弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人表権七上告趣意第一点について。
 しかし、記録(二五一丁表)によれば所論の原審第二回(昭和二四年七月二日)
公判期日の調書末葉には裁判長判事として岡利裕の署名と捺印がなされていること
は明らかなところであるから、原判決には毛頭所論の違法は存しない。論旨は理由
がない。
 同第二、三点について。
 本件は新刑訴施行前に公判の請求があつた事件ではあるが刑訴施行法一三条に基
く刑訴規則施行規則三条三号が適用される筋合であつて、同条号によれば裁判所は
開廷後引続き一五日以上開廷しなかつた場合にも必ずしも公判手続を更新するの必
要なく裁判所がその必要ありと認めた場合に限り手続の更新をなせば足るわけであ
るから、原審がその第一回公判と第二回公判との間に一五日以上の経過があつたに
も拘らず公判手続の更新を必要と認めないでこれが更新をしなかつたからといつて
違法であるといえないことは当裁判所の判例とするところである(昭和二四年(れ)
二〇〇〇号同二五年二月一五日大法廷判決)。なお刑訴規則施行規則三条三号は刑
訴施行法一三条に基く憲法七七条の最高裁判所の権限内に属するものであつて違憲
のものでないことは昭和二四年(れ)二一二七号同二五年一〇月二五日大法廷判決
の示すとおりである。されば論旨はいずれもその理由がない。
 同第四点について。
 原判決が判示事実認定の証拠として所論の第一審受命判事の証人Aに対する訊問
調書中の同証人の供述記載、司法警察官の被告人に対する聴取書(昭和二三年六月
五日附)及び検事の被告人に対する聴取書(同月七日附)中の各供述記載を挙示し
ていることは所論のとおりである。ところが一件記録を閲するに原審第一回(昭和
二四年五月一〇日)公判調書中証拠調手続の項(記録二〇三丁裏)に「一、原審公
判調書及証人訊問調書及検証調書」の記載がある。そして第一審において受命判事
が訊問した証人は所論証人Aの他には存在しないから、所論A証人に対する第一審
受命判事の訊問調書は原審第一回公判期日において適法に証拠調がなされているも
のであるといわなければならぬ。次に同公判調書中の同項には更に「一、司法警察
官の訊問調書並聴取書、一、各関係人に対する検事の聴取書」の記載がある。そし
て公判調書中に単に「司法警察官の聴取書とあるときは記録中に存するすべての者
に対する司法警察官の聴取書を指すものと理解するのが当然である。されば前示原
審第一回公判調書中の「司法警察官の聴取書」中には本件記録中に存する被告人に
対する司法警察官の聴取書(昭和二三年六月五日附)も包含されているものといえ
るから、所論の聴取書は原審において適法に証拠調がなされたものであるといわな
ければならぬ。なお所論の各関係人に対する検事の聴取書の各関係人の意義が被告
人弁護人等の訴訟関係人を広く意味するものであること論旨指摘のとおりである。
そして本件記録中被告人以外の訴訟関係人に対する検事の聴取書が存在しないこと
は記録上明らかなところであるから、右原審第一回公判調書に「各関係人に対する
検事の聴取書」とあるのは被告人に対する検事の聴取書を指すのであることはいう
までもないところである。されば所論被告人に対する検事の聴取書も亦原審におい
て適法の証拠調を経たものであるといわなければならぬ。従つて原判決には所論の
ような違法は存しない。
 同第五点について。
 しかし原判決は所論指摘の被告人の原審における供述又は被告人に対する各聴取
書中の各供述記載のみによつて被告人の強姦の犯意を認定したものではなく被害者
の供述記載検証調書中の記載その他原判決挙示の各証拠を綜合して認定したもので
あることは原判決の証拠説明自体によつて明らかなところであり、又所論公判調書
又は聴取書を精読するに原判決の摘示する部分は所論に摘録する部分と不可分の一
体をなすものとは認められないし、また所論のごとく故ら偽装又は変改したものと
も認められないから原判決には所論のような採証上の違法は存しない。そして原判
決の右認定は原判決の挙示する証拠に照してこれを肯認することができ、その間反
経験則等の違法は存しない。所論は結局事実審たる原裁判所の裁量権に属する証拠
の取捨判断又は原判決が適法にした事実の認定を非難するに帰し上告適法の理由と
ならぬ。
 同第六点について。
 原判決の確定した「被告人が判示Aを追かけた距離が約三〇米である」事実と原
判決挙示の証拠である原審受命判事の検証調書中の記載とに照して仮りに所論のよ
うに被告人が同女を捕えんとしたならすれちがつた際に捕え得たことを認めうると
しても、その故に原審が右検証調書の記載とその他の原判決挙示の証拠とを綜合し
て被告人に強姦の犯意を認定したからといつて原判決には採証の法則に反するとか
事実認定の経験則に反するとかの違法あるものとはいえない。されば原判決には所
論のような理由不備又は理由齟齬の違法は存しない。所論は結局事実審たる原裁判
所の事実認定を非難するに帰し上告適法の理由とならぬ。
 よつて旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。
 この判決は論旨第二、三点に対する澤田裁判官の反対意見(前掲各大法廷判決に
おける同裁判官の少数意見)を除くの外裁判官全員一致の意見による。
 検察官 竹原精太郎関与
  昭和二五年一一月三〇日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    澤   田   竹 治 郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    齋   藤   悠   輔
            裁判官    岩   松   三   郎

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