弁護士法人ITJ法律事務所

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○ 主文
本件訴はいずれもこれを却下する。
訴訟費用は原告らの負担とする。
○ 事実
第一 当事者双方の求めた裁判
一 原告ら
被告が訴外沖繩三菱開発株式会社に対し、昭和四七年五月九日、指令建第三〇九号
をもつてなした沖繩県中頭郡与那城村平安座および宮城島桃原地先間の海面二一三
万六三四七・一八平方メートルの公有水面の埋立を免許する旨の処分が無効である
ことを確認する。
訴訟費用は被告の負担とする。
二 被告
(本案前の申立)
原告らの訴を却下する。
訴訟費用は原告らの負担とする。
(本案について)
原告らの請求を棄却する。
訴訟費用は原告らの負担とする。
第二 当事者双方の主張
一 原告らの請求原因
(一) (本件埋立免許処分)
被告は、訴外沖繩三菱開発株式会社(以下訴外沖繩三菱という)に対し昭和四七年
五月九日指令建第三〇九号をもつて、沖繩県中頭郡与那城村平安座および宮城島桃
原地先間の海面二一三万六二四七・一八平方メートルの公有水面(以下本件公有水
面という)の埋立免許を与えた。(以下本件埋立免許処分という)。
(二) (原告らの権利)
訴外与那城村漁業協同組合(以下訴外与那城漁協という)および訴外勝連村漁業組
合(以下訴外勝連漁協という)の両漁協は、被告より昭和四四年一一月一日付共第
一六号をもつて本件公有水面を含む漁区において第一ないし第三種の各共同漁業を
内容とする共同漁業権の設定を受け別紙当事者目録記載の(一)の原告らは、訴外
与那城漁協の、同目録記載の(二)の原告らは、訴外勝連漁協の組合員であり、そ
れぞれその所属漁協の定める漁業権行使規則により、本件公有水面を含む海域にお
いて漁業を営んでいる。
(三) (本件埋立免許処分の違法性)
公有水面の埋立は、埋立水面における漁業権の消滅をもたらすので、公有水面埋立
法四条三項一号により漁業権者の埋立についての同意を要し、右同意に際しては、
水産業協同組合法五〇条四号により、漁業権の消滅について総組合員の半数以上が
出席し、その三分の二以上の多数による議決のあることを必要とするが、訴外与那
城漁協および訴外勝連漁協においては右特別決議はおろか、漁業権放棄の議案の提
出すらなされておらず、また、漁業法八条一二項は漁業協同組合が漁業権行使規則
を変更せんとするときには、当該漁業権の内容である第一種漁業を営む組合員のう
ち、関係地区内に住所を有する者の三分の二以上の書面による同意を必要としてい
るが、右規定は漁業権放棄の場合にもその適用があると解すべぎであるのに、訴外
与那城漁協および訴外勝連漁協においては右書面による同意をとつていない。
従つて、本件埋立免許処分は無効というべきである。
(四) よつて原告らは被告に対し本件埋立免許処分の無効確認を求める。
二 訴訟要件に関する当事者双方の主張
(一) 被告
本件公有水面はすでに訴外沖繩三菱により埋立工事が竣工し、その埋立の規模、構
造からみて本件埋立地を公有水面の原状に復することは社会的、経済的にみて不可
能であるから、本件公有水面埋立免許の無効確認を求める本件訴は法律上の利益を
欠き不適法である。
また、本件訴は、被告沖繩県知事を相手として本件公有水面埋立免許の無効確認を
求めるものであり、その勝訴判決は埋立権者である訴外沖繩三菱を拘束するもので
はないから、右判決によつて訴外沖繩三菱が埋立地の原状回復義務を負うことはな
い。したがつて、本訴は埋立地の原状回復が可能であるか否かに拘らず訴の利益が
ないというべきである。
(二) 原告ら
本件埋立地を公有水面に原状回復させることは社会通念上不可能ではない。
なお、本件訴につき勝訴判決があれば公有水面埋立法三五条一項により、埋立権者
訴外沖繩三菱が原状回復義務を負うに至り、ただ例外として原状回復が不可能な場
合には被告沖繩県知事が、判決後において原状回復義務を免除しうるに過ぎないか
ら、原状回復が不可能であるとの理由で本件訴の利益が失われるものではない。
第三 証拠関係(省略)
○ 理由
一 原告らの本件公有水面埋立免許処分の無効確認の訴えにつき訴の利益があるか
否かにつき考えるに、もともと、行政処分の無効確認の訴えは、当該処分が無効で
あつて原告の法的地位に処分による変動のないことを明らかにしそれによつて処分
が表面的に有効視されることから生ずる原告の地位の不安、危険を排除することを
目的とするものであるからこのような不安、危険の排除がもはや不可能または無意
味となつたときは、その訴えの利益は失われると解すべきであるが、このことは県
知事の公有水面埋立免許処分の無効確認を求める訴えについてもこの埋立工事が竣
功しその原状回復が法律上不可能か若しくは著しく困難であつて、知事においても
公有水面埋立法三五条所定の原状回復義務を免除する義務を負う場合にはもはや右
訴によつて同海面において漁業を営むものの地位の回復は不可能であるから、右漁
業を営む者よりの右処分の無効確認を求める訴えの利益は消滅したものと解するの
が相当である。
ところで、原告らは、原状回復が不可能な場合であつても被告知事が公有水面埋立
法三五条一項により本件訴に対する勝訴判決確定後において埋立権者に対し原状回
復義務を免除し得るにすぎないものであるから原状回復の可能性の有無によつて本
件訴えの利益が失われるものではないと主張するが、しかしながら、公有水面埋立
法三五条一項の規定をもつて原状回復が法律上不可能か著しく困難である場合につ
