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平成24年1月19日判決言渡
平成23年(行ケ)第10194号審決取消請求事件
平成24年1月19日口頭弁論終結
判決
原告アイエム株式会社
被告修為企業股ふん有限公司
訴訟代理人弁理士福島三雄
同向江正幸
同高崎真行
同川角栄二
同塩田哲也
主文
1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
特許庁が取消2010-300869号事件について平成23年5月11日にし
た審決を取り消す。
第2争いのない事実
1特許庁における手続の経緯
原告は,「Chromax」の文字を標準文字で表してなり,第28類「ゴルフ
ボール,ゴルフ用具」を指定商品とする登録第5276520号商標(平成20年
4月8日登録出願,平成21年10月30日設定登録。以下「本件商標」とい
う。)の商標権者である。被告は,平成22年8月6日,特許庁に対し,本件商標
の登録は,商標法53条の2の規定により取り消されるべきであるとして審判(取
消2010-300869号事件)の請求をした。特許庁は,平成23年5月11
日,「登録第5276520号商標の商標登録は取り消す。」とする審決(以下
「審決」という。)をし,その謄本は,同月19日,原告に送達された。
2審決の理由
別紙審決書写しのとおりであり,その概要は以下のとおりである。
(1)被告(審判請求人)は,世界貿易機関の加盟国である台湾において,別紙の
とおりの構成からなる登録第1302952号商標(平成19年7月27日登録出
願,平成20年3月1日設定登録。指定商品は第28類「ゴルフボール,ゴルフク
ラブ,ゴルフクラブヘッド,ゴルフクラブ用グリップ,ゴルフ練習用発球機,ゴル
フクラブ用ラック,グリーンマーカー,キャディバッグ,スポーツバッグ,スポー
ツ用手袋」。以下「被告商標」という。)の商標権を有する者である(当事者間に
争いのない事実)。
(2)本件商標の指定商品は,被告商標の指定商品に含まれるから,被告商標の指
定商品と同一又は類似の商品と認められ,本件商標と被告商標は,本件商標を付し
た商品と被告商標を付した商品との間で,商品の出所について誤認混同を生ずるお
それがあり,両商標は類似する商標である(当事者間に争いのない事実)。
(3)原告ないし原告代表者(いずれも本件商標の商標権者であり,被請求人であ
る。)が,本件商標の登録出願の日前1年以内に,被告ないし有限会社関西ゴルフ
設備(被告との間で日本における輸入代理店契約を締結している関西チェア株式会
社の関連会社であり,同社と代表者が同じである。)から,日本における独占販売
権を付与されていたとの事実を認めることはできないが,原告及び原告代表者と被
告との間には,継続的な取引により慣行上の信頼関係が形成され,原告及び原告代
表者は,日本国内における被告の商品の販売体系に組み込まれるような立場にあっ
た者とみることができるから,商標法53条の2所定の「当該商標登録出願の日前
1年以内に代理人若しくは代表者であった者」に該当する。
(4)本件商標の登録出願が,正当な理由がないのに,被告の承諾を得ないで本件
商標の登録出願の日前1年以内に代理人若しくは代表者であった者と同等の地位に
あった者によってされたものと認めることができる。
原告ないし原告代表者は,多大な投資をした自己の事業を保護するために,本件
商標を出願したのであり,その出願には,正当な理由がある旨主張するが,上記主
張は,次のとおり認められない。すなわち,
ア原告ないし原告代表者は,被告が製造し被告商標を付した商品(ゴルフボー
ル)について,パンフレットを作成し,雑誌に広告をしたことが認められるものの,
その量は少なく,原告ないし原告代表者が当該商品を日本国内で販売するについて,
多大な投資をしたと客観的に認めるに足りる証拠の提出はない。また,原告ないし
原告代表者の努力等により,本件商標の登録出願当時,被告商標が日本国内におい
て,グッドウィルを獲得したものとも認められない。
イ「原告ないし原告代表者が,被告の介在者に,日本において被告の商品の商
標権又は商標出願が存在していないことを確認し,被告の商品のドメイン名及び商
標権については原告が管理することを伝えたこともあり,本件商標の出願をした」
旨の原告ないし原告代表者の主張を直ちに信用することはできないのみならず,本
