り入れられているアイデアにすぎず(乙95(56)),その他の表現(主人公が
クラスチェンジする様子の表現も含む。)の創作性については,上記(5-14)で判示
したとおりである。
 以上によれば,主人公のマップクリア後のクラスチェンジの場面の共通部分は,
アイデア又は創作性のない表現にすぎず,両ゲームは具体的な表現において相違し
ているということができる。
 (5-16) 闘技場の場面の表現
 闘技場は,プレイヤーが,武器やアイテムなどを購入する資金を取得するため
に,一定の賭金をかけて相手と決闘するために設けられた施設である。闘技場の場
面に関し,証拠(甲35,39,288,309,313,359,360,37
3,383ないし388,419ないし427,495ないし498,乙37,6
6,85,99,100,126,163)によれば,両ゲームは,共通表現(16)
記載の共通部分を有すると認めることができる。
 上記認定によれば,両ゲームに共通する闘技場の場面は,戦闘マップ上に古代ロ
ーマの闘技場のように表現された闘技場が配置されている場合,自軍ユニットをそ
の闘技場の上に移動させ,移動後のメニューから闘技場コマンドを選択すると,闘
技場における場面が影像表現され,闘技場の場面が終了すると,戦闘マップの場面
に戻り,当該ユニットは待機ポーズに切り替わる,という一連の流れで構成される
と認められる。
そもそも,一定の金額を賭金として相手と決闘する場所として闘技場を設けるこ
とは,他のゲームでも採用されているアイデアにすぎず(乙39(31),94
(68),95(28,108,160)),闘技場に入ると,その主人が登場
し,プレイヤーに話しかけるような形で,ルールや選択肢を説明するという手法
も,単なるアイデアにすぎない。
 また,対戦したユニットのいずれかが死亡するか,プレイヤーがキャンセルのた
めのボタンを操作するまで戦闘が続けられることは,ゲームのルールにすぎず,対
戦相手のデータや賞金額の表示,セリフの表示方法等は,プレイヤーに対する情報
及び選択肢の提供を主たる目的とする表示であって,創作性があるとは認められな
い。
 さらに,闘技場の外観や,闘技場の場面を構成する各影像表現の組合せ・配列
も,容易に考えられるありふれたもので,いずれにも,創作性を認めることはでき
ない。両ゲームの闘技場における「おやじ」のセリフも,一般的なルールや選択肢
の説明にすぎず,特に創作性があるとは認められない。
 他方,証拠(甲383,384)によれば,両ゲームの闘技場の場面の具体的な
表現,例えば「おやじ」の容姿,闘技場の外観及び内部の様子等は,異なっている
と認められ,ユニット間の戦闘場面の具体的な表現が両ゲームで異なることは,他
の戦闘場面と同様である。
 以上によれば,両ゲームの闘技場の場面には共通する点もあるが,その共通する
部分は,アイデアにすぎないか,創作性に乏しい表現にすぎず,具体的な表現にお
いては,両ゲームは相違するということができる。
 (5-17) 秘密の店の場面の表現
 秘密の店とは,特殊な条件として設定したアイテムを持った自軍ユニットのみが
入って珍しいアイテムを購入できる店であり,一見して店だとはわからないように
なっている。秘密の店の場面に関し,証拠(甲35,39,288,309,31
3,359,360,373,383ないし388,419ないし427,495
ないし498,乙37,66,85,99,100,126,163)によれば,
両ゲームは,共通表現(17)記載の共通部分を有すると認めることができる。
 上記認定によれば,両ゲームに共通する秘密の店の場面の展開は,移動先が秘密
の店であるほかは,闘技場の場面(5-16)と同様であると認めることができる。
 そもそも,マップ上に表示されない秘密の店を設けるということは,他のゲーム
でも採用されているアイデアにすぎず(乙39(34),94(69),95(9
7)),秘密の店に入ると,その主人が登場し,プレイヤーに話しかけるような形
で,アイテムの売買が行われることも,単なるアイデアにすぎない。さらに,秘密
の店の店内の場面における,所持金,アイテムとその価格のリスト表及び残金額の
表示,選択のための文字表示等は,プレイヤーに対する情報及び選択肢の提供を主
たる目的とする表示であって,創作性があるとは認められない。秘密の店の主人の
セリフも,プレイヤーに対する情報の提供及び選択肢の表示としてなされものであ
って,特に創作性があるとは認められない。
 他方,証拠(甲383,384)によれば,秘密の店に関する具体的な表現,例
えば,店の主人の容姿(トラキアでは武器屋,道具屋,秘密の店の主人は同じ容姿
であるのに対し,被控訴人ゲームの各主人の容姿はそれぞれ異なる。),店の背景
画面等は,両ゲームで異なっていると認められる。
 以上によれば,秘密の店の場面には共通する点もあるが,その共通する部分は,
アイデア又は創作性に乏しい表現にすぎず,具体的な表現においては相違するとい
うことができる。
 (5-18) 「制圧」コマンドによるマップクリアの場面の表現
 制圧によるマップクリアの場面に関し,証拠(甲35,39,288,309,
313,359,360,373,383ないし388,419ないし427,4
95ないし498,乙37,66,85,99,100,126,163)によれ
ば,両ゲームは,共通表現(18)記載の共通部分を有すると認めることができる。
 上記認定によれば,両ゲームに共通する制圧によるマップクリアの場面は,主人
公による制圧コマンドの選択がクリア条件となっているマップにおいて,戦闘によ
って敵軍ボスが死亡した後,制圧できる所定の場所に主人公を移動させ,制圧コマ
ンドを選択すると,マップクリアとなる,というものであると認めることができ
る。
 敵軍の将を倒し,敵の特定の拠点に主人公が移動することによりマップクリアと
なるというのは,きわめてありふれたゲームのルールないしはアイデアにすぎず,
同場面に関し,他に創作性ある具体的表現と認めるに足るものはない。したがっ
て,制圧によるマップクリアの場面に関する共通部分は,アイデアにすぎないか,
ありふれていて創作性の認められない表現にすぎないというほかない。
 (5-19) ペガサスに乗る場面の表現
 徒歩で移動したユニットが移動先でペガサスに乗る場面に関し,証拠(甲35,
39,288,309,313,359,360,373,383ないし388,
419ないし427,495ないし498,乙37,66,85,99,100,
126,163)によれば,両ゲームは,共通表現(19)記載の共通部分を有すると
認めることができる。
 上記認定によれば,両ゲームに共通するペガサスに乗る場面は,ペガサスに乗れ
るユニットが徒歩で移動した後に,移動後のメニューから「乗る」コマンドを選択
すると,その場で当該ユニットがペガサスに乗る様子が表現され,続いて「待機」
コマンドを選択すると,ペガサスが当該ユニットを乗せたまま翼をたたんで斜め前
を向いた待機ポーズに影像が切り替わる,という一連の流れで展開するものと認め
られる。そして,ペガサスに乗る様子の具体的な表現は,「乗る」コマンドを選択
することにより,当該ユニットがペガサスに乗った影像に切り替わり,ペガサスが
当該ユニットを乗せて空中で翼を羽ばたかせている状態がトップビューのアニメー
ション手法によって影像表現され,地上には,空中で羽ばたくペガサスの黒い影が
表現される,というものであると認められる。
 上記のうち,ペガサスに乗ることのできるユニットがペガサスを乗る場面を設け
ることは,他のゲームでも採用されているアイデアにすぎず(乙95(3),9
6),ペガサスの乗る場面を構成する各影像表現の組合せ・配列も,特に特徴的で
あるとは認められない。また,ペガサスに乗る場面の具体的な表現も,当該ユニッ
トを乗せたペガサスが空中で翼を羽ばたかせ,その影がマップ上に黒く映るという
ものであり,創作性がないとはいえないが,空中にとどまって飛翔する姿としては
それほど特徴があるとはいえず,戦闘マップの桝目上での表現であることも考慮す
ると,その創作性の程度は低いというべきである。ペガサスの移動後の待機ポーズ
についても同様である。したがって,ペガサスに乗る場面に関する共通部分は,ア
イデア,創作性のない表現又は創作性の程度の低い表現にすぎず,控訴人らが主張
するような独自で創作性の高い表現とは認めることができない。
 (5-20) ペガサスから降りる場面の表現
ペガサスに乗って移動したユニットが移動先でペガサスから降りる場面に関し,
証拠(甲35,39,288,309,313,359,360,373,383
ないし388,419ないし427,495ないし498,乙37,66,85,
99,100,126,163)によれば,両ゲームは,共通表現(20)記載の共通
部分を有すると認めることができる。
 上記認定によれば,両ゲームに共通するペガサスから降りる場面は,①ペガサス
に乗った自軍ユニットが待機ポーズをとっている場合,当該ユニットにカーソルを
合わせて選択すると,ペガサスが当該ユニットを乗せたままその場に飛翔し,大き
く羽ばたきをし始める,②移動先を決定すると,ペガサスが当該ユニットを乗せ
て,翼を大きく羽ばたかせて空中を飛翔し,移動先に移動する,③ペガサスが当該
ユニットを乗せたままで移動先に到達すると,「おりる」コマンドを含む移動後の
メニューが表示されるので,このコマンドを選択すると,ペガサスの影像は消え,
当該ユニットがその場で駆けている姿が影像表現される,④移動後のメニューから
「待機」コマンドを選択すると,当該ユニットは待機ポーズに切り替わる,という
一連の流れで展開するものと認められる。
上記のうち,ペガサスに乗ったユニットがペガサスから降りる場面を設けること
は,他のゲームでも採用されている単なるアイデアにすぎず(乙95(3),9
6),ペガサスに乗ったユニットが移動を開始してから,移動先でペガサスから降
りるまでの各影像表現の組合せ・配列も,普通に考えられるものである。また,ペ
ガサスが当該ユニットを乗せて飛翔する表現,ペガサスが当該ユニットを乗せたま
ま空中を飛翔して移動する表現,当該ユニットがペガサスから降りる表現,当該ユ
ニットがその場で駆ける動作の表現は,いずれも,創作性がないとはいえないが,
特に特徴的であるとも認められないものであり,その創作性は低いというべきであ
る。したがって,ペガサスから降りる場面に関する共通部分は,アイデア,創作性
のない表現又は創作性の程度の低い表現にすぎず,控訴人らが主張するような独自
で創作性の高い表現とは認めることができない。
 (5-21) ドラゴンに乗る場面の表現
徒歩で移動したユニットが移動先でドラゴンに乗る場面に関し,証拠(甲35,
39,288,309,313,359,360,373,383ないし388,
419ないし427,495ないし498,乙37,66,85,99,100,
126,163)によれば,両ゲームは,共通表現(21)記載の共通部分を有すると
認めることができる。
 上記認定によれば,両ゲームに共通するドラゴンに乗る場面の展開は,乗り物が
ドラゴンである以外は,上記(5-19)と同様であると認められる。ペガサスと同様,
ドラゴンに乗ることのできるユニットがドラゴンを乗る場面を設けることは,他の
ゲームでも採用されているアイデアにすぎず(乙95(40,78,127),9
6),ドラゴンに乗る場面を構成する各影像表現の組合せ・配列も,特に特徴的で
あるとは認められない。また,ドラゴンに乗る場面の具体的な表現も,当該ユニッ
トを乗せたドラゴンが空中で翼をはばたかせ,その影がマップ上に黒く映るという
ものであり,創作性がないとはいえないが,空中にとどまって飛翔する姿としては
それほど特徴があるとはいえず,戦闘マップの桝目上での表現であることも考慮す
ると,その創作性の程度は低いというべきである。ドラゴンの移動後の待機ポーズ
についても同様である。したがって,ドラゴンに乗る場面に関する共通部分は,ア
イデア,創作性のない表現又は創作性の程度の低い表現にすぎず,控訴人らが主張
するような独自で創作性の高い表現とは認めることができない。
 (5-22) ドラゴンから降りる場面の表現
 ドラゴンに乗って移動したユニットが移動先でドラゴンから降りる場面に関し,
証拠(甲35,39,288,309,313,359,360,373,383
ないし388,419ないし427,495ないし498,乙37,66,85,
99,100,126,163)によれば,両ゲームは,共通表現(22)記載の共通
部分を有すると認めることができる。
上記認定によれば,両ゲームに共通するドラゴンから降りる場面の展開は,乗り
物がドラゴンである以外は,上記(5-20)と同様であると認められる。ペガサスと同
様,ドラゴンに乗ったユニットがドラゴンから降りる場面を設けることは,他のゲ
ームでも採用されている単なるアイデアにすぎず(乙95(40,127),9
6),ドラゴンに乗ったユニットが移動を開始してから,移動先でドラゴンから降
りるまでの各影像表現の組合せ・配列も,普通に考えられるものである。また,ド
ラゴンが当該ユニットを乗せて飛翔する表現,ドラゴンが当該ユニットを乗せて移
動する表現,当該ユニットがドラゴンから降りる表現,当該ユニットがその場で駆
ける動作の表現は,いずれも,創作性がないとはいえないが,特に特徴的であると
も認められないものであり,その創作性は低いというべきである。したがって,ド
ラゴンから降りる場面に関する共通部分は,アイデア,創作性のない表現又は創作
性の程度の低い表現にすぎず,控訴人らが主張するような独自で創作性の高い表現
とは認めることができない。
 (5-23) 馬に乗る場面の表現
徒歩で移動したユニットが移動先で馬に乗る場面に関し,証拠(甲35,39,2
88,309,313,359,360,373,383ないし388,419な
いし427,495ないし498,乙37,66,85,99,100,126,
163)によれば,両ゲームは,共通表現(23)記載の共通部分を有すると認めるこ
とができる。
 両ゲームにおける馬に乗る場面の展開は,乗り物が馬である以外は上
記(5-19),(5-21)と同様であると認めることができる。ペガサス及びドラゴン同
様,馬に乗ることのできるユニットが馬に乗る表現を設けることは,他のゲームで
も採用されている単なるアイデアにすぎず(乙95(7,83),馬に乗る場面を
構成する各影像表現の組合せ・配列も,特に特徴的であるとは認められない。ま
た,馬に乗る場面の具体的な表現も,馬に乗れるユニットが馬に乗ってその場でギ
ャロップをするというもので,創作性がないとはいえないが,マップの桝目上での
表現であり,特に特徴的な表現であるとは認められない。馬の移動後の待機ポーズ
についても同様である。したがって,馬に乗る場面に関する共通部分は,アイデ
ア,創作性のない表現又は創作性の程度の低い表現にすぎず,控訴人らが主張する
ような独自で創作性の高い表現とは認めることができない。
 (5-24) 馬から降りる場面の表現
 馬に乗って移動したユニットが移動先で馬から降りる場面に関し,証拠(甲3
5,39,288,309,313,359,360,373,383ないし38
8,419ないし427,495ないし498,乙37,66,85,99,10
0,126,163)によれば,両ゲームは,共通表現(24)記載の共通部分を有す
ると認めることができる。
 上記認定によれば,両ゲームに共通する馬から降りる場面の展開は,乗り物が馬
である以外は,上記(5-20),(5-22)と同様であると認められる。ペガサス及びドラ
ゴンと同様,馬に乗ったユニットが馬から降りる場面を設けることは,他のゲーム
でも採用されている単なるアイデアにすぎず(乙95(83),96),馬に乗っ
たユニットが移動を開始してから,移動先で馬から降りるまでの各影像表現の組合
せ・配列も,普通に考えられるものである。また,馬が当該ユニットを乗せてギャ
ロップする表現,馬が当該ユニットを乗せて移動する表現,当該ユニットが馬から
降りる表現,当該ユニットがその場で駆ける動作の表現は,いずれも,創作性がな
いとはいえないが,特に特徴的であるとも認められないものであり,その創作性は
低いというべきである。したがって,馬から降りる場面に関する共通部分は,アイ
デア,創作性のない表現又は創作性の程度が低い表現にすぎず,控訴人らが主張す
るような独自で創作性の高い表現とは認めることができない。
 (5-25) ユニット間の会話で寝返る場面の表現
 自軍ユニットが敵軍ユニットに話しかけて会話することにより,敵軍ユニットが
自軍に寝返る場面に関し,証拠(甲35,39,288,309,313,35
9,360,373,383ないし388,419ないし427,495ないし4
98,乙37,66,85,99,100,126,163)によれば,両ゲーム
は,共通表現(25)記載の共通部分を有すると認めることができる。
 上記認定によれば,両ゲームに共通するユニット間の会話で寝返る場面は,自軍
ユニットが,話しかけて仲間にできる(寝返る)敵軍ユニットの隣りに移動し,
「話す」コマンドを選択すると,トップビューのマップ場面から会話場面に切り替
わり,会話場面が終了すると,それ以降は寝返った敵軍ユニットが自軍ユニットと
して表示され,行動を終了した自軍ユニットは待機ポーズに切り替わる,というも
のであると認めることができる。また,両者の会話場面では,両者の上半身の影像
が,画面の左右に表示され,横に長い長方形状の吹出し内に会話内容が文字表示さ
れる。
 そもそも,自軍ユニットが特定の敵軍ユニットに話しかけることにより,当該敵
軍ユニットが寝返るという設定は,他のゲームでも採用されている単なるアイデア
にすぎず(乙94(49,66,134,151,153),96),同場面の展
開も容易に考えられるありふれたものであるから,同場面を構成する各影像表現の
組合せ・配列に創作性があると認めることはできない。また,寝返った敵軍ユニッ
トの吹出し表示の色が,寝返った後に自軍の色になるのは当然であり,自軍ユニッ
トと敵軍ユニットの会話の表示方法も一般的なものである。むしろ,プレイヤー
は,吹出しの中に表示される自軍ユニットと寝返る敵軍ユニットの会話内容に関心
を持つものであり,こうした会話の内容は,制作者が自由に創作できる余地が大き
いと考えられるところ,証拠(甲383,乙100)によれば,この点について
は,両ゲームは相違していると認められる。
 以上のとおり,自軍ユニットが話しかけることにより敵軍ユニットが寝返る場面
に関する共通部分は,アイデア又は創作性のない表現にすぎず,会話場面で表示さ
れる会話内容については両ゲームは異なるということができる。
 (5-26) ユニット間の会話で仲間になる場面の表現
 自軍ユニットが中立ユニットに話しかけることにより仲間になる場面に関し,証
拠(甲35,39,288,309,313,359,360,373,383な
いし388,419ないし427,495ないし498,乙37,66,85,9
9,100,126,163)によれば,両ゲームは,共通表現(26)記載の共通部
分を有すると認めることができる。
 上記認定によれば,両ゲームに共通するユニット間の会話で仲間になる場面は,
自軍ユニットが話をする相手が中立のユニットであるほかは,上記(5-25)と同様で
あると認められる。上記(5-25)と同様,自軍ユニットが中立ユニットに話しかけて
味方にすることができるという設定は,他のゲームでも採用されているありふれた
アイデアにすぎず(乙9(12),39(29),95(58,80,95),9
6),同場面を構成する各影像表現の組合せ・配列に創作性があるとも認められな
い。また,味方になった中立ユニットの吹出し表示の色が,味方になった以降に自
軍の色になるのは当然であり,自軍ユニットと中立ユニットの会話の表示方法も一
般的なものにすぎない。両ゲームが,吹出しの中に表示される自軍ユニットと中立
ユニットの会話内容において相違していると認められることも,上記(5-25)と同様
である。
 したがって,自軍ユニットが話しかけることにより中立ユニットが味方になる場
面に関する共通部分は,アイデア又は創作性のない表現にすぎず,会話場面で表示
される会話内容については両ゲームは異なるということができる。
 (5-27) 武器屋の場面の表現
 武器を売買する武器屋の場面に関し,証拠(甲35,39,288,309,3
13,359,360,373,383ないし388,419ないし427,49
5ないし498,乙37,66,85,99,100,126,163)によれ
ば,両ゲームは,共通表現(27)記載の共通部分を有すると認めることができる。
 上記認定によれば,両ゲームに共通する武器屋の場面の展開は,移動先が武器屋
(民家とは異なって,四角く中央がへこみ,周りが少し高い壁となっており,壁は
西洋中世の城のように四角いでこぼこが並んだ屋根をもった四角い建物)であるほ
かは,闘技場の場面(5-16)と同様であると認めることができる。
 そもそも,武器を売買する場所として武器屋を設けるということは,他のゲーム
でも採用されているアイデアにすぎず(乙39(32),94(71),95(2
3)),武器屋の店内に入ると,主人が現れ,プレイヤーに話しかけるような形
で,売買が行われるという手法も,単なるアイデアにすぎない。また,武器屋の外
観や,同場面を構成する各影像表現の組合せ・配列も,容易に考えられるありふれ
たものであって,いずれにも,創作性を認めることはできない。
 さらに,武器屋の店内の場面における,所持金,武器とその価格のリスト表及び
残金額の表示,選択のための文字表示等は,プレイヤーに対する情報及び選択肢の
提供を主たる目的とする表示であって,創作性があるとは認められない。武器屋の
主人のセリフも,プレイヤーに対する情報の提供及び選択肢の表示としてなされる
ものであって,特に創作性があるとは認められない。
 他方,証拠(甲383,384)によれば,武器屋に関する具体的な表現,例え
ば,店の主人の容姿(トラキアでは武器屋,道具屋,秘密の店の主人は同じ容姿で
あるのに対し,被控訴人ゲームの各主人の容姿はそれぞれ異なる。),店の背景画
面等は,両ゲームで異なっていると認められる。
 以上によれば,武器屋の場面には共通する点もあるが,その共通する部分は,ア
イデア又は創作性に乏しい表現にすぎず,具体的な表現においては相違する点があ
るということができる。
 (5-28) 道具屋の場面の表現
 アイテムを売買する道具屋の場面に関し,証拠(甲35,39,288,30
9,313,359,360,373,383ないし388,419ないし42
7,495ないし498,乙37,66,85,99,100,126,163)
によれば,両ゲームは,共通表現(28)記載の共通部分を有すると認めることができ
る。
上記認定によれば,両ゲームに共通する道具屋の場面の展開は,移動先が道具屋
(民家とは異なって,民家とは異なった白い四角の枠がはまった屋根の建物)であ
るほかは,闘技場の場面(5-16)と同様であると認めることができる。
 そもそも,アイテムを売買する場所として道具屋を設けるということは,他のゲ
ームでも採用されているアイデアにすぎず(乙39(33),94(72),95
(23)),道具屋の店内に入ると,主人が現れ,プレイヤーに話しかけるような
形で,売買が行われるという手法も,単なるアイデアにすぎない。また,道具屋の
外観や,同場面を構成する各影像表現の組合せ・配列も,容易に考えられるありふ
れたものであって,いずれにも,創作性を認めることはできない。
 さらに,道具屋店内の場面における,所持金,アイテムとその価格のリスト表及
び残金額の表示,選択のための文字表示は,プレイヤーに対する情報及び選択肢の
提供を主たる目的とする表示であって,創作性があるとは認められない。主人のセ
リフも,プレイヤーに対する情報の提供又は選択肢の表示としてなされるものであ
って,特に創作性があるとは認められない。
 他方,証拠(甲383,384)によれば,道具屋に関する具体的な表現,たと
えば,両ゲームの道具屋に関する具体的な表現,例えば,店の主人の容姿(トラキ
アでは武器屋,道具屋,秘密の店の主人は同じ容姿であるのに対し,被控訴人ゲー
ムの各主人の容姿はそれぞれ異なる。),店の背景画面等は,異なっていると認め
られる。
 以上によれば,道具屋の場面には共通する点もあるが,その共通する部分は,ア
イデア又は創作性に乏しい表現にすぎず,具体的な表現においては相違するという
ことができる。
 (5-29) 縮小マップの場面の表現
 縮小マップの場面に関し,証拠(甲35,39,288,309,313,35
9,360,373,383ないし388,419ないし427,495ないし4
98,乙37,66,85,99,100,126,163)によれば,両ゲーム
は,共通表現(29)記載の共通部分を有すると認めることができる。
 上記認定のとおり,縮小マップは,トップビューの戦闘マップ上において,戦闘
マップの一面が画面サイズより大きく,一画面だけでは戦闘マップの状況を把握で
きないときに,プレイヤーが操作ボタンを押すと,マップ画面上に重なって表示さ
れる縮小された戦闘マップである。縮小マップ上に表示されるカーソルは,画面上
で背景として表現されている戦闘マップが,縮小マップ上のどこに位置するかを表
示しており,このカーソルを上下左右に移動させると,背景の戦闘マップが,カー
ソルの動きに合わせて画面上でスクロールする。プレイヤーが操作ボタンを押す
と,縮小マップの影像表現は一瞬にして消滅し,元のトップビューの戦闘マップ影
像が表現される。
 ゲームソフトにおいて,縮小マップを設けることは他のゲームでも採用されてい
るアイデアにすぎない(乙39,94(73))。縮小マップは,プレイヤーが戦
闘マップ全体の地形や自軍及び敵軍ユニットの配置を確認するためのものであり,
単に戦闘マップを縮小したにすぎないのであるから,創作性がある表現とは認めら
れない。
(5-30) ユニット一覧の場面の表現
 ユニット一覧の場面に関し,証拠(甲35,39,288,309,313,3
59,360,373,383ないし388,419ないし427,495ないし
498,乙37,66,85,99,100,126,163)によれば,両ゲー
ムは,共通表現(30)記載の共通部分を有すると認めることができる。
 上記認定のとおり,ユニット一覧の場面の表示は,トップビューの戦闘マップ上
において,カーソルの位置にユニットが存在していない状態で操作ボタンを押して
メインメニューを表示させた上,その中からユニットを意味するコマンドを選択す
ると表示されるものである。ユニット一覧は,ユニット名は固定して表示したまま
で,操作ボタンを押すことにより,画面上の横方向の項目を順次切り換えて表現す
るものとなっており,方向キーの上下でユニットを選択して,操作ボタンを押す
と,一瞬にしてユニット一覧表は消え,戦闘マップ画面に切り替わり,場合によっ
ては,戦闘マップがスクロールすることにより,ユニット一覧表で選択されたユニ
ットにカーソルが合わされ,吹出しが影像表示される。このようなユニット一覧画
面は,プレイヤーが各自軍ユニットの経験値,HP,装備武器等を一覧できるよう
にするためのものであり,ユーザーインターフェースとしての性質を有するもので
あって,その具体的な表示形式や含まれる情報の内容に特徴があるものでもない。
したがって,創作性のある表現とは認められない。
 (5-31) 杖を使って相手をワープさせる場面の表現
 杖ユニットが杖を使って自軍ユニットを別の場所にワープさせる場面に関し,証
拠(甲35,39,288,309,313,359,360,373,383な
いし388,419ないし427,495ないし498,乙37,66,85,9
9,100,126,163)によれば,両ゲームは,共通表現(31)記載の共通部
分を有すると認めることができる。
 上記認定によれば,両ゲームに共通する杖を使って相手をワープさせる場面は,
①相手をワープさせることのできる杖を所持している杖ユニットを,ワープさせる
自軍ユニットの隣に移動させて,移動後のメニューから杖コマンド,続いて該当す
る杖を選択し,ワープさせる自軍ユニットを選択する,②ワープさせる場所を,指
が四角い枠を下げ持っている形状の特別な指カーソルで指定する,③ワープ先を指
定して,杖ユニットが杖を使うと,ワープさせる相手が立っている場所が光り,ワ
ープさせる相手はその場から消え,ワープ先に指定した場所にワープさせた相手が
現れる,④この杖を使った杖ユニットに経験値が付与され,経験値が100を超え
た場合にはレベルアップの場面へ移行する,⑤杖ユニットの行動は終了し,待機ポ
ーズに切り替わる,という一連の流れで展開するものと認められる。
 そもそも,杖を使って自軍ユニットをワープさせる場面を設けること自体は他の
ゲームでも採用されているアイデアであり(乙94(75),95(101)),
また,同場面を構成する各影像表現の組合せ・配列は,杖で相手をワープさせる場
面としては容易に考えられる組合せ・配列にすぎないというべきである。また,カ
ーソルについては,特徴的な形をしていることは確かであるが,その目的は移動先
の選択をさせることにあるのであるから,機能的な表示にすぎず,創作性は認めら
れない。さらに,証拠(甲383,384)によれば,両ゲームにおける,杖ユニ
ットが自軍ユニットをワープさせる具体的表現は,杖が光を発する様子や,ワープ
する自軍ユニットの光り方,当該ユニットの移動先での現れ方などにおいて相違し
ていると認められる。
 以上のとおり,杖を使って自軍ユニットをワープさせる場面を設けること自体は
アイデアにすぎず,同場面を構成する各影像表現の組合せ・配列にも創作性を認め
ることができない上,両ゲームの杖を使う場面の具体的表現は異なるのであって,
同場面の共通部分が控訴人らが主張するように独自で創作性の高い表現であるとは
認めることができない。
 (5-32) 杖を使って相手を回復させる場面の表現
 杖ユニットが杖を使ってHPの減少した自軍ユニットを回復させる場面に関し,
証拠(甲35,39,288,309,313,359,360,373,383
ないし388,419ないし427,495ないし498,乙37,66,85,
99,100,126,163)によれば,両ゲームは,共通表現(32)記載の共通
部分を有すると認めることができる。
 上記認定によれば,両ゲームに共通する杖を使って相手を回復させる場面は,①
HPを回復させる杖を所持する杖ユニットを,HPが減少している自軍ユニットの
隣に移動させて,移動後のメニューから,「杖」コマンド,続いて該当する杖を選
択し,HPを回復する自軍ユニットを選択する,②すると,杖ユニットが杖を使
い,杖ユニットから光る輪が外へ広がり,HPを回復させる自軍ユニットに光の輪
がすぼまってゆく,③効果音とともに,HPを表す数値が上がり,棒グラフが伸び
る影像により,当該ユニットのHPが回復して増加する様子が示される,④この杖
ユニットに,経験値が付与される場面に自動的に切り替わり,経験値が100を超
えるとレベルアップの場面へ移行する,⑤杖ユニットの行動は終了し,待機ポーズ
に切り替わる,という一連の流れで展開するものと認められる。
そもそも,杖を使って自軍ユニットのHPを回復させること自体は他のゲームで
も採用されているアイデアであり(甲377(1),乙94(76),乙95(5
4,58,63)),また,同場面を構成する各影像表現の組合せ・配列は,杖で
相手をワープさせる場面としては自然に想到し得るありふれたものにすぎないとい
うべきである。また,証拠(甲383,384)によれば,両ゲームにおける,杖
ユニットが杖を使って自軍ユニットのHPを回復させる具体的表現は,光の発せら
れ方,光の色,光の収束の様子などにおいて異なっているものと認められる。
 以上のとおり,杖を使って相手を回復させる場面に関する共通部分は,アイデア
にすぎないか,ありふれていて創作性の認められない表現にすぎず,創作性のある
表現においては,両ゲームは相違するというべきである。
 (5-33) 敵軍ボスの口上の場面の表現
 自軍ターンにおける攻撃時に,敵軍のボスユニットが初めて自軍ユニットと戦闘
を行う場合には,敵軍ボス口上の場面が表現される。この場面に関し,証拠(甲3
5,39,288,309,313,359,360,373,383ないし38
8,419ないし427,495ないし498,乙37,66,85,99,10
0,126,163)によれば,両ゲームは,共通表現(33)記載の共通部分を有す
ると認めることができる。
 上記認定によれば,両ゲームに共通する敵軍ボスの口上の場面は,戦闘する相手
が敵軍ボスである場合に限り,戦闘場面が開始される直前に表示されるものであ
り,具体的には,画面下段に,横長の長方形状の吹出しが表示されるとともに当該
敵軍のボスユニットの斜め前方を向いた顔の影像が表示され,その吹出しの中に戦
闘を初めて行うに当たっての当該ボスユニットの口上が文字で表示される,という
ものであると認めることができる。
 このように,戦闘場面の開始前に敵軍ボスが口上を述べる場面を設けることは他
のゲームでも採用されているアイデアにすぎず(乙94(77)),その口上の表
示方法や吹出しに特に特徴があるものでもない。むしろ,敵軍ボスが口上を述べる
場面において,プレイヤーが関心を寄せるのは,当該敵軍ボスの口上の内容そのも
のであり,この点については制作者が自由に創作する余地が大きいと認められると
ころ,両ゲームの敵軍ボスの口上の内容が共通又は類似していると認めるに足る証
拠はない。
 したがって,敵軍ボスの口上の場面に関する共通部分は,アイデア又はありふれ
ていて創作性の認められない表現にすぎないというべきである。
 (5-34) 敵軍ボスの死にセリフの場面の表現
敵軍ボスの死にセリフの場面に関し,証拠(甲35,39,288,309,3
13,359,360,373,383ないし388,419ないし427,49
5ないし498,乙37,66,85,99,100,126,163)によれ
ば,両ゲームは,共通表現(34)記載の共通部分を有すると認めることができる。
 上記認定によれば,両ゲームに共通する敵軍ボスの死にセリフの場面は,戦闘に
よって敵軍のボスユニットが死亡した場合に自動的に開始されるものであり,具体
的には,斜め前方を向いた当該ボスユニットの顔の影像が表現されるとともに,横
長の長方形状の吹出しが影像表現され,その吹出しの中に当該ボスユニットの死に
セリフの言葉が文字で影像表示された後,当該ボスユニットの全身影像は,徐々に
半透明となって消えるように影像表現され,最後には消滅の効果音とともに消えて
しまう,というものであると認めることができる。
 上記のうち,敵軍ボスが死亡した場合に死にセリフを述べる場面を設定すること
は,他のゲームでも採用されているアイデアにすぎず(乙94(79)),同場面
を構成する各影像表現の組合せ・配列も特徴的であるとは認められない。また,敵
軍のボスユニットの全身影像が消滅していく表現もありふれていて,創作性は認め
られない。むしろ,敵軍ボスの死にセリフの場面において,プレイヤーが関心を寄
せるのは,当該敵軍ボスの死にセリフの内容そのものであり,この点については,
両ゲームの敵軍ボスの死にセリフの内容が共通又は類似していると認めるに足る証
拠はない。
 したがって,敵軍ボスの死にセリフの場面に関する共通部分は,アイデア又はあ
りふれていて創作性の認められない表現にすぎないというべきである。
 (5-35) 民家を訪ねて仲間を増やす場面の表現
 民家を訪ねて仲間を増やす場面に関し,証拠(甲35,39,288,309,
313,359,360,373,383ないし388,419ないし427,4
95ないし498,乙37,66,85,99,100,126,163)によれ
ば,両ゲームは,共通表現(35)記載の共通部分を有すると認めることができる。
 上記認定によれば,両ゲームに共通する民家を訪ねて仲間を増やす場面は,①自
軍ユニットが,ドアが開いておりかつ仲間にできるユニットが中にいる民家に移動
し,移動後のメニューから「訪ねる」コマンドを選択すると,トップビューのマッ
プ場面から,民家内での会話の場面に切り替わり,人物影像の下に設けられた横に
長い長方形状の吹出し内に,仲間になる旨の会話内容が文字で表示される,②会話
場面が終了すると,戦闘マップ画面に戻り,新たに仲間になった自軍ユニットが民
家の外に出て所定の待機ポーズをし,以降,当該ユニットにカーソルを合わせると
自軍の色(青色系)の吹出しが出る,③当該民家は,以降は,ドアが閉じた状態に
変わって影像表現され,行動を終了した自軍ユニットは待機ポーズに切り替わる,
という一連の流れで展開するものと認めることができる。
 そもそも,民家を訪ねて仲間を得るという設定自体は,他のゲームでも採用され
ているアイデアにすぎない(乙95(58,62,92))。また,仲間になった
ユニットの吹出しの色の変化の表現,民家のドアの開閉の変化の表現については,
プレイヤーへの表示を目的とするものであり,創作性があるとは認められない。民
家における自軍ユニットと仲間にできるユニットとの間の会話内容については,両
ゲームでその内容が共通又は類似していると認めるに足る証拠はない。
 以上によれば,民家を訪ねて仲間を増やす場面に関する共通部分は,アイデア
か,創作性の認められない表現にすぎないというべきである。
 (5-36) 民家を訪ねてアイテムを得る場面の表現
 民家を訪ねてアイテムを得る場面に関し,証拠(甲35,39,288,30
9,313,359,360,373,383ないし388,419ないし42
7,495ないし498,乙37,66,85,99,100,126,163)
によれば,両ゲームは,共通表現(36)記載の共通部分を有すると認めることができ
る。
 上記認定によれば,両ゲームに共通する民家を訪ねてアイテムを得る場面は,民
家を訪れてその中にいる人物からアイテムを受け取る点で上記(5-35)と異なり,そ
の具体的な表現は,民家の中の人物との会話の場面が終了すると,アイテム獲得場
面となり,画面中央に横に長い長方形のウィンドウが表現され,そのウィンドウ中
に,獲得したアイテムのアイコン及びアイテム名称並びに当該アイテムを手に入れ
たという文字が影像表現され,音階が上がる短いファンファーレが鳴るというもの
であると認めることができる。
 そもそも,民家を訪ねてアイテムを得るという設定自体は他のゲームでも採用さ
れているアイデアにすぎず(乙94(81),95(92)),前記判示のとお
り,アイテムの表示画面も,プレイヤーへの情報提供を主たる目的とするものであ
り,創作性があるとは認められない。その他の表現の創作性等については,上
記(5-35)で判示したとおりである。したがって,民家を訪ねてアイテムを得る場面
に関する共通部分は,アイデアか,創作性の認められない表現にすぎないというべ
きである。
 (5-37) 宝箱を開ける場面の表現
 戦闘マップ上に宝箱が存在するとき,盗賊ユニットは宝箱を開けることにより,
アイテムを入手させることができる。この場面に関し,証拠(甲35,39,28
8,309,313,359,360,373,383ないし388,419ない
し427,495ないし498,乙37,66,85,99,100,126,1
63)によれば,両ゲームは,共通表現(37)記載の共通部分を有すると認めること
ができる。
 上記認定によれば,両ゲームに共通する宝箱を開ける場面は,宝箱を開けること
のできる盗賊ユニットを宝箱まで移動させ,宝箱を開けることを意味するコマンド
を選択すると,自動的に宝箱が開けられた影像がなされ,画面中央に表示される横
に長い長方形のウィンドウ中に,獲得したアイテムのアイコン及びアイテム名称並
びに当該アイテムを手に入れたという文字が表示されるとともに,音階が上がる短
いファンファーレが鳴り,その画面が自動的に消えると当該ユニットは待機ポーズ
に切り替わる,という流れで展開すると認めることができる。
 宝箱の中にアイテムがあり,それを自軍の特定のユニットが開けることにより,
アイテムを獲得するという設定は,他のゲームでも採用されているアイデアにすぎ
ず(乙94(82),96),同場面を構成する各影像表現の組合せ・配列にも特
徴があるとは認められない。また,両ゲームの戦闘マップ上に表現された宝箱及び
それが開く表現は,ごくありふれたもので創作性があるとは認められず,取得した
アイテムの名称等の表示は,プレイヤーに対するユーザーインターフェースとして
の性質を持つもので,これについても創作性を認めることはできない。
したがって,宝箱を開ける場面に関する共通部分は,アイデアか,ありふれてい
て創作性の認められない表現にすぎないというべきである。
 (5-38) 扉を開く場面の表現
 閉まっている扉を開く場面に関し,証拠(甲35,39,288,309,31
3,359,360,373,383ないし388,419ないし427,495
ないし498,乙37,66,85,99,100,126,163)によれば,
両ゲームは,共通表現(38)記載の共通部分を有すると認めることができる。
 上記認定によれば,両ゲームに共通する扉を開く場面は,扉を開ける鍵又は技を
持った特定の自軍ユニットが,戦闘マップ上の閉まっている扉の隣に移動し,扉を
開けることを意味するコマンドを選択すると,扉が軋むように開く効果音ととも
に,扉が開き,扉を開けた当該ユニットは移動を終了し,待機ポーズに切り替わ
る,という一連の流れで展開すると認めることができる。
 このように特定の自軍ユニットが鍵を使って扉を開くことができるという設定
は,他のゲームでも採用されているアイデアにすぎず(乙94(83),95(3
9,51,109),96),同場面を構成する各影像表現の組合せ・配列も,容
易に考えられるありふれたもので,特に特徴があるとは認められない。また,両ゲ
ームの扉を開く場面の表現を具体的に見ても,その効果音,扉の表現などもありふ
れており,扉が開くと,それ以降,戦闘マップ上でその扉が開き続け,ユニットが
自由に出入りできるようになることは当然である。したがって,扉を開く場面に関
する共通部分は,アイデアか,ありふれていて創作性の認められない表現にすぎな
いというべきである。
 (5-39) 跳ね橋を降ろす場面の表現
 川や堀等に設置され自軍の通行を阻んでいる跳ね橋を降ろす場面に関し,証拠
(甲35,39,288,309,313,359,360,373,383ない
し388,419ないし427,495ないし498,乙37,66,85,9
9,100,126,163)によれば,両ゲームは,共通表現(39)記載の共通部
分を有すると認めることができる。
 上記認定によれば,両ゲームに共通する跳ね橋を降ろす場面は,戦闘マップ上に
おいて,横棒を並べたような形状で中央から跳ね上がるように開いている跳ね橋が
存在する場合において,この跳ね橋を渡れるようにするための鍵を所持している特
定の自軍ユニットが,跳ね橋と隣接する位置に移動し,「跳ね橋」コマンドを選択
すると,効果音とともに跳ね橋が降り,跳ね橋を降ろした当該ユニットの行動は終
了し,待機ポーズに切り替わる,という一連の流れで展開すると認めることができ
る。
 地形上に川や堀等がある場合に跳ね橋を設け,鍵を持った特定の自軍ユニットの
みがこれを降ろすことができるようにすることは,他のゲームでも採用されている
アイデアにすぎず(乙94(84),95(51,147),96),同場面を構
成する各影像表現の組合せ・配列も,容易に考えられるありふれたもので,特に特
徴的であるとは認められない。また,跳ね橋自体や跳ね橋が降りる場面の具体的表
現も,ありふれたものであって,創作性があるとは認められず,跳ね橋が一度降り
ると,それ以降,そのままの状態となり,各ユニットが自由に橋を渡ることができ
るようになることは当然である。したがって,両ゲームは,跳ね橋を降ろす場面に
関し,アイデア又は創作性を有しない表現において共通するにすぎないというべき
である。 
 (5-40) 風魔法の場面の表現
 自軍ユニットの特定のユニットが使える風魔法(魔法の風を相手に飛ばして倒す
技)の場面に関し,証拠(甲35,39,288,309,313,359,36
