弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告人の上告理由第一点について。
 論旨は、原判決に関与した裁判官西内辰樹は第一審の準備手続を行なつたもので
あるから、原判決には民訴三九五条一項二号の違法があるというにある。
 裁判官が事件につき不服を申し立てられた前審の裁判に関与したときは法律上そ
の職務の執行から除斥されるべきことは、民訴法三五条六号の規定するところであ
る。しかし、同法条にいう前審の「裁判ニ関与シタ」とは、裁判という国家意思の
形成に関与したこと、より具体的にいえば、その評決および裁判書の作成に関与し
たことの謂であつて、裁判の準備的行為にとどまる準備手続または準備的口頭弁論
を行なつたというがごときことは、これに含まれないものと解すべきである。従つ
て、裁判官西内辰樹は、本件第一審の準備手続を行なつたとしても、そのことの故
に、原審において職務の執行から除斥されるべきいわれはない。
 されば、原判決には所論の違法はなく、論旨は、叙上と異なる独自の見解に立脚
して原判決の違法をいうに過ぎないものであつて、採用できない。
 同第二点について。
 論旨は、上告人が被上告人に対し閲覧の請求をしたのは、人事委員会議事録であ
つて、不利益処分審査請求処分録ではないのに、原審がそれを不利益処分審査請求
処分録と誤認し、それの閲覧請求権の有無について判断したのは、採証法則違反、
事実誤認の違法をおかしたものであるというにある。
 しかし、記録を精査してみても、原判決に所論の違法あるを見出し得ない。論旨
は、原判決を正解し医ことに基づくものであつて、採用のかぎりでない。
 同第三点について。
 論旨は、要するに、人事委員会に不利益処分の審査請求をした当事者に同委員会
の議事録の閲覧を請求する権利がないとした原審の判断は、法令の解釈適用を誤つ
たものであるというにある。
 おもうに、人事委員会の審査手続は、審査決定の慎重性と内容の合理性とを担保
するものであり、また、その議事録は、手続の経過および結果を記録してこれを公
に証明するものであるから、厳格な意味での手続的正義を実現する上からいえば、
右の手続を適正かつ公正に行ない、その議事録を正確に記録しているというだけに
とどまらず、さらに、これを保障するために、当事者に対し議事録閲覧の機会を与
え、これに関する不服申立ての途を開いておくことが望ましいということができよ
う。
 しかし、人事委員会の審査手続においては、審査請求者は、審査手続の当事者と
してその手続に関与し、手続が適正かつ公正に行なわれているかどうかを知りうる
状態にある反面において、会議の議事録には、別段の規定がなければ、訴訟手続に
おける調書のごときいわゆる絶対的証明力がなく、他の証拠によつてその記載を補
つたり、反証を挙げてその証明力を覆えすことができることに思いをいたせば、人
事委員会の審査手続について前示のごとき制度を設けることは、絶対の要件と解す
べきものではなく、これを設けるかどうかは、いつに立法政策に属する問題という
べきである。殊に、右のごとき制度を設けない場合においても、審査請求者が、審
査決定に影響を及ぼす手続上の瑕疵についても、それを理由として、審査決定に対
し出訴しうることになつているのであるから審査請求者の権利保護に関するかぎり、
別段、欠けるところはなく、かような制度の立て方をもつて直ちに違憲違法という
ことはできない。いま、現行法の規定をみるのに、地方公務員法は、人事委員会の
議事は、議事録として記録して置かなければならないと既定するにとどまり、その
細目は人事委員会の定めるところに委ねている(一一条三項、四項参照)。そして、
本件に適用される岡山県人事委員会規則には、議事録にどのような方法で、どのよ
うな内容を記録すべきか、また、その議事録を一般の閲覧に供すべきかどうかにつ
いては、何ら規定するところがない。このような法制の下においては、審査請求者
に議事録の閲覧請求権が与えられているものとは認め難く、従つて、審査請求者は、
人事委員会によつて議事録の閲覧請求が拒否されたからといつて、その拒否処分の
取消または無効確認の訴を提起することを許されないものといわなければならない。
 されば、叙上と同趣旨に出た原審の判断は正当であつて、所論の違法はなく、論
旨は、採用できない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    柏   原   語   六

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