弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を東京高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人板井俊雄、同藤井康夫、同増田正一、同玉屋文男の上告理由は別紙の
とおりである。
 上告理由第一点について。
 論旨は、捕鯨会社間の捕鯨操業規約は、業者間の利益の調整の見地からその行動
を規制せんとするものであつて、旧海上衝突予防法(明治二五年法律第五号、以下
予防法と略称する)に規定する公法上の義務又は責任の存否、その違反又は懈怠の
有無とは関係がないにかかわらず、原判決が両者を同一平面において併列的に妥当
することを前提として判示しているのは、予防法の解釈適用を誤つた違法があると
いうのである
 もとより、右のような私人間の操業規約が法律の強行規定に反してはならないも
のと解すべく、また、操業規約によつて、予防法上の船長、海員の義務が免除され
ることはないものといわなければならない。
 しかし、具体的場合において、これらの者の過失の有無、大小を判断するについ
て、このような規約を判断の資料とすることは、必ずしも違法とはいえない。原判
決の趣旨も、所論のように、法律と規約を併列的に妥当するものとしているわけで
はなく、論旨は理由がない。
 同第二点について。
 論旨は、要するに、原判決が本件衝突事件について、被上告人に過失がなかつた
旨を判示したのを非難するのである。
 原判決の認定するところによれば、被上告人が乗船していたaはbより先に本件
鯨の発見放送をしたというのであるから、前記規約によれば、aが権利船であつて、
bがaの追尾捕獲を妨害してはならない義務を負つていたことは原判示のとおりで
ある。原判決は、かかる場合においても、権利船の衝突防止についての注意義務一
切が免除されるものではないとしながら、本件の場合、被上告人がbは最後の瞬間
には違法な追尾をやめaを避譲するものと信じても過失といえない関係にあつたと
認め、被上告人が避譲の処置を購じなかつたことを過失とは断定するに足りないと
しているのである。しかし、原判決の認定によれば、aとbは相互間の距離一、〇
〇〇米の点で、双方ともに鯨を追尾中であることを互に知つたのであつて、aは権
利船であるとはいえ、その船橋頂部において見張に当つていた被上告人としては、
bのその後の行動について十分の注意を払うべきは当然であつて、ことにbが鯨捕
獲の権利があると主張して譲らなかつたとすれば、一層その注意を必要とするもの
といわなければならない。そして、衝突のおそれが生じた場合には、応急臨機の処
置を講ずるに必要な注意を怠るべきでないことは、予防法二九条による船員の当然
の義務ともいうべきである。もとより、本件衝突の主たる原因は、bの操業規約に
反する鯨の追尾にあるけれども、被上告人がbの避譲を信じて自ら何らの処置をと
らなかつたことについて、被上告人の過失の責任が全くなかつたとは断定できない。
船員としての義務を完全に果したにかかわらず、なお衝突が避けられなかつたとい
うのであれば格別、原判決認定の事実関係のもとにおいても、被上告人の過失も必
しも考えられなくはないにかかわらず、原判決が、被上告人の過失によるという事
実の証明がないとしたのは首肯できない。論旨は理由があり、原判決は破棄を免れ
ない。そして、被上告人として衝突を避ける方法がなかつたかどうか、本件衝突が、
船員としての義務を十分に尽してもなお避けられなかつたものであるかどうかにつ
いて、なお審理の必要があるものと認め裁判官全員一致の意見により、民訴法四〇
七条一項に基き、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
 裁判長裁判官池田克は退官につき署名押印することができない。
            裁判官    河   村   大   助

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