弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
第1事案の概要
1本件は,平成6年4月12日に被上告人旭川市(以下「被上告人市」という。)
を保険者とする国民健康保険の一般被保険者(全被保険者から退職被保険者及びそ
の被扶養者を除いた被保険者)の資格を取得した世帯主である上告人が,平成6年
度から同8年度までの各年度分の国民健康保険の保険料について,被上告人市から
賦課処分を受け,また,被上告人旭川市長(以下「被上告人市長」という。)から所
定の減免事由に該当しないとして減免しない旨の通知(以下「減免非該当処分」と
いう。)を受けたことから,被上告人市に対し上記各賦課処分の取消し及び無効確認
を,被上告人市長に対し上記各減免非該当処分の取消し及び無効確認をそれぞれ求
める事案である。
2法令の定め等
以下に摘示する国民健康保険法(以下「法」という。),地方税法及び旭川市国民健
康保険条例(昭和34年旭川市条例第5号。以下「本件条例」という。)の各条項は,
それぞれ別表のものをいう。
(1)法は,国民健康保険事業の健全な運営を確保し,もって社会保障及び国民保
健の向上に寄与することを目的とする(1条)ものであり,市町村及び特別区(以
下,単に「市町村」という。)を保険者とし(3条1項),市町村の区域内に住所を
有する者を被保険者として当該市町村が行う国民健康保険に強制的に加入させた上
(5条),被保険者の疾病,負傷,出産又は死亡に関して必要な保険給付を行い(2
条),被保険者の属する世帯の世帯主が納付する保険料又は国民健康保険税(76条)
のほか,国の負担金(69条,70条),調整交付金(72条)及び補助金(74条),
都道府県及び市町村の補助金及び貸付金(75条),市町村の一般会計からの繰入金
(72条の2第1項,72条の3第1項)等をその費用に充てるものとしている。
(2)市町村は,国民健康保険事業に要する費用に充てるために,世帯主から保険
料を徴収するか(法76条本文),目的税である国民健康保険税を課することになる
(地方税法703条の4第1項)ところ,被上告人市は,保険料を徴収する方式を
採用している。市町村が徴収する保険料については,督促を受けた者が指定された
期限までに納付すべき金額を納付しないときは,地方税の滞納処分の例により処分
することができるものとされている(法79条の2,地方自治法231条の3第3
項)。
(3)法81条は,法第5章に規定するもののほか,賦課額,料率,賦課期日,納
期,減額賦課その他保険料の賦課及び徴収等に関する事項は,政令で定める基準に
従って条例で定める旨を規定しており,これを受けて,被上告人市は,国民健康保
険法施行令で定める基準に従って本件条例を制定している。
(4)市町村が行う国民健康保険に関する収入及び支出については,市町村の一般
会計から分離し,特別会計を設けなければならないとされているところ(法10条),
被上告人市の平成6年度から同8年度までの国民健康保険事業特別会計においては,
保険料収入は全収入の約3分の1であり,国民健康保険事業に要する経費の約3分
の2は国庫の負担金,被上告人市の一般会計からの繰入金等の公的資金により賄わ
れていた。
(5)本件条例12条1項は,一般被保険者に係る保険料率について,次のとおり
定めている。
ア一般被保険者に係る保険料の賦課額(本件条例17条により保険料の額を減
額するものとした場合にあっては,減額することとなる額を含む。)の総額(賦課総
額)を,本件条例所定の比率によって所得割総額,資産割総額,被保険者均等割総
額及び世帯別平等割総額に4分する。
イ保険料率は,次の所得割,資産割,被保険者均等割及び世帯別平等割のとお
りとする。
(ア)所得割所得割総額を一般被保険者に係る賦課期日の属する年の前年の所
得に係る基礎控除後の総所得金額等の総額で除して得た率
(イ)資産割資産割総額を一般被保険者に係る当該年度分の土地及び家屋に係
る固定資産税の総額で除して得た率
(ウ)被保険者均等割被保険者均等割総額を当該年度の初日における一般被保
険者の数で除して得た額
(エ)世帯別平等割世帯別平等割総額を当該年度の初日における一般被保険者
の属する世帯の数で除して得た額
(6)本件条例8条は,上記(5)アの賦課総額を,同条1号に掲げる額の見込額か
ら同条2号に掲げる見込額を控除した額を基準として算定した額とする旨を規定し,