0,373,383ないし388,419ないし427,495ないし498,乙
37,66,85,99,100,126,163)によれば,両ゲームは,共通
表現(40)記載の共通部分を有すると認めることができる。
 上記認定によれば,両ゲームに共通する風魔法の場面は,待機及び攻撃の場面の
表現と比較して,登場するのが魔道士ユニットであること,使用する武器が風魔法
であること,戦闘場面において風魔法を使う場面が表現されることが相違するのみ
であると認めることができる。
 そもそも,風魔法を使って敵を攻撃できる魔道士を設定することは,他のゲーム
でも採用されているアイデアにすぎない(乙94(85),95(37,44,8
5))。また,風魔法を使える特定のユニットであるトラキアのアスベルと被控訴
人ゲームのマルジュが風魔法を使う場面の具体的な表現は,手を敵軍ユニットに向
かって真っ直ぐに伸ばして白っぽい三日月形の鎌のような強力な風を敵軍ユニット
に向かって飛ばす点では共通しているものの,全体としては異なる表現であると認
められることは,前記判示のとおりである。風魔法の場面のその他の共通部分(待
機,攻撃と重複する部分)の創作性については,上記(5-6)及び(5-7)で判示したと
おりである。
 したがって,両ゲームは,風魔法の場面に関し,アイデア又は創作性に乏しい表
現において共通するにすぎず,創作性ある具体的な表現においては相違していると
いうことができる。 
 (5-41) ロングアーチ/クインクエインの場面の表現
 ロングアーチ/クインクエイン(以下「機械式弓兵器」という。)は,遠距離に
いる相手を攻撃できる機械式の巨大な弓兵器であり,敵軍が使用する。この場面に
関し,証拠(甲35,39,288,309,313,359,360,373,
383ないし388,419ないし427,495ないし498,乙37,66,
85,99,100,126,163)によれば,両ゲームは,共通表現(41)記載
の共通部分を有すると認めることができる。
 上記認定によれば,両ゲームに共通する機械式弓兵器の場面は,まず,敵の攻撃
を受ける自軍ユニットがカーソルで表示された上,アニメーション戦闘場面に切り
替わり,画面の上段中央に機械式弓兵器がこれを操作する兵士とともに表示され,
同兵器から弓が発射されると,画面が切り替わり,攻撃を受ける自軍ユニットが画
面上段の中央に立っている場面となり,左上から自軍ユニットに対して機械式弓兵
器から放たれた巨大な矢が飛んでくる影像が表示される,という一連の流れで展開
し,攻撃を受けた自軍ユニットがダメージを受け,あるいは受けなかった場合の影
像は,上記攻撃の場面(5-7)と同様であると認めることができる。
このように,遠方の敵を攻撃できるような射程距離を持つ弓兵器等を武器として
設定することは他のゲームでも採用されているアイデアにすぎず(乙94(8
6),95(65,137,186)),他のゲームで採用することが妨げられる
ものではない。また,このような兵器の性質に照らせば,あらかじめ攻撃を受ける
自軍ユニットが表示され,戦闘場面が開始された後,機械式弓兵器から弓が発射さ
れる様子が表現され,続いて,攻撃を受ける自軍ユニットに画面が切り替わるとい
うのは,普通に考えられる展開であり,同場面を構成する各影像表現の組合せ・配
列に創作性があるとは認められない。
 両ゲームは,敵軍ユニットが装備する機械式弓兵器とこれを兵士が操作して発射
する場面の表現に関し,上記認定のとおりの共通点を有するが,他方,証拠(甲3
83,384)によれば,両ゲームは,機械式弓兵器の機械の色,重量感,画面に
おける表示の大きさ(迫力),土台の形状,弓の装填状況,設置されている場所,
背景画面,兵士の動作等の表現において異なり,両ゲームにおける機械式弓兵器の
具体的表現が類似しているとは認められない。
 以上によれば,そもそも機械式弓兵器が登場して自軍ユニットを攻撃する場面を
設けることはアイデアにすぎず,同場面を構成する各影像表現の組合せ・配列にも
創作性を認めることはできない上,その具体的表現において両ゲームは相違してい
ると認められる。 
 (5-42) 再移動の場面の表現
 自軍ターンにおいて,乗り物に乗った状態のペガサスユニット,ドラゴンユニッ
ト又は馬ユニットが敵を攻撃した後,残りの移動力で移動できる状態であった場合
には,自動的に当該ユニットが再移動できる場面となる。この場面に関し,証拠
(甲35,39,288,309,313,359,360,373,383ない
し388,419ないし427,495ないし498,乙37,66,85,9
9,100,126,163)によれば,両ゲームは,共通表現(42)記載の共通部
分を有すると認めることができる。
 上記認定のとおり,両ゲームは,再移動の場面に切り替わると,残りの移動力で
移動できる状態のユニットが,自動的にその場動きを開始し,移動可能な範囲が,
背景とは異なる色の半透明な桝目で表現される点で共通する。その後の移動の表現
は,通常の移動の場合と同じである。
 特定のユニットを攻撃後に再移動させるというのは,ゲームのルールないしアイ
デアにすぎない。再移動の態様については,最初の移動と異なる点はないのである
から,その創作性等については,前記待機の場面(5-6)で判示したとおりで,付加す
べき点はない。
 (6) 全体的・総合的観察
 以上,詳細に判示したとおりであるが,重要判示部分を要約すると,以下のとお
りである。 
 前記(3)で判示したとおり,ゲームシステムに基づいて変化する影像及びその全体
構成とストーリーは,「戦闘マップをプレイする場面」の重要な構成要素であると
いうことができる。
 ゲームシステムに基づいて変化する影像及びその全体構成に関し,控訴人らは,
両ゲームの,ゲームソフト全体の構成(共通表現(2)),「戦闘マップをプレイする
場面」の構成(共通表現(4)),「戦闘マップをプレイする場面」における待機,攻
撃,その他の行動の場面の表現(共通表現(6)ないし(42))は,いずれも独自で特徴
的であると主張する。しかしながら,上記(5)で判示したとおり,ゲームソフト全体
の構成及び「戦闘マップをプレイする場面」の構成には,確かに共通する部分が存
在するものの,これらの共通部分は,他のゲームでも採用されている極めて典型的
なものであり,創作性があると認めることはできない。また,両ゲームは,待機,
攻撃,その他の各行動の場面についても,共通する部分を有すると認められるが,
これらの部分は,いずれも,各場面を構成する影像表現の組合せ・配列も含め,ア
イデアにすぎないか,創作性が認められない表現にすぎず,創作性が認められる表
現についても,その程度は低いというべきである。加えて,上記各場面について
は,創作性ある表現において両ゲームが相違するものも存在するのであるから,被
控訴人ゲームに接した者が,トラキアの本質的な特徴を感得することは困難である
といわざるを得ない。
 他方,ストーリー(共通表現(3))については,(5-3)で判示したとおり,両ゲー
ムで共通しているのは,抽象的な筋立てにとどまり,具体的なストーリーとして
は,全体的なストーリー,各戦闘マップで展開するストーリー,ユニット間の会話
のいずれにおいても相違していると認められる。また,控訴人らが主張する「本質
的ストーリー」(共通表現(5))は抽象的かつあいまいなものであって,表現性を認
めることはできない。したがって,両ゲームは創作性のあるストーリーにおいて,
相違しているということができる。
 さらに,「戦闘マップをプレイする場面」を構成する他の要素のうち,ユニット
(共通表現(1))については,上記(5-1)で検討したとおり,両ゲームのユニットに
は共通する部分も認められるが,いずれもその共通する部分は,アイデアにすぎな
いか,有意な創作性を有するとは認められないものであり,両ゲームのユニットが
全体として同一性,類似性があるとは認めがたい。むしろ,両ゲームに登場する具
体的なユニットは,それぞれが異なるユニットとして認識することが相当なもので
ある。そして,両ゲームの戦闘マップや音楽が相違していることも,翻案該当性を
否定する一事情ということができる。
以上判示したとおりであって,帰するところ,両ゲームは,アイデアなどの表現
それ自体でない部分又は創作性の乏しい表現において共通するにすぎないのである
から,被控訴人ゲームに接する者がトラキアの表現上の本質的な特徴を感得するこ
とは困難であるというべきであり,被控訴人ゲームがトラキアの翻案に当たると認
めることはできない。
 (7) その余の選択的主張について
 控訴人らは,被控訴人ゲームの「戦闘マップをプレイする場面」がトラキア全体
の翻案に当たり(選択的主張2),又は,被控訴人ゲームの「戦闘マップをプレイ
する場面」がトラキアの「戦闘マップをプレイする場面」の翻案に当たる(選択的
主張3)と主張する。しかしながら,以上の判示に照らせば,選択的主張2及び3
も理由がないことは明らかである。
 (8) まとめ
 以上によれば,控訴人らの主張する翻案はいずれも認めることができないという
べきであるから,その余の点を判断するまでもなく,控訴人らの著作権法に基づく
請求は理由がない。
第5-2不正競争防止法に基づく請求について(予備的請求)
 1 控訴人イズの「他人」該当性 
 (1) 不正競争防止法2条1項1号は,「他人の商品等表示・・・として需要者の間
に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し,・・・他人の商
品又は営業と混同を生じさせる行為」,同項2号は,「自己の商品等表示として他
人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用」する行為について,それ
ぞれ不正競争行為にあたると規定する。
 ここでいう「他人」とは商品等表示の主体を意味するところ,本件では,控訴人
ゲームを製造,販売した控訴人任天堂が本件商品の商品等表示の主体に当たること
については,当事者間に争いがない。当事者間に争いがあるのは,控訴人ゲームの
製造販売権等を控訴人任天堂に使用許諾した控訴人イズが「他人」に該当するかど
うかである。
 この「他人」の意義につき,控訴人らは,不正競争行為によって営業上の利益を
侵害され,又は侵害されるおそれがある者をいうと主張する。しかしながら,「他
人」とはあくまで商品等の表示主体を指すのであるから,「他人」に該当するかど
うかは,商品等表示についていえば,当該商品等表示の内容や態様,当該商品の広
告・宣伝の規模や内容,品質保証表示のあり方などに照らし,当該商品等表示が何
人のものとして需要者に認識されているかによって定めるのが相当である。
(2) そこで,本件における具体的な事実関係について検討するに,証拠によれ
ば,以下の事実を認めることができる。
 (ア) ファイアーエムブレム・シリーズ第1作ないし第4作の商品パッケージ,テ
レビコマーシャル,チラシ,ゲーム雑誌における紹介記事や広告には,発売元とし
て控訴人任天堂の名前のみが表示されており,第5作であるトラキアの商品パッケ
ージ,取扱説明書,ゲームカセット,チラシ,ゲーム雑誌における紹介記事や広告
には,その最下段ないしそれに近い部分に・マークを付した控訴人イズの名前が控
訴人任天堂の名前と並んで小さく表示されているものの,発売元としては控訴人任
天堂のみが表示されている(商品パッケージ及びチラシについて,甲321ないし
323,372の1の1及び2,372の2,372の3の1及び2,372の4
の1及び2,372の5の1及び2,テレビコマーシャルについて,甲243の1
ないし5,418,ゲーム雑誌について,例えば,甲11,49,74,92,1
52,220)。
 (イ) 控訴人任天堂と控訴人イズは,控訴人ゲームの複製,利用,商品化に関し,
以下のとおり合意した(甲320の1,320の1の2,320の2,320の2
の2,320の3,320の3の2,320の4,320の4の2,320の5,
320の5の2)。
 (a)控訴人イズは,平成元年12月から平成9年7月にかけ,控訴人任天堂との
間において,ファイアーエムブレム・シリーズ各作品について個別に,その複製・
利用等に関する使用許諾契約(以下「本件使用許諾契約」と総称する。)を締結し
た。本件使用許諾契約には,①控訴人イズは控訴人任天堂に対し,控訴人イズが創
作したゲームソフトを許諾地域において製造,販売,頒布(トラキアの場合は,書
換え又は書込みによる販売,頒布)する独占ライセンスを許諾する,②控訴人任天
堂は,控訴人イズに対し,販売1個(トラキアの場合は販売による顧客からの徴収
額)につき所定額のロイヤリティを支払う,③控訴人任天堂は,控訴人イズに対
し,所定額の最低保証ロイヤリティを支払う等の条項が含まれている。
 (b) 控訴人イズは,控訴人任天堂との間において,本件使用許諾契約に基づき,
平成2年6月から平成11年11月にかけ,ファイアーエムブレム・シリーズ各作
品について個別に,ファイアーエムブレム・シリーズ各作品のタイトル,ストーリ
ー,登場するキャラクターの名称,形状,音声等を各種商品,宣伝,サービス等に
使用する権利(商品化権)に関する覚書を交わした(以下「本件覚書」と総称す
る。)。本件覚書には,①控訴人イズは,第三者との商品化権ライセンス契約の締
結に関する一切の権限を独占的かつ包括的に控訴人任天堂に委ねる,②控訴人任天
堂は,各作品の商品化窓口業務の遂行に当たり,作品のイメージアップを図り,イ
メージダウンにつながるような商品を製造,販売する業者には商品化権ライセンス
を与えない,③控訴人任天堂は,商品化権ライセンス契約より収受する許諾料の一
定割合を控訴人イズに分配する等の条項が含まれている。
 (3) 一般に,ゲームソフトの需要者は,店頭にある商品に実際に接し,あるいは
広告媒体を通じて,その商品主体を認識すると考えられるところ,上記(2)(ア)の認
定事実によれば,ファイアーエムブレム・シリーズ各作品の商品パッケージには発
売元として控訴人任天堂の名前のみが表示され,ゲーム雑誌やテレビコマーシャル
などを通じて継続的かつ頻繁になされた同作品の広告においても,発売元として控
訴人任天堂の名前のみが表示されていたというのであるから,これらの表示に接し
た需要者は,控訴人任天堂を控訴人ゲームの商品等表示主体と認識していたと推認
するのが相当である。控訴人らは,控訴人イズが商品等表示主体と認められるべき
根拠として,トラキアの商品パッケージなどに「・」マークを付した控訴人イズの
名前が表示されていることを指摘するが,これは控訴人イズが著作権者であること
を示すにすぎず,それをもって需要者が控訴人イズを商品等表示主体と認識すると
は考えられない。また,控訴人らは,控訴人イズが控訴人ゲームの表示主体である
ことを具体的に表示している例として他のゲーム雑誌(甲77,219)も挙げる
が,これらは,控訴人イズを被控訴人Aの所属先(甲77),ゲームの開発元(甲
219)として紹介しているのみで,控訴人イズを控訴人ゲームの商品等表示主体
としているものということはできない。
 控訴人ゲームの品質保証表示に関し,控訴人らは,控訴人イズは,本件使用許諾
契約及び本件覚書に基づき,控訴人任天堂とともに控訴人ゲームの商品化事業を遂
行し,控訴人ゲームの商品主体であることを表示するとともに,その品質を保証し
てきたと主張する。確かに,上記覚書には,作品のイメージダウンにつながるよう
な商品の製造・販売業者に控訴人任天堂が商品化権ライセンスを与えないとの規定
や,商品化権ライセンス契約より控訴人任天堂が収受する許諾料の一定割合の分配
を控訴人イズが受ける旨の規定が存在し,控訴人イズが商品化事業に実際に関与し
ていたことを示す証拠(甲148,200,249,368,389ないし39
2)も存在する。しかしながら,本件覚書には,控訴人イズは第三者との商品化権
ライセンス契約締結に関する一切の権限を控訴人任天堂に独占的かつ包括的に委ね
る旨の規定があり,控訴人任天堂がこの規定に基づいて第三者に商品化権を使用許
諾した例は多数ある(甲247,248)のに対し,控訴人イズが控訴人ゲームの
商品化した商品はテレホンカード(甲368)などごくわずかであり,控訴人らが
挙げる他の証拠(甲148,200,249,389ないし392)を総合して
も,控訴人イズが,控訴人任天堂とともに商品化事業を行い,それを通じて需要者
に対し控訴人ゲームの品質保証表示を行ったと認めることはできない。
 ところで,不正競争防止法2条1項1号の「他人」には,「特定の表示に関する
商品化契約によって結束した同表示の使用許諾者,使用権者及び再使用権者のグル
ープのように,同表示の持つ出所識別機能及び顧客吸引力を保護発展させるという
共通の目的のもとに結束しているものと評価することのできるようなグループも含
まれる」(アメリカンプロフットボール事件上告審判決)と解すべきところ,控訴
人らは,控訴人イズが,控訴人ゲーム表示の出所表示機能,品質保証機能,顧客吸
引力を保護発展させるという共通の目的の下に,控訴人任天堂と共に緊密な営業活
動を行ってきたと主張する。しかしながら,本件使用許諾契約及びそれに基づく本
件覚書の内容,控訴人ゲームの商品パッケージの表示や広告の内容,控訴人ゲーム
に関する商品化事業に関する上記認定事実を総合しても,控訴人イズと控訴人任天
堂が,控訴人ゲームの商品等表示の持つ出所識別機能,品質保証機能及び顧客吸引
力を保護発展させるという共通の目的のもとに結束しているグループであると評価
することはできない。 
 控訴人らは,控訴人イズが「ファイアーエムブレム」や「エムブレム」との登録
商標を取得し,維持管理していることや,控訴人イズがファイアーエムブレム・シ
リーズのゲームソフトの開発を長年行っている旨主張するが,いずれもそれ自体が
需要者に対する控訴人ゲームの商品等表示となるものではなく,控訴人イズの商品
等表示主体性を基礎付けるものということはできない。
 (4) 以上によれば,控訴人イズは,不正競争防止法2条1項1号及び2号の「他
人」には該当しないというべきである。したがって,控訴人イズの同法に基づく請
求は,その余の判断をするまでもなく,棄却を免れない。
2 周知又は著名な商品等表示
 控訴人らは,①控訴人ゲームのゲームタイトルに使われている「ファイアーエム
ブレム」との表示,②その略称ないし愛称(以下「略称」に統一する。)である
「エムブレム」との表示,③控訴人ゲームの影像及びその変化の態様は,いずれも
周知性又は著名性のある商品等表示であると主張するので,以下,これらの商品等
表示について,順次,検討する。 
 2-1「ファイアーエムブレム」との表示の周知性又は著名性
 (1) まず,本件における「需要者」(不正競争防止法2条1項1号)の範囲につ
いて検討する。これは,各商品等表示に共通し,周知性判断の前提となる争点であ
る。
 控訴人らは,控訴人ゲームはSRPGのジャンルに属するゲームソフトであるか
ら,本件の「需要者」の範囲は,SRPGのユーザーととらえるべきであると主張
する。しかしながら,(ア)そもそもゲームジャンルの分類は便宜的なものであり,各
ジャンルについて厳密な定義があるわけではないが,特に,SRPGは,SLG的
な要素とRPG的な要素を併せ持つゲームであり,SRPGとSLG,SRPGと
RPGとを明確に区別することは困難であると認められること(甲171,乙63
の1,81,82の1),(イ)SRPGは,RPGやSLGに比較して,独立したジ
ャンルとして取り上げられることは少ないと認められること(甲245,乙81,
82,171),(ウ)控訴人ゲームの属するジャンルについては,SRPGに属する
ものとして紹介されている例(例えば,甲25,289,290,292,29
3,301)も多いが,SLGと分類されている例(例えば,甲1,67,86,
149,205)も存在することによれば,控訴人ゲームの需要者の範囲をSRP
Gのユーザーに限定するのは狭きに失するというべきである。
 他方,ゲームジャンルの分類は便宜的で厳密なものではないとしても,ゲームジ
ャンルによってその需要者層は異なるのが通常であり,本件の需要者を家庭用ゲー
ムソフトのユーザー全体にまで拡げるのも相当ではない。SRPGがRPGとSL
Gの両方の要素を含んでいることに照らせば,本件の「需要者」は,SLG,RP
G,SRPGの3つのジャンルのゲームソフトのユーザーを合計した層(以下「本
件需要者」という。)と認めるのが相当である。
 (2) 需要者の範囲についての上記認定を前提として,「ファイアーエムブレム」
との表示が周知又は著名であるかどうかについて検討するに,証拠によれば,以下
の事実を認めることができる。
 (ア) 控訴人ゲームの各ゲームソフトの販売本数は,暗黒竜と光の剣が32万90
87本,外伝が32万4699本,紋章の謎が77万6338本,聖戦の系譜が4
9万8216本,トラキアが10万6108本である(甲244)。
 (イ) 控訴人ゲームの各ゲームソフトは,その発売前から発売後約2,3か月の時
期において,相当多数のゲーム雑誌における売上げランキング,発売前の読者の期
待ランキング,発売後の読者の評価ランキングにおいて,上位にランクされてお
り,その一部を具体的に挙げると,次のとおりである(甲4,47,63,71,
75,81,82,84,85,89,90,92ないし94,96,101,1
03ないし107,120,121,131,152,153,158,174,
185,213,215,216,乙3)。
 ① 「ファミコン必勝本」平成2年5月18日号の「読者がえらんだほしいソフ
ト」のランキング(甲63)では,暗黒竜と光の剣(平成2年4月20日発売)が
第2位になっているが,同ランキングにおける第1位は「ファイナルファンタジー
Ⅲ」,第6位は「ドラゴンクエストⅣ」(平成2年2月11日発売)である。
 ② 「ファミリーコンピュータMagazine」平成4年4月17日号の売上げランキ
ング(甲71)では,3月9日から3月15日までの外伝(平成4年3月14日発
売)の売上げが第1位になっているが,同ランキングの第6位は「スーパーマリオ
ブラザーズ3」(昭和63年10月23日発売)である。
 ③ 「ファミコン通信」平成4年4月10日号の売上げランキング(甲75)で
は,外伝(平成4年3月14日発売)が第1位になっているが,同ランキングにお
ける第4位は「ドラゴンボールZ 超サイヤ伝説」(平成4年1月25日発売),
第6位は「スーパーマリオワールド」(平成2年11月21日発売)である。
 ④ 「マル勝スーパーファミコン」平成4年4月24日号の売上げランキング
(甲82)では,外伝(平成4年3月14日発売)が第1位になっているが,同ラ
ンキングの第11位は「ドラゴンクエストⅣ」(平成2年2月発売),第20位は
「信長の野望 武将風雲録」(平成3年12月発売)である。
 ⑤ 「ファミコン通信」平成5年11月26日号の発売前の期待ランキング(甲
92)では,紋章の謎(平成6年1月21日発売)が第2位になっているが,同ラ
ンキングにおける第3位は「ドラゴンクエストⅥ」(平成7年9月4日発売),第
4位は「ドラゴンクエストⅠ・Ⅱ」(ファミリーコンピュータ用。平成5年12月
18日発売)である。
 ⑥ 「ファミコン通信」平成6年2月25日号の売上げランキング(甲4)で
は,紋章の謎(平成6年1月21日発売)が第1位になっているが,同ランキング
における第2位は「スーパーマリオランド3 ワリオランド」(平成6年1月21
日発売)である。
 (ウ) 控訴人任天堂は,控訴人ゲームの各ゲームソフトの販売のため,平成8年ま
でに総額14億1339万円の宣伝広告費を使って,テレビコマーシャル,ゲーム
雑誌等による宣伝広告活動を行い,その規模は,30秒テレビコマーシャルの東
京,大阪地区での放映延べ本数が1070本である。株式会社電通作成の調査報告
書(甲243の1)に記載されたファイアーエムブレム・シリーズの各ゲームソフ
トのGRP(GrossRatingPoint;延べ視聴率)は東京地区で2249.7であっ
て,これは他ゲームのGRPと比較しても決して小さい値ではない。ファイアーエ
ムブレム・シリーズの各ゲームソフトについての記事が掲載されたゲーム雑誌は,
発行部数が1号当たり数十万部に及ぶものが少なくない(以上,甲1ないし18,
41ないし243,250,314,315,418)。
 (エ) 他方,シリーズもののゲームソフトの合計販売本数としては,上位に属する
ものとして,「スーパーマリオ」シリーズが約3400万本,「ポケットモンスタ
ー」シリーズが約2200万本,「ドラゴンクエスト」シリーズが約2500万
本,「ファイナルファンタジー」シリーズの第3作目から第9作目までの合計が約
1700万本であり(乙3),これらに比べると,ファイアーエムブレム・シリー
ズの各ゲームソフトの合計販売本数203万本は,決して多いとはいえない。ま
た,1タイトルでの販売本数をみても,控訴人ゲームの販売本数が上記のとおり,
いずれも100万本を超えていないのに対し,国内における昭和58年から平成1
2年3月31日までに発売されたゲームソフトのうち,1タイトルでの出荷本数が
100万本を超えたものは,123タイトル存在し,平成9年の1年間におけるゲ
ームソフト全体の宣伝広告費は,約352億円であった(乙3,59)。
 (3) 上記の(ア)ないし(エ)を総合すれば,「ファイアーエムブレム」との表示につ
いては,著名な商品等表示とまでは認めることができないものの,遅くとも「トラ
キア」が発売された平成11年9月までには,控訴人任天堂のゲームソフトである
ことを示す商品等表示として,本件需要者の間に広く認識されていたものと認める
のが相当である。
 なお,被控訴人らは,周知性又は著名性の判断に際して最も重視されるべきは販
売本数であるとした上で,ファイアーエムブレム・シリーズのゲームソフトの販売
本数は,他のゲームソフトの販売本数と比べて多いとはいえないと主張するが,周
知性又は著名性の判断に当たっては,販売本数,一定期間の売上げランキング,広
告の規模等を総合的に考慮すべきであり,特に販売本数に限定して比較すべきとす
る合理的な理由は見出し得ない。また,被控訴人らは,広告の分量も大量とはいい
がたいとも主張するが,上記のとおりの販売本数,売上げランキング,広告の規模
等を総合すれば,「ファイアーエムブレム」との表示は本件需要者に周知であると
認められるのであって,被控訴人らの上記主張は失当である。
 2-2「エムブレム」との表示の周知性又は著名性
 控訴人らは,「ファイアーエムブレム」の略称である「エムブレム」との表示
も,周知性又は著名性を備えた商品等表示に該当すると主張する。
 (1) そこで,検討するに,証拠によれば,以下の事実を認めることができる。
 (ア) 「エムブレム」との略称は,ファイアーエムブレム・シリーズ第3作に関す
る,平成5年11月ころからのゲーム雑誌において使われ始め,次第にゲーム雑
誌,攻略本,インターネットサイトなどで使われるようになった(甲3,4ないし
6,11,12ないし15,18,91,92,101,104,108,10
9,116,148,188,189,190,192ないし194,197ない
し201,203,206,208,210,233,234ないし241,24
9の1,270,276,279,282,308,316,373,393ない
し411,443,486,乙1)。その中には,ファンによる投稿(甲235,
270,279),インターネットサイトにおける書込み(甲308,316),
被控訴人A自身が使用した例(甲104,148),控訴人ゲームのファンを意味
するものとして「エムブレマー」や「EMBLER」などの言葉を使用した例(甲18,
乙1)も含まれる。
 (イ) 「エムブレム」という略称が,ゲーム雑誌の表紙で使われた例もあるが(甲
188,189),正式名称である「ファイアーエムブレム」とともに記載されて
いるにすぎず,「エムブレム」がゲーム雑誌の表紙に単独で使用されている例はな
い。これに対して,「ドラゴンクエスト」の略称である「ドラクエ」「ファイナル
ファンタジー」の略称である「FF」「ポケットモンスター」の略称である「ポケ
モン」はゲーム雑誌の表紙において単独で使われた例がある(「ドラクエ」につい
て甲2,「FF」について甲60,「ポケモン」について甲13)。また,平成1
1年時点のゲーム雑誌の記事には「ファイアーエムブレム」のことを「エムブレ
ム」と略称する旨を注記した上で「エンブレム」との語を使用しているものもある
(甲11,201)。
 (ウ) 控訴人ゲームの略称としては「FE」という呼称がある。この略称は,「エ
ムブレム」よりも早くから使用され(例えば,甲2,77),トラキア発売以後
も,ゲーム雑誌や需要者の間で「エムブレム」よりも頻繁に使用されている(例え
ば,甲17の2,219,242,282)。また,控訴人イズ自身,インターネ
ット上に開設しているホームページにおいて,「ファイアーエムブレム」を「F
E」と略記し(乙1),控訴人任天堂も本件訴訟を提起した際のプレスリリースに
おいて「ファイアーエムブレム」を「FE」とのみ略称し(乙2),被控訴人A自
身がこの略語を用いている例もある(甲332)。さらに,インターネットサイト
への書込み(甲308,316)においても,「ファイアーエムブレム」を「F
E」と略称しているものが数多く存在する。
 (2) 以上のとおり,平成5年以降,ゲーム雑誌等において「エムブレム」との略
称が継続的かつ頻繁に用いられ,本件需要者もファイアーエムブレムの略称として
「エムブレム」との表示を用いていることに照らすと,「エムブレム」との表示に
ついても,著名な商品等表示とまでは認めることができないものの,遅くとも「ト
ラキア」が発売された平成11年9月までには,控訴人ゲームを示す商品等表示と
して,当該需要者の間に広く認識されていたものと認めるのが相当である。
これに対し,被控訴人らは,①ゲーム雑誌の表紙において「エムブレム」表示が
単独で使用された例はないこと,②「ファイアーエムブレム」の略称として「F
E」という表示も頻繁に用いられていること,③控訴人ら自身がインターネットサ
イトやプレスリリースにおいて「FE」という略称を用いていること,④インター
ネットへの投稿者は控訴人ゲームの購入者であり,本件需要者よりも遙かに限定さ
れた一部のファンにすぎないことなどを理由として,「エムブレム」表示は周知性
も著名性もないと主張する。
 しかしながら,ゲーム雑誌の表紙には,著名なゲームソフトは別にして,正式名
称を記載するのが一般的であるから,表紙に「エムブレム」表示が単独で使用され
なかったとしても,「エムブレム」が本件需要者に周知であることを否定する理由
にはならず,かえって,「ファイアーエムブレム」との併記とはいえ,ゲーム雑誌
の表紙において「エムブレム」との略称が記載されていることは,この略称が周知
であることを示すものということができる。また,ゲーム雑誌のほとんどは,「エ
ムブレム」が「ファイアーエムブレム」の略称であることを特に注記していない。
 「FE」との略称が併存することについても,「FE」は「Fire」と「Emblem」
の各頭文字を結合したもので,「ファイアーエムブレム」の後半を取り出した「エ
ムブレム」とは異なるものであるから,この二つの略称は「ファイアーエムブレ
ム」の略称として併存し得るということができる。控訴人任天堂がプレスリリース
において「FE」という略称を使用したことも,「エムブレム」との略称が周知で
あったことを否定するものではなく,控訴人イズのホームページ(乙1)上で
は「EMBLER'SROOM」という記載もなされている。
 さらに,インターネット上の書込みについても,ごく一部の者ではなく,数多く
の者が「エムブレム」との略称を用いており,ゲーム雑誌等を通じてこの略称が本
件需要者にも広く浸透していたことがうかがわれる。
 以上によれば,「エムブレム」との略称は,控訴人ゲームのもう一つの略称であ
る「FE」ほどの高い周知性を獲得するには至っていないとしても,ゲーム雑誌等
の広告媒体を通じて,本件需要者に「ファイアーエムブレム」の略称を示すものと
して徐々に認識されるようになり,遅くとも「トラキア」が発売された平成11年
9月までには,「FE」と並ぶ略称として本件需要者に広く認識されるようになっ
たと認めるのが相当である。
 2-3控訴人ゲーム影像表示の周知性又は著名性
 控訴人らは,控訴人ゲーム影像表示目録記載のゲーム影像及びその変化の態様
も,需要者の間で周知又は著名な商品等表示であると主張する。これに対し,被控
訴人らは,上記影像及びその変化の態様は,そもそも商品等表示ということはでき
ず,仮に商品等表示性が認められるとしても周知又は著名とはいえないと主張す
る。
 (1) 不正競争防止法2条1項1号は,「商品等表示(人の業務に係る氏名,商
号,商標,標章,商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものを
いう。)」と規定する。ゲーム影像とその変化の態様は,「その他の商品又は営業
を表示するもの」としてその商品等表示性を認められる場合があるが,それ自体が
商品の出所表示を本来の目的とするものではないから,ゲーム影像及びその変化の
態様が商品等表示と認められるには,当該ゲーム影像及びその変化の態様が,ゲー
ムタイトルなどの本来の商品等表示と同等の商品等表示機能を備えるに至り,商品
等表示として需要者から認識されることが必要であると解するのが相当である。
 (2) そこで,控訴人ゲームの影像及びその変化の態様が,控訴人ゲームの商品等
表示といえるかどうかについて検討する。
 控訴人らは,控訴人ゲーム影像表示目録記載のゲーム影像及びその変化の態様
は,他の公知ゲームには存在しない特徴的で独創的なものであり,平成2年以来,
今日まで,チラシ広告,テレビコマーシャル,ゲーム雑誌等の広告宣伝活動や商品
パッケージ自体に広く用いられてきたものであるから,商品等表示性を備えるに至
っていると主張し,控訴人ゲーム影像表示目録記載の影像が掲載されているゲーム
雑誌など多数の証拠(第1作の暗黒竜と光の剣につき甲1,41ないし46,48
ないし61,63ないし65,第2作の外伝につき2,67,68,70,74,
78ないし85,第3作の紋章の謎につき3ないし6,86ないし89,91ない
し120,122,124ないし131,133,134,136ないし142,
144ないし146,第4作の聖戦の系譜につき7,149ないし152,155
ないし158,162ないし168,171,173,175,176,178な
いし183,186,187,189ないし196,第5作のトラキアにつき8な
いし15,201ないし223,225ないし232)を提出する。
 しかしながら,一般に,ゲーム雑誌においては,控訴人ゲームに限らず,他のゲ
ームについても,多数のゲーム影像を掲載し,ゲーム内容や攻略方法の紹介・説明
等を行うものである。控訴人らが証拠として提出したゲーム雑誌等における控訴人
ゲームの影像は,そのほとんどが控訴人ゲームの内容や攻略方法の紹介・説明とし
て掲載されているにすぎず,控訴人ゲームの影像やその変化の態様が,ゲームタイ
トルに代え,あるいはゲームタイトルと同様に商品を表示するものとして用いられ
ていると認めることはできない。また,これらのゲーム雑誌等に掲載された控訴人
ゲームの影像は多種多様で,その中には控訴人ゲーム影像表示目録1ないし3に該
当しないキャラクター又は場面の影像も多数掲載され,同目録1ないし3に該当す
る影像であっても,特定の影像が繰り返し使用されているわけではない。したがっ
て,同目録記載の影像が本件需要者に強い印象を与えたとは到底考えられず,控訴
人らの提出する証拠を総合しても,本件需要者が,同目録記載の影像及びその変化
の態様を,全体としてあるいは特定の影像において,他に例を見ない独創的な特徴
を有するものと認識していたと認めることはできない。
 (3) 以上によれば,控訴人ゲーム影像表示目録記載のゲーム影像及びその変化の
態様が,「商品等表示」に当たるとは認めることができない。
 2-4 まとめ
 上記2-1ないし2-3のとおり,「ファイアーエムブレム」との表示及び「エムブ
レム」との表示は,不正競争防止法2条1項2号にいう著名な商品等表示とは認め
られないが,同項1号にいう周知な商品等表示に該当すると認めることができ,控
訴人ゲームの影像及びその変化の態様については,周知又は著名な商品等表示であ
ると認めることができない。
 3 控訴人ゲームの「ファイアーエムブレム」表示及び「エムブレム」表示と被
控訴人ゲームの「エムブレムサーガ」表示との類似性
 そこで,「ファイアーエムブレム」表示及び「エムブレム」表示と被控訴人ゲー
ムの「エムブレムサーガ」との商品等表示との類似性について判断する。なお,被
控訴人ゲームの発売時点でのタイトルは「ティアリングサーガ」であるが,本件で
問題とされているようなテレビゲームの販売戦略としては,発売前の宣伝活動が重
視されていることは,上記の認定事実及び弁論の全趣旨によって明らかであるとこ
ろ,被控訴人ゲームの当初のタイトルは「エムブレムサーガ」であり,被控訴人ら
はこのタイトルを使用して,大量の販売予約を受けたものであるから,「ファイア
ーエムブレム」及び「エムブレム」表示と「エムブレムサーガ」表示との類否判断
を欠かすことはできない。
 (1) ある商品等表示が不正競争防止法2条1項1号にいう他人の商品等表示と類
似のものに当たるか否かについては,取引の実情のもとにおいて,取引者又は需要
者が両表示の外観,称呼又は観念に基づく印象,記憶,連想等から両者を全体的に
類似のものとして受け取るおそれがあるか否かを基準として判断するのが相当であ
る(アメリカンプロフットボール事件上告審判決参照)。
 (2) 控訴人ゲームの「ファイアーエムブレム」表示に関し,控訴人らは,その要
部は「エムブレム」であると主張するのに対し,被控訴人らは「ファイアーエムブ
レム」全体が要部であると主張する。
 被控訴人らは,「ファイアーエムブレム」全体を要部とする理由として,①一般
に周知の外来語は要部となりがたい,②火や炎を意味する「ファイアー」も,紋章
を意味する「エムブレム」も,わが国の英語の普及度に照らせば,一般に周知の外
来語にすぎないから,それぞれ単独では要部となりがたい,③控訴人らは,「エム
ブレム」が造語的印象を持つ特徴的な表記であるというが,「エムブレム」
は「Emblem」のカタカナ表記であって,「エンブレム」と同義である,などを指摘
する。
 しかしながら,「エムブレム」と「エンブレム」を比較するならば,「ブ」ない
し「b」の前に置かれ「ブ」ないし「b」と連続して発音される「ム」ないし
「m」の音と,同じく「ブ」ないし「b」の前に置かれ「ブ」ないし「b」と連続
して発音される「ン」ないし「n」の音とは,これらを発音する場合でも,これら
を聞く場合でも,通常の速度で発音される限り,実際上ほぼ同じにしかならないと
ころ,日本語の「紋章」や「標章」に対応する英語として現在一般的に用いられて
いるのは「エンブレム」であり(甲415ないし417,乙168),紋章や標章
を意味する普通名詞となっている「エンブレム」と異なり,「エムブレム」は造語
的印象を受ける特徴的表記であることは否定できない。また,「エムブレム」をタ
イトルに含むゲームは被控訴人ゲーム以外にはないのに対し,「ファイアー」をタ
イトルに含むゲームは,「ファイアーボール」「スーパーファイアープロレスリン
グ」など複数存在する(当事者間に争いのない事実)。さらに,前記判示のとおり
「エムブレム」は「ファイアーエムブレム」の略称として周知であると認められる
のに対し,「ファイアー」が「ファイアーエムブレム」の略称として用いられたと
認めるに足りる証拠はない。加えて「エムブレム」の意味する紋章は,ファイアー
エムブレム・シリーズの各作品を通じて,ストーリーの展開上重要とまではいえな
いとしても,象徴として用いられていると認められる(甲45,68,86,15
1,201)のに対し,「ファイアー」の意味する火や炎は控訴人ゲームにおいて
そのような役割を与えられていない,
 以上によれば,「ファイアーエムブレム」との表示のうち,商品の出所を示すも
のとして自他識別力を有するのは「エムブレム」であり,「ファイアーエムブレ
ム」全体が要部であるということはできない。したがって,「ファイアーエムブレ
ム」との商品等表示のうち「エムブレム」が出所識別表示としての称呼,観念を生
ずる部分であるというべきである。
 (3) 次に,被控訴人ゲームの「エムブレムサーガ」との表示について見るに,控
訴人らはその要部は「エムブレム」であると主張するのに対し,被控訴人らはその
要部は「エムブレムサーガ」全体ないしは「サーガ」であると主張する。
 被控訴人らは,「エムブレムサーガ」全体ないしは「サーガ」が要部である理由
として,①物語を意味する「サーガ」は,わが国の英語の普及度に照らして一般に
周知の外来語とは到底いえないのに対し,紋章を意味する「エムブレム」は,一般
に周知の外来語であること,②家庭用ゲーム機向けゲームソフトの需要者の間で
は,「サ・ガ」「サーガ」「Saga」の語は,スクエア社の周知著名な特定のゲーム
ソフトシリーズのゲームソフトを意味する語として広く知られており,一般的に使
用されていたものではないこと,などを指摘する。
 しかしながら,前記のとおり,「エムブレム」をタイトルに含むゲームは,被控
訴人ゲーム以外には存在しないのに対し,「サーガ」をタイトルに含むゲームは,
被控訴人らの挙げるスクエア社のゲームの他に,「リグロードサーガ」「ファーラ
ンドサーガ」「ラスタンサーガⅡ」など複数存在する(当事者間に争いのない事
実)。また,「エムブレム」は造語的印象をもつ特徴的表記であるのに対し,「サ
ーガ」は,北欧中世の散文文学の総称で物語や伝説を意味する英単語であ
る「Saga」をカタカナ表記した普通名詞である(甲415ないし41
7)。「Saga」の意味は一般的にはそれほど知られていないとしても,上記のよう
にゲームソフトには「サーガ」をタイトルに含むものも少なくないのであるから,
本件需要者の間では「Saga」が「物語」や「伝説」を意味することは比較的知られ
ていたと考えられる。このことは,「ティアリングサーガ」の意味について,
「ザ・プレイステーション2」平成13年4月27日号(甲27)が「"涙の指輪の
伝説"と直訳できる」と紹介していることからもうかがわれる。さらに,被控訴人ゲ
ームにおいても,「エムブレム」の意味する紋章が象徴的に使用されている(甲2
0,23)。
 したがって,「エムブレムサーガ」のうち,商品識別力を有する要部は「エムブ
レム」の部分であり,この部分から出所の識別標識としての称呼,観念が生ずるも
のというべきである。
 (4) 以上によれば,控訴人ゲームの商品等表示である「ファイアーエムブレム」
及び「エムブレム」の要部は「エムブレム」であり,被控訴人ゲームの商品等表示
である「エムブレムサーガ」の要部も「エムブレム」ということになる。「ファイ
アーエムブレム」表示及び「エムブレム」と「エムブレムサーガ」表示とは,商品
識別力のある要部において外観,呼称,観念が同一であるから,取引者,需要者
は,「ファイアーエムブレム」及び「エムブレム」と「エムブレムサーガ」を全体
的に類似のものとして受け取るおそれがあると認めることができる。
 なお,仮に,「ファイアーエムブレム」と「エムブレムサーガ」を,それぞれ一
気に通して,「ファイアーエムブレム」と「エムブレムサーガ」との称呼をも生じ
得るもので,これに伴って,「炎の紋章」と「紋章物語(伝説)」との観念をも生
じ得るものであるとしても,上記類否判断の結論を左右しないというべきである。
すなわち,前判示のとおり,ゲームソフトとしての「ファイアーエムブレム」と
「エムブレムサーガ」とは,同種のタイプ(SRPG)に分類され,需要者も共通
するものである上,「エムブレムサーガ」の製造,販売の以前から,ファイアーエ
ムブレム・シリーズが第5作まで発売され,「ファイアーエムブレム」との表示
が,控訴人任天堂の商品表示として,著名とまでは認定し得なかったものの,これ
に近い高度の周知性を有するに至っていたものである。これらの事情に加えて,前
