弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 各被告人弁護人小池忠光、同海野普吉、坂上寿夫の各上告趣意は、末尾に添えた
別紙記載の通である。
 (一) 弁護人小池忠光の上告論旨第一点乃至第五点は、
 原審の専権に属する証拠の証明力に対する判断の不当を攻撃し、原判決の採用し
なかつた各証拠を引用してその事実誤認を主張するものである。なお原判決の採用
した原審証人Aが第一審において被告人等と共同被告人の関係にあり、しかも同人
等は平素から敵対関係にあつたとしてもただそれだけの理由で同証人の証言が証拠
能力を失うものでないことは当然である。次に、所論の原審検証調書は原判決の証
拠として引用しなかつたものであう、かつ右検証調書によれば原審は所論の橋の勾
配、道路の幅員等について測量検証していること明らかである。さらに、所論の被
告人Bに対する虎姫町警察署長から大阪高等検察庁宛保釈中の被告人の動静調査の
件回答についてと題する書面も亦原判決の証拠として採用しなかつたものであるか
ら、その内容が同被告人に対する本件犯罪の認定に影響を及ぼさないこと当然であ
る。そうして、原判決の被告人等に対する判示第一の窃盗の事実認定が実験則に違
背するものとはとうてい認められないのであつて、論旨はいずれも理由がない。
 (二) 同論旨第六点はすべて原判決の法令違反を主張するものでなく、適法な
上告理由とならない。
 (三) 弁護人海野普吉同坂上寿夫の上告論旨第一点は、原審において所論の測
量地図一通について証拠調の請求があつたにしても、原審はその第一回公判におい
てこれが採否を留保し、同第三回公判において留保中の証拠申請は全部却下する旨
決定しているのであるから、原審の訴訟手続に公判においてなされた証拠調の請求
につき決定がなされなかつたという違法はない。その余の論旨は、前記の測量地図
について証拠調の決定と証拠調がなされなかつたことを前提とする議論であるがそ
の前提の採用し難いこと前示のとおりであつて、論旨はすべて理由がない。
 (四) 同論旨第二点は、原審がその第四回公判期日において前回公判期日後十
五日以上経過しているのに更新手続を行わなかつたことを非難し、その不更新の根
拠たるべき刑事訴訟規則施行規則第三条第三号は憲法違反の法規であると主張する
のであるが、右刑事訴訟規則施行規則第三条第三号の合憲有効なことは当裁判所大
法廷判例の明示するところであり(昭和二四年(れ)第二一二七号同二五年一〇月
二五日言渡大法廷判決参照)従つて、原審が所論第四回公判において審理の更新を
しなかつたことに違法はなく、論旨は理由がない。
 よつて、旧刑訴法四四六条に従い、全裁判官一致の意見により、主文のとおり判
決する。
 検察官 岡本梅次郎関与
  昭和二六年一月一六日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    穂   積   重   遠

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