弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第1 請求
1 被告aは,奈良県橿原市(以下単に「橿原市」という。)に対し,15万3
600円及びこれに対する平成14年5月1日から支払済みまで年5分の割合によ
る金員を支払え。
2 被告bは,橿原市に対し,5万8240円及びこれに対する平成14年5月
1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被告cは,橿原市に対し,11万5460円及びこれに対する平成14年5
月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4 被告dは,橿原市に対し,12万8500円及びこれに対する平成14年5
月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は,橿原市の住民である原告らが,被告らに対し,地方自治法(平成1
4年法律第4号による改正前のもの。以下同様)242条の2第1項4号後段に基
づき,同市に代位して,同市の不当利得返還請求権又は不法行為に基づく損害賠償
請求権の行使として,被告らが同市から交付を受けた政務調査費の使用が違法であ
る等主張して,その政務調査費相当額及びこれに対する利息又は遅延損害金の支払
を求めた事案である。
1 前提事実(証拠の摘示のない事実は,争いのない事実又は弁論の全趣旨によ
り認める事実である。)
(1) 当事者
ア 原告らは,いずれも橿原市の市民である。
イ 被告らは,本件で問題となっている政務調査費の交付を受けそれを使用
した当時,いずれも橿原市議会議員であった。
(2) 橿原市は,地方自治法100条12項及び13項(現行法では13項及び
14項)に基づき,条例等を制定して(その具体的内容は,後記(5)記載のとお
り),市議会議員に年額50万円の政務調査費を使用することを認めており,毎年
4月25日及び10月25日に各25万円を交付し,交付を受けた議員は翌年の4
月30日までに,政務調査費の収支報告書を議長に提出し,未使用の政務調査費
は,市に返還することとしている。
(3) 政務調査費の交付と使用
ア 交付
橿原市は,平成13年4月25日及び同年10月25日,被告らに対
し,各25万円ずつ合計50万円を政務調査費として交付した(甲8の1,4,甲
9の3,甲12の2,弁論の全趣旨)。
イ 使用
  原告らが問題にしている被告らの政務調査費の使用は次のとおりであ
る。
(ア) 被告a
被告aは,平成13年7月2日及び同月3日に高松市にある一般廃棄
物陶最終処分場及び広島県呉市にある海事博物館推進室の政務調査をしたことによ
り旅費5万2550円,同年11月23日から同月26日まで東京都世田谷区にあ
る学校法人芳村学園さくら幼稚園,山形県酒田市にある財団法人酒田市美術館,財
団法人土門拳記念館及び新潟県上越市にあるファミリーヘルプ保育園の政務調査を
したことにより旅費10万1050円,合計15万3600円を要したとして,こ
れに政務調査費を充て,平成14年4月15日橿原市議会議長に対し,その旨の収
支報告書を提出した(甲8の1~5・6の1・2,甲8の7~12・14~18,
弁論の全趣旨)。
(イ) 被告b
被告bは,平成13年5月6日及び同月7日に東京都における政務調
査(議員研修,e衆議院議員に対する陳情)をしたことにより旅費5万8240円
を要したとして,これに政務調査費を充て,平成14年4月23日橿原市議会議長
に対し,その旨の収支報告書を提出した(甲9の1~4)。
(ウ) 被告c
被告cは,平成14年2月21日から同月23日まで北海道深川市に
ある深川市温水プール「ア・エール」,北海道美唄市にある市営温水プール「すい
~む」及び北海道旅客鉄道株式会社(JR)α駅周辺土地区画整理事業等の政務調
査をしたことにより旅費11万5460円を要したとして,これに政務調査費を充
て,同年4月ころ橿原市議会議長に対し,その旨の収支報告書を提出した(甲10
の1~6)。
(エ) 被告d
被告dは,平成13年8月8日から同月10日まで島根県出雲市にあ
る出雲市役所,島根県簸川郡βにある佐田町役場の政務調査をしたことにより旅費
8万9300円,同月14日及び15日に石川県松任市にある松任市役所の政務調
査をしたことにより旅費3万9200円,合計12万8500円を要したとして,
これに政務調査費を充て,平成14年4月ころ橿原市議会議長に対し,その旨の収
支報告書を提出した(甲12の1~9,弁論の全趣旨)。
(4) 監査請求
原告らは,平成14年6月26日橿原市監査委員に対し,地方自治法24
2条1項に基づき,被告らの上記(3)イ(ア)ないし(エ)の各使用について,その返還
を求める等の監査請求を行ったが,橿原市監査委員は,同年8月23日,原告らの
監査請求は理由がないとして棄却の決定を行った(甲1,4)。
そこで,原告らは,同月30日,本件訴えを提起した。
(5) 政務調査費に関する規定
ア 条例の定め
橿原市は,地方自治法100条12項及び13項に基づき,議員の調査
研究に資するために必要な経費の一部として政務調査費を交付することに関し,橿
原市議会政務調査費の交付に関する条例(以下「本件条例」という。)を制定し,
同条例は平成13年4月1日から施行された(甲5の1,乙ロ2)。
本件条例には,次のような規定が存する(甲5の1,乙ロ2)。
(交付対象)
第2条 政務調査費は,議員の職にある者に対して交付する。
(交付額及び交付の方法)
第3条
1項 政務調査費の額は,毎年度,4月1日に在職する議員に対して,
年額50万円とする。
4項 政務調査費は,4月25日及び10月25日に交付する。(ただ
し書省略)
(使途基準)
第4条 議員は,政務調査費を別に定める使途基準に従って使用するもの
とし,市政に関する調査研究に資するための必要な経費以外のものに充ててはなら
ない。
(収支報告書の提出)
第5条
1項 政務調査費の交付を受けた議員は,政務調査費に係る収入及び支
出の報告書を作成し,橿原市議会議長に提出しなければならない。
2項 議長は,収支報告書の提出を受けたときは,その写しを市長に送
付しなければならない。
(政務調査費の返還)
第6条
2項 政務調査費の交付を受けた議員は,その年度において交付を受け
た政務調査費の総額から,必要な経費として支出した総額を控除して残余がある場
合は,当該残余の額に相当する額の政務調査費を返還しなければならない。
3項 前2項の場合において,市長は,期日を定めて返還を命じること
ができる。
(委任)
第7条 この条例に定めるもののほか,政務調査費の交付に関し必要な事
項は,市長が別に定める。
イ 本件条例施行規則の定め
橿原市長は,平成13年3月27日,本件条例7条に基づき,政務調査
費の交付に関し,橿原市議会政務調査費の交付に関する条例施行規則(以下「本件
規則」という。)を制定し,同規則は同年4月1日から施行された(甲5の2,乙
ロ3)。
本件規則には,次のような規定が存する(甲5の2,乙ロ3)。
(交付申請)
第2条 政務調査費の交付を受けようとする橿原市議会議員は,毎年度,
市長に対して,橿原市議会議長を経由して政務調査費交付申請書を提出しなければ
ならない。
(交付決定)
第3条 市長は,前条の申請があったときは,速やかに,議員に対して政
務調査費の交付額の決定をし,政務調査費交付決定通知書により通知しなければな
らない。
(交付請求)
第4条 前条の交付の決定を受けた議員は,市長に対して政務調査費交付
請求書を提出するものとする。
(使途基準)
    第5条 本件条例4条に規定する使途基準は,次のとおりとする。
│項目│内容

│研究研修費│議員が研究会,研修会を開催するために必要な経費又

││は議員が他の団体の開催する研究会,研修会に参加す

││るために要する経費(会場費,講師謝金,出席者負担

││金・会費,交通費,旅費,宿泊費等)

│調査旅費│議員の行う調査研究活動のために必要な先進地調査又

││は現地調査に要する経費(交通費,旅費,宿泊費等)

│資料作成費│議員の行う調査研究活動のために必要な資料の作成に

││要する経費(印刷製本代,翻訳料,事務機器購入代,

││リース代等)

│資料購入費│議員の行う調査研究活動のために必要な図書,資料等

││の購入に要する経費

│公聴費│議員が住民からの市政及び会派の政策等に対する要

││望,意見を徴するための会議等に要する経費(会場

││費,印刷費,茶菓子代等)

│人件費│議員の行う調査研究活動を補助する職員を臨時に雇用

││する経費

│事務所費│議員の行う調査研究活動のために必要な事務所の設

││置,管理に要する経費(事務所の賃借料,維持管理

││費,備品代,事務機器購入代,リース代等)