記判示のように,「エムブレム」の部分が「ム」という一般的でない表記が用いら
れた造語的印象を受ける特徴的表現であることにも照らせば,「エムブレムサー
ガ」との表示に接した本件需要者としては,注意を引く「エムブレム」部分から,
同種のゲームソフトで既に高い周知性を有している「ファイアーエムブレム」を想
起し,これとの関連性を連想して,両者を全体的に類似のものと受け取るおそれが
あるものと推認される(「エムブレムサーガ」との表示に接した本件需要者として
は,「ファイアーエムブレム」の周知の略称である「エムブレム」を想起すること
を介して,「ファイアーエムブレム」を想起し,上記と同様に類似のものと受け取
るおそれも考えられる。)。
 よって,「ファイアーエムブレム」表示と「エムブレムサーガ」表示,「エムブ
レム」表示と「エムブレムサーガ」表示は,いずれも,類似の商品等表示であると
いうべきである。
 4 混同を生じさせる行為
 続いて,不正競争防止法2条1項1号にいう「他人の商品又は営業と混同を生じ
させる行為」の存否について判断する。
 (1) 証拠によれば,以下の事実を認めることができる。
 (ア) 被控訴人ティルナノーグ及び被控訴人エンターブレインは,被控訴人ゲーム
のタイトルを「エムブレムサーガ」と決定した上で,遅くとも平成11年8月ころ
には,その制作にとりかかり(乙123の2),平成11年12月には,「週刊フ
ァミ通」平成11年12月24日号(甲19)誌上において,「エムブレムサー
ガ」というタイトルのゲームソフトを開発中であることを需要者に告知した。
 (イ) 「週刊ファミ通」平成12年1月21日号(甲20)は,「緊急速報」とし
て,被控訴人ゲームを大きく取り上げ,「『ファイアーエムブレム』を手がけたA
氏の最新作がプレイステーションに登場!」「タイトルのとおり,この新作は『フ
ァイアーエムブレム』の世界観を承継したオリジナル作品。」などと紹介するとと
もに,被控訴人Aのインタビュー記事を掲載した。このインタビュー記事には,被
控訴人Aの発言として,「過去に私は3つの大陸における物語を5本作ってきまし
た。『エムブレムサーガ』は4つめの大陸"フォーセリア"が舞台となる作品で,根
幹となる世界観は同じです。」「今作品は彼らマクムート……,古代竜族と呼ばれ
る者が,多くの部分で絡んできます。」「(当裁判所注:過去の作品に登場した人
物は出るのですかとの問いに対して)某変身系の少年キャラが,謎の吟遊詩人,ま
た賢者として重要な役回りを演じます。今作品は第1作目『暗黒竜と光の剣』と同
年代の物語なので,必然性があればほかにも登場させたいのですが。」「マルスの
ような少年の主人公も登場しますけど……。」「これを増やす方法はいろいろあり
ますが,なかでも"エムブレム"の入手が確実な方法ですね。」と記載されている。
 (ウ) 「電撃プレイステーション」平成12年1月28日号(甲460)も,「電
撃特報」として被控訴人ゲームを大きく取り上げ,「『ファイアーエムブレム』シ
リーズの開発者が新作『エムブレムサーガ』をPSでリリース!」「本作は『ファ
イアーエムブレム(以下,FE)』で好評を博した職業,恋愛システムを受け継ぎ
つつも,…新要素を満載した内容になっている。」と紹介した上で,被控訴人Aの
インタビューを掲載している。このインタビュー記事の中には,被控訴人Aの発言
として,「(当裁判所注:ファイアーエムブレム・シリーズの)続編というわけで
はありませんが,…ボクの一連の作品に共通する,マムクート(古代竜族)がから
む話です。」「マルス(初代『FE』の主人公)の時代と同年代になります。」
「恋愛システムは復活させます。」「エムブレムというのは,その地域の領主であ
ることを証明するものです。」との記載がある。
 (エ) その後に発刊されたゲーム雑誌にも,被控訴人ゲームとファイアーエムブレ
ム・シリーズを関連付ける記事が掲載されている。例えば,「月刊ゲームウォーカ
ー」平成12年3月号(甲22)には「『ファイアーエムブレム』シリーズがPS
に登場。」との記載があり,「電撃プレイステーション」平成12年12月22日
号(甲24)には「伝説を受け継ぐ大作S・RPG,ついに本格始動」「週刊ファ
ミ通」平成13年3月9日号(甲26)には「おなじみの闘技場」との記載があ
る。
 (オ) 被控訴人Aは,平成12年1月16日,被控訴人ゲームの制作者であること
が明らかにわかる書き方でインターネットサイトに投稿し,被控訴人ゲームについ
ては「外伝タイプのゲームシステムで,・・・N社との関係は今まで通りです。今作は
プレイステーションですが,」(甲354)と書き込んでいる。ここにいう「N
社」が控訴人任天堂を指すことは明らかである。
 (カ) ゲーム雑誌への投稿には,被控訴人ゲームをプレイステーション用に制作さ
れたファイアーエムブレム・シリーズの続編であると誤認しているものが,少なか
らず存在する(甲235,253,260,270,274,278ないし28
4)。例えば,「64DREAM」平成12年6月号(甲235)の投稿には,被
控訴人ゲームについて,「PS買ってでもFEゲットします!」と記載され,「電
撃プレイステーション」平成13年2月9日号(甲260)の投稿には「"伝説を受
けつぐ"ってやはりあの大作S・RPG…ですよね?!!」「電撃プレイステーショ
ン」平成13年6月22日号(甲279)には,「「エムブレム・サーガ」改め
「ティアリング・サーガ」。体験版,プレイいたしました。やはり「エムブレム」
シリーズはおもしろいです!」と記載されている。また,インターネットサイトへ
の投稿にも,「エムブレムの続編として期待している」(甲308の番号24),
「ティアサガってFE外伝の続編って思ってた…」(甲308の番号208),
「てっきり任天からの許可を得ているものと思っていたんだけど」(甲316の番
号48)などの書き込みが存在し,同様の誤認・混同が見られる(甲308,31
6)。
 (キ) 被控訴人エンターブレインは,「ザ・プレイステーション」平成13年4月
27日号をもって,そのタイトルを「エムブレムサーガ」から「ティアリングサー
ガ ユトナ英雄戦記」に変更する旨,需要者に告知し(甲27),被控訴人ゲーム
は,変更後のタイトルを付して同年5月24日に発売された。
 (2) 前記3における判示及び上記(1)の認定事実によれば,被控訴人らは,控訴
人ゲームの商品等表示である「ファイアーエムブレム」及び「エムブレム」と類似
する「エムブレムサーガ」とのタイトルを付したゲームソフトを制作するととも
に,その広告を行ったものと認められ,かかる被控訴人らの行為は不正競争防止法
2条1項1号にいう「使用」に当たると解される。このように,周知な商品等表示
と全体的に類似のものとして受け取るおそれがある商品等表示を使用する行為は,
特段の事情がない限り,需要者を「混同させる行為」に当たると認めるのが相当で
ある。
 本件では,上記認定のとおり,被控訴人ゲームが開発中であることが告知された
平成11年12月から被控訴人ゲームのタイトルが変更された平成13年4月まで
の間,ゲーム雑誌等には,被控訴人ゲームがプレイステーション用に制作されたフ
ァイアーエムブレム・シリーズの続編であるかのごとき紹介記事がたびたび掲載さ
れ,それに対して,被控訴人らが,被控訴人ゲームはファイアーエムブレム・シリ
ーズの続編ではないと需要者に認識させるに十分な措置を講じたとは証拠上認める
ことができない。むしろ,被控訴人エンターブレインの代表者であるBが発行人を
務める「週刊ファミ通」平成12年1月21日号(甲20)には,被控訴人ゲーム
とファイアーエムブレム・シリーズを関連付けるような紹介記事が掲載され,さら
に,被控訴人Aは,同誌に掲載されたインタビュー記事において,被控訴人ゲーム
とファイアーエムブレム・シリーズの関連性や共通点を積極的に読者に印象付ける
ような発言を行っている。同様の記事やインタビューは,「電撃プレイステーショ
ン」平成12年1月28日号(甲460)にも掲載されているが,これらの紹介記
事やインタビュー記事は,その公表時期や内容に照らし,需要者に強い印象を与え
たと考えられ,これらの紹介記事等に接した需要者は,被控訴人らが,控訴人任天
堂の許諾を得て,ファイアーエムブレム・シリーズの最新作をプレイステーション
用に制作したと誤解するおそれがあったというべきである。そして,上記(1)(カ)の
とおり,現実に,本件需要者の間には,被控訴人ゲームがプレイステーション用の
ファイアーエムブレム・シリーズ最新作であるとの誤認混同が生じていたと認めら
れるのである。したがって,本件では,混同のおそれの存在を否定すべき特段の事
情は認められない。
 (3) これに対し,被控訴人らは,①控訴人任天堂とソニーコンピュータエンタテ
インメントではそもそもハード機が違うのであるから,プレイステーション用に制
作された被控訴人ゲームが控訴人任天堂と関連があると考える需要者はいない,②
被控訴人ゲームの宣伝広告の当初においては,出版社側に被控訴人ゲームをファイ
アーエムブレム・シリーズと関連付けようとする傾向があったが,被控訴人らの努
力によってなくなった,③被控訴人ゲームについてのゲーム雑誌の記事(甲20,
460)には「新作」「オリジナル作品」であると記載され,ファイアーエムブレ
ム・シリーズとは異なる作品であることが明記されている,④ゲーム雑誌の記事に
は,被控訴人Aの発言がそのまま載るものではなく,控訴人らにおいてゲーム雑誌
の記事の内容をコントロールすることはできない,⑤インターネットサイトへの書
き込みについても,ゲームソフトに過大な思い入れを有するファンや,粗忽な需要
者の誤解にすぎない,⑥結局,需要者の側に若干の混乱が生じたとしても,それは
服飾デザイナーの移籍に伴って市場に生じる混乱と大差ない,などと主張する。
 しかしながら,周知の商品等表示主体と類似表示の使用者との間に使用許諾関係
がある商品であると混同することも,不正競争防止法2条1項1号の「混同」に含
まれると解すべきであるところ,仮に,控訴人任天堂とソニーコンピュータエンタ
テインメントがハード機をめぐり激しい競争をしていたことがよく知られていたと
しても,需要者が,ファイアーエムブレム・シリーズの新作がPS用に制作された
という印象を与える広告に接すれば,控訴人任天堂の許諾を得て被控訴人らがファ
イアーエムブレム・シリーズの続編をプレイステーション用に制作することになっ
たと誤認することも当然あり得るというべきである。
 被控訴人らは,被控訴人ゲームの宣伝広告の当初においては,出版社側に被控訴
人ゲームをファイアーエムブレム・シリーズと関連付けようとする傾向があったも
のの,被控訴人らの努力によってなくなったと主張するが,被控訴人ゲームとファ
イアーエムブレム・シリーズを関連付けるような広告は,「週刊ファミ通」平成1
2年1月21日号(甲20)や「電撃プレイステーション」平成12年1月28日
号(甲460)をはじめとして,「月刊ゲームウォーカー」平成12年3月号(甲
22),「電撃プレイステーション」平成12年12月22日号(甲24),「週
刊ファミ通」平成13年3月9日号(甲26)にも掲載されているのであるから,
控訴人らの努力により被控訴人ゲームをファイアーエムブレム・シリーズと関連付
ける傾向がなくなったとはいえない。
 被控訴人らは,被控訴人ゲームの紹介記事に「新作」「オリジナル作品」と記載
されていることから,被控訴人ゲームがファイアーエムブレム・シリーズの続編で
はないことは明らかにされていると主張する。しかしながら,「新作」「オリジナ
ル作品」という言葉が使用されている上記甲20,460を全体として読めば,需
要者が被控訴人ゲームをファイアーエムブレム・シリーズの続編と混同するおそれ
があると認められることは,上記(2)で判示したとおりである。なお,上記「電撃プ
レイステーション」平成12年1月28日号(甲460)のインタビュー記事にお
いて,被控訴人Aは,被控訴人ゲームがファイアーエムブレム・シリーズの続編で
あることを否定する発言をしているが,同じインタビュー記事には,「ボクの一連
の作品に共通する,マムクート(古代竜族)がからむ話です。」「マルス(初代
『FE』の主人公)の時代と同年代になります。」などファイアーエムブレム・シ
リーズに登場する固有名詞に言及した部分もあり,全体としては,被控訴人ゲーム
がファイアーエムブレム・シリーズと関係がないとの印象を需要者に与えるには至
っていない。
 被控訴人らは,ゲーム雑誌の記事を完全にコントロールすることはできないと主
張する。しかしながら,上記「週刊ファミ通」平成12年1月21日号(甲20)
は被控訴人エンターブレインの代表者であるBが発行人であり,同誌に掲載された
被控訴人Aのインタビュー記事について,被控訴人Aはゲラに目を通したことを認
める供述を行っているのであるから(被控訴人A本人の当審における供述),少な
くともこれらの記事や発言について被控訴人らのコントロールが及んでいたことは
明らかである。
 被控訴人らは,インターネットサイトにおける混同事例について,ゲームソフト
に過大な思い入れを有するファンや粗忽な需要者の誤解にすぎないと主張する。し
かしながら,インターネットサイトにおける書き込み(甲308,316)を見て
も,混同が生じているのがそのような一部の特殊な需要者に限定されるとは到底認
められず,ファイアーエムブレム・シリーズに詳しいはずのファンの間にも混同が
生じていたことは,誤認・混同のおそれがそれだけ大きかったことを示すものにほ
かならない。
 被控訴人らは,需要者の側に若干の混乱が生じたとしても,それは服飾デザイナ
ーの移籍に伴って生じる混乱と大差ないと結論付けるが,本件における混同は,単
にゲームデザイナーが移籍することにより市場に生じたものではなく,被控訴人ら
が控訴人ゲームと類似する商品等表示を付した被控訴人ゲームを制作し,控訴人ゲ
ームと関連付けて広告したことにより生じたものであるから,服飾デザイナーやゲ
ームデザイナーの移籍により不可避に生ずる市場の混乱と同視することはできな
い。
 (4) 以上によれば,被控訴人らが,控訴人任天堂の商品等表示と類似の商品等表
示を使用した行為は,不正競争防止法2条1項1号の「混同を生じさせる行為」に
当たるということができる。
5 被控訴人らの故意又は過失
 上記のとおり,被控訴人エンターブレイン及び控訴人ティルナノーグは,「ファ
イアーエムブレム」及び「エムブレム」と類似する「エムブレムサーガ」との表示
をタイトルとして付した被控訴人ゲームを制作し,被控訴人Aは個人として及び被
控訴人ティルナノーグの代表者として,その制作及び広告に主体的に関与すること
により,控訴人任天堂の商品等表示と類似する商品等表示を使用したものである。
被控訴人エンターブレインの代表者であるBは「週刊ファミ通」の発行人として,
また被控訴人Aはファイアーエムブレム・シリーズの開発に携わった者として,フ
ァイアーエムブレムの商品等表示,内容,取引の実情等について熟知しながら,控
訴人任天堂の商品等表示と類似するタイトルをつけた被控訴人ゲームを制作し,広
告したのであるから,被控訴人らにはその不正競争行為について,少なくとも過失
があると認めることができる。
 6 差止請求の要件充足性
控訴人らは,被控訴人ティルナノーグ及び被控訴人エンターブレインに対し,被
控訴人ゲームの製造,販売,頒布の差止めを求めるが,差止請求が認められるに
は,同被控訴人らの不正競争行為が,本訴の口頭弁論終結時において,現存するこ
とが必要である。前記判示のとおり,当裁判所は,控訴人任天堂の「ファイアーエ
ムブレム」表示及び「エムブレム」表示と,被控訴人らの「エムブレムサーガ」表
示について類似性を認めたものであるが,被控訴人ゲームのタイトルは平成13年
4月2日ころに「ティアリングサーガ」に変更され,同年5月24日以降,現在に
至るまで,変更後のタイトルで販売されている。したがって,本訴の口頭弁論終結
時点においては,控訴人らの商品等表示と類似する商品等表示は使用されておら
ず,又は類似する表示を付した商品は販売されていないのであるから,控訴人らの
差止請求は理由がない。
 これに対し,控訴人らは,現在も第三者のホームページでは「エムブレムサー
ガ」表示が使用されるなどしており,被控訴人らの行為により生じた混同も消えて
いないというが,第三者のホームページで「エムブレムサーガ」表示が使用される
などしていたとしても,それを被控訴人らによる「エムブレムサーガ」表示の使用
とみなすことはできず,また,被控訴人らによる類似の商品等表示の使用が行われ
ていない以上,需要者に生じた混同の存続をもって被控訴人らの不正競争行為とみ
なすこともできない。
 7 相当因果関係及び損害
 控訴人任天堂は,被控訴人の不正競争行為により生じた使用料相当額の損害賠償
として,平成13年7月8日時点での販売総額(23億4892万4000円)
に,使用料10%を乗じた2億3489万円(1万円未満切捨て)及び弁護士費用
2341万円を主張する。
 (1) 前記のとおり,当裁判所は,「ファイアーエムブレム」表示及び「エムブレ
ム」表示と類似する「エムブレムサーガ」表示の使用を不正競争行為と認めたた
め,被控訴人ゲームのタイトル変更後の販売分について,被控訴人らの不正競争行
為との相当因果関係を認めることができるかをまず検討する。
 証拠(争いのない事実,甲27,492,乙178)によれば,①被控訴人ら
は,平成13年4月2日ころ,被控訴人ゲームのタイトルを変更することを決め,
同月4日に販売店に連絡し,「ザ・プレイステーション」同月27日号(甲27)
をもって需要者に告知したこと,②被控訴人ゲームの販売予約本数は,同年3月2
0日時点で23万0065本であり,発売日である同年5月24日時点で29万9
881本であったこと,③被控訴人ゲームは,同年7月8日までの間に,34万5
430本が販売されたこと,④被控訴人ゲームの希望小売価格は1本当たり680
0円であるから,販売総額は23億4892万4000円になること,との事実を
認めることができる。
被控訴人らは,被控訴人ゲームのタイトル変更は,需要者による同ゲームの販売
予約及び販売に影響を与えなかったというが,被控訴人ゲームは平成11年12月
から平成13年4月まで,「ファイアーエムブレム」及び「エムブレム」と類似す
る「エムブレムサーガ」とのタイトルのもと,頻繁かつ継続的に広告されており,
同年7月までに被控訴人ゲームを購入した需要者のほとんどがこれらの広告に接
し,影響を受けたと推認される。そして,平成13年7月8日までの販売数量約3
4万5000本のうち約23万本が被控訴人ゲームのタイトル変更までの間に予約
されているとの事実は,それまでになされた広告が需要者の購買の意思決定に大き
な影響を与えたことを示しているといえる。そうすると,被控訴人らが「エムブレ
ムサーガ」表示を使用して被控訴人ゲームを制作・広告した行為と平成13年7月
8日までの被控訴人ゲームの販売については相当因果関係があると認めるのが相当
である。
 (2) 控訴人らは,控訴人らの商品等表示の使用料相当として10%を請求する。
本件では,控訴人らが控訴人ゲームについて過去に使用許諾契約を行い,あるいは
ゲームソフトの商品等表示につき一般に支払われている使用許諾料率の慣行を認め
るに足る証拠はないから,本件に顕れたすべての事情を総合して相当な使用料率を
定めるほかない。本件では,①前記判示において摘示したゲーム雑誌における記事
や投稿,インターネットサイトにおける書き込みによれば,被控訴人ゲームの制作
当時,控訴人ゲームには,熱心で固定的なファン層が存在したと認められ,ファイ
アーエムブレム・シリーズの続編であれば,一定程度の売上げは見込めたと考えら
れること,②一般に,ゲームのタイトルは,需要者が購入する上で考慮すべき重要
な要素であると考えられるところ,上記記事,投稿,書き込みなどによれば,ファ
イアーエムブレム・シリーズの場合は,「エムブレム」という表示に愛着を持つフ
ァンも少なくなかったと認められること,③他方,控訴人らの商品等表示は著名と
までは認められず,その周知性もゲームソフトの限られたジャンルの中でのことに
すぎないこと,④ファイアーエムブレム・シリーズは,被控訴人ゲームの制作まで
に5作品で200万本以上が販売されているが,この販売総数は他の著名なゲーム
ソフトと比較すると少ないこと,⑤ファイアエムブレム・シリーズ各作品の販売実
績についてみると,第3作で77万本余を売り上げてからは,第4作は50万本
弱,第5作は10万本余とその販売本数は減少しており,ファイアーエムブレム・
シリーズの続編であることを示すタイトルを付すだけでは,もはや販売実績をあげ
ることができず,その販売実績はゲームソフト発売前の具体的な宣伝活動に左右さ
れる面も少なくないと考えられること,などの事情が存在する。これらの事情を総
合すれば,控訴人ゲームの商品等表示の使用料率としては3%が相当である。
 したがって,控訴人の不正競争行為により生じた使用料相当額の損害賠償として
は,同年7月8日時点での販売総額(23億4892万4000円)に,相当な使
用料率3%を乗じた7046万7720円が相当である。
 (3) 控訴人らは,被控訴人らの行為と相当因果関係ある弁護士費用として,23
41万円を請求する。本訴における事案の性質,審理の対象,審理の経過,認容額
等に照らすと,被控訴人らの行為と相当因果関係のある弁護士費用は600万円で
あると認めるのが相当である。
 (4) よって,控訴人任天堂の被控訴人らに対する損害賠償は,7646万772
0円の限度で理由があることになる。
 8 まとめ
 上記のとおり,不正競争防止法に基づく控訴人イズの請求はいずれも理由がない
ので棄却を免れず,控訴人任天堂の損害賠償請求は,7646万7720円の限度
で理由があり,その余の損害賠償請求は理由がないことになる。なお,控訴人任天
堂は,上記第1の2(4)のとおり,控訴人イズが不正競争防止法上の請求主体と認め
られない場合には,控訴人イズに生じるはずの損害1億2915万円を自己の損害
1億2915万円の上積みとして主張して請求するというが,以上判示のとおり,
控訴人任天堂に生じた損害は,客観的にみると,1億2915万円を明らかに下回
っており,当初の請求のほか上積みとして主張して請求する分もまた理由がない。
第6 結論
 以上によれば,控訴人イズの請求は理由がなく,これを棄却した原判決は相当で
あるから,控訴人イズの控訴は棄却を免れない。また,控訴人任天堂の請求のう
ち,著作権法に基づく請求を棄却した部分,及び,不正競争防止法に基づく製造販
売等の差止請求を棄却した部分は,これを棄却した原判決は結論において相当であ
るが,不正競争防止法に基づく損害賠償請求を全部棄却した部分は,一部不当であ
るので,これを7646万7720円及びその遅延損害金の支払いを命ずる限度で
変更する。
 よって,主文のとおり判決する。
  東京高等裁判所知的財産第4部
        裁判長裁判官     塚  原  朋  一
           裁判官     田  中  昌  利
           裁判官     佐  藤  達  文
(別紙1)
控訴人らの主張するトラキアと被控訴人ゲームに共通する表現形式
(以下,[]表示は,別紙1①「控訴人らが主張するトラキアとイ号物件において,
映画の効果に類似する視聴覚的効果を生じさせる方法で表現された共通する表
現」,別紙1②「ゲームソフト『ファイアーエムブレム トラキア776』の表現
の全体構成及び全体構成におけるア項,イ項,ウ項,エ項の表現」,別紙1③「ゲ
ームソフト『ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記』(イ号物件)の表現の全体構
成及び全体構成におけるア項,イ項,ウ項,エ項の表現」記載にかかる場面をいう
ものとする。)
 (1) 登場ユニット(登場するユニット全12種)
 両ゲームには,敵国に祖国を追われ王国再興のために立ち上がる亡国の王子であ
る主人公と,主人公を助けてともに敵を制圧する自軍ユニットと,相手方となる敵
軍ユニットが登場する。登場するユニットは以下のとおりである。
 主人公ユニットは,敵に祖国を追われた亡国の少年王子である。
 戦闘マップにおいてユニットが騎乗できる乗り物として,ペガサス,ドラゴン,
馬があり,これらの3つの乗り物に乗り降りすることができ,戦闘マップ上におい
て3つの乗り物に騎乗して多彩な行動をすることができる乗り物ユニット(ペガサ
スユニット,ドラゴンユニット,馬ユニット)が登場する。
 戦闘マップ上で踊ることにより自軍ユニットを再行動させることができる踊れる
ユニット,全身を頑強な鎧で固めている特異な形状のアーマーユニット,盗賊ユニ
ット,斧を使う斧ユニットが登場する。
 魔道書を使う魔道士ユニット,杖を使う杖ユニットが登場する(馬ユニットの中
にも杖を使える者がいるが,これは乗り物に乗れるユニットであるから馬ユニット
になる。)。
 その他の登場ユニットとしては,扱う武器の種類により,剣ユニット,弓ユニッ
トが登場する。
 ユニットとして登場する人物を,乗り物,装備できる武器,特別な能力等によっ
て分ければ,主人公ユニット,ペガサスユニット,ドラゴンユニット,馬ユニッ
ト,踊れるユニット,杖ユニット,魔道士ユニット,斧ユニット,弓ユニット,剣
ユニット,アーマーユニット,盗賊ユニットの合計12種に分類される。
 上記12種の登場ユニットは,いずれも「戦闘マップ」上では,トップビューの
視点で表現され,西洋中世風の衣装をつけ,全身は移動範囲及び攻撃範囲のほぼ一
桝目大であって人間に近い頭身比の人物として表現されている。上記12種の登場
ユニットが,戦闘マップ上で待機する姿態は,基本的には斜め前向きで武器等を絶
えず動かしている。12種の登場ユニットが戦闘マップ上で行動を終了した場合に
は,基本的に斜め前向きで武器等を絶えず動かしている待機の容姿・姿態が透けて
みえる暗系色の待機ポーズに変わる。
 各登場ユニットの人物設定,それぞれの容姿,姿態,服装,特技,使用武器,戦
闘マップ上での上,下,左,右への移動の効果音を伴った移動の場合の姿態及び態
様等の表現は,以下のとおりである。 
 ① 主人公ユニット
 主人公ユニットは,亡国の少年王子として設定されており,兵種は主人公専用の
兵種である。襟を立てた肩当てのある衣装をつけ,裏地が赤となっている丈の長い
マントを翻し,武器としては主人公専用の長い剣を持つ。乗り物(ペガサス・ドラ
ゴン・馬)には乗れないため,移動はタッタッタッとの移動の効果音とともに駆け
足で行う。
 死亡すると,死にセリフの言葉と主人公の影像が半透明となって徐々に消える様
子が順に影像表現される。次いで,トップビューの戦闘マップ画面上で,主人公に
最も親しい自軍ユニットの主人公の死に対する無念の気持ちを伝える場面が影像表
示され,ゲームオーバーとなる。
 特定のマップにおいては,移動させて「制圧」コマンドを選択することで,当該
マップのクリア条件を充足することができる。
 特定の章では,マップクリア後のイベントでクラスチェンジする。
 主人公ユニットは,[待機][攻撃]のほか,[エ:その他の表現]の中の[ユニット間
のアイテム交換の場面][ステータス画面の場面][主人公の死亡によるゲームオーバ
ーの場面][マップクリア後に主人公がクラスチェンジする場面][闘技場の場面][秘
密の店の場面][「制圧」コマンドによるマップクリアの場面][ユニット間の会話で
寝返る場面][ユニット間の会話で仲間になる場面][武器屋の場面][道具屋の場面]
[民家を訪ねて仲間を増やす場面][民家を訪ねてアイテムを得る場面][扉を開く場
面][跳ね橋を降ろす場面]に登場する。
 ② ペガサスユニット
 ペガサスに騎乗する女性騎士ユニットであり,白い胸当て及び白い肩当てのある
衣装をつけ,武器としてはペガサス騎乗時は槍を,ペガサスから降りた状態では剣
を持っている。ペガサスユニットは,ペガサスの翼を広げてバサバサと風を切る移
動の効果音とともに空中を飛翔し,地上の地形を無視して移動することができる
が,弓による攻撃に弱い。
 移動させて「乗る」又は「降りる」コマンドを選択すると,移動先のその場で,
ペガサスに乗ったペガサスユニットの影像とペガサスから降りた女性騎士の影像と
が切り替わる。
 ペガサスユニットは,[待機][攻撃]のほか,基本的に[エ:その他の表現]の中の
[ユニット間のアイテム交換の場面][ステータス画面の場面][死亡判断と死にセリフ
の場面][クラスチェンジの場面][闘技場の場面][秘密の店の場面][ペガサスに乗る
場面][ペガサスから降りる場面][ユニット間の会話で寝返る場面][武器屋の場面]
[道具屋の場面][民家を訪ねて仲間を増やす場面][民家を訪ねてアイテムを得る場
面][扉を開く場面][跳ね橋を降ろす場面][再移動の場面]に登場する。
 特に,アニメーション切替戦闘の戦闘シーンでは,攻撃するときは空中から地面
に降下して相手を攻撃し,相手の攻撃を避けるときは後ろに軽く飛翔して避け,再
攻撃する時は垂直に飛翔してから再び相手に向かって降下して攻撃するという,リ
アルな羽をはばたかせた飛翔戦闘シーンを展開する。 
 ③ ドラゴンユニット
 ドラゴンに騎乗する騎士ユニットであり,武器としては主に槍を持つ。ドラゴン
ユニットは,ドラゴンの翼を広げてバサバサと風を切る移動の効果音とともに空中
を飛翔し,地上の地形を無視して移動することができるが,弓による攻撃に弱い。
しかしドラゴンに守られているため高い防御力を持つ。
 移動させて「乗る」又は「降りる」コマンドを選択すると,移動先のその場で,
ドラゴンに乗った「ドラゴンユニット」の影像とドラゴンから降りた騎士の影像と
が切り替わる。
 ドラゴンユニットは,[待機][攻撃]のほか,基本的に[エ:その他の表現]の中の
[ユニット間のアイテム交換の場面][ステータス画面の場面][死亡判断と死にセリフ
の場面][クラスチェンジの場面][闘技場の場面][秘密の店の場面][ドラゴンに乗る
場面][ドラゴンから降りる場面][武器屋の場面][道具屋の場面][民家を訪ねて仲間
を増やす場面][民家を訪ねてアイテムを得る場面][扉を開く場面][跳ね橋を降ろす
場面][再移動の場面]に登場する。
 特にアニメーション切替戦闘の戦闘シーンでは,騎士を乗せて大きな翼を曲げる
ようにして飛翔し,頂点の高さに達した位置から斜め下方の地上に降下して相手を
攻撃し,再攻撃する時は垂直に飛翔してから再び相手に向かって降下して攻撃する
というリアルな戦闘シーンを展開する。
 ④ 馬ユニット
 戦闘マップにおいて乗り物である馬に騎乗できる騎士であり,兵種に応じて槍,
剣等の各種の武器を持つ。馬に乗っている状態では,高い移動力を持ち,馬を走ら
せて地を蹴る移動の効果音とともに移動する。
 移動させて「乗る」又は「降りる」コマンドを選択すると,移動先のその場で,
馬に乗った馬ユニットの影像と馬から降りた騎士の影像とが切り替わる。
 馬ユニットは,[待機][攻撃]のほか,基本的に[エ:その他の表現]の中の[ユニッ
ト間のアイテム交換の場面][ステータス画面の場面][死亡判断と死にセリフの場面]
[クラスチェンジの場面][闘技場の場面][秘密の店の場面][馬に乗る場面][馬から降
りる場面][武器屋の場面][道具屋の場面][杖を使って相手を回復させる場面][民家
を訪ねて仲間を増やす場面][民家を訪ねてアイテムを得る場面][扉を開く場面][跳
ね橋を降ろす場面][再移動の場面]に登場する。
 ⑤ 踊れるユニット
 自軍ユニットで踊れるユニットは,ただ一人であり,必ず女性である。
 踊れるユニットは,茶色の長い髪をポニーテールに結ったプロポーションの良い
姿で表現され,衣服は上下に分かれて腹部を一部露出しており,両腕はあらわにな
っている。またスカートのスリットは足の付け根にまで及んでおり,長い足が付け
根から露出している。踊れるユニットはこのような衣服で,長いひも状のリボンを
両手に絡ませてくるくると回転して踊り,最後には長いひも状のリボンを地面に長
く垂らした決めポーズで静止する。
 踊ることによって隣接する自軍ユニットを再行動させることができる。
 踊れるユニットは,[待機][攻撃]のほか,[エ:その他の表現]の中の[踊る場面]
[ユニット間のアイテム交換の場面][ステータス画面の場面][死亡判断と死にセリフ
の場面][秘密の店の場面][武器屋の場面][道具屋の場面][民家を訪ねて仲間を増や
す場面][民家を訪ねてアイテムを得る場面][扉を開く場面][跳ね橋を降ろす場面]に
登場する。
 ⑥ 杖ユニット
 戦闘マップにおいて杖ユニットは,戦場であるにもかかわらず非常に軽装で,長
いローブを身につけて杖を持ち,タッタッタッとの移動の効果音とともに移動す
る。杖を用いて自軍ユニットを別の場所にワープさせたり,杖を用いて自軍ユニッ
トのヒットポイント(以下「HP」という。)を回復させたりすることができる。
とりわけ,被控訴人ゲームの杖ユニットであるネイファとトラキアの杖ユニット
であるサラとは,兵種(シスター),容姿(あどけなさが残る顔立ちで,波うつよ
うなウェーブの紫系統のロングヘアであり,前髪を中央で分けて髪の分け目には額
飾りが見える。)まで同一である。
 杖ユニットは,[待機][攻撃]のほか,基本的に[エ:その他の表現]の中の[ユニッ
ト間のアイテム交換の場面][ステータス画面の場面][死亡判断と死にセリフの場面]
[秘密の店の場面][武器屋の場面][道具屋の場面][杖を使って相手をワープさせる場
面][杖を使って相手を回復させる場面][民家を訪ねて仲間を増やす場面][民家を訪
ねてアイテムを得る場面][扉を開く場面][跳ね橋を降ろす場面]に登場する。
 ⑦ 魔道士ユニット
 戦闘マップにおいて魔道士ユニットは,戦場であるにもかかわらず非常に軽装
で,長いマントを身につけて,タッタッタッとの移動の効果音とともに移動する。
武器である魔道書を用いて,魔法攻撃を行うことができる。
 とりわけ,被控訴人ゲームの魔道士ユニットであるマルジュは,トラキアの魔道
士ユニットであるアスベルと人物設定(風魔法を得意とする少年で,自身専用の風
魔法を持ち,登場時の兵種は魔道書で攻撃魔法を専用に使う下位の兵種であ
る。),容姿(少女のような風貌で,ショートヘアーで耳を出している。)まで同
一である。
 魔道士ユニットは,[待機][攻撃]のほか,基本的に[エ:その他の表現]の中の[ユ
ニット間のアイテム交換の場面][ステータス画面の場面][死亡判断と死にセリフの
場面][クラスチェンジの場面][闘技場の場面][秘密の店の場面][武器屋の場面][道
具屋の場面][民家を訪ねて仲間を増やす場面][民家を訪ねてアイテムを得る場面]
[扉を開く場面][跳ね橋を降ろす場面][アスベル専用の風魔法の場面]に登場する。
 ⑧ 斧ユニット
 戦闘マップにおいて斧ユニットは,比較的軽装で,武器として斧を持ち,強力な
破壊力を特徴とするユニットである。乗り物に乗れないので,タッタッタッとの移
動の効果音とともに移動する。
 斧ユニットは,[待機][攻撃]のほか,基本的に[エ:その他の表現]の中の[ユニッ
ト間のアイテム交換の場面][ステータス画面の場面][死亡判断と死にセリフの場面]
[クラスチェンジの場面][闘技場の場面][秘密の店の場面][ユニット間の会話で寝返
る場面][武器屋の場面][道具屋の場面][民家を訪ねて仲間を増やす場面][民家を訪
ねてアイテムを得る場面][扉を開く場面][跳ね橋を降ろす場面]に登場する。
 ⑨ 弓ユニット
 戦闘マップにおいて弓ユニットは,比較的軽装で,武器として弓を使い,弓を用
いて2桝目以上離れた敵を攻撃することができる間接攻撃専門のユニットである。
タッタッタッとの移動の効果音とともに移動する。弓による攻撃は,飛翔するユニ
ットであるペガサスユニット及びドラゴンユニットに対して強力な攻撃力を発揮す
る。
 弓ユニットは,[待機][攻撃]のほか,基本的に[エ:その他の表現]の中の[ユニッ
ト間のアイテム交換の場面][ステータス画面の場面][死亡判断と死にセリフの場面]
[クラスチェンジの場面][闘技場の場面][秘密の店の場面][武器屋の場面][道具屋の
場面][民家を訪ねて仲間を増やす場面][民家を訪ねてアイテムを得る場面][扉を開
く場面][跳ね橋を降ろす場面]に登場する。
 ⑩ 剣ユニット
 戦闘マップにおいて剣ユニットは,剣を操る技に優れた剣士であり,軽装で,武
器として剣を持ち,タッタッタッとの移動の効果音とともに移動するユニットであ
る。
 とりわけ,被控訴人ゲームの代表的な剣ユニットである「ヴェガ」は,トラキア
の特徴的な剣ユニットである「シヴァ」と,その容姿(鋭い目つきで,黒髪の前髪
をばさりと垂らし,鎧をつけずに着流し的な服装),人物設定(当初は敵として登
場し,自軍の女性ユニットとの会話が行われると寝返って自軍ユニットになる),
スキル(攻撃直前に音とともに全身から光が放たれ,剣で敵に与えたダメージ分自
らのHPが回復するというスキル)まで同一にしてある。
 剣ユニットは,[待機][攻撃]のほか,基本的に[エ:その他の表現]の中の[ユニッ
ト間のアイテム交換の場面][ステータス画面の場面][死亡判断と死にセリフの場面]
[クラスチェンジの場面][闘技場の場面][秘密の店の場面][ユニット間の会話で寝返
る場面][武器屋の場面][道具屋の場面][民家を訪ねて仲間を増やす場面][民家を訪
ねてアイテムを得る場面][扉を開く場面][跳ね橋を降ろす場面]に登場する。
 ⑪ アーマーユニット
 戦闘マップにおいてアーマーユニットは,全身を頑強な鎧で固めているという極
めて独自の特異な形状のユニットである。全身を頑強な鎧で固めているという重量
から,機動力には乏しいものの,高い防御力を誇るユニットである。
 アーマーユニットは,[待機][攻撃]のほか,基本的に[エ:その他の表現]の中の
[ユニット間のアイテム交換の場面][ステータス画面の場面][死亡判断と死にセリフ
の場面][クラスチェンジの場面][闘技場の場面][秘密の店の場面][武器屋の場面]
[道具屋の場面][民家を訪ねて仲間を増やす場面][民家を訪ねてアイテムを得る場
面][扉を開く場面][跳ね橋を降ろす場面]に登場する。
 ⑫ 盗賊ユニット
 戦闘マップにおいて盗賊ユニットは,比較的軽装で,武器として剣を持ち,タッ
タッタッとの移動の効果音とともに素早く動く動きを特徴とし,宝箱や扉を開けら
れたり,跳ね橋を降ろしたりすることを特徴とするユニットである。
 盗賊ユニットは,[待機][攻撃]のほか,基本的に[エ:その他の表現]の中の[ユニ
ット間のアイテム交換の場面][ステータス画面の場面][死亡判断と死にセリフの場
面][闘技場の場面][秘密の店の場面][ユニット間の会話で寝返る場面][武器屋の場
面][道具屋の場面][民家を訪ねて仲間を増やす場面][民家を訪ねてアイテムを得る
場面][宝箱を開ける場面][扉を開く場面][跳ね橋を降ろす場面]に登場する。
 (2) ゲームの全体構成とその各場面の表現
 ゲームの全体構成とその各場面の表現に関し,両ゲームの共通する表現は,以下
のとおりである。
 トラキアと被控訴人ゲームでは,全体マップ部分から個別の戦闘マップに移行
し,当該戦闘マップにおける「戦闘マップをプレイする場面」をプレイし,当該戦
闘マップをクリアすると,全体マップ部分に戻って次の戦闘マップに移行する。次
の戦闘マップにおいて「戦闘マップをプレイする場面」をプレイして全体マップ部
分に戻る,というように,基本的には全体マップ部分と個別の戦闘マップを繰り返
し,最終の戦闘マップにおける「戦闘マップをプレイする場面」をクリアしたとき
にゲームクリアとなる。
 全体マップ部分は架空の大陸を表現した全体地図であり,セピア色の古地図とし
て表現しており,個々の戦闘マップの所在場所とこれらをつなぐ道等を表現してい
る。
 個々の戦闘マップは,西洋中世風の要塞,領主館内,山岳地帯,峡谷,民家の点
在する村,城内,祭壇等を背景としており,全12種のユニットが登場する。戦闘
マップにはマップタイトル(章タイトル)が付されており,各戦闘マップは,「戦
闘前の出撃準備場面」を経て「戦闘マップをプレイする場面」を開始する。「戦闘
前の出撃準備場面」は,文字どおり「戦闘マップをプレイする場面」を開始する前
の準備の場面であり,当該マップの地形等を出撃前スクロール等で確認したり,出
撃前の自軍ユニットの編成,ユニットの所持するアイテムの編集をしたりする。
「戦闘前の出撃準備場面」において,メニューコマンドで「進撃」を選択すると,
戦闘を開始することができ,戦闘前会話場面を経て「戦闘マップをプレイする場
面」になる。
 戦闘マップにおける「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成は,後に(4)に詳
述するとおりであるが,要約すると,プレイヤーがカーソルを操作して,トラキア
独自の西洋中世風の人物設定及び容姿とした登場ユニット12種からなる自軍ユニ
ットを行動させる自軍ターンと,コンピューターが自動的に敵軍ユニットを行動さ
せる敵軍ターンを,繰り返すことからなっている。
 そして,プレイヤーが当該マップのクリア条件を達成したときに当該マップのク
リアとなる。
 クリア条件をクリアすると,当該マップ用に用意されたマップクリア後の会話の
場面が自動的に影像表示される(この会話場面にはキャンセル機能がついているの
で,キャンセルして飛ばすことが可能である。)。次いで全体マップに戻る場合に
は,全体マップが影像表現され,全体マップに戻らず戦闘マップに移行する場合に
は戦闘マップのマップタイトルが表示されて,次の「戦闘マップをプレイする場
面」が表現される。そして,上記記載の「戦闘マップをプレイする場面」の内容が
再び繰り返される。
 最終マップをクリアしたときにゲームクリアとなる。
 (3) 基本ストーリー(ゲームの概要)
 両ゲームの基本ストーリー(ゲームの概要)は,以下のとおりである。
 両ゲームは,戦略性の高い戦闘システムと壮大なシナリオを満喫できるSRPG
である。西洋中世をモチーフとして,ペガサスユニット,ドラゴンユニット,魔道
士ユニット等も登場するファンタジーな世界を背景とし,架空の大陸における架空
の小王国,小公国,小領主国間の戦乱を舞台とする。主人公は,亡国の少年王子で
ある。プレイヤーは,西洋中世風の架空の要塞,山岳地帯,領主館内,峡谷,森林
地帯,民家の点在する村,城内,祭壇等を背景とし,章立てて次々と表示される戦
闘マップ上で,主人公や自軍ユニットを移動させ,戦闘等を行って仲間を増やし,
成長させ,敵側を制圧する。死亡したユニットは原則として生き返らず,主人公の
死亡によってゲームオーバーとなる。
 (4) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成とその各場面の表現
 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成及び各場面に関し,両ゲームの表現
は,以下の点で共通する。
 両ゲームの各戦闘マップでは,「戦闘前の出撃準備場面」を経て「戦闘マップを
プレイする場面」が開始する。
 「戦闘マップをプレイする場面」のマップの背景は,西洋中世風の民家の点在す
る村,海岸の村,山岳地帯,森林地帯,地下の祭壇等を背景とし,前記(1)で詳述し
たとおりの西洋中世風の人物設定と容姿をもった登場ユニット全12種が登場す
る。
 「戦闘マップをプレイする場面」の構成は,プレイヤーがカーソルを操作して西
洋中世風の全12種の自軍ユニットを行動させる自軍ターンと,コンピューターが
自動的に敵軍ユニットを行動させる敵軍ターンを,繰り返すことからなっている。
 「戦闘マップをプレイする場面」においては,コンピューターが戦闘マップ上に
自動的に配置した位置に,自軍ユニットと敵軍ユニットが配置されており,かかる
配置画面に自軍ターンであることを示す英文文字が現れて消える画面によって,
「戦闘マップをプレイする場面」が開始する。
 背景となる地形等は,すべてトップビューによる視点で描かれた西洋中世の架空
の大陸風景である。
 これらの戦闘マップ上の地形には「地形効果」が設定してあり,「戦闘マップを
プレイする場面」においては,カーソルが移動した場所の「地形効果」を画面上方
隅に小さな長方形状の枠を表示してその枠内に「平地」等の漢字文字と「何%」と
いう数字で当該効果を表現し,またカーソルが表示される画面の位置とは常に左右
