弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人清瀬三郎、同平塚量三の上告理由一、二について。
 記録に徴すれば、昭和三二年一〇月九日の原審口頭弁論期日調書および爾後の口
頭弁論期日調書には、上告人の代理人が所論準備書面に基づいて陳述した旨の記載
がなく、その他当該陳述があったことを窺うに足る証跡を見出し難い。されば、右
準備書面に基く陳述がなされたことを前提として、その内容として盛られた論旨二
12掲記の主張に対し原審が判断を遺脱したと主張する所論は採用できない。
 同三について。
 原判決およびその引用する第一審判決の確定したところによれば、訴外Dは、訴
外E産業株式会社代表者として、昭和二六年四月一二日訴外Fコーポレーション(
以下F社という。)に対し、被上告人の原判示申込の誘引に示された条項によつて、
本件傭船契約申込の意思表示をなし、これが被上告人への伝達方を依頼したが、F
社の従業員訴外Gは、かねてE産業側から、「運賃の約定単価はトンあたり米貨一
八ドルとすべきも、本件傭船の積荷の時期が、あたかもモンスーンの時期にあたる
ため、積荷が遅れて滞船料のかさむおそれがあるので、本件輸入鉄鉱石の転売先で
ある訴外H株式会社に対しては、被上告人との問の前記約定運賃単価より五〇セン
ト高い一八ドル五〇セントの単価で契約が成立したことにして交渉したいから、書
面上は、傭船料の単価をトン当り米貨一八ドル五〇セントとして、オフアーノート
その他を作成して貰いたい」と依頼されていたので、当時準備していた運賃単価を
一八ドルと記載したオフアーノート(甲第一号証の四はその一つである。)とは別
に、右単価を一八ドル五〇セントと記載し、他は原判示条項のような内容のオファ
ーノート数遍(甲第一号証の二および乙第八号証はそのうちの各一通である。)を
作成し、自らこれに署名して、E産業側○署名を求め、Dは、上告会社従業員のI
に命じて、そのうちの一通に署名させた。そして、右意思表示は、右単価記載の事
清の通報とともに、即日、電信で、F杜および同社とともに仲介にあたつたJコー
ポレーシヨン(以下J社という。)を通じて、被上告人側に伝達された。被上告人
は、調査の結果、E産業が一流貿易業者であることを知り、同月一二日頃、右申込
に対し承諾の意思表示をなし、これはその頃J社およびF社を通じてE産業に到達
したというのである。
 右認定事実によれば、E産業代表者Dは、本件傭船契約の申込の意思表示にあた
り、運賃の約定単価はトンあたり米貨一八ドルとすべきも、Hに対する本件鉄鉱石
の転売交渉の都合上、F社の従業員Gから、単価一八ドル五〇セントと記載したオ
ファーノートを作成してもらい、Iに命じてこれに署名したのであり、右オフアー
ノートの単価の記載の事情は、被上告人側においても、これを諒解したうえ承諾の
意思表示をしたのであり、したがつて、契約当事者の約定した単価は一八ドルであ
り、オファーノートの記載にかかわらず、、該単極が運賃として契約上表示されて
いる場合に該当するから、被上告人と上告人間に運賃単価トンあたり米貨一八ドル
と定めた傭船契約が成立したとした原審の判断は首肯できる。しかして、オファー
ノートの署名が傭船契約成立の要件をなすとしても、裁判所は、オファーノートの
文字に即してのみ運賃の単価を確定しなければならないものではなく、オファーノ
ートの記載とあわせて契約成立時における四囲の事情を勘案し、右単価を確定する
ことは、職権の行使として、なんら妨げられないところであるから、原審が、本件
オファーノートには単価一八ドル五〇セント表示された事実を認定し、しかも、E
産業が単価一八ドルと記載したオフアーノートにも署名したかどうかは本件に顕わ
れた証拠上では明らかでないと判断しながら、前叙のような契約成立時の諸事情を
斟酌して、本件は単価一八ドルの定めで契約が成立したものと判断したことは、な
んら不法ではない。原判決には、証拠に基づかないで事実を認定した違法もなけれ
ば、理由不備、理由そごの違法も認められないから、所論は採用できない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外

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