弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人Aを懲役八月に、被告人Bを懲役六月に処する。
     但し二年間右各刑の執行を猶予する。
     第一、二審における訴訟費用中別表記載の分は、被告人両名の連帯負担
とする。
         理    由
 広島高等検察庁検事長岡本梅次郎、被告人Bの弁護人中川鼎、並びに被告人A同
B両名の弁護人三浦強一同吉田正之の各上告趣意は、末尾添付の別紙各書面記載の
とおりである。
 検察官の上告趣意第二点は、事実誤認の主張であり、同第三点は、量刑不当の主
張であり、また、被告人Bの弁護人中川鼎の上告趣意第二点は、事実誤認の主張で
あり、被告人A、同Bの弁護人三浦強一、同吉田正之の上告趣意第一点は、違憲を
いうが、その実質は、単なる訴訟法違反、事実誤認の主張を出でないものであつて、
いずれも、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 しかし、職権を以て調査すると、原判決は、その判示によれば、三浦弁護人の控
訴趣意第一、二点の事実誤認の主張、並びに、中川弁護人の控訴趣意第一点の事実
誤認の主張に対し第一審判決の事実認定に誤認ないものと認め、ただ職権を以て原
判決(第一審判決)の法令適用の適否を検すると、本件は原判決(第一審判決)認
定の事実によれば、被告人等は、本件物件を委託関係に基いて占有していたもので
はなく、誤つて占有した物件を横領した場合にあたるものであつて、結局第一審判
決は事実認定に誤りはなく、ただ法令の解釈、適用を誤つた違法があるものとして
第一審判決を破棄したものであること明白である。そこで、原判決の是認した第一
審判決の確定した罪となるべき事実を見るに、同判決の判示は、被告人Aは、広島
市a町所在の株式会社C造船所正門前の空地に、同造船所がD造船連合会の委託に
よつて保管していた同連合会に転用払下済の本件ケーブルを未転用のものと誤信し
これを自己に転用を受けるために、先ずその占有を確保すべく、当時広島県転用課
嘱託として旧軍用物資(所謂「特殊物件」)の転用に関する事務を担当していたE
名義の「a町及びF埋立地附近に散在せる未転用未整理特殊物件の集荷を広島市G
工業株式会社代表社員Hに依嘱する」旨の集荷依嘱書を入手し、その頃同会社の事
務全般を掌つていたI等をして右依嘱書によつて右ケーブルを前記場所から引取り
判示場所に搬入せしめてこれを占有するに至つたが、被告人Bにおいても当時右作
業に立会し指図をしたりしたもので、しかも、右引取の際にC造船所営業課長Jか
ら右ケーブルが前記造船連合会から保管を委託されたものであることを理由として
抗議がなされ、そのことはIから被告人Aに報告されたが、同被告人はこれを取合
わなかつたというのである。されば、第一審判決の認定確定した被告人等の本件ケ
ーブルの占有は、前の占有者であるC造船所の抗議にも拘らず、広島県転用課の集
荷依嘱書によつて、同書にいわゆる未転用未整理特殊物件として同県のためにこれ
をなしたものであつて、ただ被告人等は本来依嘱の範囲に属しなかつた物件をその
範囲に属するものと誤信したに過ぎないものといわなければならない。従つて、原
判決が第一審判決の認定確定した占有関係を以て誤つて占有したものに当るとし、
刑法二五四条を適用したのは、結局法令の解釈、適用を誤つた違法があつて、原判
決は刑訴四一一条一号により破棄しなければ著しく正義に反するものと認めざるを
得ない。
 以上のごとく本件犯行は単純横領で処断すべきものであるから、検察官の上告趣
意第一点、中川弁護人の上告趣意第二点、三浦、吉田両弁護人の上告趣意第二点に
おいて主張されている論旨の理由なきことは明白である。
 よつて、刑訴四一三条但書により被告事件について更に判決をすることとし、原
判決の是認した第一審判決の確定した事実に法令を適用すると、被告人A及びその
指示を受けて本件ケーブル約三〇巻(約三〇米乃至二五〇米の長さのものをドラム
と称する木の枠に巻いたもの一個を一巻とする)を管理していた被告人Bは、互に
意思を通じて、その占有にかかる右ケーブルをその被覆ゴムの部分と芯線とを剥離
して売却処分する意図の下に、被告人Bにおいて昭和二二年七月頃K及びその輩下
の人夫をして前記個所に蔵置してあつた本件ケーブルを二、三〇米宛の長さに切断
させその被覆を剰離した所為(その後の売却、返還等の判示は犯罪成立後の犯情を
判示したものと認める)は、各刑法二五二条、六〇条に該当するから、その所定の
刑期範囲内において被告人等を主文二項のとおり懲役刑に処し、情状刑の執行を猶
予するを相当と認め同法二五条に則り主文三項のとおり右懲役刑の執行を猶予し、
訴訟費用の負担につき刑訴一八一条一項一八二条に従い主文四項のとおり被告人両
名の連帯負担とすべきものとする。
 よつて、裁判官全員一致で、主文のとおり判決する。
 検察官 田中万一出席
  昭和三〇年一一月一〇日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    入   江   俊   郎
 裁判官 真野毅は出張につき署名押印することができない
         裁判長裁判官    斎   藤   悠   輔

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