弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
被告人を懲役1年に処する。
未決勾留日数中90日をその刑に算入する。
押収してあるスタンガン1個(ケース入り,電池4個付き。平成15年押
第77号の1)を没収する。
理由
(罪となるべき事実)
 被告人は,平成14年12月3日午前8時ころ,神戸市a区bc丁目d番e号先
bバス停留所から同区bc丁目f番g号先hバス停留所に向けて走行中のi駅発j
駅行きA株式会社路線バス車内において,B(当時16歳)に対し,その背後から
所携のスタンガン(平成15年押第77号の1)を同女の背部に接着させて放電さ
せる暴行を加え,よって,同女に加療約7日間を要する背中部火傷の傷害を負わせ
たものである。
(証拠の標目)―括弧内の数字は証拠等関係カード記載の検察官請求証拠番号―
省略
(累犯前科)
 被告人は,(1)平成8年6月13日神戸地方裁判所で窃盗罪により懲役10月(3
年間刑の執行猶予,平成11年4月12日その猶予取消し)に処せられ,後記(2)記
載の刑の執行に引き続きその刑の執行を受け,平成12年12月5日その刑の執行
を受け終わり,(2)窃盗罪により平成11年3月12日神戸簡易裁判所で懲役10月
に処せられ,平成12年2月5日その刑の執行を受け終わったものであって,これ
らの事実は検察事務官作成の前科調書(検察官請求証拠番号28)及び判決書謄本
2通(同29,30。ただし,29は調書判決)によって認める。
(法令の適用)
 被告人の判示所為は刑法204条に該当するところ,所定刑中懲役刑を選択し,
前記の各前科があるので同法56条1項,57条により再犯の加重をした刑期の範
囲内で被告人を懲役1年に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中90日をそ
の刑に算入し,押収してあるスタンガン1個(ケース入り,電池4個付き。平成1
5年押第77号の1)は判示犯行の用に供した物で被告人以外の者に属しないか
ら,同法19条1項2号,2項本文を適用してこれを没収することとする。
(弁護人の主張に対する判断)
 弁護人は,被告人は本件犯行当時心神耗弱の状態にあった旨主張するが,関係証
拠によれば,被告人は平成13年12月10日及び同月18日の二度にわたり神戸
市a区所在のC神経内科クリニックで医師の診察を受け「心因反応(うつ状態)」
の病名で投薬等の治療を受けたこと,その際,被告人は仕事の疲れ,不眠,食欲低
下,抑うつ気分を訴えたが,規則的に服薬せず,症状はあまり好転しなかったこと
が認められるけれども,本件はその約1年後の犯行である上,関係証拠により認め
られる,交際していた女性に振られたなどとしてイライラしていた被告人が,平成
14年11月末ころインターネットで判示スタンガンのほか催涙スプレーを購入
し,以後,外出時には常にこれらを携行するようになっていたところ,本件犯行当
日,路線バス内で目の
前にいた女子高校生が前記女性に似ていたことから無性に腹が立ったとして,スタ
ンガンを押し付けて放電した等の被告人の本件犯行時及び犯行前後の合目的的行動
に照らすと,被告人は,本件犯行当時,自己の行為の是非を弁識しそれに従って行
動する能力に著しく影響を及ぼすような精神的状態にはなく,心神耗弱の状態にな
かったものと優に認められる。弁護人の主張は理由がない。
(量刑の理由)
 本件は,被告人が路線バス車内で乗客の女子高生に対しその背後から所携のスタ
ンガンをその背部に接着させて放電させる暴行を加えてその背中に判示の火傷を負
わせた傷害の事案であるが,理由はともかくも,購入したスタンガンを常時携行し
ていた被告人が,前記のような身勝手な理由で路線バスに乗車していた女子高校生
にスタンガンのスイッチを入れて放電した本件犯行は,その動機においても,犯行
態様においても悪質な犯行といわねばならず,通り魔的な犯行に遭遇した被害者の
被った衝撃は大きく,被害感情は厳しいこと,被告人に前記累犯前科のあることを
併せ考慮すると,被告人の刑事責任は重いと言わざるを得ないが,被告人の生育歴
には同情の余地がないではないこと,未決勾留が相当期間に及び,その間,被告人
なりに反省悔悟の情
を深めたものと窺われること,被告人の心身の状況等被告人のために斟酌すべき事
情が認められるので,これらの事情も十分に考慮の上,主文のとおり量定した。
 よって,主文のとおり判決する。
  平成15年7月9日
神戸地方裁判所第11刑事係甲
   裁 判 官   杉 森 研 二

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