(収支報告書の提出)
第6条
1項 政務調査費の交付を受けた議員は,政務調査費の交付を受けた翌
年度の4月30日までに,本件条例5条に規定する収支報告書に領収書等の証拠書
類の写しを添付して,議長に提出しなければならない。
(収支報告書の保存)
第7条 議長は,収支報告書を提出期限の日から起算して5年を経過する
日まで保存しなければならない。
(会計帳簿等の整理保管)
第8条 政務調査費の交付を受けた議員は,政務調査費の支出について会
計帳簿を整理するとともに,領収書等の証拠書類を整理し,これらの書類を収支報
告書の提出期限の日から起算して5年を経過する日まで保管しなければならない。
2 争点
(1) 被告aの活動に係る費用に政務調査費を充てることの可否
(2) 被告bの活動に係る費用に政務調査費を充てることの可否
(3) 被告cの活動に係る費用に政務調査費を充てることの可否
(4) 被告dの活動に係る費用に政務調査費を充てることの可否
3 当事者の主張の骨子
(1) 争点(1)(被告aの活動に係る費用に政務調査費を充てることの可否)に
ついて
(原告ら)
ア 政務調査費の使用が適法と認められるための要件
(ア) 議員の政務調査費の使用が適法と認められるためには,「公益上必
要がある場合」でなければならず(地方自治法232条の2参照),また,議会の
調査権に準ずるもの,あるいはそれを捕捉するものでなければならない上(地方自
治法100条),さらに,政務調査費は,「市政に関する調査研究に資するための
必要な経費以外のものに充ててはならない」(本件条例4条),すなわち,本件規
則5条所定の使途基準に適合するものでなければならない。
具体的には,① 公務性(議員が所属する自治体の行政に相当程度関
係するものであること),② 調査目的の相当性,③ 調査対象の相当性,④ 調
査方法・態様の相当性(調査研究の目的が具体的かつ明確に設定されているか,事
前に調査目的・調査事項・質問事項等をできる限り明確かつ具体的にして調査先に
伝達し調査先の理解・協力を得ていたか,実際にある程度時間をかけて調査が行わ
れたか,調査目的に即した具体的かつ明確な情報を相当程度取得したか,調査研究
に関する政策提言等があったか,より少額の支出で調査が可能であるにもかかわら
ずあえて費用を支出して現地を訪問調査したか等),⑤ 上記②ないし④を客観的
に判断するため,議員による十分な内容の調査研究報告書の提出,⑥ 政務調査を
実施する費用として必要
最小限の支出であること,以上の要件を充足することが必要である。
(イ) ⑥に関し,政務調査費の趣旨,本件規則5条の規定等にかんがみれ
ば,本件条例は,実際に要した費用にのみ政務調査費の使用を認める趣旨であり,
議員の政務調査活動にともなう支出については,領収書で裏付けられた,実際に要
した交通費,宿泊費等の支出に限って,政務調査費の使用が認められるべきであっ
て,日当を含め,それ以外に使用することは認められないと解すべきである。仮
に,旅費規程の適用があり,定額支給方式によるとしても,実際の交通費,宿泊費
の支出がない場合又は定額支給の旅費に比較して実際の支出額が極端に少ない場合
には,旅費として政務調査費を使用することは認められないこととすべきである。
そして,これらの点にかんがみると,領収書がない支出に係る費用に
政務調査費を充てることは認められず,違法である。
イ あてはめ
(ア) 高松市における政務調査
被告aは,残灰が零にならないのでその処分先をどうするかを調査す
るために調査に行ったというが,結局,処理場の跡地利用を確認した程度で終わっ
ているのであり,調査目的に即した成果はほとんど認められない(④)。また,被
告aは,高松市における調査内容につきA4版1枚の用紙にも満たない程度のメモ
を残しているにすぎず,調査の内容及び成果はほとんど不明である(⑤)。
また,被告aが同市における調査当日(平成13年7月2日)に宿泊
したのは知人宅であるから,少なくとも宿泊料として1万4800円の政務調査費
を使用したことは違法である(⑥)。
(イ) 広島県呉市における政務調査
被告aは,橿原市の再開発を念頭において海事博物館推進室を調査し
た,海事博物館の建築に対する市民の抵抗をどう克服したかを聞きたかったという
が,調査時間も30分程度にすぎず,再開発の一環として行われたという海事博物
館の建設について基本的な予算やその内訳,住民への説明会の開催に関する状況に
ついてさえ十分な調査をしていないのであり,調査方法・態様の相当性に欠ける
(④)。また,被告aは,広島県呉市における調査内容につきA4版1枚の用紙に
も満たない程度のメモを残しているにすぎず,その内容及び成果はほとんど不明で
ある(⑤)。
(ウ) 東京都世田谷区における政務調査
被告aは,学校法人芳村学園さくら幼稚園を訪問しておらず,同幼稚
園の資料等を入手したこともない(④)。また,被告aの東京都世田谷区における
調査に関する調査研究報告書にほとんど記載がなく,調査の内容及び成果はほとん
ど不明である(⑤)。
(エ) 山形県酒田市における政務調査
被告aは,公営美術館の運営方法,第三セクターの運営を調査するた
め財団法人酒田市美術館及び財団法人土門拳記念館を訪問したというが,山形県酒
田市のこれらの施設に対する出資,補助金支出の有無,これらの施設の予算,収
支,入場者数の推移等について何ら確認していないのであり,調査方法・態様の相
当性に欠ける(④)。また,被告aは,山形県酒田市における調査につきA4版1
枚の用紙にも満たない程度のメモを残しているだけであり,その内容及び成果はほ
とんど不明である(⑤)。
(オ) 新潟県上越市における政務調査
被告aは,子育て支援の観点から,24時間保育を行っているファミ
リーヘルプ保育園の運営について調査したというが,同保育園の保育料や,予想よ
り利用者が少なかった理由等について確認していないのであり,調査方法・態様の
相当性に欠ける(④)。また,被告aは,新潟県上越市における調査につきA4版
1枚の用紙にも満たない程度のメモを残しているだけであり,その内容及び成果は
ほとんど不明である(⑤)。
(カ) その他,日当が計上されている点,宿泊費が定額処理されている
点,領収書が提出されていない点でも,被告aによる上記政務調査費の使用は違法
である(⑥)。
ウ したがって,被告aが上記イに要したと主張する旅費に政務調査費を充
てることは認められないのであり,被告aは,橿原市に対し,これに充てた政務調
査費相当額15万3600円を返還又は賠償する義務を負う。そして,本件規則6
条によれば,各議員は,翌年度の4月30日までに収支報告書を議長に提出しなけ
ればならないのであり,被告aは,遅くとも本件の場合,平成14年4月30日ま
でにその使用を精査し,政務調査費交付の目的に即して使用されなかった政務調査
費相当額を返還又は賠償することが可能であり,また,返還又は賠償すべき義務を
負うのであり,その返還又は賠償を怠っている以上,上記期日の翌日である同年5
月1日から支払済みまで年5分の割合による利息又は損害金が発生すると解すべき
である。
(被告a)
ア(ア) 地方議会議員に,地方の権限強化にふさわしい政策立案能力や識見
が求められ,市政に係るあらゆる課題について自由闊達な調査研究等を可能にする
という,政務調査費が定められた趣旨からすれば,政務調査費の対象となる議員の
政務調査活動(調査目的,調査先,調査事項,調査方法,調査後の対応及び成果の
取扱い(事後報告の仕方,政策提言をするかどうか)等)については,可能な限
り,すなわち,それが客観的外形的に専ら観光目的であると明らかに認められると
いうような,裁量の範囲を著しく逸脱しているとか,裁量権の濫用と見られるとい
った特段の事情がない限り,各議員の裁量に委ねられるべきものである。
すなわち,「市政に関する調査研究に資するため」(本件条例4条)
とは,市政に関する特定の具体的課題についての調査研究に限定する趣旨ではな
く,様々な分野にわたり他市町村の視察,研修などにより識見を高めること,市民
らと意見の交換をすることなども含まれる。
また,市政に関する調査研究に関係するものであると認められる限
り,議員は政務調査費の交付を受けて自主自立のもと調査研究等に専念することが
保障されなければならないのであり,調査結果の報告については,議員の自主自立
に委ねられるべきである。そして,政務調査復命書の記載内容や方法等について
は,一義的に規制されるものではなく,議員の自主裁量に委ねられるものであり,
記載内容のみから,視察自体の是非まで判断されることは疑問である。
さらに,視察調査の結果得られた知識経験により議員としての資質能
力の向上が図られ,ひいてはそのことが政策立案や提言等の議員活動において結実
していくものであるから,調査の成果についても,ただ単に即効性を求めるだけで
はなく,中長期的な視点でもこれを見守り,評価されるべきである。
(イ) 定額方式を採用するか実費弁償(実額方式)を採用するかは地方公
共団体の議会の裁量に委ねられているところ,橿原市における政務調査費の事務処
理については,「あらかじめ一定の事由又は場合を定め,それに該当するときは個
別的な事情を考慮せずに一定額の費用を支給するという定額方式を採用」するとさ
れている。そして,この場合,例えば「公用車の利用日に旅費を支給したとして
も,社会通念上,費用弁償本来の建前を損なうとはいえ」ないとされているのであ
り,かかる趣旨からすると,定額方式の場合,個別的な事情(どこに宿泊したか
等)は問題にならないというべきである。
なお,政務調査費のうち,交通費・旅費・宿泊費の支給に関しては,
平成13年4月19日の議員の全体協議会において,議員間で,橿原市の費用弁済
及び旅費に関する規定を準用することが確認されており,領収書についても,議会
は,裁量により添付する必要はないと申し合わせ,事務処理をしてきた。すなわ
ち,橿原市の場合,政務調査費の支出に関して,政務調査費使途基準運用事項
(ロ)研究研修費の内,旅費の事項(平成13年4月19日全体協議会における説
明資料),政務調査費の交通費及び宿泊費の支出に関する事務処理について(平成
15年4月17日議会事務局と市長部局が合同で見解をまとめた文書)及び国家公
務員等の旅費に関する法律により,定額方式が採用されているものである。
