弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成20年(あ)第909号横領,傷害致死,逮捕監禁,殺人被告事件
平成24年12月11日第三小法廷判決
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人大熊裕起ほかの上告趣意のうち,判例違反をいう点は,事案を異にする判
例を引用するものであって,本件に適切でなく,その余は単なる法令違反,事実誤
認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
なお,所論に鑑み記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは認め
られない。
1本件は,人夫を工事現場等に派遣する人材派遣業を営んでいた被告人が,(1)
平成9年3月頃,人夫として雇っていた身元不詳の男性に対し,木刀でその背部等
を多数回にわたり殴打する暴行を加えて,同人に肺挫滅による気管支肺炎の傷害を
負わせて死亡させたという傷害致死の事案,(2)平成12年5月14日,共犯者
らと共謀の上,いずれも人夫として雇っていた当時51歳の男性と当時50歳の男
性に対し,被告人経営会社の事務所などにおいて,それぞれロープ等で両手首を緊
縛するなどした上で,両名を自動車内に押し込んでキャンプ場まで連行し,同キャ
ンプ場に駐車中の同車内において,ロープ又は両手で順次両名の頸部を強く絞め付
けて窒息死させて殺害したという逮捕監禁,殺人の事案,(3)同日から翌日にか
けて,共犯者らと共謀の上,人夫として雇っていた当時41歳の男性に対し,上記
事務所において,その両手首を緊縛するなどして監禁したという逮捕監禁の事案,
(4)平成15年6月,共犯者と共謀の上,人夫として雇っていた者に支払われた
交通事故の損害賠償金等を預り保管中に合計2412万円を着服したという横領の
事案である。
2所論は,(2)のうち殺人について,原判決後に共犯者Aがした供述に基づき
被告人は殺人の犯行現場にいなかった旨主張する。しかし,検察官の請求を受けて
再開した弁論期日において公判廷に顕出したA作成の平成23年11月24日付け
及び平成24年7月2日付け各陳述書写しは,その提出された経緯,内容,原審ま
でに取調べ済みの関係証拠及び当審で公判廷に顕出した同人の平成24年3月14
日付け検察官調書写しに照らすと,同人の第1審公判における供述の信用性を左右
するものではなく,同供述等に基づき,被告人が犯行現場にいて,殺人を実行した
ことなどを認定した第1審判決を是認した原判決に誤りがあるとは認められない。
3量刑について検討する。特に量刑上重視すべき(1)及び(2)の各犯行について
見ると,(1)の犯行は,被告人から注意を受けた被害者の反抗的な態度に激高し
て,木刀で同人の顔面や胴体部分を執ように殴打して死に至らしめたもので,強い
非難に値する。(2)の犯行も,被告人が,飲酒した上で当て逃げ事故を起こしたこ
とを理由に被害者らに制裁を加えたところ,同人らが被告人らに対して反抗的な態
度を示したため,被害者らに対する怒りを募らせて,被告人経営会社の従業員らに
指示して逮捕監禁行為に及んだのみならず,被害者らを山中のキャンプ場に連行す
ることや,死体を土中に埋めて遺棄するために用いる重機の手配も指示した上で,
同キャンプ場に赴き,自ら,緊縛され身動きの取れない状態の被害者らの首を絞め
付けて殺害したというものである。被告人は,(2)の犯行の実現に主導的な役割を
果たしたのみならず,強固な殺意に基づき冷静に残忍な殺害行為に及んだものであ
って,被告人は共犯者の中で最も重い責任を負うというべきである。(1)の犯行の
約3年後に2名の殺害行為を実行しており,被告人の人命軽視の態度は顕著であ
る。3名の生命を奪ったという結果は甚だ重大である上,上記キャンプ場の土中か
ら3名の遺体が発見されたことなどにより近隣住民が抱いた不安,恐怖も大きい。
以上のような諸事情に照らすと,罰金刑以外の前科がないこと,(1)の犯行は一
時の激情に駆られた偶発的な犯行であること,(3)及び(4)の各犯行についてはすべ
て認めて反省の態度を示していることなど,酌むべき事情を十分考慮しても,その
刑事責任は極めて重大であり,原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は,当裁
判所もこれを是認せざるを得ない。
よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員
一致の意見で,主文のとおり判決する。
検察官山田信二公判出席
(裁判長裁判官田原睦夫裁判官岡部喜代子裁判官大谷剛彦裁判官
寺田逸郎裁判官大橋正春)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