が反対側の位置にこの小さな長方形状の枠を表示している。
 戦闘マップ上において,プレイヤーがカギ括弧形状を4つ組み合わせてなるフワ
フワと物をつかむような動きをするカーソルを,待機ポーズをしている自軍ユニッ
トに合わせると,特徴的な吹出し形状の影像(以下「吹出し」という。)が,当該
ユニットに自動的に表示される。吹出しには,上段に当該ユニットの名前が,下段
に当該ユニットのHPが影像表現され,HPは分母にユニットが持つ最大値を,分
子に現在値を表示している。吹出しは自軍ユニットは青色系で表現し,敵軍ユニッ
トは赤色系で表現している。カーソルをユニットから外すと,吹出しは消え,カー
ソルは上下左右に移動させるときに「ピコッ,ピコッ」というカーソル移動音を発
生する。プレイヤーが自軍ユニットにカーソルを合わせて操作ボタンを押すと,自
軍ユニットは自動的にその場動きの影像を開始すると同時に,選択したユニットの
移動可能範囲が背景とは異なる色の半透明な桝目で表現され,かつ移動可能範囲の
外側には,相手方を攻撃することが可能な範囲の桝目が半透明な黄色で影像表現さ
れる。敵軍ユニットを選択してカーソルを合わせて操作ボタンを押した場合も,当
該敵軍ユニットの移動可能な範囲と自軍を攻撃可能な範囲が同様の表現で影像表示
される。
 自軍ターンでの行動を終了した当該ユニットの影像はマップ上の移動後の位置
で,行動する前と同一の斜め前向きの所定の待機ポーズに切り替わって変化し,当
該ユニットの全身の色が暗系色に変化して,吹出しが自動的に表示される。
 「戦闘マップをプレイする場面」に登場する登場ユニットはいずれもマップ上で
は,トップビューの視点で表現し,西洋中世風の衣装をつけ,全身は移動範囲及び
攻撃範囲表示のほぼ一桝目大で,人間に近い頭身比として表現されており,その特
徴的な表現の詳細は前記(1)記載のとおりである。
 戦闘マップ上において自軍ターンであることを示す英文文字が消えた状態では,
登場ユニットは,それぞれの配置場所でユニット所定の待機ポーズ(基本的に斜め
前向きで武器等を動かしている)をとっている。
 自軍ターンの基本構成は,当該戦闘マップに登場する自軍ユニットを,プレイヤ
ーがカーソルを操作してユニット1人につきそれぞれ1回だけ行動させることから
なっている。プレイヤーがカーソルを操作して自軍ターンで自軍ユニットに行わせ
ることができる行動は,後記(6)で後述する[ア:待機],又は(7)で後述する[イ:
攻撃],あるいは(9)ないし(42)で後述する[エ:(ア)ないし(メ)のその他の表現]を含
むその他の行動である。
 プレイヤーは自軍ターンにおいて,当該戦闘マップに登場した自軍ユニットをカ
ーソルで操作して,各ユニットを自軍ターン内で一回だけ行動させることができ,
主として[イ:攻撃]の「行動」をさせることによって自軍ユニットに経験値(EX
P)を得させて成長させる。ユニットは経験値が100を超えるとレベルアップし
て能力が向上して成長することができ,クラスチェンジの条件を満たしたときに
は,クラス(兵種)が変わって,さらに成長できる。しかしながら,死亡したユニ
ットは二度と生き返らない(登場しない)という構成に表現しているため,プレイ
ヤーはかかるリスクを考えた上で,マップクリアを目指して戦術を立て,基本的に
は,ユニットを移動させて待機させるか([ア:待機の表現]),移動させて攻撃さ
せるか([イ:攻撃の表現])の操作を行う。
 [イ:攻撃]の表現において,戦闘の場面は,1対1の登場ユニットの戦いであ
り,攻撃を仕掛けた側から攻撃を1回して,相手が反撃を1回し,攻撃速度の差が
所定値以上の場合に攻撃速度の大きい方が再攻撃(再反撃)を1回行うという戦闘で
あり,戦闘終了後に自軍ユニットが経験値を獲得し,経験値が100を超えるとレ
ベルアップして,自軍ユニットの戦闘パラメータがアップして成長するという場面
展開となっている。そして,1回の攻撃でのダメージ値は「攻撃力-守備力」で一
定値となっており,その代わりに,1回の攻撃は,確率により当たってダメージを
与える又は外れてダメージを与えられないものとなっており,さらに,確率により
大ダメージを与えられる必殺の一撃となる場合を設けている。この場面展開が変化
する不確定要素(運)により,メリハリが極端にきいた明確な表現となっている。
 戦闘場面は,設定により自動的にアニメーション切替戦闘場面又はオンマップバ
トル場面で表現される。アニメーション切替戦闘場面は,サイドビューでの遠景の
風景を背景に,人間に近い頭身比で,西洋中世風の衣装をつけたユニットによるサ
イドビューの視点でのリアルなアニメーション影像での戦闘を表現している。
「戦闘マップをプレイする場面」においては,[ア:待機][イ:攻撃][ウ:敵軍タ
ーン]とともに,[エ:その他の表現(ア)ないし(メ)]という多彩な場面と分岐によって
繰り広げられる全体構成となっている。
 自軍ターンにおける自軍ユニットの行動を終えたとプレイヤーが判断して,メイ
ンメニューを画面に表示し,最下段の「終了」コマンドを選択すると,敵軍ターン
の場面に切り替わる。敵軍ターンの場面に切り替わった直後の表現は,暗系色に変
わっていた全ての自軍ユニットが元の色に一瞬にして戻ると同時に,敵軍ターンで
あることを示す英文文字が,赤く浮かび上がるように出現した後,色が消えて溶け
込むように文字が消える表現によって開始する。
 敵軍ターンは,自軍ターンの最終場面で待機ポーズとなっているユニットの配置
で開始する。プログラムにしたがって敵軍ユニットが自動的に自軍ユニットに対し
て攻撃を仕掛けてくるが,敵軍ターンの基本構成は,敵軍ユニットの移動して待機
あるいは敵軍ユニットの移動して攻撃であり,[ウ:敵軍ターン]の配置及び順序構
成を含めた詳細な表現内容は後記(8)記載のとおりである。
 敵軍ターンはプログラムによって自動的に終了する。敵軍ターンが終了すると,
行動を終えて暗系色の待機ポーズとなった敵軍ユニットが元の色に戻ると同時に,
自軍ターンであることを示す英文文字が現れて消える表現によって自軍ターンが開
始する。
 自軍ターンと敵軍ターンは,各戦闘マップに設けられたクリア条件をクリアする
まで繰り返され,クリア条件をクリアすることにより,当該戦闘マップがマップク
リアとなる。
 (5) 「戦闘マップをプレイする場面」の各場面展開によって表現される「本質的
ストーリー」
 「本質的ストーリー」は,プレイヤーが「戦闘マップをプレイする場面」をプレ
イしたときに,ディスプレイ上に現れるプレイの遊戯内容から,プレイヤーに感得
されるものであり,その影像表現は「戦闘マップをプレイする場面」の各種の場面
展開の影像表現それ自体である。両ゲームは,プレイヤーに何度でもプレイを積み
重ねる意欲を起こさせる遊戯内容に作り上げられているものであって,このことに
より,単に視聴しただけでは深く感得しづらい本質的ストーリーをプレイヤーに体
感させ,非常に強い感情移入を生じさせる点で共通する(その詳細は甲494記載
のとおりである。)。
 (6) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構成
において表現される[ア:自軍ターンにおけるユニットの行動の表現例(待機する場
合)]の表現(根幹的表現)
 両ゲームに共通する待機の表現は,以下のとおりである。
 戦闘マップ上には自軍ユニット,敵軍ユニットが登場する。
 これらの登場人物はいずれもマップ上では,トップビューの視点で表現し,西洋
中世風の衣装をつけ,人間に近い頭身比の人物として表現する。
 戦闘マップ上において自軍ターンであることを示す英文文字が消えた状態では,
登場人物は,それぞれのユニット所定の待機ポーズ(基本的に斜め前向きで武器等
を動かしている)をとっている。
 プレイヤーがカギ括弧形状を4つ組み合わせてなるフワフワと物をつかむような
動きをするカーソルを,待機ポーズをしている自軍ユニットに合わせると,自動的
に当該ユニットに吹出し影像が表示され,当該吹出し中には上段に当該ユニットの
名前と下段に当該ユニットのHPが影像表現される。HPは,その分母にユニットが
持つ最大値を,分子に現在値を表示している。吹出しは自軍ユニットであるかどう
かを一目で分かるように自軍ユニットを青色系で表現し,敵軍ユニットの吹出しを
赤色系で表現している。かかる表現により,当該ユニットが自軍であるか否か,ユ
ニットの名前及びHPがどの程度残っているかがわかるように表現している。カー
ソルをユニットから外すと,吹出しは消える。
 カーソルは上下左右に移動させるときに「ピコッ,ピコッ」というカーソル移動
音を発生する。
 プレイヤーが自軍ユニットにカーソルを合わせて操作ボタンを押すと,自軍ユニ
ットは自動的にその場動きの影像を開始し,選択したユニットの移動可能範囲が背
景とは異なる色の半透明な桝目で表現され,かつ移動可能範囲の外側には,相手方
を攻撃することが可能な範囲の桝目が半透明な黄色で影像表現される。また,敵軍
ユニットを選択してカーソルを合わせて操作ボタンを押した場合は,当該敵軍ユニ
ットの移動可能な範囲と自軍を攻撃可能な範囲が同様の表現で影像表示される。こ
れにより,自軍及び敵軍の各ユニットの移動可能な範囲だけでなく,敵軍による攻
撃可能な範囲をも同時にプレイヤーが判断できるような影像表現となっている。
 続いて,自軍ユニットを選択した場合,カーソルを移動させて自軍ユニットが移
動可能な範囲内で移動先を指定し,操作ボタンを押して移動先を決定すると,選択
された自軍ユニットが移動する様子が,トップビューの影像で,アニメーション手
法により影像表現されて,ユニットは画面上では桝目は現れていないにもかかわら
ず桝目の上を動く動作によって,移動先へ移動する。この移動の様子は,西洋中世
風の衣装をつけ,剣,斧,弓等の武器をもった人間に近い頭身比であらわされたユ
ニットが,ペガサス又はドラゴンに乗っている場合はバサバサと風を切る効果音と
ともに空中を飛翔し,馬に乗っている場合は地を蹴る効果音とともに馬を走らせ,
乗り物に乗っていない場合はタッタッタッという効果音とともに駆け足で,画面上
の上に行くときは後ろ向きの姿で,画面上の下に移動するときは前向きの姿で,右
に移動する場合は右向きで武器を右手に持ち(弓の場合は弓を左手に持つ),左に
移動するときは左向きで武器を右手に持って(弓の場合は弓を左手に持って),上
記のとおりの移動の効果音とともに移動するという表現がとられている。
 当該自軍ユニットがカーソルで指定された移動先に移動すると,当該自軍ユニッ
トがコマンド選択可能な移動後のメニューが自動的に影像表示される。
 この移動後のメニューに記載された「待機」コマンドを選択すると,「ピコッ」
というコマンド決定音が生じるとともに,当該ユニットは当該自軍ターンでの行動
を終える。当該ユニットの行動が終了したことを表現するために,当該ユニットの
影像はマップ上の移動後の位置で,行動する前と同一の斜め前向きの所定の待機ポ
ーズに切り替わって変化し,当該ユニットの全身の色が変化する。
 (7) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構成
において表現される[イ:自軍ターンにおけるユニットの行動の表現例(攻撃する場
合)]の表現(根幹的表現)
 両ゲームに共通する攻撃の表現は以下のとおりである。
 戦闘マップ上において,プレイヤーが,カギ括弧形状を4つ組み合わせてなるフ
ワフワと物をつかむような動きをするカーソルを,待機ポーズをしている自軍ユニ
ットに合わせると,自動的に当該ユニットから吹出し形状の影像が表現され,当該
吹出し中に当該ユニットの名前が上段に,下段にHPが影像表現される。HPは,
その分母に当該ユニットが持つ最大値を,分子に当該ユニットの現在値を表示して
いる。吹出しは自軍ユニットであるかどうかを一目で分かるように自軍ユニットは
青色系で表現し,敵軍ユニットの吹出しは赤色系で表現している。かかる表現によ
り,当該ユニットが自軍であるか否か,ユニットの名前及びHPがどの程度残って
いるかがわかるように表現している。カーソルをユニットから外すと,吹出し形状
の影像は消える。
 次に,プレイヤーが自軍ユニットにカーソルを合わせて操作ボタンを押すと,自
軍ユニットは自動的にその場動きを開始し,また選択したユニットの移動可能範囲
が背景とは異なる色の半透明な桝目で表現され,かつ移動可能範囲の外側には相手
方を攻撃することが可能な範囲の桝目が半透明な黄色で影像表現される。また,敵
軍ユニットを選択して操作ボタンを押した場合には,当該敵軍ユニットの移動可能
な範囲と自軍を攻撃可能な範囲が同様の表現で影像表示される。
 これにより,自軍及び敵軍の各ユニットの移動可能な範囲だけでなく,敵軍によ
る攻撃可能な範囲をも同時にプレイヤーが判断できるような影像表現となってい
る。
 続いて,自軍ユニットを選択した場合,カーソルを移動させて自軍ユニットが相
手方を攻撃することが可能な範囲であってかつ移動可能な位置に移動先を指定し,
操作ボタンを押して移動先を決定すると,選択された自軍ユニットが移動する様子
が,アニメーション手法により影像表現されて,ユニットは桝目の上を動く動作に
よって移動先へ移動する。この移動の様子は,西洋中世風の衣装をつけ,剣,斧,
弓,槍等の武器をもった人間に近い頭身比であらわされたユニットが,ペガサス又
はドラゴンに乗っている場合はバサバサと風を切る効果音とともに空中を飛翔し,
馬に乗っている場合は地を蹴る効果音とともに馬を走らせ,乗り物に乗っていない
場合はタッタッタッという効果音とともに駆け足で,画面上の上に移動するときは
後ろ向きの姿で,画面上の下に移動するときは前向きの姿で,右に移動する場合は
右向きで武器を右手に持ち(弓の場合は弓を左手に持つ),左に移動するときは左
向きで武器を右手に持って(弓の場合は弓を左手に持って),上記のとおりの移動
の効果音とともに移動するという表現がとられている。
 当該ユニットがカーソルで指定された移動先に移動すると,自軍ユニットがコマ
ンド選択可能な移動後のメニューが自動的に影像表示される。
 この移動後のメニューに記載された攻撃コマンドを選択すると,ピコッというコ
マンド決定音が生じ,当該ユニットが使用できる武器のメニュー及び選択中の武器
を装備した場合のユニットのパラメータ値を表示したメニューとが,メニュー表示
の効果音とともに自動的に影像表示される(この2つのメニューはペアになってお
り,以下,2つを総称して「武器選択メニュー」という。)。
 武器のメニューには,当該自軍ユニットがその時点で攻撃に使用し得る武器を,
武器アイコン,武器名称,耐久度の数値によって影像表示する。
 選択中の武器を装備した場合のユニットのパラメータ値を表示したメニューに
は,当該自軍ユニットが現在装備している武器を,「属性」(トラキアの場合。被
控訴人ゲームの場合は「タイプ」。)という項目のもとに六角形状の枠内にアイコ
ンで表現し,その下に当該武器を装備したときの当該自軍ユニットのパラメータ値
を影像表示する。プレイヤーは攻撃する武器をこの2種類のメニューを比較するこ
とによって選択する。
 この選択に当って,プレイヤーがカーソルを操作して武器のメニューのリストの
一番上に記載されている現在装備している武器から,リスト上に記載されている別
の武器にカーソルを移動すると,選択中の武器を装備した場合のユニットのパラメ
ータ値を表示したメニューでは,当該別の武器に装備を変えた場合の武器が六角形
状の枠内にアイコンで表現され,当該武器に装備を変えた場合の当該自軍ユニット
のパラメータ値を連動して変化させて影像表現する。そしてこの変化したパラメー
タ値の数値の右側には,現在装備している武器に比べて当該自軍ユニットのパラメ
ータ値が増えた場合には上向きの矢印を,減った場合には下向きの矢印を影像表現
する。これらの一連の影像表現により,一見して,どの武器を装備すると当該自軍
ユニットはどのパラメータにおいて有利になるか,不利になるかがわかるように影
像表現する。
 武器選択メニューによって以上のようにして武器を選択した後に,カーソルを合
わせて敵軍ユニットを選択すると,敵軍ユニットと自軍ユニットの戦闘前パラメー
タを影像表示する場面となる。
 戦闘前パラメータは戦闘マップに重なって影像表現され,枠内には相手と自軍の
各ユニットの攻撃パラメータを比較できるように,中央の縦方向に攻撃パラメータ
の項目(レベル,HP,攻撃力,守備力,命中率,必殺率,攻速(攻撃速度))が
記載され,これを挟んで右側に自軍ユニットの名前と各値が,左側に敵軍ユニット
の名前と各値が表示されている。
 戦闘前パラメータが表示された後にプレイヤーが操作ボタンを押すと,当該マッ
プの戦闘画面の設定にしたがって,サイドビューによる1対1のアニメーションに
よる戦闘影像(アニメーション切替戦闘)あるいは,トップビューによる1対1の
オンマップ上での戦闘影像(オンマップバトル)のいずれかが開始する。
<アニメーション切替戦闘>
 アニメーション切替戦闘に設定されている場合は,戦闘前パラメータが表示され
た後にプレイヤーが操作ボタンを押すと,トップビューのマップの場面から真っ黒
な画面に切り替わる。その後にサイドビューの視点に切り替わり,サイドビューで
の遠景の風景を背景に,人間に近い頭身比で西洋中世風の衣装をつけたユニットが
サイドビューの視点でリアルなアニメーション影像で表現され,一人のユニット対
一人のユニットの戦闘が,リアルなアニメーション影像で表現される。今までのト
ップビューのマップ画面から,サイドビューの戦闘画面へ切り換えることから,ア
ニメーション切替戦闘と呼んでいる。トップビューのマップ画面の場合とは背景音
楽も変化する。
 アニメーション切替戦闘で戦闘する影像は,右側に自軍のユニットを,左側に敵
軍ユニットを影像表現する。
 切替戦闘シーンにおいては,画面の上段に,サイドビューで一対一での戦闘影像
が表現される。画面の下段には,右側の青色系の横長の四角の枠内に,自軍ユニッ
トの名前,使用する武器の名称,アルファベット3文字と数字で影像表現された攻
撃能力等が影像表示され,左側の赤色系の横長の四角の枠内には,敵軍ユニットの
名前,使用する武器の名称,アルファベット3文字と数字で影像表現された攻撃能
力等が影像表示される。また,各ユニットのHPは,長方形状でHPの値1に対し
て1目盛りずつ区切られた棒グラフとその横側の数値により影像表示され,ダメー
ジを受けた場合には棒グラフが減じる影像表現となっている。
 戦闘は,基本的には自軍ユニットが1回攻撃し,相手方が1回反撃し,攻撃速度
差が所定値以上になると,攻撃速度の値の大きい方が再度攻(反)撃を1回して,
攻撃の行動は終了となる。
 この攻撃の表現は以下のとおりである。
 攻撃は使用した武器等に特有のリアルな効果音(剣を振り下ろす音,弓を引き絞
って矢を放つ音等)とともに,武器等の軌跡が白く表現される。
 攻撃を受けたユニットがダメージを受けなかった場合は,ダメージを受けなかっ
た乾いた金属音のような効果音が生じるとともに,攻撃を受けたユニットはそのま
まの影像で表現され,HPの棒グラフにも変化はない。
 しかしながら,攻撃を受けたユニットがダメージを受けた場合は,当該ダメージ
を受けたユニットはそのままのポーズでダメージを受けた効果音とともに白く光
り,HPを示す棒グラフと数値が減少して,ダメージをどれだけ受けたかを表現す
る。
 また,攻撃を受けたユニットに攻撃が当たらなかった場合には,攻撃を受けたユ
ニットが避ける動きを影像表現しており,HPの棒グラフと数値は変化しない影像
表現をしている。
 次に相手方のユニットが反撃する。反撃も,使用した武器等に特有のリアルな効
果音とともに,武器等の軌跡が白く表現される。攻撃によってダメージを受けた場
合にはユニットがダメージを受けた効果音とともに白く光り,HPの棒グラフの影
像が変化すること等は上記と同じである。
 反撃が終わると,対戦するユニットの攻撃速度の差が4以上の場合には,攻撃速
度の値の大きいユニットが再攻(反)撃する。ダメージを受けたユニットはダメー
ジを受けた効果音とともに白く光り,HPの棒グラフの影像が変化すること等は上
記と同じである。1回目の反撃後に攻撃速度の値の差が4以上とならない場合は,
再攻(反)撃は行われない影像表現となっている。
 自軍ユニットの攻撃(又は再攻撃)で敵軍ユニットのHPを0にすることに成功
した場合には,自軍ユニットの攻撃(又は再攻撃)が終了した時の敵軍ユニットの
姿勢のまま,敵軍ユニットの影像は徐々に半透明になって消滅の効果音とともに消
滅し,敵軍ユニットが死亡したことを表現する。
 戦闘が終了し,自軍ユニットが生き残っている場合には(敵軍ユニットが死亡し
ない場合でも),自動的に経験値が付与される場面となり,経験値が水銀柱のよう
な横棒グラフと数値で影像表示され,戦闘により獲得した経験値が自動的に加算さ
れて,水銀柱のような横棒グラフが右方向に伸びかつ数値が変化し,当該ユニット
が戦闘によって経験値を獲得して成長したことが表現される。経験値が加算される
ときには,「ポポポッ」という効果音とともに横棒グラフが右方向に伸びる。水銀
柱のような横棒グラフと数値は,横長の長方形状の枠内に,左側から経験値,棒グ
ラフの順に表現されている。
 当該戦闘で経験値を獲得した結果,経験値が100を超えると自動的にレベルア
ップの場面へ移行し,また経験値が100を超えなかった場合には経験値獲得の表
現がなされた後に,自動的に画面はトップビューのマップ場面に切り替わり,当該
ユニットは当該自軍ターンでの行動を終える。当該ユニットの行動が終了したこと
を表現するために,当該ユニットの影像はマップ上の移動後の位置で,行動する前
と同一の斜め前向きの所定の待機ポーズに切り替わって変化し,全身の色が暗系色
に変化して,吹出し形状の影像が表示される。
 レベルアップの場面へ場面が切り替わった場合は,以下のとおりに表現する。
 レベルアップ場面に自動的に場面が切り替わる場合には,まず当初表示されてい
た経験値の水銀柱のような横棒グラフ等の影像が消え,画面上に長方形状の枠が表
示される。長方形状の枠内には,左端に当該自軍ユニットの斜め前向きの顔の影像
が表現され,その右には当該ユニットの戦闘能力データが影像表示され,次いで戦
闘能力パラメータのうちの上昇した項目に,上昇した数値(基本的に1だけ上昇)
を新たに影像表示し,上昇した項目の右には上昇したことを示す表示(トラキアの
場合は矢印マークであり,被控訴人ゲームの場合は「+」マークと数字)が,上昇
したことを示す効果音とともにはねるように影像表現される。
 レベルアップ場面が終了すると,画面はトップビューのマップ場面に切り替わ
り,当該ユニットは当該自軍ターンでの行動を終え,マップ上の戦闘を開始した位
置で,行動する前と同一の斜め前向きの所定の待機ポーズに切り替わって変化し,
全身の色が暗系色に変化して,吹出し形状の影像が表示される。
<オンマップバトル>
 オンマップバトルの場合は,トップビューによるユニットの移動影像とは何らの
切れ目なく,オンマップ上のユニット間での戦闘影像が表現される。
 オンマップバトルでは,マップ上に,一部上部に突出のある横に細長い長方形状
が隣り合わせになった形状のHP表示が表示される。このHP表示は自軍表示は青
色系に,敵軍表示は赤色系に色分けされており,両ユニットのHPが黄色い棒グラ
フと棒グラフ横の数字で示されており,上部突出部には両ユニットの名前が記載さ
れている。戦闘の当初には両ユニットの戦闘開始時のHPが棒グラフに表示され,
戦闘でダメージを受けると棒グラフが数字の方向に向かって減少する。
 戦闘は,基本的にはアニメーション切替戦闘と同様に,自軍ユニットが1回攻撃
し,相手方が1回反撃し,攻撃速度差が所定値(4)以上になると,攻撃速度の値
の大きい方が再度攻(反)撃を1回して,攻撃の行動は終了となる。
 この攻撃の表現は以下のとおりである。
 攻撃は使用した武器等に特有のリアルな効果音(剣を振り下ろす音,矢を放つ音
等)とともに,武器等の軌跡が白く表現される。
 攻撃を受けたユニットがダメージを受けなかった場合は,ダメージを受けなかっ
た乾いた金属音のような効果音が生じるとともに,攻撃を受けたユニットはそのま
まの影像で表現され,HPの棒グラフにも変化はない。
 しかしながら,攻撃を受けたユニットがダメージを受けた場合は,当該ダメージ
を受けたユニットは,そのままのポーズでダメージを受けた効果音とともに白く光
り,HPの棒グラフと数値が減少してダメージをどれだけ受けたかを表現する。
 また,攻撃を受けたユニットに攻撃が当たらなかった場合には,攻撃を受けたユ
ニットが避ける動きを影像表現しており,HPの棒グラフと数値は変化しない影像
表現をしている。
 次に,相手方のユニットが反撃する。反撃も,使用した武器等に特有のリアルな
効果音とともに,武器等の軌跡が白く表現される。反撃によってダメージを受けた
場合にはユニットがダメージを受けた効果音とともに白く光り,HPの棒グラフの
影像が変化すること等は上記と同じである。
 反撃が終わると,対戦するユニットの攻撃速度の差が4以上の場合には,攻撃速
度の値の大きいユニットが再攻(反)撃する。ダメージを受けたユニットはダメー
ジを受けた効果音とともに白く光り,HPの棒グラフの影像が変化すること等は上
記と同じである。1回目の反撃後に攻撃速度の値の差が4以上とならない場合は,
再攻(反)撃は行われない。
 自軍ユニットの攻撃(又は再攻撃)で敵軍ユニットのHPを0にすることに成功
した場合には,自軍ユニットの攻撃(又は再攻撃)が終了したときの敵軍ユニット
の姿勢のまま,敵軍ユニットの影像は徐々に半透明になって消滅の効果音とともに
消滅し,敵軍ユニットが死亡したことを表現する。
 戦闘が終了し,自軍ユニットが生き残っている場合には(敵軍ユニットが死亡し
ない場合でも),自動的に経験値が付与される場面となり,戦闘時には画面上に継
続して表示されていた,名前とHPを示す棒グラフと数値のHP表示が一瞬にして
画面より消去され,その後に,経験値が水銀柱のような横棒と数値で影像表示さ
れ,戦闘により獲得した経験値が自動的に加算されて水銀柱のような横棒グラフが
右方向に伸びかつ数値が変化して,当該ユニットが戦闘によって経験値を獲得して
成長したことが表現される。経験値が加算されるときには,「ポポポッ」という効
果音とともに横棒グラフが右方向に伸びる。
 当該戦闘で経験値を獲得した結果,経験値が100を超えると自動的にレベルア
ップの場面へ移行する。当該自軍ターンでの行動が終了すると,当該ユニットの行
動が終了したことを表現するために,当該ユニットの影像はマップ上の移動後の位
置で,行動する前と同一の斜め前向きの所定の待機ポーズに切り替わって変化し,
全身の色が暗系色に変化して,吹出し形状の影像が表示される。
 レベルアップの場面へ場面が切り替わった場合は,以下のとおりに表現する。
 レベルアップ場面へ自動的に場面が切り替わる場合には,まず当初表示されてい
た経験値の水銀柱のような横棒グラフ等の影像が消え,長方形状の枠が画面上に表
示され,枠内に当該ユニットの戦闘能力データが影像表示され,次いで戦闘能力パ
ラメータのうちの上昇した項目に,上昇した数値(基本的に1だけ上昇)を新たに
影像表示し,上昇した項目の右には,上昇したことを示す表示(トラキアの場合は
矢印マークであり,被控訴人ゲームの場合は「+」マークと数字)が,上昇したこ
とを示すように影像表現される。レベルアップした場合には,レベルアップの場面
が終了すると,画面はトップビューのマップ場面となり,当該ユニットの当該自軍
ターンでの行動を終え,マップ上の戦闘を開始した位置で,行動する前と同一の斜
め前向きの所定の待機ポーズに切り替わって変化し,全身の色が暗系色に変化し
て,吹出し形状の影像が表示される。
<自軍ユニットの死亡>
 上記のアニメーション切替戦闘又はオンマップバトルの戦闘中に,自軍ユニット
(主人公以外)が敵の反撃(又は再反撃)を受けてダメージを受けて白く光り,次
いでユニットが死亡したことが棒グラフで示されていたHPが0まで減ったことに
よって影像表現されると(死亡判断),自動的に「死にセリフ」の場面に場面が切
り替わる。死亡した自軍ユニットは,以降は影像表示されない。かかる死亡した自
軍ユニットは二度と登場しないとの影像表現をとることにより,死亡したユニット
は生き返らないことを表現している。
 自軍ユニットが死亡した場合には,当該自軍ユニットなしでゲームを続行する
か,あるいはリセットしてゲームをし直すかをプレイヤーは選択することができ
る。ゲームを続行する場合は当該死亡ユニットの行動は死にセリフ場面をもって終
了し,トップビューのマップ場面に切り替わったときに,当該ユニットが戦闘を開
始した位置に当該ユニットはもはや影像表現されない。
<主人公の死亡>
 上記のアニメーション切替戦闘又はオンマップバトルの戦闘中に,主人公が敵の
反撃(又は再反撃)によりダメージを受けた効果音とともに白く光り,次いで主人
公が死亡したことが棒グラフで示されていたHPが0まで減ったことによって表現
されると(死亡判断),自動的に「主人公の死亡によるゲームオーバーの場面」に
場面が切り替わる。ゲームはここで終了であり,プレイヤーはゲームをし直すこと
になる。
 (8) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構成
において表現される[ウ:敵軍ターンの場面]の表現(根幹的表現)
 両ゲームに共通する敵軍ターンの表現は,以下のとおりである。
 プレイヤーが自軍ターンにおける自軍ユニットの行動を終えて,マップ上のユニ
ットが存在していない場所にカーソルを合わせて,ボタン操作すると,マップ上に
「ピコッ」という効果音とともにメインメニューが表示される。
 このメインメニューの最下段には「終了」(トラキアの場合。被控訴人ゲームの
場合は「ターンエンド」)コマンドが記載されている。この最下段のコマンドを選
択すると,自動的に敵軍ターンの場面に切り替わる。
 敵軍ターンの場面に切り替わった直後の影像表現は,暗系色に変わっていた全て
の自軍ユニットが,元の色に一瞬にして戻ると同時に,敵軍ターンであることを示
す英文文字が,赤く浮かび上がるように出現した後,色が消えて溶け込むように文
字が消えるという表現となっており,自軍ターンの場合とは背景音楽が変化する。
 敵軍ターンは,自軍ターンの最終場面で待機ポーズとなっているユニットの配置
で開始し,プログラムにしたがって敵軍ユニットが自動的に自軍ユニットに対して
攻撃を仕掛けてくる。敵軍ユニットが移動して待機する場合には,自軍ターンのと
きの自軍ユニットの移動と待機の表現と同じく,トップビューであらわされた西洋
中世風の衣装をつけ人間に近い頭身比の敵軍ユニットが,トップビューによるアニ
メーション手法によって,ペガサス又はドラゴンに乗っている場合は空中を飛翔
し,馬に乗っている場合は馬を走らせ,乗り物に乗っていない場合は駆け足で,画
面上を上へ移動する場合は後ろ向き,下へ移動する場合は前向き,右へ移動する場
合は右向き,左へ移動する場合は左向きで,桝目の上を動く動作によって,移動の
効果音とともに動いて移動する。
 プログラムによって移動を終えると,当該敵軍ユニットは当該敵軍ターンでの行
動を終える。当該敵軍ユニットの行動が終了したことを表現するために,当該敵軍
ユニットの影像はマップ上の移動後の位置で,行動する前と同一の斜め前向きの所
定の待機ポーズに切り替わって変化し,全身の色が暗系色に変化して,吹出し形状
の影像が表示される。
 敵軍ユニットが移動して攻撃する場合は,自軍ターンのときの自軍ユニットの移
動して攻撃する場合と同じく,敵軍ユニットはトップビューによるアニメーション
手法で桝目の上を動く動作によって画面上を上へ移動する場合は後ろ向き,下へ移
動する場合は前向き,右へ移動する場合は右向き,左へ移動する場合は左向きに,
ペガサス又はドラゴンに乗っている場合は空中を飛翔し,馬に乗っている場合は馬
を走らせ,乗り物に乗っていない場合は駆け足で,移動の効果音とともに動いて移
動する。攻撃は,設定によってアニメーション切替戦闘又はオンマップバトルでプ
ログラムにしたがって自動的に表現される。
 敵軍ターンはプログラムにしたがって自動的に終了する。
 アニメーション切替戦闘又はオンマップバトルの表現は,自軍ターンの戦闘の場
合と全く同様に表現する。
 敵軍ユニットが仕掛けてきた攻撃で自軍ユニットが生き残った場合には,自軍タ
ーンのときと同じ表現で,自軍ユニットに対する経験値付与場面を表現する。
 自軍ユニットが経験値付与によって経験値が100を超えれば,自軍ターンのと
きと同じ表現で,自軍ユニットのレベルアップ場面を表現する。
 自軍ユニットが敵軍ユニットが仕掛けてきた攻撃で死亡した場合には,自軍ター
ンのときと同じ「死亡判断と死にセリフ」の場面に自動的に切り替わる。死亡した
自軍ユニットは,以降,影像表現されることはなく,自軍ターンが開始しても,も
はや死亡したユニットは生き返らず登場しない。
 主人公が敵軍ユニットが仕掛けてきた攻撃で死亡した場合には,自軍ターンのと
きと同じ表現で,「主人公死亡によるゲームオーバーの場面」に,場面が自動的に
切り替わる。主人公の死亡によりゲームオーバーとなる。
 敵軍ターンは,プログラムによっては敵軍ユニットが何の行動もとらずに終了す
る場合もある。
 (9) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構成
において表現される[エ:その他の表現例]の中の「(ア)踊る場面」の表現
 自軍ターンにおけるユニットの行動の表現としては,既述した待機と攻撃の表現
を基本としているが,自軍ターンにおいて自軍ユニットを行動させるときに,当該
自軍のユニットが踊るスキルを持った踊れるユニットである場合には,プレイヤー
は当該ユニットを行動させるときに,単に待機や攻撃をさせるのではなく,移動さ
せて踊らせて,当該自軍ターンでの行動を終了している他の自軍ユニットを再行動
させることができる。
 両ゲームに共通する,自軍の踊れるユニットに踊る行動をさせて,他のユニット
を再行動させる場面の表現は,以下のとおりである。
 戦闘マップ上において踊れるユニットが斜め前向きの所定の待機ポーズをしてい
る場合に,当該ユニットを行動させるときに,カギ括弧形状を4つ組み合わせてフ
ワフワと物をつかむような動きをするカーソルを,待機ポーズをしている当該踊れ
るユニットに合わせると,自動的に当該踊れるユニットに青色系の吹出し形状の影
像が表示され,当該吹出し中に当該踊れるユニットの名前とHPを表現する。
 当該踊れるユニットにカーソルを合わせて操作ボタンを押すと,当該踊れるユニ
ットはその場での駆け出し運動の影像を開始し,また選択した踊れるユニットの移
動可能範囲が背景とは異なる色の半透明な桝目で表現され,かつ移動可能範囲の外
側には敵軍を攻撃することが可能な範囲の桝目が半透明な黄色で影像表現される。
 続いて,カーソルを移動させて踊れるユニットの移動先を,当該踊れるユニット
の移動範囲内でかつ当該自軍ターンでの行動が終了している自軍ユニットと隣接す
る位置に指定し,操作ボタンを押して移動先を決定する。選択された当該踊れるユ
ニットは人間に近い頭身比の人物影像で,桝目の上を動く動作によって,移動の効
果音とともに移動する様子(画面上で上へ移動するときは後ろ向き,下へ移動する
ときは前向き,右へ移動するときは右向き,左へ移動するときは左向き)が,トッ
プビューのアニメーション手法により影像表現されて,移動先へ移動する。
 当該踊れるユニットがカーソルで指定された移動先に到達すると,当該踊れるユ
ニットがコマンド選択可能な移動後のメニューが自動的に影像表示される。踊れる
ユニットが移動した場合には,「踊る」コマンドが含まれた移動後のメニューが自
動的に影像表示される。影像表示された移動後のメニューに記載されている「踊
る」コマンドを選択し,続いて,隣接しておりかつ行動が終了している自軍ユニッ
トの中から,再び行動させたいユニットにカーソルを合わせると,その名前とHP
が影像表現される。このときにカーソルは,隣接しかつ行動が終了している自軍ユ
ニットのみを指すようになっており,隣接していても行動が終了していない自軍ユ
ニットをカーソルが指すことはない。
 プレイヤーがボタンを押して再行動させる相手を選択すると,トップビューのマ
ップ画面から真っ暗な画面に切り替わり,その後にサイドビューの視点に切り替わ
って,踊れるユニットが画面の上段に,踊れるユニットの名前,攻撃能力等が表示
された青色系の横長の四角の枠が画面下段の右側に影像表現される。この場面で
は,踊るような背景音楽に変化する。
 踊れるユニットは,茶色の長い髪をポニーテールに結ったプロポーションの良い
姿で表現され,衣服は上下に別れて腹部を一部露出しており,両腕はあらわになっ
ている。またスカートのスリットは足の付け根にまで及んでおり,長い足が付け根
から露出している。踊れるユニットはこのような衣服で,長いひも状のリボンを両
手に絡ませてくるくると回転して踊り,最後には長いひも状のリボンを地面に長く
垂らした決めポーズで静止する。決めポーズは,上記のような髪と衣装の踊り子
が,左腕を真っ直ぐに高く上げ,左足は真っ直ぐに伸ばして重心を置き,足の付け
根までを全部露わにした右足を斜め前方に出しており,真っ直ぐに横に伸ばした右
腕には長いひも状のリボンを持ち,そのリボンを地面に長く垂らしているという,
極めて特徴的でありかつ印象的に静止して決めるポーズとなっている。
 踊る場面が終了すると,踊れるユニットに経験値が付与される場面となり,経験
値が水銀柱のような横棒グラフと数値で影像表示されて,踊ったことにより獲得し
た経験値が自動的に加算されて,水銀柱のような横棒グラフが右方向に伸びかつ数
値が変化し,当該踊れるユニットが踊ることによって経験値を獲得して成長したこ
とが表現される。経験値が加算されるときには,「ポポポッ」という効果音ととも
に横棒グラフが右方向に伸びる。
 経験値を獲得した結果,経験値が100を超えると自動的にレベルアップの場面
へ移行し,また経験値が100を超えなかった場合には自動的にトップビューのマ
ップ場面に場面が切り替わる。トップビューの場面に切り替わると,相手方となっ
た自軍ユニットは再行動が可能となって暗系色から通常の色彩に戻って影像表現さ
れ,一方,当該踊れるユニットは当該自軍ターンでの行動を終えて,移動後の位置
において,行動する前と同一の斜め前向きの所定の待機ポーズに切り替わって変化
し,全身の色が暗系色に変化して,吹出し形状の影像が表示される。
 (10) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(イ)ユニット間のアイテム交換
の場面]の表現
 自軍ターンにおけるユニットの行動の表現としては,既述した待機と攻撃の表現
を基本としているが,自軍ターンにおいて自軍ユニットを行動させるときに,プレ
イヤーは単に待機や攻撃をさせるのではなく,移動させて交換させて,ユニット間
での所持アイテムを交換させることができる。
 両ゲームとも,各々の自軍ユニットが所持できる数には制限を設けているため,
必要なアイテムを他の自軍ユニットからアイテム交換により取得できる表現をとっ
ている。これがユニット間のアイテム交換の場面である。
 両ゲームに共通するユニット間のアイテム交換の場面の表現は以下のとおりであ
る。
 戦闘マップ上において自軍ユニットが斜め前向きの所定の待機ポーズをしている
場合に当該自軍ユニットを行動させるときに,カギ括弧形状を4つ組み合わせてフ
ワフワと物をつかむような動きをするカーソルを待機ポーズをしている当該自軍ユ
ニットに合わせると,自動的に当該自軍ユニットに青色系の吹出し形状の影像が表
示され,当該吹出し中に当該自軍ユニットの名前とHPを表現する。
 当該自軍ユニットにカーソルを合わせて操作ボタンを押すと,当該自軍ユニット
はその場での駆け出し運動の影像を開始し,また選択した当該自軍ユニットの移動
可能範囲が背景とは異なる色の半透明な桝目で表現され,かつ移動可能範囲の外側
には敵軍を攻撃することが可能な範囲の桝目が半透明な黄色で影像表現される。
 続いて,カーソルを移動させて当該自軍ユニットの移動先を,当該自軍ユニット
の移動範囲内でかつアイテム交換ができる自軍ユニットの隣りの位置に指定し,操
作ボタンを押して移動先を決定する。選択された当該自軍ユニットは人間に近い頭
身比の人物影像で,桝目の上を動く動作によって,移動の効果音とともに移動する
様子(画面上で上へ移動するときは後ろ向き,下へ移動するときは前向き,右へ移
動するときは右向き,左へ移動するときは左向き)が,トップビューのアニメーシ
ョン手法により影像表現されて,移動先へ移動する。
 当該自軍ユニットがカーソルで指定された移動先に到達すると,当該自軍ユニッ
トがコマンド選択可能な移動後のメニューが自動的に影像表示される。移動後のメ
ニューに記載された「物交換」コマンドを選択して(トラキアの場合。被控訴人ゲ
ームの場合は「アイテム」コマンドを選択して操作ボタンを押し,次いで「交換」
コマンドを選択する。),操作ボタンを押すと自動的に隣接する自軍ユニットから
アイテム交換する相手をカーソルで選択する場面となり,カーソルを合わせた隣接
する自軍ユニットの名前と所持アイテムが影像表示される。ボタンを押して相手を
選択すると,アイテム交換の場面に切り替わる。
 アイテム交換の場面は,画面を縦に二分して,左にアイテム交換のコマンドを実
行した当該自軍ユニットを,右に交換する相手となる自軍ユニットを影像表現す
る。
 画面左側のアイテム交換のコマンドを実行した当該自軍ユニットの側には,上段
の横長の長方形状の枠内に当該自軍ユニットの斜め前向きの顔影像を表現し,下段
の縦長の長方形状の枠内には当該自軍ユニットの現在所持している所持アイテムが
アイテムのアイコン,アイテム名称,耐久度の数値によって,影像表示されてい
る。また上段のユニットの顔影像の左側にはユニットの名前,兵種,HP等も表示
される。画面右側のアイテム交換の相手となるユニットについても同様の表現がな
されている。
 指差し形状の白い手のカーソル(以下「指カーソル」という。)を操作して相手
の所持アイテムの中から交換したいアイテムを選択してボタンを押すと,指カーソ
ルはその動きを止め,新たな指カーソルがアイテム交換を実行したユニットの所持
アイテム欄で空欄となっている個所を指す。ここでボタンを押すと,所持アイテム
が交換されて各々の所持アイテム欄に表示される。交換する相手の所持アイテム欄
が空欄となると,下方にあるアイテム名が上に繰り上がって影像表示される。そし
て,引き続き次のアイテムを交換することができる影像表現となっている。
 アイテム交換場面においては,アイテム交換を終了する場合にはボタン操作によ
り,当該ユニットの移動後のメインメニューの場面に戻る影像表現となっている。
 移動後のメインメニュー場面に戻ると,引き続いて待機や攻撃等のコマンドを選
択し,これらの行動が表現される。待機あるいは攻撃等を終了すると,戦闘マップ
上のユニットの行動は終了し,当該ユニットの行動が終了したことを表現するため
に,当該ユニットの影像はマップ上の移動後の位置で,行動する前と同一の斜め前
向きの所定の待機ポーズに切り替わって変化し,全身の色が暗系色に変化して,吹
出し形状の影像が表示される。
 なおユニット間のアイテム交換は,「戦闘マップをプレイする場面」が開始する
前の「戦闘前の出撃準備場面」においても表現させることができる。
 (11) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(ウ)ステータス画面の場面]の
表現
 両ゲームに共通するステータス画面の表現は,以下のとおりである。
 トップビューの戦闘マップ上において,プレイヤーが当該自軍ターンにおいて行
動させる自軍ユニットや戦う相手である敵軍ユニットの能力,状態,アイテム等の
情報を確認する場合に,トップビューの戦闘マップ上において,カーソルを当該ユ
ニットに合わせて操作ボタンを押すと,画面全体に当該ユニットのステータス画面
が表示される。
 ステータス画面は,画面全体を2つの横長方形状によって上下2段に分けてお
