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裁判例


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○ 主文
原判決を取り消す。
仙台北税務署長が控訴人に対して昭和四一年三月一二日付でなした、昭和三七年度
分の所得税の更正及び過少申告加算税賦課処分中、納付すべき税額三〇三、八四〇
円、過少申告加算税五、九五〇円を超える部分、昭和三九年度分の所得税の更正及
び過少申告加算税賦課処分中、納付すべき税額九三〇、三八〇円、過少申告加算税
三四、五五〇円を超える部分をいずれも取り消す。
訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
○ 事実
第一、当事者双方の申立
一、控訴人
主文同旨
二、被控訴人
1、本件控訴を棄却する。
2、控訴費用は控訴人の負担とする。
第二、当事者双方の主張
一、控訴人の請求原因
1、控訴人は仙台北税務署長に対し、昭和三七年度分の所得税につき別表(一)の
(1)欄記載のとおりに、昭和三九年度分の所得税につき別表(二)の(1)欄記
載のとおりにそれぞれ確定申告をした。
2、しかるに、仙台北税務署長は昭和四一年三月一二日付で昭和三七年度分の確定
申告を別表(二)の(2)欄記載のとおりに更正し、過少申告加算税一五六、一五
〇日を賦課する処分(以下右更正処分及び過少申告加算税賦課処分を本件(一)の
処分という。)を、昭和三九年度分の確定申告を別表(二)の(2)記載のとおり
に更正し、過少申告加算税一四一、四五〇円を賦課する処分(以下右更正処分及び
過少申告加算税賦課処分を本件(二)の処分という。)をした。
そこで、控訴人は、本件(一)(二)の各処分につき、昭和四一年四月八日仙台北
税務署長に対し異議の申立をしたところ、同年七月四日異議が棄却されたので、さ
らに同年八月二日仙台国税局長に対し審査請求をしたが、昭和四二年六月三〇日右
審査請求を棄却する旨の裁決がなされた。
3、しかしながら、控訴人の昭和三七年度分の所得は別表(一)の(3)欄記載の
とおりであり、昭和三九年度の所得は別表(二)の(3)欄記載のとおりであるの
で、本件(一)(二)の各処分には所得金額の認定を誤つた違法がある。
4、昭和五〇年七月一〇日大蔵省令五五号をもつて大蔵省組織規程の一部が改正さ
れ、被控訴人が仙台北税務署長から本件に関する事務を承継した。
5、よつて、控訴人は、本件(一)の処分中納付すべき税額三〇三、八四〇円、過
少申告加算税五、九五〇円を超える部分の、本件(二)の処分中納付すべき税額九
三〇、三八〇円、過少申告加算税三四、五五〇円を超える部分の各取消を求める。
二、被控訴人の答弁
1、請求原因1、2、4の各事実はいずれも認める。
なお控訴人は、確定申告書において保険代理店業による一九、七九〇円を雑所得と
して計上しているが、当該所得は旧所得税法九条一項四号および旧所得税法施行規
則七条の三第四号により事業所得に該当するので、更正決定においては、雑所得か
らその他事業所得に振替計算してある。
2、同3の事実は争う。
本件(一)(二)の各処分は後記三のとおり適法になされた。
三、被控訴人の主張
1、控訴人が昭和三七年分及び昭和三九年分の不動産所得を計算するにあたり、不
動産収入とした金額の内訳は確定申告書によつては明らかでないが、仙台北税務署
長の調査の過程で知り得たところで区分し、その調査額と対比してみると、
<略>
となり、つまるところ、aに対する賃貸料収入の加算の当否に帰するところであ
る。
2、控訴人は、aに対し昭和二一年九月一五日以来控訴人所有の土地を賃貸してき
たが、数回の改訂の後基本的な賃貸料として昭和二七年中に月三五、〇〇〇円と協
定のうえ、毎月二五日を支払期限としてきたもので、事実控訴人はこの額を昭和三
七年分及び昭和三九年分の不動産収入(月三五、〇〇〇円の一二カ月分四二〇、〇
〇〇円)として確定申告後に計上してきたことは右1により明らかである。
ところで、控訴人は、右地代が周辺地代の値上り、地価の高騰及び租税の増額等に
より不相当と認め、昭和三〇年八月、aに対して同年九月以降の地代を坪当り二、
〇〇〇円とする増額請求をなし、昭和三二年一月八日に仙台地方裁判所に地代増額
確認の訴を提起し、また、昭和三〇年一〇月六日に同年三月から同年八月までの地
代不払を理由にaに対し賃貸借契約の解除の意思表示をなすとともに、昭和三二年
一〇月七日に同年三月以降同年九月までの地代不払を理由に仙台地方裁判所に建物
収去、土地明渡しの訴を提起し、以来第一審(仙台地裁昭和三二年(ワ)第四号地
代等請求、同年(ワ)第五七一号建物収去土地明渡請求事件)、第二審(仙台高裁
昭和三五年(ネ)第五五八号建物収去土地明渡請求控訴事件)、上告審(最高裁昭
和三七年(オ)第一〇四〇号)と争訟中のところ、昭和四〇年二月一九日上告棄却
判決により、原告の勝訴が確定した。
3、ところで第二審判決言渡(昭和三七年五月二八日判決言渡)後、aは控訴人に
対し次のとおりの金円を支払い(最終支払いは昭和四〇年まで)控訴人はこれを受
領した。
<略>
4、不動産所得計算上の収入金額は、その収入すべき金額の確定した金額と解すべ
く、その確定の基準としては
(一) 契約その他の慣習により支払期の定めある場合はその支払期
(二) 支払期の定めないもので請求されたときに支払義務が確定する場合はその
請求の時
(三) その他の場合はその支払いを受けた時
を標準として算定されると解されている(佐賀地方昭三九、一二、一七判決、同庁
昭和三八年(行)第四号)ところであるが、aは上告審がなお係属中において第二
審判決の範囲内で地代金相当額の支払いをなすことを認め、これを随時履行してき
たものであつて、これは右(二)に該当し、その支払いを受けた年分の不動産収入
とすべきものである。
5、仙台北税務署長は3の事実が当事者(控訴人ならびにa)を調査の結果判明し
たので、控訴人のaに対する不動産所得計算上の収入金額は控訴人計算の月三五、
〇〇〇円の一二カ月分四二〇、〇〇〇円にかかわらず、昭和三七年分については
九、五九六、二〇〇円((注)雑所得計算上の収入金額九三六、三一八円を含
む。)、昭和三九年分については七、一〇五、九六一円である(昭和三八年分につ
いては係争外につき除く。)と認め、別表(一)(二)の各(2)欄記載のとおり
計算をしたうえで本件(一)(二)の各処分をなしたものである。
なお、昭和三七年分について原処分は雑所得の金額を九三六、三一八円と計算した
が、これは延滞地代に対する年利五分の割合による支払いずみまでの遅延損害金で
あり、本来不動産所得計算上の収入金額とすべきところであつたが、雑所得金額計