同条1号に掲げる額を別紙目録1のとおり,同条2号に掲げる額を同目録2のとお
りそれぞれ定めている。
(7)本件条例9条は,一般被保険者に係る保険料の賦課額を,当該世帯に属す
る一般被保険者につき算定した所得割額(当該一般被保険者に係る賦課期日の属す
る年の前年の所得に係る基礎控除後の総所得金額等に所得割を乗じて算定した額。
本件条例10条),資産割額(当該一般被保険者に係る当該年度分の土地及び家屋に
係る固定資産税額に資産割を乗じて算定した額。本件条例11条)及び被保険者均
等割額の合算額の総額並びに当該世帯につき算定した世帯別平等割額の合計額と定
めている。
(8)本件条例12条3項は,被上告人市長が一般被保険者に係る保険料率を決
定したときは,速やかに告示しなければならないと規定している。これを受けて,
被上告人市長は,平成6年度分,同7年度分及び同8年度分の一般被保険者に係る
保険料率を,それぞれ賦課期日である4月1日(本件条例13条)の後の平成6年
7月4日,同7年5月29日及び同8年5月30日に告示した(それぞれ平成6年
旭川市告示第137号,平成7年旭川市告示第120号及び平成8年旭川市告示第
122号)。
第2上告人の上告理由第一点,第二点の一及び上告受理申立て理由第二点につい

1論旨は,本件条例が定める保険料の賦課総額の算定基準は不明確,かつ,不
特定であり,本件条例において保険料率を定めず,これを告示に委任することは,
租税法律主義を定める憲法84条又はその趣旨に反し,法81条に違反するなどと
いうものである。
2国又は地方公共団体が,課税権に基づき,その経費に充てるための資金を調
達する目的をもって,特別の給付に対する反対給付としてでなく,一定の要件に該
当するすべての者に対して課する金銭給付は,その形式のいかんにかかわらず,憲
法84条に規定する租税に当たるというべきである。
市町村が行う国民健康保険の保険料は,これと異なり,被保険者において保険給
付を受け得ることに対する反対給付として徴収されるものである。前記のとおり,
被上告人市における国民健康保険事業に要する経費の約3分の2は公的資金によっ
て賄われているが,これによって,保険料と保険給付を受け得る地位とのけん連性
が断ち切られるものではない。また,国民健康保険が強制加入とされ,保険料が強
制徴収されるのは,保険給付を受ける被保険者をなるべく保険事故を生ずべき者の
全部とし,保険事故により生ずる個人の経済的損害を加入者相互において分担すべ
きであるとする社会保険としての国民健康保険の目的及び性質に由来するものとい
うべきである。
したがって,上記保険料に憲法84条の規定が直接に適用されることはないとい
うべきである(国民健康保険税は,前記のとおり目的税であって,上記の反対給付
として徴収されるものであるが,形式が税である以上は,憲法84条の規定が適用
されることとなる。)。
3もっとも,憲法84条は,課税要件及び租税の賦課徴収の手続が法律で明確
に定められるべきことを規定するものであり,直接的には,租税について法律によ
る規律の在り方を定めるものであるが,同条は,国民に対して義務を課し又は権利
を制限するには法律の根拠を要するという法原則を租税について厳格化した形で明
文化したものというべきである。したがって,国,地方公共団体等が賦課徴収する
租税以外の公課であっても,その性質に応じて,法律又は法律の範囲内で制定され
た条例によって適正な規律がされるべきものと解すべきであり,憲法84条に規定
する租税ではないという理由だけから,そのすべてが当然に同条に現れた上記のよ
うな法原則のらち外にあると判断することは相当ではない。そして,租税以外の公
課であっても,賦課徴収の強制の度合い等の点において租税に類似する性質を有す
るものについては,憲法84条の趣旨が及ぶと解すべきであるが,その場合であっ
ても,租税以外の公課は,租税とその性質が共通する点や異なる点があり,また,
賦課徴収の目的に応じて多種多様であるから,賦課要件が法律又は条例にどの程度
明確に定められるべきかなどその規律の在り方については,当該公課の性質,賦課
徴収の目的,その強制の度合い等を総合考慮して判断すべきものである。
市町村が行う国民健康保険は,保険料を徴収する方式のものであっても,強制加
入とされ,保険料が強制徴収され,賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似
