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平成28年5月26日判決言渡同日原本交付裁判所書記官
平成27年(ワ)第21613号損害賠償等請求事件
口頭弁論終結日平成28年4月12日
判決
原告株式会社フィードアップ
同訴訟代理人弁護士髙井章吾
木元哲朗
髙井章光
被告株式会社サイゼリヤ
同訴訟代理人弁護士清水紀代志
久保内卓亞
青野晋也
森田芳玄
大野瑛
佐藤貴弘
主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
被告は,原告に対し,4億0831万3400円及びこれに対する平成19
年3月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
本件は,発明の名称を「麺線製造法及び麺線」とする特許権を有していた原
告が,被告によるパスタ麺(以下「被告製品」という。
)の製造行為が上記特
許権の侵害に当たると主張して,被告に対し,民法709条及び特許法102
条3項又は民法703条及び704条に基づき,損害賠償金又は上記特許権実
施料相当額の利得金4億0831万3400円及びこれに対する不法行為又は
利得の後の日である平成19年3月5日から支払済みまで民法所定の年5分の
割合による遅延損害金又は利息の支払を求める事案である。
1前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨に
より容易に認められる事実)
⑴当事者
ア原告は,食料品の加工,食品工業に関する技術の開発業務,食品工業に
関する技術のコンサルティング業務を主な事業目的とする株式会社である。
イ被告は,飲食店の経営,食料品の製造及び販売等を定款上の主な事業目
的とし,イタリア料理店「サイゼリヤ」をチェーン展開するフードサービ
ス業を営む株式会社である。
⑵本件特許権
アフクヤマ食品株式会社は,後記特許権(以下「本件特許権」という。

の登録を受けた。原告は,平成18年11月17日,同株式会社から本件
特許権を譲り受け,本件特許権の存続期間満了日である平成25年3月1
6日まで有していた。
(甲1,2)
特許番号第2620029号
発明の名称麺線製造法及び麺線
出願日平成5年3月16日(特願平5-55749)
登録日平成9年3月11日
イ本件特許権に係る特許請求の範囲の請求項1及び3の記載は,次のとお
りである(以下,これらの発明を「本件発明」と総称する。


請求項1
「乾麺線であるβ麺線の表面を短時間加熱することによりα化し,その
後,水に浸漬して内部のβ麺線にα化層の外側から水を吸収させて含水
膨潤させることを特徴とする早茹で麺線の製造方法。

請求項3
「β麺線の表面を短時間加熱することによりα化し,その後水に15~
60分間浸漬して吸水させることを特徴とする請求項1又は請求項2記
載の方法。

ウ本件発明は,次の構成要件に分説される(以下,個別の構成要件をその
段落番号に従い「構成要件A」などという。


請求項1
A乾麺線であるβ麺線の表面を短時間加熱することによりα化し,
Bその後,水に浸漬して内部のβ麺線にα化層の外側から水を吸収さ
せて含水膨潤させる
Cことを特徴とする早茹で麺線の製造方法。
請求項3
Dβ麺線の表面を短時間加熱することによりα化し,その後水に15
~60分間浸漬して吸水させる
Eことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の方法。
⑶被告の行為
被告は,被告の工場において被告製品を製造している。
2争点及び争点に関する当事者の主張
⑴被告製品の構成要件充足性
(原告の主張)
被告製品の製造工程は,①乾麺線を熱湯中で数分間茹でてα化する工程が
あり,数分間という茹で時間が「短時間」に相当すること(構成要件Aに相
当)
,及び,②被告製品は断面を見ると澱粉粒の形状が残っているにもかか
わらず内部に十分な水分量があって麺どうしが癒着していないから,上記①
の工程の後冷却する際に適量の水分を15分以上加える工程があるはずであ
り,この工程が「水に浸漬」に相当すること(構成要件B及びDに相当)か
らすれば,本件発明の構成要件を充足する。
(被告の主張)
●(省略)●
⑵損害又は不当利得の額
(原告の主張)
原告が本件特許権を取得した平成18年11月17日から平成19年3月
5日までにおける被告製品の売上高は74億2388万5479円,本件発
明に係る特許の相当な実施料率は5.5%であるから,特許法102条3項
に基づき,原告の損害額又は被告の利得額は4億0831万3400円を下
回らない。
(被告の主張)
争う。
第3当裁判所の判断
1争点⑴(被告製品の構成要件充足性)について
⑴本件発明における麺線の製造方法は,その特許請求の範囲の記載のうち構
成要件B及びDによれば,乾麺線であるβ麺線の表面を短時間加熱したこと
によってα化した後「水に浸漬」する工程が必要であることが明らかである。
そこで上記工程が被告製品の製造工程に含まれるか否かを判断するに,証
拠(乙1~3)及び弁論の全趣旨によれば,●(省略)●そうすると,上記
製造工程において乾麺線の加熱後に「水に浸漬」する工程がないから,構成
要件B及びDを充足しない。
⑵これに対して,原告は,被告製品の調理後の状態を撮影した電子顕微鏡写
真等(甲7,12~16)を根拠として,乾麺線を茹でた後冷却する際に適
量の水分を15分以上加える工程があるはずであると主張するが,上記認定
に照らし,失当というべきである。
2結論
以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求は理由
がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官長谷川浩二
裁判官藤原典子
裁判官萩原孝基

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