算上の収入金額としたものである。
(注)不動産所得と雑所得とは、所得金額の計算上特に異なるところがなく、所得
の種類を変更することによる実益もないので、審査の裁決にあたつてもしいて変更
しなかつたものである。
6、雑所得とした九三六、三一八円の計算内訳は次のとおりである。
<略>
四、控訴人の前記三の被控訴人の主張に対する答弁
1、前記三の1の事実中aに関する調査収入金額は争う、その余は認める。
2、同三の2、3の各事実は認める。
3、同三の4、ないし6の各主張事実は争う。
五、控訴人の主張
1、被控訴人は「不動産所得計算上の収入金額は、その収入すべき金額の確定した
金額と解すべく、その確定の基準としては、
(一) 契約その他の慣習により、支払期の定めある場合は、その支払期
(二) 支払期の定めないもので、請求されたときに支払義務が確定する場合はそ
の請求の時
(三) その他の場合はその支払をうけた時
を標準として算定されると解される」
旨主張し、「aは、上告審がなお係属中において、第二審判決の範囲内で、地代金
相当額の支払いをなすことを認め、これを随時履行して来たものであつて、その支
払を受けた年分の不動産収入とすべきものである」と主張する。
しかし、右被控訴人の主張は失当である。
2、不動産所得の発生時点が何時であるかの問題は、その発生した慣習の履行期
は、何時到来するかという問題とは区別されなければならない。
被控訴人の主張は、右債権の発生時期と、その履行期とを混同して履行期即発生期
であるかの如く誤解しているもので失当である。
所得税法に於ける所得算定の基準については、所謂発生主義を原則とするのであつ
て、当該年度に発生したものは、その履行期に関係なく当該年度の所得として、計
上すべきものである。
所得税法第二六条二項にとれば、「不動産所得の金額は、その年中の不動産所得に
係る総収入金額から、必要経費を控除した額とする」とあり、右収入金額とは、同
法第三六条第一項によれば、「その年分の各種所得の金額の計算上、収入金額とす
べき金額または総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、そ
の年において収入すべき金額とする」とあるとおりであつて、被控訴人が主張する
ようなその年において履行期または支払期の到来すべき金額ではない。
したがつて、支払期を以て当該年度の不動産所得発生の帰属年度と解したり、現実
の支払をうけた時を以て、当該年度の収入とすべきであると解することは、右税法
の発生主義の原則を明定した法文上許されない。
3、本件のaに関する控訴人の所得の発生年度についてみると、被控訴人主張のよ
うに、現実に「aが、第二審判決の範囲内で地代金の支払いをなすことを認め、こ
れを随時履行してきた」その支払年度に於いて、控訴人の不動産所得が発生したも
のと解することは誤りである。すなわち、第二審判決によつてみるとおり、本件不
動産収入の基礎である控訴人所有土地の賃料については、被控訴人も自白するとお
り昭和二一年九月一五日、aに対し地代支払期日毎月二五日として賃貸してきた
が、昭和二七年中に、右地代は一ケ月三五、〇〇〇円に合意改定されたものであ
る。
右によつて明かな通り、地代の支払期及び発生期は、毎月その月の二五日であると
解さなければならない。このことは、被控訴人が主張するように、「契約その他の
慣習により、支払期の定める場合はその支払期」を以て不動産所得確定発生の時期
と解するとしても、同様な結論になる。ところが、右地代については、昭和三〇年
八月に、控訴人よりaに対し、地代を一ケ月坪当り二、〇〇〇円に増額する意思表
示をなしたものである。
その結果、右土地の地代は、右増額請求がなされると同時に、その時期における客
観的に正当な地代額にまで、当然に増額されたものといわなければならない。しか
して、右客観的に正当な地代額まで、当然に増額された地代は、その時点から発生
したものであるから、当然にその発生後はその年度分は、その年度において収入す
べき金額として、所得計算上計上されなければならないものとなること前記の所得
税法上の規定から明かである。仮りに、しからずとして、被控訴人のように支払期
の約定あるものは、その時を基準にすると解しても、発生した増額地代の支払時期
は、当然前述のとおり約定によれば、各月二五日限り支払期が到来すると解すべき
で、その年度内の各支払期の到来した分は、当該年度の不動産収入(所得)として
計上すべきものとなるのである。
控訴人の右主張の正当性は、地代増額の意思表示は、形成権であることからくる必
然の理論であり、地代増額の意思表示をなし到達した時から、客観的に妥当とされ
る範囲で(本件ではそれは坪当り一ケ月金一、〇五〇円、合計一ケ月地代一三一、
〇六六円二五銭と認定されている。)、地代増額の法律上の効果が発生し、控訴人
の所得は約定どおりその月は毎月二五日に、その支払期が到来することになるので
ある。
しかして、そのためにこそ右増額地代に対する支払については、履行遅滞として第
二審判決に於ても明かなとおり、遅延損害金として民法所定の年五分を付して支払
を命じているのであつて、右事実からしても、増額地代の発生及び支払時期、した
がつて、その所得の帰属年度に関する被控訴人の主張は失当と言わねばならない。
それ故に、増額地代は右のとおり昭和三〇年九月分以降、右土地賃貸借契約が解約
されるまで、すなわち昭和三二年一〇月六日に解約になるまで、毎年度毎の不動産
所得として計上されるべきものである。
4、ところで、右のとおり、昭和三二年一〇月六日に、右土地賃貸借契約が解約さ
れたことは、第二審判決により明かであるから、右解約後は地代ではなく、右土地
の不法占有による地代相当の損害金となるが、右地代相当の損害金の発生時期は、
判例学説の認める通り不法行為の都度即時発生、即時履行期が到来するものである
(大審判例明治四三・一〇・二〇、民録七二二P、同大正三・六・二四、民録四九
五P等多数、学説我妻外多数、参照)。
したがつて、この時から当然遅延損害金を付されることになる。
右のとおりであるから、昭和三〇年一〇月七日以降のaの不法占有による地代相当
の損害金の発生は、aの履行の時期如何にかかわりなく発生し、かつ、支払期も到
達しているものと解さなはればならない。
しからば、本件において、本件土地からの昭和三七年度の地代相当の損害金とし
て、不動産所得として計上されるべき金額は、一ケ月二〇五、九六一円二五銭の一
二ケ月分(計二、四七一、五三五円)であり、また昭和三九年度分のそれは、同様
にして同額となるものである。
5、被控訴人が主張する、昭和三七年分合計九、五九六、二〇〇円について検討す