イ(ア) 高松市における政務調査
被告aは,橿原市が焼却場の残灰処理に関する問題を有しておりごみ
処理問題について関心を有していたこと,包装容器リサイクル法の施行もあったこ
と,選挙の公約としても環境施設の充実を掲げていたことから,高松市にある一般
廃棄物陶最終処分場を視察先とした。そして,被告aは,平成13年7月2日上記
処分場を訪問し,約1時間視察を行った。
(イ) 広島県呉市における政務調査
橿原市においては,市の顔である近畿日本鉄道株式会社(近鉄)γ駅
前を再開発してにぎわいを取り戻し,加えて税収入の増加を図ることが課題とされ
ており,被告aは,財政的な基盤に配慮しつつどのような開発を行うべきかという
ことについて関心を有していたところ,広島県呉市が,いったん寂れた中心市街地
の活性化を図るために海事博物館を建設することを聞き及び,同市を視察先とし
た。そして,被告aは,平成13年7月3日同市にある海事博物館推進室を訪問
し,一般来館者へ配布されているリーフレットとは異なる資料を入手した。そし
て,被告aは,この調査から,行政の職員が積極的に取り組むことで事業が完成す
るとの思いを強くし,上記γ駅前の事業においてもそのような姿勢で取り組むこと
の大切さを感じた。
(ウ) 東京都世田谷区における政務調査
被告aは,以前から幼児教育に関心を有し,議員としても幼児教育の
充実について積極的に取り組んできており,無認可保育園において子供の様子を親
にうまく報告する方法について検討していたところ,インターネットを通じて幼児
教育の現場を母親や祖父母が見ることができるシステムをもつ幼稚園が雑誌に紹介
されていたことから,実際に現状を把握するために,東京都世田谷区の視察を行っ
た。被告aは,視察後,橿原市においても,近畿日本鉄道株式会社γ駅前に駅前保
育の施設を設け,IT技術を駆使した工夫を行うことで,少子化への歯止めを図る
ことが必要との思いを強くした。
(エ) 山形県酒田市における政務調査
被告aは,初当選のころから橿原市の文化行政に対する取り組みが遅
れていることを感じており,選挙に際しても文化活動を中心とした街造りを公約に
掲げていたところ,山形県酒田市は,人口10万人程度の規模の都市で,公営の文
化施設(酒田市美術館,酒田市写真美術館)を建設するという取り組みをしていた
ことから,そこを訪問してその財政上の問題,運営方法について知ることは有益で
あると考え,同市を視察先とした。そして,被告aは,平成13年11月25日同
市にある酒田市美術館を訪問し,一般の入場者に配布されているのとは異なる資料
を入手した。被告aは,実際に訪れてみて,周辺施設の状況や地元出身の作家の作
品展示等にも意義を感じるとともに,「δ」建設の調査費200万円が新年度予算
に計上される等の形で,
被告aの取り組みが結実しつつある。
(オ) 新潟県上越市における政務調査
被告aは,議員活動の中で幼児教育に力を入れてきたところ,新潟県
上越市では公立で24時間保育に取り組んで市民のニーズに対応していることを知
り,かかる施設は少子化対策,ひいては税収確保の観点からも必要なことであると
考え,同市を視察先とした。被告aは,視察後,同程度の規模である橿原市におい
ても同じことが可能であると考え,近畿日本鉄道株式会社γ駅前に同様の施設を設
置することに積極的に取り組むことが課題であると認識した。
(カ) 以上のとおり,被告aの調査はいずれも,橿原市議会議員としての
識見を高めるために行われたものである。
ウ したがって,被告aが上記イの各政務調査に要した旅費は「市政に関す
る調査研究に資するため」のものであり,これに政務調査費を充てることは,裁量
の範囲内である等違法ではないから,被告aは,橿原市に対し,15万3600円
を返還又は賠償する義務を負っていない。
(2) 争点(2)(被告bの活動に係る費用に政務調査費を充てることの可否)に
ついて
(原告ら)
ア 政務調査費の使用が適法と認められるための要件
前記(1)(原告ら)アに同じ。
イ あてはめ
(ア) 東京都における政務調査(議員研修)
被告bが出席したという議員研修は,研修の目的,内容,研修場所,
日時等に関する資料が存在せず,その目的,内容,研修場所,日時等は一切不明で
あって,被告bのいう議員研修自体存在しなかったと考えざるを得ない。被告bが
主張する講師依頼やスケジュール調整についてもされたとは考えられない。被告b
は,議員研修会の講師であった元ペルー共和国日本大使のfから,たまたま一度面
識があったことから来訪を要請され,妻や友人の問題について個人的相談を受けて
いたにすぎないのであり,そのための調査研究というのは,公務性(①)も,調査
目的の正当性(②)もない。また,被告bが主張するような,プライバシー及び調
査の秘密を守る必要性は認められないにもかかわらず,詳細な調査報告書を作成す
る義務を果たしていない
(⑤)。
(イ) 東京都における政務調査(e議員に対する陳情)
被告bがe議員を訪問した理由は上記(ア)のf元大使に関する陳情で
あり,被告bが所属する政党の国会議員に個人的問題について陳情する行為は,本
件規則5条のいずれにも該当せず,何ら公務性(①)がなく,目的(②)からして
調査研究のらち外である。また,詳細な調査報告書を作成する義務も果たしていな
い(⑤)。
さらに,被告bは,平成13年5月7日午後零時前に東京駅でf元大
使と会って食事をし,同日午後1時27分に議員会館に行ってe議員を訪問しただ
けであって,この日程を消化するために,前日から東京に行き,一泊する必要性や
合理性は全くないから,被告bが宿泊料として政務調査費を使用したことは,その
態様から見ても明らかに違法である(⑥)。
(ウ) その他,日当が計上されている点,宿泊費が定額処理されている
点,領収書が提出されていない点でも,被告bによる上記政務調査費の使用は違法
である(⑥)。
ウ したがって,被告bが上記イに要したと主張する旅費に政務調査費を充
てることは認められないのであり,被告bは,橿原市に対し,これに充てた政務調
査費相当額5万8240円を返還又は賠償する義務を負う。そして,前記(1)(原告
ら)ウと同様に,平成14年5月1日から支払済みまで年5分の割合による利息又
は損害金が発生すると解すべきである。
(被告b)
ア 前記(1)(被告a)アに同じ。
イ(ア) 東京都における政務調査(議員研修)
平成13年5月6日及び7日の議員研修は存在した。すなわち,被告
bは,同日朝,東京都にいるf元大使に会い,橿原市議会で計画中であった橿原市
議会議員全員を対象とした研修会の講師依頼及びスケジュール調整をしたものであ
る。f元大使はペルー共和国政府から引渡要求が出ており,危険な立場にあった。
f元大使との情報交換は,外国人の宗教・母国の経済・政治等について深い見識と
直近の情報を得る上で,大変重要である。
そして,上記事実については,プライバシー及び調査の秘密を守るた
め,その詳細を報告するべきでないのは当然であり,当日の研修の報告は,面談者
の氏名,場所,日時を明らかにした平成13年度政務調査費収支報告書によって報
告義務を果たしている。
(イ) 東京都における政務調査(e議員に対する陳情)
被告bは,橿原市内にある奈良県立医科大学附属病院が薬害エイズ患
者を生み出した大学病院である上,当時の血友病治療の担当者が現在上記病院の院
長の職にあり今なお多くの問題をはらんでいることから,平成13年5月7日午後
国会議員会館において,e議員と,被告bが調査している上記病院のエイズ治療,
薬害エイズ問題について意見交換を行った。政治家に対する陳情が「市政に関する
調査研究に資するため」とはいえないとする原告らの主張は理由がない。
そして,薬害エイズと上記病院の問題は極めてデリケートなものであ
るから,調査内容を公表するべきものではなく,直ちに具体的な政治活動につなが
るものではない。
ウ したがって,被告bが上記イに要した旅費は「市政に関する調査研究に
資するため」のものであり,これに政務調査費を充てることは,裁量の範囲内であ
る等違法ではないから,被告bは,橿原市に対し,5万8240円を返還又は賠償
する義務を負っていない。
(3) 争点(3)(被告cの活動に係る費用に政務調査費を充てることの可否)に
ついて
(原告ら)
ア 政務調査費の使用が適法と認められるための要件
前記(1)(原告ら)アに同じ。
イ あてはめ
(ア) 北海道深川市,美唄市における政務調査(温水プール)
被告cは,橿原市における焼却炉建設計画に際し,建設予定地住民へ
の利益還元施設として温水プール建設の希望があったこと,温水プールは寒冷地が
最も古くからあると考えたこと,人口の少ない自治体がどのように温水プールを建
設し,運営しているかということに関心があったこと,これらのことから,北海道
深川市及び美唄市にある温水プールの調査をしたというが,焼却炉建設計画に伴う
地元住民への利益還元施設としての温水プールとして当然考えられる焼却炉の余熱
を利用した温水プールを調査対象としていないこと,最も古くから温水プールがあ
るのは寒冷地であるのか不明である上,被告cが対象とした温水プールは最近建設
されたものであること,温水プールの建設費,運営維持に要する経費等は,現地に
赴かなくても資料の提供
を求めることで十分得られる情報であること,これらのことからすると,調査理由
は極めて不合理である(②)。また,視察先は遠隔寒冷地であって,人口も橿原市
と比べれば相当少なく,橿原市とは気候等の条件が著しく異なるから,橿原市の市
政との関連性は極めて薄いし,温水プールの視察が必要であったとしても,上記の
ような遠隔地へ行く必要はなく,もっと近くに適当な視察先があるのであり,目的
に照らして関連性,必要性が乏しい(③)。さらに,詳細な調査報告書を作成する
義務を果たしていない(⑤)。
(イ) 北海道美唄市における政務調査(駅前)
被告cは,橿原市において近畿日本鉄道株式会社γ駅前の再開発事業
計画,区画整理事業計画があったところ,北海道旅客鉄道株式会社α駅前の土地区
画整理事業が成功しており,同会社,地域,行政の三位一体の成果を視察対象とし
て,北海道美唄市駅前区画整理事業の調査をしたというが,事前の調査研究を何ら
行っていない上,上記会社関係者や地域住民から直接情報を得ることも行っていな
い(④)。また,視察の結果どのような成果があったのかについても具体性に乏し
