弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を高松高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人泉田一の上告理由第二点について。
 上告人は本件係争地の時効取得を主張し、上告人は昭和二〇年一〇月Dよりa番
のbの山林の贈与を受け、その際本件係争地をその一部として引渡され、爾来平穏
公然に占有を続け、且つ占有の始め善意無過失であつたから、昭和三〇年一〇月末
に取得時効が完成したと主張する。これに対し、原判決は、上告人が昭和二〇年一
〇月Dからa番のbの土地の贈与を受けたことは認められるが、本件係争地には右
贈与後もDの所有山林が存し、これは上告人に引渡していなかつたものと推認され、
従つて上告人としては右引渡を受けなかつた部分が贈与の対象となつていないこと
は当然知つていたものと推認され、そうすれば、その後上告人方において本件係争
地全部の占有を始め爾来その占有を継続して来たことがあつたとしても、その占有
の始め悪意であつたといわねばならないから、右占有によつて期間一〇年の取得時
効が完成する余地はない旨判示し、上告人の右主張を排斥している。しかし、原判
決の右理由は、上告人の右主張を排斥する理由として十分なものとはいえない。原
判決は、本件係争地内に、上告人がDから贈与引渡を受けた土地部分が存在する旨
認定していると解される。すると、その部分については原判示のような占有の始め
の悪意の問題は生じ得ないから、原判示のような理由でその部分の取得時効を排斥
することはできないところである。その部分について、上告人主張の取得時効の成
否が審究せらるべきであり、その結果、取得時効の要件が具備しておれば、その部
分について、上告人の取得時効の主張が一部是認せらるべきものである。それに、所
有権に基づいて不動産を占有する者についても民法一六二条の適用があることは当
裁判所の判例とするところであつて(昭和四〇年(オ)第一二六五号同四二年七月
二一日第二小法廷判決、民集二一巻六号一六四三頁参照)、上告人が取得時効を主
張する土地が上告人において所有権に基づき占有する土地にあたるとしても、その
ことは、上告人主張の取得時効の成否に影響はないのであるし、ことに原判決では、
本件係争地内に上告人の所有地a番のbの一部の存在することが推認されながら、
その具体的範囲の立証がないとして、結局右所有地に関する上告人の所有権確認請
求が排斥される結果となつているのであるから、上告人には、自己の所有地につい
ても取得時効を主張する十分な必要と利益が存するものというべきである。なお、
本件係争地内の上告人所有地a番のbの一部の範囲が原判示のように特定しないか
らといつて、上告人がa番のbにあたるとして贈与引渡を受け占有をはじめた土地
部分が特定できないということにならないことは、いうをまたないところである。
 以上の次第であるから、前記程度の理由をもつて、上告人の取得時効の主張のす
べてを排斥した原判決には、民法一六二条の解釈適用を誤つたか、審理不尽、理由
不備の違法があるといわねばならず、論旨は、この点理由がある。原判決は爾余の
論点の判断をまつまでもなく破棄を免かれず、さらに審理を尽させるため、本件を
原審に差し戻すべきものとする。
 よつて、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決す
る。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   田       誠
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    松   田   二   郎
            裁判官    大   隅   健 一 郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