弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中被告人三名に関する部分を破棄する。
     被告人Aを懲役三年に、被告人Bを懲役二年に、被告人Cを懲役一年六
月に各処する。被告人A、同Bの原審における未決勾留日数中各六〇日を同被告人
らの右本刑に算入する。
     被告人Cに対し、本裁判確定の日より三年間右刑の執行を猶予する。
     原審における訴訟費用中証人D1、同D2(昭和三二年九月二七日、同
年一〇月六日、昭和三三年五月二〇日分)に支給した分は、被告人A、同Cの平等
負担、証人D3、同D4(昭和三四年六月二二日分)、同D5、同D6、同D7に
支給した分は、被告人A、同B、原審相被告人Eの連帯負担、証人D8、同D9に
支給した分は、被告人A、同Bおよび右Eの平等負担、証人D4(昭和三八年七月
一七日分)、同D2(昭和三七年二月二日分)、同D10、同D11、同D12、
同D13に支給した分は、被告人Aの単独負担、証人D14、同D15(昭和三二
年三月二二日分)、同D16、同D17、同D18、同D19、同D20、同D2
1、同D22、同D23、同D24(昭和三九年一月七日分)、同D25(昭和三
九年一月七日分)に支給した分は、被告人Bの単独負担、証人D26に支給した分
は、被告人Bおよび前記Eの連帯負担、証人D27、同D28に支給した分は、被
告人Bおよび右Eの平等負担、証人D29、同D30、同D31、同D32、同D
33、同D34、同D35、同D24(昭和三六年五月一九日分)、同D36、同
D25(昭和三六年五月一九日分)、同D37、同D38、同D39、同D40、
同D41、同D42に支給した分は、被告人Bおよび原審相被告人Fの連帯負担、
証人D15(昭和三八年六月五日分)、同D43、同D44、同D45、同D4
6、同D47、同D48、同D49、同D50、同D51に支給した分は、被告人
Bおよび右Fの平等負担とし、当審における訴訟費用中、証人D1、同D52に支
給した分は、被告人A、同Cの平等負担、証人D3に支給した分は、被告人A、証
人D53、同D54に支給した分は、被告人Bの各単独負担とする。
         理    由
 本件控訴の趣意は、被告人Aにつき弁護人向江璋悦、同安西義明、被告人Bにつ
き弁護人島田武夫、同島田徳郎、被告人Cにつき弁護人西山義次、同山本隆幸各連
署の控訴趣意書記載のとおりであり、これに対する当裁判所の審判は次のとおりで
ある。(中略)
 次に、公判手続の更新に際しては、更新前の公判期日において取り調べた書面等
は、証拠書類として取り調べなければならないのであるが、その証拠書類としての
取り調べの方法は、刑事訴訟法第三〇五条、同規則第二〇三条の二の定める証拠書
類の取り調べ方法、すなわち、原則としてこれを朗読し、または、裁判長が相当と
認めるときは朗読に代えて、その要旨を告げることによつてなすべきものと解す
る。所論は、刑事訴訟規則第二一三条の二第四号によれば、右書面等を取り調べる
場合には訴訟関係人が同意した場合に限りその全部若しくは一部の朗読に代えて、
相当の方法で取り調へることができるけれども、訴訟関係人の同意がない限り、朗
読に代わる相当の方法、すなわち要旨の告知等の簡便な方法をもつてその取り調べ
をすることは許されな<要旨>い、と主張するけれども、右規則により訴訟関係人の
同意のある場合になす相当の方法というのは、刑事訴訟法および同規則が定
める証拠書類の取り調べ方法、すなわち朗読あるいは要旨の告知以外に、裁判長が
相当と認める一層簡易な方法による取り調べを意味するものと解すべきてあつて、
刑事訴訟規則第二〇三条の二の定める要旨を告知してなす証拠書類の取り調べは、
裁判長が相当と認めるときこれを為し得るのであつて、必ずしも訴訟関係人の同意
を必要としないものと解する。原審裁判長が、弁護人らの同意なく、むしろ朗読に
代えて要旨を告知してなす証拠調べに異議を申し立てたのに、これを棄却して要旨
を告知する方法により右証拠調べを為したとしても、これをもつて訴訟手続の法令
に違反したものとして非難することはできない。
 以上原判決の理由不備ないし、訴訟手続の法令違反を主張する各論旨はいずれも
これを採用することができない。
 (その余の判決理由は省略する。)
 (裁判長判事 関谷六郎 判事 内田武文 判事 小林宣雄)

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