弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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○ 主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
○ 事実
一 控訴人は、控訴の趣旨として「原判決を取消す。被控訴人が控訴人に対し昭和
五四年八月一七日付でなした原判決添付の別紙第一、第二物件目録記載の土地に対
する昭和四九年度から同五二年度までの特別土地保有税に対する更正の請求ならび
に過誤納金還付請求は受け付けられないとした処分を取消す。訴訟費用は第一、二
審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は控訴の趣旨に対する
答弁として主文と同旨の判決を求めた。
二 当事者の主張及び証拠の関係は、主張につき、原判決二枚目裏四行目、同六行
目、同一〇枚目裏一一行目に各記載の「づつ」を「ずつ」に訂正し、同六枚目表七
行目の「同五一」の次に「年」を、同六枚目裏八行目の「原告の持分」の次に「三
分」を、同七枚目表末行の「同五二」の次に「年」を、同一〇枚目裏五行目から同
六行目の「昭和四九年」、「昭和五一年」の次にそれぞれ「度」を、同一一枚目表
三行目の「登記名義」の次に「の」を付加し、更に左記の主張を付加し、証拠につ
き、当審における書証目録の記録を引用するほか、原判決の事実摘示と同一である
からこれを引用する。
「昭和四九年度から同五二年度までの特別土地保有税に対する本件特別更正の請求
が認められるべきであるが、仮に一歩退いても、訴外Aと同Bが昭和五〇年に苫小
牧簡易裁判所に対し訴外会社を被告として共有持分三分の一を有することを請求原
因として真正な登記名義の回復を原因とする共有持分の移転登記手続を訴求し、本
件和解において右請求が全面的に認められたのであるから、本件和解の成立によ
り、少くとも昭和五一年度と同五二年度の特別土地保有税の納税分に関しては、控
訴人が本件土地を全部所有しておらず、共有持分三分の一のみを有し、残余の三分
の二の持分は訴外A、同Bが有する事実が確定したとみるべきである。そして、訴
外A、同Bの共有持分取得の登記原因は真正な登記名義の回復であるから、新た
に、右両名が、いつ、いかなる価額で右各共有持分を取得したかが調査の対象とな
り、右調査すれば、控訴人が所有名義を取得する前に各金一〇〇〇万円で取得して
いる事実が認められるのであるから、少くとも、被控訴人は、右事実に従つて、本
件土地についての昭和五一年度と同五二年度の特別土地保有につき、地方税法二〇
条の九の三第二項第一号により更正をなし、過誤納金の還付をなすべきものであ
る。」
○ 理由
一 当裁判所も控訴人の本訴請求は理由がなく、これを棄却すべきものと判断する
ものであつて、その理由は、次に付加、訂正するほかは、原判決の理由説示と同一
であるからこれを引用する。
1 原判決一五枚目表六、七行目の「昭和四九年」の、同一七枚目裏九行目の「昭
和四九年」、「同五一年」の次にそれぞれ「度」を付加する。
2 原判決一八枚目裏二行目の「づつ」を「ずつ」に訂正し、同三行目の「原告が
本件土地の共有者として」から同五行目(同上、二二二一頁一四行目)の「確定し
ていないし、また、」までを削除し、同五、六行目の「この共有することとなつた
時点」の次に「や、本件和解成立以前の右三名間の本件についての権利関係」を、
同八行目のあとに「の時点」をそれぞれ付加し、同一三行目の「そうすることが」
から同末行の「ものではないから」までを「このことから訴外会社が昭和四九年、
同五〇年の時点から右三名の共有関係にあつたと直ちに解釈することはできないか
ら、」に訂正する。
3 原判決一九枚目二行目の「さえ」を「は」に、同五行目の「づつ」を「ずつ」
に訂正する。
4 原判決一九枚目裏七行目の「このような手続をするとしても、」から同一〇行
目の「場合がありうるから、」までを「本件土地が右三名の共有に属することが確
認される以前の権利関係としては、控訴人の主張するように、訴外会社、訴外A、
同Bが当初から本件土地についてそれぞれ共有持分三分の一あてを取得した場合の
外、訴外会社が本件土地の所有権を一たん全部取得していたが、本件和解により本
件土地の共有持分各三分の一をそれぞれ訴外A、同Bに処分したという場合やその
ほかさまざまな場合がありうるから(念のため付言するに、成立に争いのない甲第
一一、一二号証によると、本件和解により終了した訴訟において、当事者は、訴外
A、同Bの各共有持分三分の一の取得原因につき明確な主張を提出していないこと
が認められ、その訴訟資料を参酌しても、本件和解において控訴人主張の権利関係
が確定し、あるいはその権利関係を少くとも暗黙の前提として本件和解が成立した
ものとも断定することができない。)」に訂正する。
5 原判決二〇枚目表一行目、同七行目の「原告」をそれぞれ「訴外会社」に、同
五行目の「づつ」を「ずつ」に、同一二行目の「価格」を「取得価額」に訂正し、
同一二行目の「本訴で対象とすべき限りで」の次に「本件和解により」を付加す
る。
6 原判決二〇枚目裏三行目の「当額計算」を「当該計算」に、同六行目の「本件
和解」を「その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎とな
つた事実に関する訴えについての判決(判決と同一の効力を有する和解その他の行
為を含む。)」に、同末行の「一般の更正」を「一般の更正の請求」にそれぞれ訂
正する。
7 原判決二〇枚目裏八行目の次に改行の上(四)として次のとおり付加する。
「なお、控訴人は仮に一歩退いても、昭和五一年度、同五二年度の特別土地保有税
については、訴外A、同Bが昭和五〇年に苫小牧簡易裁判所に本件土地の各共有持
分三分の一につき真正な登記名義の回復を原因とする移転登記手続を訴求し、本件
和解において右請求が全面的に認められたので、少くとも昭和五一年度と同五二年
度の特別土地保有税については本件和解により控訴人が本件土地につき共有持分三
分の一のみを有し、その余の三分の二の持分については訴外A、同Bが各三分の一
ずつ持分を有することが確定したもので地方税法二〇条の九の三第二項第一号によ
る特別更正の請求が認められるべきであると主張するが、本件和解はそれが成立し
た昭和五四年三月三一日の時点において訴外A、同B、控訴人が各持分三分の一ず
つで本件土地を共有しているとの事実が確定されたにとどまるのみであつて昭和五
一一年度、同五二年度の特別土地保有税に関する控訴人の主張にかかる事実まで確
定されたものと認めることができないことは、前記説示のとおりであつて、この点
に関する控訴人の右主張は理由がない。」
二 以上のとおりであつて、控訴人の本訴請求は他に判断を進めるまでもなく失当
として棄却すべきところ、これと同趣旨の原判決は相当で、本件控訴は理由がない
から民事訴訟法三八四条一項によりこれを棄却することとし、控訴費用の負担につ
き同法八九条、九五条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 奈良次郎 藤井一男 中路義彦)

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