弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人佐藤武夫の上告理由および上告復代理人小泉要三の上告理由は末尾に
添えた別紙記載の通りであるが、代理人佐藤の論旨は第一点第二点を通じて、
 原審には争点についての判断を遺脱した違法があり、また釈明を行わなかつた審
理不尽が存する、というのである。しかし原審口頭弁論調書および第一審判決の事
実摘示によれば、上告人の主張は結局、昭和二一年八月一七日大阪調停所において
原被告および訴外D間に成立した調停の条項中に「(ホ)被告と原告との従来の賃
貸契約は之を合意の上解除し双方既存の権利を抛棄する」とあるのを理由として被
上告人(原告)の賃借申入による賃貸借の成立を争うことに帰着する。それゆえに
こそ原判決は、「昭和二一年八月一六日大阪調停所に於て成立した調停において被
控訴人(被上告人、原告)が賃借申入の基礎となるべき賃借権を抛棄したこと等を
理由として前記賃貸借関係の成立を争つているがかゝる抗弁は裁判上の和解と同一
の効力を有する前記大阪地方裁判所の裁判(昭和二三年(シ)第五号同年七月三〇
日決定)の既判力に牴触するものであるから採容の限りでない。」と判示したので
あつて、原審には判断遺脱の違法はない。そして論旨第一点に記載の調停は、被上
告人から上告人に対する家屋賃貸確認請求事件につき昭和二一年八月一六日成立し
たものであるが、その後罹災都市借地借家臨時処理法(昭和二一年九月一五日施行)
により新に本件当事者間に前記大阪地方裁判所の裁判に基く本件家屋の賃貸借関係
が確定したことは、原審の認定するところである。ところで右の調停により、被上
告人が訴外Dに対し本件家屋において商品を販売することを委託しその期間を五年
と定めたことは、主張の通りであるが、その事から直ちに、被上告人は上告人がD
に本件家屋を使用せしめることを承認し、上告人に対して本件家屋の引渡を請求し
ないという不作為債務を負担したものと認めることはできない。そして上告人は、
前記の調停に上告人が被上告人とDとの間の商品委託販売に関する条項に同意する
旨の定めがあるところから、右調停は被上告人、上告人、D三者間の契約を内容と
すると主張するが、それにしても被上告人について上告人に対する論旨所論のよう
な不作為債務を認めることができない以上、上告人の主張は結局、Dが被上告人に
対し委託販売契約に基く債権を有するとの筋違いの理由により被上告人が新たに確
認された賃貸借に基く請求を拒むに帰する。また、本件家屋が仮にDに引渡されて
いるとしても、被上告人の賃借権は罹災都市借地借家臨時処理法による優先的のも
のであるから、右賃借権に基く被上告人の上告人に対する本件家屋引渡の請求を妨
げ得ないのである。従つて右の調停条項に関する主張が論旨の言う通りであつたに
しても、いずれの点からも上告人の主張は理由がないに帰するから、仮りに原審が
この点に関する上告人の主張について釈明をしなかつたとしても、右は結局判決に
影響を及ぼさないものであり、その点の論旨も理由がないものと言わねばならない。
 次に復代理人小泉の論旨は、いずれも原判決の事実認定に対する非難にほかなら
ず上告の適法な理由にならない。
 よつて民事訴訟法第四〇一条第九五条第八九条に従い、主文の通り判決する。
 以上は当小法廷裁判官全員一致の意見である。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    穂   積   重   遠

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