い報告があるだけである(⑤)。
(ウ) その他,日当が計上されている点,宿泊費が定額処理されている
点,領収書が提出されていない点でも,被告cによる上記政務調査費の使用は違法
である。
ウ したがって,被告cが上記イに要したと主張する旅費に政務調査費を充
てることは認められないのであり,被告cは,橿原市に対し,これに充てた政務調
査費相当額11万5460円を返還又は賠償する義務を負う。そして,前記(1)(原
告ら)ウと同様に,平成14年5月1日から支払済みまで年5分の割合による利息
又は損害金が発生すると解すべきである。
(被告c)
ア 前記(1)(被告a)アに同じ。
イ(ア) 北海道深川市,美唄市における政務調査(温水プール)
被告cは,橿原市において一年中使えるプールの要望があったとこ
ろ,平成12年北海道深川市,平成13年北海道美唄市において,それぞれ少ない
予算で適当なプールが建設されたと聞き,3万足らずという人口の少ない両市にお
いて,どいういう財政的処置で建設されたか,施設はどうであるか等を研修するこ
とを目的としたものであり,経費節減を求められる橿原市においても非常に参考に
なると考えられた。温水プール建設問題を抱える橿原市にとって,寒冷地である視
察地は,温水プールの先進地であることから,目的に照らし関連性も必要性も大き
いといえるし,人口の少ない市の施設であるからこそ,橿原市の課題である予算の
有効利用の参考になるとみられるのであり,視察先が,橿原市とは,気候条件や人
口が著しく異なり,北海道
深川市及び美唄市の調査が,橿原市の市政との関連性が極めて薄いとする原告らの
主張には根拠がない。
(イ) 北海道美唄市における政務調査(駅前)
被告cは,橿原市が従前から近畿日本鉄道株式会社γ駅前の開発問題
を抱えていたところ,北海道美唄市では区画整理事業の大部分を終えているという
状況があったため,同市を研修しようと考えた。
(ウ) そして,被告cは,北海道深川市及び美唄市を訪問し,資料の交付
を受けた。また,被告cは,橿原市の各部局に説明し,併せて,要望や提言を行っ
ているのであり,成果があったのか具体性に乏しいということはできないし,そも
そも,前記(1)(被告a)ア(ア)のとおり,成果については,即効性を求めるばかり
ではなく,中長期的な視点でもこれを見守り,評価されるべきものである。
ウ したがって,被告cが上記イに要した旅費は「市政に関する調査研究に
資するため」のものであり,これに政務調査費を充てることは,裁量の範囲内であ
る等違法ではないから,被告cは,橿原市に対し,11万5460円を返還又は賠
償する義務を負っていない。
(4) 争点(4)(被告dの活動に係る費用に政務調査費を充てることの可否)に
ついて
(原告ら)
ア 政務調査費の使用が適法と認められるための要件
前記(1)(原告ら)アに同じ。
イ あてはめ
(ア) 島根県出雲市における政務調査
被告dは,訪問の目的に即した事前調査を行っていないし,事前に島
根県出雲市役所を訪問すること及び訪問の目的を通知せず突然同市役所を訪問し,
同市の職員との間の質疑の時間も短かったし,調査の対象にしたという同市のポイ
捨て禁止条例の施行状況についても調査していないのであり,調査方法・態様の相
当性に欠けている(④)。また,被告dの,同市における調査に関する行政視察復
命書の研修内容,成果の記載からは,視察内容及び成果がほとんど不明である
(⑤)。
(イ) 島根県簸川郡βにおける政務調査
被告dは,訪問先の島根県簸川郡βの合併問題について事前に調査し
質問事項や調査事項をまとめておらず,訪問する旨の事前連絡もせず,合併に関す
る資料を同町役場から受領せず,具体的な問題についてほとんど何も把握すること
ができなかったのであり,調査の方法・態様の相当性に欠ける(④)。また,被告
dの,同町における調査に関する行政視察復命書の研修内容,成果の記載からは,
視察内容及び成果がほとんど不明である(⑤)。
また,被告dは,島根県出雲市及び簸川郡βにおいて行った調査の際
の平成13年8月8日及び同月9日の宿泊を,いずれも知人宅でしたのであるか
ら,その宿泊料として合計2万9600円の政務調査費を使用した点は違法である
上,さらに,上記2箇所の訪問を2日間で終え,2日目に橿原市に戻ることが十分
可能であったから,同月10日の定額日当3000円は不要であって,それに政務
調査費を使用した点も違法である(⑥)。
(ウ) 石川県松任市における政務調査
被告dは,石川県松任市の訪問前に,事前に父親クラブの活動につい
て調査し,質問事項をまとめておらず,父親クラブがいつころできたのか,それが
できた経緯,参加している父親の数,発足当初との人員の比較等についての知識も
得ておらず,調査方法・態様の相当性に欠ける(④)。また,被告dの,同市にお
ける調査に関する行政視察復命書の研修内容,成果の記載からは,視察内容及び成
果がほとんど不明である(⑤)。
さらに,被告dは,日帰りが可能で,かつ,宿泊の必要はなかったの
であるから,平成13年8月14日の宿泊料1万4800円及び同月15日の定額
日当3000円として政務調査費を使用した点は違法である(⑥)。
(エ) その他,日当を支出した点,宿泊費が定額処理されている点,領収
書が提出されていない点でも,被告dによる上記政務調査費の使用は違法である。
ウ したがって,被告dが上記イに要したと主張する旅費に政務調査費を充
てることは認められないのであり,被告dは,橿原市に対し,これに充てた政務調
査費相当額12万8500円を返還又は賠償する義務を負う。そして,前記(1)(原
告ら)ウと同様に,平成14年5月1日から支払済みまで年5分の割合による利息
又は損害金が発生すると解すべきである。
(被告d)
ア 前記(1)(被告a)アに同じ。
イ(ア) 島根県出雲市における政務調査
島根県出雲市は神々の集う街として,一方,橿原市は建国文化都市と
して,いずれも全国に知られる等共通点があるところ,被告dは,ポイ捨て禁止条
例が制定されている島根県出雲市を視察して,当該条例が環境行政上有効かどうか
観察し,また,同市で実行されている,中学生に環境探偵団を委嘱し子供たちの環
境問題に対する関心を高める施策と,どちらがよいのか視察し,その成果を今後の
環境行政に役立てたいと考えた。
(イ) 島根県簸川郡βにおける政務調査
橿原市においては市町村合併の問題が当面の課題であるところ,被告
dは,小さな自治体の考え方を知りたいと考え,島根県簸川郡βを視察地とした。
被告dは,視察の結果,小さな町村との関係では,吸収合併ではなく対等合併がよ
いとの認識を得た。
(ウ) 石川県松任市における政務調査
被告dは,当選当時から少子高齢化における子育て事業,特に,父親
の子育て参加について高い関心を有していたところ,石川県松任市が先進的に取り
組んでいる「父親クラブ」について研修したいと考え,同市を視察先とした。被告
dは,研修後,父親の子育て意識は行政サイドの働きかけによって大きく変わるこ
とを知り,研修成果を参考に,橿原市においても子育て事業計画を発展させていき
たいと考えている。
また,被告dは,同市への政務調査について,研修前後のスケジュー
ルを考慮に入れると宿泊が必要であると認められたため,宿泊したものである。
(エ) 行政視察復命書の記載は,被告dの視察の目的たる課題等の要点を
記載したにすぎない。被告dは,上記(ア)ないし(ウ)の課題について,現実に訪問
し,視察先の担当部局に事情聴取する等して調査研究を行い,関連資料の収集等も
している。
被告dにとって,上記(ア)ないし(ウ)の調査で得た知識・経験が,今
後同種事案が議案として上程された時や自ら政策立案,提言等する場合の判断材料
や指針になるものと期待されるのであるし,前記(1)(被告a)ア(ア)のとおり,成
果については,即効性のみを求めるべきでなく,中長期的な視点でもこれを見守り
評価されるべきである。
ウ したがって,被告dが上記イに要した旅費は「市政に関する調査研究に
資するため」のものであり,これに政務調査費を充てることは,裁量の範囲内であ
る等違法ではないから,被告dは,橿原市に対し,12万8500円を返還又は賠
償する義務を負っていない。
第3 当裁判所の判断
当裁判所は,原告らの請求には理由がないと判断する。その理由は,以下の
とおりである。
1 政務調査費について
(1) 政務調査の必要性の判断基準
本件条例の根拠となる地方自治法100条12項及び13項は,地方分権
の進展により地方議会の担う役割が強まっていることにかんがみ,地方議会の審議
能力を強化してその活性化を図るため,地方議会議員の調査活動基盤の充実を図る
観点から,また,かかる調査活動基盤の透明性を確保する観点から,地方議会議員
等に対する調査研究費の助成を制度化したものである。すなわち,地方公共団体の
議会は,条例の制定,予算の議決等地方行政全般について重要且つ,広範な権限を
有しており,このような権限を適正に行使するには,議会の構成員である各議員の
不断の調査研究,研鑽が要請されるところ,そのために要した費用を適正な範囲内
で地方公共団体が負担するのが政務調査費制度である。そして,上述のように,地
方公共団体の議会の権
能は広範にわたり,これを適正に行使するための各議員の調査研究活動も多岐にわ
たるものであるから,その調査対象の選定や調査方法や内容につき,議員としての
調査研究の範囲を逸脱しない限り,議員のある程度自由な裁量に委ねられていると
考えられ,その調査研究をするために旅行を要する場合,それに要する費用(旅
費)に政務調査費を充てることは,その額が相当な範囲内である限り,許されると
考えられる。したがって,政務調査先の選定やその調査方法や調査内容が,かかる
裁量の範囲を逸脱するか裁量権の濫用がある場合,あるいはその点にかかる裁量権
の濫用等がない場合であっても,そのために使用した政務調査費の額が相当な範囲
を超える場合に限り,政務調査費の使用は,違法又は法律上の原因がないこととと
なるものと解される。
そして,裁量の範囲を逸脱し又は裁量権の濫用があるかどうかは,当該調
査研究の目的,活動状況,それによって期待される効果等諸般の事情を総合考慮し
て判断するべきであると解される。
(2) 政務調査に要する金額の算定方式(実額方式と定額方式),報告書等の提