件商標の登録出願日に先立つ,平成20年3月10日には,原告ないし原告代表者
と有限会社関西ゴルフ設備との間で行われていた被告の商品の取引に,商社である
明商株式会社が介在するようになった経緯があったことが認められ,原告ないし原
告代表者は,商社が介在して被告の商品の取引をするより,自己により有利な取引
を展開するために,本件商標の登録出願をし,優位な立場を確保しようとした意図
を窺うことができる。
ウ被告が原告ないし原告代表者に対し,日本において被告商標の権利を取得す
ることを放棄した,又は取得する関心がないことを信じさせた場合に該当すると客
観的に認めることができる証拠の提出はなく,本件商標の登録出願について,被告
の承諾があったと推認できる証拠の提出もない。
(5)以上のとおり,本件商標の登録は,商標法53条の2に規定する要件を全て
満たしていると認められるから,取り消すべきである。
第3当事者の主張
1取消事由に係る原告の主張
原告は,「Chromax」という本件商標の価値を高めるため,テレビでの露
出,芸能人,有名モデルの起用などにより,宣伝活動を行い(甲20),多額の宣
伝広告費用を投じ,これにより,日本国内における本件商標の価値は高まった。
したがって,原告の本件商標の登録出願には,正当な理由があり,本件商標の登
録は取り消されるべきではない。
2被告の反論
原告主張の事実は否認する。原告が多額の宣伝広告費用を投じた事実はなく,原
告の本件商標の登録出願に正当な理由はない。したがって,審決の認定,判断に誤
りはない。
第4当裁判所の判断
1事実(争いがない事実及び弁論の全趣旨から認められる事実)
被告は,世界貿易機関の加盟国である台湾において,別紙のとおりの構成からな
る被告商標を有する。
本件商標の指定商品は,被告商標の指定商品に含まれるから,被告商標の指定商
品と同一又は類似の商品と認められ,本件商標と被告商標は,本件商標を付した商
品と被告商標を付した商品との間で,商品の出所について誤認混同を生ずるおそれ
があり,両商標は類似する商標である。
原告ないし原告代表者が,本件商標の登録出願の日前1年以内に,被告ないし被
告との間で日本における輸入代理店契約を締結している者から,日本における独占
販売権を付与されていたわけでいないものの,原告及び原告代表者と被告との間に
は,継続的な取引により慣行が形成され,原告及び原告代表者は,日本国内におけ
る被告の商品の販売体系に組み込まれるような関係にあった者とみることができる
から,商標法53条の2所定の「当該商標登録出願の日前1年以内に代理人若しく
は代表者であった者」に該当する。
本件商標の登録出願は,被告の承諾を得ないで本件商標の登録出願の日前1年以
内に代理人若しくは代表者であった者と同等の地位にあった商標権者によってされ
た。
2判断
前記の事実を基礎として,商標法53条の2所定の「正当な理由がない」ことの
有無について,以下のとおり,判断する。
原告は,本件商標出願をした「正当理由」に係る事情として,「本件商標の価値
を高めるため,宣伝活動を行い,多額の宣伝広告費用を投じて,これにより,日本
国内における本件商標の価値が高まったこと」のみを挙げている。
証拠(甲5ないし10,14,18の1ないし18の5,20)及び弁論の全趣
旨によれば,原告が,被告の製造するゴルフボール(「クロマックスボール」)の
日本国内における販売を促進するため,雑誌等に広告を掲載するなどの宣伝広告活
動を行ったことが認められるものの,原告がその費用として負担した金額,規模及
び上記宣伝広告活動によって,本件商標が,上記ゴルフボールを表示するものとし
て,商標の価値を高めた事実は認定できない。そうすると,原告は,日本における
輸入代理店契約を締結している者から,日本における独占販売権を付与されていた
わけではなく,原告及び原告代表者が,被告との間で,継続的な取引を続けていた
との事実があるにすぎないこと等の諸事実を総合すると,本件商標登録は,「正当
な理由がないのに,その商標に関する権利を有する者の承諾を得ないで」されたも
のであると認定するのが相当である。
第5結論
よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官
飯村敏明
裁判官
池下朗
裁判官
武宮英子
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