弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被上告人の本件訴えを却下する
     訴訟の総費用は、被上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人上田明信、同板井俊雄、同山口智啓、同村谷清各名義の上告理由につ
いて。
 被上告人の本訴請求は、要するに、本件係争地はもと被上告人の所有であつたと
ころ、自作農創設特別措置法三条により買収されて後、十余年を経てなお売渡処分
が行なわれないまま国有地(農林省名義)となつているが、右土地はすでに農地法
(以下、単に「法」という)八〇条一項にいう、自作農の創設または土地の農業上
の利用の増進の目的(以下、単に「自作農の創設等の目的」という)に供しないこ
とを相当とするものとなつたので、被上告人において、昭和三七年五月三〇日付で、
同条に基づく売払いの申請をしたのに対し、上告人がなんらの処分をしないことの
違法であることの確認を求める、というのであつて、本件請求が、同条に基づく買
収農地の旧所有者またはその一般承継人(以下、単に「旧所有者」という)に対す
る売払いをもつて、行政処分であるとする前提に立つものであることが明らかであ
り、原判決は、これと同趣旨に出て被上告人の本訴請求を認容したのであるが、諭
旨は、右の前提となる解釈を争い、法八〇条に基づく売払いの性質は私法上の行為
である、と主張するのである。
 よつて、法八〇条所定の買収農地の売払いにつき按ずるに、買収農地につきこれ
を自作農の創設等の目的に供しないことを相当とする事実が客観的に存するときは、
農林大臣は内部的にその旨の認定を行ない旧所有者に売り払わなければならないと
いう拘束を受け、旧所有者は農林大臣に対し買受けに応ずべきことを求める権利を
有するものであり、法八〇条による買収農地の旧所有者に対する売払いは、一般国
有財産の払下げと同様、私法上の行為であると解すべきことは、すでに当裁判所の
判例とするところであつて(昭和四二年(行ツ)第五二号同四六年一月二〇日大法
廷判決、民集二五巻一号一頁)、論旨は、この点において理由がある。
 従前、下級審の裁判例は、しばしば、法八〇条一項の認定または同条二項の売払
いを行政処分であるとしたうえで、当該処分を求める旨の申請に対し、なんらかの
許否決定をなすべき義務あることの確認訴訟または許否決定をしないこと(不作為)
の違法確認訴訟によつて、買収農地の売払いを受けるべき旧所有者の救済を図ろう
としたのであり、原判決もまたその例に洩れないが、同条一項所定の要件が充足さ
れた場合の旧所有者の救済は、右のように前記の認定または売払いを行政処分と観
ることによつてではなく、売払いを私法上の行為であるとしたうえで、より直截に、
法八〇条一項の法定要件に該当する客観的事実の発生により、法律上当然に私法上
の売払請求権が旧所有者に発生すると解することによつて、図られるべきであり、
右大法廷判決において、「旧所有者は、買収農地を自作農の創設等の目的に供しな
いことを相当とする事実が生じた場合には、法八〇条一項の農林大臣の認定の有無
にかかわらず、直接、農林大臣に対し当該土地の売払いをすべきこと、すなわち買
受けの申込みに応じその承諾をすべきことを求めることができ、農林大臣がこれに
応じないときは、民事訴訟手続により農林大臣に対し右義務の履行を求めることが
できるものというべきである」とする所以である。この場合、旧所有者の提起すべ
き訴訟は、売払いにつき農林大臣を主管者とする国を被告として意思表示の給付を
求める訴訟であり、右判決の判示するところも、もとより、この趣旨に解されるの
である。
 以上によつて本件を観るのに、被上告人は、その主張の事実関係によれば、国を
被告として、その主張にかかる売払いの申請(買受けの申込み)に対する承諾の意
思表示を求めるべきところ、これと異なる見地に立ち、法八〇条による売払いが行
政処分であることを前提として、売払いの申請に対する不作為の違法確認を求めた
ものであつて、被上告人の本件訴えはこれを不適法として却下すべく、原判決は破
棄を免れない。
 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇八条、九六条、八九条に従い、裁判官
全員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    色   川   幸 太 郎
            裁判官    村   上   朝   一
            裁判官    岡   原   昌   男
            裁判官    小   川   信   雄

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