ア 証拠(甲15,乙ロ4,5,乙ハ1の1・2)及び弁論の全趣旨によれ
ば,橿原市議会事務局長から平成15年4月17日付けで橿原市議会議長に対し,
政務調査費の交通費及び宿泊費等の支出に関する事務処理について,① 平成13
年4月19日,橿原市議会の全体協議会が開催された際,議員間において,政務調
査費使途基準(本件規則5条)における調査旅費に関し,支出対象とすることがで
きる旅費(交通費,宿泊費等)について,議員間の統一性を図るため,橿原市報酬
及び費用弁償等に関する条例(以下「本件費用弁償条例」という。)における旅費
に関する規定を準用し,同規定に定める金額(定額制)を政務調査費として充てる
ことが意志統一されたこと,② 本件費用弁償条例が宿泊費等につき定額制を定め
ていることから,領収
書を添付する必要がないこと,以上2点に関する見解のとりまとめを,議会事務局
と市長部局(総務課,人事課及び会計課)との合同でした旨の通知がされたことが
認められる。
イ 定額方式
(ア) 本件条例6条2項が「必要な経費として支出した総額を控除して残
余がある場合は,当該残余の額に相当する額の政務調査費を返還しなければならな
い」と規定していることにかんがみると,本件条例に基づく政務調査費は,「費用
の弁償」(地方自治法203条3項)としての性質を有すると解されるところ,こ
の費用弁償について,あらかじめ費用弁償の支給事由を定め,それに該当するとき
には,実際に費消した額の多寡にかかわらず,標準的な実費である一定の額を支給
することとする取扱いをすることも許されると解すべきであり,この場合,いかな
る事由を費用弁償の支給事由として定めるか,また,標準的な支給実費である一定
の額をいくらとするかについては,費用弁償に関する条例を定める当該普通地方公
共団体の議会の裁量判
断に委ねられていると解するのが相当である(最高裁第二小法廷平成2年12月2
1日判決・民集44巻9号1706頁参照)。
そして,本件条例及びその委任する本件規則においては,政務調査費
の使途基準(支給事由)については規定しているものの(本件条例4条,本件規則
5条),その金額については規定していないこと,上記準用される規定に定める旅
費の金額は,橿原市の市長に適用されているものであって,相当な範囲を超えると
はいえないこと,本件条例において政務調査費の1年当たりの最高限度額が規定さ
れていること(本件条例3条1項)等を合わせ考慮すると,政務調査費のうち旅費
(調査旅費)の金額について,議員間で意志統一された上記ア(①)の内容に従う
ことも許されると考えられる。
本件においては,証拠(甲8の5・12,9の4,10の2,12の
3・7,被告a本人,被告c本人)及び弁論の全趣旨によれば,被告らのいずれの
活動についても,橿原市議会事務局が,上記内容に従って旅費の計算をしたことが
認められる。
(イ) なお,原告らは,日当として政務調査費を使用することが許される
べきではない旨主張するが,政務調査は通常の職務内容とは異なる職務である上,
通常の職務に際しては必要としない調査地での交通費等の費用がかかることは容易
に想定し得るところであり,政務調査につき日当として政務調査費を使用すること
が,当該議員の裁量の範囲を逸脱する又は裁量権の濫用であるとはいえず,違法で
あるとか法律上の原因がないということはできないのであり,この点に関する原告
らの主張には理由がないと考える。
(ウ) また,原告らは,知人の自宅に宿泊した場合には宿泊費を必要とし
ないのであるから,その宿泊料として政務調査費を使用することは許されない旨主
張する。しかし,本件費用弁償条例が準用する規定はかかる場合について除外する
ことを明示していないところ,一般的に,知人宅に宿泊する場合に宿泊費に相当す
る費用の出費が皆無であるとまでいうことはできないことを考慮すると,社会通念
上,実費を対象としてこれを弁償するとの費用弁償の本来の建前を損なうとまでは
いい難いのであって,かかる場合について別異の取扱いをしていないことの当否は
さておき,そのことから直ちに,上記規定に従って政務調査費を使用することが,
当該議員の裁量の範囲を逸脱する又は裁量権の濫用であるとはいえず,違法である
とか法律上の原因がな
いとまでいうことはできないのであり,この点に関する原告らの主張には理由がな
いと考える。
ウ 提出書類
(ア) 議長に提出する収支報告書に領収書を添付するか否かについて,本
件条例が委任する本件規則においては「収支報告書に領収書等の写しを添付して,
議長に提出しなければならない」(6条1項)と規定されているのであるが,上記
イのとおり,政務調査費の旅費については定額方式が採用されているものであり,
その定額どおり使用されたかをチェックするに当たっては必ずしも領収書が必要で
あるとはいえないこと,上記ア(②)のとおり,領収書を添付する必要がない旨の
見解のとりまとめを市長部局との合同でしたものであることを併せ考慮すると,政
務調査費の旅費につき領収書の添付がないことのみをもって直ちに,旅費としての
使用が違法であるとか法律上の原因がないとまでいい切ることはできない。
(イ) 原告らは,調査内容を報告する行政視察復命書の記載内容が不十分
であることから政務調査費の使用が違法である旨主張しているようであるが,報告
書の内容が不十分であることから直ちに,その調査に政務調査費を使用することが
違法であるとか法律上の原因がないとまでいうことはできず,この点に関する原告
らの主張には理由がないと考える。
2 争点(1)(被告aの活動に係る費用に政務調査費を充てることの可否)につい

