弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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       主   文
一 本件控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人の負担とする。
       事実及び理由
第一 当事者の求めた裁判
一 控訴人
1 原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。
2 被控訴人の請求を却下又は棄却する。
3 訴訟費用は、第一、二審を通じ被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
 主文と同旨
第二 事案の概要及び証拠関係
 本件事案の概要は、次のとおり付加、訂正するほか、原判決の「事実及び理由」
中の「第二 事案の概要」に記載のとおりであるから、これをここに引用する。
一 原判決五枚目表四行目の末尾に続けて「なお、被控訴人は、本件第一回休職命
令がなされた当時、頚肩腕障害の治療を継続中であり、かつ、それに関して労働者
災害補償保険法による療養補償給付を受給中であったから、そのまま就労をさせた
場合、頚肩腕障害の症状が増悪する具体的危険性があったことは明白である。」を
加える。
二 同五枚目裏四行目の「いえないが、」を「いえず、したがって治療を継続中で
あるが、」と改める。
第三 証拠関係(省略)
第四 争点に対する判断
 当裁判所も、被控訴人の本訴請求は原判決が認容した限度において正当としてこ
れを認容すべきものと判断する。その理由は、次のとおり訂正、付加するほか、原
判決の「第三 判断」に記載の理由説示と同一であるからこれをここに引用する。
一 原判決七枚目表八行目の「原告は、」の次に「内務職員として内勤の一般事務
に従事していたが(乙七)、」を加え、同一〇枚目表六行目の「していない」を
「しておらず、その治療を継続中である」と改める。
二 同一三枚目裏六行目の次に行を改めて次のとおり加える。
 「被控訴人は、平成四年一二月一日以降右休職の発令日まで就業規則に従って通
常勤務を行った(当審における被控訴人本人尋問の結果)。」
三 同一四枚目表九行目の冒頭から同一四枚目裏一行目の末尾までを次のとおり改
める。
 「しかしながら、就業規則によって認められる控訴人の休職制度全般の趣旨に照
らすと、同規則四八条一項五号の休職事由は、職員本人に何らかの帰責事由があ
り、それが原因となって、本人をその業務に従事させることが不適当と認められる
ような事由をいうものと解するのが相当であるところ、被控訴人が頚肩腕障害に罹
患したことや、それが治癒せず将来再燃、増悪する可能性があることなどが、ただ
ちに、被控訴人の責めに帰すべき事由によるものであるとまでいえないことは明ら
かであるから、右症状の再燃、増悪の可能性があることをもって、同条項五号の休
職事由があるということはできない。したがって、右事由を根拠とする控訴人の第
一回休職命令は、理由がなくその効力がない。
 なお、成立に争いのない乙第七号証によれば、控訴人においては、同条項五号
を、職員本人の帰責事由の有無にかかわらず、単に、職員を該当業務に従事させる
ことが不適当と認められる場合には直ちに休職を命ずることができるものと解して
いるかのようであるが、そのような解釈は、右五号前段の「本人の帰責事由により
業務上必要な資格を失うなど、」との明文の規定を無視することになるし、さらに
は、職員に対し前記のように無給などの不利益をもたらす休職制度の基本となる同
条項一号から六号までの詳細な要件そのものを無意味なものとならしめることにな
るから、到底採用できない。」
四 同一五枚目表二行目の「相当程度の支障をきたす場合」を「支障をきたす場
合」と、同一五枚目裏三行目の「本件」から同六行目の末尾までを「本件の場合、
被控訴人の頚肩腕障害が治癒しておらず、その症状が再燃したり、増悪したりする
可能性があるというだけでは足りず、被控訴人の右傷病が、就業規則四八条一項一
号の傷病欠勤の場合と実質的に同視できるものであって、通常勤務に支障を生ずる
程度のものである場合に、はじめて同条項六号の休職事由があるというべきであ
る。」とそれぞれ改める。
五 同一六枚目表二行目の「として、」の次に「当時、被控訴人の頚肩腕障害が治
癒しておらず、治療を継続中であったこと、」を、同七行目の「あること」の次に
「平成五年一月一三日及び同年二月一七日の右組合との各団体交渉においても、組
合及び被控訴人は、被控訴人に症状再燃の恐れがあり、現状のままの勤務であれば
被控訴人の疾病が増悪するが、その場合は全て控訴人に責任がある旨の主張を繰り
