弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人清家栄の上告趣意のうち、判例違反をいう点について。
 所論は、原判決が、刑法二六一条の罪の告訴権者について、「告訴権者を所有者
だけに限定して解することは必ずしも当を得たものではない。けだし、所有者以外
の者であつても、たとえば賃借人等の如く適法な占有権原に基づいて当該物件を占
有使用している者は、これを使用収益することによつて、当該物件の利用価値、即
ち効用を享受しているのであるから、右のような用益権者が適法に享受する利益も
また所有権者のそれとは別個に保護されて然るべきであり、刑法上ことさらこれを
保護の対象から除外すべき根拠はない。このことは、刑法二六二条が物の賃借人等
の利益を独立して保護の対象としていることからみても明らかである。」と判示し
たのが、引用の明治四五年五月二七日の大審院判例(刑録一八輯六七六頁)に相反
するというのである。
 よつて案ずるに、右大審院の判例は、所論告訴権者について、「刑法第二百六十
一条ノ毀棄罪ノ被害者ハ毀棄セラレタル物ノ所有者ニ外ナラサレハ告訴権ヲ有スル
者ハ其所有者ニ限レルモノトス」と判示しているのであるから、原判決は、右大審
院の判例と相反する判断をしたことになり、刑訴法四〇五条三号に規定する、最高
裁判所の判例がない場合に大審院の判例と相反する判断をしたことにあたるものと
いわなければならない。
 しかし、刑訴法二三〇条は、「犯罪により害を被つた者は、告訴をすることがで
きる。」と規定しているのであるから、右大審院判決がこれを毀棄された物の所有
者に限るとしたのは、狭きに失するものといわなければならない。そして、原判決
の認定したところによると、告訴をしたAは、本件ブロツク塀、その築造されてい
る土地およびその土地上の家屋の共有者の一人であるBの妻で、右家屋に、米国に
出かせぎに行つている同人のるすを守つて子供らと居住し、右塀によつて居住の平
穏等を維持していたものであるというのであつて、このような事実関係のもとにお
いては、右Aは、本件ブロツク塀の損壊により害を被つた者として、告訴権を有す
るものと解するのが相当である。
 そこで、刑訴法四一〇条二項により、前記大審院の判例を変更して原判決を維持
することとする。
 その余の上告趣意は、単なる法令違反の主張であつて、上告適法の理由にあたら
ない。
 また、記録を調べても刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて、刑訴法四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決す
る。
  昭和四五年一二月二二日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    関   根   小   郷
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    松   本   正   雄
            裁判官    飯   村   義   美

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