弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件控訴を棄却する。
         理    由
 本件控訴の趣意は末尾に添えた書面記載のとおりであつて、これに対し、次のと
おり判断する。
 昭和二十六年十二月二十日最高裁判所規則第十五号(刑事訴訟規則の一部を改正
する規則)に、刑事訴訟規則(昭和二十三年最高裁判所規則第三十二号)の一部を
次のように改正する。―中略―第四十四条を次のように改める―中略―この規則は
昭和二十七年二月一日から施行する―後略―とあつて、その改正前の同条とその改
正後の同条とを比較対照して見ると、改正前の同条には公判調書には、次に掲げる
事項その他一切の訴訟手続を記載しなければならない。とあつて、その次に第一号
乃至第十七号として、公判調書に記載すべき各事項が列挙されているのであるか
ら、改正前の同条によれば、右列挙の各事項は勿論いやしくも公判廷において為さ
れた訴訟手続は一切これを公判調書に記載しなければならなかつたのである。しか
るに、改正後の同条はその第一項において、公判調書には、次に掲げる事項を記載
しなければならないとあつて、次に第一号乃至第三十一号として公判調書に記載す
べき必要事項が列挙されており、同条第二項において、前項に掲げる事項以外の事
項であつても、公判期日における訴訟手続中裁判長が訴訟関係人の請求により又は
職権で記載を命じた事項は、これを公判調書に記載しなければならない。と定め、
もつて、前記列挙事項以外の事項は右のごとく裁判長がこれを公判調書に記載すべ
き旨を命じたときに限り、該事項の記載を為せば足ることを規定しているのであ
る。ところで、記録に徴すると、昭和二十七年四月一日附原審第一回公判調書に
は、検察官は別紙証拠関係目録記載のとおり証拠調を請求し、裁判官は同目録記載
のとおり証拠決定を宣した旨の記載があるから、右記載のみによれば、原審は何等
被告人又は弁護人の意見を聴かないで右の決定を為したかの感があるけれども、前
記改正後の現行刑事訴訟規則第四十四条は刑事訴訟法第三百二十六条所定の同意が
あつたこと及び取り調べた証拠の標目及びその取調べの順序を記載すべきことを定
めているほか、裁判所が同規則第百九十条第二項所定の意見を聴いたことや証拠調
の方法を公判調書に記載すべきことを命じていないのみならず記録に徴しても原審
裁判官においてこのことを公判調書に記載すべき旨を命じた形跡はない。してみれ
ば改正後の現行刑事訴訟規則が施行された日以後である所論昭和二十七年四月一日
の原審第一回公判期日における訴訟手続について作成された公判調書が右改正後の
刑事訴訟規則に準拠しているのは、もとより当然であるから同公判調書に裁判所が
同規則第百九十条第二項所定の意見を聴いたことの記載がないからといつて、これ
をもつて、右公判期日において、かかる手続が履践されなかつたものと断定するこ
とはできない。しかのみならず<要旨>もし、公判期日において、右手続が履践され
ないで尓後の訴訟手続が進められたとすれば、検察官、被告人又は弁護人は
これに対し、刑事訴訟法第三百九条第二項所定の異議を申し立てることができるの
であり、前記改正後の刑事訴訟規則第四十四条はその第一項第十三号において、刑
事訴訟法第三百九条の異議の申立及びその理由を公判調書に記載すべきことを明記
しているのにもかかわらず、該調書を見ても公判手続終結に至るまでに右異議の申
立があつた旨の記載は何等これを発見することができない。記録を精査しても、か
かる異議の申立が為された形跡はないのである。そして、かかる事実と右公判調書
末尾に添附してある証拠目録の記載とを綜合すると、検察官は原審第一回公判期日
において、甲一乃至甲八の各書証計九通の証拠調を請求し、裁判所はこれ等書証全
部の証拠調をすること及びこれ等を証拠とするについて被告人又は弁護人の意見を
求めたところ、被告人又は弁護人は右証拠調には異議がなく、これ等書証全部を証
拠とすることに同意し、裁判所は右書証全部の証拠調を為すことを決定し、甲一乃
至甲八の順序に従つて右書証九通全部の証拠調を施行し、ついで、弁護人は遠藤勝
二を証人として取り調べられたい旨を請求し、裁判所は検察官に対し、同人を証人
として取調べることについての意見を求め、検察官はこれが証拠調には異議がない
旨を述べ、裁判所は引き続き同人を証人として取調べた後、所定の手続を経て審理
を終結した上、判決言渡期日を指定告知したことを窺い知ることができる。され
ば、原審の訴訟手続にはこの点に関し、何等違法の廉はないものと推認することを
得べく、従つて原判決には所論の違法はない。論旨は理由がない。
 右の次第であるから、刑事訴訟法第三百九十六条、第三百七十九条に則り、主文
のとおり判決する。
 (裁判長判事 下村三郎 判事 高野重秋 判事 真野英一)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