弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴は棄却する。
         理    由
 本件控訴の趣意は横浜地方検察庁検察官宮本彦仙作成の控訴趣意書の通りであり
これに対する被告人等の答弁は弁護人山内忠吉外一名作成の答弁書の通りであるか
らこれを引用し、これに対し当裁判所は次のように判断する。
 論旨第二点について。
 論旨は先ず本件停電行為は当該単位労働組合員でない第三者の手により且つ職場
員たるA員の反対を押切つて強行されたものであるから正当な争議行為と謂うこと
ができないと主張するが、本件記録によればB労働組合は電気事業に従事する労働
者即ちC株式会社及びD株式会社を含む九配電会社の従業員を以て組織する労働組
合で東京にI本部を置き、北海道をはじめ九地方に各地方本部を、各都府県にそれ
ぞれ支部を、更に本店、支店、支社、電力所、特定火力発電所、営業所、配電局毎
に分会を、更に分会が多数の職場に分れているときは各職場に班を置いているので
あつて、本件のCA員二十二名中所長Eを除き全員BF支社分会に所属し、同分会
はBG県支部に、同支部は更にBH本部を通じてBI本部に所属する単一組織の組
合であつて組合員は組合の綱領、規約及び決議に服する義務があることが明らかで
ある。而して原審の認定した事実によれば被告人JはDK支店L変電所工務員でB
G県支部常任執行委員、被告人MはCN支社線路課技師補でBF支社分会執行委員
をしていた者であるが、Bは予てより組合員の賃銀その他の労働条件についてC及
びDを含む九配電会社の経営者の団体である電気事業経営者会議に対し要求をして
いたが、昭和二十四年三月別府におけるB第四回中央大会の決定に基き原判示の如
ま経過を経て昭和二十五年三月五日停電ストを実施すべきことを管下各支部に指令
し、右指令に基きBG県支部は原判示の如くOP町及びQ町両工場の停電ストを決
行すべきことを指令するに至つた事実及び右指令を受けたCA班員は原判示の如き
事情によりこれを拒否するに至つたためBG県支部は予定の停電ストを円滑に実施
するため常任執行委員たる被告人Jを現場に派遣することになり、同被告人は同月
十三日右A配電盤室に赴き、職場員にストを次行すべき旨慫慂したるも同職場員等
は依然その態度を変えなかつたため、被告人並にBF支社分会執行委員としてスト
指令を遂行せんがためにその場に来合せた被告人Mは共同して組合の指令を実施す
るため前記両工場に対する配電線のスイツチを遮断した事実が明らかである。故に
被告人等はBA班に属する職場員ではないがその<要旨第一>上部組織たるBF支社
分会又はG県支部の役員として組合の指令を実施したものであつて、而も右 第一>指令が慣例による戦術委員会の諮問を経なかつたとしてもこれを無効乃至不適
法な指令と認むべき根拠のない本件においては被告人等が争議行為の一部としてな
した本件停電行為を違法とすることはできない。尤も被告人等の右配電線の遮断は
職場員の多数決による反対を押切つてなされたことは所論の通りであるがB労組の
規約によれば組合員は組合の決議に服する義務があるのであるから組合員たる職場
員が組合の決議に反対した場合にその上部組織の役員がこれを強行したとしても未
だ以てにれが正当性を阻却するものとは解し難い。次に論旨は配電盤の操作は一歩
これを誤るときは非常な危険を伴う慮れがあるので会社の内部規程により当直責任
者又はその指令を受けた当直者以外の者がこれを操作することは禁止されているに
拘らず、右禁止を侵してなされた本件停電行為は違法であると主張するが、被告人
JはDK支店L変電所の工員であつて、A長及び同所員等の面前で同所員に遮断す
べき配電線のスイツチの所在を確めた上その指示するスイツチを遮断したことは記
録に照し原審認定のとおりであるから、当直者以外の被告人Jが右スイツチを遮断
したことは内部規程に違反するとは謂いながら右の場合所論のような危険の伴う虞
れがあつたものとは認められない。
 よつて右論旨も理由がない。
