弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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平成30年(わ)第163号
主文
被告人株式会社Aを罰金600万円に,被告人Bを懲役1年に処する。
被告人Bに対し,この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予す
る。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社A(以下「被告会社」という。)は,名古屋市C区DE丁目F番G
号HI号(平成27年7月1日以前は同市J区KL丁目M番地)に本店を置き,と
び・土工工事業等を目的とする株式会社,被告人Bは,被告会社の代表取締役として
その業務全般を統括管理していたものであるが,被告人Bは,被告会社の業務に関
し,架空の外注加工費を計上するなどの方法により所得を隠匿した上,
第1平成25年5月1日から平成26年4月30日までの事業年度における被告
会社の実際所得金額が3249万6296円であったにもかかわらず,同年6
月18日,名古屋市J区NO丁目P番Q号の所轄R税務署において,同税務署
長に対し,財務省令で定める電子情報処理組織を使用して行う方法により,所
得金額が0円で,所得税額306円の還付を受けることとなる旨の虚偽の法人
税確定申告をし,そのまま法定納期限を徒過させ,もって不正の行為により,同
事業年度における正規の法人税額744万6100円と前記還付所得税額との
合計744万6400円(100円未満の端数切捨て)を免れ,
第2同年5月1日から平成27年4月30日までの事業年度における被告会社の
実際所得金額が3423万6767円であったにもかかわらず,同年6月25
日,前記R税務署において,同税務署長に対し,財務省令で定める電子情報処理
組織を使用して行う方法により,所得金額が0円で,所得税額345円の還付
を受けることとなる旨の虚偽の法人税確定申告をし,そのまま法定納期限を徒
過させ,もって不正の行為により,同事業年度における正規の法人税額788
万9800円と前記還付所得税額との合計789万100円(100円未満の
端数切捨て)を免れ,
第3同年5月1日から平成28年4月30日までの事業年度における被告会社の
実際所得金額が3259万8699円であり,実際課税標準法人税額が707
万8000円であったにもかかわらず,同年6月23日,同市C区ST丁目U
番V号の所轄W税務署において,同税務署長に対し,財務省令で定める電子情
報処理組織を使用して行う方法により,所得金額が0円で,所得税額463円
の還付を受けることとなり,課税標準法人税額が0円で,これに対する地方法
人税額が0円である旨の虚偽の法人税及び地方法人税確定申告をし,そのまま
法定納期限を徒過させ,もって不正の行為により,同事業年度における正規の
法人税額707万8400円と前記還付所得税額との合計707万8800円
(100円未満の端数切捨て)及び正規の地方法人税額31万1400円を免

たものである。
(法令の適用)
被告人Bの判示第1及び第2の各所為はいずれも平成26年法律第10号附則1
64条により同法による改正前の法人税法159条1項に,判示第3の所為のうち,
法人税法違反の点は平成29年法律第4号附則140条により同法による改正前の
法人税法159条1項に,地方法人税法違反の点は同法33条1項にそれぞれ該当
するところ,判示第3は1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるから,刑法54
条1項前段,10条により1罪として犯情の重い法人税法違反の罪の刑で処断する
こととし,各所定刑中いずれも懲役刑を選択し,以上は同法45条前段の併合罪であ
るから,同法47条本文,10条により犯情の最も重い判示第2の罪の刑に法定の加
重をした刑期の範囲内で被告人を懲役1年に処し,情状により同法25条1項を適
用してこの裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予することとする。
被告人Bの判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから,被告
会社についても,判示第1及び第2の各所為は,いずれも法人税法163条1項によ
り,平成26年法律第10号附則164条により同法による改正前の法人税法15
9条1項に,判示第3の所為のうち,法人税法違反の点は同法163条1項により,
平成29年法律第4号附則140条により同法による改正前の法人税法159条1
項に,地方法人税法違反の点は同法37条1項により,同法33条1項にそれぞれ該
当するところ,判示第3は1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるから,刑法5
4条1項前段,10条により1罪として犯情の重い法人税法違反の罪の刑で処断す
ることとし,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法48条2項により各罪
所定の罰金の多額を合計した金額の範囲内で被告会社を罰金600万円に処するこ
ととする。
(量刑の理由)
本件のほ脱所得額は合計約9933万円,ほ脱税額は合計約2272万円といず
れも相当に高額で,ほ脱率も100パーセントであり,国家の課税権を害した結果は
重い。被告人Bが,知人に銀行口座の出入金を依頼するなどし,架空の外注加工費が
発生しているかのように装い,所得を隠匿するという手口は相応に悪質である。順調
に被告会社の所得が増える中,多額の養育費の支払等のため被告人B自身の収入を
増やそうとしたなどの動機も身勝手というほかない。
他方で,被告人Bは,前科がなく,反省を深め,二度と同様の罪を犯さないと約束
しており,被告会社は,既に修正申告に係る法人税等を納付し,今後延滞税,重加算
税も納付する予定である。
以上の事情を考慮すれば,被告人Bに対しては検察官の求刑どおりの懲役刑を科
した上でその刑の執行を猶予し,被告会社に対しては主文の罰金刑を科すのが相当
である。
(求刑被告会社に対し罰金700万円,被告人Bに対し懲役1年)
平成30年6月11日
名古屋地方裁判所刑事第5部
裁判官西山志帆

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