り,上段と下段は縦巾で1:2の比率となっている。
 上段部の中央には,当該ユニットの斜め前向きの顔影像を表現し,上段部の顔影
像の左側には当該ユニットの名前,兵種,HP(分母が最大値,分子が現在値),
LV(レベル),E(経験値)を表現している。上段部の顔影像の右側には,当該
ユニットの攻撃パラメータを,攻撃力,命中率,射程,必殺率,回避率(被控訴人
ゲームの場合にはこれに「必殺回避率」,「守備力」,「そくど(攻撃速度)」が
付加される。)等で表現している。
 下段の横長方形状は中央で左右に分かれて表現され,下段部の左側には,当該ユ
ニットの戦闘能力を力,魔力,技,速さ,幸運,守備(トラキアの場合は「体
格」,被控訴人ゲームの場合は「ぶきL」,「戦闘力」が付加される。)等で表現
している。下段部の右側には当該ユニットの現在所持しているアイテムを,アイテ
ムを示すアイコン,アイテム名,アイテムの耐久度を示す数値で表現している。
 プレイヤーが操作ボタンを押すと,ステータス画面は消えて,元のトップビュー
の戦闘マップ影像が表現される。
 (12) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(エ)死亡判断と死にセリフの場
面]の表現
 両ゲームに共通する死亡判断と死にセリフの場面の表現は,以下のとおりであ
る。
 アニメーション切替戦闘中に,画面上段でリアルなアニメーションの手法で表現
されている戦闘影像において,自軍ユニットがダメージを受けると,ダメージを受
けた効果音とともに白く光る。次いで,ユニットのHPが0になったことが,画面
下段の青色系枠内の棒グラフ(HPの値1に対して1目盛りずつ区切られたもの)
と数値によって影像表現されると,ユニットは死亡したものと判断され,戦闘場面
から自動的に死にセリフの場面に切り替わる。
 死にセリフの場面に切り替わると,画面下段の青色系枠と赤色系枠の影像が消
え,画面下段には左側に当該ユニットの右斜め前方を向いた顔の影像が表現され,
その顔の影像から右側の横一杯に長い吹出しが長方形状に影像表現され,その吹出
しの中に当該ユニットの死にセリフの言葉が文字で影像表示される。
 死にセリフの言葉が文字で表示された後,画面の上段に戦闘によって反撃を受け
た状態のままで影像表現されていた当該自軍ユニットの全身影像は,半透明となっ
て徐々に消えるように影像表現され,最後には消滅の効果音とともに消えてしま
う。
 以上の表現が終了すると,当初のオンマップの場面に切り替わる。マップ場面に
切り替わったときに,死亡したユニットはマップ上の戦闘を開始した位置にもはや
影像表現されない。
 オンマップバトル中の戦闘影像においても,自軍ユニットがダメージを受け,ダ
メージを受けた効果音とともに白く光り,次いでユニットのHPが0になったこと
が,戦闘マップ画面上に表示されている青色系枠内の棒グラフと数値によって影像
表現されると,ユニットは死亡したものと判断され,戦闘場面から自動的に死にセ
リフの場面に場面が切り替わる。
 オンマップバトルにおける死にセリフの場合には,HP表示の影像が消えて,上
記と同じ当該ユニットの斜め前方を向いた顔の影像と,その顔の影像の横の長い長
方形状の吹出しが影像表現され,その吹出しの中に当該ユニットの死にセリフの言
葉が文字で影像表示される。
 死にセリフの言葉が文字で表示された後,顔の影像と吹出しは消えて,戦闘マッ
プ上の戦闘によって反撃を受けた状態のままで影像表現されていた当該ユニットの
トップビューによる影像は,半透明となって徐々に消えるように影像表現され,最
後には消滅の効果音とともに消えてしまう。
 以上のようにして戦闘中に死亡したユニットは,以降はゲームに登場することは
なく,また自軍ターンと敵軍ターンが切り替わっても,さらには次のマップを開始
しても,死亡したユニットは二度と影像表現されない。
 (13) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(オ)主人公の死亡によるゲーム
オーバーの場面]の表現
 両ゲームに共通する主人公の死亡によるゲームオーバーの場面の表現は,以下の
とおりである。
 アニメーション切替戦闘中に,画面上段でリアルなアニメーションの手法で表現
されている戦闘影像において,主人公がダメージを受け,ダメージを受けた効果音
とともに白く光り,次いで主人公のHPが0になったことが,画面下段に表現され
ている青色系枠内の棒グラフ(HPの値1に対して1目盛りずつ区切られたもの)
と数値によって影像表現されると,主人公は死亡したものと判断され,戦闘場面か
ら自動的に主人公の死亡によるゲームオーバーの場面に場面が切り替わる。
 主人公の死亡によるゲームオーバーの場面に切り替わると,画面下段の青色系枠
と赤色系枠の影像が消えて,画面下段には左側に主人公の右斜め前方を向いた顔の
影像が表現され,その顔の影像から右側の横一杯に長い吹出しが長方形状の枠一杯
に影像表現され,その吹出しの中に主人公の死にセリフの言葉が文字で影像表示さ
れる。
 死にセリフの言葉が文字で表示された後,画面の上段に戦闘によって反撃を受け
た状態のままで影像表現されていた主人公の全身影像は,徐々に半透明となって消
えるように影像表現され,最後には消滅の効果音とともに消えてしまう。
 このようにして主人公が死亡して消えると,画面はトップビューによる戦闘マッ
プの場面に切り替わり,主人公が当初いた場所にはもはや主人公は影像表現されな
い。そして,このトップビューの戦闘マップ画面下方一杯に長方形状の吹出しが表
示される。吹出しの上方かつ画面の右側には,主人公に最も親しい自軍ユニットの
顔が主人公の顔のあった左側を向いて影像表現され,吹出し内には,主人公の死に
対する自軍ユニットによる無念の気持ちを伝える言葉が文字で影像表示される。
 オンマップバトルにおける主人公の死亡の場合には,主人公がダメージを受け,
ダメージを受けた効果音とともに白く光り,次いでユニットのHPが0になったこ
とが戦闘マップ画面上に表示されているHP表示によって影像表現されると,戦闘
マップ上に主人公の斜め前方を向いた顔の影像が表現され,その顔の影像から長方
形状の吹出しが影像表現され,その吹出しの中に主人公の死にセリフの言葉が文字
で影像表示される。
 死にセリフの言葉が文字で表示された後,顔の影像と吹出しは消えて,トップビ
ューの戦闘マップ上で,反撃を受けた状態のままで影像表現されていた主人公の影
像は,半透明となって徐々に消えるように影像表現され,最後には消滅の効果音と
ともに消えてしまう。
 次いで,トップビューの戦闘マップ画面下方一杯に長方形状の吹出しが表示され
る。その吹出しの上方かつ画面の右側に,主人公に最も親しい自軍ユニットの顔が
左側を向いて影像表現され,吹出し内には,主人公の死に対する自軍ユニットによ
る無念の気持ちを伝える言葉が文字で影像表示される。
 以上のようにして主人公が死亡した場合には,ゲームオーバーとなる。
 (14) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(カ)クラスチェンジの場面]の
表現
 自軍ターンにおけるユニットの行動の表現としては,既述した待機と攻撃の表現
を基本としているが,自軍ターンで,ある自軍ユニットを行動させるときに,当該
自軍のユニットがレベル10以上になりかつクラスチェンジを可能にするアイテム
を持っている場合には,プレイヤーは当該ユニットを行動させるときに,単に待機
や攻撃をするのではなく,移動させてクラスチェンジをさせて行動を終了させるこ
とができる。
 両ゲームに共通する,ユニットを移動させてクラスチェンジをさせる場面の表現
は,以下のとおりである。
 プレイヤーがカギ括弧形状を4つ組み合わせてなるフワフワと物をつかむような
動きをするカーソルを,待機ポーズをしている前記の条件を満たす自軍ユニットに
合わせると,自動的に当該ユニットに青色系の吹出し形状の影像が表示され,当該
吹出し中には上段に当該ユニットの名前と下段に当該ユニットのHPが影像表現さ
れる。HPは,その分母にユニットが持つ最大値を,分子に現在値を表示している。
 次に,プレイヤーが自軍ユニットにカーソルを合わせて操作ボタンを押すと,自
軍ユニットは自動的にその場動きの影像を開始し,また選択したユニットが移動す
ることが可能な範囲を背景とは異なる色の半透明な桝目で表現しかつ移動可能範囲
の外側には相手方を攻撃することが可能な範囲の桝目を半透明な黄色で影像表現し
た移動範囲・攻撃範囲の影像が表示される。
 当該ユニットの移動先をカーソルで指定して決定すると,トップビューの影像で
人間に近い頭身比で表現された当該自軍ユニットが,西洋中世風の衣装をつけて武
器を持った状態で,ペガサス又はドラゴンに乗っている場合は空中を飛翔し,馬に
乗っている場合は馬を走らせ,乗り物に乗っていない場合は駆け足で,桝目の上を
動く動作によって,移動の効果音を伴って移動する。移動先に到達すると,移動後
のメニューが自動的に影像表示される。移動後のメニューには,クラスチェンジを
可能にするアイテムを所持していると,「持ち物」(トラキアの場合。被控訴人ゲ
ームでは「アイテム」。)コマンドが表示され,当該コマンドを選択すると,当該
ユニットの所持するアイテムメニュー及び「使う・すてる」のコマンドメニューが
表示される。メニュー上のクラスチェンジするアイテムを使用すると,戦闘画面の
設定がオンマップであってもトップビューのマップ画面から自動的にサイドビュー
のクラスチェンジの場面に切り替わる。
 クラスチェンジ場面では,サイドビューの視点によりクラスチェンジをする当該
ユニットを現在の兵種での服装(及び乗り物)で画面中央に左向きの影像で表現
し,画面下段は黒背景として,その右半分に,自軍ユニットの名前等を青色系の枠
内に影像表示する。
 次に,自軍ユニットは強い光に照らされるように明るく表現され,ユニットを照
らすような光が徐々に弱くなると,やがてクラスチェンジしたユニットがクラスチ
ェンジ後の兵種での服装(及び乗り物)の姿に切り替わり,体の向きも当初とは逆
の右向きになった影像で表現される。
 クラスチェンジがこのようにして完了すると,長方形状の枠が表示され,枠内の
左端に当該自軍ユニットの右斜め前向きのバストアップの影像を,その影像の横に
は当該ユニットのクラスチェンジ後の戦闘能力パラメータを影像表示する。
 クラスチェンジによって,パラメータがアップする場合には,上昇したパラメー
タの右に上昇した数値が「+」マークと上昇したことを表す効果音とともに跳ね上
がるように表現されると同時に,パラメータの値がクラスチェンジ前の値からクラ
スチェンジ後の値へと変化する。
 クラスチェンジの場面が終了すると,当該ユニットの当該自軍ターンでの行動は
終了となり,トップビューのマップ場面に再び切り替わる。当該ユニットは行動が
終了となったことを示すために移動先の位置で,クラスチェンジ後の所定の待機ポ
ーズに切り替わって変化し,当該ユニットの全身が暗系色に変わる。
 (15) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(キ)マップクリア後に主人公が
クラスチェンジする場面]の表現
 両ゲームに共通する,マップクリア後に主人公がクラスチェンジする場面の表現
は,以下のとおりである。
 特定の章において,自軍ユニットが敵軍のボスとの戦闘を行って敵軍ボスを死亡
させた後に,主人公をカーソルにより選択し,カーソルを敵軍ボスがいた「玉座」
(トラキアの場合。被控訴人ゲームの場合は「玉座」又は「拠点」。)に合わせて
移動先を決定すると,マップ上をトップビューのアニメーション手法の表現で,主
人公が桝目の上を動く動作によって,移動音をともなって駆け足で移動する。主人
公が移動先に移動すると,移動後のメニューが自動的に影像表示される。このクリ
ア条件を充足すると,移動後のメニューには「制圧」コマンドが表示され,この
「制圧」コマンドを選択すると,当該マップはマップクリアになる。「制圧」コマ
ンドを選択すると自動的にトップビューのマップ場面からマップクリア後の会話場
面に場面が切り替わる。この会話場面が終了すると,画面が切り替わり,サイドビ
ューにより表現された,クラスチェンジの場面となる。
 クラスチェンジ場面では,サイドビューの視点によって,クラスチェンジをする
主人公をそのときの主人公専用兵種の服装で画面中央に左向きの影像で表現し,画
面下段は黒背景として,その右半分に,主人公の名前等を青色系の枠内に影像表示
する。
 次に,主人公は強い光に照らされるように明るく表現され,主人公を照らすよう
な光が徐々に弱くなると,やがてクラスチェンジした主人公が,クラスチェンジ後
の兵種の服装の姿に切り替わり,体の向きも当初とは逆の右向きになった影像で表
現される。
 クラスチェンジがこのようにして完了すると,長方形状の枠が表示され,枠内の
左端に主人公の右斜め前向きのバストアップの影像を,そのバストアップ影像の横
には主人公のクラスチェンジ後の戦闘能力パラメータを影像表示する。
 クラスチェンジによって,上昇したパラメータの右に上昇した数値が「+」マー
クと上昇を表す効果音とともに,跳ね上がるように表現されると同時に,パラメー
タの値がクラスチェンジ前の値からクラスチェンジ後の値へと影像が変化する。全
ての上昇パラメータの表現をもって,マップクリア後のクラスチェンジの場面は終
了し,次の場面に切り替わる。
 (16) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(ク)闘技場の場面]の表現
 自軍ターンにおけるユニットの行動の表現としては,既述した待機と攻撃の表現
を基本としているが,闘技場が影像表現されているマップでは,自軍において自軍
ユニットを行動させるときに,当該ユニットの移動可能な範囲内に闘技場がある場
合には,プレイヤーは当該ユニットを行動させるときに,単に待機や攻撃をするの
ではなく,移動させて闘技場で対戦させて行動を終了させることができる。
 両ゲームに共通する,ユニットを移動させて闘技場で対戦させる場面の表現は,
以下のとおりである。
 戦闘マップ上でプレイヤーがカギ括弧形状を4つ組み合わせてなるフワフワと物
をつかむような動きをするカーソルを,待機ポーズをしている自軍ユニットに合わ
せると,自動的に当該ユニットに青色系の吹出し形状の影像が表示され,当該吹出
し中には上段に当該ユニットの名前と下段に当該ユニットのHPが影像表現され
る。HPは,その分母にユニットが持つ最大値を,分子に現在値を表示している。
 次に,プレイヤーが自軍ユニットにカーソルを合わせて操作ボタンを押すと,自
軍ユニットは自動的にその場動きの影像を開始し,また選択したユニットの移動可
能範囲が背景とは異なる色の半透明な桝目で表現され,かつ移動可能範囲の外側に
は相手方を攻撃することが可能な範囲の桝目が半透明な黄色で影像表現される。
 当該ユニットの移動範囲内に古代ローマの闘技場のごとき外観の闘技場がトップ
ビューで影像表現されている場合に,プレイヤーはカーソルを闘技場の上へ移動さ
せて決定すると,選択された当該自軍ユニットが人間に近い頭身比で西洋中世風の
衣装をつけて武器を持った状態で,ペガサス又はドラゴンに乗っている場合は空中
を飛翔し,馬に乗っている場合は馬を走らせ,乗り物に乗っていない場合は駆け足
で,桝目の上を動く動作によって闘技場の上へ,移動の効果音とともに移動する様
子(画面上で上へ移動するときは後ろ向き,下へ移動するときは前向き,右へ移動
するときは右向き,左へ移動するときは左向き)が,トップビューのアニメーショ
ン手法により影像表現されて当該ユニットが闘技場へ移動する。
 自軍ユニットが移動すると,闘技場をコマンドとして記載している移動後のメニ
ューが表示される。この移動後のメニューにおいて闘技場を選択すると,トップビ
ューのマップ画面から自動的に闘技場の場面に切り替わる。
 コマンドのメニューで闘技場を選択すると,連続したアーチ構造をもつ古代ロー
マの闘技場の建物のサイドビューによる外観と,いかつい顔をした闘技場の「おや
じ」の顔の影像と吹出しが影像表現され,吹出しの枠内には「おやじ」の言葉が文
字で表示される。次に,現在の所持金と賭金が表示され,戦うかどうかの選択を問
う「おやじ」の言葉が吹出し内に文字で表示される。次に,プレイヤーが戦うこと
を選択すると,対戦相手のデータ等がさらに枠内に(トラキアの場合。被控訴人ゲ
ームの場合は,ステータス画面として。)影像表示される。この影像表示により,
対戦相手の能力が,プレイヤーに判明する。続いて,闘技場の「おやじ」の言葉と
して,戦闘を中止したい場合は,操作ボタンを押すことにより戦闘を中断すること
ができることが吹出しの中に文字で表示される。次に,闘技場の外観の場面から真
っ黒な画面に切り替わり,その後にサイドビューで表現されたアーチ状の柱が並ぶ
闘技場内を背景として,サイドビューの表現によるアニメーション切替戦闘の場面
となる。アニメーション切替戦闘では,サイドビューで右側に自軍のユニットが,
左側に対戦相手ユニットが,人間に近い頭身比で,西洋中世風の衣装をつけたもの
として影像表現される。切替戦闘シーンは,一対一での戦闘影像をリアルなアニメ
ーション影像で表現し,画面の下方には,自軍ユニットの名前,武器,攻撃能力等
が右側の青色系の欄内に,対戦相手ユニットの名前,武器,攻撃能力等が左側の赤
色系の欄内に,それぞれ影像表示されている。また,各ユニットのHPは,棒グラ
フ(長方形状のHPの値1に対して1目盛りずつ区切られたもの)と数値で影像表
示され,ダメージを受けた場合には棒グラフが減じる影像表現となっている。
 戦闘は,基本的にどちらかが死亡するか,プレイヤーがキャンセルのためのボタ
ンを操作するまで続けられる。この対戦は,使用した武器に特有のリアルな効果音
(剣を振り下ろす音,弓を引き絞って矢を放つ音等)とともに,武器の軌跡が白く
表現される。
 攻撃を受けたユニットがダメージを受けなかった場合は,ダメージを受けなかっ
た乾いた金属音のような効果音とともに,攻撃を受けたユニットはそのままの影像
で表現され,HPの棒グラフにも変化はない。しかしながら,攻撃を受けたユニッ
トがダメージを受けた場合は,当該ダメージを受けたユニットはそのままのポーズ
でダメージを受けた効果音とともに白く光り,HPを示す棒グラフと数値が減少し
て,ダメージをどれだけ受けたかを表現する。また,攻撃を受けたユニットに攻撃
が当たらなかった場合には,攻撃を避ける動きを影像表現しており,HPの棒グラ
フと数値は変化しない影像表現となっている。対戦相手ユニットのHPを0にする
ことに成功した場合には,対戦相手ユニットの影像が徐々に半透明になって消滅の
効果音とともに消えてゆき,対戦相手ユニットが死亡したことを影像表現する。
 対戦が終了し,自軍ユニットが生き残った場合には,自動的に経験値が付与され
る場面となり,対戦によって獲得した経験値が自動的に加算されて,水銀柱のよう
な横棒グラフが右方向に伸びかつ数値が変化し,当該ユニットが対戦によって経験
値を獲得して成長したことが影像表現される。経験値が加算される時には,「ポポ
ポッ」という効果音とともに横棒グラフが右方向に伸びる。
 対戦が終了すると,自動的に古代ローマの闘技場の外観と闘技場の「おやじ」の
影像に場面が切り替わり,「おやじ」の言葉として獲得した賞金額が吹出しの内に
文字で表現され,獲得賞金が所持金に加算された所持金額を別の横長の枠の中に影
像表示する。
 闘技場の場面が終了すると,トップビューの戦闘マップの場面に自動的に切り替
わり,ユニットの行動が終了し,当該ユニットの影像はマップ上のトップビューで
あらわされた古代ローマ風の闘技場の上の位置で,行動する前と同一の斜め前向き
の所定の待機ポーズに切り替わって変化し,色が暗系色に変化して,吹出し形状の
影像が表示される。
 なお,闘技場に入って,「おやじ」に戦うかどうかの選択を問われて,戦わずに
闘技場を出た場合には,行動を終了したことにはならず,もう一度行動をし直すこ
とができる表現となっており,もう一度闘技場に入ることもできる。
<自軍ユニットの死亡>
 闘技場内の対戦で自軍ユニットが対戦相手の攻撃によりダメージを受け,ダメー
ジを受けた効果音とともに白く光り,次いで自軍ユニットが死亡したことが棒グラ
フで示されていたHPが0まで減ったことによって影像表現されると,自動的に死
にセリフの場面に切り替わる。死亡判断と死にセリフの場面の表現の詳細は前
記(12)で述べたとおりである。死亡した自軍ユニットは,以降は影像表示されな
い。かかる死亡した自軍ユニットは二度と登場しないとの影像表現をとることによ
り,死亡したユニットは生き返らないことを影像表現している。
 自軍ユニットが死亡した場合には,当該自軍ユニットなしでゲームを続行する
か,あるいはリセットしてゲームをし直すかをプレイヤーは選択することができ
る。ゲームを続行する場合は当該死亡ユニットの行動は死にセリフ場面をもって終
了し,トップビューのマップ場面に切り替わったときに,当該ユニットが戦闘を開
始した位置に,当該ユニットはもはや影像表現されない。
<主人公の死亡>
 また,闘技場での対戦中に,主人公が対戦相手ユニットの攻撃を受けることによ
りダメージを受け,ダメージを受けた効果音とともに白く光り,次いで主人公が死
亡したことが,棒グラフで示されていたHPが0まで減ったことによって影像表現
されると,自動的に主人公の死亡によるゲームオーバーの場面に切り替わる。主人
公の死亡によるゲームオーバーの場面の表現の詳細は前記(13)で述べたとおりであ
る。ゲームはここで終了し,プレイヤーはゲームをし直すことになる。
 (17) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(ケ)秘密の店の場面]の表現
 自軍ターンにおけるユニットの行動の表現としては,既述した待機と攻撃の表現
を基本としているが,特殊な条件として設定したアイテムを持った自軍ユニットの
みが入れる秘密の店を影像表現している。秘密の店は,武器屋,道具屋の建物とは
異なった表現としてあって,店だとはわからないような表現をしている。秘密の店
のあるマップでは,特殊な条件として設定したアイテム(トラキアの場合は「メン
バーカード」,被控訴人ゲームの場合は「ギルドのカギ」。)を持った自軍ユニッ
トがいる場合のみに,自軍ターンのときに当該ユニットを移動させて,秘密の店に
入らせて珍しいアイテム等を売買して行動を終了させることができる。
 両ゲームに共通する秘密の店の場面の表現は,以下のとおりである。
 プレイヤーがカギ括弧形状を4つ組み合わせてなるフワフワと物をつかむような
動きをするカーソルを,待機ポーズをしている自軍ユニット(特殊な条件として設
定した上記アイテムを所持している)に合わせると,自動的に当該ユニットに青色
系の吹出し形状の影像が表示され,当該吹出し中には上段に当該ユニットの名前と
下段に当該ユニットのHPが影像表現される。HPは,その分母にユニットが持つ
最大値を,分子に現在値を表示している。
 次に,プレイヤーが自軍ユニットにカーソルを合わせて操作ボタンを押すと,自
軍ユニットは自動的にその場動きの影像を開始し,また選択したユニットの移動可
能範囲が背景とは異なる色の半透明な桝目で表現され,かつ移動可能範囲の外側に
は相手方を攻撃することが可能な範囲の桝目が半透明な黄色で影像表現される。
 当該ユニットの移動範囲内に秘密の店がある場合に,プレイヤーはカーソルを秘
密の店のある地形の上へ移動させてユニットの移動先を指定し,操作ボタンを押し
て移動先を決定すると,選択された当該自軍ユニットが,人間に近い頭身比で西洋
中世風の衣装をつけて武器を持った状態で,桝目の上を動く動作によって秘密の店
の上へ,移動の効果音とともに移動する様子(画面上で上へ移動するときは後ろ向
き,下へ移動するときは前向き,右へ移動するときは右向き,左へ移動するときは
左向き)が,アニメーション手法により影像表現される。当該自軍ユニットがカー
ソルで指定された移動先に到達すると自動的に表示される移動後のメニューには,
この場合のみメニュー上に「秘密店」(トラキアの場合。被控訴人ゲームの場合は
「訪ねる」。)コマンドが表示されるので,このコマンドを選択する。このコマン
ドを選択すると,トップビューのマップ画面から秘密の店の店内の影像となり,秘
密の店の主人の顔と吹出し,所持金と在庫している珍しいアイテムとその価格のリ
スト表が表示され,吹出し内に主人の言葉が文字表示され,「買う」か「売る」か
の選択文字が表示される。「買う」コマンドを選択して,カーソルを操作して,欲
しい珍しいアイテムを選択すると,主人のそれでいいのかどうかを尋ねる言葉が吹
出しの内に文字で表示され,吹出し枠内の「はい」を選択すると,所持金からアイ
テムの代金が差し引かれた残金額が影像表示される。続いて,主人の他に欲しいア
イテムがあるかと尋ねる言葉が吹出し内の文字で表示され,操作ボタンを押してキ
ャンセルすると,主人がさらに他にも用があるかどうかを尋ね,「買う」「売る」
のコマンドを影像表示する。続いて,操作ボタンを押して「ピッ」というコマンド
キャンセル音を伴ってキャンセルすると,秘密の店の主人のまた来て欲しい,との
言葉が吹出し内の文字で表示され,秘密の店の場面が終了する。
 秘密の店の場面が終了すると自動的にトップビューのマップ画面に切り替わり,
当該ユニットは当該自軍ターンでの行動を終え,秘密の店の上の位置で,行動する
前と同一の斜め前向きの所定の待機ポーズに切り替わって変化し,色が暗系色に変
わる。
 なお,秘密の店に入って,売買せずに秘密の店を出ると,行動を終了したことに
ならず,もう一度行動をし直すことができる。
 (18) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(コ)「制圧」コマンドによるマ
ップクリアの場面]の表現
 両ゲームに共通する,「制圧」コマンドによるマップクリアの場面の表現は,以
下のとおりである。
 主人公による「制圧」コマンドの選択がマップクリア条件となっているマップに
おいて,自軍ユニットが敵軍ボスとの戦闘を行って敵軍ボスを死亡させた後に,主
人公をカーソルにより選択し,続いてカーソルを敵軍ボスが居た城内の玉座等の
「制圧」できる所定の場所に合わせて移動先を決定すると,トップビューのマップ
上を主人公が移動する。主人公が,マップ上をトップビューの影像で,上に移動す
る場合は後ろ姿でマントをなびかせる等して,移動の効果音とともに駆け足で移動
する様子が,アニメーション手法で表現されて,移動先へ移動する。主人公が所定
の移動位置に,桝目の上を動く動作によって到達すると,自軍ユニット移動後のメ
ニューが自動的に影像表示される。そして,以上のクリア条件を充足した場合にの
み,移動後のメニューに「制圧」コマンドが表示される。この「制圧」コマンドを
選択すると,当該マップのクリアとなり,当該マップは終了する。
 (19) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(サ)ペガサスに乗る場面]の表

 自軍ターンにおけるユニットの行動の表現としては,既述した待機と攻撃の表現
を基本としているが,自軍ターンである自軍ユニットを行動させるときに,当該自
軍のユニットがペガサスに乗れる兵種のユニット(女性)で,かつ,ペガサスから
降りた状態で当該戦闘マップ上で影像表現されている場合には,プレイヤーは当該
ユニットを行動させる際に,単に待機や攻撃をさせるのではなく,移動させてペガ
サスに乗せることにより,当該ユニットの行動を終了させることができる。
 両ゲームに共通するペガサスに乗る場面の表現は,以下のとおりである。
 戦闘マップ上においてペガサスに乗れるユニットが,ペガサスから降りた状態
で,斜め前向きの所定の待機ポーズをしている場合に,当該ユニットの行動のとき
に,カギ括弧形状を4つ組み合わせてフワフワと物をつかむような動きをするカー
ソルを,待機ポーズをしている当該自軍ユニットに合わせると,自動的に当該ユニ
ットに青色系の吹出し形状の影像が表示され,当該吹出し中に当該ユニットの名前
とHPが影像表現される。当該自軍ユニットを選択して,カーソルを合わせて操作
ボタンを押すと,当該自軍ユニットはその場での駆け出し運動の影像を開始し,ま
た選択したユニットの移動可能範囲が背景とは異なる色の半透明な桝目で表現さ
れ,かつ移動可能範囲の外側には相手方を攻撃することが可能な範囲の桝目が半透
明な黄色で影像表現される。
 続いて,カーソルを移動させてユニットの移動先を指定し,操作ボタンを押して
移動先を決定すると,選択された当該自軍ユニット(女性)が,人間に近い頭身比
の人物影像で,西洋中世風のマントを翻し,剣を持って,桝目の上を動く動作によ
って駆け出して,タッタッタッという移動の効果音とともに移動する様子(画面上
で上へ移動するときは後ろ向き,下へ移動するときは前向き,右へ移動するときは
右向き,左へ移動するときは左向き)が,トップビューのアニメーション手法によ
り影像表現される。
 当該自軍ユニットがカーソルで指定された移動先に到達すると,当該自軍ユニッ
トがコマンド選択可能な移動後のメニューが自動的に影像表示されるが,ペガサス
に乗れるユニットが,ペガサスから降りた状態で移動した場合には,「のる」コマ
ンドが含まれた移動後のメニューが自動的に影像表示される。影像表示された移動
後のメニューに記載されている「のる」コマンドを選択すると,当該自軍ユニット
の影像は移動先のその場で,ペガサスに乗れる女性騎士がペガサスに乗った影像に
切り替わり,ペガサスが移動先の空中で翼を羽ばたかせている状態がトップビュー
のアニメーション手法によって影像表現される。地上には,空中で羽ばたくペガサ
スの黒い影が表現されている。
 この状態で,移動後のメニューの「待機」コマンドを選択すると,当該自軍ペガ
サスユニットは,ペガサスに乗った状態で移動先の位置に着陸して行動を終了し,
ペガサスユニットのペガサスに乗ったときの待機ポーズであるところの,ペガサス
が翼をたたんで斜め前を向いた待機ポーズに影像が切り替わって変化し,当該ユニ
ットの行動が終了したことを示すためにペガサスに乗ったペガサスユニット全体の
色が暗系色に変化して,吹出し形状の影像が表示される。
 なお,戦闘マップでペガサスが飛翔できない屋内や祭壇等の場合には,ペガサス
から降りた状態のペガサスユニットが移動して移動後のメニューが影像表示されて
も,「のる」コマンドは影像表示されず,ペガサスに乗ることができない影像表現
となっている。
 (20) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(シ)ペガサスから降りる場面]
の表現
自軍ターンにおけるユニットの行動の表現としては,既述した待機と攻撃の表現
を基本としているが,自軍ターンで自軍のペガサスユニットを行動させるときに,
プレイヤーは単に待機や攻撃をさせるのではなく,移動させてペガサスから降ろす
ことにより,当該ユニットの行動を終了させることができる。
 両ゲームに共通するペガサスから降りる場面の表現は,以下のとおりである。
 戦闘マップ上において,カギ括弧形状を4つ組み合わせて,フワフワと物をつか
むような動きをするカーソルを,翼をたたんで斜め前を向いているペガサスに女性
騎士が騎乗している影像で表現される待機ポーズをとっているペガサスユニットに
合わせると,自動的に当該ユニットに青色系の吹出し形状の影像が表示され,当該
吹出し中に当該ユニットの名前とHPが影像表現される。当該自軍ユニットを選択
して,カーソルを合わせて操作ボタンを押すと,当該ペガサスユニットはその場で
ペガサスが空中で大きな羽を羽ばたかせて飛翔する動きの影像を開始し,また選択
したユニットの移動可能範囲が背景とは異なる色の半透明な桝目で表現され,かつ
移動可能範囲の外側には相手方を攻撃することが可能な範囲の桝目が半透明な黄色
で影像表現される。
 続いて,カーソルを移動させてペガサスユニットの移動先を指定し操作ボタンを
押して移動先を決定すると,選択されたペガサスユニット(女性騎士)が翼を大き
く羽ばたかせて空中を飛翔するペガサスに騎乗して,移動先に桝目の上を動く動作
によって,バサバサと風を切る効果音とともに飛んでゆく様子(画面上で上へ移動
するときは後ろ向き,下へ移動するときは前向き,右へ移動するときは右向き,左
へ移動するときは左向き)が,アニメーション手法によりトップビューの影像で表
現される。
 当該ペガサスユニットがカーソルで指定された移動先に到達すると,選択可能な
移動後のメニューが自動的に影像表示されるが,ペガサスユニットがペガサスに騎
乗した状態で移動した場合には,「おりる」コマンドが含まれた移動後のメニュー
が自動的に影像表示される。
 影像表示された移動後のメニューに記載されている「おりる」コマンドを選択す
ると,ペガサスユニットの影像は移動先のその場でペガサスから降りた単なる西洋
中世風の衣装をつけて剣を持った女性騎士の人物影像に切り替わり,女性騎士がそ
の場での駆け出し運動をしている状態がアニメーション手法によって影像表現され
る。
 この状態で,移動後のメニューの「待機」コマンドを選択すると,当該自軍ユニ
ットはペガサスから降りた状態で行動を終了し,当該ユニットのペガサスから降り
たときの斜め前向きの待機ポーズに影像が切り替わって変化し,当該ユニットの行
動が終了したことを示すためにユニットの全身の色が暗系色に変化して,吹出し形
状の影像が表示される。
 (21) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(ス)ドラゴンに乗る場面]の表

 自軍ターンにおけるユニットの行動の表現としては,既述した待機と攻撃の表現
を基本としているが,自軍ターンである自軍ユニットを行動させるときに,当該自
軍のユニットがドラゴンに乗れる兵種のユニットで,かつドラゴンから降りた状態
で当該戦闘マップ上で影像表現されている場合には,プレイヤーは当該ユニットを
行動させる際に,単に待機や攻撃をさせるのではなく,移動させてドラゴンに乗せ
ることにより,当該ユニットの行動を終了させることができる。
 両ゲームに共通するドラゴンに乗る場面の表現は,以下のとおりである。
 戦闘マップ上においてドラゴンに乗れるユニットがドラゴンから降りた状態で斜
め前向きの所定の待機ポーズをしている場合に,当該ユニットの行動のときに,カ
ギ括弧形状を4つ組み合わせてフワフワと物をつかむような動きをするカーソル
を,待機ポーズをしている当該自軍ユニットに合わせると,自動的に当該ユニット
に青色系の吹出し形状の影像が表示され,当該吹出し中に当該ユニットの名前とH
Pが影像表現される。当該自軍ユニットを選択して,カーソルを合わせて操作ボタ
ンを押すと,当該自軍ユニットはその場での駆け出し運動の影像を開始し,また選
択したユニットが移動することが可能な範囲を背景とは異なる色の半透明な桝目で
表現しかつ移動可能範囲の外側には相手方を攻撃することが可能な範囲の桝目を半
透明な黄色で影像表現する。
 続いて,カーソルを移動させてユニットの移動先を指定し,操作ボタンを押して
移動先を決定すると,選択された当該自軍ユニットが,人間に近い頭身比の人物影
像で,西洋中世風の衣装をつけ,剣を持って,桝目の上を動く動作によって駆け出
し,タッタッタッという移動の効果音とともに移動する様子(画面上で上へ移動す
るときは後ろ向き,下へ移動するときは前向き,右へ移動するときは右向き,左へ
移動するときは左向き)が,トップビューのアニメーション手法により影像表現さ
れる。
 当該自軍ユニットがカーソルで指定された移動先に到達すると,当該自軍ユニッ
トがコマンド選択可能な移動後のメニューが自動的に影像表示されるが,ドラゴン
に乗れるユニットがドラゴンから降りた状態で移動した場合には,「のる」コマン
ドが含まれた移動後のメニューが自動的に影像表示される。影像表示された移動後
のメニューに記載されている「のる」コマンドを選択すると,当該自軍ユニットの
影像は移動先のその場で,ドラゴンに乗れる兵種のユニットがドラゴンに乗った影
像に切り替わり,ドラゴンが移動先の空中で翼を羽ばたかせている状態がトップビ
ューのアニメーション手法によって影像表現される。地上には,空中で羽ばたくド
ラゴンの黒い影が表現されている。
 この状態で,移動後のメニューの「待機」コマンドを選択すると,当該自軍ドラ
ゴンユニットはドラゴンに乗った状態で移動先の位置に着陸して行動を終了し,ド
ラゴンユニットのドラゴンに乗ったときの待機ポーズであるところの,ドラゴンが
翼をたたんで斜め前を向いた待機ポーズに影像が切り替わって変化し,当該ユニッ
トの行動が終了したことを示すためにドラゴンに乗ったドラゴンユニット全体の色
が暗系色に変化して,吹出し形状の影像が表示される。
 なお,戦闘マップでドラゴンが飛翔できない屋内や祭壇等の場合には,ドラゴン
から降りた状態のドラゴンユニットが移動して移動後のメニューが影像表示されて
も,「のる」コマンドは影像表示されず,ドラゴンに乗ることができない影像表現
となっている。
 (22) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(セ)ドラゴンから降りる場面]
の表現
 自軍ターンにおけるユニットの行動の表現としては,既述した待機と攻撃の表現
を基本としているが,自軍ターンで自軍のドラゴンユニットを行動させるときに,
プレイヤーは単に待機や攻撃をさせるのではなく,移動させてドラゴンから降ろす
ことにより,当該ユニットの行動を終了させることができる。
 両ゲームに共通するドラゴンから降りる場面の表現は,以下のとおりである。
 戦闘マップ上において,カギ括弧形状を4つ組み合わせて,フワフワと物をつか
むような動きをするカーソルを,ドラゴンが翼をたたんで斜め前を向いている影像
で表現される待機ポーズをとっているドラゴンユニットに合わせると,自動的に当
該ユニットに青色系の吹出し形状の影像が表示され,当該吹出し中に当該ユニット
の名前とHPが影像表現される。当該自軍ユニットを選択して,カーソルを合わせ
て操作ボタンを押すと,当該ドラゴンユニットはその場でドラゴンが空中で大きな
羽を羽ばたかせて飛翔する動きの影像を開始し,また選択したユニットの移動可能
範囲が背景とは異なる色の半透明な桝目で表現され,かつ移動可能範囲の外側には
相手方を攻撃することが可能な範囲の桝目が半透明な黄色で影像表現される。
 続いて,カーソルを移動させてドラゴンユニットの移動先を指定し,操作ボタン
を押して移動先を決定すると,選択されたドラゴンユニットが翼を大きく羽ばたか
せて空中を飛翔するドラゴンに騎乗して,桝目の上を動く動作によって,バサバサ
と風を切る効果音とともに移動先に飛んでゆく様子(画面上で上へ移動するときは
後ろ向き,下へ移動するときは前向き,右へ移動するときは右向き,左へ移動する
ときは左向き)が,アニメーション手法によりトップビューの影像で表現される。
 当該ドラゴンユニットがカーソルで指定された移動先に到達すると,当該ドラゴ
ンユニットがコマンド選択可能な移動後のメニューが自動的に影像表示されるが,
ドラゴンユニットがドラゴンに騎乗した状態で移動した場合には,「おりる」コマ
ンドが含まれた移動後のメニューが自動的に影像表示される。
 影像表示された移動後のメニューに記載されている「おりる」コマンドを選択す
ると,ドラゴンユニットの影像は移動先のその場でドラゴンから降りた単なる西洋
中世風の衣装をつけて剣を持った人物影像に切り替わり,当該ユニットがその場で
の駆け出し運動をしている状態がアニメーション手法によって影像表現される。
 この状態で,移動後のメニューの「待機」コマンドを選択すると,当該自軍ユニ
ットはドラゴンから降りた状態で行動を終了し,当該ユニットのドラゴンから降り
たときの斜め前向きの待機ポーズに影像が切り替わって変化し,当該ユニットの行
動が終了したことを示すためにユニットの全身の色が暗系色に変化して,吹出し形
状の影像が表示される。
 (23) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(ソ)馬に乗る場面]の表現
 自軍ターンにおけるユニットの行動の表現としては,既述した待機と攻撃の表
現を基本としているが,自軍ターンである自軍ユニットを行動させるときに,当該
自軍のユニットが馬に乗れる兵種のユニットで,かつ馬から降りた状態で当該戦闘
マップ上で影像表現されている場合には,プレイヤーは当該ユニットを行動させる
際に,単に待機や攻撃をさせるのではなく,移動させて馬に乗せることにより,当
該ユニットの行動を終了させることができる。
 両ゲームに共通する馬に乗る場面の表現は,以下のとおりである。
 戦闘マップ上において馬に乗れるユニットが馬から降りた状態で斜め前向きの所
定の待機ポーズをしている場合に,当該ユニットの行動のときに,カギ括弧形状を
4つ組み合わせてフワフワと物をつかむような動きをするカーソルを,待機ポーズ
をしている当該自軍ユニットに合わせると,自動的に当該ユニットに青色系の吹出
し形状の影像が表示され,当該吹出し中に当該ユニットの名前とHPが影像表現さ
れる。当該自軍ユニットを選択して,カーソルを合わせて操作ボタンを押すと,当
該自軍ユニットはその場での駆け出し運動の影像を開始し,また選択したユニット
の移動可能範囲が背景とは異なる色の半透明な桝目で表現され,かつ移動可能範囲
の外側には相手方を攻撃することが可能な範囲の桝目が半透明な黄色で影像表現さ
れる。
 続いて,カーソルを移動させてユニットの移動先を指定し,操作ボタンを押して
移動先を決定すると,選択された当該自軍ユニットが人間に近い頭身比の人物影像
で,西洋中世風の衣装をつけ,剣を持って桝目の上を動く動作によって駆け出し,
タッタッタッという移動の効果音とともに移動する様子(画面上で上へ移動すると
きは後ろ向き,下へ移動するときは前向き,右へ移動するときは右向き,左へ移動
するときは左向き)が,トップビューのアニメーション手法により影像表現され
る。
 当該自軍ユニットがカーソルで指定された移動先に到達すると,当該自軍ユニッ
トがコマンド選択可能な移動後のメニューが自動的に影像表示されるが,馬に乗れ
るユニットが馬から降りた状態で移動した場合には,「のる」コマンドが含まれた
移動後のメニューが自動的に影像表示される。影像表示された移動後のメニューに
記載されている「のる」コマンドを選択すると,当該自軍ユニットの影像は移動先
のその場で,馬に乗れる兵種のユニットが馬に乗った馬ユニットの影像に切り替わ
り,馬に乗って移動先でギャロップをしている状態がトップビューのアニメーショ
ン手法によって影像表現される。
 この状態で,移動後のメニューの「待機」コマンドを選択すると,当該自軍馬ユ
ニットは馬に乗った状態で行動を終了し,馬に騎乗して斜め前を向いた待機ポーズ
に影像が切り替わって変化し,当該ユニットの行動が終了したことを示すために馬
に乗った馬ユニット全体の色が暗系色に変化して,吹出し形状の影像が表示され
る。
 なお,戦闘マップで屋内や祭壇等の場合には,馬から降りた状態の馬ユニットが
移動して移動後のメニューが影像表示されても,「のる」コマンドは影像表示され
ず,馬に乗ることができない影像表現となっている。
 (24) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(タ)馬から降りる場面]の表現
 自軍ターンにおけるユニットの行動の表現としては,既述した待機と攻撃の表現
を基本としているが,自軍ターンで自軍の馬ユニットを行動させるときに,プレイ
ヤーは単に待機や攻撃をさせるのではなく,移動させて馬から降りさせることによ
り,当該ユニットの行動を終了させることができる。
 両ゲームに共通する馬から降りる場面の表現は,以下のとおりである。
 戦闘マップ上において,カギ括弧形状を4つ組み合わせて,フワフワと物をつか
むような動きをするカーソルを,馬に騎乗して斜め前を向いた待機ポーズをとって
いる馬ユニットに合わせると,自動的に当該ユニットに青色系の吹出し形状の影像
が表示され,当該吹出し中に当該ユニットの名前とHPが影像表現される。当該自