るに、昭和三七年中に現実に控訴人が仮受領した右金額の発生原因または支払時期
等については、被控訴人は、全くこれを無視して、単に課税上、その年度に動いた
金額は、その理由の如何を問わず全てその年度の不動産所得であるとして、課税す
ると言う暴挙に出ているのである。
昭和三七年中に控訴人が仮受領した金員について、同年度中の不動産収入として
「その年において収入すべき金額)(所得税法三六条第一項)か否かを検討し、そ
の年度中に収入すべき金額以外のものは、その年度の収入として計算すべきもので
はないこと前述のとおりである。
また、仮に昭和三七年度中に、控訴人がaより仮受領していない、所謂未収の分が
あるとしても、それが、同年中に収入すべきものである限り、同年度の収入として
計上されなければならないことも前述のとおりである。
もし、被控訴人の主張のような理論によれば、ある年度の控訴人の不動産所得は、
単にその支払人側(a)の現実の支払の実行に左右されて増減するか、または、控
訴人が、その支払を猶予した場合には、それに左右されるということにもなりかね
ないものであり、租税法定主義の理論上も極めて不当なものとなる。
しかも、第二審判決の確定したのは、実に昭和四〇年二月であるから、それ以前の
昭和三七年度(昭和三九年度分も同じ)における、aより控訴人に対する支払は、
あくまで確定的支払ではなく、条件付のものと解さなければならないのであつてそ
の意味で理解するならば、昭和三七年度(昭和三九年も同じ)中の支払金は、全て
一時的預託金にすぎず、確定的な不動産収入として、所得を構成するものではない
と解さねばならない筈である。いずれにせよ。被控訴人の主張の失当なること明白
である。
6、よつて、昭和三七年度中の本件a閏係の不動産所得の正当なる計算は、同年度
中に発生した不法行為による損害金として次のとおりとなる。
205、961円25銭×12ヶ月=2、471、535円
(1ヶ月の賃料相当の損害金)
しかし、既に35、000×12ヶ月=420、000円は、申告済であるから、
それを控除した分二、〇五一、五三五円が、昭和三七年度のaの関係不動産所得と
して、追加計算されなければならない申告洩となるにすぎない。
右同様昭和三九年についても(205、961円25銭×12ヶ月)-(35、0
00円×12ヶ月)=2、051、535円
となり、この分が申告洩れ分となるだけである。
7、しかし、百歩譲つて、被控訴人主張のとおり、地代増額請求の意思表示だけで
は権利が発生していないとしても、遅くとも仮執行宣言付第一審判決の言渡期日に
は権利が行使し得る状態に発生したと解すべきである。
すなわち、仮執行宣言付判決が言渡された以上、控訴人はaに対し即時に執行しう
ろことゝなるのであつて、被控訴人の表現を藉りれば、「所得とすべき経済的利益
を享受行使しうる」のである。そして勿論、仮執行宣言に基づく執行力は、aの上
訴によつて停止されないのだから、上訴審係属中であつても、権利は発生している
と解すべきである。
仮執行宣言は第一審判決を変更する上訴審判決の言渡により、変更の限度において
効力を失うが、その場合にそれに応じて更正すべきなのである。
被控訴人は第二審判決言渡期日後も、いまだ権利は発生していないと主張するが、
既に執行しうる状態にある権利がいまだ発生していない。すなわち、課税の対象と
ならないと解するのは明らかに誤りである。
また、被控訴人主張の如く、上告審係属中であつても、aから控訴人に対する仮払
があつた以上、権利が発生したと解するならば、それとの均衡上、仮執行宣言によ
つて執行しうる状態となつた権利は既に発生しているものというべきであろう。
したがつて、増額地代の発生及び支払期は、第一審判決言渡期日である昭和三五年
一一月一八日であり、右増額地代は昭和三五年度の不動産所得として計算されるべ
きである。
aの不法占有による損害金についても、昭和三五年度までの分は、右と同じく昭和
三五年の不動産所得となるべきものである。
よつて、控訴人の昭和三七年度及び三九年度の不動産所得として計上されるべき金
額は、それぞれ、一ケ月の賃料相当の損害金二〇五、九六一円の一二ケ月分(計
二、四七一、五三五円)であるから、既に申告済の四二〇、〇〇〇円を差引いた
二、〇五一、五三五円が追加すべき収入となるにすぎないのである。
よつて、本件(一)(二)の各処分は失当である。
8、控訴人の従前の主張が全部理由ないとしても、控訴人は予備的に次のとおり主
張する。
(一) 昭和三八年八月末日以前において、またはその些か前頃に、控訴人とaと
の間で一応判決未確定であるが、aは控訴人に対し第一審または第二審判決に基く
計算によつて、昭和三八年一一月以降は毎月末日限り、その月分を仮払いしていく
旨協定した。
(二) もちろん、右仮払は判決未確定であるから、あくまで仮払であつて、一時
的預託の性格によるものである(すなわち、aの責任財産からみて、判決確定を待
つて一時払をうけるのは回収不能のおそれがあるので、逐次判決未確定でも入金を
得て控訴人において預り、判決確定時に於てその結果により確定的に清算される性
格のものとしての意味での仮払である。)。
よつて、未確定中の右協定に基く入金は所得ではないが、百歩譲つて所得となると
しても、その帰属年度については被控訴人の主張は失当である。すなわち、昭和三
八年一〇月以降は毎月その月分を月末に支払うとの協定が成立していた以上、その
債権の発生と権利確定は毎月末日の到来を以て当然に発生すると解すべきである。
したがつて、右のように解するとしても、昭和三九年一月一日より同年一二月三一
日までの間、すなわち昭和三九年度分としてa関係の不動産収入表して発生した金
額は、一ケ月二〇五、九六一円の一二ケ月分合計二、四七一、五三五円にすぎな
い。控訴人は単純に、昭和三九年中にaから原告に交付された金額の合計が、金
七、一〇五、九六一円であるから、これを以て昭和三九年中の収入であるとなして
いるがそれは現実の履行の時期を以て、債権の発生またに確定と解する独自の増徴
収をはかるための見解で違法である。
1 すなわち、昭和三九年度中の本件の不動産収入の確定発生は、控訴人の従前の
主張が全部容認出来ないとしても、少くなくても前記の通り毎月末日限り二〇五、
九六一円宛合計二、四七一、五三五円にすぎず、その中既申告分四二〇、〇〇〇円
を差引き、二、〇五一、五三五円が追加すべき収入となるにすぎないのである。
しかるに、協定または約定による支払期日に支払を遅延し、たまたま、aが控訴人
に対し昭和三八年度中に支払預託すべき分を遅れて、昭和三九年になつてから入金
しても、そのために既に昭和三八年八月以前に於で協定がなされて発生確定したも
のが、未確定、未発生となる理由はなく、昭和三八年中の発生収入が昭和三九年中
