弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人赤松清亮の上告理由第一について。
 原判決は、被上告人B1の住居の近辺には子供の適当な遊び場所がなく、従つて
道路を含む市街地内で子供が遊ぶことはその例が多く、ある程度はやむをえない事
清にあつたこと、被上告人B2、同B3は、被上告人B1に対し、平常より車両等
に対する一般的注意を与えていたことが認められることを判示したうえ、右B1よ
りも一層年少の児童ならば、住居外の具体的行動につき、不断の注意、監視の必要
は考えられても、小学校二年生のB1に対しては、その戸外行動の都度、特別の具
体的注意ないし監視をしていなかつたとしても、被害者の親権者として、特に過失
があつたものとはいえない旨判断している。右事実認定は、原判決挙示の証拠関係
に照らして肯認でき、その認定事実関係のもとでの右判断は首肯できる。その間に
審理不尽、経験則違反の違法はないから、所論は採用できない。
 同第二について。
 Dが上告人の使用人ではなく、上告人と運送契約を結んだ運送人にすぎない旨、
原審認定に反することを主張し、これを前提として、原判決の理由不備、法律解釈
適用の誤りをいう所論は、採用のかぎりでない。
 なお、原判決(引用第一審判決を含む。)の判示するところによると、被上告人
B1は、本件事故の昭和三四年四月三日当時満七年二ヶ月余であつて、小学校二年
生に進級したばかりであつたこと、本件事故は、道路上で遊戯中の右B1に加害自
動車が衝突し、B1を路上に転倒させて右後輪で同人の両足を轢いたものであるこ
と、B1は、本件事故による負傷の治療のため、前後二回、通算約一一ケ月間にわ
たる入院加療、約一ケ月の通院加療を受け、その間手術回数も約一〇回に及び、本
件事故後一年を経過した昭和三五年四月末頃、ようやく治癒の状態となつたが、本
件負傷は各病院の医者から両足切断の外ないと診断されるほどの重傷であつたこと、
現在なお右下腿の上三分の二の部分、後面の膝部下方手掌大の部分にそれぞれ醜状
瘢痕があつて、右瘢痕部に知覚減弱と一部知覚過敏とがあり、また、右下肢が左下
肢に比し二糎短縮し、長時間の正坐、歩行及び激しい運動等には到底たえがたいこ
と、そのため同人の将来の学業、就職等にも著しく制約を受け、その影響を受ける
ことが多いものと考えられること、また、両下肢に残存する前記瘢痕部は醜く、B
1はこれを衆目にさらすことを恥じ、夏でも長ズボンをはき、銭湯にも行きたがら
ないほどであること、そして現在においても、衣類等が触れることにより右下肢の
瘢痕部から出血をみることもしばしばで、そのたびに通院加療を受けていること、
被上告人B2、B3は、その長男たるB1の前記のような重傷に対し、長期間の献
身的な看護をし、B1は幸い奇蹟的に両足の切断を免れて、現在の状態にまで回復
するに至つたけれども、前述のとおり通常人の身体に比すれば、多くの障害があり、
父母として将来のB1の身のふり方等につき今後ともその精神的苦労が絶えないで
あろうことが認められるというのである。右認定の事実関係からすれば、被上告人
B2、同B3の父母としての精神的苦痛は本件事故によつてB1の生命が侵害され
た場合のそれに比し著しく劣るものではないということができるから、右被上告人
両名に自己の権利として慰藉料請求権を認めた原審の判断は是認できる。
 この点についても、原判決には法律解釈適用の誤りまたは理由不備の違法はない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    柏   原   語   六
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    下   村   三   郎

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