弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人Aの弁護人平松勇の上告趣意について。
 麻薬取締規則五三条は「厚生大臣又は地方長官はこの省令に違反し製剤、小分販
売、授与又は所有若しくは所持せられた麻薬について没収その他必要なる処分をす
ることができる」と規定してあつて原判決が証拠として挙げている東京都知事B麻
薬統制主事C共同作成名義の麻薬没収書が右規定に基いて本件麻薬の没収という処
分のために発せられたものであることは右没収書に右規定により左記品目数量を没
収すると掲記してあることからも明らかであるのみならず原審証人Dは原審におい
て「証人は昭和二一年一〇月から同二三年八月迄東京都薬品課長であつたが、その
間検挙した麻薬は全部都の衛生試験所で検査して見るのであります。即ちその品の
成分がモルヒネであるか阿片であるかという迄の検査を致して見るのでありまして
外見丈けで成分は決めません」旨の供述をしているのである。従つて以上の事実を
考え合せると右麻薬没収書によつて本件「デシピウム」が麻薬であることは十分に
認定できるのである。そしてかような場合には必ずしも鑑定手続によることを要す
るのものではないから原審が所論取調申請を却下したからといつて所論のような違
法ありとはいえない。論旨は理由がない。
 被告人E、同Fの弁護人松下幸徳の上告趣意について。
 所論麻薬没収書によつて本件物件が麻薬であつたことを十分に認定できることは
前段説明のとおりである。また右没収書は被告人等の自白の補強証拠として不充分
であるとは認められないから論旨は採用できない。
 被告人Gの弁護人爲成養之助の上告趣意第一点について。
 原審第三回公判は昭和二五年九月一六日開かれ、第四回公判は同年一〇月二四日
開かれその間一五日以上を経過しているのに公判手続の更新がしてないことは記録
上明らかである。しかし刑訴規則施行規則三条三号により開廷後引続き一五日以上
開廷しなかつた場合でも裁判所が必要と認める場合に限り公判手続を更新すれば足
りるのであつて原審はその必要を認めなかつたため更新をしなかつたものと認めら
れるから論旨は採用できない。
 同第二点について。
 しかし麻薬取締規則にいう所持とは麻薬を自己の支配内に置くことをいうのであ
つて所論の如く麻薬取扱者でない者が麻薬を他へ販売、授与等何等かの危険性を伴
う行為をなす意図を有することを要するものではない。論旨はその意図を要するこ
とを前提として原判決を非難するものであるから論旨は理由がない。
 被告人Gの弁護人布施辰治の上告趣意第一点について。
 論旨は要するに量刑不当の主張であるから上告適法の理由にならない。
 同第二点について。
 原判決には「塩酸モルヒネ外八種の麻薬」と判示してあるが原判決が引用してい
る証拠のうち「麻薬没収書と題する書面の写と対比すれば外八種の麻薬がいかなる
麻薬であるかが具体的に判るのであるから原判決には所論のような違法なく論旨は
理由がない。
 同第三点、、同第四点及び第五点について。
 しかし原判決挙示の証拠により原判示の事実を認定し得るのである。また本件「
デシピウム」が麻薬であることを認定するにつき必ずしも鑑定の手続によることを
要するものでないことは前段説明のとおりであるから、論旨はいずれも理由がない。
 同第六点について。
 原判決の確定した事実は被告人Gは昭和二二年一一月一七日頃以降本件塩酸モル
ヒネ外八種の麻薬を、同年一二月二〇日頃以降本件「デシピウム」四五〇瓦を何れ
も昭和二三年一月一七日頃迄の間同被告人方で所持したものであるというのであつ
てA関係の「デシピウム」とF関係のモルヒネ外八種につき包括的に一個の所持罪
が認定されていることは明白であるから論旨は理由がない。
 よつて刑訴施行法二条旧刑訴四四六条により主文のとおり判決する。
 右は裁判官全員一致の意見である。
 検察官 竹内壽平関与
  昭和二六年五月一一日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