する性質を有するものであるから,これについても憲法84条の趣旨が及ぶと解す
べきであるが,他方において,保険料の使途は,国民健康保険事業に要する費用に
限定されているのであって,法81条の委任に基づき条例において賦課要件がどの
程度明確に定められるべきかは,賦課徴収の強制の度合いのほか,社会保険として
の国民健康保険の目的,特質等をも総合考慮して判断する必要がある。
4(1)本件条例12条3項は,被上告人市長に対し,保険料率を決定し,決定し
た保険料率を告示の方式により公示することを委任しているが,本件条例において
は,保険料の賦課総額が確定すれば,保険料率が自動的に算定されることとなって
いるから,本件条例は,所定の算定基準に従って賦課総額を確定することをも,被
上告人市長に委任したものと解される。
本件条例8条は,保険料の賦課総額を,同条1号に掲げる額の見込額から同条2
号に掲げる額の見込額を控除した額を基準として算定した額と規定しているところ,
同条1号に掲げる額の見込額は,国民健康保険事業の運営に必要な各種費用の合算
額の見込額であり,同条2号に掲げる額の見込額は国民健康保険事業に係る収入(保
険料を除く。)の合算額の見込額である。国民健康保険の保険料は,国民健康保険事
業に要する費用に充てるために徴収されるものであるから(法76条本文),当該年
度の費用から収入(保険料を除く。)を控除したその不足額の合理的な見込額を基礎
として賦課総額を算定し,これを世帯主に応分に負担させることは,相互扶助の精
神に基づく国民健康保険における保険料徴収の趣旨及び目的に沿うものであり,本
件条例もこれを当然の前提としているものと解される。そして,本件条例8条各号
は,この費用及び収入の見込額の対象となるものの詳細を明確に規定している。
また,本件条例8条は,賦課総額を,同条1号に掲げる額の見込額から同条2号
に掲げる額の見込額を控除した額そのものとはしないで,この額を「基準として算
定した額」と定めている。これは,前記の保険料徴収の趣旨及び目的に照らすと,
徴収不能が見込まれる保険料相当額についても,保険料収入によって賄えるように
するために,賦課総額の算定に当たって,上記の費用と収入の見込額の差額を保険
料の収納率の見込みである予定収納率で割り戻すことを意味するものと解される。
そうすると,同条の上記の定めをもって不明確であるということはできない。
このように,本件条例は,保険料率算定の基礎となる賦課総額の算定基準を明確に
規定した上で,その算定に必要な上記の費用及び収入の各見込額並びに予定収納率
の推計に関する専門的及び技術的な細目にかかわる事項を,被上告人市長の合理的
な選択にゆだねたものであり,また,上記見込額等の推計については,国民健康保
険事業特別会計の予算及び決算の審議を通じて議会による民主的統制が及ぶものと
いうことができる。
そうすると,本件条例が,8条において保険料率算定の基礎となる賦課総額の算
定基準を定めた上で,12条3項において,被上告人市長に対し,同基準に基づい
て保険料率を決定し,決定した保険料率を告示の方式により公示することを委任し
たことをもって,法81条に違反するということはできず,また,これが憲法84
条の趣旨に反するということもできない。
(2)また,賦課総額の算定基準及び賦課総額に基づく保険料率の算定方法は,本
件条例によって賦課期日までに明らかにされているのであって,この算定基準にの
っとって収支均衡を図る観点から決定される賦課総額に基づいて算定される保険料
率についてはし意的な判断が加わる余地はなく,これが賦課期日後に決定されたと
しても法的安定が害されるものではない。したがって,被上告人市長が本件条例1
2条3項の規定に基づき平成6年度から同8年度までの各年度の保険料率をそれぞ
れ各年度の賦課期日後に告示したことは,憲法84条の趣旨に反するものとはいえ
ない。
5以上によれば,憲法84条及び法81条違反をいう論旨は,採用することが
できない。
その余の上告理由は,違憲をいうが,その前提を欠くものであって,民訴法312
条1項及び2項に規定する事由のいずれにも該当しない。
第3上告人の上告理由第二点の二ないし七及び上告受理申立て理由第三点につい

法77条は,保険者は,条例の定めるところにより,特別の理由がある者に対し,
保険料を減免することができる旨を定め,これを受けて,本件条例19条1項は,
「災害等により生活が著しく困難となった者又はこれに準ずると認められる者」(同
