弁護士法人ITJ法律事務所

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       主   文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
       事   実
第一 当事者の求めた裁判
一 控訴人
1 原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。
2 被控訴人の請求を棄却する。
3 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
主文と同旨
第二 当事者の主張
 当事者双方の主張は、次のとおり付加、訂正するほかは、原判決の事実摘示中の
控訴人と被控訴人関係部分と同じであるから、これをここに引用する。
一 原判決一一枚目表二行目の「三一一条」を「三二条」に改める。
二 控訴人の主張
1 被控訴人は、被告(控訴人)商標(以下単に「被告商標」という。)の登録を
無効とした審決の取消請求を棄却した東京高裁昭和五五年(行ケ)第二三号事件の
判決が確定した昭和五五年一二月二五日よりも前の同年一一月八日に本件商標権を
放棄したのであるから、本件請求は理由がない。
2 被告商標の使用料について
 昭和四九年九月一日から昭和五五年一一月七日までの間に控訴人が被告商標の使
用料として報国製薬株式会社(原審相被告、以下「報国製薬」という。)から受け
取つた金額は四九二万二三七〇円にすぎない。すなわち、報国製薬は、昭和五四年
三月三一日に香港で「樋屋」なる名称の記載のない登録商標を取得し、翌四月一日
以降は香港向けの商品についてはすべてこの商標を使用していたが、その売上高は
本件商品の総売上高の三〇パーセントである(したがつて、右の日以降はこの分の
使用料が控除さるべきである。)。また、報国製薬の昭和五〇年一一月一日から昭
和五一年一〇月三〇日までの間の本件商品の売上高は三六〇〇万八一八四円であ
る。そして、控訴人と報国製薬との間においては、使用料の額は本件商品の売上高
の三パーセントと定められていた。
三 被控訴人の主張
控訴人の1の主張は争い、2の事実は否認する。
       理   由
一 当裁判所も被控訴人の本訴請求は原判決が認容した限度で正当として認容すべ
く、その余は棄却すべきものと判断するが、その理由は、次のとおり付加、訂正す
るほかは、
原判決の理由説示と同じであるから、これをここに引用する。
1 原判決一二枚目表一一行目の代表者の次に「(原審)」を加え、一四枚目裏七
行目の次に改行のうえ次の説示を加える。
「 なお、右のように商標権放棄の効力は遡及しないのに対して、商標登録無効の
審決が確定するとその商標権は初めから存在しなかつたものとみなされるのである
から(商標法五六条、特許法一二五条)、被控訴人が前記東京高裁の判決の確定前
に本件商標権を放棄したからといつて、本件のような不当利得返還請求が許されな
いことになるわけではない。したがつて、控訴人の当審主張1も失当である。」
2 原判決一四枚目裏一二行目から一五枚目裏二行目までを次のように改める。
「 しかし、商標登録の無効は特許庁における審判手続によつてのみ判定されるこ
とができ、同手続において商標登録を無効とする審決が確定しない限り、裁判所と
してはこれを友好なものとして扱わなければならないと解されるから、本件商標に
ついて登録無効事由の存在をいう控訴人の右主張はそれ自体失当である。」
3 原判決一五枚目裏七行目の「当該商標と同一の商標」を「当該商標又はこれに
類似する商標」に改め、同一一行目の「被告ら」から一六枚目表三行目末尾までを
次のとおり改める。
「 成立に争いのない甲第一一、第二五号証、乙第二九ないし第三一号証、第三七
号証、原審での控訴人本人尋問の結果により真正に成立したものと認められる乙第
二、第一六号証、第二二号証の一、第三三、第三四号証、弁論の全趣旨により控訴
人側販売の本件商品のパツケージの一部と認められる検乙第四、第五号証、当審で
の和解成立前の控訴人会社代表者尋問の結果により真正に成立したものと認められ
る丙第一六号証の一、二、右控訴人本人及び控訴人会社代表者各尋問の結果並びに
弁論の全趣旨によれば、(1)控訴人の先々代Aは、古くから本件商品の製造販売
を家業としていた樋屋の当主第一〇世Bの番頭をしていたが、明治三二年ころ、同
家から暖簾分けを受けたとして妻Cを形式上の名義人として乾知生堂の屋号で本件
商品の製造販売を開始したこと、
(2)昭和一二年にAが死亡し、その婿養子Dが跡を継いだが、同人(名義上は
C)は、昭和一六年三月四日被告商標とほぼ同一の商標(甲第一一号証)について
登録の出願をし、昭和一八年四月五日にその登録を得たこと、(3)そして、同人
はそのころから右の商標を本件商品に使用していたこと、(4)昭和四六年にDが
死亡し、控訴人がDの権利義務を相続したこと、以上の事実を認めることができる
けれども、本件商標の登録出願時である昭和二五年七月一九日当時において、右の
D使用の商標が同人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識
されていたことについてはこれを認めるに足りる証拠はない。」
4 原判決一六枚目裏七行目の「被告会社」の前に「原審での」を、一七枚目裏三
行目及び一八枚目裏一行目の各「被告会社」の前に「前掲」をそれぞれ加え、一九
枚目表末行の次に改行のうえ次の説示を加える。
「 控訴人は、当審主張2において、控訴人が右の全期間中に被告商標の使用料と
して取得した金額は合計四九二万二三七〇円にすぎないと主張するところ、前掲当
審での控訴人会社代表者尋問の結果中には一部右の主張にそうかのような供述部分
(輸出用の商品の商標使用料に関する部分)があるけれども、右供述は同代表者の
原審での供述と対比してたやすく採用できないし、そのほかに前記認定を左右する
に足りる証拠はないから、控訴人の右主張は採用できない。」
二 よつて、右と同旨の原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないから、これ
を棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法九五条、八九条を適用し
て、主文のとおり判決する。
(裁判官 今中道信 仲江利政 島越健治)

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