の発生収入と化するということはない。
以上の次第で本件(二)の処分は失当である。
六、被控訴人の前記五の控訴人の主張に対する反論
1、控訴人は地代増額請求権は形成権であるから意思表示の到達のときに客観的に
妥当な範囲で値上げの効果が発生し、その権利の履行を求め得るように確定し、ま
た、賃料相当の損害賠償請求権については、損害発生の日に請求権か発生し直ちに
履行期が到来することを前提として、権利が確定すると主張する。
なるほど、私法上の債権の効力発生時期についてはその主張のとおりであろうが、
問題は所得税法の解釈である。いうまでもなく、説法においては経済的観察方法な
いし実質主義が採られているのであつて、税法上の所得の実質は経済的利益である
から、その要件として経済的成果の実現または確実な可能性が存在し、しかも測定
可能なものであることが必要である。したがつて法律上の権利であつても、経済的
成果が伴なわないもの、あるいは経済的成果の発生に障害があるもの、測定不可能
なものは所得としての要件を欠くものであるから、所得税法上の課税所得とならな
いというべきである。したがつて、たとえ本件地代増額請求権が形成権で、意思表
示の到達によつて妥当な範囲で値上げの効果が発生するとしても、当事者間におい
て賃料について合意に達せず、その範囲について訴訟で争われている以上は、未
だ、具体的金額が確定していないのであるから、経済的成果が発生したものとはな
らないのである。したがつてこのように経済的成果が生じていないのに税務官庁が
所得があるとしてこれを認定することは許されないのであつて、右主張は失当であ
るといわなければならない。
2、控訴人は、仮執行宣言付第一審判決の言渡しにより確定する旨主張する、しか
し、仮執行宣言付給付判決があつたからといつて直ちに収入する権利が確定したと
いえないことは当然であり、さらに、控訴人主張のとおり仮執行によつて経済的利
益の実現が可能となつたとしても、それは仮執行によつて実現した経済的利益の範
囲内に限られるのであつて、月額の賃料相当額が継続してそのまま確定するもので
はない。したがつて、右主張も失当といわなければならない。
3、控訴人は、上告審係属中に受領した賃料相当額は、あくまでも訴訟未確定時に
おける仮の支払で預り金であるにすぎず、第二審判決が訴訟未確定の間は権利の範
囲、存否に争いがあるので、当該権利は未確定であると主張する。しかし、所得税
法上上、所得の概念はもつぱら経済的には握すべきであり、所得税法は一定期間内
に生じた経済的利得を課税対象とし、担税力に応じた公平な税負担の分配を実現し
なければならないので、所得の発生原因たる債権の成否とは無関係に、いやしくも
納税者が経済的にみて、その利得を現実に支配管理し自己のためこれを享受しうる
可能性の存する限り課税の対象たる所得を構成するものと解するのが相当であり、
控訴人は第二審判決に基づいてaに支払いを求め、aをして支払いに応じさせてい
たのであるから、右金員については控訴人が経済的にみて、その利得を現実に支配
管理し自己のためこれを享受したとみるのが相当であり、また担税力においても欠
けるところはないから、右主張も失当といわなければならない。
4、控訴人の前記五の8の主張は争う。
5、本件不動産所得の帰属年分はaが控訴人との訴訟の係属中第二審判決の範囲内
で地代増額分等の支払をなすことを認め、これを随時履行した年であるとする被控
訴人主張について左のとおり補足する。
本件所得は、通常の取引のように取引当事者間において金額が明確なものと異な
り、増額請求にかかる地代の増額分であつて、増額請求の相手方がこれを認めない
ときは、増額請求の時にその請求をなす要件が存したか否か、またその増額が妥当
な金額かどうかの争いを訴訟手続によつて解決するほかなく、訴訟が終了した時点
においてはじめて増額請求者の実効性ある権利の存否が判明することとなるもので
ある。したがつて訴訟の対象となつている地代の増額分は、一般的には、当該訴訟
が終了するまでは不動産所得として確定しないものというべきである。しかし、特
段の事情があれば、例えば訴訟当事者が訴訟とは別に双方の合意で訴訟の目的たる
実体上の権利関係を処分したような場合には、訴訟終了前でも所得が確定する。
これを本件についてみると、aは控訴人との訴訟の第一審で敗訴したが地代増額分
等について支払をなさず、第二審で敗訴してもなお上告したのであるが、その後a
は控訴人から度々第二審判決主文掲記の金員の支払を催告され、かつ、昭和三七年
七月一八日に控訴人から仮執行宣言付第二審判決により供託金を差押転付されたた
めか、前述のとおり金員を支払い、昭和四〇年一〇月に至つて地上建物を収去し
た。かようにaの支払は上告中に開始されたこと、この支払は控訴人の請求により
aが任意にしたこと、右請求及び支払について何等の留保条項が付されていないこ
と、aは地代等として右のように支払い昭和四〇年一〇月まで土地明渡しを延期し
たこと等の諸事情を考察すると、その随時支払の都度当該金員について控訴人、a
間に地代増額分等について支払いの合意があり、これが即時履行されたものとする
のか当事者の意思に合致する合理的解釈である。
また、不動産所得計算上の収入金額の確定の基準として前述のとおり、
(一) 契約その他の慣習により支払期の定めある場合はその支払期
(二) 支払期の定めのないもので請求されたときには支払義務が確定する場合は
その請求の時
(三) その他の場合はその支払を受けた時
であるが、aは地代増額分等について強制履行されたのではなく控訴人、a間の訴
訟が上告審において係属中任意にかつ無条件で支払つたのであるからこれが所得と
しての確定は右(一)(二)の基準による確定は考えられず、結局(三)の基準に
よつて支払の時期とせざるを得ないのである。よつて以上の見解に基づいてなした
仙台北税稲署長の本件(一)(二)の各処分いずれも適法である。
第三、証拠関係(省略)
○ 理由
一、請求原因1、2、4の各事実はいずれも当事者間に争いがない。
二、そこで、本件(一)(二)の各処分の適否につき以下に判断する。
1、控訴人がaから被控訴人の前記事実摘示第二の三の3記載の各金員(以下被控
訴人主張の金員という。)の支払を受けたことは当事者間に争いがない。
被控訴人は、その主張の金員中、昭和三七年度に支払を受けた合計九、五九六、二
〇〇円は控訴人の昭和三七年度分の、昭和三九年度に支払を受けた合計七、一〇
五、九六一円は控訴人の昭和三九年度分の各収入金額になる旨主張する。
ところで、一定の収入金額が生じた時期を決定する基準について、昭和四〇年法律
第三三号による改正前の所得税法(昭和二二年法律第二七号。以下旧所得税法とい