軍ユニットを選択して,カーソルを合わせて操作ボタンを押すと,当該馬ユニット
はその場でギャロップをしている動きの影像を開始し,また選択したユニットの移
動可能範囲が背景とは異なる色の半透明な桝目で表現され,かつ移動可能範囲の外
側には相手方を攻撃することが可能な範囲の桝目が半透明な黄色で影像表現され
る。
 続いて,カーソルを移動させて馬ユニットの移動先を指定し,操作ボタンを押し
て移動先を決定すると,選択された馬ユニットが,馬に乗って移動先へ桝目の上を
動く動作によって馬を走らせ,地を蹴る移動の効果音とともに移動する様子(画面
上で上へ移動するときは後ろ向き,下へ移動するときは前向き,右へ移動するとき
は右向き,左へ移動するときは左向き)が,アニメーション手法によりトップビュ
ーの影像で表現される。
 当該馬ユニットがカーソルで指定された移動先に到達すると,当該馬ユニットが
コマンド選択可能な移動後のメニューが自動的に影像表示されるが,馬ユニットが
馬に騎乗した状態で移動した場合には,「おりる」のコマンドが含まれた移動後の
メニューが自動的に影像表示される。
 影像表示された移動後のメニューに記載されている「おりる」コマンドを選択す
ると,馬ユニットの影像は移動先のその場で馬から降りた単なる西洋中世風の衣装
をつけて剣を持った人物影像に切り替わり,当該ユニットがその場での駆け出し運
動をしている状態がアニメーション手法によって影像表現される。
 この状態で,移動後のメニューの「待機」コマンドを選択すると,当該自軍ユニ
ットは馬から降りた状態で行動を終了し,当該ユニットの馬から降りたときの斜め
前向きの待機ポーズに影像が切り替わって変化し,当該ユニットの行動が終了した
ことを示すためにユニットの全身の色が暗系色に変化して,吹出し形状の影像が表
示される。
 (25) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(チ)ユニット間の会話で寝返る
場面]の表現
 自軍ターンにおけるユニットの行動の表現としては,既述した待機と攻撃の表現
を基本としているが,自軍ターンにおいて,ある自軍ユニットを行動させるとき
に,マップ画面上に話して仲間にできる(寝返る)敵軍ユニットが影像表現されて
いる場合には,プレイヤーは,自軍ユニットを単に待機又は攻撃させるのではな
く,当該敵軍ユニットと話をさせて,当該敵軍ユニットを自軍に寝返らせることに
より,当該自軍ユニットの行動を終了させることができる。敵軍ユニットによって
は,特定の自軍ユニットが話しかけないと寝返らないが,その場合は当該特定自軍
ユニット以外には「話す」コマンドが表示されない。
 両ゲームに共通する,自軍ユニットを敵軍ユニットに話しをさせて,敵軍ユニッ
トを寝返らせる場合の影像表現は,以下のとおりである。
 戦闘マップ上に敵軍ユニットであってかつ話して仲間にできる(寝返る)ユニッ
トが影像表現されており,自軍のユニットが斜め前向きの所定の待機ポーズをして
いるとき,当該ユニットを行動させるために,カギ括弧形状を4つ組み合わせてフ
ワフワと物をつかむような動きをするカーソルを待機ポーズをしている当該ユニッ
トに合わせると,自動的に当該ユニットに青色系の吹出し形状の影像が表示され,
当該吹出し中に当該ユニットの名前とHPが影像表現される。
 当該ユニットを選択して,カーソルを合わせて操作ボタンを押すと,当該ユニッ
トはその場動きの運動の影像を開始し,また選択したユニットの移動可能範囲が背
景とは異なる色の半透明な桝目で表現され,かつ移動可能範囲の外側には相手方を
攻撃することが可能な範囲の桝目が半透明な黄色で影像表現される。
 続いて,カーソルを移動させてユニットの移動先を当該ユニットの移動範囲内で
あって,さらに敵軍ユニット(カーソルを合わせたときの吹出しは赤色系)であっ
てかつ話して仲間にできる(寝返る)ユニットの隣りに指定し,操作ボタンを押し
て移動先を決定する。すると,選択された当該自軍ユニットが,人間に近い頭身比
で西洋中世風の衣装をつけて武器を持った状態で,桝目の上を動く動作によって,
移動の効果音とともに移動する様子(画面上で上へ移動するときは後ろ向き,下へ
移動するときは前向き,右へ移動するときは右向き,左へ移動するときは左向き)
が,トップビューのアニメーション手法により影像表現され,話して仲間にできる
(寝返る)敵軍ユニットの隣りへ移動する。
 当該自軍ユニットがカーソルで指定された移動先に到達すると,当該自軍ユニッ
トが選択可能な移動後のメニューが自動的に影像表示されるが,当該自軍ユニット
が敵軍ユニットであってかつ話して仲間にできる(寝返る)ユニットの隣りに移動
した場合には,「話す」コマンドが含まれた移動後のメニューが自動的に影像表示
される。影像表示された移動後のメニューに記載されている「話す」コマンドを選
択して操作ボタンを押すと,話す相手をカーソルで選択する場面となり,カーソル
を合わせた隣接している相手方の名前,HP等がメニューに表示される。プレイヤ
ーがボタンを押して話しをする相手方を選択すると,トップビューのマップ場面か
ら会話場面に切り替わり,会話をする人物2人のバストアップの影像が,画面の左
右に表現される。両者の会話用の吹出しが,横に長い長方形状の吹出しとして表現
され,吹出し内に会話内容が文字で表示される(この会話場面は,スタートボタン
を押すことによりキャンセルして,次の場面へ直ちに飛ぶことが可能である。)。
 会話場面が終了すると,トップビューの元のマップ画面に画面が切り替わる。両
者のマップ上の位置関係は,「話す」コマンドを選択したときと同位置である。寝
返って仲間になった自軍ユニットにカーソルを合わせたときに表示される吹出し
は,以降は,青色系の自軍の色に変化する。つまり,当該青色系の吹出しの中に当
該ユニットの名前とHPが影像表現されることによって,寝返って仲間になったこ
とが表示される。行動を終了した当該自軍ユニットの影像は,トップビューのマッ
プ上で,行動が終了したことを示すために,行動する前と同一の斜め前向きの所定
の待機ポーズに影像が切り替わって変化し,全身の色が暗系色に変化して,吹出し
形状の影像が表示される。
 (26) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(ツ)ユニット間の会話で仲間に
なる場面]の表現
 自軍ターンにおけるユニットの行動の表現としては,既述した待機と攻撃の表現
を基本としているが,自軍ターンで,ある自軍ユニットを行動させるときに,マッ
プ画面上に話して仲間にできるユニット(自軍でもなく,敵軍でもない中立のユニ
ット)が影像表現されている場合には,プレイヤーは,自軍ユニットを単に待機又
は攻撃させるのではなく,当該ユニットと話をさせて仲間にすることにより,当該
自軍ユニットの行動を終了させることができる。相手方のユニットによっては,特
定の自軍ユニットが話しかけないと仲間にならないが,その場合は当該特定自軍ユ
ニット以外には「話す」コマンドが表示されない。
 両ゲームに共通する,自軍ユニットに会話をさせて,相手方ユニットを仲間にす
る場合の影像表現は,以下のとおりである。
 話して仲間にできる中立のユニット(カーソルを合わせたときの吹出しは自軍の
青色系でもなく,敵軍の赤色系でもなく,緑色である)が影像表現されている戦闘
マップ上において,自軍のユニットが斜め前向きの所定の待機ポーズをしている場
合に,当該自軍ユニットを行動させるときに,カギ括弧形状を4つ組み合わせてフ
ワフワと物をつかむような動きをするカーソルを待機ポーズをしている当該自軍ユ
ニットに合わせると,自動的に当該自軍ユニットに青色系の吹出し形状の影像が表
示され,当該吹出し中に当該自軍ユニットの名前とHPが影像表現される。
 当該自軍ユニットを選択して,カーソルを合わせて操作ボタンを押すと,当該自
軍ユニットはその場動きの運動の影像を開始し,また選択したユニットの移動可能
範囲が背景とは異なる色の半透明な桝目で表現され,かつ移動可能範囲の外側には
相手方を攻撃することが可能な範囲の桝目が半透明な黄色で影像表現される。
 続いて,カーソルを移動させてユニットの移動先を当該自軍ユニットの移動範囲
内であって,さらに話して仲間にできるユニットの隣りに指定し,操作ボタンを押
して移動先を決定する。すると,選択された当該自軍ユニットが,人間に近い頭身
比で西洋中世風の衣装をつけて武器を持った状態で,桝目の上を動く動作によっ
て,移動の効果音とともに移動する様子(画面上で上へ移動するときは後ろ向き,
下へ移動するときは前向き,右へ移動するときは右向き,左へ移動するときは左向
き)が,トップビューのアニメーション手法により影像表現され,話して仲間にで
きるユニットの隣りへ移動する。
 当該自軍ユニットがカーソルで指定された移動先に到達すると,当該自軍ユニッ
トがコマンド選択可能な移動後のメニューが自動的に影像表示されるが,自軍ユニ
ットが話して仲間にできるユニットの隣りに移動した場合には,「話す」コマンド
が含まれた移動後のメニューが自動的に影像表示される。影像表示された移動後の
メニューに記載されている「話す」コマンドを選択して操作ボタンを押すと,話す
相手をカーソルで選択する場面となり,カーソルを合わせた隣接している相手方の
名前,HP等がメニューに表示される。プレイヤーがボタンを押して話をする相手
方を選択すると,トップビューのマップ場面から会話場面に切り替わり,会話をす
る人物2人のバストアップの影像が,画面の左右に表現される。両者の会話用の吹
出しが,横に長い長方形状の吹出しとして表現され,吹出し内に会話内容が文字で
表示される(この会話場面は,スタートボタンを押すことによりキャンセルして,
次の場面へ直ちに飛ぶことが可能である。)。
 会話場面が終了すると,次の場面であるトップビューの元のマップ画面に切り替
わる。両者のマップ上の位置関係は,「話す」コマンドを選択したときと同位置で
ある。仲間になった自軍ユニットにカーソルを合わせたときに表示される吹出し
は,以降は青色系の自軍の色に変化する。つまり,当該青色系の吹出しの中に当該
ユニットの名前とHPが影像表現されることにより,仲間になったことが表示され
る。行動を終了した当該自軍ユニットの影像は,トップビューのマップ上で,行動
が終了したことを示すために,行動する前と同一の斜め前向きの所定の待機ポーズ
に影像が切り替わって変化し,全身の色が暗系色に変化して,吹出し形状の影像が
表示される。
 (27) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(テ)武器屋の場面]の表現
 自軍ターンにおけるユニットの行動の表現としては,既述した待機と攻撃の表現
を基本としているが,武器屋が影像表現されているマップでは,プレイヤーは自軍
ターンのときに当該ユニットを武器屋に移動させて,武器屋に入らせて武器等を売
買して行動を終了させることができる。
 両ゲームに共通する武器屋の場面の表現は,以下のとおりである。
 プレイヤーがカギ括弧形状を4つ組み合わせてなるフワフワと物をつかむような
動きをするカーソルを,待機ポーズをしている自軍ユニットに合わせると,自動的
に当該ユニットに青色系の吹出し形状の影像が表示され,当該吹出し中には上段に
当該ユニットの名前と下段に当該ユニットのHPが影像表現される。HPは,その
分母にユニットが持つ最大値を,分子に現在値を表示している。
 次に,プレイヤーが自軍ユニットにカーソルを合わせて操作ボタンを押すと,自
軍ユニットは自動的にその場動きの影像を開始し,また選択したユニットの移動可
能範囲が背景とは異なる色の半透明な桝目で表現され,かつ移動可能範囲の外側に
は相手方を攻撃することが可能な範囲の桝目が半透明な黄色で影像表現される。
 当該ユニットの移動範囲内にトップビューで民家とは異なった四角く中央がへこ
み,周りが少し高い壁となっており,壁は西洋中世の城のように四角いでこぼこが
並んだ屋根をもった四角い建物として影像表現されている武器屋がある場合に,プ
レイヤーはカーソルを武器屋の上へ移動させてユニットの移動先を指定し,操作ボ
タンを押して移動先を決定する。すると,選択された当該自軍ユニットが,人間に
近い頭身比で西洋中世風の衣装をつけて武器を持った状態で,ペガサス又はドラゴ
ンに乗っている場合は空中を飛翔し,馬に乗っている場合は馬を走らせ,乗り物に
乗っていない場合は駆け足で,桝目の上を動く動作によって武器屋の上へ,移動の
効果音とともに移動する様子(画面上で上へ移動するときは後ろ向き,下へ移動す
るときは前向き,右へ移動するときは右向き,左へ移動するときは左向き)が,ト
ップビューのアニメーション手法により影像表現され,当該ユニットが移動先であ
る武器屋へ移動する。 当該自軍ユニットがカーソルで指定された移動先に到達す
ると自動的に表示される移動後のメニューには,この場合のみメニュー上に武器屋
のコマンドが表示されるので,このコマンドを選択する。このコマンドを選択する
と,トップビューのマップ画面から自動的に武器屋の店内の影像に切り替わり,武
器屋の主人の顔と吹出し,所持金と在庫している武器とその価格のリスト表が表示
され,吹出し内に主人の言葉が文字表示され,「買う」か「売る」かの選択文字が
表示される。「買う」コマンドを選択して,カーソルを操作して,欲しい武器を選
択すると,主人のそれでいいのかどうかを尋ねる言葉が吹出しの内に文字で表示さ
れ,吹出し枠内の「はい」を選択すると,所持金から武器の代金が差し引かれた残
金額が影像表示される。続いて,主人の他に欲しい武器があるかと尋ねる言葉が吹
出し内の文字で表示され,操作ボタンを押してキャンセルすると,主人がさらに他
にも用があるかどうかを尋ね,「買う」「売る」のコマンドを影像表示する。続い
て,操作ボタンを押して「ピッ」というキャンセル音とともにキャンセルすると,
武器屋の主人のありがとうまた来てくれとの言葉が吹出し内の文字で表示され,武
器屋の場面が終了する。
 武器屋の場面が終了すると自動的にトップビューのマップ画面に切り替わり,当
該ユニットは当該自軍ターンでの行動を終え,武器屋の上の位置で,行動する前と
同一の斜め前向きの所定の待機ポーズに切り替わって変化し,全身の色が暗系色に
変わる。
 なお,武器屋に入って,売買をせずに武器屋を出ると,行動を終了したことには
ならず,もう一度行動をし直すことができる表現となっている。
 (28) トラキアの「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置
及び順序構成において表現される[エ:その他の表現例]の中の「(ト)道具屋の場
面」の表現
 自軍ターンにおけるユニットの行動の表現としては,既述した待機と攻撃の表現
を基本としているが,道具屋が影像表現されているマップでは,プレイヤーは自軍
ターンのときに当該ユニットを道具屋に移動させて,道具屋に入らせて道具等を売
買して行動を終了させることができる。
 両ゲームに共通する道具屋の場面の表現は,以下のとおりである。
 プレイヤーがカギ括弧形状を4つ組み合わせてなるフワフワと物をつかむような
動きをするカーソルを,待機ポーズをしている自軍ユニットに合わせると,自動的
に当該ユニットに青色系の吹出し形状の影像が表示され,当該吹出し中には上段に
当該ユニットの名前と下段に当該ユニットのHPが影像表現され,HPは,その分
母にユニットが持つ最大値を,分子に現在値を表示している。
 次に,プレイヤーが自軍ユニットにカーソルを合わせて操作ボタンを押すと,自
軍ユニットは自動的にその場動きの影像を開始し,また選択したユニットの移動可
能範囲が背景とは異なる色の半透明な桝目で表現され,かつ移動可能範囲の外側に
は相手方を攻撃することが可能な範囲の桝目が半透明な黄色で影像表現される。
 当該ユニットの移動範囲内に民家とは異なった白い四角の枠がはまった屋根の建
物としてトップビューで影像表現されている道具屋がある場合に,プレイヤーはカ
ーソルを道具屋の上へ移動させてユニットの移動先を指定し,操作ボタンを押して
移動先を決定する。すると,選択された当該自軍ユニットが,人間に近い頭身比で
西洋中世風の衣装をつけて武器を持った状態で,ペガサス又はドラゴンに乗ってい
る場合は空中を飛翔し,馬に乗っている場合は馬を走らせ,乗り物に乗っていない
場合は駆け足で,桝目の上を動く動作によって道具屋の上へ,移動の効果音ととも
に移動する様子(画面上で上へ移動するときは後ろ向き,下へ移動するときは前向
き,右へ移動するときは右向き,左へ移動するときは左向き)が,トップビューの
アニメーション手法により影像表現されて,当該ユニットが移動先である道具屋へ
移動する。
 当該自軍ユニットがカーソルで指定された移動先に到達すると自動的に表示され
る移動後のメニューには,この場合のみメニュー上に道具屋のコマンドが表示され
るので,このコマンドを選択する。このコマンドを選択すると,トップビューのマ
ップ画面から自動的に道具屋の店内の影像に切り替わり,道具屋の主人の顔と吹出
し,所持金と在庫している道具等とその価格のリスト表が表示され,吹出し内に主
人の言葉が文字表示され,「買う」か「売る」かの選択文字が表示される。「買
う」コマンドを選択して,カーソルを操作して,欲しい道具等を選択すると,主人
がそれでいいのかどうかを尋ねる言葉が吹出しの内に文字で表示され,吹出し枠内
の「はい」を選択すると,所持金から道具等の代金が差し引かれた残金額が影像表
示される。続いて,主人が他に欲しい道具等があるかと尋ねる言葉が吹出し内の文
字で表示され,操作ボタンを押してキャンセルすると,さらに他にも用があるかど
うか尋ね,「買う」「売る」のコマンドを影像表示する。続いて,操作ボタンを押
して「ピッ」というキャンセル音とともにキャンセルすると,道具屋の主人のまた
来てくれとの言葉が吹出し内の文字で表示され,道具屋の場面が終了する。
 道具屋の場面が終了すると自動的にトップビューのマップ画面に切り替わり,当
該ユニットは当該自軍ターンでの行動を終え,道具屋の上の位置で,行動する前と
同一の斜め前向きの所定の待機ポーズに切り替わって変化し,全身の色が暗系色に
変わる。
 なお,道具屋に入って,売買をせずに道具屋を出ると,行動を終了したことには
ならず,もう一度行動をし直すことができる表現となっている。
 (29) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(ナ)縮小マップの場面]の表現
 両ゲームに共通する縮小マップの表現は,以下のとおりである。
 トップビューの戦闘マップ上において,戦闘マップの一面が画面サイズより大き
く,一画面だけでは戦闘マップの状況を把握できないときに,戦闘マップの一面全
体の地形や自軍及び敵軍のユニットの配置を確認するために,プレイヤーが操作ボ
タンを押すと,マップ画面上に縮小マップが重なって表示される。
 縮小マップ上に表示されるカーソルは,画面上で背景として表現されている戦闘
マップが,縮小マップ上において占めている位置関係を表現している。このカーソ
ルを上下左右に移動させると,縮小マップの背景として表現されている画面上の戦
闘マップが,カーソルの動きに合わせて画面上でスクロールして表現される。プレ
イヤーが操作ボタンを押すと,縮小マップの影像表現は一瞬にして消滅し,元のト
ップビューの戦闘マップ影像が表現される。
 (30) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(ニ)ユニット一覧の場面]の表

 両ゲームに共通するユニット一覧の表現は,以下のとおりである。
 トップビューの戦闘マップ上において,プレイヤーが当該自軍ターンにおいて行
動させる自軍ユニットの経験値,HP,装備武器等を確認する場合に,トップビュ
ーの戦闘マップ上において,カーソルの位置にユニットが存在していない状態で,
プレイヤーが操作ボタンを押すと,戦闘マップ画面上にメインメニューが,メイン
メニュー表示音とともに表示される。次いで,メインメニューの最上段に記載され
ている「部隊」(トラキアの場合。被控訴人ゲームの場合は「ユニット」。)コマ
ンドを選択すると,ユニット一覧が表示される。
 ユニット一覧には左端に縦列に当該戦闘マップに登場している自軍ユニット名が
記載されており,当該ユニットの横には順にクラス(兵種),LV,経験値,HP
(最大値と現在値)等が表示されている。
 ユニット一覧は,ユニット名は固定して表示したままで,操作ボタンを押す操作
によって画面上の横方向の項目を順次切り換えて表現するものとなっており,横方
向の最後の項目はスキル(ユニットの持つ特殊な能力)をアイコンで表現してい
る。
 また,方向キーの上下でユニットを選択して,操作ボタンを押すと,一瞬にして
ユニット一覧表は消え,戦闘マップ画面に切り替わり,場合によっては,戦闘マッ
プがスクロールすることにより,ユニット一覧表で選択されたユニットにカーソル
が合わされ,吹出しが影像表示される。
 (31) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(ヌ)杖を使って相手をワープさ
せる場面]の表現
 自軍ターンにおけるユニットの行動の表現としては,既述した待機と攻撃の表現
を基本としているが,自軍ターンで,ある自軍ユニットを行動させるときに,当該
自軍のユニットが杖を使える杖ユニットであり,「ワープの杖」(トラキアの場
合。被控訴人ゲームでは「てんそうの杖」。以下同様。)を所持している場合に
は,プレイヤーは当該ユニットを行動させるときに,単に待機や攻撃をさせるので
はなく,移動させて「ワープの杖」を使わせることにより,当該ユニットの行動を
終了させることができる。
 両ゲームに共通する自軍ユニットに「ワープの杖」を使わせる場面の表現は,以
下のとおりである。
 戦闘マップ上において杖を使えるユニット(「ワープの杖」を所持)が斜め前向
きの所定の待機ポーズをしている場合に,当該ユニットを行動させるときに,カギ
括弧形状を4つ組み合わせてフワフワと物をつかむような動きをするカーソルを,
待機ポーズをしている当該杖ユニットに合わせると,自動的に当該杖ユニットに青
色系の吹出し形状の影像が表示され,当該吹出し中に当該杖ユニットの名前とHP
が影像表現される。
 当該杖ユニットを選択して,カーソルを合わせて操作ボタンを押すと,当該杖ユ
ニットはその場での駆け出し運動の影像を開始し,また選択した杖ユニットの移動
可能範囲が背景とは異なる色の半透明な桝目で表現され,かつ移動可能範囲の外側
には相手方を攻撃することが可能な範囲の桝目が半透明な黄色で影像表現される。
 続いて,カーソルを移動させて杖ユニットの移動先を当該杖ユニットの移動範囲
内でかつ自軍ユニットと隣接する位置に指定し,操作ボタンを押して移動先を決定
する。すると,選択された当該杖ユニットが,人間に近い頭身比の人物影像で,西
洋中世風の衣装で杖を持っている場合は杖を持って,桝目の上を動く動作によっ
て,移動の効果音とともに移動する様子(画面上で上へ移動するときは後ろ向き,
下へ移動するときは前向き,右へ移動するときは右向き,左へ移動するときは左向
き)が,トップビューのアニメーション手法により影像表現される。
 当該杖ユニットがカーソルで指定された移動先に到達すると,当該杖ユニットが
コマンド選択可能な移動後のメニューが自動的に影像表示されるが,杖ユニットが
移動した場合には,「杖」コマンドが含まれた移動後のメニューが自動的に影像表
示される。影像表示された移動後のメニューに記載されている「杖」コマンドを選
択すると,当該ユニットが使用可能な杖のメニューが自動的に影像表示される。
 杖のメニューから「ワープの杖」を選択すると,次に隣接する自軍ユニットの中
からワープさせたい相手をカーソルで選択する場面となり,カーソルを合わせた隣
接する自軍ユニットの名前とHPが影像表現される。
 プレイヤーがボタンを押してワープさせる相手を選択すると,ワープさせる場所
を選択する場面となる。この場面では,指が四角い枠を下げ持っている形状の特別
な指カーソルが影像表示される。この指が四角い枠を下げ持っている形状の特別な
指カーソルを移動させて,戦闘マップをスクロールさせる等して,戦闘マップの全
域からワープする先を指定する。ワープ先を指定すると,杖を使ってワープさせる
場面となり,杖ユニットが「ワープの杖」を使うと,ワープさせる相手が立ってい
る場所が光るようになり,ワープさせる相手はその場から消える影像表現となって
いる。
 続いて,画面はワープする場面となり,ワープ先に指定した場所にワープさせた
相手が現れる。
 そして,画面は,「ワープの杖」を使った杖ユニットに経験値が付与される場面
に自動的に切り替わる。
 杖を使って相手をワープさせると,杖ユニットに対する経験値が付与され,経験
値が水銀柱のような横棒グラフと数値で影像表示されて,杖を使ったことにより獲
得した経験値が自動的に加算されて,水銀柱のような横棒グラフが右方向に伸びか
つ数値が変化し,当該杖ユニットが杖を使ったことによって経験値を獲得して成長
したことが影像表現される。経験値が加算されるときには,「ポポポッ」という効
果音とともに横棒グラフが右方向に伸びる。
 経験値を獲得した結果,経験値が100を超えると自動的にレベルアップの場面
へ移行する。
 当該自軍ターンでの行動が終了すると,当該杖ユニットの行動が終了したことを
表現するために,当該杖ユニットの影像はマップ上の移動後の位置で,行動する前
と同一の斜め前向きの所定の待機ポーズに切り替わって変化し,全身の色が暗系色
に変化して,吹出し形状の影像が表示される。
 (32) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(ネ)杖を使って相手を回復させ
る場面]の表現
 自軍ターンにおけるユニットの行動の表現としては,既述した待機と攻撃の表現
を基本としているが,自軍ターンで,ある自軍ユニットを行動させるときに,当該
自軍のユニットが杖を使える杖ユニットであり,「ライブの杖」(トラキアの場
合。被控訴人ゲームでは「いやしの杖」。以下同様。)を所持している場合には,
プレイヤーは当該ユニットを行動させるときに,単に待機や攻撃をさせるのではな
く,移動させて「ライブの杖」を使わせることにより,自軍の他のユニットのHP
を回復させて,当該杖ユニットの行動を終了させることができる。
 両ゲームに共通する,自軍ユニットに「ライブの杖」を使わせる場面の表現は,
以下のとおりである。
 戦闘マップ上において杖を使えるユニット(「ライブの杖」を所持)が斜め前向
きの所定の待機ポーズをしている場合に,当該ユニットを行動させるときに,カギ
括弧形状を4つ組み合わせてフワフワと物をつかむような動きをするカーソルを,
待機ポーズをしている当該杖ユニットに合わせると,自動的に当該杖ユニットに青
色系の吹出し形状の影像が表示され,当該吹出し中に当該杖ユニットの名前とHP
が影像表現される。
 当該杖ユニットを選択して,カーソルを合わせて操作ボタンを押すと,当該杖ユ
ニットはその場での駆け出し運動の影像を開始し,また選択した杖ユニットの移動
可能範囲が背景とは異なる色の半透明な桝目で表現され,かつ移動可能範囲の外側
には相手方を攻撃することが可能な範囲の桝目が半透明な黄色で影像表現される。
 続いて,カーソルを移動させて,杖ユニットの移動先を当該杖ユニットの移動範
囲内でかつHPが減少している自軍ユニットと隣接する位置に指定し,操作ボタン
を押して移動先を決定する。すると,選択された当該杖ユニットが,人間に近い頭
身比の人物影像で,西洋中世風の衣装で杖を持って,桝目の上を動く動作によっ
て,移動の効果音とともに移動する様子(画面上で上へ移動するときは後ろ向き,
下へ移動するときは前向き,右へ移動するときは右向き,左へ移動するときは左向
き)が,トップビューのアニメーション手法により影像表現される。
 当該杖ユニットがカーソルで指定された移動先に到達すると,当該杖ユニットが
コマンド選択可能な移動後のメニューが自動的に影像表示されるが,杖ユニットが
移動した場合には,「杖」コマンドが含まれた移動後のメニューが自動的に影像表
示される。影像表示された移動後のメニューに記載されている「杖」コマンドを選
択すると,当該ユニットが使用可能な杖のメニューが自動的に影像表示される。
 杖のメニューから「ライブの杖」を選択すると,続いて,隣接する自軍ユニット
の中からHPを回復させたい相手をカーソルで選択する場面となり,カーソルを合
わせた隣接する自軍ユニットの名前とHPが影像表現される。このときには,カー
ソルは隣接しかつHPの減少している自軍ユニットのみを指すようになっており,
隣接していてもHPが減少していない自軍ユニットをカーソルが指すことはない。
 プレイヤーがボタンを押してHPを回復させる相手を選択すると,HPを回復さ
せる場面となる。
 杖ユニットが杖を使うと,杖ユニットから光る輪が外へ広がり,回復させる相手
方ユニットに光の輪がすぼまってゆく影像表現が行われる。
 次いで,HPを回復させられた自軍ユニットのHPが回復して増加したことが,
効果音とともに当該ユニットのHPを表す数値と棒グラフが増加したことによって
表現される。
 そして,画面は,当該杖ユニットに,経験値が付与される場面に自動的に切り替
わる。
 杖を使って相手を回復させると,杖ユニットに対する経験値が付与され,経験値
が水銀柱のような横棒グラフと数値で影像表示されて,杖を使ったことにより獲得
した経験値が自動的に加算されて,水銀柱のような横棒グラフが右方向に伸びかつ
数値が変化し,当該杖ユニットが杖を使ったことによって経験値を獲得して成長し
たことが影像表現される。経験値が加算される時には,「ポポポッ」という効果音
とともに横棒グラフが右方向に伸びる。
 経験値を獲得した結果,経験値が100を超えると自動的に既述したレベルアッ
プの場面へ移行する。
 当該自軍ターンでの行動が終了すると,当該杖ユニットの行動が終了したことを
表現するために,当該杖ユニットの影像はマップ上の移動後の位置で,行動する前
と同一の斜め前向きの所定の待機ポーズに切り替わって変化し,全身の色が暗系色
に変化して,吹出し形状の影像が表示される。
 (33) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(ノ)敵軍ボスの口上の場面]の
表現
 両ゲームに共通する敵軍ボスの口上の場面の表現は,以下のとおりである。
 既述した自軍ターンにおける攻撃時に,敵軍のボスユニットが初めて自軍ユニッ
トと戦闘を行う場合には,以下のとおりの敵軍ボス口上の場面が表現される。
 トップビューのマップ上において,自軍ユニットを,当該ユニットの移動可能な
範囲内であってかつ敵軍のボスユニットを攻撃可能な範囲に移動させ,移動後のメ
ニューに記載された攻撃コマンドを選択すると,既述のとおり,自動的に武器選択
メニューが表示され,武器を選択したのちにカーソルを敵軍のボスユニットに合わ
せると,当該自軍ユニットと敵軍のボスユニットの戦闘前パラメータが影像表示さ
れる。戦闘前パラメータが表示されたのちにプレイヤーが操作ボタンを押すと,ト
ップビューのマップ場面から真っ黒な画面に切り替わり,その後にサイドビューの
視点での敵軍のボスユニットと当該自軍ユニットによるアニメーション戦闘場面に
切り替わる。
 アニメーション切替戦闘場面では,先ず画面上段において右側に自軍ユニット
を,左側に敵軍のボスユニットを,サイドビューで対峙するように影像表現する。
画面の下段には,自軍ユニットについては右側の青色系の枠内に,敵軍のボスユニ
ットについては左側の赤色系の枠内に,それぞれ名前,武器,攻撃能力等を影像表
示する。また各々のユニットのHPは長方形状の棒グラフと数値で影像表示する。
 次いで,画面下段の青色系枠と赤色系枠の影像が消えて,横長の長方形状の吹出
しが影像表現されるとともに当該敵軍のボスユニットの斜め前方を向いた顔の影像
が表現され,その吹出しの中に当該敵軍のボスユニットの戦闘を初めて行うに当た
っての口上が文字で影像表示される。
 その後,顔影像と吹出しは消えて,画面下段に青色系枠・赤色系枠が再び表現さ
れ,画面上段に自軍ユニットと当該敵軍のボスユニットが1対1で対峙しているア
ニメーション切替戦闘画面に戻り,両者間のアニメーション切替戦闘場面がリアル
なアニメーション影像で表現される。
 オンマップバトルにおいても,上記と同様の敵軍のボスユニットの口上の場面が
表現される。
 (34) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(ハ)敵軍ボスの死にセリフの場
面]の表現
両ゲームに共通する「敵軍ボスの死にセリフの場面」の表現は,以下のとおりで
ある。
 既述した自軍ターンにおける攻撃の戦闘中に,基本的に敵軍ユニットは死亡して
も死にセリフの場面は表現されないが,敵軍のボスユニットが死亡した場合には,
以下のとおりの敵軍ボスの死にセリフの場面が表現される。
 アニメーション切替戦闘中に,画面上段でリアルなアニメーションの手法で表現
されている戦闘影像において,敵軍のボスユニットが,ダメージを受け,ダメージ
を受けた効果音とともに白く光り,次いでユニットのHPが0になったことが画面
下段の赤色系枠内の棒グラフと数値によって影像表現されると,敵軍のボスユニッ
トは死亡したものと判断され,戦闘場面から自動的に敵軍ボスの死にセリフの場面
に切り替わる。
 死にセリフの場面では画面下段の青色系枠と赤色系枠の影像が消えて,敵軍のボ
スユニットの斜め前方を向いた顔の影像が表現されるとともに,横長の長方形状の
吹出しが影像表現され,その吹出しの中に敵軍のボスユニットの死にセリフの言葉
が文字で影像表示される。
 死にセリフの言葉が文字で表示された後,画面の上段に戦闘によって攻撃を受け
た状態のままで影像表現されていた敵軍のボスユニットの全身影像は,徐々に半透
明となって消えるように影像表現され,最後には消滅の効果音とともに消えてしま
う。
 以上の表現が終了すると,敵軍のボスユニットを倒した自軍ユニットに対する経
験値が付与される場面となり,経験値が水銀柱のような横棒グラフと数値で影像表
示され,戦闘により獲得した経験値が自動的に加算されて,水銀柱のような横棒グ
ラフが右方向に伸びかつ数値が変化し,当該ユニットが戦闘によって経験値を獲得
して成長したことが表現される。経験値が加算される時には,「ポポポッ」という
効果音とともに横棒グラフが右方向に伸びる。
 レベルアップする場合にはレベルアップ場面が表現される。レベルアップしなか
ったときには経験値付与場面の後に,レベルアップした場合はレベルアップ場面の
後に,画面は当初の戦闘マップ画面に切り替わる。マップ場面に切り替わったとき
に,死亡した敵軍のボスユニットはマップ上の戦闘を開始した位置にもはや影像表
現されない。
 また,戦った自軍ユニットは当該自軍ターンでの行動が終了して,当該ユニット
の影像はマップ上の攻撃開始時の位置で,行動する前と同一の斜め前向きの所定の
待機ポーズに切り替わって変化し,全身の色が暗系色に変化して,吹出し形状の影
像が表示される。
 オンマップバトル中においても,上記と同様の敵軍のボスユニットの死にセリフ
の場面が表現される。
 敵軍のボスユニットの死にセリフの場面は,敵軍のボスユニットが口上を述べた
当該自軍ユニットとの間の戦闘で死亡しなかった場合には,当該マップにおいて敵
軍のボスユニットが死亡した他の自軍ユニットとの間の戦闘場面において影像表現
される。
 (35) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(ヒ)民家を訪ねて仲間を増やす
場面]の表現
 自軍ターンにおけるユニットの行動の表現としては,既述した待機と攻撃の表現
を基本としているが,自軍ターンで,ある自軍ユニットを行動させるときに,マッ
プ画面上にドアが開いており,かつ仲間にできるユニットが中にいる民家が影像表
現されている場合には,プレイヤーは当該自軍ユニットを行動させる際に,単に待
機や攻撃をさせるのではなく,移動させて民家を訪ねて仲間を増やすことにより,
当該自軍ユニットの行動を終了させることができる。民家にいるユニットによって
は特定のユニットが訪ねないと仲間にならない場合があるが,その場合にはその他
のユニットが訪れても民家のドアは閉じられないので,当該特定ユニットの行動の
ときに,民家を訪ねて仲間を増やすことになるが,その場合の影像表現も以下と全
く同じである。
 両ゲームに共通する,自軍ユニットに民家を訪ねさせて仲間を増やす場合の影像
表現は,以下のとおりである。
 ドアが開いており,かつ仲間にできるユニットが中にいる民家が影像表現されて
いる戦闘マップ上において,自軍のユニットが斜め前向きの所定の待機ポーズをし
ている場合に,当該ユニットを行動させるときに,カギ括弧形状を4つ組み合わせ
てフワフワと物をつかむような動きをするカーソルを待機ポーズをしている当該ユ
ニットに合わせると,自動的に当該ユニットに青色系の吹出し形状の影像が表示さ
れ,当該吹出し中に当該ユニットの名前とHPが影像表現される。
 当該自軍ユニットを選択して,カーソルを合わせて操作ボタンを押すと,当該自
軍ユニットはその場動きの運動の影像を開始し,また選択した当該自軍ユニットの
移動可能範囲が背景とは異なる色の半透明な桝目で表現され,かつ移動可能範囲の
外側には相手方を攻撃することが可能な範囲の桝目が半透明な黄色で影像表現され
る。
 続いて,カーソルを移動させて当該自軍ユニットの移動先を当該ユニットの移動
範囲内でかつドアが開いており仲間にできるユニットが中にいる民家の上に指定
し,操作ボタンを押して移動先を決定する。すると,選択された当該ユニットが,
人間に近い頭身比で西洋中世風の衣装をつけて武器を持った状態で,ペガサス又は
ドラゴンに乗っている場合は空中を飛翔し,馬に乗っている場合は馬を走らせ,乗
り物に乗っていない場合は駆け足で,桝目の上を動く動作によって,移動の効果音
とともに移動する様子(画面上で上へ移動するときは後ろ向き,下へ移動するとき
は前向き,右へ移動するときは右向き,左へ移動するときは左向き)が,トップビ
ューのアニメーション手法により影像表現されて,移動先であるドアが開いており
かつ仲間にできるユニットが中にいる民家へ移動する。
 当該自軍ユニットがカーソルで指定された移動先に到達すると,当該自軍ユニッ
トがコマンド選択可能な移動後のメニューが自動的に影像表示されるが,当該自軍
ユニットがドアが開いていて,かつ仲間にできるユニットが中にいる民家に移動し
た場合には,「訪ねる」コマンドが含まれた移動後のメニューが自動的に影像表示
される。影像表示された移動後のメニューに記載されている「訪ねる」コマンドを
選択して操作ボタンを押すと,トップビューのマップ場面から,民家内での会話の
場面に切り替わり,人物影像の下に設けられた横に長い長方形状の吹出し内に,仲
間になる旨の会話内容が文字で表示される会話場面が影像表現される(この会話場
面は,スタートボタンを押すことによりキャンセルして,次の場面へ直ちに飛ぶこ
とが可能である。)。
 会話場面が終了すると,次の場面であるトップビューの元のマップ画面に画面が
切り替わり,新たに仲間になった自軍ユニットが民家の外に出て所定の待機ポーズ
をしている影像が表現され,以降,新たに仲間になったユニットにカーソルを合わ
せると青色系の自軍の吹出しが出て,当該青色系の吹出しの中に当該ユニットの名
前とHPが影像表現される。かかる影像表現によって仲間になったことが表示され
る。
 訪ねて新たな仲間ができた民家は,以降は,ドアが閉じた状態に変わって影像表
現される。行動を終了した自軍ユニットの影像は,トップビューで,移動先である
民家の外に出て民家と重なった位置関係で影像表現され,行動が終了したことを示
すために,行動する前と同一の斜め前向きの所定の待機ポーズに影像が切り替わっ
て変化し,全身の色が暗系色に変化して,吹出し形状の影像が表示される。
 (36) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(フ)民家を訪ねてアイテムを得
る場面]の表現
 当該自軍ターンにおけるユニットの行動の表現としては,既述した待機と攻撃の
表現を基本としているが,自軍ターンで,ある自軍ユニットを行動させるときに,
マップ画面上にドアが開いており,かつアイテムを得ることができる民家が影像表
現されている場合には,プレイヤーは当該ユニットを行動させる際に,単に待機や
攻撃をさせるのではなく,移動させて民家を訪ねてアイテムを入手させることによ
り,当該ユニットの行動を終了させることができる。民家によっては特定のユニッ
トが訪ねないとアイテムを得られない場合があるが,その場合にはその他のユニッ
トが訪れても民家のドアは閉じられないので,当該特定ユニットの行動のときに,
民家を訪ねてアイテムを得させることになるが,その場合の影像表現は以下と全く
同じである。
 両ゲームに共通する,自軍ユニットに民家を訪ねてアイテムを得させる場面の表
現は,以下のとおりである。
 ドアが開いており,かつアイテムを得ることができる民家が影像表現されている
戦闘マップ上において,自軍のユニットが斜め前向きの所定の待機ポーズをしてい
る場合に,当該ユニットを行動させるときに,カギ括弧形状を4つ組み合わせてフ
ワフワと物をつかむような動きをするカーソルを,待機ポーズをしている当該ユニ
ットに合わせると,自動的に当該ユニットに青色系の吹出し形状の影像が表示さ
れ,当該吹出し中に当該ユニットの名前とHPが影像表現される。
 当該ユニットを選択して,カーソルを合わせて操作ボタンを押すと,当該ユニッ
トはその場動きの運動の影像を開始し,また選択したユニットの移動可能範囲が背
景とは異なる色の半透明な桝目で表現され,かつ移動可能範囲の外側には相手方を
攻撃することが可能な範囲の桝目が半透明な黄色で影像表現される。
 続いて,カーソルを移動させてユニットの移動先を当該ユニットの移動範囲内
で,かつドアが開いておりアイテムを得ることができる民家の上に指定し,操作ボ
タンを押して移動先を決定する。すると,選択された当該ユニットが,人間に近い
頭身比で西洋中世風の衣装をつけて武器を持った状態で,ペガサス又はドラゴンに
乗っている場合は空中を飛翔し,馬に乗っている場合は馬を走らせ,乗り物に乗っ
ていない場合は駆け足で,桝目の上を動く動作によって,移動の効果音とともに移
動する様子(画面上で上へ移動するときは後ろ向き,下へ移動するときは前向き,
右へ移動するときは右向き,左へ移動するときは左向き)が,トップビューのアニ
メーション手法により影像表現されて,移動先である,ドアが開いておりかつアイ
テムを得ることができる民家へ移動する。
 当該ユニットがカーソルで指定された移動先に到達すると,当該ユニットがコマ
ンド選択可能な移動後のメニューが自動的に影像表示されるが,ユニットがドアが
開いていて,かつアイテムを得ることができる民家に移動した場合には,「訪ね
る」コマンドが含まれた移動後のメニューが自動的に影像表示される。影像表示さ
れた移動後のメニューに記載されている「訪ねる」コマンドを選択して操作ボタン
を押すと,トップビューのマップ場面から,民家内での会話の場面に切り替わり,
人物影像とともに表現された横に長い長方形状の吹出し内に会話内容が文字で表示
される会話場面が影像表現される(この会話場面は,スタートボタンを押すことに
よりキャンセルして,次の場面へ直ちに飛ぶことが可能である。)。
 会話場面が終了すると,次の場面であるアイテム獲得場面となる。アイテム獲得
場面では画面中央に横に長い長方形のウィンドウが表現され,そのウィンドウ中
に,獲得したアイテムのアイコン及びアイテム名称並びに当該アイテムを手に入れ
たという文字が影像表現され,音階が上がる短いファンファーレが鳴り,このウィ
ンドウはしばらくすると自動的に消える。
 自軍ユニットが民家を訪ねてアイテムを得ると,トップビューの元のマップ画面
に画面が切り替わるが,訪ねられた民家は,以降は,ドアが閉じた状態に変わって
影像表現される。行動を終了した当該ユニットの影像は,トップビューで,移動先
である民家の外に出て民家と重なった位置関係で影像表現され,行動が終了したこ
