弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破棄し、本件を仙台高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人石川克二郎の上告理由について。
 原審は、本件代物弁済予約は、上告人の被上告人に対する金銭債権を担保するた
めに、抵当権設定契約と並んで締結されたものであり、債権者たる上告人は、目的
不動産を換価処分し、これによつて得た金員から優先弁済を受け、債務者との間の
貸借を清算することを内容とする債権担保契約である旨、および、本件不動産には
訴外Dのため後順位の抵当権が設定されており、同人の申立により、右物件には競
売手続が進行中である旨の事実を認定したうえ、かかる代物弁済予約契約において
は、債権者は、目的物件の換価処分を前提とした場合にかぎつて、目的不動産の仮
登記を本登記に高める登記手続を求めることが許されるが、後順位抵当権者が既に
目的物件について抵当権を実行し、競売手続が進行しているときは、右予約権者は、
一番抵当権者として競落代金から優先弁済を受ける債権の満足を図るべきであつて、
もはや目的不動産の換価処分の必要は認められないから、仮登記を本登記に高める
必要もなく、したがつて、仮登記に基づき本登記手続を求める上告人の本訴請求は
許されない旨判示している。
 しかしながら、右の判示に副うような主張は、原判決の事実摘示欄に記載されて
いないのみならず、記録によれば、原審において、当事者双方の主張するところは、
本件代物弁済予約が本来の意味における代物弁済予約であることを前提とするもの
と思われないわけでなく、要するに、前記認定の如き事実関係を、当事者において
主張していたか否かは、結局、明らかではないのである。もつとも、後順位抵当権
が実行されたとの事実については、上告人提出の準備書面(記録七五〇丁)におい
てふれるところがないわけではないが、その前後の記載に徴すると、右の点が原判
示の如き意味あいにおいて主張されたものとは必ずしもいい難い。およそ、抵当権
実行の存否は原判決の結論を左右する重要な事実であるが、それにもかかわらず、
事柄自体極めて浮動的であつて、その後の弁済、当事者間の和解などによつて競売
申立が取り下げられ、あるいは他の事情により競売開始決定の取り消されることも
往々にしてありうることなのである。したがつて、単に、原審のある一時点におい
て目的不動産につき後順位抵当権の実行手続が進行中であつたからといつて、直ち
に、これを前提として、本件代物弁済予約権者の権利行使の許否を断ずることは軽
率のそしりを免れないものというべきであり、かような点については、当事者に適
用さるべき法律関係に適合した事実関係を充分認識させ、必要な事実に関する主張、
立証を尽させたうえでこれを判断するのが相当である。
 しかるに、記録によれば、原審がこの点について思いをいたした形跡は認められ
ないから、原審は、右の点について釈明権の行使を誤り、ひいて審理不尽の違法を
犯したものというべく、この違法は、原判決の結論に影響すること明らかであるか
ら、論旨はこの点において理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、本件に
おいては、なお右の点について審理をする必要があるから、本件を原審に差し戻す
のが相当である。
 よつて、民訴法四〇七条を適用し、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    色   川   幸 太 郎
            裁判官    村   上   朝   一
            裁判官    岡   原   昌   男
            裁判官    小   川   信   雄

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