う。)第一〇条は、「収入すべき金額」による旨規定し、「収入した金額」とは規
定しておらず、その収入の原因となる権利が確定的に発生した時点で所得の実現が
あつたとする建前(権利確定主義)を採用しているものと解される(最高裁昭和四
〇年九月八日第二小法廷決定刑集一九巻六号六三〇頁、同昭和四九年三月八日第二
小法廷判決判例時報七三八号六二頁)から、被控訴人主張の金員の支払時期をもつ
て直ちに収入金額の帰属年度を決定することはできず、控訴人主張の金員の支払の
原因である権利の確定時期について考察し、これにしたがつて収入金額の帰属年度
を決定しなければならない。
2、右見解に立脚して本件を考察することとする。
控訴人がaに対し、昭和二一年九月一五日から控訴人所有の土地(成立に争いのな
い甲第二、第三号証によると、この土地は仙台市<以下略>の三宅地七二・六七
坪、同<以下略>宅地二三・七八坪、同<以下略>宅地八三・九七坪、以上三筆合
計一八〇・四三坪(昭和二四年九月一〇日特別都市計画に基づく土地区画整理法に
基づく土地区画整理に基づく土地区画整理による換地予定地として、仙台市<以下
略>、同<以下略>、同<以下略>、同<以下略>の一部第二五ブロツク三一号一
二四・九四坪(賃借部分実測一二四・八二五坪)が指定。以下本件土地という。》
であることが認められる。)を賃貸していたこと、昭和二七年以降本件土地の賃料
は一ケ月三五、〇〇〇円であつたところ、控訴人は昭和三〇年八月aに対し同年九
月以降の賃料を坪当り一ヶ月二、〇〇〇円に増額する旨の意思表示をし、これに基
づき、昭和三二年一月八日仙台地方裁判所に地代等請求の訴を提起し、次いで、同
年一〇月六日地代不払を理由に本件土地の賃貸借契約解除の意思表示をし、同月七
日右解除を原因とする建物収去・土地明渡及び賃料相当の損害金の支払を求める訴
を同裁判所に提起したこと、右の各訴は被控訴人主張のように控訴人の勝訴となつ
たこと、以上の各事実はいずれも当事者間に争いがなく、そして、各成立に争いの
ない甲第一ないし第三号証、第五ないし第一〇号証、各成立及び原本の存在につき
争いのない乙第八ないし第一〇号証、当審証人bの証言により成立が認められる乙
第一二号証、原審証人c、当審証人d、bの各証言、原審及び当審(第一、二回)
における控訴人本人尋問の結果、並びに弁論の全趣旨を総合すると、次の各事実が
認められ、右認定に反する証拠はない。
(一) 仙台地方裁判所は、前示地代等請求及び建物収去土地明渡等請求事件(同
庁昭和三二年(ワ)第四号、同年(ワ)第五七一号)につき、昭和三五年一一月一
八日、aに対し、本件土地上の建物を収去して本件土地を控訴人に明渡し、かつ、
八、三一三、三九七円及びこれに対する昭和三四年一一月四日から支払済まで年五
分の割合による金員、同年九月一日以降本件土地明渡済まで一ケ月二〇六、一五一
円の割合による金員を控訴人に支払うよう命じ、かつ、控訴人が一、九八〇、〇〇
〇円の担保を供することを条件とする仮執行宣言付判決を言い渡した。aは右判決
に対し仙台高等裁判所に控訴するとともに、その執行停止決定の申請をし(同庁昭
和三五年(ウ)第一七四号)、その頃同停止決定を得た。仙台高等裁判所は、右控
訴事件(同庁昭和三五年(ネ)第五五八号)につき、昭和三七年五月二八日、本件
土地の賃料が昭和三〇年九月分以降一ケ月一三一、〇六六円二五銭(坪当り一、〇
五〇円)に増額されたこと、本件土地の賃貸借契約は賃料不払により昭和三二年一
〇月六日限り解除されたこと、解除後の賃料相当の損害金は、同月七日以降同年一
二月末日まで一ケ月一八七、二三七円五〇銭(坪当り一、五〇〇円)、昭和三三年
一月一日以降本件土地明渡まで一ケ月二〇五、九六一円二五銭(坪当り、一、六五
〇円)であること、以上の各事実を認定したうえ、第一審判決を変更し、aに対
し、本件土地上の建物を収去し、本件土地を控訴人に明渡すべきことを命ずるとと
もに、(イ)滞納賃料二、六五七、〇二三円九一銭(内増額分は二、四二〇、二四
九円七一銭)及びこれに対する昭和三四年一一月四日から支払済まで年五分の割合
による遅延損害金、(ロ)賃料相当の損害金四、六四四、六九七円九八銭及びこれ
に対する右同日から支払済まで年五分の割合による遅延損害金、ならびに、(ハ)
同年九月一日以降本件土地明渡済まで毎月二〇五、九六一円二五銭の割合による賃
料相当の損害金の各支払を命じ、かつ、控訴人が一、九八〇、〇〇〇円の担保を供
することを条件とする仮執行宣言付判決を言い渡した。aは右判決に対し上告する
とともに、仙台高等裁判所に対し右仮執行宣言付第二審判決に基づく強制執行の停
止決定の申請をしたが(同庁昭和三七年(ウ)第九七号)、同年六月一一日右申請
の却下決定がなされた。最高裁判所は、右上告事件(同庁昭和三七年(オ)第一〇
四〇号)について、昭和四〇年二月一九日上告棄却の判決を言い渡し、右第二審判
決は確定した(但し、昭和四〇年二月一九日上告棄却の判決が言い渡されたことは
当事者間に争いがない。)。aは同年八月三一日本件土地上の建物を収去して本件
土地を控訴人に明け渡した。
(二) 控訴人は、右上告事件係属中である昭和三七年七月一八日、仮執行宣言付
第二審判決に基づき、aらが仙台法務局に供託した保証金(仙台高等裁判所昭和三
五年(ウ)第一七四号強制執行停止決定申請事件でaらが供託したもの)とこれに
対する利息金合計四、三五一、二〇〇円の取戻請求権の差押・転付命令(仙台地方
裁判所昭和三七年(ル)第一八二号)を得、その頃その支払を受け、そして、同年
一〇月一〇日頃夜間執行の許可を得てa外一名の有体動産を差押えたところ、aは
同月二九日控訴人に対し、五、〇〇〇、〇〇〇円を支払い、残額も支払計画を樹て
て支払うから執行なまつてもらいたい旨申し出、控訴人はこれを了承し、執行を解
除し、そして、aから被控訴人主張のその余の各金員(但し、aが昭和三七年一月
から同年七月まで一ケ月三五、〇〇〇円の割合で供託した計二四五、〇〇〇円を除
く。)の支払を受けた(但し、以上の各金員の支払を受けた点は当事者間に争いが
ない。)。
3、被控訴人は、第二審判決確定前であつても、aが被控訴人主張の金員を支払つ
た都度、その限度で権利が確定した旨主張するのに対し、控訴人は右金員は確定的
支払でなく、条件付のものであつて、一時的預託金にすぎない旨主張して抗争す
る。
ところで、仮執行宣言付判決に対する上訴提起後に支払われた金員は、それが全く
の任意弁済であると認めるに足る特別の事情のない限り民訴法一九八条二項にいう
「仮執行宣言ニ基キ被告カ給付シタルモ乙にあたると解すべきであるから(最高裁
昭和四七年六月一五日第一小法廷判決民集二六巻五号一〇〇〇頁)、aが控訴人に
支払つた前記各金員は、仮執行宣言付の前記控訴判決に基づいて支払われたものと