とを示すために,行動する前と同一の斜め前向きの所定の待機ポーズに影像が切り
替わって変化し,全身の色が暗系色に変化して,吹出し形状の影像が表示される。
 (37) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(ヘ)宝箱を開ける場面]の表現
 自軍ターンにおけるユニットの行動の表現としては,既述した待機と攻撃の表現
を基本としているが,自軍ターンで,ある自軍ユニットを行動させるときに,マッ
プ画面上に宝箱が影像表現されておりかつ当該自軍ユニットが宝箱を開けることの
できる鍵又は技を持った盗賊ユニットの場合には,プレイヤーは当該ユニットを行
動させる際に,単に待機や攻撃をさせるのではなく,移動させて宝箱を開けること
により,アイテムを入手させて,当該ユニットの行動を終了させることができる。
 両ゲームに共通する宝箱を開ける場面の表現は,以下のとおりである。
 宝箱が影像表現されている戦闘マップ上において,宝箱を開けることのできる鍵
又は技を持った自軍の盗賊ユニットが斜め前向きの所定の待機ポーズをしている場
合に,当該ユニットを行動させるときに,カギ括弧形状を4つ組み合わせてフワフ
ワと物をつかむような動きをするカーソルを,待機ポーズをしている当該盗賊ユニ
ットに合わせると,自動的に当該盗賊ユニットに青色系の吹出し形状の影像が表示
され,当該吹出し中に当該盗賊ユニットの名前とHPが影像表現される。
 当該盗賊ユニットを選択して,カーソルを合わせて操作ボタンを押すと,当該盗
賊ユニットはその場での駆け出し運動の影像を開始し,また選択した盗賊ユニット
の移動可能範囲が背景とは異なる色の半透明な桝目で表現され,かつ移動可能範囲
の外側には相手方を攻撃することが可能な範囲の桝目が半透明な黄色で影像表現さ
れる。
 続いて,カーソルを移動させて盗賊ユニットの移動先を当該盗賊ユニットの移動
範囲内でかつ宝箱の上に指定し,操作ボタンを押して移動先を決定する。すると,
選択された当該盗賊ユニットは人間に近い頭身比の人物影像で,西洋中世風の衣装
をつけて,桝目の上を動く動作によって,移動の効果音とともに移動する様子(画
面上で上へ移動するときは後ろ向き,下へ移動するときは前向き,右へ移動すると
きは右向き,左へ移動するときは左向き)が,トップビューのアニメーション手法
により影像表現されて,移動先である宝箱の上へ移動する。
 当該盗賊ユニットがカーソルで指定された移動先に到達すると,当該盗賊ユニッ
トがコマンド選択可能な移動後のメニューが自動的に影像表示されるが,宝箱を開
けることのできる盗賊ユニットが宝箱の上に移動した場合には,宝箱を開けること
を意味するコマンドが含まれた移動後のメニューが自動的に影像表示される。
 影像表示された移動後のメニューに記載されている当該コマンドを選択して操作
ボタンを押すと,当該宝箱が開けられた影像となり,画面中央には横に長い長方形
のウィンドウ中に,獲得したアイテムのアイコン及びアイテム名称並びに当該アイ
テムを手に入れたという文字が影像表現され,音階が上がる短いファンファーレが
鳴り,このウィンドウはしばらくすると自動的に消える。
 宝箱を開けてアイテムを入手すると当該ユニットの行動は終了となり,当該ユニ
ットの影像は移動先である宝箱の上で,行動する前と同一の斜め前向きの所定の待
機ポーズに切り替わって変化し,全身の色が暗系色に変化して,吹出し形状の影像
が表示される。
 (38) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(ホ)扉を開く場面]の表現
 自軍ターンにおけるユニットの行動の表現としては,既述した待機と攻撃の表現
を基本としているが,自軍ターンで,ある自軍ユニットを行動させるときに,マッ
プ画面上に閉まった扉が影像表現されておりかつ当該自軍ユニットが,扉を開ける
鍵又は技を持ったユニットである場合には,プレイヤーは当該ユニットを行動させ
る際に,単に待機や攻撃をさせるのではなく,移動させて扉を開けることにより,
当該ユニットの行動を終了させることができる。
 両ゲームに共通する扉を開けさせる場面の表現は,以下のとおりである。
 閉まった扉が影像表現されている戦闘マップ上において,扉を開ける鍵又は技を
持つ特定の自軍ユニットが斜め前向きの所定の待機ポーズをしている場合に,当該
ユニットを行動させるときに,カギ括弧形状を4つ組み合わせてフワフワと物をつ
かむような動きをするカーソルを,待機ポーズをしている当該ユニットに合わせる
と,自動的に当該ユニットに青色系の吹出し形状の影像が表示され,当該吹出し中
に当該ユニットの名前とHPが影像表現される。
 当該ユニットを選択して,カーソルを合わせて操作ボタンを押すと,当該ユニッ
トはその場での駆け出し運動の影像を開始し,また選択したユニットの移動可能範
囲が背景とは異なる色の半透明な桝目で表現され,かつ移動可能範囲の外側には相
手方を攻撃することが可能な範囲の桝目が半透明な黄色で影像表現される。
 続いて,カーソルを移動させてユニットの移動先を当該ユニットの移動範囲内で
かつ閉まった扉と隣接する位置に指定し,操作ボタンを押して移動先を決定する。
すると,選択された当該ユニットは人間に近い頭身比の人物影像で,西洋中世風の
衣装をつけて,桝目の上を動く動作によって,移動の効果音とともに移動する様子
(画面上で上へ移動するときは後ろ向き,下へ移動するときは前向き,右へ移動す
るときは右向き,左へ移動するときは左向き)が,トップビューのアニメーション
手法により影像表現されて,移動先である閉まった扉と隣接する位置へ移動する。
 当該ユニットがカーソルで指定された移動先に到達すると,当該ユニットがコマ
ンド選択可能な移動後のメニューが自動的に影像表示されるが,閉まった扉と隣接
する位置に移動した場合には,「扉」コマンドが含まれた移動後のメニューが自動
的に影像表示される。
 影像表示された移動後のメニューに記載されている「扉」コマンドを選択して操
作ボタンを押すと,当該扉が開く影像となり,扉が軋むように開く効果音が鳴り,
以後,戦闘マップ上では扉が開いている地形に変化する。
 扉が開いた地形に変化するために,扉を開けた以降は,自軍ユニットは,開いた
扉を通して自由に出入りすることができるようになる。
 扉を開けると当該ユニットの行動は終了となり,当該ユニットの影像は移動先
で,行動する前と同一の斜め前向きの所定の待機ポーズに切り替わって変化し,全
身の色が暗系色に変化して,吹出し形状の影像が表示される。
 (39) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(マ)跳ね橋を降ろす場面]の
表現
 自軍ターンにおけるユニットの行動の表現としては,既述した待機と攻撃の表現
を基本としているが,自軍ターンで,ある自軍ユニットを行動させるときに,マッ
プ画面上に開いている跳ね橋が影像表現されておりかつ当該自軍ユニットが跳ね橋
を降ろすことのできる鍵を所持している場合には,プレイヤーは当該ユニットを行
動させる際に,単に待機や攻撃をさせるのではなく,移動させて跳ね橋を降ろさせ
ることにより,当該ユニットの行動を終了させることができる。
 両ゲームに共通する跳ね橋を降ろさせる場面の表現は,以下のとおりである。
 横棒を並べたような形状をし,中央から跳ね上がるようにして開いている跳ね橋
が影像表現されている戦闘マップ上において,跳ね橋を降ろすことのできる鍵を所
持している自軍ユニットが斜め前向きの所定の待機ポーズをしている場合に,当該
ユニットを行動させるときに,カギ括弧形状を4つ組み合わせてフワフワと物をつ
かむような動きをするカーソルを,待機ポーズをしている当該ユニットに合わせる
と,自動的に当該ユニットに青色系の吹出し形状の影像が表示され,当該吹出し中
に当該ユニットの名前とHPが影像表現される。
 当該ユニットを選択して,カーソルを合わせて操作ボタンを押すと,当該ユニッ
トはその場での駆け出し運動の影像を開始し,また選択したユニットの移動可能範
囲が背景とは異なる色の半透明な桝目で表現され,かつ移動可能範囲の外側には相
手方を攻撃することが可能な範囲の桝目が半透明な黄色で影像表現される。
 続いて,カーソルを移動させてユニットの移動先を当該ユニットの移動範囲内で
かつ開いている跳ね橋と隣接する位置に指定し,操作ボタンを押して移動先を決定
する。すると,選択された当該ユニットが,人間に近い頭身比の人物影像で,西洋
中世風の衣装をつけて,桝目の上を動く動作によって,移動の効果音とともに移動
する様子(画面上で上へ移動するときは後ろ向き,下へ移動するときは前向き,右
へ移動するときは右向き,左へ移動するときは左向き)が,トップビューのアニメ
ーション手法により影像表現されて,移動先である開いている跳ね橋と隣接する位
置へ移動する。
 当該ユニットがカーソルで指定された移動先に到達すると,当該ユニットがコマ
ンド選択可能な移動後のメニューが自動的に影像表示されるが,この場合には開い
ている跳ね橋と隣接する位置に移動したときに,「跳ね橋」コマンドが含まれた移
動後のメニューが自動的に影像表示される。
 影像表示された移動後のメニューに記載されている「跳ね橋」コマンドを選択し
て操作ボタンを押すと,当該跳ね橋が降ろされる効果音とともに跳ね橋が降りる影
像となり,以後,戦闘マップ上では横棒を並べたような形状の跳ね橋が降りている
地形に変化する。
 跳ね橋が降りている地形に変化するために,跳ね橋を降ろした以降は,自軍ユニ
ットは,降りた跳ね橋を通して自由に移動することができるようになる。
 跳ね橋を降ろすと当該ユニットの行動は終了となり,当該ユニットの影像は移動
先で,行動する前と同一の斜め前向きの所定の待機ポーズに切り替わって変化し,
全身の色が暗系色に変化して,吹出し形状の影像が表示される。
 (40) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(ミ)風魔法の場面]の表現
 自軍ターンにおけるユニットの行動の表現としては,既述した待機と攻撃の表現
を基本としているが,自軍ターンにおいて自軍ユニットを行動させるときに,当該
自軍のユニットが代表的な魔道士ユニット(トラキアの場合は「アスベル」,被控
訴人ゲームの場合は「マルジュ」。)である場合に,プレイヤーが魔道士ユニット
を使って攻撃させる際に,武器選択メニューで魔道士専用の風魔法(トラキアのア
スベルの場合は「グラフカリバー」,被控訴人ゲームのマルジュの場合は「ウンダ
ーガスト」。)を選択した場合には,両ゲーム共通の以下の表現がなされる。
 戦闘マップ上において魔道士ユニットが斜め前向きの所定の待機ポーズをしてい
る場合に魔道士ユニットを行動させるときに,カギ括弧形状を4つ組み合わせてフ
ワフワと物をつかむような動きをするカーソルを待機ポーズをしている魔道士ユニ
ットに合わせると,自動的に魔道士ユニットに青色系の吹出し形状の影像が表示さ
れ,当該吹出し中に魔道士ユニットの名前とHPが影像表現される。吹出しは自軍
ユニットの場合は青色系で表現される。
 魔道士ユニットにカーソルを合わせて操作ボタンを押すと,魔道士ユニットはそ
の場での駆け出し運動の影像を開始し,また選択した魔道士ユニットの移動可能範
囲が背景とは異なる色の半透明な桝目で表現され,かつ移動可能範囲の外側には相
手方を攻撃することが可能な範囲の桝目が半透明な黄色で影像表現される。
 続いて,カーソルを移動させて魔道士ユニットの移動先を,魔道士ユニットの移
動範囲内でかつ敵軍ユニットを攻撃できる範囲に指定し,操作ボタンを押して移動
先を決定する。すると,選択された魔道士ユニットが,人間に近い頭身比の人物影
像で,桝目の上を動く動作によって,移動の効果音とともに移動する様子(画面上
で上へ移動するときは後ろ向き,下へ移動するときは前向き,右へ移動するときは
右向き,左へ移動するときは左向きでマントをなびかせる。)が,トップビューの
アニメーション手法により影像表現される。
 魔道士ユニットがカーソルで指定された移動先に到達すると,魔道士ユニットが
選択可能な移動後のメニューが自動的に影像表示される。移動後のメニューに記載
された攻撃コマンドを選択すると,自動的に魔道士ユニットが使用できる武器選択
メニューが表示される。
 魔道士ユニットの武器選択メニューでは,魔道士ユニットが使用できる魔道書の
みが影像表示される。武器選択メニューで風魔法を選択した後に,オンマップバト
ルの場合は,トップビューのこれまでのマップ影像と切れ目なく,オンマップ上の
ユニット間の戦闘影像が表現される。
 オンマップバトルの場合には,マップ上に,一部上部に突出のある細長い長方形
状が隣り合わせになったHP表示が表示される。このHP表示は自軍は青色系に敵
軍は赤色系に色分けされており,両ユニットのHPが黄色い棒グラフと棒グラフ横
の数字で示されており,上部突出部には両ユニットの名前が記載されている。
 戦闘の当初には,両ユニットの戦闘開始時のHPが棒グラフに表示され,戦闘で
ダメージを受けると棒グラフが数字の方向に向かって減少する。魔道士ユニットに
よる専用の風魔法攻撃においては,魔道士ユニットは手を敵軍ユニットに向かって
真っ直ぐに伸ばして白っぽい三日月形の鎌のような強力な風を敵軍ユニットに向か
って飛ばすとの表現がなされる。この風魔法を受けてダメージを受けた敵軍ユニッ
トはダメージを受けた効果音とともに白く光ってHPの棒グラフが減少する。
 この風魔法は,他のいかなるユニットも使用することはできず,魔道士個人専用
の風魔法であって,その攻撃時のみに影像表現される。
 アニメーション切替戦闘の場合には,トップビューのマップ画面から真っ黒な画
面に切り替わってから,次いでサイドビューによる1対1の戦闘場面がリアルなア
ニメーション影像で表現される。当該魔道士ユニット専用の風魔法による攻撃は,
白っぽい三日月形の鎌のような強力な風を敵軍ユニットに向かって飛ばすという表
現により,オンマップバトルの場合と同様に表現する。
 戦闘が終了すると,経験値が付与される場面となり,経験値が水銀柱のような横
棒グラフと数値で影像表示されて,当該魔道士ユニットの獲得した経験値が自動的
に加算されて,水銀柱のような横棒グラフが右方向に伸びかつ数値が変化し,経験
値を獲得して成長したことが影像表現される。経験値が加算されるときには,「ポ
ポポッ」という効果音とともに横棒グラフが右方向に伸びる。
 経験値を獲得した結果,経験値が100を超えると自動的にレベルアップの場面
へ移行し,また経験値が100を超えなかった場合には自動的にトップビューのマ
ップ場面に切り替わる。トップビューの場面に切り替わると,当該魔道士ユニット
は当該自軍ターンでの行動を終えて,移動後の位置において行動する前と同一の斜
め前向きの所定の待機ポーズに切り替わって変化し,全身の色が暗系色に変化し
て,吹出し形状の影像が表示される。
 (41) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(ム)ロングアーチ/クインク
エインの場面]の表現
 両ゲームに共通する敵軍ユニットである「ロングアーチ」(トラキアの場合。被
控訴人ゲームでは「クインクエイン」。以下同様。)の表現は,以下のとおりであ
る(以下は切替戦闘の場面についての表現である。)。
 敵軍ターンにおいて,敵軍ユニットである「ロングアーチ」を装備したユニット
の行動となり,プログラムにしたがって自軍ユニットを攻撃する場合には,敵の攻
撃を受ける自軍ユニットに対してカーソルが影像表現された後,真っ黒な画面に切
り替わり,次いでトップビューのマップ影像から,サイドビューの視点のアニメー
ション戦闘場面に切り替わる。
 画面の下段には,自軍ユニットの名前,攻撃能力等を記載した青色系の枠が右側
に,敵軍ユニットの名前,攻撃能力等を記載した赤色系の枠が左側に表現される。
画面の上段中央には,敵軍ユニットが装備する「ロングアーチ」とこれを操作する
兵士のみが表現される。
 「ロングアーチ」は,巨大な機械式の弓兵器であり,木製の台枠からなる骨組み
に巨大な弓が設置されている。木製の台枠は2本の支柱を見せてやや斜め正面を向
き,巨大な弓の平面は地面とは垂直に,また射出方向は斜め右上方へ設定して設置
されて表現される。
 この巨大な機械式の弓には,操作する敵軍兵士が鎧をつけた姿で傍らに立ってい
る。この巨大な弓兵器を敵軍兵士が操作すると,矢が放たれる効果音とともに,巨
大な矢が斜め右上方に向かって発射される。
 ここで画面は切り替わって,この巨大な矢の攻撃を受ける自軍ユニットが画面上
段の中央に立っている場面となる。
 この場面において左上から自軍ユニットに対して「ロングアーチ」から放たれた
巨大な矢が飛んでくる影像が表現され,この巨大な矢によってダメージを受けた自
軍ユニットはダメージを受けた効果音とともに白く光り,HPの棒グラフの数値が
減少する影像表現がなされる。
 敵軍の「ロングアーチ」との戦闘が終了し,当該自軍ユニットが生き残っている
場合には,当該自軍ユニットに経験値が付与される場面となり,経験値が水銀柱の
ような横棒グラフと数値で影像表示されて,当該自軍ユニットの獲得した経験値が
自動的に加算されて,水銀柱のような横棒グラフが右方向に伸びかつ数値が変化
し,経験値を獲得して成長したことが影像表現される。経験値が加算されるときに
は,「ポポポッ」という効果音とともに横棒グラフが右方向に伸びる。
 当該自軍ユニットが経験値を獲得した結果,経験値が100を超えると自動的に
既述したレベルアップの場面へ移行し,また経験値が100を超えなかった場合に
はトップビューのマップ場面に場面が切り替わり,敵軍ターンの場面がプログラム
にしたがって自動的に継続して表現される。
 自軍ユニットが「ロングアーチ」の攻撃で死亡した場合には,自軍ターンのとき
と同じ死亡判断と死にセリフの場面に自動的に切り替わる。死亡した自軍ユニット
は,以降,影像表現されることはなく,自軍ターンが開始しても,もはや死亡した
ユニットは生き返らず登場しない。
 主人公が「ロングアーチ」の攻撃で死亡した場合には,自軍ターンのときと同じ
表現で,主人公死亡によるゲームオーバーの場面に自動的に切り替わる。主人公の
死亡によりゲームオーバーとなる。
 (42) 「戦闘マップをプレイする場面」の全体構成図に示される配置及び順序構
成において表現される[エ:その他の表現例]の中の[(メ)再移動の場面]の表現
 自軍ターンにおけるユニットの行動の表現としては,既述した待機と攻撃の表現
を基本としているが,自軍ターンにおいて,乗り物に乗った状態のペガサスユニッ
ト,ドラゴンユニット又は馬ユニットをプレイヤーが選択して攻撃させ,攻撃が終
了してトップビューのオンマップ場面に切り替わったとき(具体的には,アニメー
ション切替戦闘又はオンマップバトルが終了し,経験値付与場面及び経験値が10
0を超えた場合にはレベルアップ場面が終了した後)に,当該ユニットが残りの移
動力で移動できる状態であった場合には,当該ユニットは全身の色が暗系色に変化
して所定の待機ポーズに切り替わることなく,自動的に当該ユニットの再移動の場
面となる。
 両ゲームに共通する再移動の場面の表現は,以下のとおりである。
 再移動の場面に切り替わると,残りの移動力で移動できる状態のユニットは,自
動的にその場動きを開始し,また同時に,当該ユニットが移動可能な移動力から攻
撃前に消費した移動力を差し引いた残りの移動力で移動することが可能な範囲が,
背景とは異なる色の半透明な桝目で表現される。
 続いて,カーソルを移動させて移動先を指定し,操作ボタンを押して移動先を決
定すると,当該自軍ユニットが移動する様子が,アニメーション手法により影像表
現されて,当該ユニットは桝目が表現されていないにもかかわらず,桝目の上を動
く動作によって移動先へ移動する。この移動の様子は,人間に近い頭身比であらわ
されたユニットが,ペガサス又はドラゴンに乗っている場合はバサバサと風を切る
効果音とともに空中を飛翔し,馬に乗っている場合は地を蹴る効果音とともに馬を
走らせ,画面上の上に移動するときは後ろ向きの姿で,画面上の下に移動するとき
は前向きの姿で,右に移動する場合は右向きで,左に移動するときは左向きで,影
像表示される。
 当該ユニットがカーソルで指定された移動先に移動すると,移動後のメニューが
自動的に影像表示され,このとき,攻撃やアイテム交換等のユニットの行動のコマ
ンドは一切影像表示されることはなく,唯一の行動を行うコマンドとして表示され
ている「待機」コマンドを選択すると,「ピコッ」というコマンド決定音が生じる
とともに,当該ユニットは当該自軍ターンでの行動を終える。当該ユニットの行動
が終了したことを表現するために,その影像はマップ上の再移動後の位置で,当初
の斜め前向きの所定の待機ポーズに切り替わり,当該ユニットの全身の色が暗系色
に変化する。
      
          (以 上)
(別紙1)
①②③
(別紙2)
トラキアと被控訴人ゲームの構成要素ごとの相違部分及び共通部分に関する
被控訴人らの主張
 1 ストーリー
 被控訴人ゲームとトラキアのストーリーに関する相違部分は,下記の表のとおり
である。
被控訴人ゲームトラキア
(a) 世界観
 トールキン(指輪物語)的なファンタジー世界
であるが,敵として魔物が多数登場し,重要な
ギミックの役割を果たすなど,冒険ファンタジー
の王道的な世界観である。
 トールキン(指輪物語)的なファンタジー世界であ
るが,魔物など人間以外の敵は登場せず,戦記物
として現実的な世界観に近い。
(b) 主題
 戦場の物語に加えて,戦場外での物語が厚
く描かれており,「友情」と「愛」が主要なテーマ
である。
 ほとんどが戦場の物語であり,純粋な戦記物であ
り,騎士物語として,「主君への忠誠」,「祖国奪還」
が主要なテーマである。
(c) 舞台設定
 ラゼリア公国グラムド大公の息子リュナン公
子はグラナダでカナンを相手に戦い続けたが,
グラナダ陥落前に,親友で海賊シーライオンの
長であるホームズとグラナダを脱出し,祖国奪
還の兵を募るため,親交あるウエルト王国へ
向けて船を進めていた。
 グラン暦763年。トラキア軍によってレンスター城
は落城。レンスターのリーフ王子は騎士フィン,フィ
ンの娘ナンナらとともに脱出する。レンスター城落
城から13年後のグラン暦776年,リーフは,フィアナ
村にナンナらとともに隠れ住んでいた。
(d) ストーリーの概要
 被控訴人ゲームのストーリーの概要は,「ゾ
ーア帝国崩壊後,リーベリア大陸に興った4王
国の1つリーヴェ王国ラゼリア公国の公子であ
 トラキアのストーリーの概要は,「フィアナの女領
主エーヴェルの下で成長した,滅亡したレンスター
王家の遺児である主人公の王子リーフが,彼にと
る主人公のリュナンが,4王国の1つであるカナ
ンに占領され,放浪の後ラゼリア公国を奪回
し,もう一人の主人公である友人ホームズらと
ともに,大きな魔力を秘めた腕輪を受け継いだ
ため運命に翻弄される2人の少女を助けなが
ら,その腕輪の力を利用して邪神ガーゼル復
活を計画する神官を打倒する。」というもので
あり,戦記物の要素に加えて,冒険物の要素
が多く含まれている。
 なお,主人公は,青年2人である。リュナ
ン(17歳)は,亡国の公子(王子ではない)であ
るが,ホームズ(19歳)は,元海賊の冒険者で
ある。トラキアを含め,ファイアーエムブレム・
シリーズとの物語上の関連性は全く存在しな
い。
っての聖戦であるマンスター城攻略を果たすため,
フィンら仲間と共にその過程におけるさまざまな脱
出劇,制圧劇,防衛劇に成功し,勝利する。」という
ものであり,純粋な戦記物である。
 なお,主人公は,少年1人であり,亡国の王子リー
フ(15歳)である。トラキアのストーリー自体が,ファ
イアーエムブレム・シリーズ第4作「聖戦の系譜」の
サブストーリーにすぎない。主人公のリーフも同ゲ
ームに登場した人物であり,その人物設定を引き
継いでいる。
(e) エピソード
 トラキア及びその他のファイアーエムブレム・
シリーズに関連するエピソードは存在しない。
 基本的なストーリー自体が,ファイアーエムブレ
ム・シリーズ第4作「聖戦の系譜」のサブストーリー
である。

 控訴人らは,両ゲームの基本ストーリーは共通すると主張するが,両ゲームのス
トリーは,上記のとおり,全く異なっている。SRPGのゲームソフトの翻案該当性の
判断に際し,その複数の構成要素の中で,ストーリーが,最も重視されるべき要素
である以上,被控訴人ゲームとトラキアのストーリーが全く異なることは,本件に
おける翻案該当性の判断に際して,決定的に重要な意味をもつ。
 なお,被控訴人ゲームとトラキアは,その基本となる世界観が,いわばトールキ
ン的(指輪物語的)なファンタジー世界,すなわち,「剣と魔法と魔物の世界」で
ある点や,その基本となる舞台設定が,西洋中世の架空の大陸における物語である
点などの抽象的な部分において共通するところがある。しかしながら,これらは,
いずれもアイデアというべきものであり,著作権法上の保護対象となる表現ではな
い。
 2 ゲームシステム
 (1) 相違部分とその評価
 被控訴人ゲームとトラキアのゲームシステムの相違部分の概要は,下記の表に掲
げたとおりである。
被控訴人ゲームトラキア
(a) 基本システム
 任意コマンド発給型。全体マップでプレイヤ
ーが操作してゲームの進行に関与できる度合
いが大きい。
 シナリオキャンペーン型。全体マップでプレイヤー
がゲームの進行に関与することは全くできず,プレ
イヤーは,シナリオに沿って戦闘マップを順に消化
していく。
 全体マップにおいて,ADVシステムを採用。
戦闘マップにおいて,大戦略型のSLGシステ
ムを採用。
 全体マップには,システム設定がない。戦闘マッ
プにおいて,大戦略型のSLGシステムを採用。
(b) ユニット
 被控訴人ゲームには,ユニットのクラスとし
て,91種類が存在するが,このうちトラキアに
存在しないクラスは72種類も存在する。被控訴
人ゲームには,トラキアに設定されていないユ
ニットのクラスとして,トールキン的世界観に忠
実であるがゆえに設定された「ゾンビ」,「オー
ガ」,「ゴーレム」などの被控訴人ゲームを特徴
づけるクラスが存在する。
 トラキアには,ユニットのクラスとして,53種類が
設定されているが,被控訴人ゲームに存在しない
クラスは34種類も存在する。トラキアは,その世界
観がリアルなものであるため,被控訴人ゲームに
存する魔物系のクラスは存在しない。
(c) コマンド
 被控訴人ゲームには,ユニットのコマンドとし
て26種類が存在するが,トラキアには存在しな
いコマンドが10種類もある。トラキアに存在しな
い被控訴人ゲームのコマンドの中には,例え
ば,「うたう」,「もどる」,「聖剣」,「変身」,「門
攻撃」などがある。
 トラキアには,ユニットのコマンドとして26種類が
存在するが,被控訴人ゲームには存在しないコマ
ンドが10種類もある。被控訴人ゲームに設定され
ていないトラキアのコマンドの中には,「おろす」,
「かつぐ」,「解放」,「りだつ」,「捕える」などのトラ
キアのゲーム性を強く特徴づけるコマンドが含まれ
ている。
(d) アイテム
(d-1)武器
 被控訴人ゲームには,武器の種類として剣,
槍,斧,弓の4系統合計71種類が設定されてい
る。被控訴人ゲームには,このうちトラキアに
設定されていない武器が,合計47種類も存在
する。例えば,被控訴人ゲームには,トラキア
に設定されていない武器として,相手の剣を折
ることができる「ソードブレイカー」,当たると敵
のアイテムを盗むことができる「シーフソード」
などがある。
 トラキアには,武器の種類として剣,槍,斧,弓の
4系統合計73種類が設定されている。トラキアに
は,このうち被控訴人ゲームに設定されていない
武器が,合計49種類も存在する。例えば,トラキア
には,被控訴人ゲームに設定されていない武器と
しては,「どくの剣」,「スリープの剣」,「バーサクの
剣」,あるいはキャラクター名が付された「マリータ
の剣」や「ベオの剣」などがある。
(d-2) 道具
 道具の種類として,HP回復薬(5種類),
盾(11種類),能力値プラス及びクラスチェンジ
アイテム(17種類),その他(13種類)の合計
46種類の道具が存在する。このうちトラキアに
設定されていない道具は45種類も存在する。
特に,被控訴人ゲームでは,道具に関するゲ
ームシステムとして,「盾」という道具が採用さ
れた点において特徴的であり,盾を装備して
「守備力」を上げるという特徴的なシステムが
採用されている。
 道具の種類として,リング(9種類),書(12種類),
その他(18種類)の40種類の道具が存在する。この
うち被控訴人ゲームに設定されていない道具は
39種類も存在する。トラキアと被控訴人ゲームに共
通する道具のうち,名称が一致する物は,トラキア
の「とびらのかぎ」と被控訴人ゲームの「とびらのカ
ギ」のみであり,名称が類似する物も,トラキアの
「はねばしのかぎ」と被控訴人ゲームの「はしのカ
ギ」だけである。
(d-3) 魔法
 被控訴人ゲームには,29種類の魔法と16種
類の杖が存在するが,このうちトラキアに存在
しない魔法は24種類,杖は10種類もそれぞれ
存在する。被控訴人ゲームには,トラキアに設
定されていない魔法として,一度に複数のユニ
ットに打撃を与えることのできる「範囲魔法」
 トラキアには,19種類の魔法と18種類の杖が存
在するが,このうち被控訴人ゲームに存在しない魔
法は14種類,杖は12種類もそれぞれ存在する。トラ
キアは,杖に特徴があり,ユニットを眠らせたり,混
乱させたり,逆にそれらを治したりといった魔法
(「バーサク」,「スリープ」,「レスト」,「キア」など)
(その中でも「オーラレイン」は画面上全ての敵
ユニットに打撃を与える。)などの被控訴人ゲ
ームを特徴づける魔法が存在する。
が多数ゲームソフト中に登場する。
(d-4) その他
 被控訴人ゲームには,「ブレス」という被控訴
人ゲームに特徴的なアイテムが存在する。な
お,ブレスとは,ストーリー上の重要キャラクタ
ーである4人のシスター(巫女)が変身する4匹
の竜の攻撃方法である。
 トラキアには,「ブレス」に相当する特殊なアイテ
ムは存在しない。
(d-5)パラメータ
(d-5-1) ユニットのパラメータ
 被控訴人ゲームには,トラキアに設定されて
いないパラメータとして,①武器熟練度,②兵
種熟練度,③マップ属性熟練度,④好意度が
存在する。特に,「熟練度」は,「命中率」と「回
避率」の計算にボーナスが与えられるという新
しいパラメータである。
 トラキアには,被控訴人ゲームに設定されていな
いパラメータとして,①体格,②疲労,③指揮,④行
動が存在する。特に,「体格」と「疲労」のパラメータ
は,「かつぐ」,「捕える」というトラキアを特徴づける
コマンドと関連するパラメータであり,トラキアのゲ
ーム性を強く特徴づけている。
(d-5-2)武器に関するパラメータ
 被控訴人ゲームには,トラキアに設定されて
いないパラメータとして,「範囲」,「撃破数」,
「呪い状態」が存在する。
 トラキアには,被控訴人ゲームに存在しないもの
として,ある武器を持つと,当然に一定のスキルが
備わるという特殊な武器(あんこくの剣,せいなる
剣,マリータの剣,ベオの剣,ドラゴンランス)が設
定されている。
(d-5-3) マップに関するパラメータ
 被控訴人ゲームには,トラキアに設定されて
いないパラメータとして,「マップ属性」が存在
する。
 トラキアには,被控訴人ゲームに設定されていな
いパラメータとして,「地形防御力」,「地形魔力」が
存在する。
(d-5-4) 共通するパラメータを利用した計算式
の相違
 被控訴人ゲームとトラキアに共通して設定さ
れているパラメータからなる計算式の内容は,
「魔法攻撃力」,「守備力」,「攻撃速度」,「命
中値」,「回避値」,「必殺値」,「必殺回避値」な
どの多くの計算式で異なっている(むしろ,計
算式の内容が共通であるのは,唯一,「物理
攻撃力」のみにすぎない。)。
(d-6)マップ上の施設,地形等
 被控訴人ゲームでは,全体マップ上に,武器
屋,道具屋等の施設が設定され,戦闘マップ
に設定されたマップ属性も見ることができる。
戦闘マップ上に,トラキアには設定されていな
い施設,地形として,攻撃できる門が存在す
る。
 被控訴人ゲームでは,全体マップ上に施設は設
定されておらず,戦闘マップのマップ属性も見るこ
とができない。戦闘マップ上に,被控訴人ゲームに
は設定されていない施設,地形として,離脱ポイン
トがある。
(d-7)対戦ゲームシステム
 対戦モードの設定がある。 対戦モードの設定がない。
 ア 基本システム
 SRPGのゲームソフトを制作するにあたり,基本システムとして,どのようなシス
テムを採用するのかは,ストーリーとも密接不可分に関連する,ゲーム制作上,極
めて重要な事項である。
 トラキアは,1つの部隊が,戦場を順に移動し,戦闘をしてゆくだけの単純なスト
ーリーであり,それと表裏一体の関係として,基本システムとして,大戦略型の
SLGシステムが順々に繰り返し展開されるというシナリオキャンペーン型の基本シス
テムが採用されている(トラキアの全体マップでは,プレイヤーは一切操作をする
ことができず,ゲームの進行に全体マップは影響しない。)。
 これに対し,被控訴人ゲームは,2つの部隊が,戦場のみならず,戦場以外の場所
へも移動し,戦闘以外のイベントも同時多発的に経験してゆく複雑かつ壮大なスト
ーリーであり,それと表裏一体の関係として,基本システムとして,戦場マップに
おける大戦略型のSLGシステムに加えて,全体マップにおけるADVシステムが採用さ
れた(被控訴人ゲームの全体マップでは,プレイヤーは色々な操作ができ,全体マ
ップの存在と全体マップでのプレイヤーの操作が,ゲームの進行に大きな影響を与
える。)。
 以上のとおりであるから,被控訴人ゲームとトラキアの基本システムの違いは,
ストーリーの違いと表裏一体のものとして,被控訴人ゲームとトラキアとの全体的
な印象,ゲームバランス等の違いを強く印象付けている。
 イ ユニット,アイテム,コマンド,パラメータ,マップ上の施設等
 ユニット,コマンド,アイテム,パラメータ,マップ上の施設や地形等の設定も
ゲームシステムの一部を構成するものであり,これらの相違こそ,まさに,各
SRPGのゲームソフトの戦略的妙味や各キャラクターの個性を産み出し,ひいては,
各SRPGのゲームソフト特有のゲームバランスを形成する重要な原因となっている。
 例えば,トラキアでは,他人を捕えたり運んだりすることができるというゲーム
のルールを設定し,このルールを実現するためのゲームシステムとして,コマンド
については,「かつぐ」,「おろす」,「人交換」,「捕える」,「解放」という
トラキアに特徴的なコマンドを設定し,パラメータについても,「かつぐ」や「捕
える」というコマンドに関連する「体格」や,一定値に達するとユニットがマップ
に出撃できなくなる「疲労」というトラキアに特徴的なパラメータを設定してい
る。これらのコマンドやパラメータを設定したことによって,トラキアの戦略的妙
味は増加し,トラキア固有のゲーム性が形成される重要な原因となっている。
 他方,被控訴人ゲームにおいては,城内に籠城しているような敵を攻略する場
合,その難易度を決定する要素の一つとしてHPを設定した門が設定されており,こ
れを破壊しないと城の中に入れないといった,城塞攻防戦におけるリアリティを強
化する演出がなされている。また,被控訴人ゲームでは,個々のユニットに対する
プレイヤーのプレイによる個人差を反映し,プレイヤーのユニットに対する思い入
れを強化するという側面から,「撃破数」という武器に関するパラメータが設定さ
れている。各マップと各ユニットに,それぞれ属性(例えば,マップについては,
沼地,草原など,そのマップ全体を印象づけるもの。ユニットについては,歩兵,
騎馬など。)を設定し,これらの属性に適合する状況で戦闘することで,その状況
における経験が増加し,同一条件下では育成したユニットが有利に戦えるようにな
るなど,プレイヤーの操作によってキャラクターの特性が変化することを実現して
いる。2人のプレイヤーが同一のキャラクターを育成したとしても,その戦闘したマ
ップなどが違えば,ユニットの特性も違うものになるのである。これは,クラスチ
ェンジなどとは異なり,プレイヤーの個人差が反映するものであり,被控訴人ゲー
ム独自のゲーム性の形成に大きく寄与している(この「撃破数」というパラメータ
は,もちろんトラキアには存在しない。)。
 以上のとおり,コマンド,パラメータ等に関するゲームシステムの相違も,被控
訴人ゲームとトラキアの違いを印象づける要因となっている。
ウ 対戦ゲームシステム
 複数のプレイヤー同士で対戦できる対戦ゲームシステムの設定は,一般に,プレ
イヤーのキャラクターに対する思い入れをさらに深める効果をもち,ゲームバラン
スを特徴づける一つの要素であるから,対戦ゲームシステムの採用についての相違
もまた両ゲームの違いを印象づける要因である。
エまとめ
 以上のとおり,被控訴人ゲームとトラキアのゲームシステムは,基本システムの
点では全く異なり,その余の部分でも,大きく異なっており,ストーリーの違いと
あいまって,両ゲームソフトのゲームバランスの違いを形成している。
 (2) 共通部分とその評価
被控訴人ゲームとトラキアは,ユニット,コマンド,アイテム,パラメータ,戦
闘マップ上の施設,地形などのシステムにおいて,一部,共通のユニットやコマン
ドなどが設定されている。しかしながら,これらは,いずれもアイデアというべき
ものであって,著作権法上の保護対象となる表現でなく,しかも,その多くは他の
SLGやSRPGとも共通するものであるから,アイデアのレベルにおいても,ありふれた
ものであって,創作性は認められない。
 例えば,被控訴人ゲームとトラキアに共通するコマンド(例えば,攻撃,待機,
制圧等)やパラメータ(例えばLv:レベル,HP:ヒットポイント等)は,被控訴人A
がファイアーエムブレム・シリーズ第1作を制作するに際して参考にした,「大戦
略」,「ガイアの紋章」,「ネクタリス」,「ドラゴンクエスト」等のゲームに既
に存在したアイデアであり,コンピューターゲームとしてのSLG,RPGやSRPGにおい
て,古くから存在するオーソドックスなありふれたアイデアにすぎない。また,被
控訴人ゲームとトラキアには,ユニットのクラス(種類)として共通のクラスが何
種類か存するが,その大半は,被控訴人Aがファイアーエムブレム・シリーズ第1作
を制作するに際して参考にした,「ガイアの紋章」,「エルスリード」等のゲーム
に既に存在したアイデアであり,SLGやSRPGにおいて古くから存するオーソドックス
なありふれたユニットのクラスにすぎない(両ゲームソフトに共通するユニットの
クラスの名称は,いずれも普通名詞であって,トラキアに固有の造語ではな
い。)。
 仮に,ゲームシステムがアイデアのレベルにおいて創作性が高いものであったと
しても,翻案該当性を判断するに際して,著作物の背後にあるゲームシステムやゲ
ームのルールの創作性が考慮されるべきでない。
 以上のとおりであるから,被控訴人ゲームとトラキアの両ゲームソフトにゲーム
システムの一部が共通することは,被控訴人ゲームが,トラキアの翻案に当たるこ
とを基礎づけるような事実ではない。
 3 ゲームの場面
 SRPGのゲームソフトにおいて,場面をどのように設定するかは,ストーリーやゲ
ームシステムと密接に関係する,ゲーム制作上のアイデアにすぎない。また,SRPG
のゲームソフトの各場面における影像表現(グラフィック)の中には,著作権法上
の保護対象となる表現も含まれ得るが,これらの影像表現の中には,あるゲームシ
ステムを実現しようとすれば,必然的に選択せざるを得ない表現であったり,ある
いは,ゲーム影像のユーザーインターフェース性やハード機等の性能等に起因する
表現上の制約を考慮すれば,選択の幅の狭い表現であったりするものが多い。具体
的には,以下のとおりである。
 (1) 場面の種類とその展開順序
 ア 相違部分とその評価
 被控訴人ゲームとトラキアにおける場面の種類の相違とその展開順序の相違点を
指摘すると,以下のとおりである。
被控訴人ゲームトラキア
(a)場面の種類
 戦闘マップの一種として,ストーリーの進行と
無関係な遭遇戦マップの場面が設定されてい
る。このマップの存在は,ユニットが経験値等
を獲得しやすくして難易度を易しくするなど,被
控訴人ゲーム固有のゲーム性の形成に重要
な影響を与える。
 遭遇戦マップは存在しない。他方,トラキアには,
外伝マップが存在し,特定のマップにおいて特定の
条件(例えば,村が全て壊されていない。)が実現
すると,外伝マップに行けるという,被控訴人ゲー
ムにはない設定がされており,被控訴人ゲーム固
有のゲーム性に影響を与えている。
(b)場面の展開順序
 全体マップの中でプレイヤーの操作が可能 全体マップでプレイヤーの操作はできないので,
であるから,全体マップの場面の中だけでゲー
ムが進行したり,全体マップ場面とイベントの
場面を繰り返したりするなど,戦闘マップの場
面を経ないで場面が展開することも多い。
全体マップの場面と戦闘マップの場面の繰り返し
の順序でしか場面は展開しない。
 イ共通部分とその評価
 被控訴人ゲームとトラキアは,ゲーム中に配置された場面の種類が,概ね,①タ
イトル,オープニングの場面,②全体マップの場面,③戦闘マップの場面(オンマ
ップ場面),④切替戦闘アニメーションの場面,⑤会話,イベント等の場面(クラ
スチェンジの場面を含む。),⑥エンディングの場面である点において共通し,そ
れらの場面がゲームソフト中で展開される順序にも共通するところがある。
 しかしながら,どのような場面を配置し,どのような順序で展開させるのかは,
ストーリーやゲームシステムとも密接不可分に関連するゲームソフト制作上のアイ
デアにすぎない。例えば,被控訴人ゲームとトラキアの両ゲームソフトに共通する
マップの中で重要なマップは全体マップと戦闘マップであるが,全体マップと戦闘
マップを組み合わせて展開させるという「マップ制」のアイデアは,被控訴人Aが
ファイアーエムブレム・シリーズ第1作「暗黒竜と光の剣」を制作するに際して参考
にした,「ガイアの紋章」,「ロード・オブ・ウォーズ」,「ネクタリス」等のゲ
ームに既に存在したアイデアであり,SLGやSRPGにおいて古くから存するオーソドッ
クスでありふれたアイデアにすぎない。他にも,ゲームソフト全体における場面の
種類とその展開順序が被控訴人ゲーム及びトラキアと共通するSRPGは多数存在す
る。したがって,両ゲームソフトの共通性は,アイデアの部分(表現ではない部
分)に存するにすぎず,しかも,そのアイデア自体が,ありふれた創作性のないも
のである。
 (2) タイトル,オープニングの場面
 タイトル,オープニングの場面は,SRPGのゲームソフトのプレイヤーがSRPGのゲ
ームソフトをプレイするに際し,最初に接する場面であるから,プレイヤーに与え
る印象は大きく,その違いは,SRPGのゲームソフト全体の印象に大きな影響を与え
る。これを被控訴人ゲームとトラキアについて見るに,両ゲームソフトのタイト
ル,オープニングの場面は,以下のとおり大きく相違する。
被控訴人ゲームトラキア
(a)全体の印象
 洋画的,実写的であり,写真のような現実感
がある。
 アニメ的あるいは紙芝居的である。
(b)ナレーションの文字表記
 英語だけの表記を採用(年齢層の高さを考
慮したためである。)。
 英語に加えて,日本語表記を併用している(年齢
層の低さにあわせたためである。)。
(c)背景画面
 連続した1枚のグラフィックであり,右から左
へスクロールしながら連続影像で表現される。
 背景は,異なる数枚のグラフィックであり,これが
数回にわたって切り替わる。
(d)ゲームタイトルの表示されるタイミング
 ナレーションの表示が終わると,直ちに,タイ
トルが表示される。
 ナレーションの表示が終わると,タイトルの表示
の前に,「13yearslater」との文字表記がされる(フ
ァイアーエムブレム・シリーズ第4作「聖戦の系譜」
のサイドストーリーであるためである。)。
(e)タイトルの表示
 ゲームタイトルが,実写的に表現された炎に
包まれながら表示され,その後,著作権表示
