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平成13年(行ケ)第326号 実用新案登録取消決定取消請求事件(平成14年
3月25日口頭弁論終結)
          判           決
       原      告   東陶機器株式会社
       訴訟代理人弁理士   松 尾 憲一郎
       同          内野美洋
       被      告   特許庁長官 及 川 耕 造
       指定代理人   青山紘一
       同          山口由木
       同          岩崎 晋
       同          宮川久成
          主           文
 特許庁が平成11年異議第75012号事件について平成13年5月
7日にした決定を取り消す。
      訴訟費用は原告の負担とする。
          事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
 1 原告
   主文と同旨
 2 被告
   原告の請求を棄却する。
   訴訟費用は原告の負担とする。
第2 当事者間に争いのない事実
 1 特許庁における手続の経緯
 (1) 原告は、名称を「気泡発生浴槽」とする実用新案登録第2597297号
考案(平成4年4月27日実用新案登録出願、平成11年4月30日設定登録、以
下「本件考案」といい、その実用新案登録を「本件実用新案登録」という。)の実
用新案権者である。
    平成11年12月28日、本件実用新案登録につき実用新案登録異議の申
立てがされ、平成11年異議第75012号事件として特許庁に係属したところ、
原告は、平成12年6月16日、願書に添付した明細書(以下「本件明細書」とい
う。)の実用新案登録請求の範囲及び考案の詳細な説明の各記載を訂正する旨の訂
正請求(以下「本件訂正請求」という。)をした。
    特許庁は、同実用新案登録異議事件について審理した上、平成13年5月
7日、「登録第2597297号の請求項1ないし2に係る実用新案登録を取り消
す。」との決定(以下「本件決定」という。)をし、その謄本は同年6月21日原
告に送達された。
 (2) 原告は、本件決定の取消しを求める本訴提起後の平成13年12月20
日、本件明細書の実用新案登録請求の範囲及び考案の詳細な説明の各記載を訂正す
る旨の訂正審判の請求をしたところ、特許庁は、同請求を訂正2001-3923
2号事件として審理した上、平成14年2月22日、上記訂正を認める旨の審決
(以下「本件訂正審決」といい、本件訂正審決に係る訂正を「本件訂正」とい
う。)をし、その謄本は同年3月5日原告に送達された。
 2 実用新案登録請求の範囲の記載
 (1) 本件訂正前の実用新案登録請求の範囲の記載
   【請求項1】噴気ノズル(18)を浴槽本体(1)の内壁面に取付け、同噴
気ノズル(18)に噴気配管(13)の一端を連通連結し、同噴気配管(13)の
他端をコンプレッサ(C)に連結した気泡発生浴槽(A)において、
    上記噴気ノズル(18)の先端に噴気方向を変更できるように構成したノ
ズルカバー(18c)を設け、空気を浴槽本体(1)の内側壁面に沿って放射状に
噴出可能としたことを特徴とする気泡発生浴槽。
   【請求項2】噴気ノズル(18)の開口部に、浴槽本体(1)内の浴湯が噴
気配管(13)中に逆流することを防ぐための逆止弁(19)を設けたことを特徴
とする請求項1記載の気泡発生浴槽。
 (2) 本件訂正によって訂正された実用新案登録請求の範囲の記載(注、訂正部
分を下線で示す。)
   【請求項1】噴気ノズル(18)を浴槽本体(1)の内壁面に取付け、同噴
気ノズル(18)に噴気配管(13)の一端を連通連結し、同噴気配管(13)の
他端をコンプレッサ(C)に連結した気泡発生浴槽(A)において、
    上記噴気ノズル(18)を、噴気配管(13)に連通連結したノズル本体
(18a)と、同ノズル本体(18a)に基端部が連通し、先端部が浴槽本体
(1)を貫通する噴流形成部(18b)と、同噴流形成部(18b)の鍔部に螺着
したノズルカバー(18c)とから構成し、同ノズルカバー(18c)の周縁部に
複数個の噴気孔(18d)を円周方向に間隔をあけて設け、空気を浴槽本体(1)
の内側壁面に沿って放射状に噴出可能としたことを特徴とする気泡発生浴槽。
   【請求項2】(同上)
 3 本件決定の理由
   本件決定は、①上記実用新案登録異議事件が特許庁に係属中に原告がした本
件訂正請求に係る訂正の適否に関し、当該訂正後の明細書の実用新案登録請求の範
囲の請求項1記載の考案は、本件考案の出願の日の前の出願であってその出願後に
公開された実願平3-14725号(実開平4-104838号)の願書に最初に
添付された明細書及び図面(以下「先願明細書」という。)に記載の考案と同一で
あり、かつ、本件考案の考案者は上記先願の考案者と同一の者でなく、本件考案の
出願時の出願人と先願の出願人とが同一の者でもないから、当該訂正は、旧実用新
案法(「平成6年法律第116号附則9条2項」の趣旨と解される。)及び特許法
120条の4第3項において順次準用する旧特許法126条3項(「平成6年法律
第116号による改正前の特許法126条3項」の趣旨と解される。)の規定に適
合しないので認められないとし、②本件考案の要旨を上記2(1)のとおり認定した
上、その請求項1に係る本件考案は先願明細書記載の考案と同一であり、かつ、本
件考案の考案者は上記先願の考案者と同一の者でなく、本件考案の出願時の出願人
と先願の出願人とが同一の者でもないから、本件考案は、実用新案法3条の2の規
定により実用新案登録を受けることができないものであり、本件実用新案登録は、
拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものであるか
ら、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年
政令第205号)3条2項の規定により、取り消されるべきものとした。
第3 当事者の主張
 1 原告
   本件決定が、本件考案の要旨を本件訂正前の実用新案登録請求の範囲の記載
のとおり認定した点は、本件訂正審決の確定により実用新案登録請求の範囲の記載
が上記のとおり訂正されたため、誤りに帰したことになる。そして、この瑕疵は本
件決定の結論に影響を及ぼすものであるから、本件決定は違法として取り消される
べきである。
 2 被告
   本件訂正審決の確定により実用新案登録請求の範囲の記載が上記のとおり訂
正されたことは認める。
第4 当裁判所の判断
   本件訂正審決の確定により、実用新案登録請求の範囲の記載が上記のとおり
訂正されたことは当事者間に争いがなく、この訂正によって実用新案登録請求の範
囲が減縮されたことは明らかである。
   そうすると、本件決定が、本件考案の要旨を本件訂正前の実用新案登録請求
の範囲のとおりであると認定したことは、結果的に誤りであったことに帰する。そ
して、これが本件決定の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、本件決定
は、瑕疵があるものとして取消しを免れない。
   よって、原告の請求は理由があるから認容し、訴訟費用は、原告の申立て等
本件訴訟の経過にかんがみ、原告に負担させることとして、主文のとおり判決す
る。
     東京高等裁判所第13民事部
         裁判長裁判官 篠原勝美
    裁判官 長沢幸男
    裁判官 宮坂昌利

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