弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人近藤亮太、同内山賢治、同大塚錥子、同加藤坂夫、同世古件逸郎の上
告理由第一点について。
 原判決は、被上告人(被控訴人)が自己のためにする意思をもつて本件宅地を訴
外Dより買い受ける旨意思表示した旨の事実を認定したものであつて、右事実認定
は挙示の証拠により肯認できる。されば、原判決は、被上告人のなした前記意思表
示が民法一〇〇条但書により補助参加人Cのためにその効力を生ずる旨の上告人主
張事実を適法に排斥しているのであつて、原判決に所論の違法がない。なお、原判
決に商法五〇四条適用の誤りがあるという所論は、原審で主張しのない事実をもつ
て原判決を非難するものであるから許されないのみならず、右所論もその理由がな
いこと前示により明らかである。論旨はすべて採用できない。
 同第二点(1)について。
 所論は、原判決がCにおいて被上告人所有の本件宅地を使用しうる権限を使用貸
借関係であると判断したことを非難するが、原判決確定の事実関係の下においては、
原審の右判断は肯認できる。原判決に所論の違法がなく、論旨は採用できない。
 同第二点(2)について。
 原判決は、その認定した被上告人C間の使用貸借関係が、Cの本件宅地使用終了
により終了したものと判示したものであること判文上明らかであるから、原判決に
所論の違法がない。論旨は採用できない。
 同第三点について。
 所論は、原審で主張がなく、また、原審の認定に沿わない事実を前提として被上
告人の本件権利権利主張を濫用であるとし、これをついて原判決を論難するもので
あるから、採用できない。
 同第四点について。
 原判決は、本件宅地を被上告人が訴外Dより買受け、その地上に住宅および店舗
を建てたが、被上告人とC間の別件訴訟の結果、右建物のうち店舗の所有権がCに
属する旨の判決があり、右建物はC名義に登記されるに至つたが、被上告人が、右
C名義の建物が本件地上に建築されたことを承諾したとしても、右建物敷地につい
ては、せいぜい使用貸借の関係に過ぎない旨を認定したものと解すべく、その間所
論のような理由齟齬はない。論旨は採用できない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外

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