弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を禁錮四月に処する。
     原審並びに当審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。
         理    由
 本件控訴の趣意は、弁護人小原美紀の控訴趣意書記載のとおりであるから、これ
を引用し、これに対し当裁判所は事実取調の上次のとおり判断する。
 控訴趣意第二点について
 所論は、原判決が原判示二の事実につき、被告人にいかなる注意義務があり、い
かなる義務違反があつたかを判示していない。即ち、原判決が、「酩酊して車両を
運転してはならないのに」と判示しているのは道路交通法違反の問題であつて注意
義務の問題ではない。また被告人が「酔いのため適切な運転ができなくなり」と
か、「そのまゝ右側進行をつゞけ」という原判示は具体性を欠いており、事故発生
と被告人の運転行為といかなる因果関係があるのか明らかでないから、結局原判決
には理由不備の違法があるという主張である。
 <要旨>よつて按ずるに、原判決が認定判示する犯罪事実二の事実は、
 「酩酊して車両を運転してはならないのに右日時場所を自動車を運転して同市中
央十字路方面から同市網戸方面に向つて時速三〇粁位で進行し、酔いのため適切な
運転ができなくなり前方左側に停車中の自動車を認め、これを右に避けて道路右寄
に進出したが、そのまゝ右側進行をつゞけ折柄Aが自動二輪車に乗つて道路右側を
対向して進行してくるも、左側に避けることができず、自車を右二輪車に衝突さ
せ」(以下省略)
 というのであるが、被告人を業務上過失傷害罪に問擬するためには被告人におい
て業務上の注意義務の存在及び右注意義務を懈怠した事実があることを要し、且つ
これを判文上明確にすべきものであるところ、原判決は右判示二の事実について、
前記のとおり業務上の注意義務の存在及びその懈怠につき、これを明確に判示した
ものといえないから、原判決には業務上過失傷害罪の罪となるべき事実の判示とし
ては不備があり、結局その理由を付さない違法があるものといらべく、論旨はこの
点において理由があるから爾余の論点につき判断するまでもなく、原判決は破棄を
免れない。
 よつて、刑事訴訟法第三九七条、第三七八条第四号により原判決を破棄し、同法
第四〇〇条但書に従い更に本件につき判決する。
 (罪となるべき事実)
 被告人につき、原判決の判示一の事実を引用し、判示二の事実については次のと
おり認定する。
 「二、 右日時及び場所において、右自動車を運転し、時速約三〇キロメートル
で同市中央十字路方面から同市網戸方面に向け進行中、酒酔いのため前方注視が困
難となり正常な運転がてきない状態になつたのであるから、自動車運転者として直
ちに運転を中止し事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があるのにこれ
を怠り、そのまま運転を継続し道路右側を進行した過失により、折柄道路の(被告
人より見て)右側を対向進行して来たA(昭和一〇年二月三日生)の運転する自動
二輪車の前部に自車の右前部を衝突せしめ、因つて同人に対し全治六月以上を要す
る左大腿骨開放性骨折、右下腿骨骨折等の傷害を負わしめたものてある。」
 (証拠の標目)(省略)
 (法律の適用)
 法律に照らすと、被告人の判示一の所為は道路交通法第六五条、第一一七条の二
第一号、同法施行令第二六条の二に、判示二の所為は刑法第二二条前段、罰金等臨
時措置法第三条第一項第一号にそれぞれ該当するところ、判示一の罪につき所定刑
中懲役刑を、判示二の罪につき所定刑中禁錮刑を各選択し、以上の各罪は刑法第四
五条前段の併合罪であるから同法第四七条本文、第一〇条により重い判示二の罪の
刑に同法第四七条但書の制限に従い法定の加重をした刑期範囲内で被告人を禁錮四
月に処し、原審及び当審における訴訟費用は、刑事訴訟法第一八一条第一項本文に
より被告人に全部負担せしめることとして、主文のとおり判決する。
 (裁判長判事 飯田一郎 判事 吉川由己夫 判事 酒井雄介)

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