弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     一 原判決を取り消す。
     二 被控訴人らの請求をいずれも棄却する。
     三 訴記費用は第一・二審とも被控訴人らの負担とする。
         事    実
 控訴人は主文同旨の判決を求め、被控訴人らは「本件控訴をいずれも棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。」との判決を求めた。
 当事者双方の事実上の主張及び立証は、証拠に関して当審記録中の証拠目録記載
のとおりである旨の付加をするほか原判決事実摘示と同一であるから、これを引用
する。
         理    由
 一 成立に争いのない甲第一ないし第三号証によれば、亡Aは、昭和六一年二月
二一日公正証書遺言によって、被控訴人ら四名に対し、自己所有にかかる原判決添
付物件目録記載の不動産につき各一二分の一宛の持分(合計三分の一)を遺贈し、
同年三月九日死亡したこと並びに被控訴人らは右遺贈を原因として右不動産につき
各所有権一部移転登記をしたことが認められ、右認定を覆すに足る証拠はない。
 <要旨>二 民法二五五条の解釈に関しては、持分権は制限された所有権であるか
ら、いわゆる弾力性があり、共有者の一人が、その持分権を放棄すれば、右
持分権は他の共有者の持分の割合に応じて同共有者に帰属し、また共有者の一人が
相続人なくして死亡した場合も同様にして、その持分権は他の共有者に帰属すると
解するのが同条の文理にも適い、また立法の経過にも合するものというべきであ
る。即ち、同条後段の立法の沿革をたどると、不動産について、共有者の一人が相
続人なくして死亡した場合、これが国庫に帰属し、国と私人との共有関係が生ずる
ことの煩さを避ける目的と元々管理、使用していた他の共有者に帰属させるのが最
も社会通念に合しているとの政策的配慮から制定されたものと解される。
 右のとおり同条は、元々共有関係にあった者が持分権を放棄ないし相続人なくし
て死亡した場合が前提になっていると解すべきである。
 しかるところ本件では、昭和六一年二月二一日に公正証書遺言によってなされた
遺贈は、同年三月九日の夏枝の死によって効果を生じ、同女の死を契機にして初め
て、控訴人と被控訴人らは共有関係に立つに至ったもので、直ちに民法二五五条後
段にあたる場合ではないと解される。
 尤も死後共有関係に立つ点では、生前から共有である場合も遺贈によって共有に
なった場合も同様であり、遺言者に相続人がない場合は国庫に帰属することによる
煩さはいずれの場合も同様に生ずる虞れはある。しかしながら、遺贈によって共有
になった場合にも民法二五五条後段が適用されると解することは、持分を限って遺
贈した遺言者の意図を踏みにじる結果を引き起こしかねない点を考慮すると、この
場合は民法九五八条の三によって特別縁故者としての分与を求めるは格別、民法二
五五条後段が適用ないしは類推適用される場合にはあたらないと解するのが同条の
文理にも適い相当である。
 三 以上の通りであるから被控訴人らの本訴請求は民法二五五条の解釈を誤って
なした請求というほかはなく、じ余の点の判断をするまでもなく失当であるから棄
却を免れない。
 よって右と結論を異にする原判決を取り消し、被控訴人らの請求をいずれも棄却
することとし、訴訟費用の負担につき民訴法九六条、八九条、九三条を適用して、
主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 瀧田薫 裁判官 笹本淳子 裁判官 豊永多門)

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