項1号)又は「当該年において所得が著しく減少し,生活が困難となった者又はこ
れに準ずると認められる者」(同項2号)のうち必要と認められる者に対して,申請
により保険料を減免することができる旨を規定しているが,恒常的に生活が困窮し
ている状態にある者を保険料の減免の対象としていない。
法6条6号は,恒常的に生活が困窮している状態にある者については生活保護法
による医療扶助等の保護を予定して,これを市町村が行う国民健康保険の被保険者
としないものとしていること,法81条を受けて定められた本件条例17条は,低
額所得被保険者の保険料負担の軽減を図るために,応益負担による保険料である被
保険者均等割額及び世帯別平等割額についての減額賦課を定めていること,他方,
本件条例10条は,応能負担による保険料である所得割額を,当該一般被保険者に
係る賦課期日の属する年の前年の所得を基準に算定するものとしていることからす
ると,本件条例19条1項が,当該年において生じた事情の変更に伴い一時的に保
険料負担能力の全部又は一部を喪失した者に対して保険料を減免するにとどめ,恒
常的に生活が困窮している状態にある者を保険料の減免の対象としないことが,法
77条の委任の範囲を超えるものということはできない。そして,上記の本件条例
19条1項の定めは,著しく合理性を欠くということはできないし,経済的弱者に
ついて合理的な理由のない差別をしたものということもできない。したがって,本
件条例19条1項の定めは,憲法25条,14条に違反しないし,また,上告人に
ついて保険料の減免を認めなかったことは,憲法25条に違反するものではない。
これと同旨の原審の判断は,正当として是認することができる。論旨は採用するこ
とができない。
第4結論
以上によれば,上告人の上告(平成7年度分の国民健康保険の保険料の賦課処分
の取消請求及び同保険料の減免非該当処分の取消請求に関するものを除く。)は理由
がなく,その余の上告については,上告受理申立て理由が上告受理の決定において
排除されたので,いずれも棄却することとする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。なお,判示第2につ
いての裁判官滝井繁男の補足意見がある。
判示第2についての裁判官滝井繁男の補足意見は,次のとおりである。
私は,法廷意見に賛成するものであるが,保険料のもつ性格に照らし,法廷意見
の第2の3,4に関し,若干の意見を補足して述べておきたい。
国民健康保険は,強制加入制であり,その保険料は強制徴収されることとなってい
る。のみならず,法はこの保険事業に要する費用を国民健康保険税として徴収する
ことも選択的に許容している上,その際の税率及び税額の決定方法や徴収する範囲
が保険料として徴収する場合と近似したものとなっているため,保険料を支払う者
に租税と同じ負担感を与えていることは否定することができない。
しかしながら,保険料は,疾病等という個人の自助では対応することが困難なリ
スクを集団として引き受けることによって,医療という社会生活において不可欠な
サービスを国民が等しく受けることができるように作られた制度の下で,それを維
持するためその利益を受ける者にその対価として支払うものとして定められている
ものである。この制度を維持するために公的資金が投入されていることによって保
険料の対価性が希薄になっているとしても,それは社会保障の目的からの扶助政策
によるものであって,そのことによって保険料が対価であるという性格を失うもの
ではない。また,市町村が行う国民健康保険においては,これを税として徴収する
ことが選択的に認められているが,そのことによって保険料として支払われている
もののもつ性格自体が変わるものではない。
そして,法は,すべての国民を法の予定した政府又は地方公共団体若しくは任意
に設立される国民健康保険組合等を保険者とするいずれかの保険集団に参加すべき
ものとした上,同じ集団に属する被保険者の疾病等によるリスクを当該保険集団が
引き受けるものとし,その費用は法定条件のもとで,それぞれの保険集団ごとに予
定された議決機関において民主的に決めるところに委ねることとしているのである。
法が,市町村を保険者とする国民健康保険事業において,法の定めるもののほか,
保険料の賦課及び徴収等に関する事項は政令で定める基準に従って条例で定めると
