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平成一一年(ネ)第四九二六号特許権侵害差止等請求控訴事件(原審・東京地方裁判
所平成九年(ワ)第五七三四号)(平成一二年七月一〇日口頭弁論終結)
     判      決
   控訴人(原告)     株式会社ウエスタン・アームス
      右代表者代表取締役    【A】
 右訴訟代理人弁護士    宗 万 秀 和
      同            荒 木 和 男
      同            近 藤 良 紹
      同            早 野 貴 文
      同            川 合 順 子
      同            高 橋 隆 二
      同            山 枡 幸 文
      同鬼 頭 栄美子
 同補佐人弁理士      【B】
   被控訴人(被告)   株式会社東京マルイ
右代表者代表取締役  【C】
右訴訟代理人弁護士    湊 谷 秀 光
      右補佐人弁理士      【D】
            主      文
 一 本件控訴を棄却する。
  二 控訴費用は、控訴人の負担とする。
 事実及び理由
第一当事者の求めた裁判
 一 控訴人
 1原判決を取り消す。
 2被控訴人は、原判決別紙物件目録記載の製品を製造、販売してはならな
い。
  3 被控訴人は、その占有する前項記載の製品及びそれを製造するための金型
を廃棄せよ。
  4 被控訴人は、控訴人に対し、金四九五九万九〇〇〇円及びこれに対する平
成九年四月二七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
5 訴訟費用は、第一、第二審を通じ、被控訴人の負担とする。
 二 被控訴人
   主文と同旨の判決
第二 当事者の主張
   当事者の主張は、次のとおり当審における主張を付加するほかは、原判決
「事実及び理由」の「第二 事案の概要」のとおりであるから、これを引用する。
 一 控訴人
1 本件発明は、第1状態における第2のガス通路の状態について何ら限定が
加えられているものではなく、これが閉状態であることを要するとした構成要件H
に関する原審の解釈は、本件発明に不要な要件を加えるものであり、失当である
2 本件発明における「第1のガス通路と第2のガス通路の夫々を開閉制御」
する構成は、「ガス通路制御部」の制御の対象を二つの通路に特定したものである
が、それ以上に「開閉制御」の具体的な技術内容を特定するものではないから、第
1、第2のガス通路がいつどのように「閉状態」に置かれるかは、要件ではない。
3 本件明細書では、「開閉制御」の技術内容について、これを開状態の制御
と閉状態の制御とに区別して記載されておらず、また、「開閉制御」を「開閉」と
「制御」の各文言に区分して説明しているものでもない。本件発明の「ガス通路制
御部」は、ガス通路を閉状態にする制御を行うものと、閉状態にせずに制御を行う
ものの双方を含むものと解すべきである。
4 受圧部にガスが流れ込んでも、弾丸発射までにスライダ部に有意的な移動
が生じない限り、弾道の狂いの原因となり得るスライダ部の後退が生じない。蓄圧
室からのガスが受圧部に流れ込まないようにすることは、本件発明の技術思想にお
いて必然的なものではない。
5 本件発明の構成要件Hにいう「開閉制御」とは、ガス圧の作用のさせ方を
制御することにほかならず、第1のガス通路を通じるガスにより装弾室の弾丸に対
してガス圧を作用させて弾丸を発射させる状態と、第2のガス通路を通じるガスに
よりスライダ部と一体化した受圧部にガス圧を作用させる状態とを変化、制御する
趣旨と解釈されるべきである。
 二 被控訴人
1 本件発明の構成要件Hは、「第1のガス通路と第2のガス通路の夫々を開
閉制御し」と明確に記載されており、ここにいう「夫々」とは、「第1のガス通
路」と「第2のガス通路」の双方の意味であり、また、「開閉制御」という以上
は、「開状態」と「閉状態」とが切り換えられることを意味する。
2 本件発明の構成要件Hにおいて、「第1のガス通路を開状態として、上記
蓄圧室からのガスを上記装弾室に供給する第1の状態から、上記第2のガス通路を
開状態として、・・・第2の状態に移行する」と記載されている以上、第2のガス
通路は、開状態の前のいずれかの時点において閉状態となることが必要である。
第三 当裁判所の判断
 一 当裁判所も、控訴人の請求は理由がないものと判断するところ、その理由
は、当審における主張につき次のとおり付加するほかは、原判決「事実及び理由」
の「第三 当裁判所の判断」のとおりであるから、これを引用する。
 二 当審における控訴人の主張について
1 控訴人は、第1状態における第2のガス通路が閉状態であることを要する
とした構成要件Hに関する原審の解釈は、本件発明に不要な要件を加えるものであ
ると主張する。しかしながら、本件発明の構成要件Hにおいて、「第1のガス通路
と第2のガス通路の夫々を開閉制御し」と規定されているから、この要件の解釈と
して、第2のガス通路の状態が一定のものに限定されると解することは、本件発明
に不要な要件を加えるものではない。
2 また、控訴人は、本件発明の「第1のガス通路と第2のガス通路の夫々を
開閉制御」する構成において、第1、第2のガス通路がいつどのように「閉状態」
に置かれるかは要件とされていないと主張する。しかしながら、本件発明の構成要
件Hには、「第1のガス通路と第2のガス通路の夫々を開閉制御し」と規定されて
おり、ここにいう「夫々」とは、「第1のガス通路」と「第2のガス通路」の双方
を意味し、「開閉制御」とは、「開状態」と「閉状態」とが切り換えられることを
意味するから、本件発明は、「第2のガス通路」が「開状態」と「閉状態」とに切
り換えられることを意味するものというべきである。
3 本件発明の構成要件Hには、「第1のガス通路を開状態として、上記蓄圧
室からのガスを上記装弾室に供給する第1の状態から、上記第2のガス通路を開状
態として、・・・第2の状態に移行する」と規定されているから、本件発明におけ
るこの構成を考え併せるならば、第2のガス通路は、開状態となる前では閉状態で
あると解するほかはない。本件発明の「ガス通路制御部」が第2のガス通路を閉状
態にせずに制御を行うものを含むということはできない。
4 なお、受圧部にガスが流れ込んでも、弾丸発射までにスライダ部に有意的
な移動が生じない限り、弾道の狂いの原因となり得るスライダ部の後退が生じない
ということはできるが、前記(原判決二八頁三行目ないし二九頁八行目)のとお
り、本件発明は、「装弾室に装填された弾丸の発射後にスライダ部の移動が開始さ
れるものとすることで、装弾室から発射される弾丸がスライダ部の移動による影響
を受けてその弾道に狂いが生じることになる事態を回避する」ことを目的の一つと
しており、そのためには、装弾室から弾丸が発射されるに至るまでの第1の状態に
おいて、スライダ部の後退が生じることのないような構成にすることが必要であ
り、そのためには、ガス通路制御部が第2のガス通路を完全な閉状態に制御する構
成を採るのが最も望ましく、本件発明がこのような構成を採用しているものと解す
るのが合理的である。
三 このように、控訴人の被控訴人に対する請求はいずれも理由がなく、これを
棄却した原判決は正当であって、控訴人の本件控訴は理由がないからこれを棄却す
ることとし、控訴費用の負担につき、民事訴訟法六一条、六七条一項本文を適用し
て、主文のとおり判決する。
    東京高等裁判所第一三民事部
      裁判長裁判官   田   中   康   久
         裁判官   長   沢   幸   男
         裁判官   宮   坂   昌   利

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