推定されるところ、原審証人cの証言中には、aが控訴人との合意により確定的に
被控訴人の各金員を支払つた旨の供述部分が存するが、これは、原本の存在及び成
立に争いのない乙第一〇号証の記載、当審証人dの証言、原審及び当審(第一、二
回)における控訴人本人尋問の結果に照らして採用できず、他に右推定を揺がすに
足る証拠はない。
以上のしだいで、aの支払つた被控訴人主張の各金員は、前記のごとく仮執行宣言
に基づく給付にかかるものである以上、右金員の支払は、仮の弁済であつて、他日
本案判決が破棄されないことを解除条件とする暫定的なものにすぎないと解するの
が相当である(大審院大正一五年四月二一日判決民集五巻二六六頁)から、被控訴
人主張の各金員の支払をもつて権利確定とみることはできず、被控訴人の前記主張
は採用できない。
4、そうすると、被控訴人主張の各金員は、その支払の原因である第二審判決の認
容した各権利の確定時の収入金額とするのが相当であるところ、前記認定の各事実
によると、第二審判決の認容した前示(イ)の延滞賃料請求権の内、従前の賃料額
部分は、その各支払期に確定し、増額賃料二、四二〇、二四九円七一銭部分、
(ロ)の賃料相当の損害金請求権、(イ)(ロ)に対する各遅延損害金請求権、
(ハ)の賃料相当の損害金請求権(aは昭和四〇年八月三一日本件土地上の建物を
収去し、本件土地を控訴人に明け渡したから、昭和三四年九月一日から昭和四〇年
八月三一日まで毎月二〇五、九六一円二五銭の割合による損害金となる。)は、い
ずれも第二審判決の確定した昭和四〇年二月一九日に確定したものというべきであ
る。
なお、控訴人は、賃料増額の意思表示により、その時点で増額賃料請求権が確定
し、地代相当の損害金請求権は不法占有の都度発生し確定する旨主張するが、控訴
人主張の右の時点においては未だ具体的に権利と金額が確定しているものとはいえ
ないから、控訴人の右主張は採用でき、ない。
また、控訴人は第一審の仮執行宣言付判決の言渡により右の各権利が確定する旨主
張するが、前同様の理由で採用できない。
次に、成立に争いのない乙第一一号証、当審証人dの証言、原審及び当審(第一、
二回)における控訴人本人尋問の結果によれば、被控訴人主張の昭和三七年度分金
員中、四、三五一、二〇〇円(昭和三七年七月一八日差押転付命令で取得したも
の)は、(イ)の延滞賃料二、六五七、〇二三円(円未満は切り捨てた。)と
(ロ)の賃料相当の損害金四、六四四、六九七円九八銭から六三〇、〇〇〇円(a
が昭和三三年三月から昭和三四年八月まで一ケ月三五、〇〇〇円の割合により供託
した金員)を控除した残四、〇一四、六九七円(円未満は切り捨てた。)の内金に
仮に充当され(その結果(ロ)の残額は二、三二〇、五二〇円となる。)、昭和三
七年一〇月二九日支払の五、〇〇〇、〇〇〇円は、(ロ)の残り二、三二〇、五二
〇円、(イ)に対する昭和三四年一一月四日から昭和三七年七月一八日まで年五分
の割合による遅延損害金三五九、八〇六円、(ロ)に対する右同期間の年五分の割
合による遅延損害金五四三、六四一円、(ロ)の残金二、三二〇、五二〇円に対す
る昭和三七年七月一八日から同年一〇月二九日まで年五分の割合による遅延損害金
三二、八七一円にそれぞれ仮に充当され、残り一、七四三、一六二円と二四五、〇
〇〇円(昭和三七年一月から同年七月までの供託分)はいずれも(ハ)の損害金に
仮に充当され、被控訴人主張の昭和三八年、三九年度分の各金員はいずれも(ハ)
の損害金に仮に充当され、第二審判決の確定により、右充当関係が確定したことが
認められ、右認定に反する証拠はない。
そうすると、前示(イ)の延滞賃料に充当された金員中、従前の賃料額部分はその
従前の賃料の支払期の属する年度の収入金額と(この分について既に確定申告済で
あることは前掲乙第一二号証、当審証人bの証言により明らかである。)、その余
の増額部分二、四二〇、二四九円、(ロ)(ハ)の各損害金、(イ)(ロ)に対す
る各遅延損害金に充当された金額はいずれも第二審判決の確定した昭和四〇年度の
収入すべき金額と認めるのが相当である(但し、控訴人が昭和三七年度、昭和三九
年度にそれぞれ従前の賃料額一ケ月三五、〇〇〇円の割合による金員を収入金額と
して確定申告していることは当事者間に争いがないので、この分を控除した範囲
で)。
三 以上の次第により、被控訴人がその主張の昭和三七年度分の金員計九、五九
六、二〇〇円から四二〇、〇〇〇円(控訴人の確定申告分)を控除した九、一七
六、二〇〇円を昭和三七年度の収入金額と、昭和三九年度分七、一〇五、九六一円
から四二〇、〇〇〇円(前同)を控除した六、六八五、九六一円を昭和三九年度の
収入金額とそれぞれ認定し、これを基礎にして控訴人の昭和三七年度、昭和三九年
度の各所得税を控訴人主張のように更正し、過少申告加算税を賦課した本件(一)
(二)の各処分には、旧所得税法一〇条の適用を誤つた違法が存するといわなけれ
ばならない。
ところで、控訴人は別表(一)(二)の各(3)欄記載どおり昭和三七年度、昭和
三九年度の各所得がある旨自認しているので、これを基礎にして右各年度の所得税
及び過少申告加算税を計算すると、控訴人主張のごとく別表(一)(二)の各
(3)欄記載のとおりになる(必要経費、その他の所得、所得控除額、税額控除
額、源泉徴収税額の各金額については、いずれも当事者間に争いがない。)ので、
本件(一)(二)の各処分中右認定の限度を超える納付税額及び過少申告加算税額
部分の取消しを求める控訴人の請求は正当として認容すべきである。
よつて、控訴人の請求を棄却した原判決は失当であり、本件控訴は理由があるか
ら、民訴法三八六条により原判決を取り消し、控訴人の請求を認容することとし、
訴訟費用の負担につき同法九六条・八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 井口源一郎 伊藤俊光 佐藤貞二)
別表(省略)
主文
原告の請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
○ 事実
原告訴訟代理人は「被告が原告に対して昭和四一年三月一二日付でなした(一)昭
和三七年分の原告の不動産所得を金七、六一一、四三九円、雑所得を金九三六、三
一八円と更正する処分のうち不動産所得につき金三、三三三、〇九二円を超える部
分および雑所得の全部ならびに過少申告加算税金一五六、一五〇円を賦課する処
分、(二)昭和三九年分の原告の不動産所得を金八、一一二、七〇三円と更正する
処分のうち金三、五七八、二七七円を超える部分ならびに過少申告加算税金一四
一、四五〇円を賦課する処分をいずれも取消す。訴訟費用は被告の負担とする。」
