弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
         理    由
 弁護人三原道也の控訴趣意は末尾添付の書面記載のとおりである。
 右に対する判断。
 第一点(訴訟手続上の法令違反)の(一)(司法警察員の作成にかかる実況見分
書に関する証拠調の違法)について。
 原審第一回公判調書によれば、検察官は、司法警察員の作成にかかる実況見分書
について、他の書面(第三者の供述調書)三通と共にその証拠調の請求をし、弁護
人は、裁判官の求意見に対し、実況見分書の実況見分の結果についてのみ異議申立
をするが、その他の書面を証拠とすることには同意すると述べ、裁判官は、証拠書
類につき証拠調をする旨決定を宣し、検察官は右の各書類を順次朗読して裁判官に
提出した旨記載されている。右の実況見分書について証拠調が行われたかどうか
は、必ずしも明確でないが、公判調書の右の記載と同実況見分書(図面二葉、写真
五葉添付)が記録に編綴されている事実とから推せば、恐らくその証拠調が行われ
たも<要旨>のであろうと認のられる。そして、右の実況見分書の供述者が公判期日
において証人としての訊問を受けた事跡もなく、被告人において、これを証
拠とすることに同意した事跡も認められないのであるから、右の実況見分書はこれ
を証拠とするに由なく、従つて、これが証拠調を遂行したのは、所論のとおり違法
であるというのほかない。しかし、右実況見分の結果と、その後原裁判所が施行し
た検証の結果とを、記録について仔細に対比検討するのに、両者の間その趣旨にお
いて殆んど一致していて、前者が後者に比べて特に被告人に不利益な事項を包含し
ているものとは認められない。従つて、本件においては、実況見分書の証拠調に関
する前記の違法は判決に影響を及ぼすことが明らかである場合にあたらないと解す
るのが相当であり、この点に関する論旨は採用し難い。
 第一点の(二)(職権による証拠調の違法)について。
 原裁判所が職権によつて検証及び鑑定人Aの尋問をしたことは所論のとおりであ
るが、右は、検察官の請求による第一回の検証の結果に不十分であつたと思われる
点が後日発見されるに至つたため、それを補充究明する目的でなされたものであつ
て、特に当事者一方の利益のためのみに施行されたものでなく、むしろ当事者双方
の利益のために、事の真相、すなわち被告人に過失があつたかなかつたかを判定す
る資料発見の意図のもとに遂行されたものであることは。記録上これを窺知するに
十分であり、このような場合の職権による証拠調を目して違法であると断じ去るの
は妥当でない。
 第二、三点(証拠欠缺)について。
 被告人は道路前方の左側に停止中のトラツクがあり、そのトラツクの右側を自転
車で被告人と同一方向に先行するBの姿を現認し、被告人はBの右側を運転前進す
る情況にあつたのであるから、停止トラツクと、Bと、被告人の運転するトラツク
との三者が並列状態となることのあり得べき情況にあつたこと、そして、右三者並
列の状態の際における間隔はBの自転車のハンドルを標準として左右それぞれ一米
に足りない狭い間隔であつて、さように狭い中間を走るBにおいて、平靜を失い、
自転車の操縦を誤まり左右いずれかのトラツクに衝突する事故をひき起すようなこ
とのあり得べきことの容易に予見され得べき情況にあつたことは、原判決引用の証
拠によつて、これを認め得られないことはないのであるかち、原判決が証拠に基か
ずして事実を認定したという論旨は当らない。被告人はBの後方から警笛を鳴らし
ていたのであるから、Bにおいても停止中のトラツクの手前で被告人のトラツクを
避讓するか、若しくは被告人のトラツクに追付かれる前に停止中のトラツクの右側
を通り抜けるため適当な速度で自転車を操縦するか、いずれにしても危険な状態を
招来しないように十全の措置に出ることが望ましかつたと認みられ、そのような措
置に出なかつたことについては、Bにも注意の十分でないものがあつたとは認めら
れるが、その事の故に本件事故の発生が被告人に全く予測することのできない偶然
の出来事であつたと論断することはできない。原判決が証拠に基ずいて被告人に過
失を認めたところに所論のような実験法則違背等の違法があるものとは認められな
い。
 以上説明のとおりであつて、論旨はいずれも採用し難く、その他原判決を破棄す
べき事由がないので、刑訴第三九六条により本件控訴を棄却すべきものとする。
 以上の理由により主文のとおり判決する。
 (裁判長判事 石橋鞆次郎 判事 柳原幸雄 判事 吉田信孝)

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