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平成26年10月8日判決言渡
平成26年(行コ)第168号保険医登録不登録処分取消等請求控訴事件
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1原判決を取り消す。
2中国四国厚生局長が平成24年5月24日付けで控訴人に対してした控訴
人の保険医登録をしない旨の処分を取り消す。
3中国四国厚生局長は,控訴人に対し,健康保険法64条の保険医登録をせよ。
第2事案の概要
1本件は,歯科医師であり,過去に2回健康保険法に基づく保険医の登録取消
処分を受けたことのある控訴人が,平成23年12月5日付けで保険医の登録
を申請した(以下「本件申請」という。)ところ,中国四国厚生局長から,平
成24年5月24日付けで控訴人を保険医として登録しない旨の処分を受けた
(以下「本件処分」という。)ことについて,本件処分の前提となった通達の
規定は合理性を欠き控訴人の職業選択の自由(憲法22条1項)を侵害するも
のであること,本件処分は同局長の裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用し
た違法なものであることなどを主張して,本件処分の取消しを求めるとともに,
保険医の登録の義務付けを求める(以下「本件義務付けの訴え」という。)事
案である。
原審は,本件義務付けの訴えを不適法として却下し,本件処分の取消しを求
める請求を理由がないとして棄却したので,控訴人がこれを不服として本件控
訴を提起した。
2関係法令等の定め,前提事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,後記
3のとおり当審における控訴人の補充主張を付加するほかは,原判決の「事実
及び理由」中「第2事案の概要」の2~4に記載のとおりであるから,これ
を引用する。
3当審における控訴人の補充主張
(1)本件処分は,憲法22条1項に違反する。その理由は,次のとおりである。
ア保険医等としての資格は,日本国内において医師等として活動するため
に不可欠であるから,医師の資格を有する者が保険医等の資格の付与を受
けることは,憲法22条1項(職業選択の自由)や25条によって保護さ
れる権利というべきである。
イ健康保険法71条2項の登録拒否の規定の趣旨は,保険給付の内容や費
用の適正化の観点から,療養担当規則等の健康保険制度上の義務を保険医
等に遵守させることにある。
ウ具体的な規制措置が,憲法22条1項に違反するか否かは,規制の目的,
必要性,内容及び制限の程度を検討し,これらを比較考量した上で,慎重
に決定されなければならない。
エ本件処分は,本件基準(保険医等の登録取消を2度以上重ねて受けたと
きに該当する保険医等については,保険医又は保険薬剤師として著しく不
適当と認むるものなるときとして,地方社会保険医療協議会の議により保
険医等の再登録を拒否することができる。)に基づいてされたものである
ところ,2度にわたって保険医の登録取消に相当するような事情が発生し
たとしても,それは患者や第三者の生命身体の安全を害するようなもので
はなく,診療報酬に関する経済的な問題を生じさせるものにすぎないから,
それだけでは,保険医として療養担当規則等の健康保険制度上の義務を遵
守できないとはいえない。そうすると,2度にわたって保険医の登録が取
り消されたことにより,保険医等の資格を付与しないということまで規制
するのは,明らかに均衡を失している。
オしたがって,本件基準は,憲法22条1項に違反する。
(2)本件処分が違法である特段の事情の存在
仮に原則として本件基準に基づいて保険医の登録を拒否することが適法で
あるとしても,控訴人は,無歯科医村同様の地区(本件地区)で保険診療を
行う旨の希望を有し,また,本件地区にこれを希望する住民がいることに照
らせば,本件処分は違法というべき特段の事情があるといえる。
第3当裁判所の判断
1当裁判所も,本件義務付けの訴えは不適法であり,本件処分の取消しを求め
る請求は理由がないものと判断する。その理由は,後記2のとおり,当審にお
ける控訴人の補充主張に対する判断を付加するほかは,原判決の「事実及び理
由」中「第3当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。
2当審における控訴人の補充主張に対する判断
(1)本件処分は憲法22条1項に違反しないこと
控訴人は,本件処分が憲法22条1項に違反する旨主張する(前記第2の
3(1))。
しかし,保険医の登録を受けて保険診療をする権利なるものが,医師の資
格を有する者に対して憲法上当然に付与されるべき基本的人権であると解す
るのは困難であること,健康保険法71条2項4号にいう「著しく不適当と
認められる者」の解釈に当たり,「保険医等の登録取消を2度以上重ねて受
けた」ことが極めて重要な考慮要素となるとする本件基準に依拠して,保険
医の登録を拒否する処分を行うことは,健康保険制度における給付内容や費
用の適正化を図ることを目的とするものと解され,公共の福祉に合致するこ
と,故意又は重大な過失により,療養担当規則等に反する不正又は不当な行
為を行い,それを理由に登録取消という重い処分を2度以上受けた者は,類
型的にみて療養担当規則等を遵守する意思に乏しく,指導や監査後の措置が
効果を発揮しないという評価を受けてしかるべきであることなどに照らせば,
そのような者が保険医の登録を受けることができず,保険診療を行えないこ
とになるとしても,歯科医師の職業の自由に対する過度の規制とはならない
ことは,引用に係る原判決の「第3当裁判所の判断」中の1(2)のイ及びウ
に説示のとおりである。
したがって,控訴人の上記主張は,採用することができない。
(2)本件処分が違法である特段の事情について
控訴人は,無歯科医村同様の地区(本件地区)で保険診療を行う旨の希望
を有し,また,本件地区にこれを希望する住民がいることに照らせば,本件
処分は違法というべき特段の事情がある旨主張する(前記第2の3(2))。
しかし,仮に,控訴人が無歯科医村同様の地区(本件地区)で保険診療を
行う旨の希望を有し,また,本件地区にこれを希望する住民がいるとしても,
それらの事情をもって,本件基準に依拠して処分を行うことが不適切である
とされるべき特段の事情があると判断しなかったことが,社会通念に照らし
著しく妥当性を欠くとまではいえないことは,引用に係る原判決の「第3当
裁判所の判断」中の3(2)に説示のとおりである。
したがって,控訴人の上記主張は,採用することができない。
3結論
以上によれば,本件義務付けの訴えは不適法であるから却下し,本件処分の
取消しを求める請求は理由がないから棄却すべきであり,これと同旨の原判決
は相当である。
よって,本件控訴は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決
する。
東京高等裁判所第15民事部
裁判長裁判官井上繁規
裁判官齊木教朗
裁判官宮永忠明

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