規定しているのもその趣旨である。したがって,条例において賦課要件が明確に定
められているといいうる限り,保険料の賦課に違法の問題は生じないのである。
ところで,本件条例は,法が条例によって決めるべきものとしている保険料の料率
及び賦課額について,それが賦課総額によって定まるものとし,その算定の基礎と
なる費用及び収入の見込額の対象となるものを明らかにしているにもかかわらず,
これらの各見込額及び予定収納率を推計するに当たってよるべき基準を定めていな
いため,その決定を市長に委任しているものと解さざるを得ないのである。この賦
課総額は,国民健康保険事業運営に必要な費用の合算額の見込額から収入となる額
の見込額を控除した額を基準として定めることとなっているのであるが,そこに市
長の政策的判断による裁量の余地が少ないとはいえない。
しかしながら,このように法が条例において定めるべきものとしている事項を市
長に一任することの許否は制度の趣旨によって一律に論じることができないところ,
この保険料は保険事業に要する費用に充てるために徴収するものであって,その総
額は保険給付に要した費用から国庫負担金などを差し引いた額相当額になるのであ
るから,その額はその年の保険給付の内容によって変動するものである。その額は
給付内容が決まらない年度当初には給付内容の見込みによって決めざるを得ないも
のであるから,その額は明確に定めておくべき要請があるとはいえ,もともと保険
給付をベースにした財源の調達という性格上,あらかじめ明確に定めておくことと
は矛盾するものを内包しているともいいうるものである。したがって,当初の見込
額との間に差の生ずることは避けられず,条例においてあらかじめ料率や賦課額を
定めておいても避けることはできないものである。
この差額は年度の終了と共に客観的に定まるのであるから,その範囲にはおのず
と限度があるのであって,そのことは被保険者も了解していることが制度の前提と
なっているものといわなければならない。そして,年度末に明らかになった当該年
度の現実の保険給付と予測との違いによって生じた国民健康保険事業特別会計の収
支の差額は,保険料の定め方のいかんにかかわらず,翌年度に繰り越されることに
なり,年初の予測の相当性はそれぞれの保険集団の民主的統制に服することとせざ
るを得ない性質のものである。
ただ,本件条例のように条例において保険料の料率や賦課額を定めていないとき
は,予測にかかる市長の判断の当否は国民健康保険事業特別会計の予算及び決算の
審議を通じ,その限度で審議の対象となるにとどまることになるのである。保険料
の料率や賦課額を条例で定めるものとしている法の趣旨に照らせば,この見込みや
推計には専門的,技術的要素が多いにしろ,最終的な決定を議会に委ねるものとす
ることが予測可能性や法的安定性という観点からは法の趣旨により合致するという
ことはできるであろう。しかしながら,本件条例のように,議会が一定の基準をも
とにして事業に伴う費用及び収入についての推測をもとに賦課総額を決定すること
を市長に一任することとし,その結果必然的に生ずる推測額と実額との間の差額に
ついては,その当否と処理を特別会計の当年度の決算や次年度の予算の審議におけ
る統制に服せしめるにとどめることとしても,そのことも保険集団の議決機関の判
断(国民健康保険は住民の一部を加入者とするもので住民すべてを代表する議会は
本来的な保険集団の議決機関とはいえないが)というべきものであって,それは社
会保険の目的や保険料の性格に照らし,保険者自治の観点から許容されているもの
と考える。
(裁判長裁判官町田顯裁判官濱田邦夫裁判官横尾和子裁判官
上田豊三裁判官滝井繁男裁判官藤田宙靖裁判官甲斐中辰夫裁判官
泉徳治裁判官島田仁郎裁判官才口千晴裁判官津野修裁判官
今井功裁判官中川了滋裁判官堀籠幸男裁判官古田佑紀)
(別表)
法1条,2条,3条1項,5条,6条6号,10条,72条の3第1項,77条,
81条・・・・現行の規定
法69条,75条,76条・・・・平成9年法律第124号による改正前のもの
法70条,72条の4・・・・平成6年度分については平成6年法律第56号によ
る改正前のもの,平成7年度分及び同8年度分については平成9年法律第124号
による改正前のもの
法72条,72条の2第1項・・・・平成17年法律第25号による改正前のもの
法74条・・・・平成13年法律第153号による改正前のもの
法79条の2・・・・平成14年法律第102号による改正前のもの