(1) 高松市及び広島県呉市の政務調査
ア 証拠(甲8の5・7~11,24,25,乙イ1~3,7,8,10,
被告a本人)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
(ア) 調査の目的
被告aは,平成13年に行われた選挙の際,環境施設の充実,文化活
動を中心とした街造り,財政基盤の健全化,幼児教育の充実等を公約として掲げて
いた。
被告aは,選挙公約に環境施設の充実を掲げ,ごみ処理問題に関心を
有していたところ,橿原市において焼却場の改築が予定されたことから,残灰が零
にならないか,零にならない場合はその処分先をどうするかを直接自分で調査する
目的で,12年前及び3年前に見学したことのある,高松市にある一般廃棄物陶最
終処分場を訪問することとした。
また,被告aは,広島県呉市が戦前は軍港として栄えたが現在では中
心市街地が空洞化したため活性化に取り組み海事博物館を設ける予定であることを
知り,一度訪問したいと考えていたところ,橿原市においても市の顔である近畿日
本鉄道株式会社大和八木駅前を整備するという問題が持ち上がったことから,この
機会に,広島県呉市にある海事博物館推進室を訪問することとした。被告aは,平
成12年にも上記海事博物館推進室を訪問したことがあったが,そこでもらったパ
ンフレットからは建設の動機が不明であったため,それを知るべく,再度訪問する
こととした。
(イ) 高松市における調査の実施状況
被告aは,訪問前に高松市議会に対し,橿原市議会事務局を通じて,
訪問する旨の連絡をしていた。
被告aは,平成13年7月2日午前9時30分ころ高松市役所を訪
れ,その後,同日午前10時ころから同日午前11時ころまでの間,住宅地から離
れた山間部の谷間にある残灰処理場の跡地を訪問し,田として利用され稲が生えて
いるのを見,さらに,上記処理場のすぐそばで,そこから流れ出る水の水質検査を
している施設を見学し,そのデータを見た。
被告aは,担当者から,水質及び土壌に問題はないという話を聞い
た。また,被告aは,上記処理場の担当者に対し,処理場という環境施設を作るに
当たって周囲の住民がどういう反応を示し,それをどう克服したかを質問し,その
回答を得た。
被告aは,上記研修の際,計画概要パンフレットといった資料を受け
取った。
(ウ) 広島県呉市における調査の実施状況
被告aは,訪問前に広島県呉市企画部海事博物館推進室に対し,橿原
市議会事務局及び広島県呉市議会事務局を通じて,訪問する旨の連絡をしていた。
被告aは,同月3日午前10時ころ,開館前(平成17年度開館予
定)の海事博物館の推進室を訪れた。
被告aは,同日午前10時30分ころから同日午前11時ころまでの
間,担当職員(主査)の対応を受け,呉市海事博物館(仮称)の建設概要及び船の
資料展示「収蔵展示施設」の展示内容の説明を受けた。被告aは,海事博物館を建
設するに当たって住民から反対があったかを質問し,それに対してどういう対応を
したか等の事情を聞いたところ,計画当初は強い反対があったが,約4年にわたっ
て粘り強く説得し,日本の優秀な造船技術を後世に伝えるという目的を明確にする
ことにより,推進室を設けることができたとの回答を得,明確なビジョンを示すこ
とが重要であると考えた。
被告aは,上記調査の際,呉市海事博物館(仮称),船の資料展示
「収蔵展示施設」といった資料を受け取った。
(エ) 調査の報告状況
被告aは,同月中に橿原市議会議長に対し,高松市及び広島県呉市に
おける調査に関する行政視察復命書を提出した。
(オ) 宿泊状況及び旅費計算
被告aは,同月1日出発し,同日と翌同月2日いずれも知人宅に宿泊
して,同月3日帰宅したが,日当及び宿泊料の関係では同月2日から同月3日の1
泊2日扱いとした。
イ(ア) 上記ア(ア)ないし(エ)の調査の目的,事前の連絡,訪問先でのやり
とり,資料の取得等調査の実施状況,調査の報告状況に照らすと,証拠(被告a)
によれば,被告aが海事博物館の建設にどの程度の予算が必要となるかということ
について質問したりはしなかったことが認められることを考慮しても,被告aの高
松市及び広島県呉市における調査の旅費に政務調査費を充てたことが,被告aの裁
量の範囲を逸脱するとか裁量権の濫用であるということはできない。
(イ) なお,上記ア(オ)によれば,被告aは知人宅に宿泊したにもかかわ
らず宿泊料として政務調査費を使用したというのであるが,このことが直ちに被告
aの裁量の範囲を逸脱するとか裁量権の濫用であるとまでいうことができないこと
は,前記1(2)イ(ウ)のとおりである。
(2) 東京都世田谷区,山形県酒田市及び新潟県上越市
ア 証拠(甲8の4・12・14~18,26~28,乙イ4~6,10,
被告a本人)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
(ア) 調査の目的
被告aは,選挙公約に幼児教育の充実を掲げ,常にそれに関して関心
を持っており,橿原市内の幼稚園や保育所あるいは無認可の保育園のほとんどを訪
れ,母親の悩みや保育所等の運営について調査をしたことがあったし,また,近畿
日本鉄道株式会社γ駅前にいわゆる駅前保育を誘致することの可能性との関係で,
都心型と郊外型の駅前保育につき,関心を有していた。被告aは,母親と保育所と
の情報共有に関する取組をしている幼稚園として雑誌に掲載されていた,東京都世
田谷区にある学校法人芳村学園さくら幼稚園を知り,その園長と電話で直接話をし
たところ,同園長から,上記幼稚園は駅前保育で非常にニーズが高いと聞いたこと
から,駅前保育の実情や母親と上記幼稚園との情報共有に関する取組状況を調査す
るため,上記幼稚園を訪
れることにした。また,被告aは,新潟県上越市において公立で24時間保育に取
り組み市民のニーズに対応していることを知り,税収の問題等につながる少子化の
問題に対し行政がどの程度対応することができるのかを調査するべく,同市にある
ファミリーヘルプ保育園も訪問することとした。
さらに,被告aは,選挙公約に文化を中心とした街造りを掲げてお
り,また,橿原市にある昆虫館を博物館にするという話があったところ,人口10
万人程度の過疎的な都市で,文化に非常に造詣の深い取り組みをしていることを知
ってそれに関心を持ち,財団法人の運営方法等について研修するため,山形県酒田
市にある財団法人酒田市美術館及び財団法人土門拳記念館を研修することとした。
(イ) 東京都世田谷区における調査の実施状況
被告aは,学校法人芳村学園さくら幼稚園の園長から平日は保育で忙
しく訪問してもらっても困ると聞いていたため,休日である平成13年11月23
日に上記幼稚園を訪問する計画を立て,自ら面会の予約を取ろうとしたが,園長と
うまく連絡がとれなかった(上記幼稚園が民間の施設であることから橿原市議会事
務局を通じて面会の予約を取ることができなかった)。被告aは,上記幼稚園の園
長や職員に会うことができないと,母親と上記幼稚園との情報共有に関する取組状
況を調査することはできないが,上記幼稚園の設備や周囲の環境(都心型か郊外型
かという立地条件等)等を確認することを通じて,駅前保育の実情を調査すること
はできると考え,同日午前11時ころ,取りあえず予定どおり上記幼稚園へ赴い
た。
被告aは,上記幼稚園の職員等の対応を受けることはできず,上記幼
稚園の中に入ることもできなかったが,その外側から上記幼稚園の運動場が非常に
狭い状況にあること等を観察し,また,駅前保育に関連して,上記幼稚園と駅との
距離,周囲の環境等を観察するため,30分程度上記幼稚園の周囲を歩いた。
(ウ) 山形県酒田市における調査の実施状況
被告aは,訪問前に財団法人酒田市美術館及び財団法人土門拳記念館
に対し,橿原市議会事務局及び山形県酒田市議会事務局を通じて,訪問する旨の連
絡をしていた。
被告aは,同月25日午前11時ころから同日午後零時ころまでの
間,上記美術館及び上記記念館を訪問した。
被告aは,担当職員に対し,上記施設をつくったいきさつや,運営状
況,職員,今後の運営の方向性等について質問をし,担当職員から,最近は入場者
数が落ちているということ,経営状況は赤字であること,職員は酒田市から出向し
ていること,今後上記両施設を縮小するのかといったことについて説明を受ける等
した。
被告aは,上記研修の際,上記美術館においては酒田市美術館の概要
とパンフレット,上記記念館においてはパンフレットと展示目録,といった資料を
受け取った。
(エ) 新潟県上越市における調査の実施状況
被告aは,訪問前にファミリーヘルプ保育園に対し,橿原市議会事務
局及び新潟県上越市議会事務局を通じて,訪問する旨の連絡をしていた。
被告aは,同月26日午前10時30分ころから午前11時30分こ
ろまで,上記保育園を訪問した。
被告aは,園児の数,定員数,職員の数,職員の勤務時間,予算,需
要といったことについて説明を受ける等した。
(オ) 調査の報告状況
被告aは,橿原市議会議長に対し,東京都世田谷区,山形県酒田市及
び新潟県上越市における調査に関する行政視察復命書を提出した。
(カ) 宿泊状況及び旅費計算
被告aは,同月23日出発し,同日は電車内に泊まり,同月24日は
1日中公務に従事することはせず秋田市において過ごした上,同市の知人宅に宿泊
し,同月25日は宿泊施設に宿泊し,同月26日に帰宅した。なお,被告aは,東
京都世田谷区,山形県酒田市及び新潟県上越市における調査に関し,日当及び宿泊
料の関係では2泊3日扱い(日当1日当たり3000円の3日分9000円及び宿
泊料1夜当たり1万4800円の2夜分2万9600円)とした。
イ(ア) 上記ア(ア)及び(ウ)ないし(オ)の調査の目的,事前の連絡,訪問先
でのやりとり,資料の取得等調査の実施状況,調査の報告状況に照らすと,証拠
(甲8の16,被告a本人)によれば,被告aが,山形県酒田市が財団法人酒田市
美術館及び財団法人土門拳記念館に出資しているかとか,補助金を支出しているか
といった事情を質問することはなかったことが認められることを考慮しても,被告
aが山形県酒田市及び新潟県上越市における調査の旅費に政務調査費を充てたこと
が,被告aの裁量の範囲を逸脱するとか裁量権の濫用であるということはできな
い。
(イ) 東京都世田谷区における調査につき検討するに,上記ア(ア)及び
(イ)に照らすと,被告aの学校法人芳村学園さくら幼稚園に関する調査は,同幼稚
園の外側からその運動場が非常に狭い状況等を観察し,上記幼稚園と駅との距離,
周囲の環境等の調査にとどまっているものの,被告aは,問題意識を持って上記幼
稚園へ赴き,それに沿って上記幼稚園の場所的環境等を調査したということができ
る。そうすると,被告aは,この調査により,日ごろ関心を有している幼児教育の
充実に関し一定の見識を得たことは否定しがたく,上記幼稚園に関する調査のため
の旅費に政務調査費を使用したことをもって,被告aの裁量の範囲を逸脱するとか
裁量権の濫用であるということはできない。
(ウ) なお,上記ア(カ)及び証拠(甲8の12,被告a本人)によれば,
被告aは,ε駅からζ駅まで,電車を利用したにもかかわらず航空機を利用した旨
の収支報告書を提出したことが認められるが,上記交通手段の違いによる差額が大
きいとはいえないこと,被告aがその差額を利得しようとする意図を有していたと
までは認められないことを考慮すると,その当否はともかく,航空機を利用したも
のとして政務調査費を使用したことにつき,違法であるとか法律上の原因がないと
までいうことはできないと考える。
3 争点(2)(被告bの活動に係る費用に政務調査費を充てることの可否)につい

