弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人北村利彌の上告理由について。
 所論は、要するに、原判決が、仮差押中に仮差押物件が第三者に処分された場合
の配当要求は、仮差押効力の本執行への転換の理論を考慮するも許されないものと
解する旨判示したことに対し、配当要求に関する法規の解釈適用を誤つた違法があ
る旨主張するに帰する。しかしながら、債権者が債務者所有の不動産に対し、その
有する債権に基づき仮差押をなした後、債務者が右不動産の所有権を第三者に譲渡
して同人においてその登記を経由し、その後右債権者が前記債権に対する債務名義
に基づき、右不動産に対し本執行をなした場合には、そもそも仮差押は、仮差押債
権者の金銭債権又はこれに代わるべき債権の執行保全のために、債務者の財産の差
押とその処分権を剥奪することを目的とする執行保全処分であるから、仮差押の効
力の利益は、独り仮差押債権者のみに存し、しかもこの処分制限の効力は、仮差押
債権者の執行保全という目的を達するに必要な限度で足り、その範囲をこえて債務
者の利益ならびに一般取引の安全を右の仮差押による処分制限の効力のために犠牲
に供してはならず、従つて、仮差押目的物件に対する債務者の処分は、絶対に無効
とみるべきものではなく、保全に必要かつ十分な限度で、仮差押債権者に対する関
係においてのみ、相対的無効をきたすにとどまり、他の債権者は、右仮差押の効力
の利益を享けることを得ないものと解するのを相当とする。そして、その結果、債
務者の処分後には旧債務者に対する他の債権者は配当に参加することができず、仮
差押債権者のみ独占的に弁済を受けることとなつても、右の優先現象は、仮差押後
の処分ということを契機として発生するのであつて、差押と同時に生ずるものでは
ないのであるから、強制競売に優先主義を採らず、平等主義を採用しているわが国
民事訴訟の建前にも何ら反するものではない(大審院大正三年(オ)第一二五号同
三年一二月二四日民録二〇輯一一六六頁、最高裁判所昭和三二年(オ)第六七四号
同三五年七月二七日第一小法廷判決、民集一四巻一〇号一八九四頁参照)。そして
このことは、その配当を要求する債権が租税債権であつても、国税徴収法二二条の
如く担保権付財産が譲渡されたような場合でないものにあつては、その交付要求の
効力につき、前述の如き一般私債権の場合と別異に解すべき理由はない。そして、
原審において確定した事実によれば、本件不動産は、元Dの所有するところであつ
て、被上告人は、昭和三〇年六月二四日右Dに対する債権に基づき右不動産に対し
仮差押をなしたが、右Dは、右仮差押後の同年七月五日右不動産をEに売り渡し、
同人においてこれが所有権移転登記を経由したところ、被上告人は、右譲渡後の同
年一〇月七日右Dに対する被上告人主張の債務名義に基づき、名古屋地方裁判所に
対し、右不動産について強制競売を申し立て、競売開始決定より競落許可決定まで
の手続がなされたこと、上告人は右Dに対する租税債権に基づき同年一〇月一七日
名古屋地方裁判所に右競売代金に対し配当を要求し、上告人及び訴外国のために配
当表が作成されたことが明らかである。そしてこれに対し、原審は、冒頭記載の如
く、上告人の配当の要求は許されないとして、上告人及び訴外国の配当加入を認め
た配当表を変更した一審判決の判断を維持したものであつて、結局、原審のこの点
に関する判断は、その結論において当裁判所もこれを是認すべきものと考える。所
論引用の判例中、大審院昭和六年一二月八日の判決の見解は、当裁判所の採らない
ところであり、その余の判例は、本件に適切でなく、論旨は、ひつきよう、独自の
見解に立つて、原判決を非難するに帰するものであつて、採るを得ない。
 よつて、民訴法四〇案、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のお
り判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    柏   原   語   六

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