弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中上告人ら敗訴部分を破棄する。
     右部分につき本件を大阪高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人井上善雄、同小田耕平、同阪口徳雄の上告理由一について
 一 原審は、(1) Dは、建築請負業、不動産業に従事するものであるところ、
昭和五五年頃から資金繰りが苦しくなり、昭和五六年夏頃には同人所有の別荘地や
ゴルフ場の会員権を売却するなどして営業資金を捻出していた、(2) Dは、昭和
五六年四月一〇日上告人Aから、ほか一名と用意した金員であると聞かされ、弁済
期を同年八月末として一五〇〇万円を借り受け、その際、本件土地建物について本
件仮登記の原因たる契約を締結し、上告人Aの求めに応じて、領収証、印鑑証明書、
住民票写、委任状、金銭貸借関係書類を交付した、(3) Dは、同年八月頃上告人
Aに融資の打診をしたが断わられ、いよいよ資金繰りに窮し、同年九月末頃かねて
知り合いの弁護士Eに対して、債務整理の方法等について相談したい旨電話した、
(4) 上告人Aは、その二、三日後E弁護士に対し電話で、Dが相談に行つている
そうだがどうする方針か、破産の申立になるのかと問い合わせ、E弁護士から、ま
だ相談を受けている段階であり、具体的な方針などは決まつていない旨の回答を得
た、(5) Dは、同年一〇月八日E弁護士と面談のうえ債務の整理について相談し
た結果、同月一五日満期の約束手形の決済が困難なので、破産の申立をするとの方
針を決めた、(6) 上告人Aは、同月一二日D方を訪ね、登記手続に必要な新しい
日付の印鑑証明書を受け取つたうえ、同月一四日司法書士Fに本件各仮登記手続を
依頼し、同司法書士は翌一五日本件各仮登記手続を終了した、(7) 一方、Dは、
同月一四日の夜自宅に「爾後弁護士Eが管理する」旨の貼紙をして家を出た、(8)
 E弁護士は、同月一五日Dの代理人として破産の申立をするとともに破産宣告前
の保全処分の決定を得たが、その登記は本件各仮登記に後れるものであつた、(9)
 Dは同月二九日午前一〇時大阪地方裁判所において破産宣告を受け、被上告人が
破産管財人に選任された、との事実を認定したうえ、Dは、同月八日E弁護士と債
務整理につき相談して破産申立の方針を決めたから、遅くとも同日の時点で、資力
欠乏のため債務の支払をすることができない状態にあることを明示的に表示し、支
払の停止をしたものと認めるのが相当であるとして、被上告人の上告人らに対する
破産法七四条一項による本件各仮登記の否認登記手続請求を認容した。
 二 しかしながら、破産法七四条一項の「支払ノ停止」とは、債務者が資力欠乏
のため債務の支払をすることができないと考えてその旨を明示的又は黙示的に外部
に表示する行為をいうものと解すべきところ、債務者が債務整理の方法等について
債務者から相談を受けた弁護士との間で破産申立の方針を決めただけでは、他に特
段の事情のない限り、いまだ内部的に支払停止の方針を決めたにとどまり、債務の
支払をすることができない旨を外部に表示する行為をしたとすることはできないも
のというべきである。
 そうすると、首肯するに足りる特段の事情が存することについて何ら説示するこ
となく、Dにおいて遅くとも同年一〇月八日に支払の停止をしたものと認めた原判
決には、法令の解釈適用の誤りひいては審理不尽の違法があるものというべく、右
違法が原判決中上告人ら敗訴部分に影響を及ぼすことは明らかであるから、論旨は
理由があり、原判決中右の部分は、その余の論旨について判断するまでもなく、破
棄を免れない。そして、本件は、右特段の事情の存否について更に審理を尽くさせ
るため、これを原審に差し戻すのが相当である。
 よつて、その余の上告理由についての判断を省略し、原判決中上告人ら敗訴部分
を破棄して、これを原審に差し戻すこととし、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官
全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    角   田   禮 次 郎
            裁判官    谷   口   正   孝
            裁判官    和   田   誠   一
            裁判官    矢   口   洪   一

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