(1) 証拠(甲9の4,16~23,乙ロ1,被告b本人)によれば,次の事実
が認められる。
ア 調査の目的
被告bは,平成13年4月30日ころ,東京都にいるf元大使から1日
でも早く直接会いたい旨の連絡を受けたところ,日程の都合上最初に会える日が同
年5月7日であったため,同日f元大使に会いに東京都へ行くこととしたが,その
際,同月16日にf元大使を橿原市に招いて行うことが予定されている橿原市議会
主催の平成13年度議員研修会(勉強会)についての確認をすることも考えた。
被告bは,f元大使から受けた相談に関し,e議員に会うことも考えて
いたが,その際には,それまでと同様に,奈良県立医科大学附属病院等の医療機関
に関する問題について話し合うことも考えていた。
イ f元大使との面談
被告bは,平成13年5月7日午後零時ころ東京駅において,f元大使
に会い,食事をしながら,主に,f元大使,その妻及び知人が,ペルー共和国の国
籍しか有していない状態で日本に滞在しており不安定な地位にあることから,その
地位の安定を図るため,日本の弁護士を紹介してもらえないかということ,橿原市
において予定されている議員研修会に関することを話し合った。
ウ e議員との面談
被告bは,事前に,e議員との間で,同日昼過ぎにf元大使と共に会う
約束を取り付けていた。
被告bは,同日午後1時27分ころ,衆議院議員会館において,f元大
使と共にe議員に会い,2時間以上にわたり,f元大使に何かあったときの緊急の
連絡先をe議員の事務所とすること,f元大使を支援する弁護士が見つかるまでe
議員が弁護士資格を有している議員との間を取り持つことを話し合い,それとは別
に,e議員との間で,橿原市を中心とした薬害エイズの問題についての意見交換も
した。
エ 宿泊状況及び旅費計算
被告bは,同月6日に東京都へ出発し,同日夜東京都に到着したが,そ
の後,食事を摂り,宿泊施設に宿泊した。被告bは,上記面談に要する旅費につ
き,日当及び宿泊料の関係では1泊2日として政務調査費を使用した。
(2)ア 上記(1)アないしウの調査の目的,事前の連絡,訪問先でのやりとり等
の実施状況に加え,証拠(甲16~23,乙ロ7,被告b本人)によれば,f元大
使は,f元大使,その妻及び知人が日本国籍を有せずペルー共和国の国籍だけを有
していたためにペルー共和国政府から日本政府に引渡要求があればペルー共和国に
引き渡されるのではないかと不安を感じていたこと,被告bはf元大使と平成4年
から平成13年5月7日までに5ないし10回会ったことがあったこと,同日f元
大使と会う前に既に,正式に,f元大使が同月16日橿原市において議員研修会の
講演をすることが決まっていたことが認められることをも併せ考慮すると,被告b
がf元大使及びe議員と面談した目的として,f元大使の不安に対応することがあ
ったことは間違いない
。しかし,f元大使との面談については,上記(1)ア及びイに照らすと,約10日後
に開催されることが決まっていた議員研修会に関する議員活動の一環ということが
できる上,ペルー共和国日本大使として活動してきたf元大使との交流を深めるこ
と,また,外国籍を有する者が現在遭遇している問題についての知識を得ること
も,議員としての見聞を広める上で有益なことであるとは考えられること等を考え
れば,被告bのf元大使との上記面談も,政務調査の範囲内にあるということがで
きる。また,e議員との面談については,上記(1)ア及びウによれば,被告bは,副
次的には,e議員と,橿原市にあるものを含む医療機関に関する問題について話し
合うことを目的とし,この目的に沿う面談をも実施したのであり,被告bのe議員
との上記面談も,政務
調査の範囲内にあるということができる。
したがって,被告bの東京都における各面談の旅費に政務調査費を充て
たことが,被告bの裁量の範囲を逸脱するとか裁量権の濫用であるとまでいうこと
はできない。
イ 証拠(被告b本人)によれば,午後零時前に東京駅に着くためには,そ
の日の午前8時少し前に橿原市にある近畿日本鉄道株式会社γ駅を出発すれば足り
ることが認められるが,前記1(1)のとおり,政務調査費の使用については,各議員
のある程度自由な裁量に委ねざるを得ないところ,このことは宿泊の要否について
も当てはまることから,遊興を目的として前日から東京都へ行き宿泊したなどの事
情までは認められない本件においては,宿泊を伴いその宿泊料として政務調査費を
使用したことが,被告bの裁量の範囲を逸脱するとか裁量権の濫用であるとまでい
うことはできないと考える。
ウ なお,証拠(甲9の4,被告b本人)及び弁論の全趣旨によれば,被告
bは,議会事務局の職員に対し,陳情という名目にすることを依頼し,その旨の旅
費計算明細書が作成されたものの,実際には,上記(1)ウのとおり,e議員に対して
陳情することはなかったこと,f元大使及びe議員との面談について,行政調査復
命書を提出していないことが認められるが,その当否はさておき,そのことから直
ちに,被告bによる政務調査費の使用が違法であるとか法律上の原因がないとまで
いうことはできないと考える。
4 争点(3)(被告cの活動に係る費用に政務調査費を充てることの可否)につい

