弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人松本誠の上告理由第四点について
 労働者災害補償保険法(以下「法」という。)による保険給付は、使用者の労働
基準法上の災害補償義務を政府が労働者災害補償保険(以下「労災保険」とい
う。)によって保険給付の形式で行うものであり、業務災害又は通勤災害による労
働者の損害をてん補する性質を有するから、保険給付の原因となる事故が使用者の
行為によって生じた場合につき、政府が保険給付をしたときは、労働基準法八四条
二項の類推適用により、使用者はその給付の価額の限度で労働者に対する損害賠償
の責めを免れると解され(最高裁昭和五〇年(オ)第六二一号同五二年一〇月二五
日第三小法廷判決・民集三一巻六号八三六頁参照)、使用者の損害賠償義務の履行
と年金給付との調整に関する規定(法六四条、平成二年法律第四〇号による改正前
の法六七条)も設けられている。また、保険給付の原因となる事故が第三者の行為
によって生じた場合につき、政府が保険給付をしたときは、その給付の価額の限度
で、保険給付を受けた者の第三者に対する損害賠償請求権を取得し、保険給付を受
けるべき者が当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府は
その価額の限度で保険給付をしないことができる旨定められている(法一二条の
四)。他方、政府は、労災保険により、被災労働者に対し、休業特別支給金、障害
特別支給金等の特別支給金を支給する(労働者災害補償保険特別支給金支給規則
(昭和四九年労働省令第三〇号))が、右特別支給金の支給は、労働福祉事業の一
環として、被災労働者の療養生活の援護等によりその福祉の増進を図るために行わ
れるものであり(平成七年法律第三五号による改正前の法二三条一項二号、同規則
一条)、使用者又は第三者の損害賠償義務の履行と特別支給金の支給との関係につ
いて、保険給付の場合における前記各規定と同趣旨の定めはない。このような保険
給付と特別支給金との差異を考慮すると、特別支給金が被災労働者の損害をてん補
する性質を有するということはできず、したがって、被災労働者が労災保険から受
領した特別支給金をその損害額から控除することはできないというべきである。
 以上によれば、被上告人が労災保険から受領した休業特別支給金及び障害特別支
給金をその損害額から控除すべきでないとした原審の判断は、正当として是認する
ことができる。論旨は、独自の見解に立って原判決を非難するものにすぎず、採用
することができない。
 その余の上告理由について
 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当とし
て是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、原審の専権に属す
る証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は原審の裁量に属する慰謝料額の
算定の不当をいうものにすぎず、採用することができない。
 よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    根   岸   重   治
            裁判官    大   西   勝   也
            裁判官    河   合   伸   一
            裁判官    福   田       博

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