との判決を求め、その請求の原因として、一、被告は原告に対し、昭和四一年三月
一二日付で(一)原告の昭和三七年分の不動産所得を、確定申告額金一、二八一、
五五七円に対し金七、六一一、四三九円、雑所得を金九三六、三一八円と更正し、
過少申告加算税金一五六、一五〇円を賦課する処分(以下本件処分(一)とい
う。)ならびに(二)原告の昭和三九年分の不動産所得を、確定申告額金一、五二
六、七四二円に対し金八、一一二、七〇三円と更正し、過少申告加算税金一四一、
四五〇円を賦課する処分(以下本件処分(二)という。)をなした。
二、そこで原告は本件処分(一)および(二)について昭和四一年四月八日被告に
対し異議申立をしたところ、同年七月四日異議が棄却されたので、さらに同年八月
二日仙台国税局長に対し審査請求をなしたが、昭和四二年六月三〇日右審査請求を
棄却する旨の裁決がなされた。
三、しかし本件処分(一)については、原告が昭和三七年分の不動産所得は金三、
三三三、〇九二円であり、かつ雑所得とされるべきものではなく、本件処分(二)
については、原告の昭和三九年分の不動産所得は金三、五七八、二七七円である。
従つて本件各処分は違法であるからその取消を求めるため本訴請求に及んだと述
べ、
被告の主張事実に対し、第一項は認める。ただし金員受領の趣旨は後述のとおりで
ある。
第二項(1)は認め、同(2)は争うと答え、同項に関し、
一、(1)訴外aに対する土地賃料は、昭和三〇年八月原告が同訴外人に対し坪当
り月金二、〇〇〇円に増額する旨の意思表示をなしたときから客観的に妥当とされ
る範囲で(すなわち坪当り一か月金一、〇五〇円合計一か月金一三一、〇六六円二
五銭)増額され、かつ約定通り毎月二五日にその支払期が到来しているのであるか
ら、支払期到来分はその年分の不動産収入として計上すべきであり、また昭和三二
年一〇月六日賃貸借契約解除後は、原告は、同訴外人に対し、賃料相当の損害賠償
請求権を有し、その支払期は不法占有開始と同時に到来しているのであるから、そ
の分については当該年分の不動産所得として計上されるべきものである。従つて昭
和三七年分および同三九年分の賃料相当損害金は各金二、四七一、五三五円(坪当
り一か月一、六五〇円合計一か月二〇五、九六一円二五銭の一二か月分)である。
同様に雑所得についても被告は別表(二)のとおりその計算期間を昭和三四年一一
月四日以降昭和三七年七月一八日までとしているが、昭和三七年分の雑所得として
計上すべきものは昭和三七年一月一日から同年一二月末日までの遅延損害金に限ら
れるべきである。
(2) かりに右のように解しえないとしても、少なくとも仮執行宣言付第一審判
決言渡(昭和三五年一一月一八日)後には、原告は同訴外人に対する賃料ならびに
賃料相当損害金請求権を行使しうるようになつたのであるから、この時期をもつて
収入すべき権利が確定したというべきである。
二、(1)原告がaから受領した金員は、上告審判決確定(昭和四〇年二月)前で
ある昭和三七年および昭和三九年に一時的に預託金の趣旨として受領したもので確
定的支払でなく、従つて原告の右各年分における現実の収入となすべきものでな
い。
(2) かりに収入と認められるとしても、その帰属年度は次のとおりである。
すなわち原告と同訴外人との間には昭和三八年八月頃、同年一〇月以降は毎月末日
限りその月分の賃料相当損害金を支払う旨の合意が成立したから、同年一〇月分以
降は毎月末に支払期が到来し、この時期を権利確定の時期とみるべきである。そう
だとすれば昭和三九年分として原告が同訴外人から収人すべき金額は金二、四七
一、五三五円(一か月金二〇五、九六一円二五銭の賃料相当損害金の一二か月分)
であり、同年中に同訴外人から受領した金七、一〇五、九六一円全額を収入すべき
金額とみるベきでないと述べた。
被告訴訟代理人は主文同旨の判決を求め、答弁として、請求原因事実第一、二項は
認める、同第三項は争うと答え、
一、原告は昭和三七年および昭和三九年に訴外aから別表(一)記載のとおり賃料
ならびに賃料相当損害金(昭和三七年分については遅延損害金を含む。)の支払を
受けた。
二、右金員は右各年分に収入すべき金額と認められる。すなわち(1)原告は訴外
aに対し昭和二一年九月一五日から原告所有の土地を賃料一か月金三五、〇〇〇円
(昭和二七年以降)で賃貸していたが昭和三〇年八月間訴外人に対して右賃料を坪
当り一か月金二、〇〇〇円に増額する旨の意思表示をなし、昭和三二年一月八日仙
台地方裁判所に地代等請求の訴を、また同年一〇月七日には賃料不払にもとづく右
賃貸借契約解除を理由とする建物収去土地明渡ならびに同年一〇月七日以降明渡済
に至るまでの賃料相当損害金の支払を求める訴を提起して争訟中であつたが、同訴
外人は原告に対し右各事件の控訴審判決言渡(昭和三七年五月二八日)後前記のと
おり金員の支払をなした。(2)所得計算の基礎となる収入金額につき所得税法
(本件処分時に適用された旧所得税法(昭和二二年法律第二七号、昭和三七年度分
については昭和三七年法律第四四号、昭和三九年度分については昭和三九年法律第
二〇号による改正後のもの)をいう。以下同じ。)一〇条一項の規定する「収入す
べき金額」とは、収人すべき権利が確定した金額によるものと解されるが、その確
定の時期は、所得を生ずべき権利の実現の可能性が高度で、その経済的利益を享受
しうるに至つた時期と解すべきところ、訴外aは前記各事件が上告審に係属中原告
の求めにより控訴審判決の範囲内で賃料相当損害金の支払をすることに応じ、随時
これを履行してきたものであつてこのような場合右各支払の時期をもつて収入すべ
き権利が確定したものとみるべきである。
三、以上の認定にもとづき被告は原告の訴外aから不動産所得および雑所得計上の
収入金額は、別表(一)のとおり昭和三七年分については金九、五九六、二〇〇円
(うち遅延損害金九三六、三一八円。その計算は別表(二)のとおり)。昭和三九
年分については金七七、一〇五、九六一円とそれぞれ認め、別表(三)記載のとお
り昭和三七年分および同三九年分における原告の不動産所得および雑所得を更正
し、かつ過少申告加算税を賦課する本件処分(一)および(二)をなしたものであ
つて、右各処分には何ら違法の点はないと述べた。
(証拠関係省略)
○ 理由
一、請求原因第一、二項および被告主張事実第一項は当事者間に争いがない。
そこで以下原告が別表(一)記載のとおり訴外aから受領した金員を当該年分の収
入すべき金額と認めうるかどうかについて検討する。
(1) 成立に争いのない甲第一ないし三号証、証人cの証言によつて真正に成立
したものと認められる乙第七ないし一〇号証、同証人の証言および原告本人尋問の
結果を総合すれば原告の訴外aに対する地代等請求および建物収去土地明渡請求に