地方税法703条の4第1項・・・・平成6年度分及び同7年度分については平成
6年法律第49号による改正前のもの,平成8年度分については平成9年法律第1
24号による改正前のもの
本件条例8条・・・・平成6年度分については平成6年旭川市条例第29号による
改正前のもの,平成7年度分及び同8年度分については平成10年旭川市条例第4
1号による改正前のもの
本件条例9条,11条・・・・平成9年旭川市条例第8号による改正前のもの
本件条例10条・・・・平成12年旭川市条例第23号による改正前のもの
本件条例12条1項・・・・平成6年度分については平成7年旭川市条例第14号
による改正前のもの,平成7年度分については平成8年旭川市条例第8号による改
正前のもの,平成8年度分については平成9年旭川市条例第8号による改正前のも

本件条例12条3項,13条,19条1項・・・・現行の規定
本件条例17条・・・・平成6年度分及び同7年度分については平成8年旭川市条
例第8号による改正前のもの,平成8年度分については平成9年旭川市条例第8号
による改正前のもの
(別紙)目録
1当該年度における次の(1)から(6)までの額の合算額
(1)平成6年度分については,国民健康保険の事務(老人保健拠出金の納付に関す
る事務を含む。)の執行に要する費用の額
平成7年度分及び同8年度分については,国民健康保険の事務(老人保健拠出金の
給付に関する事務を含む。)の執行に要する費用のうち職員の給与費(以下「職員給
与費」という。)以外の費用(以下「物件費」という。)であって国民健康保険の国
庫負担金及び被用者保険等保険者拠出金等の算定等に関する政令(平成10年政令
第216号による改正前のもの)1条1項1号イからニまでに掲げる事務に係るも
の(以下「特定事務費」という。)の額
(2)療養の給付に要する費用(一般被保険者に係るものに限る。)の額から当該給
付に係る一部負担金に相当する額を控除した額
(3)平成6年度分については,特定療養費,療養費及び高額療養費の支給に要する
費用(一般被保険者に係るものに限る。)の額
平成7年度分及び同8年度分については,入院時食事療養費,特定療養費,療養費,
訪問看護療養費,特別療養費,移送費及び高額療養費の支給に要する費用(一般被
保険者に係るものに限る。)の額
(4)老人保健法の規定による医療費拠出金の納付に要する費用の額
(5)平成6年度分については,保健施設に要する費用の額
平成7年度分及び同8年度分については,保健事業に要する費用の額
(6)平成6年度分については,その他の国民健康保険事業に要する費用の額(退職
被保険者等に係る療養の給付に要する費用の額から当該給付に係る一部負担金に相
当する額を控除した額並びに退職被保険者等に係る特定療養費,療養費及び高額療
養費の支給に要する費用の額を除く。)
平成7年度分及び同8年度分については,その他の国民健康保険事業に要する費用
(職員給与費及び特定事務費以外の物件費を除く。)の額(退職被保険者等に係る療
養の給付に要する費用の額から当該給付に係る一部負担金に相当する額を控除した
額並びに退職被保険者等に係る入院時食事療養費,特定療養費,療養費,訪問看護
療養費,特別療養費,移送費及び高額療養費の支給に要する費用の額を除く。)
2当該年度における次の(1)から(6)までの額の合算額
(1)法69条及び70条の規定による負担金
(2)法72条の規定による調整交付金
(3)法72条の3第1項の規定による繰入金
(4)法74条及び75条の規定による補助金
(5)法75条の規定による貸付金
(6)平成6年度分については,その他国民健康保険事業に要する費用のための収入
(法72条の2第1項の規定による繰入金及び法72条の4の規定による療養給付
費交付金を除く。)の額
平成7年度分及び同8年度分については,その他国民健康保険事業に要する費用(職
員給与費及び特定事務費以外の物件費を除く。)のための収入(法72条の2第1項
の規定による繰入金及び法72条の4の規定による療養給付費交付金を除く。)の額

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採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
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