弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告人代理人の上告理由は末尾添附別紙記載のとおりである。
 右論旨に対する判断。
 一度法律行為が成立したという事実が取消によつて無くなるということは不可能
である。それ故法律行為はその取消によつて初めから全然無かつたことになるもの
ではない。出来るだけ無かつたと同様に原状回復をするというだけのことである。
従つて本件売買の成立により本件不動産を適法に占有するに至つた被上告人の行為
が初めから不法行為になるという上告人の主張及びこれを前提とする所論は採るに
足らない。上告人は本件は所有権に基く請求であるというけれども記録によれば本
訴請求は上告人の親権者母が親族会の同意なくして上告人を代理して本件不動産を
被上告人に譲渡した契約を取消し、その原状回復としての返還請求に外ならないこ
と明である。そして取消による原状回復に付き同時履行の抗弁が有効に主張され得
るか否かは問題の存する処であるけれども、未成年者の取消については原審のいう
如く契約解除による原状回復義務に関する民法五四六条に準じ同法五三三条の準用
あるものと解するを相当とする。蓋公平の観念上解除の場合と区別すべき理由がな
いからである。未成年者の取消は特に未成年者の利益を保護する為めのものである
から、未成年者に対しては相手方は同時履行の抗弁を主張し得ないものであるとす
る考え方もないではない。しかし未成年者は随意に一方的に取消し得るのであり、
しかも現存利益だけの返還をすればいいのであるから、これによつて十分の保護を
受けて居るのである。これに反し相手方は取消されるか否か全く未成年者の意思に
任されて居り非常に不利益な位地にあるのであるから、それ以上更に先履行の不利
益を与えて迄未成年者に不公平な利益を与える必要ありとはいえない。(右は専ら
未成年者の取消に関するものであり、他の原因による取消については何等判断を示
すものではない)軍需省が本件売買代金の一部を第三者弁済として支払つたとして
も、第三者弁済の場合特別の事情なき限り債務者は弁済者に対して弁済者の支払つ
た額だけの債務を負担する等何等か相当の補償関係に立つものである(第三者が何
等補償関係なくして弁済するが如きは稀有の場合である)から、本件の場合上告人
は結局被上告人の財産によつて利得をしたものといい得るのであつて、原判決の説
示は正当である。上告人の親権者が上告人の代理人として代金を受取つた以上、受
取つた金員は上告人の所有となるのであるから上告人の利得に帰したというべきこ
と勿論である。なお被上告会社が所謂特別経理会社である云々の事実は原審におい
て主張されない事実であるから、当審において初めて主張することは、上告適法の
理由とならないのみならず、右事実により本件において被上告会社が上告人に対し
て同時履行の抗弁を提出することに何等消長を来すものではない。以上の説示によ
り本件上告の理由ないこと明であろう。
 よつて民事訴訟法第四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主
文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

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