弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決及び第一審判決を破棄する。
     被告人を第一の罪につき罰金千円に、第二乃至第九の罪につき懲役五月
に処する。
     被告人が右罰金を完納しないときは金百円を一日に換算した期間労役場
に留置する。
     (一)糯精米二九瓩の換価金一一八一円三七銭(甲府地方検察庁昭和二
四年押第一七八九号)、(二)粳精米一四瓩二〇〇瓦及び小麦粉一九瓩三〇〇瓦の
換価合計金一二六一円一一銭、(三)小麦粉四八瓩の換価金一七九五円四二銭(甲
府区検察庁昭和二五年押第三〇七号)、(四)小麦粉一八瓩七五〇瓦の換価金七〇
一円三四銭、(五)小麦粉五九瓩の換価金二二〇六円八七銭(甲府区検察庁昭和二
五年押第六〇八号)、(六)粳精米五〇瓩の換価金二〇五四円七〇銭(甲府地方検
察庁昭和二五年押第二八〇号)、(七)粳精米二〇瓩五〇〇瓦の換価金七七三円六
一銭(甲府地方検察庁昭和二五年押第四一九号)、(八)精米一五瓩の換価金六一
六円四〇銭(甲府区検察庁昭和二五年押第二三〇〇号)、(九)精米一八瓩の換価
金七三八円は、いずれもこれを没収する。
     当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
     本件公訴事実中大豆輸送の事実につき被告人を免訴する。
         理    由
 弁護人福永福雄の上告趣意(後記)は、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。し
かし本件公訴事実中大豆輸送の事実(第一審判決摘示の第一〇の事実)については、
昭和二七年政令第一一七号により大赦があつたので、刑訴四一一条五号、四一三条
但書、三三七条三号により、原判決及び第一審判決を破棄し、右事実につき被告人
を免訴すべきものである。
 よつて第一審判決が適法に証拠により確定した判示第一乃至第九の大赦にかゝら
ない事実に対し、同判決掲記の各食糧管理法、同施行令、同施行規則を適用し、な
お被告人には同判決に判示する如き前科があり、これと判示第一の罪とは刑法四五
条後段の併合罪となるので、同法五〇条を適用しまだ裁判を経ない右罪につき、所
定刑中罰金刑を選択し所定金額の範囲内で被告人を罰金千円に処し、判示第二乃至
第九の罪につき、所定刑中各懲役刑を選択し、右は刑法四五条前段の併合罪になる
ので同法四七条、一〇条により犯情最も重いと認める判示第九の罪の刑に法定の加
重をした刑期範囲内で被告人を懲役五月に処し、罰金不完納の場合における労役場
留置につき刑法一八条、没収につき同法一九条一項一号二項、訴訟費用の負担につ
き刑訴一八一条を適用して、主文のとおり判決する。
 右は裁判官全員一致の意見によるものである。
 検察官 安平政吉出席
  昭和二八年三月三一日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

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