弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人小野孝徳の上告理由第一について
 地方公務員共済組合(以下「組合」という。)の組合員(組合員であった者を含
む。)の給与支給機関が、給与(退職手当を含む。)を支給する際、地方公務員等
共済組合法(以下「地公共済法」という。)一一五条二項に基づき、その組合員の
給与から貸付金の金額に相当する金額を控除して、これを組合員に代わって組合に
払い込んだ行為は、組合員が破産宣告を受けた場合において、破産法七二条二号の
否認の対象となるものと解するのが相当である。すなわち、地公共済法一一五条二
項の規定は、組合員から貸付金等を確実に回収し、もって組合の財源を確保する目
的で設けられたものであり、給与の直接払の原則及び全額払の原則(地方公務員法
二五条二項)との関係を考慮して、右の払込方法を法定したものと解される。そし
て、右払込が他の債権に対して優先する旨の規定を欠くことや、「組合員に代わっ
て」組合に払い込まなければならないとしている地公共済法一一五条二項の文言に
照らしてみれば、組合において、破産手続上、他の一般破産債権に優先して組合員
に対する貸付金債権の弁済を受けうることを同項が規定したものと解することはで
きず、この払込は、組合に対する組合員の債務の弁済を代行するものにほかならな
いと解されるからである。以上と同旨の原審の判断は正当として是認することがで
き、原判決に所論の違法はない。論旨は採用することができない。
 同第二について
 退職者に対し退職手当が支払われることにより、退職手当債権は消滅し、既に支
払われた退職手当相当の金員については、債権に対する一部差押禁止を定める民事
執行法一五二条二項の規定の適用はないというべきである。したがって、退職者が
その後破産宣告を受けた場合には、退職手当相当の金員は破産財団を構成し、退職
者が退職手当をもって債務の弁済に充てていたときは、その弁済は破産法七二条二
号の否認の対象となるものと解するのが相当である。そして、右弁済が、地公共済
法一一五条二項に基づき、破産者の退職手当から控除して払い込まれることによっ
てなされた場合、その行為が否認の対象となることはさきに説示したとおりであり、
右退職手当の四分の三に相当する部分についても否認の対象となりうるものという
べきである。これと同旨の原審の判断は正当として是認することができ、原判決に
所論の違法はない。論旨は採用することができない。
 同第三について
 職員の共済制度に関する大分県条例(昭和三四年同県条例第九号)八条二項は、
公立学校共済組合大分支部等に加入している同県の地方公務員において組織する互
助会の会員(会員であった者を含む。)が互助会に支払わなければならない貸付金
があるときは、給与(退職手当を含む。)から控除して、会員に代わって払い込む
ものとしている。そして、会員が破産宣告を受けたときに、右の払込が否認の対象
となるものと解すべきことは、地公共済法一一五条二項の規定についてさきに説示
したところと同様である。これと同旨の原審の判断は正当として是認することがで
き、原判決に所論の違法はない。論旨は採用することができない。
 よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意
見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    坂   上   壽   夫
            裁判官    貞   家   克   己
            裁判官    園   部   逸   夫
            裁判官    佐   藤   庄 市 郎
            裁判官    可   部   恒   雄

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