返し行っていたこと(乙第七号証)」をそれぞれ加える。
六 同一六枚目裏四行目の「であるから」から同七行目の末尾までを「である。団
交の席における組合等の主張も、被控訴人の職場環境に配慮して欲しいというもの
であり、客観的理由に基づき通常勤務に支障が生ずるというものではない。」と改
め、同八行目の冒頭から同一七枚目表九行目の末尾までを次のとおり改める。
「そして、前記一の1ないし8及び二の2(一)(1)ないし(5)の認定事実、
殊に、控訴人は、すでに約一年四か月にわたる長期の傷病欠勤をしていた被控訴人
から平成四年八月二四日に医師の診断書を添えて出勤の申し出を受け(就業規則三
四条三項)、検討のすえ、同年一〇月一四日をもって、被控訴人が就業規則に従っ
た通常勤務を行うことができるものと判断してその傷病欠勤の扱いを解くことと
し、被控訴人に対し同年一二月一日から出勤されたいとの命令を発していること、
これに基づき、被控訴人は、同日から職場に復帰し、以後第一回休職命令が発令さ
れるまでの約三か月間就業規則に従って通常勤務を行っていたこと、この間、被控
訴人は、週一回程度、就業時間外に通院治療を受けていたが、頚肩腕障害の症状が
特別に悪化するようなことはなかったことなどを総合すると、平成五年三月一日時
点において、被控訴人が就業規則四八条一項一号の場合と実質的に同視しうるよう
な長期間の傷病欠勤を継続し、被控訴人の傷病の内容、程度が通常勤務に支障を生
ずるほどのものであったとは到底認められないから、同条項一号に準ずる休職事由
があるとは認められず同条項六号の休職事由には該当しないというべきである。
 また右一号に準ずる休職事由が存在しないことは、次のようにいうこともでき
る。すなわち、控訴人は、被控訴人の頚肩腕障害を業務外及び通勤災害以外の傷病
(就業規則三一条一項)として取り扱っているものであるところ、控訴人の会社に
おける、職員の業務外及び通勤災害以外の傷病による欠勤及び休職の制度は、基本
として、(一) 職員が業務外等の傷病による欠勤の申出をし控訴人がその事実を
認めた場合に傷病欠勤として取り扱われ、(二) その傷病欠勤が勤続年数に応じ
て定められている一定の期間(同規則三二条一項一号)以上継続した場合には六か
月の休職が命ぜられ(同規則四八条一項一号)、例外的に右休職の要件が備わって
いないときでも、それに準ずるやむを得ない理由があると認められるときはその都
度定める期間の休職が命ぜられ(同条項六号)、(三) さらに、右六か月の休職
期間満了後も傷病欠勤が止まず復職が命ぜられないときは、職員は自動退職になる
(同規則五七条二号)というものである。したがって、同規則三二条一項一号に定
める期間の傷病欠勤をしても、その後、医師の証明書を提出して出勤の申し出をし
(規則三四条三項)会社がこれを承認して出勤を命じ、これに基づいて職員が相当
の長期間にわたり就業規則に従った通常勤務を行っている場合には、もはや右休職
を命ずる前提としての傷病欠勤の存在がなくなるのであるから、傷病欠勤と短期間
の出勤を繰り返すなどの特段の事情のない限り、たとえ、職員の傷病が治癒してお
らず治療中であり、将来その症状が再燃し増悪する可能性がある場合であっても、
それを理由として職員に対し無給等の不利益を伴う右休職処分を命ずることは許さ
れないというべきである。本件においては、被控訴人の頚肩腕障害が治癒せず治療
中でありその症状は将来再燃、増悪する可能性があるが、被控訴人は、長期間の傷
病欠勤後、控訴人の承認の下に復職してすでに約三か月通常勤務を行っていたもの
であるから、右特段の事情があるとは認められず、控訴人は、被控訴人に対し右休
職処分ができないものである。
 なお、控訴人が、被控訴人の頚肩腕障害を業務に起因するものと判断しているの
であるならば、業務上災害による傷病としての措置(同規則三〇条一項一一号な
ど)を採らずに、直ちに被控訴人に対し同規則四八条一項一号、六号による休職を
命じるのは相当でないというべきである。また、控訴人は、被控訴人から頚肩腕障
害が業務に起因するものであるとしてその責任を問われることを回避するため予防
手段として右休職処分を命ずることも許されない。
 そうすると、控訴人の第一回休職命令は、同条項一号、六号の事由を根拠として
も理由がなく、その効力がない。」
第五 結論
 よって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却し、控訴費
用の負担について民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 丹宗朝子 新村正人 市川頼明)

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