が行われる。
 ゲームタイトルが単純に表示され,これと同時に
著作権表示も行われる。
 
 
 (3) 全体マップの場面
 ア 相違部分とその評価
 全体マップの場面は,SRPGのプレイヤーが,ゲームソフトの進行の全体像を鳥瞰
することができる場面であるから,全体マップの違いは,SRPGのゲームソフト全体
の印象に大きな影響を与える。これを被控訴人ゲームとトラキアについて見るに,
両ゲームソフトの全体マップの場面は,以下のとおり大きく相違する。 
 
被控訴人ゲームトラキア
(a)全体マップの果たす役割
 プレイヤーが全体マップ中での操作(移動先
の選択や編成など重要な操作である。)を行う
ことが可能であり,その操作は,ゲームの進行
(ストーリーの展開や場面の展開順序)に大き
な影響を与える。
 プレイヤーが全体マップの中で操作を行うことは
不可能であり,全体マップはゲームの進行に影響
を与えない。
(b)全体マップ中に表示される情報
① ユニットのフィギア(全身像)が小さく表示さ
れ,ユニットの位置や状況が表示される。
② ストーリー(ナレーション)は表示されない
(全体マップにおけるADVシステムの採用によ
り,ストーリーは,全体マップでユニットを移動
させることによってプレイしながら自然に得られ
るようになっている。)。
③ 緯線・経線は表示されない。
① 主人公のリーフの顔絵が大きく表示されるが,
その位置や状況は表示されない。
② ストーリー(ナレーション)が表示される(全体マ
ップにおけるADVシステムが採用されていないの
で,ストーリーをナレーションで表示せざるを得な
い。)。
③緯線・経線が表示される。
(c)具体的な影像表現
 両ゲームソフトの全体マップは,マップ中に表
示される大陸の形,大陸中に表示される情報
の種類や地形等の表現において,全く異なっ
ている。
 イ 共通部分とその評価
 両ゲームソフトの全体マップは,西洋中世風の架空の大陸をセピア色の色調の古
地図風に表現しており,全体マップ上に地形等の情報が表示され,マップ上に主人
公ユニットが表示されるなどの点において共通する。
 しかしながら,ストーリーの舞台設定が西洋中世風の架空の大陸とされれば,そ
の設定にマッチする色調として,セピア色の色調が採用されることは,色の使い方
として,いわば常識の範疇の事柄であり,両ゲームソフトに共通するセピア色の色
調には,色使いの点において創作性は全く感じられない。
 また,SRPGのゲームソフトを全体マップと戦闘マップからなる「マップ制」で制
作しようとすれば,通常の地図と同様に,地形などが表示され,ゲームソフト全体
における進行状況を示すために,ユニットの移動する場所の表示がされることは,
いわば当然のことであり,また,ユニットを全体マップ中に表示することにも何ら
創作性は発揮されていない。
 以上のとおり,被控訴人ゲームとトラキアの全体マップに共通する事項は,被控
訴人ゲームが,トラキアの翻案に当たることを基礎づける事実では,およそあり得
ない。
 (4) 戦闘マップの場面
 ア 相違部分とその評価
 被控訴人ゲームとトラキアの戦闘マップについて,ゲームシステムなどのアイデ
アの部分を捨象して,具体的な表現の違いを見れば,以下のとおり両者は全く異な
っている。とりわけ,戦闘マップにおける地形,建物・村落等の配置,敵を含むユ
ニットの配置(配置されるユニットの種類と配置される場所)は,SRPGのゲームソ
フトにおけるSLG的要素(戦術的要素)を左右する重要な事項であり,また,戦闘マ
ップにおいて登場するユニットの内容や登場するタイミング等は,SRPGのゲームソ
フトのストーリーと密接に関連して設定される事項であるから,これらの相違は,
被控訴人ゲームとトラキアのそれぞれに固有のゲームバランスに,極めて重要な相
違を与えるというべきである。
被控訴人ゲームトラキア
(a)マップ数
 基本マップは全40マップ。他に,遭遇戦マッ
プが全11マップ。
 基本マップは全25章(全27マップ)。他に,外伝マ
ップが8マップ。
(b)標準設定の内容
①ユニットにカーソルをあわせた場合は,吹出
し形式ではない形式で表示される。
②ユニットを選択すると,移動可能範囲のみ
が表示される。
①ユニットにカーソルをあわせた場合は,ユニット
に関する情報が吹出し形式で表示される。
②ユニットを選択すると,移動可能範囲と攻撃可
能範囲が両方表示される。
(c)吹出しの表示
 ユニットの名前,兵種(クラス),HPは,3種類
の表示方法から選ぶことができる。なお,吹出
しの形以外の表示方法が標準設定である。
 ユニットの名前とHPは,常に,吹出しの形で表示
される。
(d)移動可能範囲の表示
 移動可能範囲は,味方ユニットは緑色,敵ユ
ニットは青色,中立ユニットは白色で表示され
る。桝目は,境界線がない。なお,標準設定で
は移動可能範囲のみが表示され,攻撃可能範
囲は表示されない。標準設定以外にも,①味
方ユニットの移動可能範囲のみを表示する設
定,②味方ユニットのみの移動可能範囲と攻
撃可能範囲を表示する設定,③全ユニットの
移動可能範囲と攻撃可能範囲を表示する設定
が存在する。
 移動可能範囲は,味方ユニット,敵ユニット,中立
ユニットの区別なく,常に,青色で表示される。桝目
は,白色の境界線で画されている。なお,標準設定
が,移動可能範囲と攻撃可能範囲の両方が表示さ
れるというものであり,標準設定以外の設定は存
在しない。
(e)ユニットに関する情報を表示するウィンド
ウの表示
<画面表示の内容>
① ウィンドウ数は7枚。
② 画面上部は,ユニットのステータス一覧を
表示し,左右にスクロールする。画面下部は,
選択したユニットのステータスを表示し,スクロ
ールしない。
③ ユニット名の隣に,当該ユニットを表すアイ
コンは表示されない。
④選択したユニットの顔イラストが大きく表示さ
れる。
⑤ 選択したユニットの各パラメータを示すウィ
ンドウが,画面下部に表示される。
<表示項目>
① 名前,クラス,レベル,経験値,現在のHP・
<画面表示の内容>
① ウィンドウ数は6枚。
② 画面全体が,ユニットのステータス一覧を表示
し,スクロールはしない。
③ ユニット名の隣に,当該ユニットを表すアイコン
が表示される。
④ 選択したユニットの顔イラストは表示されない。
⑤ 選択したユニットの各パラメータを示すウィンド
ウは表示されない。
<表示項目>
最大HP
② 移動力,装備している武器
③ 攻撃力,射程,命中率,回避率
④ 必殺攻撃率,必殺回避率,総合守
備力,魔法防御力
⑤ 行動速度,力,技,素早さ
⑥ 魔力,運,武器レベル,戦闘力
⑦ スキル
① 名前,クラス,レベル,経験値,現在のHP・最
大HP
② 装備している武器,攻撃力,命中率,回避率
③ 移動力,疲労度,状態,同行者
④ 力,魔力,技,速さ,幸運,守備力,
体力
⑤ 武器レベル
⑥ スキル
(f)縮小マップ
① 縮小マップの外周に,黒地の枠を表示す
る。縮小マップの枠として,赤い桝目を表示す
る。
② 境界線を表示する。
③ 縮小マップの背景に表示されている戦闘
マップは,暗転せず通常の色で表示される。
④ 縮小マップ中,表示されている戦闘マップ
に対応した部分は,白枠で囲んで表示する。
 なお,被控訴人ゲームの縮小マップ
は,形と大きさの異なる複数の種類
の設定が存在する。
① 縮小マップの外周に枠を表示しない。
② 境界線を表示しない。
③ 縮小マップの背景に表示されている戦闘マップ
は,暗転して表示される。
④ 縮小マップ中,表示されている戦闘マップに対
応した部分は,四隅のみ白枠を表示する。
 なお,トラキアの縮小マップは,1種
類の設定しか存在しない。
(g)戦闘マップ中の具体的な表現
 被控訴人ゲームとトラキアの各戦闘マップの
場面における,地形,建物・村落等の配置やそ
の具体的な表現,各マップにおいて登場する
ユニットの配置,各ユニットの容貌(ドット絵と
顔絵),髪型,服装,装飾品についての具体的
な表現,画面に重ねて表示されるウィンドウの
大きさ・形・枠線の色,ウィンドウ内に表示され
る情報の内容,攻撃移動可能範囲についての
色の使い方,あるいはこれらの標準設定の内
容など,具体的な表現は全く相違する。
イ 共通部分とその評価
 被控訴人ゲームとトラキアの各戦闘マップの場面中には,一部,表現手法などの
アイデアや具体的な表現において共通する部分がある。そこで,SRPGのゲームソフ
トの著作物特性に照らして,それらの共通部分が,著作権法上の保護対象となる表
現であるのか,表現であるとして,その表現の同一性が,翻案該当性の判断におい
て重要であるのか否かについて,以下検討する。
 (ア)大戦略型SLGシステムの踏襲
 戦闘マップにおいては,ゲームシステムとして大戦略型のSLGシステムが採用され
ているにすぎず,影像表現としても,大戦略型のSLGシステムに基づく影像表現がさ
れているにすぎない。そして,この大戦略型のSLGシステムは,トラキアが制作され
る以前の時期から,多くのSLGやSRPGに採用されてきた。その代表的な例が,控訴人
任天堂の「ファミコンウォーズ」である。
 したがって,トラキアの戦闘マップの場面において,それがアイデアにとどまる
ゲームシステムの部分であれ,ゲームシステムに基づく表現の部分であれ,大戦略
型のSLGシステムに起因する部分である限り,当該部分が,トラキアの表現上の本質
的な特徴を構成することはあり得ない。
 (イ) トップビューの視点による戦闘マップ上のユニットの表現
 被控訴人ゲームとトラキアの両ゲームソフトの戦闘マップの場面は,トップビュ
ーの視点でユニットが表現されている点において共通する。
 しかしながら,写真の著作物において,カメラアングルそのものがアイデアにす
ぎず,著作権法上の保護対象にあたらないのと同様に,SRPGのゲームソフトにおけ
る戦闘マップの場面において,ユニットをどの方向からの視点で表現するのかとい
うことも,アイデアにすぎない。
 しかも,トップビューの視点でユニットを表現するという手法は,被控訴人Aが
ファイアーエムブレム・シリーズ第1作を制作するに際して参考にした,「ガイアの
紋章」,「ファーストクイーン」,「エルスリード」,「大戦略」,「ドラゴンク
エスト」,「三國志II」,「ロード・オブ・ウォーズ」,「ネクタリス」等のゲー
ムに既に存在したアイデアであり,コンピュータゲームとしてのSLG,RPGやSRPGに
おいて,古くから存したオーソドックスなありふれたアイデアにすぎない。戦闘マ
ップ上のユニットを表現する視点として,トップビューの視点以外にも,クオータ
ービューなど,いくつかの視点が考えられるが,それほど多くの視点が存在するわ
けではない。
 以上のとおりであるから,被控訴人ゲームとトラキアにおいて,戦闘マップ上の
ユニットを表現する際のトップビューの視点が共通することは,被控訴人ゲームが
トラキアの翻案に当たることを基礎づける事実ではあり得ない。
(ウ)人間に近い頭身比によるユニットの表現
 被控訴人ゲームとトラキアの両ゲームソフトにおける戦闘マップ上のユニットの
頭身比は,概ね共通する。しかしながら,ユニットを,ハード機の性能上の制約が
ある中で,どのような頭身比で表現するのかは,アイデアの問題である。しかも,
戦闘マップ中のユニットをどのような頭身比で表現するかについては,いわゆるド
ット絵で表現せざるを得ない以上,さして表現上の選択の幅が広いものでもない。
 さらに,ユニットの頭身比も,ゲームのストーリーという最も重要な要素によっ
て,表現上の制約を受けざるを得ない。例えば,頭デッカチな頭身比で表現すれば
コミカルな印象を与え,人間に近い頭身比で表現すればリアルな印象を与えるた
め,ゲームのストーリーが緊張感のある戦記物である場合であれば,できる限り実
際の人間に近い頭身比が選択されることになるのは当然であり,選択の幅はないに
等しい。
 以上のとおりであるから,被控訴人ゲームとトラキアにおいて,戦闘マップ上の
ユニットの頭身比が概ね共通することは,被控訴人ゲームが,トラキアの翻案に当
たることを基礎づける事実ではあり得ない。
(エ)選択前,選択後移動前,移動後の3段階におけるユニットの表現の使い分け
 被控訴人ゲームとトラキアは,戦闘マップ中の自軍ターンにおける自軍ユニット
の表現として,①プレイヤーによって選択される前の状態にあるユニットについて
は,武器等を動かした所定の待機ポーズの表現,②プレイヤーにより選択された
後,移動前の状態にあるユニットについては,その場動きの表現,③プレイヤーに
よって移動された後の状態にある(選択して移動させることのできなくなった状態
にある)ユニットについては,暗系色に変わった所定の待機ポーズの表現という形
式で,ユニットの置かれた状況に応じてユニットについて3種類の表現が使い分けら
れている点において共通している。
 しかしながら,これらの表現も,ユニットの置かれた状況をプレイヤーに画面上
で視覚的にわかりやすく表現しようとするためのアイデアに基づく,選択の幅の極
めて狭い中での表現であり,大戦略型SLGシステムを採用したことによる,いわば当
然の帰結ともいうべき表現にすぎない。すなわち,大戦略型SLGシステムを踏襲し
て,プレイヤーが戦闘マップ上で行う基本的な操作を上記3種類とし,それぞれの状
態を1対1対応で表現するというアイデアは,被控訴人Aがファイアーエムブレム・
シリーズ第1作を制作するに際して参考にした「大戦略」の他,「ガイアの紋章」,
「ネクタリス」等のゲームソフトにも既に存在したありふれたアイデアである。次
に,そのアイデアに基づき,ユニットの置かれた3段階の状態を,プレイヤーにとっ
て容易かつ視覚的に区別できるように画面上で表現しようとすれば,せいぜい,①
ユニットの色を変える,②ある状態に固有の動きをユニットにさせる,③点滅させ
る,④ある状態に固有のマークをつける(例えば,endを意味するE表示をつける)
等のわずかな数の表現上の選択肢しか存在せず,その中から,ユニットの色を変え
るというアイデアを採用したとしても,表現の選択の幅はほとんど
ない。
したがって,被控訴人ゲームとトラキアにおいて,戦闘マップ上のユニットにつ
いて,ユニットの置かれた3段階の状態に応じて3種類の表現が採用されていること
は,被控訴人ゲームが,トラキアの翻案に当たることを基礎づける事実ではあり得
ない。
(オ)ユニットの表現される順序(「移動」,「攻撃」その他の行動,「待機」の
順序)
 被控訴人ゲームとトラキアの両ゲームソフトは,大戦略型SLGシステムを踏襲した
がゆえに,前記のとおり,戦闘マップ中の自軍ターンにおけるプレイヤーの基本的
な操作が,①移動させる「ユニットの選択」,②選択したユニットの「移動先の選
択」,③移動後のユニットの「行動の選択」(「攻撃」,「待機」,その他のコマ
ンドの選択)である点において共通する。
 しかしながら,ゲームを進行させるためのプレイヤーの操作として,どのような
タイミングで,どのような操作をさせるのかは,まさにゲームシステムそのもので
あり,ゲーム制作上のアイデアである。しかも,プレイヤーに前記3回の操作を行わ
せることを基本とするというアイデアは,「大戦略」,「ガイアの紋章」,「ネク
タリス」等のゲームに既に存在したアイデアであり,古くから存するオーソドック
スでありふれたアイデアにすぎない。
 そして,SRPGのゲームソフトにおいて,戦闘マップ中におけるプレイヤーの基本
的な操作を上記の3種類にするというアイデアを採用すれば,ユニットの動きの順序
として,(選択前の状態の表現→)①「移動」の表現→②(移動後における)「攻
撃」その他の行動の表現→③「待機」後の状態の表現という流れで,画面上に順番
に表示されることは当然である。このような順序でユニットの動きの影像が表示さ
れることは,トラキア固有の特徴などではない。
 また,このような順序でユニットの動きの影像が表示される回数が多いこと
は,SRPGのゲームソフトにおいて,「繰り返し」の表現手法が多用されることの必
然的な結果にすぎない。
 以上のとおりであるから,被控訴人ゲームとトラキアにおいて,戦闘マップ上の
ユニットの動きが,「移動」,「攻撃」その他の行動,「待機」の順序で表現され
ることは,被控訴人ゲームが,トラキアの翻案に当たることを基礎づける事実では
あり得ない。
(カ)移動中のユニットの表現
 被控訴人ゲームとトラキアは,プレイヤーの操作によって移動先を選択されたユ
ニットが,移動先に移動するまでの間,当該ユニットが遠く(画面上方)へ行くと
きは後ろを向く等の4方向を向いた表現をしている点や,足などが動く表現をして
いる点において共通する。
 しかしながら,これらも,いずれもアイデアにすぎない。しかも,これらのアイ
デアは,ハード機等の性能が向上した後においては,多くのゲームにおいて採用さ
れるに至った,ありふれた表現手法にすぎない。むしろ,ゲームのストーリー設定
上,ある程度リアルな表現が求められるゲームソフトであれば,ハード機等の性能
が許す限り,ユニットをこのような現実に近い形で表現しようとすることは当然の
ことである。
 以上のとおりであるから,被控訴人ゲームとトラキアにおいて,戦闘マップ上の
ユニットの移動中の表現において共通部分が存することは,被控訴人ゲームが,ト
ラキアの翻案に当たることを基礎づける事実ではあり得ない。
(キ)「移動」後のユニットに関する表現
 被控訴人ゲームとトラキアは,ユニットの移動後に,メニューコマンド形式で当
該ユニットの選択できる行動の種類が画面上に表示される点において共通する。
 しかし,ユニットを,どのようなタイミングで,どのように動かせるようにする
のかは,ゲームのルールそのものであり,それをメニューコマンド形式(ウィンド
ウ形式)で表示することは,表現手法の問題にすぎず,著作権法上の保護対象とな
る表現の問題ではない。
 また,被控訴人ゲームとトラキアは,ユニットが移動した後に行える行動の種類
を規定するコマンドの名称とその内容において,共通する部分がある。
 しかしながら,ユニットが移動後にどのような行動をできるようにするのか(ど
のようなユニットコマンドを設定するのか)も,ゲームのルールそのものであり,
ゲーム制作上のアイデアにすぎない。しかも,それらのコマンドの多くが,被控訴
人Aがファイアーエムブレム・シリーズ第1作を制作する以前から存在していた,オ
ーソドックスなコマンドであることは,前記のとおりである。
 以上のとおりであるから,被控訴人ゲームとトラキアにおいて,戦闘マップ上の
ユニットの移動後に関する表現において共通する部分が存することは,被控訴人ゲ
ームが,トラキアの翻案に当たることを基礎づける事実ではあり得ない。
(ク)カーソルやウィンドウの表現
 被控訴人ゲームとトラキアは,①カーソルが4つの鈎からなり,カーソルが大き
くなったり小さくなったりするという動きがある点,②ユニットにカーソルを合わ
せる操作をすると当該ユニットについての基本的な情報がウィンドウ形式(画面全
体よりも小さなウィンドウを画面上に重ねて表現する形式)で表現される点,③ユ
ニットを選択する操作を行うと移動(攻撃)可能範囲が表現される点,④移動後に
選択できる行動や選択できる武器がメニューコマンド方式(ウィンドウ方式)で表
現される点,⑤武器を選択する操作を行うと戦闘前パラメータがウィンドウ形式で
表示される点などの点において共通する。
 しかしながら,これらは,SRPGのゲームソフトにおけるユーザーインターフェー
ス性を考慮した結果,選択の幅の乏しい中から,いわば必然的に採用された表現に
すぎない。いずれの表現も,画面表示を通じて視覚的にわかりやすい形で,プレイ
ヤーに対して,ゲームソフトをプレイするために必要な情報を提供するための工夫
から導かれたものであり,このアイデアを実現しようとすれば,表現に選択の余地
はほとんどない。しかも,これらのアイデアの多くは,「大戦略」,「ガイアの紋
章」,「ネクタリス」等のゲームに既に存在したアイデアであり,古くから存在し
た,オーソドックスでありふれたアイデアにすぎない。
 以上のとおりであるから,被控訴人ゲームとトラキアにおいて,戦闘マップ中の
カーソルやウィンドウの表現において共通する部分が存することは,被控訴人ゲー
ムが,トラキアの翻案に当たることを基礎づける事実ではあり得ない。
(ケ)まとめ
 戦闘マップの場面において,被控訴人ゲームとトラキアが共通する部分は,いず
れも,ゲームシステム,ゲームのルール,表現手法その他ゲーム制作上のアイデア
か,さもなくば,具体的な表現であっても,そのアイデアを具体的に表現しようと
すれば,ほとんど選択の余地のない表現ばかりである。
 しかも,それらのアイデアは,コンピュータゲームとしてのSLG,RPG,SRPGにお
いて古くから見受けられ,現在においても多くのゲームにおいて採用されているオ
ーソドックスな,ありふれたアイデアや表現にすぎない。
 したがって,被控訴人ゲームとトラキアの戦闘マップの場面に,一部共通するア
イデアや表現が存することは,被控訴人ゲームが,トラキアの翻案に当たることを
基礎づける事実では全くない。
(5) 切替戦闘アニメーションの場面
 ア 相違部分とその評価
 切替戦闘アニメーションの場面がテレビ画面上に表示されているときは,プレイ
ヤーはゲームソフトを操作することができない。したがって,切替戦闘アニメーシ
ョンの場面については,プレイヤーも単に見るだけであるから,この点において
は,通常の映画の一種であるアニメーション映画と同様にとらえることができる。
 しかるに,被控訴人ゲームとトラキアの切替戦闘アニメーションの場面は,ユニ
ットが画面全体に占める割合,ユニットの容貌,髪型,服装,装飾品,武器などの
各表現,ユニットの動きの表現(特に,被控訴人ゲームでは,ユニットが画面から
一瞬表示されなくなるという表現によって,ユニットが大きく動いている様を表現
しているが,トラキアではそのような表現は採用されていない),遠景として表現
される背景画面,文字によるパラメータの変化の表示など,具体的な表現としては
大きく相違している。これらの相違点を指摘すれば,以下のとおりである。
被控訴人ゲームトラキア
(a)スクロールの有無
 背景画面との関係で,左右のみならず,上下
のスクロールも存在し,ダイナミックな動きが表
現されている。
 背景画面との関係で,左右のスクロールしか存在
せず,上下のスクロールは存在しない。
(b)ユニットの描き方
 ユニットは,画面中に,大きく表示され,ユニ
ットが画面から見えなくなるという特徴的な表
現も行われ,ダイナミックな動きが表現されて
いる。具体的なユニットや,それが騎乗するペ
ガサス,ドラゴン馬等の動物の表現は,トラキ
アのものとは,全く異なる。
 ユニットは,画面中に,小さく表示され,ユニットが
画面から見えなくなる表現は採用されていない。具
体的なユニットや,それが騎乗するペガサス,ドラ
ゴン馬等の動物の表現は,被控訴人ゲームのもの
とは全く異なる。
(c)パラメータの表示
 戦闘中,パラメータウィンドウは表示されな
い。HPが表示される色はトラキアとは異なる。
減少したHPは表現されていない。
 戦闘中,敵味方で左右に分かれたパラメータウィ
ンドウが表示される。HPが表示される色は,被控
訴人ゲームとは異なる。減少したHPは,黒色で表
現される。
(d)メッセージウィンドウの表示
 戦闘中,攻撃内容やダメージの数値を説明
するウィンドウが表示される。
 メッセージウィンドウは表示されない。
(e)背景画面
 背景画面は,全88種類も存在し,トラキアと
類似する背景は存在しない。
 背景画面は,相当の種類が存在し,被控訴人ゲ
ームと類似する背景は存在しない。
(f)具体的な影像表現の相違
 被控訴人ゲームとトラキアの切替戦闘アニメ
ーションの場面の具体的な表現は,ユニットが
画面全体に占める割合,ユニットの容貌,髪
型,服装,装飾品,武器などの各表現,ユニッ
トの動きの表現,文字によるパラメータの変化
の表示など,大きく相違している。
 イ 共通部分とその評価
 (ア)切替戦闘アニメーションの場面を設定することのアイデア性
 被控訴人ゲームとトラキアは,戦闘マップの場面中で,プレイヤーの選択によっ
て,味方ユニットと敵ユニットが戦う場面をサイドビューのアニメーション画面
(切替戦闘アニメーションの場面)で観ることのできる設定を採用している点にお
いて共通する。
 しかしながら,切替戦闘アニメーションの場面を設けるか否かは,プレイヤーの
感興を催すようにするための工夫,すなわち,アイデアにすぎない。しかも,切替
戦闘アニメーションの場面を設定するというアイデアは,それこそ,被控訴人Aが
ファイアーエムブレム・シリーズ第1作を制作するに際して参考にしたゲームである
「大戦略」,「ネクタリス」,「ロード・オブ・ウォーズ」等のゲームに既に存在
したアイデアであり,古典的でありふれたアイデアにすぎない。
 以上のとおりであるから,被控訴人ゲームとトラキアにおいて,戦闘マップから
切り替わる場面として,切替戦闘アニメーションの場面が共通して存在すること
は,被控訴人ゲームが,トラキアの翻案に当たることを基礎づける事実ではあり得
ない。
(イ)切替戦闘アニメーションの場面での表現の工夫
 被控訴人ゲームとトラキアは,切替戦闘アニメーションの場面への切替え時にい
ったん画面が暗転し,BGMも変化すること,トップビューの視点からサイドビューへ
の視点に変化し,敵味方で左右に配置されたユニットが比較的リアルなアニメーシ
ョン影像でサイドビューの視点で表現されること,ウィンドウ形式で各種パラメー
タが表現されることなどが共通する。
 しかしながら,これらも,プレイヤーの感興を催すようにするための工夫であ
り,あるいは,ゲームソフトの画面表示の有するユーザーインターフェース性から
の工夫であり,アイデアにすぎない。しかも,これらのアイデアの大半は,それこ
そ,被控訴人Aがファイアーエムブレム・シリーズ第1作を制作するに際して参考に
したゲームである「大戦略」,「ネクタリス」,「ロード・オブ・ウォーズ」等の
ゲームに既に存在したアイデアであり,コンピュータゲームとしてのSLGやSRPGにお
ける古典的なありふれたアイデアにすぎない。
 以上のとおりであるから,被控訴人ゲームとトラキアにおいて,切替戦闘アニメ
ーションの場面での表現手法において共通する部分が存することは,被控訴人ゲー
ムが,トラキアの翻案に当たることを基礎づける事実ではあり得ない。
(ウ)「攻撃」の場合のアニメーション表現
 被控訴人ゲームとトラキアは,例えば,移動後の行動を選択するメニューコマン
ドの中から攻撃を選択した場合に,切替戦闘アニメーション画面において,使用し
た武器に特有なリアルの効果音とともに武器等の軌跡が白く表現されること,敵味
方の攻撃を受ける側のユニットについて,攻撃があたりダメージを受けた場合,攻
撃があたったがダメージを受けなかった場合にはいずれも効果音が鳴るが,両者の
効果音に相違があること,攻撃があたらなかった場合には効果音がならないこと,
ダメージを受けるとHPを示す棒グラフと数値が減少すること,HPを示す棒グラフは
1メモリずつ区切られた形式であること等において共通する。
 しかしながら,これらの表現は,いわゆるアニメーションの典型的な技法を利用
したにすぎず,多くのSRPGにおいて採用されているありふれた表現である上,とり
わけ,ゲームの性格によって,リアルな表現が求められる場合であれば,採用され
ることの多い表現である(リアルな効果音等がその典型である。)。
 そもそも,HPを棒グラフ形式で表現することや,その棒グラフを1メモリずつ区分
された形式とすることは,いずれも数値情報を視覚的に表現するための情報伝達の
手法(アイデア)にすぎず,著作権法により保護される表現ではない。しかも,HP
を示すための1メモリずつ区切られた形式の棒グラフは,被控訴人Aがファイアーエ
ムブレム・シリーズ第1作を制作するに際して参考にした「ロード・オブ・ウォー
ズ」というゲームに既に存在したアイデアであり,被控訴人Aは,このゲームの表
現手法を参考にしたにすぎない。
 また,被控訴人ゲームとトラキアは,敵味方それぞれ1回の攻撃が終わって対戦す
るユニット同士の攻撃速度の値の差が各ゲームに固有の数値(「トラキア」は4,
「被控訴人ゲーム」は5)以上の場合には,攻撃速度の値の大きいユニットが再攻撃
すること,HPが0になったユニットが死亡すること,戦闘が終了して生き残っている
ユニットについては経験値が付与されること,経験値が100を超えると自動的にレベ
ルアップすることにおいても共通する。
 しかしながら,これらは,まさにゲームのルールそのものであり,アイデアにす
ぎない。しかも,ある特定の数値情報によってユニットが死亡消滅したりレベルア
ップしたりするというゲームのルールの大半は,ボードゲームとしてSLGの頃から存
在する,オーソドックスなありふれたゲームのルールにすぎない(数値を100にする
のか別の数値にするのかは,ゲーム性やゲームバランスに影響することはあって
も,表現そのものの問題ではない)。
 以上のとおりであるから,被控訴人ゲームとトラキアにおいて,切替戦闘アニメ
ーションの場面中の「攻撃」が選択された場面に,共通する表現手法や表現が存す
るとしても,このことは,被控訴人ゲームが,トラキアの翻案に当たることを基礎
づける事実ではあり得ない。
(エ)まとめ
 以上のとおり,切替戦闘アニメーション場面についていえば,表現手法等のアイ
デアにおいて共通するものが大半である。したがって,これらの共通部分の存在
は,トラキアの翻案に当たることを基礎づける事実ではあり得ず,両ゲームソフト
の印象という点においても,何ら類似しているかの如き印象を与えるものでもな
い。
(6) 会話,イベント等の場面
 被控訴人ゲームとトラキアの会話,イベント,クラスチェンジ等の場面も,その
具体的な表現は,以下のとおり大きく異なっている。被控訴人ゲームの場合,ゲー
ムソフト全体のセリフのうち約4割が,全体マップの会話,イベント等の場面におい
て表示され,しかも,その場面で表示されるセリフは,ゲームの進行に大きな影響
を与えるものであることからすれば,被控訴人ゲームにおける全体マップの会話,
イベント等の場面は,プレイヤーに対して強い訴求力を有する場面であることが明
らかである。これとの対比において,トラキアには,このような場面が全く存在し
ない以上,全体マップにおける会話,イベント等の場面の存在は,被控訴人ゲーム
に接した者が,被控訴人ゲームを通じて,トラキアの表現上の本質的な特徴を直接
感得することを極めて困難にする重要な要素というべきである。
被控訴人ゲームトラキア
(a)ADVシステムの採否
 全体マップにおける会話,イベント等の場面
において,ADVシステムを採用し,会話,イベ
ント画面でのプレイヤーの操作がゲーム進行
に影響を与える。
 全体マップにおける会話,イベント等の場面
で,ADVシステムが採用されていない。
(b)全体マップでの会話,イベント等の発生
 全体マップにおいても,多数の会話,イベント
が発生する。
 全体マップでは,会話,イベントは発生しない。
(c)キャラクター同士の会話の場合における
具体的な表現
① 茶色のボード上に,黄色の吹出しが画面
下部にのみ表示される。せりふは黒字で表示
される。
② 会話をする登場人物の胸像が,画面中央
に大きく表示される。
③ 登場人物の影像は,話者はカラーで,相
手方は暗転させて表示される。
① 紺色の吹出しが画面上下に表示される。せり
ふは白抜きで表示される。
② 会話をする登場人物の顔の影像が,画面中下
部に比較的小さく表示される。
③ 登場人物の影像の表示の仕方は,話者と相手
方で区別されない。
(d)クラスチェンジの場面における具体的な表

① 画面の演出方法
 背景とユニットの影像が,ユニットの影像を中
心として放射状に揺れるように表現される。背
景影像の色は変わらない。
② レベルアップ情報の表示方法
  画面下部のメッセージウィンドウにメッセー
ジが表示される。パラメータがアップする場合
は,数値の横に緑色の矢印を表示することで
表現される。
① 画面の演出方法
 ユニットの影像が,白い円柱状の光に包まれた状
態に表現される。背景影像の色が変わる。
② レベルアップ情報の表示方法
 メッセージウィンドウは表示されない。パラメータ
がアップする場合は,アップするパラメータが「+1」
という黄色い数字と棒グラフが伸びることで表現さ
れる。
 会話,イベント等の場面は,多くのSRPGにおいて存在するものであり,かつ,そ
の表現手法も似通ったものである上,同一のゲームソフトにおいては,同一のシス
テム・表現手法が採用されることが通例である。したがって,被控訴人ゲームとト
ラキアの会話,イベント等の場面に共通するアイデアや表現が存したとしても,そ
れらの共通部分は,被控訴人ゲームが,トラキアの翻案に当たることを基礎づける
事実では,およそあり得ない。
 (7) エンディングの場面
 被控訴人ゲームとトラキアのエンディングの場面も,その具体的な表現は,以下
のとおり大きく異なっている。通常の映画におけるエンディングの場面が,その映
画の最終的な印象を与える部分として重要である以上に,SRPGのゲームソフトにお
けるエンディングの場面は,プレイヤーのキャラクターに対する思い入れを再確認
するという意味合いがあるから,より重要というべきである。しかも,被控訴人ゲ
ームの場合,マルチエンディングシステムを採用することによって,プレイヤーの
キャラクターに対する思い入れをより一層強める工夫がされている。これとの対比
において,トラキアには,このような工夫がされていない以上,エンディングの場
面の相違も,被控訴人ゲームに接した者が,被控訴人ゲームを通じて,トラキアの
表現上の本質的な特徴を直接感得することを困難にさせる重要な要素というべきで
ある。
被控訴人ゲームトラキア
(a)時間
 約75分 約30分
(b)マルチエンディングシステム
 被控訴人ゲームでは,マルチエンディングシ
ステムが採用されており,ゲームエンドまでに
仲間にしたユニットの数などに応じて,エンディ
ングにおけるユニット同士の会話や別れるタイ
ミングが変化する。
 トラキアでは,マルチエンディングシステムは設定
されておらず,被控訴人ゲームのような変化は設
定されていない。
(c)具体的な進行と表現
① 大地母神ミラドナが登場し,この世界の成
り立ちを述べる場面が表示される。
② ミラドナにより,主人公2人と主要人物セネ
ト,ティーエのパートナー(エンテ,カトリ,ネイフ
ァ,リチャード)が蘇る場面が表示される。
③ 登場人物のイラストとともに,制作スタッフ
名が表示される。
④ 全体マップの場面が表示される。
⑤ 登場人物同士が会話するイベント場面が
表示される。④と⑤が交互に表示され,登場人
物が別れていく場面を表示する。④と⑤の間,
プレイヤーがユニットを操作し,物語を進める。
アイテムの売買,編成,セーブも可能。
⑥ ゲームクリアした経過が文字で表示され
る。クリアしたマップのタイトル,クリアしたター
ン数がクリアした順番に表示され,最後に,ク
リアしたターン数の総合計が表示される。
⑦ 各登場人物のクリア時のパラメータや撃破
数が表示される。
⑧ 机,羽根ペンのイラストとともに,「fin」と表
示される。
① 主人公ら登場人物が会話。
② ナレーションにより,今後の目的が述べられ
る。
③ ゲームクリアした経過が文字で表示される。
④ マップのクリアターン数,総合戦績が文字で表
示される。
⑤ 制作スタッフ名のみが表示される。
⑥ 登場人物のその後のストーリーが表示される。
⑦イラストはなく,「Fin」とのみ表示される。
 4 キャラクター
 SRPGのゲームソフトの翻案該当性に際し,キャラクターについて検討する場合,
当該キャラクターの外形的部分のみならず,名前も含む人物設定を考慮する必要が
ある。また,外形的部分を考慮するにあたっては,当該キャラクターの背後にある
アイデアが乏しい場合はその保護範囲は狭くとらえられるべきであり,また,通常
予想されるありふれた表現の範疇にとどまるものである限り,やはりその保護範囲
は狭くとらえられるべきである。
 これを被控訴人ゲームとトラキアについてみれば,両ゲームソフトにおける多数
のキャラクターは,その外形面においても,人物設定面においても,全く異なって
おり,両ゲームソフトに共通して登場するキャラクターは全く存在しない。
被控訴人ゲームトラキア
(a)人数
  120人 96人
(b)主人公ユニットの人物設定(名前を含む)
と外見
 2人の主人公のうちの1人であるリュナンの人
物設定は,すでに1年余の実戦を経験し「英
雄」と呼ばれている17歳の青年公子である。リ
ュナンの外形は,「精悍さと気の強さ」を主たる
特徴として造形されている。具体的には以下
のとおり。
① 額に実戦用の防具である「はちがね(頭を
刀剣から守るもの)」をつけている。
② 口元を引き締めて意思の強さを表現して
いる。
③ 眉がつりあがり,前をにらみつけた戦闘的
な表情をしている。
④ 青年体型(頭身が大きい)。
⑤ 鎧が実戦向きで,自ら戦う騎士であること
を特徴づけている。
 唯一の主人公であるリーフの人物設定は,戦い
を経験したことが無い流浪の少年王子(15歳)であ
る。リーフの外見は,「高貴さと優しさ」を主たる特
徴として造形されている。具体的には以下のとお
り。
① 口元に微笑をもたせて高貴な印象を与える。
② 目元をやわらかくして優しい印象を与えてい
る。
③ 少年体型(頭身が小さい)。
④ 鎧が装飾的(身分の高い人が用いるもので実
戦向きではない)。
(c)その他のユニットの人物設定(名前を含
む)と外見
 (控訴人らが似ていると主張する人物同士
の)人物設定(名前を含む)は多くの点におい
て全く異なっている。
 (控訴人らが似ていると主張する人物同士
の)外見は,容貌,髪型,服装,装飾品等の多
くの点において全く異なっている。
 すなわち,人物設定の点においても,外見の
点においても,被控訴人ゲームとトラキアに共
通して登場するキャラクター(同一人物)は存
在しない。
 トラキアのキャラクターは,いずれも,少女漫画風の,通常ありふれた表現の範
疇にとどまっており,しかも,そのキャラクターの表現の背後には,特段の独創性
のあるアイデアが存するものでもないから,トラキアのキャラクターの保護範囲は
狭いというべきである。したがって,キャラクターによって,被控訴人ゲームが,
トラキアの翻案に当たることを基礎付けられることは,到底,あり得ない。
 5 音楽
 ゲーム音楽は,通常の映画における音楽以上に,そのゲーム固有の印象を形成す
る作用が強いところ,被控訴人ゲームとトラキアの音楽は,全く異なっており共通
するところがない。
        
           (以 上)
  
(別紙3)
控訴人らの主張する商品等表示としての影像及びその変化の態様
本件商品表示被控訴人表示
1  「ファイアーエムブレム」
1-2「エムブレム」
1  「エムブレムサーガ」
2   本件影像商品表示
本件影像商品表示目録
本件「ファイアーエムブレム」シリ
ーズのゲームソフトであることを示す商品
表示性ある影像とその変化の態様(以下,
「ゲーム影像」という)は下記の通りであ
る。
           記
 西洋中世の架空の大陸を舞台とし,主人
公が自軍と共に敵軍と戦う,シミ
ュレーションロールプレイイングゲー
ムのゲーム影像としての,
1.別紙3①に例示する如き,以下の特徴
を含む戦闘プレイのゲーム影像,
1-1 トップビューで示され
るマップ場面には,平地,山等の
様々な地形が存在し,升目で表示
される移動範囲内を,登場人物 
  (ユニット)が,西洋中世風の衣
装と武器を身につけ,移動する様
  子を表現する。
2   イ号物件影像表示
イ号物件影像表示目録
 イ号物件が使用する,本件影像商品表
示に類似する影像とその変化の態様(以
下,「ゲーム影像」という)は下記の通りで
ある。
    
            記
西洋中世の架空の大陸を舞台とし,主人
公が自軍と共に敵軍と戦う,シミ
ュレーシーョンロールプレイイングゲーム
のゲーム影像としての,
1.別紙3①に例示する如き,以下の特徴
を含む戦闘プレイのゲーム影像,
1-1トップビューで示されるマップ  
  場面には,平地,山等の様々な地形 
  が存在し,升目で表示される移動範
  囲内を,登場人物(ユニット)が,西洋 
  中世風の衣装と武器を身につけ,移
  動する様子を表現する。
 1-2「アニメーション切換戦闘場面」で
は,トップビューのマップ場面からサイドビュ
ーのアニメーション戦闘場面に自動的に切
り換わり,人間に近い頭身比で表された自軍
ユニットと敵軍ユニットによる1対1の戦
 1-2「アニメーション切換戦闘場面」で,ト
ップビューのマップ場面からサイドビューのア
ニメーション戦闘場面に自動的に切り換わ
り,人間に近い頭身比で表された自軍ユニッ
トと敵軍ユニットによる1対1の戦闘をリア
闘をリアルなアニメーションで表現し,自軍
ユニットは右側に位置せしめ且つ自軍である
ことを青色系の表示を用いることによって
示し,敵軍は左側に位置せしめ且つ敵軍であ
ることを赤色系の表示を用いることによって
示す。ユニットの名前の下に両者のHP
(ヒットポイント)を棒グラフと数値で表示す
る。戦闘によりHPが0になることによって死
亡したとみなされるユニットは,影像が薄くなっ
て画面から消える。戦闘後,自軍ユニットが経
験値(EXP数値)を獲得した場合、その増加
が棒グラフで表示される。
2.別紙3②に例示する如き,以下の特徴を有
する西洋中世の亡国の少年王子である主人
公のゲーム影像,
2-1容姿は,目鼻立ちが整った凛々し
い少年の顔立ちで,髪の色は青色(但し,
トラキアのみは茶色)であり,西洋中世風
の衣装で肩当てを付けている。
ルなアニメーションで表現し,自軍ユニットは
右側に位置せしめ且つ自軍であることを青
色系の表示を用いることによって示し,敵軍
は左側に位置せしめ且つ敵軍であることを赤
色系の表示を用いることによって示す。ユニッ
トの名前の下に両者のHP(ヒットポイント)
を棒グラフと数値で表示する。戦闘によりHP
が0になることによって死亡したとみなされる
ユニットは,影像が薄くなって画面から消える。
戦闘後,自軍ユニットが経験値(EXP数値)を
獲得した場合、その増加が棒グラフで表示さ
れる。
2.別紙3②に例示する如き,以下の特徴を
有する西洋中世の亡国の少年王子である
主人公のゲーム影像,
  2-1容姿は,目鼻立ちが整った凛々し
い少年の顔立ちで,髪の色は青色(但し,
発売直前に茶色に変更)であり,西洋中世
風の衣装で肩当てを付けている。
2-2 「ロード」を含む主人公専用の兵 
 種(外伝のみ「せんし」または「ゆうしゃ」) 
 であり,武器として主人公専用の長い剣を
持つ。
3.別紙3③に例示する如き,以下の特徴を
有する,ペガサスと,それに騎乗する女性
騎士のゲーム影像,
  3-1  ペガサスは背中の左右
  に大きな翼の生えた白馬であり,
  「ペガサスナイト」等の兵種の女
  性騎士の「乗り物」として移動す
  る。
  3-2  ペガサスに騎乗する女
  性騎士は,「ペガサスナイト」等
  の兵種の飛行系騎士ユニットで
2-2 「ロード」を含む主人公専用の兵種
 であり,武器として主人公専用の長い剣を
 持つ。
3.別紙3③に例示する如き,以下の特徴を
有する,ペガサスと,それに騎乗する女性
騎士のゲーム影像,
  3-1  ペガサスは背中の左右
  に大きな翼の生えた白馬であり,
  「ペガサスナイト」等の兵種の女
  性騎士の「乗り物」として移動す
  る。
  3-2  ペガサスに騎乗する女
  性騎士は,「ペガサスナイト」等
  の兵種の飛行系騎士ユニットで
  あり,武器として剣又は槍を持
  ち,西洋中世風の衣装で肩当てを
  付けている。ペガサス三姉妹とし
  て登場する場合は,ロング,セミ
  ロング,ショートのように髪の長
  さと色を三人三様に表現してい
  る。
  あり,武器として剣又は槍を持
  ち,西洋中世風の衣装で肩当てを
  付けている。ペガサス三姉妹とし
  て登場する場合は,ロング,セミ
  ロング,ショートのように髪の長
  さと色を三人三様に表現してい
  る。
(別紙3)
①①類似①対比②②類似②対比③③類似③対比

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