ついて第一審である仙台地方裁判所は昭和三五年一一月一八日同訴外人に対し賃料
の支払および土地賃貸借契約解除後である昭和三二年一〇月七日以降賃料相当損害
金の支払(いずれも遅延損害金の支払を含む。)を命じ、かつこれらにつき金一、
九八〇、〇〇〇円の担保を供することを条件とする仮執行の宣言を付した判決を言
渡し、その計算の基礎となる賃料の一坪月額は(イ)昭和三〇年九月一日以降同年
一二月末日までは金一、〇五〇円、(ロ)昭和三一年一月一日以降同年一二月末日
までは金一、二五〇円、(ハ)昭和三二年一月一日以降同年一二月末日までは金
一、五〇〇円、(ニ)昭和三三年一月一日以降は金一、六五〇円と認定したこと、
同訴外人は右判決に対して控訴し、昭和三七年五月二八日仙台高等裁判所は同訴外
人に対し第一審同様の金員支払(ただしその額を変更)を命ずる仮執行宣言付判決
(仮執行の条件としての担保の額は同じ。)を言渡したこと、ただしその計算の基
礎となる賃料の一坪月額は(イ)昭和三〇年九月以降同三二年一〇月六日までは金
一、〇五〇円、(ロ)昭和三二年一〇月七日以降同年一二月末日までは金一、五〇
〇円、(ハ)昭和三三年一月一日以降は金一、六五〇円と認定したこと、同訴外人
は右控訴審判決に対して上告し、昭和四〇年二月一九日上告棄却の判決か言渡され
たが、この間原告に同訴外人に対して賃料および賃料相当損害金の支払を求め、同
訴外人は昭和三七年および同三九年に前記認定のとおり別表(一)記載の金員の支
払をなしたものであること、以上の事実を認めることができ、右認定に反する証拠
はない。
(2) 旧所得税法一〇条一項は、所得計上の収入金額とすべきものを定めてこれ
をその年分の「収入すべき金額」であると規定するが、その趣旨は、現実の収入に
対してのみ課税することから生ずる不公平を避けるとともに、課税対象とされるべ
き収入は担税力を基礎付けるような確実な経済的利益でなければならないとすると
ころにあるのであつて、「収入すべき金額」とは収入すべき権利の確定した金額と
解されるのであり(いわゆる権利確定主義)その確定の時期は右に述べた趣旨から
合理的に定められるべきものである。
(3) まず原告主張のように賃料増額意思表示の時あるいは賃料相当の損害賠償
請求権成立の時期または遅くとも仮執行宣言付第一審判決言渡の時をもつて権利確
定の時期とみるべきかどうかを考える。
前認定事実によれば、原告は訴外aに対して昭和三〇年八月賃貸土地賃料を坪当り
月金二、〇〇〇円に増額する旨の意思表示をしたが、同訴外人はこれに応ぜず、結
局原告はその支払を求めて提訴し、さらに昭和三二年一〇月六日その賃貸借契約を
解除して翌七日以降の賃料相当損害金の支払を求めて提訴し、第一、二審とも金
一、九八〇、〇〇〇円の担保を条件とする仮執行宣言付判決を取得したのである
が、このように当事者間に権利の存否ないし範囲について争いのある係争中の権利
についてはその実現に困難があつて、判決末確定の段階ではまだ担税力を備えた経
済的利益とみることはできないから、単にその法律要件が成立した時期(すなわち
原告主張の賃料増額意思表示の時あるいは賃料相当損害賠償請求権成立の時期)を
もつて所得税法上の権利確定の時期とみることはできず、また仮執行宣言付判決を
取得しても当事者は必ずしもその執行をなすものでもなく、担保を条件とされてい
る場合等その他事情によつては判決確定前の執行はこれを控えることもあるのであ
つて、現実に執行をなした場合はともかく、仮執行宣言付判決の言渡があつたのみ
では、いまだ所得税法上の権利の確定があつたとみることはできない。
(4) さて前記認定のとおり、訴外aは上告審係属中原告の請求に応じて賃料相
当損害金の支払(履行)をなしたのであるが、かかる現実の支払があつた場合は、
課税対象となるべき経済的利益を享受しうることが確実であり、かつ担税力を欠け
るところはないから(後に敗訴によつて不当利得返還請求を受ける可能性は、現に
履行を受けた時点での利益の享受を妨げるものではない。)その時点をもつて収入
すべき権利が確定したと認めることができる。
もつとも原告は右支払は預り金としての受領であると主張し乙第一〇号証にも仮領
収証との記載があるが、その意味するところは右金員の支払が判決確定前の支払で
あるからというにとどまり、前記認定の事実によれば、右金員の支払が債務の履行
であつて、原告の現実の収入と目さるべきことは明らかであり、また原告は、訴外
aとの間に昭和三八年一〇月以降毎月末日賃料相当損害金を支払う旨の合意が成立
した旨主張するが、右主張に添う原告本人尋問の結果はたやすく措信し難く、乙第
八号証をむつてしても右事実を認めるに足りず、他にこれを認めるに足る証拠はな
い。
一、従つて以上と同一の認定に立つて原告が訴外aから昭和三七年および同三九年
の受領した前記賃料および賃料相当損害金(遅延損害金を含む。)を右各年分の収
人すべき金額と認め、別表(二)および(三)の計算にもとづき(前記認定額を除
いて、同表掲記の計算の基礎となる諸額については原告の明らかに争わないところ
であるから自白したものとみなす。)原告の昭和三七年分の不動産所得を金七、六
一一、四二五円、雑所得を金九三六、三一八円と更正し、過少申告加算税金一五
六、一五〇円を賦課し、同じく昭和三九年分の不動産所得を金八、一一二、七三三
円と更正し、過少申告加算税金一四一、四五〇円を賦課した本件処分(一)および
(二)に何ら違法の点はないというべきであるから、原告の本訴各請求は理由がな
い。
よつて訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用して主文のとおり判決す
る。
別紙(省略)

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弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

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〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
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71期修習生 72期修習生 求人
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職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
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