 論旨第三点について。
 本件停電行為が一般的普遍的な停電ではなくO株式会社P町及びQ町両工場に対
する停電であつたことは原審の認定するところであるが労働組合の行う労働争議は
その使用者との間において労働関係に関する主張が一致しない場合その主張を貫徹
することを目的とするものであるから労働組合としてはその争議行為において当該
争議目的を達するためにやむことを得ない必要によつて行われるものである限りそ
の方法については一に労働組合が決定すべき事項であつてその結果において使用者
の業務の運営を阻害するに至ることあるも止むをえないところである。而して原審
認定のように右Bにおいては本件争議行為として停電ストを実施することと定め、
これが具体的方法として(一)第一波は昭和二十五年三月九日から同月十二日まで
東北、北陸、関西地区において、第二波は同月十二日から同月十六日まで中部、中
国、四国、九州、北海道地区において行うこと(二)停電の種類は大口動力の昼間
工場停電、小口動力の昼間工場停電、官公庁の昼夜間停電の三種類とし実状に応じ
てその一部又は全部を実施すること(三)停電時間は二時間以内とすること等を決
定指令し、この指令に基きBG県支部は闘争指令を発し同月十三日九時より十一時
までの二時間RS工場の停電スト、同日十三時より十五時までの二時間OP町及び
Q町工場の停電ストを決行すべきことを指令するに至つたこと及び本件送電線スイ
ツチ遮断が右指令によつて行われたことが記録によつて認められるから本件停電行
為を以て単に所謂狙い打ち停電行為であるからという理由で違法だと主張する論旨
は当らない。次に本件停電打為がDK支店長Tの要請に基くCN支社長UのBF支
社分会執行委員長V宛の「送電停止をすれば電気事業法に触れるから自重するよう
に」との警告並にCA長Eの「本配電線の送停電は事故の場合を除きW給電所又は
DX営業所の許可なくして行うことを禁止します」との業務命令に反して行われた
ことは訴訟記録に徴し明らかであるが叙上説明するとおり労務争議における争議行
為によつて業務の正常な運営は当然に阻害せられるに至るものであり、従つてその
間において使用者の発する労働指揮又は業務命令が労働者によつて拒否せられるこ
とも起りうることであるから、かかる事態が発生したとしてもこれが為めに何等争
議行為の正当性を否認する理由とはならないことは勿論である。又これがために使
用者に財産上の損害を生ずるに至るととも当然であつて所論のように財産権の侵害
を伴う争議行為なるが故に正当な争議行為でないと断定することはできない。固よ
り労働者が使用者の意思を排除して企業経営の権能を行い使用者の私有財産の基幹
を揺がすような争議行為はわが国現行の法律秩序を破壊し到底正当な争議行為と認
むべきではない。然し記録に徴すると原審の認定したとおり被告人等がBの指令を
実施するためCA長の業務命令に反しCがDより委託を受けているD所有のOP町
及びQ町両工場に対する配電線を遮断し約十二分間送電を停止したことが明らかで
あるが該所為を以て未だ右に叙ぶる如き程度の法律上許すべからざる争議行為をし
たと断ずることは当らない。而も本件記載によると原審が認定しておるように本件
停電ストを実施するに当りBにおいてはOP町及びQ町両工場労働組合に対し<要旨
第二>その日時方法等を連絡し且つP町工場に対しては八丁畷線、Y工場に対しては
幸町線よりそれぞれ保安電力を確保し得るよう危険防止の措置をとつて
いたことが明らかであるばかりでなく重大な事故発生の危険の伴い易い職場放棄等
の手段を避け比較的安全にして効果的な停電ストの方法に出たことは電気事業の性
質上機宜に適した処置であつたものとも謂いうべく従て本件停電行為を以て必ずし
も正当な争議行為の範囲を逸脱したものとは認められないから論旨は理由がない。
 (その他の判決理由は省略する。)
 (裁判長判事 小中公毅 判事 渡辺辰吉 判事 河原徳冶)

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