いてまで県知事に埋立権者に対し埋立地の原状回復を命じる権限を与えたものとま
で解し難く、むしろかかる場合には県知事としては同法条所定の原状回復義務を免
除する義務を負うと解するのが相当であるから、右原告らの主張は採用できない。
二 そこで以下本件公有水面の埋立の現状および原状回復が法律上不可能であるか
若しくは著しく困難であるか否かにつき検討する。
(一) 成立に争いない乙第一号証の一および二、第一三および一四号証、昭和四
九年一二月二五日当時の本件埋立地の写真であることについて争いない乙第一二号
証の一ないし一七、その方式および趣旨により公務員が職務上作成したものと認め
られるから真正な公文書と推定すべき乙第七号証の一ないし三および第八号証、証
人A、同Bの各証言ならびに弁論の全趣旨によると次の事実を認めることができ右
認定を左右するに足りる証拠はない。
1 本件公有水面埋立免許の申請は昭和四六年五月一日付で埋立予定地の与那城村
村長から琉球政府行政主席宛に提出され、同月一一日同政府に受付けられたが、同
年一一月二五日、与那城村会議において右申請人を訴外沖繩三菱に変更する旨の決
議がなされ、昭和四七年三月三一日に右与那城村村長と訴外沖繩三菱から琉球政府
宛に右申請の申請人の変更届が提出され、同時に右訴外沖繩三菱から琉球政府に対
し右埋立予定の公有水面に共同漁業権を有する訴外与那城漁協と訴外勝連漁協の本
件公有水面の埋立に同意する旨の右訴外沖繩三菱宛文書が提出された。
しかして、琉球政府は、右申請に対して公有水面埋立法(一九六二年立法第七九
条)三条(昭和四八年法律第八四号による改正前の公有水面埋立法(大正九年法律
第五九号)三条の規定と同じ)に基づき、与那城村議会に右申請についての意見を
求めたところ、右村議会は全員一致で異議ない旨の決議をし、同村長より同年五月
二日その旨の回答がなされたので、同年五月九日指令建第三〇九号をもつて訴外沖
繩三菱に対し本件公有水面埋立を免許する旨の免許書を交付した。
そこで訴外沖繩三菱は同年七月一五日前記両漁協との間で本件公有水面埋立によつ
て漁業者の被る損失補償金として合計金一億二二〇〇万円を支払う旨の契約をし、
同年一〇月二三日右金員を支払つたうえ、同年一〇月二五日被告の同年九月三〇日
付公有水面実施設計認可に付された条件に従つて埋立工事に着工し、約一年七月を
かけ昭和四九年四月三〇日右工事を完了したこと、訴外沖繩三菱は昭和四九年五月
二〇日被告に対し現行の公有水面埋立法二二条(沖繩の復帰に伴う特別措置に関す
る法律五三条、沖繩の復帰に伴う建設省関係法令の適用の特別措置等に関する政令
第七六条)に基づき竣功認可の申請をしていること。
2 その埋立地の現況は別紙図面(一)および(二)のとおりであり、その埋立工
事の面積、内容は次のとおりである。
(1) 埋立面積 二一二万一五六六・七五平方メートル
埋立地用途別内訳
事 業 用 地  一九七万六〇七一・三七平方メートル
護  岸  敷  二万一六〇五・八八平方メートル
道  路  敷  二万六八〇一・六六平方メートル
緑     地  九万三二六四・〇二平方メートル
漁港関連用地   三八二三・八二平方メートル
(2) 工事内容
(A) 埋  立  巾  平均約一八〇〇メートル
(8) 埋立地仕上り高
埋立地盤高 プラス四メートル
高 潮 高 プラス二・四メートル
護 岸 高 A護岸プラス六・三メートル
B 護岸プラス六メートル
(C) 浚 渫 土 量  約八二四万立法メートル
(D) 護  岸  長  A護岸 一七五〇メートル
B 護岸  一七五一メートル
(E) 道  路
巾一一・二五メートル(うち車道巾七・五メートル)
長さ 二四五〇メートル
(9) 緑  地
A 護岸A水路沿い
巾三〇メートル 長さ二二二八メートル
B 水路沿い
巾三六メートル 長さ八五〇メートル
(3) 水  路
A 水路 巾六〇メートル 長さ四一六メートル
B 水路 巾三六メートル 長さ八五〇メートル
(H) 橋  梁
巾一一・二五メートル 長さ一五メートル
3 前記埋立地の一部である前記公共用道路は宮城島と平安座島を結んでおり事実
上公衆の利用に供され、また本件埋立の関連工事として建設された前記漁港の諸設
備も現実に地元漁民らに利用されていること、また、仮に本件公有水面の埋立地を
原状に回復するとすればその工事による土砂のため周辺海域が著しく汚染されるこ
と。
(二) 右各事実によると、本件埋立地を海面に回復することは必ずしも物理的に
不可能とはいえないが、しかし、その規模、構造、現在の利用状況、原状回復によ
つて予測される社会的、経済的損失および周辺海域の汚染度などからみて社会通念
に照らし法律上原状回復が著しく困難であつて知事としては埋立権者に対して原状
回復義務を免除しなければならない場合に該当すると認められるから、もはや本件
訴によつて、本件埋立地の原状回復を求めることは不可能であり、したがつて原告
らの本件公有水面の埋立免許処分の無効確認を求める訴えは利益がないといわざる
を得ない。
三 よつて原告らの本件訴えはいずれもその利益を欠く不適法なものであるからこ
れを却下することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九三条本文を適
用して主文のとおり判決する。
(裁判官 山口和男 喜如嘉 貢 仲宗根一郎)
図面一、二(省略)

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