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平成17年10月28日判決言渡 同日判決原本領収 裁判所書記官
平成17年(少コ)第2377号(通常手続移行)解雇予告手当請求事件
口頭弁論終結日 平成17年10月21日
判         決
主         文
1 被告は,原告に対し,41万4567円を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
主文1項と同旨
第2 事案の概要
1 請求原因の要旨
ア 原告は,平成13年11月22日,被告に賃金月額44万5050円,毎月15日締
め当月末日払いの約定で雇用された。
イ 原告は,平成17年7月13日,被告から解雇の予告を受け,同月15日に解雇さ
れた。
ウ 原告は,平成17年3月16日から同年6月15日までの92日間に,被告から賃
金として総額136万2150円を支給された。
エ よって,原告は,被告に対し,解雇に基づく解雇予告手当支払請求権として41
万4567円の支払を求める。
2 争点
原告の辞職は,被告による解雇か,原告の自主的な退職か。
第3 争点に対する判断
1 被告は,原告主張の被告による解雇の事実を否認し,原告は自らの意思で退職を
決意し辞職したものであるから,自主退職であると主張するので,以下検討する。
2 証拠(甲3,4の1,2)並びに原告本人及び被告代表者の供述によれば,次の事
実が認められる。
ア 原告は,平成17年7月13日,被告代表者から会社が累積赤字を抱え,傾いて
いる責任は原告にあると言われ,今後会社に残るのであれば給料が15万円か
ら20万円程度になると言われた。
イ そして,原告は,被告代表者から会社がつぶれてしまうと未払賃金の支払もで
きないことを考えれば,未払賃金を3回に分けて支払うから,辞めたらどうかと勧
められた。
ウ そこで,原告は,会社がつぶれて未払賃金を払ってもらえないのでは困るので,
辞職することを了解したところ,被告代表者から7月15日に辞めるように言われ
た。
エ 原告は,翌日の7月14日,被告代表者に対して,電話で辞職する件について関
係機関と相談するので,白紙に戻して欲しいと伝え,被告代表者の了解を取っ
た。
オ 原告が7月19日に出社すると,既に原告のタイムカードが見あたらなかった。
カ 被告は,平成17年8月9日,○○公共職業安定所に原告の離職票を提出した
が,その離職理由の内容は,経営者の変更に伴い給与の見直しを図り,従来の
半額程度になる旨通知したところ,原告が金額的に働けないという理由で退社し
たものとされている。
3 以上によると,原告の辞職は,原告の事情に基づく自主的な判断に拠るものでは
なく,被告の事情により原告に対し辞職を求めたものと考えられるから,解雇と認め
るのが相当である。被告代表者は,原告に対して,営業成績が向上しない限り今ま
でどおりの給料は払えないと申し向けたところ,原告には被告代表者が期待してい
たような成績向上に努力するような態度が見られず,「それでは生活ができない。」
旨の返事をされたことから,原告にはやる気がないと認識したものであり,そのこと
から原告が自主的に退職したものと判断していると供述する。しかし,この供述は,
被告代表者の認識に基づいた判断でしかなく,退職届の提出を求めるなどして原
告の意思を確認していないことからすると,解雇の事実を妨げる事情とはならない。
4 請求原因の要旨記載アの事実は当事者間に争いがなく,証拠(甲1)よれば,同ウ
の事実を認めることができる。そうすると,原告の主張はすべて認められるから,原
告の請求は理由がある。
東京簡易裁判所少額訴訟4係
                      裁 判 官  行  田    豊

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