弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
被告人を懲役1年に処する。
この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)(ただし,別表は省略。)
 被告人は,平成13年6月24日施行の東京都議会議員選挙に際し,甲区選挙区
から立候補した公職の候補者であるが
第1 別表1記載のとおり,同月16日ころから同月23日ころまでの間,前後5
回にわたり,東京都甲区ab丁目c番d号所在のA選挙事務所において,被告人の
選挙運動者であるBに対し,同人が同選挙区内の選挙人に対して被告人への投票を
依頼するなどの選挙運動をしたことの報酬とする目的をもって,現金合計5万90
00円を供与した。
第2 別表2記載のとおり,同月16日ころから同月23日ころまでの間,前後6
回にわたり,前記事務所において,被告人の選挙運動者であるCに対し,同人が前
同様の選挙運動をしたことの報酬とする目的をもって,現金合計7万8000円を
供与した。
第3 別表3記載のとおり,同月16日ころから同月23日ころまでの間,前後6
回にわたり,前記事務所において,被告人の選挙運動者であるDに対し,同人が前
同様の選挙運動をしたことの報酬とする目的をもって,現金合計8万円を供与し
た。
第4 別表4記載のとおり,同月15日ころから同月23日ころまでの間,前後6
回にわたり,前記事務所において,被告人の選挙運動者であるEに対し,同人が前
同様の選挙運動をしたことの報酬とする目的をもって,現金合計7万円を供与し
た。
第5 別表5記載のとおり,同月16日ころから同月20日ころまでの間,前後3
回にわたり,前記事務所において,被告人の選挙運動者であるFに対し,同人が前
同様の選挙運動をしたことの報酬とする目的をもって,現金合計2万5000円を
供与した。
第6 前記B(当時19歳)及び同F(当時19歳)が年齢満20年未満であるこ
との情を知りながら
 1 同月16日ころ,同月17日ころ,同月18日ころ,同月20日ころ,同月
22日ころ及び同月23日ころの6日間にわたり,上記Bをして,自転車で甲区選
挙区を周りながら同選挙区内の選挙人に被告人への投票を依頼するなどの選挙運動
をさせ
 2 同月16日ころ,同月18日ころ及び同月20日ころの3日間にわたり,上
記Fをして,同様の選挙運動をさせ、もって年齢満20年未満の者を使用して選挙
運動をした。 
(量刑の理由)
 本件は,被告人が,平成13年6月24日施行の東京都議会議員選挙に甲区選挙
区から立候補した際,Bほか4名に対し,選挙運動をした報酬として現金合計31
万2000円を供与し,また,上記Bほか1名が未成年者であるにもかかわらず,
両名を使用して選挙運動をしたという事案である。
 公職選挙法上,選挙運動に従事する者に対しては実費弁償をすることができ,選
挙運動に従事する者のうち選挙運動のために使用する事務員及びいわゆる車上運動
員に対しては,あらかじめ選挙管理委員会に届け出た者に限り,一定の報酬を支払
うことができるが,それ以外の選挙運動者に対して報酬の支払をすることは違法と
されているところ,被告人はこれまでの区議会議員選挙の経験や選挙委管理委員会
の説明等によって一応はこの点を認識してはいたものの,その認識はかなり浅いも
のであったと窺われるが,この点は,公職の候補者からすれば,公職選挙法におけ
る最も基本的でかつ重要な事柄であるはずであり,当然に認識しておくべきことで
あるから,この点に関する被告人の認識が浅かったとしても,そのこと自体厳しい
非難を免れず,未成
年者2名を使用して選挙運動をした点と合わせると,被告人の刑事責任は軽視し得
ないものがある。
 しかし,被告人が現在では深く反省し,今後の政治活動においては法を遵守する
ことを誓っていること,現金の供与を受けた選挙運動者は,選挙運動のアルバイト
といった認識で公職選挙法でいう選挙運動に当たる行為を行ったものであり,供与
を受けた現金の額は,交通費や食費等の実費弁償分を含めて時給1000円見当の
額であり,著しく多額とまではいえないこと,被告人が本件により逮捕勾留され,
事件が大きく報道されたことにより相当の社会的制裁を受けたことなどの事情を考
慮すると,今回は刑の執行を猶予するのが相当と判断した。
 なお,検察官は,公民権停止期間が原則として5年間であること,連座制の適用
範囲の拡大により,秘書等の選挙犯罪に対しても候補者の公民権停止の制裁が5年
間科されるのに対し,本件のように候補者自らが買収行為を行い,5年未満の執行
猶予を付した判決が出された場合,その猶予期間が経過すれば,刑の言渡しも失効
し,かつ公民権停止も科されないことになるが,これは秘書らによる選挙犯罪に比
べ不当であるとして,公民権停止期間を5年よりも短縮する特段の事情の認められ
ない本件においては,執行猶予が付される場合であってもその期間は5年間とすべ
きであると主張するが,そのような事態が均衡を失するものであることは確かであ
るものの,刑の執行猶予の期間はそうしたことも考慮に入れた上で犯情や刑の執行
を猶予した諸事情を
総合考慮して定めるべきであり,公民権が停止される期間についての前記のような
不均衡を避けるために常に刑の執行猶予期間を5年間とすべきであるとまではいえ
ない。
 よって,上記諸事情を総合考慮の上,主文のとおり量刑した。
  平成13年10月25日
      東京地方裁判所刑事第4部
          裁 判 官峯 俊之

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