弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 論旨
 第一点について。
 原判決の引用した第一審判決はその挙示する証拠により、本件については、土地
所有者および関係人に対し収用すべき土地細目の通知等が為された事実もなく、山
口県当局は本件について全然関与していなかつたことを認定したのであつて(原判
決は右認定に反する証拠を採用していない)、前示証拠によれば右認定は是認でき
る。されば原判決が本件土地は土地収用法上の協議収用によつて買収されたものと
認めることが出来ないと判断したのは当然である。所論は、畢竟原審の専権に属す
る証拠の取捨並びにその自由な判断によつて為した事実認定を非難するか、或は、
憲法に藉口し、或は独自の法律論を展開しよつて以て原判決に所論の違法ありとい
うのであつて、採るを得ない。
 第二点について。
 しかし乍ら、原判決は本件を土地収用法上の収用の場合とは認めないのであるか
ら所論は前提を欠き採るを得ない。
 第三点について。
 しかし乍ら、原判決の引用した第一審判決は所論特約はなかつたものと認定した
のであるから所論武官その他に所論特約を締結する権限があつたか否かの点は論議
の外におかるべきである。従つて所論の権限について原審が釈明権の行使を怠つた
とする論旨は採るに足りない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    入   江   俊   郎

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