(1) 証拠(甲10の2~6,33,34,乙ハ7,9,被告c本人)によれ
ば,次の事実が認められる。
ア 調査の目的
橿原市ηに建設する新しい焼却炉の建設に関し,迷惑を被る地域住民に
対する還元施設として,同住民から焼却場の余熱を利用した温水プール建設の希望
があったところ,被告cは,北海道深川市及び美唄市において,橿原市(人口約1
3万5000人)に比べて人口が少ないにもかかわらず,北海道深川市(人口約2
万7000人)は平成12年,北海道美唄市(人口約3万1000人)は平成13
年にそれぞれ最新施設を建設したことを知り,議会事務局と相談した上で,温水プ
ールの建設概要や維持,管理,運営について研修するため,上記両施設を訪問する
こととした。
また,橿原市は近畿日本鉄道株式会社γ駅南側の再開発問題を抱えてい
るところ,その参考にすべく,北海道美唄市の駅前整備事業を調査しに行くことと
した。被告cは,温水プールと駅前の整備事業とを同時に研修することができると
考え,調査先として同市を選択した。
イ 北海道深川市における調査の実施状況
被告cは,訪問前に北海道深川市議会に対し,橿原市議会事務局を通じ
て,訪問する旨の連絡をしていた。
被告cは,平成14年2月21日午後2時50分ころから午後4時30
分ころまで,深川市温水プール「ア・エール」を訪問した。
被告cは,北海道深川市職員から,上記温水プールの概要説明を受け,
質問し,施設内を見学する等し,上記温水プールの建設費24億円余りの9割を起
債という形で調達していること,敷地は買取依頼に応じて安く購入することができ
たこと,来場者の状況,運営は民間に委託していること,上記設備の必要性の説明
を受ける等した。
被告cは,上記調査の際,深川市議会概要,深川市温水プール「ア・エ
ール」の概要,深川市勢要覧,観光パンフレット等の資料を受け取った。
ウ 北海道美唄市における調査の実施状況
被告cは,訪問前に北海道美唄市議会に対し,橿原市議会事務局を通じ
て,訪問する旨の連絡をしていた。
被告cは,同月22日午後1時30分ころから午後3時ころまで,北海
道美唄市役所,市営温水プール「すい~む」,北海道旅客鉄道株式会社α駅周辺を
訪問した。すなわち,被告cは,まず,同市役所を訪問し,同市の担当職員から資
料に基づいて説明を受け,質問する等した。また,被告cは,その後,新しく建て
替えられた上記温水プールを見学し,その広さ,場所を確かめるとともに,利用者
の状況,運営を民間に委託していること,上記設備の必要性の説明を受ける等し
た。さらに,被告cは,その後,区画整理事業が進行中である上記α駅周辺を訪
れ,新しく建て替えられた駅舎や,古い町並みが変化しつつあるのを見た。
被告cは,上記研修の際,α駅周辺土地区画整理事業,美唄市営温水プ
ール「すい~む」の工事概要,同パンフレット等の資料を受領した。
エ 調査の報告状況等
被告cは,上記研修終了後,関係部局である橿原市教育委員会を訪れ,
温水プールについて調査した結果を報告するとともに,同月26日,橿原市議会議
長に対し,北海道深川市及び美唄市における調査に関する行政視察復命書を提出し
た。
なお,橿原市における温水プールの建設計画は,現在も進んでいる。
オ 宿泊状況及び旅費計算
被告cは,1日目(同月21日)に北海道深川市を訪問した後同市の近
くにある宿泊施設に宿泊し,2日目(同月22日)は北海道美唄市を訪問した後1
日目と同じ宿泊施設に宿泊し,3日目(同月23日)に帰宅した。被告cは,上記
調査に要する旅費につき,日当及び宿泊料の関係では2泊3日として政務調査費を
使用した。
(2) 上記(1)アないしエの調査の目的,事前の連絡,訪問先でのやりとり,資
料の取得等調査の実施状況,調査の報告状況等に照らすと,証拠(乙ハ9,被告c
本人)によれば,被告cは,奈良市にも焼却場の余熱を利用した温水プールがある
にもかかわらずその訪問をしたことはないこと,上記(1)の調査以外に温水プール施
設を調査したことはないこと,そもそも,北海道が寒冷地であり温水プールの先進
地であるということが念頭にあったため,近隣で参考になる施設があるかを全く調
査せず,北海道にある施設の中から調査先を選択したことが認められること,ま
た,証拠(乙ハ9,被告c本人)によれば,被告cは,橿原市の駅前に計画してい
た整備事業の根拠法規,北海道美唄市が実施していた整備事業の根拠法規も知らな
いこと,橿原市近くの近
畿地方の駅前整備事業については調べたこともないこと,地域住民,北海道旅客鉄
道株式会社,北海道美唄市の三者が一体となって整備事業を行っている点が勉強に
なったと述べつつ,地域住民や上記会社の関係者から話を聞いたことはないことが
認められることを考慮しても,未だ,被告cの北海道深川市及び美唄市における調
査の旅費に政務調査費を充てたことが,被告cの裁量の範囲を逸脱するとか裁量権
の濫用であるとまでいうことはできない。
5 争点(4)(被告dの活動に係る費用に政務調査費を充てることの可否)につ
いて
(1) 島根県出雲市及び簸川郡佐田町
ア 証拠(甲12の3~6,乙ハ2の1・2,3~6,8,被告d本人)に
よれば,次の事実が認められる。
(ア) 調査の目的
被告dは,歴史がある街であり観光客もたくさん訪れるという点で橿
原市と類似している島根県出雲市が,環境問題(ポイ捨て等のごみの問題)等に関
する先進的な政策に取り組みそれを実現したということを知っていたため,同市を
訪問することとした。
また,被告dは,やがて橿原市が合併問題に直面し,その際,周囲の
小さな自治体と対等合併するか吸収合併するかが問題になることから,それに関し
て橿原市以外の小さな自治体の考え方を知っておく必要があると考えていたとこ
ろ,島根県出雲市と簸川郡βとの合併に関する取り組みが進められていることを知
り,島根県出雲市に対して小さい自治体の立場となる島根県簸川郡βの考え方を聞
くことは有益であると考え,同町を訪問することとした。
(イ) 島根県出雲市における調査の実施状況
被告dは,平成13年8月9日午前10時ころから午前11時30分
ころまで,島根県出雲市役所を訪問し,受け取った資料を見て,不明な点を同市の
職員に質問するなどして,同市がポイ捨てを禁止する条例を有していること,同市
においては中学2年生になると美化意識を高めるための取り組み(環境探偵団への
参加)を各学校で教育として進めていることを学ぶとともに,同市役所の付近が実
際にどうなっているのかを確認した。
被告dは,上記研修の際,ポイ捨て禁止条例の概要,環境探偵団活動
報告等の資料を受け取った。
(ウ) 島根県簸川郡βにおける調査の実施状況
被告dは,同日午後4時ころから午後5時ころまで,島根県簸川郡β
役場を訪問し,同町長から直接に,小さな自治体としては財政問題等から合併は避
けられないこと,吸収合併によると当該町が今まで培ってきたものが消えてしまう
という心配があり,対等合併が望ましいこと,といった話を1時間にわたって聞い
た。
(エ) 調査の報告状況
被告dは,同月11日橿原市議会議長に対し,島根県出雲市及び簸川
郡βの調査に関する行政視察復命書を提出した。
(オ) 宿泊状況及び旅費計算
被告dは,上記調査に際して知人宅に宿泊したため,宿泊費は支出し
なかった。被告dは,上記調査に要する旅費につき,日当及び宿泊料の関係では2
泊3日(同月8日ないし10日)として政務調査費を使用した。
イ(ア) 上記ア(ア)ないし(エ)の調査の目的,訪問先でのやりとり,資料の
取得等調査の実施状況,調査の報告状況,また,証拠(甲30,31,乙ハ5,被
告d本人)によれば,被告dは,事前に,島根県出雲市及び簸川郡βに対し,訪問
する旨の連絡をしていなかったことが認められるものの,証拠(被告d本人)によ
れば,被告dは平成13年2月に橿原市議会議員に初当選したもので,同年8月当
時は当選後6か月のころであり,事前の連絡が必要であることまで考えが及ばなか
ったこと,直接向かえば研修先から断られることもなくいずれかの職員が対応して
くれるであろうと考えたことが認められることに照らすと,被告dの島根県出雲市
及び簸川郡βにおける調査の旅費に政務調査費を充てたことが,被告dの裁量の範
囲を逸脱するとか裁量権
の濫用であるということはできない。
(イ) 上記ア(オ)によれば,被告dは,調査自体に要した日数は1日(平
成13年8月9日)であったにもかかわらず,日当及び宿泊料の関係では2泊3日
(同月8日ないし同月10日)として政務調査費を使用したというのであるが,上
記ア(イ)及び(ウ)によれば,被告dは同月9日午前10時ころから同日午後5時こ
ろまで調査をしていたのであり,調査地が島根県であることをも考慮すると,同月
8日及び同月10日の日当及び同月8日及び同月9日の宿泊料として政務調査費を
使用したことが,被告dの裁量の範囲を逸脱するとか裁量権の濫用であるというこ
とはできないと考える。また,上記ア(オ)によれば,被告dは知人宅に宿泊したに
もかかわらず宿泊料として政務調査費を使用したというのであるが,このことが直
ちに被告dの裁量の範囲を
逸脱するとか裁量権の濫用であるとまでいうことができないことは,前記1(2)イ
(ウ)のとおりである。
(2) 石川県松任市
ア 証拠(甲12の7~9,32,乙ハ6,8,被告d本人)によれば,次
の事実が認められる。
(ア) 調査の目的
被告dは,知り合いの石川県松任市議会議員から,同市においては父
親が参加して子育てを進める施策が実施されている旨の話を聞いていたところ,橿
原市にとっても子育ての問題は大切なテーマであると考え,上記施策について研修
を受けたいと考えたことを主な理由として,また,橿原市の庁舎が老朽化しており
やがて建て替えの問題が具体化してくると考えられたところ,石川県松任市は当時
新庁舎を建設して移ってから間がないころであったことから,その新庁舎の状況等
を見ておくことも有益であると考えたことを副次的な理由として,同市を訪問する
こととした。
(イ) 石川県松任市における調査の実施状況
被告dは,訪問前に石川県松任市役所に対し,橿原市議会事務局を通
じて,訪問する旨の連絡はしていなかったが,上記議員と事前に連絡を取り合って
いた。
被告dは,平成13年8月14日石川県松任市を訪れ,午前には,上
記議員と,子育て問題や庁舎の建物について協議し,同日午後には,同市役所を訪
問し,同日午後1時ころから同日午後3時ころまで,上記議員から紹介を受けた同
市の幹部職員等に会い,同市においては,父親クラブというものがあって,父親が
子育てに積極的に参加できるようにする施策を行政が進めていることを知り,父親
も一緒になって子育てをすることが大切であることを学ぶとともに,庁舎の状況等
も見学した。
被告dは,上記研修の際,お父さんの出番ディ子育てとエピソード等
の資料を受け取った。
(ウ) 調査の報告状況
被告dは,同月17日橿原市議会議長に対し,石川県松任市における
調査に関する行政視察復命書を提出した。
(エ) 宿泊状況及び旅費計算
被告dは,一泊した方が実りの多い研修になる,すなわち上記(ア)の
副次的な目的も達成できると考え,上記(イ)のとおり同月14日午後石川県松任市
役所を訪問したため,宿泊施設に宿泊することとした。被告dは,上記調査に要す
る旅費につき,日当及び宿泊料の関係では1泊2日(同月14日及び同月15日)
として政務調査費を使用した。
イ(ア) 上記ア(ア)ないし(ウ)の調査の目的,事前の連絡,訪問先でのやり
とり,資料の取得等調査の実施状況,調査の報告状況に照らすと,被告dの石川県
松任市における調査の旅費に政務調査費を充てたことが,被告dの裁量の範囲を逸
脱するとか裁量権の濫用であるということはできない。
(イ) 原告らは,被告dの調査につき宿泊の必要性がなかった旨主張する
が,上記ア(イ)及び(エ)によれば,被告dは平成13年8月14日午後3時ころま
で調査をしていたこと,調査地が石川県であること,前記3(2)イのとおり,政務調
査費の使用に関し,宿泊の要否についても各議員のある程度自由な裁量に委ねざる
を得ないところ,被告dが遊興を目的として同日宿泊したなどの事情までは認めら
れないこと,これらのことを合わせ考慮すると,宿泊を伴いその宿泊料として政務
調査費を使用したことが,被告dの裁量の範囲を逸脱するとか裁量権の濫用である
とまでいうことはできないと考える。
6 結論
以上の次第で,原告らの請求はいずれも理由がないからこれらを棄却し,訴
訟費用は原告らの負担とすることとして,主文のとおり判決する。
奈良地方裁判所民事部
裁判長裁判官   東   畑   良   雄   
裁判官   野   口   卓   志
裁判官   高   木   健   司

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